JP5685951B2 - 反射型マスク、およびその製造方法 - Google Patents

反射型マスク、およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、極端紫外光(Extreme Ultra Violet:以後、EUVと記す)を用いてマスクパターンをウェハ上に転写するためのEUV露光用の反射型マスクに関し、より詳しくは、露光フィールド境界におけるオーバー露光を防止するための遮光領域を有する反射型マスク、およびその製造方法に関するものである。
半導体デバイスの微細化に伴い、現在、ArFエキシマレーザを用いた光学式の投影露光装置により、フォトマスクを用いてウェハ上にパターン転写する露光方法が行なわれている。これらの光学式の投影露光装置による露光方法では、いずれ解像限界に達するため、電子線描画装置による直描やインプリントリソグラフィやEUVリソグラフィのような新しいパターン形成方法が提案されている。
これらの新しいリソグラフィ技術の中でも、紫外線露光の短波長化の極限と見なされているEUV露光は、エキシマレーザよりもさらに短波長である波長13.5nm程度のEUV光を用いて通常1/4程度に縮小して露光する技術であり、半導体デバイス用の次世代リソグラフィ技術として注目されている。EUV露光においては、短波長のために屈折光学系が使用できないため、反射光学系が用いられ、マスクとしては反射型マスクが提案されている(特許文献1)。
このEUV露光用反射型マスク(以降、反射型マスクと記す)は、EUV光を反射する多層膜構造の反射層と、この反射層上にEUV光を吸収する吸収体パターンとを、少なくとも備えたマスクである。
上述のような反射型マスクにおいても、従来のフォトマスクと同様に、位相シフト法を用いることでさらに解像度を向上させることができる。例えば、反射層上に形成された吸収体パターンを構成するルテニウム(Ru)層とタンタル(Ta)層の膜厚を、それぞれ最適化することで、所望の反射率と位相差を両立させたハーフトーン型の位相シフト反射型マスクが提案されている(特許文献2)。
図5は、ハーフトーン型の位相シフト反射型マスクの一例を示す断面図である。図5に示す反射型マスク100は、少なくとも、基板111の主面上に、EUV光を反射して第1の反射光を放射する多層膜構造の反射層112を有し、その上に、EUV光の一部を前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として放射するハーフトーン型の吸収層115からなる転写パターンが形成された構造となっている。
なお、反射層112上には、反射層を保護するキャッピング層やマスクパターン形成時の反射層112へのエッチングダメージを防止するためのバッファ層が設けられていてもよい。
図6は、位相シフト反射型マスクを用いたEUV露光の概念図である。図6に示すように、ハーフトーン型の位相シフト反射型マスク100の吸収層115からなる転写パターンから露出する反射層112に入射したEUV光131Aは、第1の反射光132Aとしてマスクから放射され、ウェハ140上に設けられたレジストに縮小転写パターン141を形成する。
一方、ハーフトーン型の吸収層115からなる転写パターンに入射したEUV光131Bは、その一部は吸収されるが、他の一部は吸収層115からなる転写パターンを透過して反射層112で反射し、再び吸収層115からなる転写パターンを透過して、前記第1の反射光132Aとは位相が反転した第2の反射光132Bとしてマスクから放射され、フォトマスクと同様な位相シフト効果により、ウェハ140上に形成されるパターン141の解像性を向上させる。
ここで、EUV露光では、EUV光は反射型マスク100の主面に対し垂直な方向から数度(例えば、6度)傾いた方向から入射される。
従って、吸収層115の膜厚が厚いと、入射するEUV光131A、または反射光132Aが、吸収層115からなる転写パターンによって遮られ、吸収層115からなる転写パターン自身の影が生じ、ウェハ140上に転写されたレジストパターン141のエッジ部分がぼけるなどのシャドーイング効果と呼ばれる現象により鮮明な転写パターンが得られなくなる。それゆえ、シャドーイング効果を低減し、鮮明な転写パターンを形成するためには、吸収層115の厚さは薄い方がより好ましい。
しかしながら、吸収層115の厚さを薄くした場合、以下のような露光フィールド境界部におけるレジストのオーバー露光の問題が生じる。
EUV露光では、フォトマスクのステッパー露光と同様に、反射型マスク100上のパターン領域を、図6に示すように、反射型マスク100上に設置されるブレード120によって矩形状の露光フィールド142に区切り、ステップアンドリピート方式によりウェハ140に多面付け露光する。
ここで、上述のように、吸収層115の膜厚を薄くした場合には、吸収層115からなる転写パターンから放射される第2の反射光132Bの強度が高まり、ブレード120境界近傍に相当する露光フィールド142外周の重なり部において、ウェハ140上のレジストが多重露光により、オーバー露光されてしまう。
図7は、EUV露光における上記問題の説明図であり、ウェハ140上に4つの露光フィールド142が転写された状態を例示している。
図7に示すように、ウェハ140上の各露光フィールド142の境界部143では、反射型マスクの吸収体パターンから放射される反射光により、2重あるいは4重に露光が重なり合って多重露光されるために、レジストが不適切に感光してしまう。
例えば、ポジ型レジストを用いた場合、露光フィールド142が重なり合う境界部143のレジストは多重露光されることになり、この部分にかかるパターンの寸法に悪影響を及ぼし、問題となる。
上記の露光フィールド境界でのオーバー露光の問題を解決するために、図8または図9に示すような転写パターン領域120外周の遮光領域121に工夫を凝らした反射型マスクが提案されている(特許文献3)。
ここで、上記の転写パターン領域とは、ウェハ等の被転写体に転写される露光フィールドに対応した反射型マスク上のパターン領域のことであり、上記の遮光領域とは、前記転写パターン領域の周囲に設けられたEUV光の反射を低減させた領域のことであり、前記遮光領域を設けることにより、ウェハ上で隣り合う露光フィールドの境界部におけるレジストのオーバー露光を防止する。
特許文献3には、図8または図9に示すように2つの方式が開示されている。
例えば、図8(a)に示す反射型マスク100は、遮光領域121の吸収層を2段構造にした吸収体積層方式の反射型マスクであり、第1の吸収層115の上に、第2の吸収層117からなる遮光枠が設けられている。
