JP4479233B2 - 車両の運転姿勢調整装置 - Google Patents
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踵を一旦フロアマット207面から浮かせた後にアクセルペダル202を操作していた。
このような問題点を解決するために、従来、図35に示すような車両の運転姿勢調整装置が既に発明されている(特許文献1参照)。
図35に示すこの従来装置は、シート300を前方上部と後方下部との間にスラント方向に位置調整すべく構成すると共に、ブレーキ用および/またはアクセル用のペダル301を略水平方向に前後位置調整し、ペダル301とシート300との間の位置関係を乗員の体格に応じて略一定に維持すべく構成したものである。
すなわち、人間の足首から下の部分(いわゆる足)は足関節を支点として上下動できるが、一定以上、上方には曲がらない。乗員がペダル301を操作する場合には、足関節を支点として足を上方に曲げた状態から、該足を下方に移動させてペダル301を操作することになるが、図35に示す従来装置にあっては、ペダル301の踏面の角度が一定であるため、乗員がペダル301を操作する時、ペダル301踏面の角度と、乗員の足関節を支点として足を上方に曲げた状態からペダル踏面を踏み込み操作する方向とが適合しなくなり、ペダルの操作性が悪い問題点があり、ペダルを操作する乗員の脚部角度とペダル操作方向の最適化を図ることが困難な問題点があった。
加えて、ステアリング303の位置が調整不可であるため、乗員の腕部角度の最適化を図ることも困難であった。
上記構成によれば、乗員の体格差に左右されることなく適切な運転姿勢を保った状態下において、上肢(つまり乗員の腕部)とステアリングホイールとの間の位置関係が適切となる。
上記構成によれば、ステアリングの位置のみならず、ステアリングの角度をも調整できるので、ステアリングホイールの操作性がより一層向上する。
上記構成によれば、フロアの位置調整に加えて、ペダルの操作位置が調整できるので、体格が小さい乗員であっても、さらに、良好に足がペダルに届き、運転姿勢がよくなる。また、運転姿勢がよくなるために、ペダル、ステアリングホイールの操作性が向上し、さらには、足がペダルに届くので、シートに適正に着座でき、この結果、サイドミラーに対する視線角が小さくてよく、メータ視界も向上する。
上記構成によれば、体格が小さい乗員の場合には、シートの着座面およびフロアの位置を高く調整し、ペダルの操作位置および操作角度を当該乗員に適合すべく調整することができ、体格が大きい乗員の場合には、シートの着座面およびフロアの位置を低く調整し、ペダルの操作位置および操作角度を当該乗員に適合すべく調整することができ、体格が標準の乗員の場合には、シートの着座面およびフロアの位置を中間位置に調整し、ペダルの操作位置および操作角度を当該乗員に適合すべく調整することができる。
図面は車両の運転姿勢調整装置を示すが、まず図1〜図4を参照して、その基本的構成の概要について説明する。
図1〜図4において、Lは体格が大きい乗員、Mは体格が標準(中位)の乗員、Sは体格が小さい乗員で、これら乗員L,M,Sはシートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを備えたシート4(運転席としてのドライバーズシート)に着座する。
上述のフロアパネル7は固定構造であるが、アクセルペダル9および後述するブレーキペダル51(図14参照)を操作する乗員L,M,Sの脚部(踵参照)が載置される部分には可動フロア10が設けられていて、フロアパネル7(固定フロア)と可動フロア10との二重フロア構造に形成されている。
そこで、このような安楽な姿勢を維持した状態のままで、人間の姿勢をアクセルペダル9の回動センタ8をほぼ支点として回動させてヒップポイントを設定すれば、乗員は常に安楽な姿勢となることに着目して、次のようにヒップポイントを設定するものである。
