JP5419383B2 - 垂直曲げ型の連続鋳造機 - Google Patents

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本発明は、例えば、厚みが280mm〜350mmとなる鋳片を、鋳造速度が0.7〜1.1m/minで且つ比水量が0.15〜0.40l/kg・steelで鋳造する垂直曲げ型の連続鋳造機に関する。
従来より、連続鋳造機では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給し、この鋳型の下方に配置されたサポートロールで鋳造した鋳片を支持しながら引き抜くことによって、鋳片を連続的に鋳造している(特許文献1〜特許文献4)。
特開2001−232451号公報 特開平04−238660号公報 特開平09−103856号公報 特開平06−134558号公報
さて、近年の地球温暖化対策の1つとして、自動車メーカを中心として鋼材の軽量化/高強度化ニーズが高まってきている。このことから、鋼材の製造については高強度化に耐えうる鋼材品質の向上が求められている。高強度化に伴い従来にも増して鋼材の表面欠陥や内部割れのない高強度鋼材が必要となってきている。
特許文献1〜特許文献4に示すような連続鋳造機では、従来通り、鋼材(鋳片)の表面欠陥や内部割れがない鋼材を鋳造することができるものの、近年求められてきている高強度鋼材を製造(鋳造)するためには、このような従来の連続鋳造機に付帯設備(例えば、加熱装置など)を設けたり、複雑な制御(例えば、鋳造速度に応じて冷却水を可変とする制御)を行う必要があり、高強度鋼材を鋳造することは困難であることが実情である。
そこで、本発明では、表面欠陥や内部割れがない鋼材(鋳片)を簡単に製造することができる垂直曲げ型の連続鋳造機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、化学成分が、C:0.05〜0.55質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:0.30〜1.90質量%、P:0.005〜0.070質量%、S:0.003〜0.120質量%で、且つ、厚みが280mm〜350mmとなる鋳片を、鋳造速度が0.7〜1.1m/minで且つ比水量が0.15〜0.40l/kg・steelで鋳造する垂直曲げ型の連続鋳造機であって、当該連続鋳造機のプロフィールが式(1)〜式(5)を満たすように設定されている点にある。
Figure 0005419383
発明者は、表面欠陥や内部割れがない鋳片を簡単に製造するための連続鋳造機について、様々な角度から検証した。まず、発明者は、鋳造する鋳片の成分及び厚みを予め設定した上で当該鋳片の表面割れや内部割れを防止するための、連続鋳造機のプロフィール及鋳造条件について検証を行った。
その結果、鋳造する対象の鋳片の化学成分を、C:0.05〜0.55質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:0.30〜1.90質量%、P:0.005〜0.070質量%、S:0.003〜0.120質量%とし、鋳片の厚みを280mm〜350mmとし、当該鋳片を製造する上での鋳造条件を、0.7〜1.1m/minの鋳造速度で、0.15〜0.40l/kg・steelの比水量とした上で、垂直長さが式(1)を満たし、曲げ長さが式(2)を満たし、二次冷却長さが式(3)を満たし、垂直部分から円弧部分までの長さが式(4)を満たし、垂直部分から矯正部分までの長さが式(5)を満たすようにすることによって、表面欠陥や内部割れがない鋳片を簡単に製造することができる垂直曲げ型の連続鋳造機を見出した。