なお、図8(a)に示すように、第1の吸収層115の表面には、反射型マスクの欠陥検査をより精度良く行うために、低反射層116が設けられていても良い。また、反射層112の表面には、通常、反射層を保護するためのキャッピング層113が設けられており、キャッピング層113と吸収層115の間には、吸収層加工時のエッチングから反射層を保護するためのバッファ層114が設けられていても良い。
一方、図9(a)に示す反射型マスク100は、遮光領域121の反射層112をエッチング加工で除去した反射層加工方式の反射型マスクである。なお、本方式においても、上述の図8(a)に示す例と同様に、吸収層115からなる転写パターンの上には、反射型マスクの欠陥検査をより精度良く行うために、低反射層116が設けられていても良い。また、反射層112の表面には、通常、反射層を保護するためのキャッピング層113が設けられており、キャッピング層113と吸収層115の間には、吸収層加工時のエッチングから反射層を保護するためのバッファ層114が設けられていても良い。
特開昭63−201656号公報 特開2004−207593号公報 特開2009−212220号公報
ここで、上述の吸収体積層方式(図8)や反射層加工方式(図9)を用いて遮光領域を有する反射型マスクを製造するためには、アライメント描画工程が必要になる。
例えば、図8に示す吸収体積層方式の反射型マスクを製造する場合には、転写パターン領域120に対して、所望の位置範囲に第2の吸収層117からなる遮光枠を形成するために、例えば、第2の吸収層117の上にレジストを塗布し、アライメント描画して所望の位置に遮光枠を形成するためのレジストパターンを形成することが必要になる。
一方、図9に示す反射層加工方式の反射型マスクを製造する場合には、転写パターン領域120に対して、所望の位置範囲の反射層112をエッチング加工で除去するために、例えば、低反射層116の上にレジストを塗布し、アライメント描画して所望の位置の反射層112を除去するためのレジストパターンを形成することが必要になる。
上述のアライメント描画においては、例えば、従来のフォトマスク製造に用いられてきたレーザ描画装置を用い、アライメント光をアライメントマークに照射して、アライメントマークからの反射信号を検出することにより、転写パターン領域の位置情報を取得することが望ましい。実績のあるフォトマスク製造に用いられるものと同じ材料や技術を利用できるからである。
ここで、従来のフォトマスクにおいては、図10(a)に示すように、アライメントマークの底面部は、合成石英等の透明な基板161で構成されているため、アライメント光171は概ね透過し、その反射は僅かであるため、酸化クロム等の低反射層163で構成されているアライメントマーク上面部からの反射光との間で、十分なコントラストを得ることができた。
しかしながら、EUV露光用の反射型マスクにおいては、図10(b)に示すように、アライメントマークの底面部は、表面にキャッピング層113を有する反射層112で構成されているため、アライメント光171は概ね反射し、酸化タンタル(TaO)等の低反射層114や窒化タンタル(TaN)等の吸収層115で構成されているアライメントマーク上面部からの反射光との間で、十分なコントラストを得ることは、困難であった。
それゆえ、従来の反射型マスクにおいては、位置精度良く、遮光領域を形成するためのレジストパターンを形成することが困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、EUV露光用の反射型マスクにおいても、上述のようなレーザ描画装置を用いてアライメントマークを検出する際に、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができ、それゆえ、位置精度良く、遮光領域を形成するためのレジストパターンを形成することができる反射型マスク、およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、種々研究した結果、反射型マスクに形成するアライメントマークを、レーザ描画装置のアライメント光の波長に対し、解像限界以下の微細な線幅および間隔を有するスリット状の構造体で構成して、アライメント光照射における反射信号の強度を小さくすることにより、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、基板と、前記基板の主面上に形成され、EUV光を反射して第1の反射光を放射する反射層と、前記反射層の上に形成され、前記EUV光の一部を前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として放射する吸収体パターンと、前記吸収体パターンによって形成された転写パターン領域の周囲に、前記EUV光の反射光の放射を低減するための遮光領域と、前記遮光領域を形成するためのアライメント描画に用いられるアライメントマークを、少なくとも備えたEUV露光用の反射型マスクであって、前記遮光領域の前記反射層は除去されており、前記遮光領域の外側に前記アライメントマークが形成されており、前記アライメントマークが、前記アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・である。
また、本発明の請求項に係る発明は、基板と、前記基板の主面上に形成され、EUV光を反射して第1の反射光を放射する反射層と、前記反射層の上に形成され、前記EUV光の一部を前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として放射する吸収体パターンと、前記吸収体パターンによって形成された転写パターン領域の周囲に、前記EUV光の反射光の放射を低減するための遮光領域と、前記遮光領域を形成するためのアライメント描画に用いられるアライメントマークとを、少なくとも備えたEUV露光用の反射型マスクの製造方法であって、 前記アライメントマークを、前記アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体で構成して、前記遮光領域を形成する位置の外側に形成し、前記アライメント光を、前記アライメントマークに照射して、前記アライメントマークからの反射信号を検出することにより、前記転写パターン領域の位置情報を取得し、前記位置情報に基づいてアライメント描画することにより、所望の位置の前記反射層を除去するためのレジストパターンを形成し、前記レジストパターンから露出する前記反射層をエッチングして、前記遮光領域を形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法である。
また、本発明の請求項に係る発明は、前記アライメント光が、500nm〜600nmの波長を有するレーザ光であることを特徴とする請求項に記載の反射型マスクの製造方法である。