また、アクセルペダル9は図4に示すように、体格が大きい乗員Lに対応する位置h(点線参照)から体格が小さい乗員Sに対応する位置j(仮想線参照)に向けて、該アクセルペダル9の回動センタ8を中心として順次乗員に近づく方向へ移動し、アクセルペダル9の操作角度が調整できるように構成されている。
図5において、シート4(ドライバーズシート)と対応するフロアパネル7(固定構造のベースフロア)にはロアレール13およびアッパレール14を取付け、乗員の好みに応じてシート4の前後動が可能なシートスライド機構15を構成している。なお、アッパレール14は通常時にあってはロアレール13に位置固定されている。
上述のアッパレール14と、シートクッション1が固定されるシートフレーム16との間には、シート4の座面前後位置、シート4の座面上下位置、シート4の座面の角度を同時に調整するシート位置調整手段17を設けている。
すなわち、アッパレール14の前後両部に支持ブラケット18,19を取付け固定し、前側の支持ブラケット18とシートフレーム16の前部との間にリンク20をピン連結し、後側の支持ブラケット19とシートフレーム16の後部との間に別のリンク21をピン連結し、前側のリンク20の長さを、後側のリンク21の長さに対して長く設定している。
前後のリンク20,21の長さを異ならせたことにより、座面の角度と座面の高さとを上述の如く同時に調整することができる。
一方、図5に示すように、アクセルペダル9や後述するブレーキペダル51(図14参照)を操作する乗員の脚部(踵参照)が載置されるところの可動フロア10の上下位置および可動フロア10のフロア角度を同時に調整するフロア位置調整手段としての可動フロア調整機構30を設けている。
すなわち、固定構造のフロアパネル7の上面には支持ブラケット31を取付ける一方、上下動可能な可動フロア10の下面前後の両部にはブラケット32,33を取付けて、支持ブラケット31の前部と可動フロア10側の前側のブラケット32との間にリンク34をピン連結し、支持ブラケット31の後部と可動フロア10側の後側のブラケット33との間に別のリンク35をピン連結し、後側のリンク35の長さを、前側のリンク34の長さに対して長く設定している。
つまり、フレキシブルシャフト29の回転時に、ダブルリンク構造の可動フロア調整機構30を介して可動フロア10が図9、図10、図11に示すそれぞれの位置d,f,gに調整される。この可動フロア10の上下位置および該可動フロア10のフロア角度は図4に点線、実線、仮想線で示したそれぞれの状態に対応し、図9に示す位置dは体格が大きい乗員Lの脚部載置状態に対応し、図10に示す位置fは体格が標準の乗員Mの脚部載置状態に対応し、図11に示す位置gは体格が小さい乗員Sの脚部載置状態に対応するものである。なお、図5に示すように、上述の可動フロア10の上面はフロアマット41で覆われるように構成している。ここで、ダブルリンク構造の可動フロア調整機構30において前後のリンク34,35の長さを異ならせることにより、可動フロア10の上下動と可動フロア10の角度変位とを同時に達成するように構成している。
このペダル位置調整手段42は図12、図13に示すように構成している。
すなわち、ダッシュロアパネル6に取付けたブラケット43にペダル9の回動センタ8を構成する支軸44を介して、ペダルブラケットアッパ45を枢支し、このペダルブラケットアッパ45の下部には、回動センタ8を中心とする円弧状のガイド溝46aをもったガイド部材46を一体または一体的に取付けている。
図4、図5に示すアクセルペダル9の低位置hは体格が大きい乗員Lに対応し、中間位置iは体格が標準(中位)の乗員Mに対応し、高位置jは体格が小さい乗員Sに対応するものであって、フレキシブルシャフト29の回転により、ウオーム50、ラック部49、スライダ47を介して、アクセルペダル9がそれぞれの位置h,i,jに調整され、このペダル位置調整手段42によりペダル9の操作角度とペダル9の踏面高さとが同時に調整される。