本発明によれば、表面欠陥や内部割れがない鋼材(鋳片)を確実に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、厚みが280mm〜350mmとなる鋳片(例えば、ブルーム)を鋳造する連続鋳造機の全体側面図を示したものである。
この連続鋳造機1は、垂直曲げ型の連続鋳造機であって、溶鋼2を一時的に貯留するタンディッシュ3と、このタンディッシュ3からの溶鋼2が供給される矩形状の鋳型4と、この鋳型4により成型された鋳片5を引き出すと共に、鋳片5をサポートする複数のサポートロール6と、鋳片5を冷却する冷却手段(例えば、冷却ノズル)7を有している。
タンディッシュ3は、全体として有底箱形となっており、タンディッシュ3の底部に浸漬ノズル8が設けられている。浸漬ノズル8は、スライドバルブにより開閉可能となっており、スライドバルブの開閉により鋳型4への溶鋼2の注入が停止又は再開する構成となっている。
サポートロール6は、鋳型5の下方から順に下流側へ配置されている。ここで、連続鋳造機1のプロフィール(ロールプロフィール)を見ると、当該連続鋳造機1は、サポートロール6を鋳型4から下流側に向けて垂直方向に並べることにより当該サポートロール6と鋳型4とにより構成された垂直部10と、サポートロール6を垂直部10の終端(下流側の端部)から続いて徐々に内側に曲げながら並べることにより構成した曲げ部11と、サポートロール6を曲げ部11の終端から続いて内側に円弧状(軌跡が円弧状)に並べることにより構成した円弧部12と、サポートロール6を円弧部12の終端から続いて水平に並べることにより構成された矯正部13とを備えたものとなっている。
以下、本発明の垂直曲げ型の連続鋳造機について、詳しく説明する。
この連続鋳造機1では、化学成分が、C:0.05〜0.55質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:0.30〜1.90質量%、P:0.005〜0.070質量%、S:0.003〜0.120質量%となる鋳片5を鋳造するためのもので、当該連続鋳造機1は、これらの化学成分の鋳片5の特性を考慮した上での構成となっている。
この連続鋳造機1においては、式(1)〜式(5)を満たすように形成されている。即ち、連続鋳造機1のプロフィールは、式(1)〜式(5)を満たすものとなっている。なお、この連続鋳造機1は、鋳片4の内部歪みの低減と高速鋳造の観点から円弧部12の半径、即ち、円弧半径(定円弧半径)Rは10m以上である。
Figure 0005419383
[垂直部の長さについて]
式(1)に示す垂直長さVLは、垂直部10の垂直長さであって、言い換えれば、鋳型4の上端から鋳片5を垂直に支持する最下流サポートロール6aまでの長さである。
図2は、連続鋳造機1における鋳片5が垂直となっている長さと、鋳片5内部残存介在物との関係を示したもので、日本鉄鋼協会ISIJ international、vol34(1994),No6に開示されたものである。図2のFkは、垂直曲げ連続鋳造機(垂直曲げ型の連続鋳造機)における介在物の補足率から曲げ連続鋳造機(曲げ型の連続鋳造機)の介在物の補足率を割った値で、この値が小さいほど、垂直曲げ型の連続鋳造機による介在物の浮上分離が効果的であることを示している。
図2に示すように、垂直曲げ型の連続鋳造機においては、垂直部10の長さVLを2.5m以上に長くすることによって、溶鋼(比重=7g/cm3)よりも軽いアルミナ系等の介在物(比重=3〜4g/cm3)を垂直部10内で十分に浮上させることができ、垂直曲げ型の連続鋳造機の垂直部における介在物の浮上の効果を十分に発揮することができる。
[曲げ部の長さについて]
式(2)に示す曲げ長さBLは曲げ部11の長さであって、言い換えれば、曲げ部11の開始のサポートロール6aから曲げ部11の終了のサポートロール6bまでの長さである。
図3に示すように、鋳片5を曲げる曲げ部11においては、溶鋼の大きな静圧が掛かりサポートロール6の負荷が大であると共に、鋳片5を曲げるために当該サポートロール6に高い剛性が要求されるため、当該サポートロール6のロール径は200mm以上である。