本発明によれば、反射型マスクに形成するアライメントマークを、レーザ描画装置のアライメント光の波長に対し、解像限界以下の微細な線幅および間隔を有する凹凸構造体で構成することにより、アライメントマークに照射されたアライメント光の反射強度を、アライメントマークの周囲からの反射強度よりも小さくすることができる。
それゆえ、本発明に係る反射型マスクにおいては、レーザ描画装置を用いて遮光領域を形成するためのレジストパターンをアライメント描画する際に、アライメントマーク検出において、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができる。その結果、得られる反射型マスクは、高い位置精度で形成された遮光領域を有する反射型マスクとなる。
本発明に係る反射型マスクの一例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M1の概略拡大図である。 本発明に係る反射型マスクの他の例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M2の概略拡大図である。 図1に示す本発明の反射型マスクの製造方法の例を示す模式的工程図である。 図2に示す本発明の反射型マスクの製造方法の例を示す模式的工程図である。 ハーフトーン型の位相シフト反射型マスクの一例を示す断面図である。 位相シフト反射型マスクを用いたEUV露光の概念図である。 EUV露光の露光フィールド境界部における多重露光の説明図である。 従来の反射型マスクの一例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M101の概略拡大図である。 従来の反射型マスクの他の例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M102の概略拡大図である。 アライメントマークにおけるアライメント光の反射状態を示す説明図であり、(a)はフォトマスクの例を示し、(b)は反射型マスクの例を示す。
以下、本発明の反射型マスク、およびその製造方法について詳細に説明する。
<反射型マスク>
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る反射型マスクの第1の実施形態の例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M1の概略拡大図である。
図1(a)に示すように、反射型マスク1の主面には、転写パターン領域20と遮光領域21が形成されている。ここで、転写パターン領域20は、ウェハ等の被転写体に転写される露光フィールドに対応した反射型マスク1上のパターン領域であり、遮光領域21は、転写パターン領域20の周辺に設けられたEUV光の反射を低減させた領域である。
例えば、外形6インチ角の反射型マスクにおいて、転写パターン領域20の面積は100mm×130mm程度であり、遮光領域21の幅は概ね3mm〜25mm程度である。
本発明に係る反射型マスク1は、ハーフトーン型の位相シフト反射型マスクであり、第1の吸収層15からなる転写パターンから露出する反射層12(表面にはキャッピング層13を有する)に入射したEUV光は、第1の反射光として反射型マスクから放射され、一方、第1の吸収層15からなる転写パターンに入射したEUV光は、その一部は第1の吸収層15からなる転写パターンに吸収されるが、他の一部は第1の吸収層15からなる転写パターンを透過して反射層12(表面にはキャッピング層13を有する)で反射し、再び第1の吸収層15からなる転写パターンを透過して、前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として反射型マスクから放射され、フォトマスクと同様な位相シフト効果により、ウェハ上に形成されるレジストパターンの解像性を向上させる。
ここで、本発明に係る反射型マスクの第1の実施形態は、図1(a)に示すように、遮光領域21の吸収層を2段構造にした吸収体積層方式の反射型マスクであり、第1の吸収層15の上に、第2の吸収層17からなる遮光枠が設けられている。なお、図1(a)に示す例においては、第1の吸収層15の表面には、欠陥検査をより精度良く行うために、低反射層16が設けられている。
そして、反射型マスク1の外周近傍には、アライメントマーク領域M1が形成されている。なお、アライメントマーク領域M1は、図6におけるブレード120で遮蔽される位置に配設されているため、アライメントマークの形状が、ウェハ上のレジストに転写されることはない。
本発明に係る反射型マスクの第1の実施形態のアライメントマークは、図1(b)に示すように、第1の吸収層15、およびその上の第2の吸収層17を貫通して所定の大きさに開口した、1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体から構成されており、その凸部の幅、例えば、ライン・アンド・スペース・パターンであれば、そのライン幅は、アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さに形成されている。
例えば、上記アライメント光の波長が532nmの場合には、上記ライン・アンド・スペース・パターンのライン幅としては、概ね80nm〜140nm程度であり、好ましくは、88nm〜133nmである。
また、図1(b)に示す例においては、上記の凹凸構造体の凸部の厚さは、バッファ層14、第1の吸収層15、低反射層16、および第2の吸収層17を合わせた厚さであり、例えば、90nm〜120nmである。
ここで、第1の吸収層15、および第2の吸収層17は、例えば、TaNを主成分とする材料からなり、低反射層16はTaOを主成分とする材料からなる。また、バッファ層14は、例えば、CrNを主成分とする材料からなる。また、キャッピング層13はSiやRuを主成分とする材料からなる。なお、キャッピング層13がRuからなる場合には、エッチング停止層としての耐性が十分に確保できるため、バッファ層14は設けられていなくとも良い。
上述のように、本実施形態のアライメントマークは、転写パターン領域を構成する各層と同じ材料から構成され、第2の吸収層17も第1の吸収層15と同じ材料を用いることができるため、転写パターン領域の加工技術を用いることで、本実施形態のアライメントマークを形成することができる。
例えば、図3(a)に示す転写パターン形成用の微細なレジストパターン形成と同様にして、アライメントマーク用の微細なレジストパターンを形成することができ、図3(b)に示す転写パターンのエッチングと同様にして、本実施形態のアライメントマークをエッチング形成することができる。
そして、上述のような、アライメント光の波長に対し、波長の1/6〜1/4の長さ、すなわち解像限界以下の微細な線幅および間隔を有する凹凸構造体で構成されたアライメントマークに、前記アライメント光を照射した場合には、アライメントマークからの反射光の強度は、アライメントマークの周囲からの反射光の強度よりも十分に小さくなる。