上述入力ギヤ53のインプット側にはインナシャフトクランプ56を介してフレキシブルシャフト29の先端を固定し、各出力ギヤ54,55のアウトプット側にはインナシャフトクランプ56A,56Bを介してアクセルペダル9側およびブレーキペダル51側のフレキシブルシャフト29A,29Bの基端をそれぞれ固定し、共通のフレキシブルシャフト29の回転時に各ギヤ53,54,55を介して、アクセルペダル9側およびブレーキペダル51側の各フレキシブルシャフト29A,29Bを同方向に回転すべく構成している。
ところで、図5に示すようにステアリングシャフト60およびステアリングホイール61の位置および角度を同時に調整するステアリング位置調整手段62を設けている。
カウルパネル63とダッシュロアパネル6との間に取付けられたダッシュアッパパネル64の後部にはステアリング支持ブラケット65,66を介して車体剛性部材としてのステアリング支持メンバ67が車幅方向に向けて張架されている。
この構成によれば、乗員の体格差に左右されることなく適切な運転姿勢を保った状態下において、上肢(つまり乗員の腕部)とステアリングホイール61との間の位置関係が適切となる。
この構成によれば、可動フロア調整機構30は、可動フロア10の上下位置(つまり高さ調整)のみならず、可動フロア10の角度をも調整するので、可動フロア10の上下動時にペダル9,51と可動フロア10との成す角度θ,φを概ね一定に保つことができ、靴の大きさや踵の長さが多少変化しても、適切な位置(ペダルセンタ参照)でペダル9,51が踏めて、ばらつきを吸収することができる。
また、乗員L,M,Sが操作するペダル9,51の操作位置を調整可能なペダル位置調整手段42,42Bを備えたものである。
この構成によれば、ステアリング位置調整手段62によるステアリング位置の調整、並びに可動フロア調整機構30による可動フロア10の上下位置の調整に加えて、シート位置調整手段17で乗員が着座するシート4の着座面の位置が調整できるので、特に体格が小さい乗員Sであってもペダル9,51を適正に操作することができると共に、当該乗員Sの前方視界の大幅な向上を図ることができる。
この構成によれば、体格が小さい乗員Sの場合には、シート4の着座面および可動フロア10の位置を高く調整し、ペダル9,51の操作位置および操作角度を当該乗員Sに適合すべく調整することができ、体格が大きい乗員Lの場合には、シート4の着座面および可動フロア10の位置を低く調整し、ペダル9,51の操作位置および操作角度を当該乗員Lに適合すべく調整することができ、体格が標準の乗員Mの場合には、シート4の着座面および可動フロア10の位置を中間位置に調整し、ペダル9,51の操作位置および操作角度を当該乗員Mに適合すべく調整することができる。
図20、図21、図22は上述の車両の運転姿勢調整装置により同じ体格の前席乗員Xがスポーツモード、セダンモード、RVモード(リクリエーショナル・ビークル・モード)を選定した場合を示し、シートクッション1およびアクセルペダル9をそれぞれ位置a,hに選定(但し、図示の便宜上、可動フロア10の選定位置については、その図示を省略している)すると、図20に示すように、スポーツモード態様と成すことができ、それぞれ位置b,iに選定すると、図21に示すように、セダンモード態様と成すことができ、それぞれ位置c,jに選定すると図22に示すように、RVモード態様と成すことができ、特に図22に示す状態を選定した場合には、後席乗員Yの充分広い足元スペースの確保、並びに後席空間の拡大、パッケージ効率のさらなる向上を図ることができる。
図27〜図32は可動フロア調整機構の他の実施例を示すものである。
図27に示す可動フロア調整機構94は、可動フロア10の下面にネジ孔95aを有する複数のガイド筒95を固定し、これら各ネジ孔95aに螺合させた複数のスクリュ96(ネジ軸)の下部に従動ベベルギヤ97を一体的に嵌合する一方、フレキシブルシャフト29の所定箇所には、これら従動ベベルギヤ97に噛合する原動ベベルギヤ98を取付け、フレキシブルシャフト29の回転時に、各要素98,97,96,95a,95を介して、可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図28に示す可動フロア調整機構99は、可動フロア10の下面に支持