JP5418831B2 - 位置調整式操舵装置 - Google Patents
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特許文献1には、チルト調整用のモータと、テレスコピック調整用のモータの2つのモータを用いる構成が開示されている。
また、本発明は、チルト調整機能およびテレスコピック調整機能を有する位置調整式操舵装置において、ステアリングシャフトを回転可能に支持し、チルト調整およびテレスコピック調整のときにステアリングホイールと同行移動する可動ジャケットと、上記可動ジャケットをチルト方向およびテレスコ方向に駆動させるための位置調整機構と、上記可動ジャケットを車体に固定された固定部材に対して解除可能にロックするチルト・テレスコロック機構と、を備え、上記位置調整機構は、第1の電動モータと、第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットに伝達する第1の伝達機構と、を含み、上記第1の伝達機構は、所定の操作方向に操作される操作部材と、操作部材の操作に伴って上記操作部材に固定される状態と上記操作部材との係合が解除される状態とが切り替わる被操作部材を含み、一方の状態のときには第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのチルト方向の駆動力として伝達可能であり、他方の状態のときには上記第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのテレスコ方向の駆動力として伝達可能であり、上記チルト・テレスコロック機構は、第2の電動モータと、第2の電動モータの出力によって上記可動ジャケットと上記固定部材とをロックする位置とこのロックを解除する位置とに変位可能なロック部材を含み、上記第2の電動モータの出力を上記操作部材に伝達し上記操作部材を上記所定の操作方向に移動させる第2の伝達機構と、上記ステアリングシャフトの回転を規制するための回転ロック機構(53)と、をさらに備え、上記回転ロック機構は、所定の第2の操作方向(B2)に変位可能とされ上記ステアリングシャフトに離脱可能に係合する回転ロック部材(87b)と、上記第2の電動モータの出力回転を回転ロック部材の上記第2の操作方向の駆動力に変換する第2の運動変換機構(89)と、を含むことを特徴とする(請求項3)。
図1は本発明の一実施の形態の位置調整式操舵装置の概略構成を示す模式図である。図2は、位置調整式操舵装置の概略側面図である。図1を参照して、位置調整式操舵装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2が連結された一端3aを有するステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3の他端3bに自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。
ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、操舵機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材9に固定されたハウジング10によって、車両の左右方向に沿う軸方向(紙面とは直交する方向)に移動可能に、支持されている。ラック軸8の各端部は、図示していないが、対応するタイロッドおよび対応するナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
ステアリングコラム15は、軸方向に相対移動可能に嵌め合わされた筒状のアッパージャケット16(可動ジャケットに相当)および筒状のロアージャケット17により構成されるコラムジャケット39と、ロアージャケット17の軸方向下端に連結されたハウジング18とを備えている。アッパージャケット16は、ステアリングシャフト3を回転可能に支持し、チルト調整およびテレスコピック調整のときにステアリングホイール2と同行移動する。
ステアリングコラム15は、車両後方側の固定部材としてのアッパー固定ブラケット23および車両前方側のロアー固定ブラケット24を介して車体側部材13,14(例えばクロスメンバー等)に固定されている。アッパー固定ブラケット23は、後述するアッパーコラムブラケット30(図3参照)を介してステアリングコラム15のアッパージャケット16(可動ジャケット)を固定可能とされている。
ステアリングコラム15のハウジング18には、ロアーコラムブラケット28が固定されている。そのロアーコラムブラケット28は、車体側部材14に固定されたロアー固定ブラケット24に、ピボット軸としてのチルト中心軸29を介してチルト中心軸29の回りに回転可能に支持されている。これにより、ステアリングコラム15の全体がチルト中心軸29の回りに回転可能とされている。