それゆえ、本発明に係る反射型マスクにおいては、レーザ描画装置を用いて遮光領域を形成するためのレジストパターンをアライメント描画する際に、アライメントマーク検出において、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができる。その結果、得られる反射型マスクは、高い位置精度で形成された遮光領域を有する反射型マスクとなる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る反射型マスクの第2の実施形態について説明する。
図2は、本発明に係る反射型マスクの第2の実施形態の例を示す図であり、(a)は全体の概略断面図、(b)は(a)におけるアライメントマーク領域M2の概略拡大図である。
上述の第1の実施形態と同様に、本実施形態の反射型マスク1も、ハーフトーン型の位相シフト反射型マスクであり、吸収層15からなる転写パターンから露出する反射層12(表面にはキャッピング層13を有する)に入射したEUV光は、第1の反射光として反射型マスクから放射され、一方、吸収層15からなる転写パターンに入射したEUV光は、その一部は吸収層15からなる転写パターンに吸収されるが、他の一部は吸収層15からなる転写パターンを透過して反射層12(表面にはキャッピング層13を有する)で反射し、再び吸収層15からなる転写パターンを透過して前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として反射型マスクから放射され、フォトマスクと同様な位相シフト効果により、ウェハ上に形成されるレジストパターンの解像性を向上させる。
ここで、本発明に係る反射型マスクの第2の実施形態は、図2(a)に示すように、遮光領域21の反射層12をエッチング加工で除去した反射層加工方式の反射型マスクである。なお、図2(a)に示す例においては、吸収層15の表面には、反射型マスクの欠陥検査をより精度良く行うために、低反射層16が設けられている。
そして、反射型マスク1の外周近傍には、アライメントマーク領域M2が形成されている。なお、アライメントマーク領域M2は、図6におけるブレード120で遮蔽される位置に配設されているため、アライメントマークの形状が、ウェハ上のレジストに転写されることはない。
本発明に係る反射型マスクの第2の実施形態のアライメントマークは、図2(b)に示すように、吸収層15を貫通して所定の大きさに開口した、1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体から構成されており、その凸部の幅、例えば、ライン・アンド・スペース・パターンであれば、そのライン幅は、アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さに形成されている。
例えば、上記アライメント光の波長が532nmの場合には、上記ライン・アンド・スペース・パターンのライン幅としては、概ね80nm〜140nm程度であり、好ましくは、88nm〜133nmである。
また、図2(b)に示す例においては、上記の凹凸構造体の凸部の厚さは、バッファ層14、吸収層15、および低反射層16を合わせた厚さであり、最適な厚みはEUV波長における材料の光学係数に依存する。例えば、Ta系の材料であれば50〜70nmである。
ここで、吸収層15は、例えば、TaNを主成分とする材料からなり、低反射層16はTaOを主成分とする材料からなる。また、バッファ層14は、例えば、CrNを主成分とする材料からなる。また、キャッピング層13はSiやRuを主成分とする材料からなる。なお、キャッピング層13がRuからなる場合には、エッチング停止層としての耐性が十分に確保できるため、バッファ層14は設けられていなくとも良い。
上述のように、本実施形態のアライメントマークは、転写パターン領域を構成する各層と同じ材料から構成されているため、転写パターンの加工技術を用いることにより、本実施形態のアライメントマークを形成することができる。
例えば、図4(a)に示す転写パターン形成用の微細なレジストパターン形成と同様にして、アライメントマーク用の微細なレジストパターンを形成することができ、図4(b)に示す転写パターンのエッチングと同様にして、本実施形態のアライメントマークをエッチング形成することができる。
そして、上述のような、アライメント光の波長に対し、波長の1/6〜1/4の長さ、すなわち解像限界以下の微細な線幅および間隔を有する凹凸構造体で構成されたアライメントマークに、前記アライメント光を照射した場合には、アライメントマークからの反射光の強度は、アライメントマークの周囲からの反射光の強度よりも十分に小さくなる。
それゆえ、本発明に係る反射型マスクにおいては、レーザ描画装置を用いて遮光領域を形成するためのレジストパターンをアライメント描画する際に、アライメントマーク検出において、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができる。その結果、得られる反射型マスクは、高い位置精度で形成された遮光領域を有する反射型マスクとなる。
次に、本発明に係る反射型マスクを構成する他の要素について説明する。
(基板)
本発明の反射型マスクを構成する基板11としては、パターン位置精度を高精度に保持するために低熱膨張係数を有し、高反射率および転写精度を得るために平滑性、平坦度が高く、マスク製造工程の洗浄などに用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましく、石英ガラス、SiO2−TiO2系の低熱膨張ガラス、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスなどのガラス基板、さらにはシリコンを用いることもできる。
基板11は、0.2nmRms以下の平滑な表面と、パターン領域で50nm以下の平坦度を有していることが高反射率および転写精度を得るために好ましい。
(反射層)
反射層12は、EUV露光に用いられるEUV光を高い反射率で反射する材料が用いられ、Mo(モリブデン)層とSi(シリコン)層からなる多層膜が多用されており、例えば、2.8nm厚のMo層と4.2nm厚のSi層を各40層積層した多層膜よりなる反射層が挙げられる。それ以外には、特定の波長域で高い反射率が得られる材料として、Ru/Si、Mo/Be、Mo化合物/Si化合物、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜およびSi/Ru/Mo/Ru周期多層膜なども用いることができる。ただし、材料によって最適な膜厚は異なる。