また、鋳型4の下端の垂直部10及び曲げ部11においては、大きな曲げ歪みが鋳片5に加わることから、バルジング歪みを小さくするために、当該垂直部10及び曲げ部11のサポートロール6間には冷却ノズル7が配置されている。
この冷却ノズル7は、サポートロール6の間で当該サポートロール6に接触しない位置に配備されていて、例えば、サポートロール6の上下の中心線Cよりも、その先端部7aがやや径外方向に位置すると共に、鋳片5に対する冷却水の噴霧状態も考慮して可及的に鋳片5に近い位置に配置されている。冷却ノズル7の先端部7aとサポートロール6との隙間D(片側のノズル隙間D1)は、少なくとも10mm以上としている。
表1は、曲げ長さBL(曲げ部11の長さ)を3.0mに設定して、鋳造を行った際の冷却ノズル7の噴霧状況及び鋳片5の表面欠陥の状況をまとめたものである。
Figure 0005419383
表1に示すように、サポートロール6のロール径は0.20mとし、曲げ点数(曲げ部11のサポートロール数)を12とし、サポートロール6のロールピッチを0.25mに設定した。また、実験においては、冷却ノズル7の先端部7aの径(大きさ)を変化させて長期間(1週間〜6ヶ月)に亘って鋳造を行った。
なお、表1のノズル隙間のギャップの欄は、冷却ノズル7の先端部7aから上下サポートロール6の隙間D1の合計(単位:mm)を示したもので、ノズル隙間の片側の欄は、冷却ノズル7の先端部7aから一方(上又は下)のサポートロール6の隙間D1の値(単位:mm)を示したものである。
表1のノズル噴霧状況の評価では、冷却ノズル7を設定通りに設置してから、1週間後(1W後)、2週間後(2W後)、4週間後(4W後)、6ヶ月後に冷却水の噴霧状況を確認した。そして、当該評価では、噴霧に異常が無く冷却水が鋳片5に規定通りにかかっている状態(初期設置状態と変わっておらず同じと見なせるもの)を良好「○」、冷却ノズル7の先端部7aにスケール等が体積してノズルが変形しているものやスケールの堆積によって冷却ノズル7の一部がサポートロール6のロールに接触しているものを不良「△」、冷却ノズル7が挫屈していたり鋳片5に冷却水があたらない状態を最不良「×」とした。
また、表1の表面欠陥評価では、ノズル噴霧状況と同様に、1W後、2W後、4W後、6ヶ月後において、鋳片5のサンプルを採取して、そのサンプルに対しての磁粉探傷試験(JIS G0565)を行った。当該試験の規定により、鋳片5の表面に欠陥が無いとみなされるものを良好「○」、欠陥であると認められるものを不良「×」とした。鋳片5を鋳造後、分塊圧延(加熱→圧延→ホットスカーフ→圧延)を行い、さらに鋼片の冷却や表面スケールの除去を行った後に、磁粉探傷試験を行った。
表1に示すように、実験番号1〜実験番号3に示すように、式(2)を満たすように、曲げ長さBLを設定すると、1W後、2W後、4W後及び6ヶ月後のいずれの経過後でも、ノズル噴霧状況は良好であると共に、表面欠陥の評価も良好という結果となった。
一方で、実験番号4〜実験番号7に示すように、式(2)を満たさないように、曲げ長さBLを設定してしまうと、1W後、2W後、4W後及び6ヶ月後のいずれかの経過後に、ノズル噴霧状況が不良となると共に、表面欠陥の評価も不良と判定された。
即ち、表1及び図4に示すように、冷却ノズル7とサポートロール6との間の隙間Dが少なく(ノズル隙間D1が10mm以下)、曲げ長さBLが式(2)を満たさない場合、長期間に亘って鋳造すると冷却ノズル7の先端部7aに堆積したスケールがサポートロール6に接触する。その結果、冷却ノズル7の曲がりや変形等が発生して、この影響によって冷却水が鋳片5に均一に噴霧されず、ノズル噴霧状況の不良や表面欠陥を発生させてしまう。特に、表1に示すように、曲げ長さBLが式(2)の値に非常に近似する場合において、鋳造開始から2W後程度では、各評価において良好という結果もあるが、曲げ長さBLが式(2)の値よりも大きく外れてしまうと、鋳造開始から1W後でも各評価は即座に不良となる結果となった。