位置調整式操舵装置1は、アッパージャケット16(ステアリングホイール)をチルト方向Xおよび軸方向Yに駆動させるための位置調整機構31を備えている。
第1の伝達機構34は、第1の電動モータ33の出力をアッパージャケット16に伝達するものであり、ウォーム減速機構35と、第1の支軸36と、ラックアンドピニオン機構37と、第1のロック機構38と、を含んでいる。
第1の電動モータ33のモータハウジング33aは、第1のケーシング32に固定されている。第1の電動モータ33の出力軸33bは、ステアリングシャフト3の軸方向Yと平行に延びている。
各連結部45,45の上部45a,45aは、アッパージャケット16の底面に固定されており、このアッパージャケット16と同行移動可能である。各連結部45,45は、対応する上部45a,45aからチルト方向Xに沿って下方に延び、対応するピニオン43,43を軸方向Yに挟む一対の壁部45b,45cをそれぞれ有している。
他方の壁部45b,45cのうち、対応するピニオン43,43と対向する対向面は、ピニオン43と転がり接触可能な平坦面に形成されている。
操作歯車47は、被操作歯車48に対して上下方向に沿う所定の第1の操作方向B1に沿って変位可能である。操作歯車47が第1の操作方向B1に沿って下方に変位されることにより、操作歯車47が被操作歯車48に係合(噛合)し、これにより、被操作歯車48および第1の支軸36等の回転が規制される。
図5(A)は、図2のVA−VA線に沿う一部断面図である。図5(B)は、図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。図6は、アッパー固定ブラケット23の左側板23aの周辺の一部断面図であり、アッパー固定ブラケット23を平面視した状態を示している。
第2のケーシング54は、アッパー固定ブラケット23の左側板23aの外側面に沿わされており、第2の電動モータ55を収容している。第2のケーシング54は、第2のケーシング54の左端部を形成する左プレート62を含んでいる。第2のケーシング54内には、この第2のケーシング54に固定された内側プレート63が配置されている。内側プレート63は、第2のケーシング54の左プレート62と平行に並んでいる。内側プレート63には、ガイド部材64が固定されている。ガイド部材64は、アッパー固定ブラケット23の左側板23aに形成されチルト方向Xに沿って延びる縦長孔23eに挿通されており、アッパー固定ブラケット23に対するチルト方向Xの移動が案内されている。
第1および第2の歯車71,72は、ウォーム減速機構を構成している。第1の歯車71は、ウォーム軸からなり、第2の電動モータ55の出力軸55bに同行回転可能に連結されている。第2の歯車72は、第1の歯車71の上方に配置されこの第1の歯車71に噛み合うウォームホイールからなる。第3〜第7の歯車73〜77は、それぞれ、平歯車等の互いに平行な軸線を有する歯車である。第2〜第7の歯車72〜77の中心軸線は、それぞれ、左右方向RLと平行に延びている。
第4の歯車74は、第3の歯車73の後方に配置されており、第3の歯車73と協働して減速機構を形成している。第4の歯車74は、第3の支軸80に同行回転可能に連結されている。第3の支軸80の両端は、第2のケーシング54の左プレート62および内側プレート63に回転可能に支持されている。第3の支軸80には、第5の歯車75が同行回転可能に連結されている。第4の歯車74は、第6の歯車76に噛み合っている。
第1のカム部材81は、環状をなす板状に形成されて第4の支軸57に固定されており、この第4の支軸57とは第4の支軸57の軸線回りに同行回転可能である。第1のカム部材81の右側面には、第4の支軸57の周方向に沿って複数の凹部81aと凸部81bが交互に形成されている。
第1のカム部材81の凸部81bと第2のカム部材82の凸部82bが当接しているとき、第1のカム部材81の凹部81aの底面と第2のカム部材82の凹部82aの底面とは、左右方向RLに沿って相対的に広い距離で離隔している。このとき、第1のカム部材81は、ロック位置に位置している。
図6を参照して、位置調整式操舵装置1は、ステアリングシャフト3(ステアリングホイール)の回転を規制するための第3のロック機構53を備えている。第3のロック機構53は、車両の駐車中にステアリングシャフト3の回転を規制することにより、車両の盗難を抑制する。
ねじ軸86は、第2の伝達機構56の第2の支軸79の右端部から右方に突出しており、この第2の支軸79とは同行回転可能である。