Mo層とSi層からなる多層膜の場合、イオンビームスパッタ法により、まずSiターゲットを用いてSi層を成膜し、その後、Moターゲットを用いてMo層を成膜し、これを1周期として、30〜60周期、好ましくは40周期積層されて、多層膜の反射層が得られる。上記のように、EUV光を高い反射率で反射させるために、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で入射したときの反射層12の反射率は、通常、60%以上を示すように設定されている。
(キャッピング層)
反射層12の反射率を高めるには屈折率の大きいMo層を最上層とするのが好ましいが、Moは大気で酸化され易く、反射率が低下するので、酸化防止やマスク洗浄時における保護のための保護層として、スパッタリング法などによりSiやRu(ルテニウム)を成膜し、キャッピング層13を設けることが行われている。
例えば、キャッピング層13としてSiを用いる場合は、反射層12の最上層に11nmの厚さで設けられる。一方、キャッピング層13としてRuを用いる場合は、反射層12の最上層に2.5nmの厚さで設けられる。
(バッファ層)
EUV露光に用いられるEUV光を吸収する吸収層15をドライエッチングなどの方法でパターンエッチングするときに、下層の反射層12に損傷を与えるのを防止するために、反射層12と吸収層15との間にバッファ層14を設けてもよい。
バッファ層14の材料としてはSiO2、Al23、Cr、CrNなどが用いられる。CrNを用いる場合は、RFマグネトロンスパッタ法によりCrターゲットを用いてN2ガス雰囲気下で、上記の反射層の上にCrN膜を5nm〜15nm程度の膜厚で成膜するのが好ましい。
(吸収層)
マスクパターンを形成し、EUV光を吸収する吸収層15の材料としては、Ta、TaN、TaB、TaBNなどのTaを主成分とする材料、Cr、Crを主成分としN、O、Cから選ばれる少なくとも1つの成分を含有する材料などが、バッファ層との合計膜厚が50nm〜70nm程度の範囲で用いられる。
なお、ハーフトーン型の位相シフト反射型マスクの場合には、入射するEUV光の1%〜20%を反射光(第2の反射光)として放射し、かつ、前記反射光(第2の反射光)と露出した反射層12からの反射光(第1の反射光)との位相差が、概ね175度〜185度となるように、吸収層13の材料、および膜厚が決定される。
(ハードマスク層)
吸収層の上には、吸収層のエッチングマスクとしてハードマスク層を設けても良い。ハードマスク層の材料としては、吸収層のエッチングに耐性をもつものであって、反射型マスクの転写パターンに応じた微細加工に適したものを用いる必要がある。例えば、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニュウム(Hf)およびその窒化物、酸化物などである。
また、ハードマスク層の材料は、バッファ層と同一の材料であることが好ましい。この場合、吸収層のエッチングの後に、ハードマスク層の除去とバッファ層の除去とを同一工程で除去できる。
ハードマスク層の厚さは、その材料のエッチング耐性や転写パターンのサイズに応じた加工精度にもよるが、例えば5nm〜15nmである。
ハードマスク層は、例えば、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、Crをスパッタ成膜することで、CrNからなるハードマスク層を設けることができる。
(導電層)
基板11の主面上に設けられた反射層12と相対する他方の面(裏面側)の上には、導電層が形成されていてもよい。この導電層は、反射型マスクの裏面を静電吸着するために、設けられるものである。この導電層は、導電性を示す金属や金属窒化物などの薄膜であって、例えば、クロム(Cr)や窒化クロム(CrN)などを厚さ20nm〜150nm程度に成膜して用いられる。
<反射型マスクの製造方法>
次に、本発明に係る反射型マスクの製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
図3は、図1に示す本発明に係る第1の実施形態の反射型マスクの製造方法の例を示す模式的工程図である。なお、煩雑になることを避けるため、図3においては、キャッピング層13、およびバッファ層14の記載は省略している。
図1に示すような、吸収体積層方式の反射型マスクを製造する場合には、まず、図3(a)に示すように、基板11の上に反射層12、第1の吸収層15、低反射層16、第2の吸収層17を順次形成し、その上に転写パターンと、アライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成する。
なお、上記のアライメントマークを形成するためのレジストパターンは、アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体とする。
例えば、上記アライメント光の波長が532nmの場合には、上記凹凸構造体の凸部の幅(凹凸構造体がライン・アンド・スペース・パターンであれば、そのライン幅)は、概ね80nm〜140nm程度であり、好ましくは、88nm〜133nmである。
次に、第2の吸収層17、低反射層16、および第1の吸収層15を順次エッチングし(図3(b))、その後、上述のレジストパターン50を除去する(図3(c))。
上述の工程により、マスク外周部には、第1の吸収層15の上に低反射層16を介して第2の吸収層17が積層された構成からなる本発明に係るアライメントマークが形成され、マスク中央部の転写パターン領域には、第1の吸収層15および低反射層16からなる転写パターンの上にパターン状に加工された第2吸収層からなるパターンが積層された構造体が形成される。
次に、第2の吸収層17の上から全面にレジストを塗布し、上述の工程により形成したアライメントマークを用いたアライメント描画により、所望の位置に遮光枠を形成するためのレジストパターン51を形成する(図3(d))。
ここで、上述のアライメント描画においては、まず、レーザ描画装置のアライメント光を、前記アライメントマークに照射して、前記アライメントマークからの反射信号を検出することにより、前記転写パターン領域の位置情報を取得する。
そして、前記位置情報に基づいてアライメント描画することにより、所望の位置に前記遮光枠を形成するためのレジストパターン51を形成することができる。
次いで、上記レジストパターン51から露出する第2の吸収層17をエッチングし(図3(e))、上述のレジストパターン51を除去して、遮光枠として所望の位置に吸収体が積層された反射型マスク1を得る(図3(f))。
本発明によれば、反射型マスクに形成するアライメントマークを、レーザ描画装置のアライメント光の波長に対し、波長の1/6〜1/4の長さ、すなわち解像限界以下の微細な線幅および間隔を有する凹凸構造体で構成することにより、アライメントマークに照射されたアライメント光の反射強度を、アライメントマークの周囲からの反射強度よりも小さくすることができる。