このように、垂直曲げ型の連続鋳造機においては、曲げ長さBLを式(2)を満たすようにすることによって、長期間に亘って鋳造を行っても冷却ノズル7による噴霧に異常なく良好に維持することができ、鋳造後の鋳片5に表面欠陥が発生することもなく良好に維持することができた。
[二次冷却長さの最小値について]
式(3)に示す二次冷却長さWLは、鋳型4の下方から鋳造方向に向けて配置された冷却ノズル7の範囲で示されるもので、式(3)の左辺は、二次冷却長さWL(冷却ノズル7の設置範囲)の最小値を示している。式(3)の左辺は、冷却ノズル7の設置範囲が垂直部10の長さVLと曲げ部11の長さBLとを加算した長さに鋳型4の長さMLを減算した値以上であることを示している。言い換えれば、式(3)の左辺は、冷却ノズル7が鋳型4の下方から垂直部10を経て曲げ部11内に配置されることを示している。なお、式(3)の左辺においては、鋳型4の長さMLは垂直部10の長さVLよりも短いことが前提となっている(ML<VL)。また、二次冷却長さの説明にあたっては、冷却条件を所定範囲にすべく、比水量(冷却水の水量)を0.15〜0.40l/kg・steelの範囲とすることを前提としている。
図5は、鋳造速度Vc=1.1m/minとして相対的に冷却水量が少ない状態とすると共に、内部割れが発生しやすい鋼種(S55C)について鋳造を行った場合での各種歪みの変化を示している。詳しくは、図5(a)は、曲げ部11で二次冷却を行った場合の各種歪みの変化を示しており、図5(b)は、曲げ部11で二次冷却を行わなかった場合の各種歪みの変化を示している。図5に示すバルジング歪み、曲げ歪み、矯正歪み、凝固界面全歪みは、式(6)により求めた。式(6)の定数Aについては実験により歪み測定を行い算出した。この式(6)は、一般的なもので、R&D 神戸製鋼技報 vol.56 No3(Dec.2006) P12に記載されているものである。
Figure 0005419383
図5(a)及び図5(b)に示すように、メニスカス距離(m)を見ると5.0m前後が曲げ部11に対応しており、曲げ部11でのサポートロール6により曲げ歪みが発生している。図5(a)と図5(b)とを比較すると、曲げ部11にて二次冷却を行わなかった場合、二次冷却を行った場合と比べてバルジング歪みや凝固界面歪みが約0.05%程度増加しており、鋳片5の内部割れが発生し易いことが分かる。
表2は、冷却ノズル7の放水を部分的に停止することで二次冷却長さWLを変化させて、鋳造を行った際の内部割れをまとめたものである。鋳造条件は、図5と同じように、鋳造速度Vc=1.1m/minとし、内部割れが発生しやすい鋼種(S55C)を鋳造した。
Figure 0005419383
表2の内部割れの評価においては、鋳造後の鋳片5を常温まで冷却後、横方向及び縦方向に切断し、それぞれのサンプルについて酸洗い実施した後、内部割れについて目視確認を行った。割れの長さが2.0mm以上あるものを、内部割れとした。図6(a)はサンプルを横方向(幅方向)に切断した横断マクロを示しており、図6(b)は、サンプルを縦方向(長手方向)に切断した縦断マクロを示している。
表2の実験番号8〜実験番号9では、二次冷却長さWLが式(3)の左辺の値を満たしているため、内部割れは発生することがなく良好であった(表2、内部割れ評価「○」)。
一方で、表2の実験番号10〜実験番号12では、二次冷却長さWLが式(3)の左辺の値を満たさないため、図6(a)に示すように、鋳片5のコーナ部17の付近に膨らみ(バルジング)による内部割れが発生すると共に、図6(b)に示すように、鋳片5の内側(鋳片5の曲げ内側)にサポートロール6の押し込みによる内部割れが発生した(表2、内部割れ評価「×」)。
