JP5769645B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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特許文献1は、鋳型内に供給するパウダーの消費量Pwを0.2kg/m2以上0.6kg/m2以下とし、二次冷却帯のうち、鋳型の直下から、鋳造方向に1.2mまでの冷却範囲で、冷却用ノズルから鋳片に吹き付けられる冷却水の水量密度Wを300リットル/m2/分以上700リットル/m2/分以下としている。
本発明に係る連続鋳造方法は、C含有量が0.10〜0.14質量%のスラブを、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機によって鋳造する連続鋳造方法において、鋳型の直下でスラブの
広面を冷却するに際して、前記スラブの広面に対する水量密度を3.5〜7.9(m3/h/m2)とし、前記鋳型とロールとの位置関係を規定する鋳型アライメントを、式(1)及び式(2)を満たすように設定することを特徴とする。
なお、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機における曲げ部の円弧の中心Oに近い側を反基準側とし、反基準側とは対面する側を基準側とした上で、式(1)においては、鋳型を側面から見たとき、基準側における当該鋳型の稼働面の下端から第1垂直ラインL1を垂直に引き、この第1垂直ラインL1よりも反基準側をマイナス側、第1垂直ラインL1よりも基準側をプラス側とし、また、式(2)においては、鋳型を側面から見たとき、反基準側における当該鋳型の稼働面の下端から第2垂直ラインL2を垂直に引き、この第2垂直ラインL2よりも反基準側をプラス側、第2垂直ラインL2よりも基準側をマイナス側とする。
図1は、本発明の連続鋳造方法を行う連続鋳造機を示したものである。
この連続鋳造装置は、スラブを鋳造する垂直曲げ型スラブ連続鋳造機であり、C含有量が0.10〜0.14質量%のスラブを鋳造するものである。C含有量が0.10〜0.14質量%の範囲となる鋼(炭素鋼ということがある)は、「H.Mizukami et.al.:"High temperature deformation behavior of peritectic carbon steel during solidification", ISIJ-Int. Vol.42 (2002) pp.964-973」に示されているように、凝固時に収縮が大きいために不均一に凝固し易く、縦割れが発生し易い。
なお、連続鋳造機として、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の他に、湾曲型鋳造機、ブルームやブレットを鋳造する連続鋳造機があるが、本発明では、これらの連続鋳造機は対象としていない。例えば、湾曲型連鋳機は、鋳片に曲げが生じないので垂直曲げ型スラブ連続鋳造機と同じようなメカニズムでの縦割れは生じず、ブルームやビレットは、スラブに比べて鋳片の幅が狭く鋳片の直下における冷却により発生する鋳片の幅方向の引張応力は小さいため、このような原因で縦割れは発生し難い。
図1に示すように、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1は、鋳造する溶鋼2が装入された取鍋3と、この取鍋3からの溶鋼2を一時的に貯留するタンディッシュ4と、このタンディッシュ4から供給される溶鋼2を成形する鋳型5とを備えている。また、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1は、鋳型直下に設置されて鋳造するスラブ6(単に鋳片6と呼ぶこともある)を支持するロール(フットロール7)と、このフットロール7から続いて配置されてスラブ6を支持するロール(サポートロール8)とを備えている。垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1では、鋳型5の下端から順にフットロール7やサポートロール8の並びを見ると
、鋳型5の下端から順に垂直に並ぶ部分が垂直部10とされ、徐々に水平に移行しながら並ぶ部分が曲げ部11とされている。この実施形態における垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1の垂直部10の長さは、鋳型5の下端から2.0mである。
このような垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1では、タンディッシュ4に貯留した溶鋼2を鋳型5に供給して、鋳型5にて一次冷却を行うと共に、フットロール7及びサポートロール8にて鋳片6を引き抜きながら、冷却ノズルで広面及び狭面を二次冷却することによって鋳片6を鋳造する。なお、鋳片6を鋳造する際に、鋳型5にモールドパウダーを供給することとしているが、モールドパウダーは、1300℃での粘度が0.03〜0.20[Pa・s]、凝固温度が1040〜1250℃となる一般的なものを使用する。また、モールドパウダーの消費量は0.2〜0.7kg/m2としている。
鋳型直下における鋳片6は、その表面温度が比較的高い状態にある。鋳片6の広面側の水量密度が3.5m3/h/m2未満であると、鋳型5から出た部分の鋳片6の表面温度が高すぎ、脆化温度域であるとブレークアウトが発生する虞がある。一方、鋳片6の広面側の水量密度が7.9m3/h/m2よりも大きいと、鋳片6の広面側の表面が冷却されて表面温度が低くなるものの、冷却による鋳片表面の収縮が大きすぎ、この影響により、フットロール7やサポートロール8と鋳片6との接触する部分で鋳片6の幅方向に引っ張り応力が発生して、縦割れが発生する虞がある。
図2は、鋳片の縦割れのメカニズムを示したものである。説明の便宜上、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1における円弧の中心Oに近い側を反基準側(内側)とし、反基準側とは対面する側を基準側(外側)と言い説明する。