それゆえ、本発明に係る反射型マスクにおいては、レーザ描画装置を用いて遮光領域を形成するためのレジストパターンをアライメント描画する際に、アライメントマーク検出において、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができる。その結果、得られる反射型マスクは、高い位置精度で形成された遮光領域を有する反射型マスクとなる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態の反射型マスクの製造方法について説明する。
図4は、図2に示す本発明に係る第2の実施形態の反射型マスクの製造方法の例を示す模式的工程図である。なお、煩雑になることを避けるため、図4においても、キャッピング層13、およびバッファ層14の記載は省略している。
図2に示すような、反射層加工方式の反射型マスクを製造する場合には、まず、図4(a)に示すように、基板11の上に反射層12、吸収層15、低反射層16を順次形成し、その上に転写パターンと、アライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成する。
なお、上記のアライメントマークを形成するためのレジストパターンは、アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体とする。
例えば、上記アライメント光の波長が532nmの場合には、上記凹凸構造体の凸部の幅(凹凸構造体がライン・アンド・スペース・パターンであれば、そのライン幅)は、概ね80nm〜140nm程度であり、好ましくは、88nm〜133nmである。
次に、低反射層16、および吸収層15を順次エッチングし(図4(b))、その後、上述のレジストパターン50を除去する(図4(c))。
上述の工程により、マスク外周部には、吸収層15の上に低反射層16が設けられた構成からなる本発明に係るアライメントマークが形成され、マスク中央部の転写パターン領域には、吸収層15および低反射層16からなる転写パターンが形成される。
次に、低反射層16の上から全面にレジストを塗布し、上述の工程により形成したアライメントマークを用いたアライメント描画により、所望の位置の反射層12を除去するためのレジストパターン51を形成する(図4(d))。
ここで、上述のアライメント描画においては、まず、レーザ描画装置のアライメント光を、前記アライメントマークに照射して、前記アライメントマークからの反射信号を検出することにより、前記転写パターン領域の位置情報を取得する。
そして、前記位置情報に基づいてアライメント描画することにより、所望の位置の反射層12を除去するためのレジストパターン51を形成することができる。
次いで、上記レジストパターン51から露出する低反射層16、吸収層15、および反射層12を順次エッチングし(図4(e))、上述のレジストパターン51を除去して、遮光領域として所望の位置の反射層が除去された反射型マスク1を得る(図4(f))。
本発明によれば、反射型マスクに形成するアライメントマークを、レーザ描画装置のアライメント光の波長に対し、波長の1/6〜1/4の長さ、すなわち解像限界以下の微細な線幅および間隔を有する凹凸構造体で構成することにより、アライメントマークに照射されたアライメント光の反射強度を、アライメントマークの周囲からの反射強度よりも小さくすることができる。
それゆえ、本発明に係る反射型マスクにおいては、レーザ描画装置を用いて遮光領域を形成するためのレジストパターンをアライメント描画する際に、アライメントマーク検出において、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができる。その結果、得られる反射型マスクは、高い位置精度で形成された遮光領域を有する反射型マスクとなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
基板11として、光学研磨された大きさ6インチ角(厚さ0.25インチ)の合成石英基板を用い、その一方の主面(表面)上に、イオンビームスパッタ法により、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層してMoとSiの多層膜よりなる反射層12を形成した後、最表面のMo膜の上にSi膜を11nm成膜してキャッピング層13を形成した。
次に、RFマグネトロンスパッタ法によりCrターゲットを用いてN2雰囲気下で、上記のキャッピング層13の上に、バッファ層14としてCrN膜を10nmの厚さに成膜した。
次に、上記のCrN膜上に、ハーフトーン型の第1の吸収層15として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を35nmの厚さで形成し、次いで、上記のTaN膜上に、低反射層16として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス雰囲気下で、TaO膜を15nmの厚さで形成し、さらに、上記のTaO膜上に、第2の吸収層17として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を40nmの厚さで形成した。
次に、上記の第2の吸収層17を形成するTaN膜の上に、電子線レジストを塗布し、電子線描画装置を用いて、転写パターンとアライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成した。ここで、アライメントマークを形成するためのレジストパターンは、100nmのライン幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンとした。
次いで、前記レジストパターン50の開口から露出する第2の吸収層17を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングし、低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、さらに第1の吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、バッファ層14を形成するCrN膜を露出させ、その後、レジストパターン50を除去した。
次に、第2の吸収層17を形成するTaN膜の上から、i線レジスト(東京応化工業製、THMR−iP3500)を全面に塗布し、レーザ描画装置(アプライド マテリアルズ社製、ALTA−3000)を用いたアライメント描画により、遮光枠を形成するためのレジストパターン51を形成した。
ここで、上述の工程により形成したアライメントマークに、レーザ描画装置の波長532nmのアライメント光を照射して反射信号を検出するアライメントマーク検出においては、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができた。