図7は、図3のVII−VII線に沿う断面図である。図6および図7を参照して、第2の伝達機構56の第1の運動変換機構78は、第2の電動モータ55の出力回転を直線方向に沿う第1の操作方向B1の変位に変換するものである。第1の操作方向B1は、例えば、上下方向と平行である。この第1の運動変換機構78は、第5の支軸90と同行回転可能な回転カム91と、回転カム91に係合する第1の直動部材92と、第1の直動部材92に係合する第2の直動部材93と、第2の直動部材93に当接し操作歯車47を支持する第3のケーシング94と、を含んでいる。
アッパー固定ブラケット23の左側板には、第1のリブ95が固定されている。この第1のリブ95に、圧縮コイルばね等の第1の付勢部材96の一端が固定されている。第1の付勢部材96の他端は、第1の直動部材92に固定されている。第1の付勢部材96は、第1の直動部材92を支持し、且つこの第1の直動部材92を回転カム91側に付勢している。
第2の直動部材93は、第1の直動部材92の下方に配置されており、軸方向Yに細長い板状に形成されている。この第2の直動部材93は、第1の傾斜面92bと平行で且つこの第1の傾斜面92bに当接する第2の傾斜面93aを含んでいる。
支持プレート99は、第2の付勢部材100を介して、アッパー固定ブラケット23の左側板23aに固定されたプレート101に支持されている。第2の付勢部材100は、支持プレート99を介して第3のケーシング94を上方に付勢している。すなわち、第2の付勢部材100は、第1の操作方向B1のうち操作歯車47が被操作歯車48から離隔する方向に操作歯車47を付勢している。
図8(A)を参照して、(1)車両の駐車時には、第2の電動モータ55の駆動により、第3のロック機構53のねじ軸86を回転させ、スライダ87を右側に変位させておく。これにより、係合ピン87bをステアリングシャフト3のアッパーシャフト11の係合溝11aに係合させ、ステアリングシャフト3の回転を規制する。このとき、図8(B)に示すように、第2のロック機構52のカムユニット58の第1のカム部材81と、第2のカム部材82とは、互いの凸部81b,82b同士が当接している。
このとき、図8(C)に示すように、第1の運動変換機構78の回転カム91の山部91aは、第1の直動部材92に当接していない。
この状態で、模式図である図11(A)に示すように、第1の電動モータ33を駆動すると、ウォーム軸42およびウォームホイール41が回転し、ピニオン43がラック44に対して回転する。これにより、ラック44および連結部45は、図11(B)に示すように、チルト方向X(例えば、上方)に変位する。これに伴い、アッパーコラムブラケット30、アッパージャケット16、ステアリングシャフト3およびステアリングホイール2等がチルト方向Xに変位し、チルト調整が行われる。
また、図12(C)に示すように、第1の運動変換機構78の回転カム91の山部91aは、第2の電動モータ55によってさらに回転され、この山部91aが第1の直動部材92を後方に押圧する。これにより、第1の直動部材92は、第1の付勢部材96の付勢力に抗して後方に移動する。
これに伴い、アッパーコラムブラケット30、アッパージャケット16、アッパーシャフト11およびステアリングホイール2等が軸方向Yに変位し、テレスコピック調整が行われる。
以上の次第で、本実施の形態によれば、第2のロック機構52では、第2の電動モータ55の駆動によって第1のカム部材81を変位させ、アッパーコラムブラケット30(アッパージャケット16)とアッパー固定ブラケット23とをロックすることにより、アッパーコラムブラケット30およびアッパージャケット16(ステアリングホイール2)のチルト方向Xおよび軸方向Yのロックと、このロックの解除とを行うことができる。
さらに、第2の電動モータ55が出力回転される結果、スライダ87の係合ピン87bがステアリングシャフト3のアッパーシャフト11に係合され、ステアリングシャフト3の回転を規制し、車両盗難の被害を抑制することができる。
また、操作歯車47による被操作歯車48の固定とこの固定の解除とによって、チルト調整とテレスコピック調整とを切り替えることができるので、チルト調整とテレスコピック調整とをそれぞれ独立して行うことができる。
例えば、チルト調整のときに、第4の支軸57の回転に伴い、テレスコロック部材59とロアージャケット17との係合が解除されるようにしてもよい。この場合、ロアージャケット17の外周面とアッパージャケット16の内周面とが摩擦係合するようにしておけば、チルト調整のときにアッパージャケット16が軸方向Yに変位することを抑制できる。
さらに、第1の運動変換機構78は、カムを用いたものに限らず、ねじ機構など他の機構を用いた構成であってもよい。