図2(b)に示すように、このように鋳型直下の鋳片6に圧縮力が生じている状況下で、鋳型直下の鋳片6を支えるロールと鋳型5とが圧縮力を増加させる方向にずれしまう(例えば、鋳型5に対して基準側にサポートロール8がずれてしまう)と、さらに、鋳型直下の鋳片6に圧縮が加わり、鋳型直下の鋳片6に縦割れが発生する。
このようなことから、本発明では、鋳片6の曲げによって鋳片6の反基準側の中央側に生じる圧縮力が上流まで伝播する力と、上述した鋳型アライメントのズレから生じる力とを緩和することによって、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1でも、鋳片6に縦割れが生じないようにしている。具体的には、本発明では、鋳型5とロールとの位置関係(鋳型アライメント)を設定することによって、上述したような縦割れとなる力が発生しないようにしている。
本発明では、まず、鋳型アライメントを設定するに際して、図3に示すように、鋳型5を側面から見たとき、基準側(外側)の稼働面(鋳片6を支える側の面)の下端から垂直に引いた第1垂直ラインL1を基準とし、この第1垂直ラインL1よりも反基準側(内側
)をマイナス側(−側)、第1垂直ラインL1よりも基準側(外側)をプラス側(+側)とする。言い換えれば、鋳型5において基準側の稼働面(基準側の銅板の内壁)がサポートロール8よりも反基準側(内側)に出ている場合をプラス側とする。この実施形態では、図3に示すように、第1垂直ラインL1を基準(零点)としてプラスマイナスの数値で鋳型アライメントの大きさを表現しているが、鋳型アライメントの自体の大きさは、第1垂直ラインL1から離れるほど(絶対値が大きくなるほど)大きく、第1垂直ラインL1に近いほど(絶対値が小さくなるほど)小さいと言える。そのため、説明の便宜上、鋳型アライメントの大きさの説明(ズレ量の説明)では、絶対値の大きさを元に説明する。フットロール7の稼働面側と、鋳型5の稼働面とは同じ位置にある。
式(1)に示すように、鋳型5とロールとのズレ量aを、少なくとも−0.01mmとして、サポートロール8を鋳型5の稼働面よりも内側に位置させているため、鋳型直下の鋳片6には、上述したような圧縮力が緩和されることとなり、鋳片6の縦割れを防止することができる。なお、式(1)の右辺に示すように、基準側(外側)における鋳型5とサポートロール8とのズレ量aは、−0.01mmとしているが、これは、0mmを排除するための数値であり、実操業では「−0.01mm」単位で設定が行い易いため、この値を採用している。
鋳型5とロールとのズレ量[(a−b)/2]は、0.01mmとしているが、これは、0mmを排除するための数値であり、実操業では「0.01mm」単位で設定が行い易いため、この値を採用している。
鋼中の成分について、[C]は0.10〜0.14質量%、[Si]は0.26〜0.37質量%、[Mn]は1.21〜1.53質量%とした。鋳型5の上端から曲げ部11までの垂直長さは2.95mとし、このうち、鋳型5の垂直長さは0.9mとした。鋳型5は矩形状であって、鋳型5の下端における長辺の長さは2.1m、鋳型5の下端における短辺の長さは0.28mとした。鋳造速度は、1.0〜1.2m/minとし、鋳片6を冷却する冷却ノズル及びタンディッシュ4の底部に設けた浸漬ノズルは当業者常法通りの一般的なものを使用した。
は150〜230mm、ロールピッチは180〜260mmとした。鋳型5内に供給するモールドパウダーは、1300℃での粘度が0.03〜0.20[Pa・s]、凝固温度が1040〜1250℃となる一般的なものを使用した。また、モールドパウダーの消費量は0.2〜0.7kg/m2とした。モールドパウダーの組成は、CaOが41質量%、SiO2が31質量%、Al2O3が4質量%、Na2Oが9質量%、MgOが1質量%、Fが10質量%、T.Cが4質量%とした。タンディッシュ4内の溶鋼温度は、液相線からのΔTが20〜35℃とした。
一方、比較例では、鋳型アライメントにおける基準側のズレ量、反基準側のズレ量[(a−b)/2]、水量密度のいずれかが、本発明の規定する条件に入っていないため、縦割れの深さが1.5mmよりも大きくなると共に、内部割れが発生して、ブレークアウトも発生することがあった。
2 溶鋼
3 取鍋
4 タンディッシュ
5 鋳型
6 鋳片(スラブ)
7 フットロール
8 サポートロール
10 垂直部
11 曲げ部
Claims (1)
- C含有量が0.10〜0.14質量%のスラブを、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機によって鋳造する連続鋳造方法において、
鋳型の直下でスラブの広面を冷却するに際して、前記スラブの広面に対する水量密度を3.5〜7.9(m3/h/m2)とし、
前記鋳型とロールとの位置関係を規定する鋳型アライメントを、式(1)及び式(2)を満たすように設定することを特徴とする連続鋳造方法。
なお、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機における曲げ部の円弧の中心Oに近い側を反基準側とし、反基準側とは対面する側を基準側とした上で、式(1)においては、鋳型を側面から見たとき、基準側における当該鋳型の稼働面の下端から第1垂直ラインL1を垂直に引き、この第1垂直ラインL1よりも反基準側をマイナス側、第1垂直ラインL1よりも基準側をプラス側とし、また、式(2)においては、鋳型を側面から見たとき、反基準側における当該鋳型の稼働面の下端から第2垂直ラインL2を垂直に引き、この第2垂直ラインL2よりも反基準側をプラス側、第2垂直ラインL2よりも基準側をマイナス側とする。
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