次いで、上記レジストパターン51から露出する第2の吸収層17を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、低反射層16を形成するTaO膜を露出させ、その後、上述のレジストパターン51を除去した。
最後に、転写パターンから露出するバッファ層14のCrN膜をCl2と酸素との混合ガスでドライエッチングしてキャッピング層13を露出させ、遮光枠として所望の位置に第2の吸収層が積層された反射型マスク1を得た。
(実施例2)
基板11として、光学研磨された大きさ6インチ角(厚さ0.25インチ)の合成石英基板を用い、その一方の主面(表面)上に、イオンビームスパッタ法により、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層してMoとSiの多層膜よりなる反射層12を形成した後、最表面のMo膜の上にRu膜を2.5nm成膜してキャッピング層13を形成した。
次に、上記のRu膜上に、ハーフトーン型の第1の吸収層15として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を50nmの厚さで形成し、次いで、上記のTaN膜上に、低反射層16として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス雰囲気下で、TaO膜を15nmの厚さで形成し、さらに、上記のTaO膜上に、第2の吸収層17として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を40nmの厚さで形成した。
次に、上記の第2の吸収層17を形成するTaN膜の上に、電子線レジストを塗布し、電子線描画装置を用いて、転写パターンとアライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成した。ここで、アライメントマークを形成するためのレジストパターンは、100nmのライン幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンとした。
次いで、前記レジストパターン50の開口から露出する第2の吸収層17を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングし、低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、さらに第1の吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、キャッピング層13を形成するRu膜を露出させ、その後、レジストパターン50を除去した。
次に、第2の吸収層17を形成するTaN膜の上から、i線レジスト(東京応化工業製、THMR−iP3500)を全面に塗布し、レーザ描画装置(アプライド マテリアルズ社製、ALTA−3000)を用いたアライメント描画により、遮光枠を形成するためのレジストパターン51を形成した。
ここで、上述の工程により形成したアライメントマークに、レーザ描画装置の波長532nmのアライメント光を照射して反射信号を検出するアライメントマーク検出においては、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができた。
次いで、上記レジストパターン51から露出する第2の吸収層17を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、低反射層16を形成するTaO膜を露出させ、その後、上述のレジストパターン51を除去し、遮光枠として所望の位置に第2の吸収層が積層された反射型マスク1を得た。
(実施例3)
基板11として、光学研磨された大きさ6インチ角(厚さ0.25インチ)の合成石英基板を用い、その一方の主面(表面)上に、イオンビームスパッタ法により、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層してMoとSiの多層膜よりなる反射層12を形成した後、最表面のMo膜の上にSi膜を11nm成膜してキャッピング層13を形成した。
次に、RFマグネトロンスパッタ法によりCrターゲットを用いてN2雰囲気下で、上記のキャッピング層13の上に、バッファ層14としてCrN膜を10nmの厚さに成膜した。
次に、上記のCrN膜上に、ハーフトーン型の吸収層15として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を35nmの厚さで形成し、次いで、上記のTaN膜上に、低反射層16として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス雰囲気下で、TaO膜を15nmの厚さで形成した。
次に、上記の低反射層16を形成するTaO膜の上に、電子線レジストを塗布し、電子線描画装置を用いて、転写パターンとアライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成した。ここで、アライメントマークを形成するためのレジストパターンは、100nmのライン幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンとした。
次いで、前記レジストパターン50の開口から露出する低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、さらに吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、バッファ層14を形成するCrN膜を露出させ、その後、レジストパターン50を除去した。
次に、低反射層16を形成するTaO膜の上から、i線レジスト(東京応化工業製、THMR−iP3500)を全面に塗布し、レーザ描画装置(アプライド マテリアルズ社製、ALTA−3000)を用いたアライメント描画により、遮光領域として反射層12の一部を除去するためのレジストパターン51を形成した。
ここで、上述の工程により形成したアライメントマークに、レーザ描画装置の波長532nmのアライメント光を照射して反射信号を検出するアライメントマーク検出においては、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができた。
次に、上記レジストパターン51から露出する低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、次いで、吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングし、続いて、バッファ層14を形成するCrN膜をCl2と酸素との混合ガスでドライエッチングし、さらに、キャッピング層13および反射層12をCF4ガスでドライエッチングして、基板11の表面を露出させ、その後、上述のレジストパターン51を除去した。