また、操作歯車47が被操作歯車48を固定している固定状態のときに、第1の電動モータ33の駆動によってチルト調整されるようにするとともに、操作歯車47が被操作歯車48を固定していない非固定状態のときに、第1の電動モータ33の駆動によってテレスコピック調整されるような構成でもよい。
Claims (3)
- チルト調整機能およびテレスコピック調整機能を有する位置調整式操舵装置において、 ステアリングシャフトを回転可能に支持し、チルト調整およびテレスコピック調整のときにステアリングホイールと同行移動する可動ジャケットと、
上記可動ジャケットをチルト方向およびテレスコ方向に駆動させるための位置調整機構と、
上記可動ジャケットを車体に固定された固定部材に対して解除可能にロックするチルト・テレスコロック機構と、を備え、
上記位置調整機構は、第1の電動モータと、第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットに伝達する第1の伝達機構と、を含み、
上記第1の伝達機構は、所定の操作方向に操作される操作部材と、操作部材の操作に伴って上記操作部材に固定される状態と上記操作部材との係合が解除される状態とが切り替わる被操作部材を含み、一方の状態のときには第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのチルト方向の駆動力として伝達可能であり、他方の状態のときには上記第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのテレスコ方向の駆動力として伝達可能であり、
上記チルト・テレスコロック機構は、第2の電動モータと、第2の電動モータの出力によって上記可動ジャケットと上記固定部材とをロックする位置とこのロックを解除する位置とに変位可能なロック部材を含み、
上記第2の電動モータの出力を上記操作部材に伝達し上記操作部材を上記所定の操作方向に移動させる第2の伝達機構をさらに備え、
上記第1の伝達機構は、上記第1の電動モータによって駆動され上記ステアリングシャフトの軸方向と平行に延びるウォーム軸と、このウォーム軸に噛み合うウォームホイールと、上記ウォームホイールと同軸上に同行回転するピニオンと、上記可動ジャケットに同行移動可能に連結され、上記ピニオンに噛み合い上記チルト方向に延びるラックと、上記可動ジャケットとピニオンとを上記軸方向に同行移動可能に連結する連結部と、上記操作部材および被操作部材を有しウォームホイールの回転をロック可能なロック機構と、を含むことを特徴とする位置調整式操舵装置。 - 請求項1において、上記第2の伝達機構は、上記第2の電動モータの出力回転を直線方向に沿う上記所定の操作方向の変位に変換する運動変換機構を含むことを特徴とする位置調整式操舵装置。
- チルト調整機能およびテレスコピック調整機能を有する位置調整式操舵装置において、 ステアリングシャフトを回転可能に支持し、チルト調整およびテレスコピック調整のときにステアリングホイールと同行移動する可動ジャケットと、
上記可動ジャケットをチルト方向およびテレスコ方向に駆動させるための位置調整機構と、
上記可動ジャケットを車体に固定された固定部材に対して解除可能にロックするチルト・テレスコロック機構と、を備え、
上記位置調整機構は、第1の電動モータと、第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットに伝達する第1の伝達機構と、を含み、
上記第1の伝達機構は、所定の操作方向に操作される操作部材と、操作部材の操作に伴って上記操作部材に固定される状態と上記操作部材との係合が解除される状態とが切り替わる被操作部材を含み、一方の状態のときには第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのチルト方向の駆動力として伝達可能であり、他方の状態のときには上記第1の電動モータの出力を上記可動ジャケットのテレスコ方向の駆動力として伝達可能であり、
上記チルト・テレスコロック機構は、第2の電動モータと、第2の電動モータの出力によって上記可動ジャケットと上記固定部材とをロックする位置とこのロックを解除する位置とに変位可能なロック部材を含み、
上記第2の電動モータの出力を上記操作部材に伝達し上記操作部材を上記所定の操作方向に移動させる第2の伝達機構と、
上記ステアリングシャフトの回転を規制するための回転ロック機構と、をさらに備え、 上記回転ロック機構は、所定の第2の操作方向に変位可能とされ上記ステアリングシャフトに離脱可能に係合する回転ロック部材と、上記第2の電動モータの出力回転を回転ロック部材の上記第2の操作方向の駆動力に変換する第2の運動変換機構と、を含むことを特徴とする位置調整式操舵装置。
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