[二次冷却長さの最大値について]
式(3)の右辺は、二次冷却長さWL(冷却ノズル7の設置範囲)の最大値を示している。式(3)の右辺は、冷却ノズル7の設置範囲が垂直部10の長さVLと曲げ部11の長さBLと円弧部12の長さCLとを加算した長さに、鋳型4の長さMLと冷却終了後から矯正部13に入るまでの復熱領域(復熱に要する距離)RLを減算したものであることを示している。言い換えれば、式(3)の右辺は、冷却ノズル7が鋳型4の下方から垂直部10から曲げ部11を経て円弧部12内に配置されていると共に、円弧部12内の領域では鋳片5の復熱を考慮して円弧部12の終端の手前で当該冷却ノズル7の配置が完了していることを示している。
図7は、表面割れが発生しやすい鋼種(SCM420)について、絞り値と表面温度の関係を示している。図7に示すように、SCM420の鋼種では、表面温度の低下と共に絞り値(変形能力)が低下する傾向があり、特にA3〜A1変態点間においては絞り値は最小となる。割れやすいSCM420では、絞り値が40%を下回る780℃〜830℃では脆化領域となって、最も表面割れが発生し易い状態となる。このことは、例えば、鉄鋼協会(1982年)、第104回討論会講演概要−A165にも開示されている。
このように、SCM420の表面温度が780℃〜830℃となった状態で、矯正部13にて鋳片5を曲げ状態から水平状態に矯正すると、実際に表面割れを引き起こすため、鋳片5が矯正部13に位置したときは表面温度が830℃以上とする必要がある。
図8は、鋳造速度Vc=0.7m/minとして、鋳片5に対する冷却水量が多い状態(冷却水が掛かり易い状態)でSCM420の鋳造を行った際の表面温度の変化を示している。
図8に示すように、矯正部13内に冷却ノズル7を配置(最下流冷却ノズル7をP1地点に配置)した場合、点線に示すように、矯正部13内にて鋳片5の表面温度が830℃以下となり、表面割れが発生する。一方で、最下流冷却ノズル7を矯正部13から1.0m以上手前にした場合(最下流冷却ノズル7をP2地点に配置)、実線に示すように、冷却を完了した時点では、鋳片5の表面温度は830℃であるが、矯正部13に入るまでに鋳片5の表面温度は復熱により830℃以上となる。
したがって、最下流冷却ノズル7は、鋳片5の復熱にかかる距離を考慮して、矯正部13よりも復熱距離RLの分だけ手前に配置する必要があり、二次冷却長さで言えば、その最大値を式(3)の右辺の値よりも小さくする必要がある。
表3は、冷却ノズル7の放水を部分的に停止することで二次冷却長さWLを変化させて、鋳造を行った際の内部割れをまとめたものである。鋳造条件は、図8と同じように、鋳造速度Vc=0.7m/minとし、表面割れが発生しやすい鋼種(SCM420)を鋳造した。
Figure 0005419383
表3の実験番号13〜実験番号14では、二次冷却長さWLが式(3)の右辺の値を満たしているため、表面割れは発生することがなく良好であった(表3、表面欠陥評価「○」)。一方で、表3の実験番号15〜実験番号16では、二次冷却長さWLが式(3)の右辺の値を満たさないため、表面割れが発生した(表3、表面欠陥評価「×」)。
[垂直部から円弧部までの長さ、垂直部から矯正部までの長さについて]
式(4)は垂直部10から円弧部12までの長さであって、垂直部10と曲げ部11と円弧部12の合計の長さを示したものである。
図9は、厚みが280mm、300mm、350mmとなる3種類の鋳片5(SCM420)を遅い鋳造速度Vc=0.7m/minで鋳造した場合の鋳片5の表面温度の変化を示したものである。