最後に、転写パターンから露出するバッファ層14のCrN膜をCl2と酸素との混合ガスでドライエッチングしてキャッピング層13を露出させ、遮光領域として所望の位置の反射層が除去された反射型マスク1を得た。
(実施例4)
基板11として、光学研磨された大きさ6インチ角(厚さ0.25インチ)の合成石英基板を用い、その一方の主面(表面)上に、イオンビームスパッタ法により、Siターゲットを用いてSi膜を4.2nm成膜し、続いてMoターゲットを用いてMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として40周期積層してMoとSiの多層膜よりなる反射層12を形成した後、最表面のMo膜の上にRu膜を2.5nm成膜してキャッピング層13を形成した。
次に、上記のRu膜上に、ハーフトーン型の吸収層15として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気下で、TaN膜を50nmの厚さで形成し、次いで、上記のTaN膜上に、低反射層16として、DCマグネトロンスパッタ法により、Taターゲットを用いて、Arと酸素の混合ガス雰囲気下で、TaO膜を15nmの厚さで形成した。
次に、上記の低反射層16を形成するTaO膜の上に、電子線レジストを塗布し、電子線描画装置を用いて、転写パターンとアライメントマークを形成するためのレジストパターン50を形成した。ここで、アライメントマークを形成するためのレジストパターンは、100nmのライン幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンとした。
次いで、前記レジストパターン50の開口から露出する低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、さらに吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングして、キャッピング層13を形成するRu膜を露出させ、その後、レジストパターン50を除去した。
次に、低反射層16を形成するTaO膜の上から、i線レジスト(東京応化工業製、THMR−iP3500)を全面に塗布し、レーザ描画装置(アプライド マテリアルズ社製、ALTA−3000)を用いたアライメント描画により、遮光領域として反射層12の一部を除去するためのレジストパターン51を形成した。
ここで、上述の工程により形成したアライメントマークに、レーザ描画装置の波長532nmのアライメント光を照射して反射信号を検出するアライメントマーク検出においては、十分なコントラストを有する反射信号を得ることができた。
次に、上記レジストパターン51から露出する低反射層16を形成するTaO膜をCF4ガスでドライエッチングし、次いで、吸収層15を形成するTaN膜をCl2ガスでドライエッチングし、続いて、キャッピング層13を形成するRu膜および反射層12をCF4ガスでドライエッチングして、基板11の表面を露出させ、その後、上述のレジストパターン51を除去し、遮光領域として所望の位置の反射層が除去された反射型マスク1を得た。
1 反射型マスク
11 基板
12 反射層
13 キャッピング層
14 バッファ層
15、17 吸収層
16 低反射層
20 転写パターン領域
21 遮光領域
50、51 レジストパターン
100 反射型マスク
111 基板
112 反射層
113 キャッピング層
114 バッファ層
115、117 吸収層
116 低反射層
120 転写パターン領域
121 遮光領域
131A、131B EUV光
132A、132B 反射光
120 ブレード
140 ウェハ
141 パターン
142 露光フィールド
143 境界部
160 フォトマスク
161 基板
162 遮光層
163 低反射層
171 アライメント光
M1、M2、M101、M102 アライメントマーク領域

Claims (3)

  1. 基板と、前記基板の主面上に形成され、EUV光を反射して第1の反射光を放射する反射層と、前記反射層の上に形成され、前記EUV光の一部を前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として放射する吸収体パターンと、
    前記吸収体パターンによって形成された転写パターン領域の周囲に、前記EUV光の反射光の放射を低減するための遮光領域と、
    前記遮光領域を形成するためのアライメント描画に用いられるアライメントマークを、少なくとも備えたEUV露光用の反射型マスクであって、
    前記遮光領域の前記反射層は除去されており、
    前記遮光領域の外側に前記アライメントマークが形成されており、
    前記アライメントマークが、
    前記アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体から構成されていることを特徴とする反射型マスク。
  2. 基板と、前記基板の主面上に形成され、EUV光を反射して第1の反射光を放射する反射層と、前記反射層の上に形成され、前記EUV光の一部を前記第1の反射光とは位相が反転した第2の反射光として放射する吸収体パターンと、前記吸収体パターンによって形成された転写パターン領域の周囲に、前記EUV光の反射光の放射を低減するための遮光領域と、前記遮光領域を形成するためのアライメント描画に用いられるアライメントマークとを、少なくとも備えたEUV露光用の反射型マスクの製造方法であって、
    前記アライメントマークを、前記アライメント描画におけるアライメント光の波長の1/6〜1/4の長さの幅を有する1:1のライン・アンド・スペース・パターンまたは市松模様の凹凸構造体で構成して、前記遮光領域を形成する位置の外側に形成し、
    前記アライメント光を、前記アライメントマークに照射して、前記アライメントマークからの反射信号を検出することにより、前記転写パターン領域の位置情報を取得し、
    前記位置情報に基づいてアライメント描画することにより、所望の位置の前記反射層を除去するためのレジストパターンを形成し、
    前記レジストパターンから露出する前記反射層をエッチングして、前記遮光領域を形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  3. 前記アライメント光が、500nm〜600nmの波長を有するレーザ光であることを特徴とする請求項2に記載の反射型マスクの製造方法。
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