図9に示すように、鋳片5の厚みが異なったとしても、いずれの場合でも、9.0m以上で矯正を開始すると、鋳片5の表面温度が830℃以上で矯正することができ、鋳片5の表面割れを防止することができる。即ち、式(4)に満たすように、垂直部10と曲げ部11と円弧部12の合計の長さが9.0m以上であれば、矯正部13において表面割れがなく鋳片5を矯正することができる。一方で、矯正部13で矯正を行ったとしても21.0m以内で矯正を終了しないと、鋳片5の表面温度が830℃未満となってしまう。そこで、式(5)に満たすように、垂直部10と曲げ部11と円弧部12と矯正部13との合計の長さが21.0m以下であれば、表面割れがなく鋳片5を矯正することができる。
図10は、鋳造速度Vcを変化させたときの鋳片5の表面温度変化を示したものである。図10に示すように、鋳造速度Vcが1.0m/min、1.1m/minであって、0.7m/minよりも大きいときは、鋳片5の表面温度が830℃以下になることはなく、脆化領域に入ることはなかった。
表4は、式(1)〜式(5)を満たす本発明の連続鋳造機1において、鋳造速度を変化させて複数の鋼種の鋳造を行った結果をまとめたものである。
Figure 0005419383
この連続鋳造機1では、ML=0.9m、VL=3.0m、BL=3.3m、WL=6.5m、CL=11.6m、円弧半径R=10mとし、鋼片UTでの評価、棒鋼UTでの評価、鋼片自動MTでの評価、棒鋼ROTOでの評価、棒鋼マクロ試験での評価を行った。各種評価試験は、表5に示す条件で行った。
Figure 0005419383
表4に示すように、鋳造速度Vcが0.7m/min〜1.1m/minの範囲であれば、いずれの鋼種においても、介在物もなく、表面欠陥や内部割れも欠陥が確認されなかった(表4、評価欄「○」)。
実験番号28、34及び40では、鋳造速度Vc=1.2m/minとすると、S45C、S45CS1及びS55Sの鋼種では内部割れの欠陥が確認された(表4、評価欄「×」)。また、実験番号41では、鋳造速度Vc=0.6m/minとすると、SCM420の鋼種において、表面割れの欠陥が確認された(表4、評価欄「×」)。
本発明は上記の実施の形態に限定されない。
連続鋳造機の全体側面図である。 連続鋳造機における鋳片が垂直となっている長さと、鋳片内部残存介在物との関係図である。 サポートロール及び冷却ノズルの配置図である。 サポートロールに冷却ノズルが接触している図である。 バルジング歪み、曲げ歪み、矯正歪み、凝固界面全歪みを示したもので、(a)は、曲げ部で二次冷却を行った場合、(b)は、曲げ部で二次冷却を行わなかった場合を示した図である。 (a)は、サンプルを横方向(幅方向)に切断した横断マクロ図であり、(b)は、サンプルを縦方向(長手方向)に切断した縦断マクロ図である。 鋼種(SCM420)について、絞り値と表面温度の関係図である。 鋳造速度Vc=0.7m/min状態でSCM420の鋳造を行った際の表面温度の変化図である。 3種類の鋳片(SCM420)を鋳造速度Vc=0.7m/minで鋳造した際の表面温度の変化図である。 鋳造速度Vcを変化させたときの鋳片の表面温度の変化図である。
符号の説明
1 垂直曲げ型の連続鋳造機
5 鋳型
6 サポートロール
10 垂直部
11 曲げ部
12 円弧部
13 矯正部

Claims (1)

  1. 化学成分が、C:0.05〜0.55質量%、Si:0.10〜2.00質量%、Mn:0.30〜1.90質量%、P:0.005〜0.070質量%、S:0.003〜0.120質量%で、且つ、厚みが280mm〜350mmとなる鋳片を、鋳造速度が0.7〜1.1m/minで且つ比水量が0.15〜0.40l/kg・steelで鋳造する垂直曲げ型の連続鋳造機であって、
    当該連続鋳造機のプロフィールが式(1)〜式(5)を満たすように設定されていることを特徴とする垂直曲げ型の連続鋳造機。
    Figure 0005419383
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