ブラケット100,100を取付ける一方、固定構造のフロアパネル7(前図参照)側には支持部材101を設けて、X字状に組合わせた2つのリンク102,103の両端部を、支持ブラケット100および支持部材101のそれぞれの長孔100a,101aに対してピン連結し、フレキシブルシャフト29を2つのリンク102,103の交差部に配設し、このフレキシブルシャフト29の回転力を2つのリンク102,103のうちの一方のリンク102にのみ動力伝達すべく構成し、このフレキシブルシャフト29の回転時に、各リンク102,103を介して可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図29に示す可動フロア調整機構104は、可動フロア10の下面に複数のラック部材105,105を固定する一方、これら各ラック部材105,105と対応するフレキシブルシャフト29の所定箇所には、ラック部材105,105に噛合するピニオン106,106またはウオームを取付けて、フレキシブルシャフト29の回転時に、ラック&ピニオン機構を介して可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図30〜図32に示す可動フロア調整機構107は、移動可能な可動フロア10の下面前後に支持ブラケット108,109を取付ける一方、固定構造のフロアパネル7(前図参照)側には支持部材110を固定して、支持部材110の前部と、可動フロア10の後部のブラケット109における長孔109aとの間にリンク111をピン連結し、支持部材110後部の長孔110aと、可動フロア10側の前部のブラケット108との間に別のリンク112をピン連結している。
この発明のステアリングは、実施例のステアリングシャフト60、ステアリングホイール61に対応し、
以下同様に、
乗員の脚部が載置されるフロアは、可動フロア10に対応し、
フロア位置調整手段は、可動フロア調整機構30に対応し、
運転姿勢調整操作手段は、レバー23、フレキシブルシャフト29,29A,29B,29C、第1スイッチ91、第2スイッチ93に対応し、
ペダルは、アクセルペダル9、ブレーキペダル51に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上述の実施例の構成をアクセルペダル、ブレーキペダルおよびクラッチペダルを備えたメカニカルトランスミッション方式の車両いわゆるMT車に適用してもよいことは勿論である。
8…回動センタ
9,51…ペダル
10…可動フロア
17…シート位置調整手段
23…レバー(運転姿勢調整操作手段)
29,29A,29B,29C…フレキシブルシャフト(運転姿勢調整操作手段)
30…可動フロア調整機構(フロア位置調整手段)
42,42B…ペダル位置調整手段
60…ステアリングシャフト
61…ステアリングホイール
62…ステアリング位置調整手段
92,93…スイッチ(運転姿勢調整操作手段)
94,99,104,107…可動フロア調整機構(フロア位置調整手段)
Claims (6)
- 乗員の運転姿勢を調整する車両の運転姿勢調整装置であって、
ステアリング位置を調整可能なステアリング位置調整手段と、
ペダルを操作する乗員の脚部が該ペダルの操作時に載置される可動フロアの少なくとも上下位置を調整可能なフロア位置調整手段と、
上記ステアリング位置調整手段と上記フロア位置調整手段とを操作可能な運転姿勢調整操作手段とを備え、
上記フロア位置調整手段は、可動フロアの上下位置および角度を調整すべく構成され、
上記運転姿勢調整操作手段は、上記ステアリング位置調整手段とフロア位置調整手段とを所定の関係で連動させて調整操作し、
上記所定の関係は、ステアリング位置調整手段によりステアリングホイールが上方に移動する時、上記フロア位置調整手段によりフロアが下部から上部に移動されるように設定されると共に、
ステアリングホイールが下方に移動する時、上記フロア位置調整手段により可動フロアが上部から下部に移動されるように設定されると共に、
上記可動フロアの角度が該可動フロアが下方から上方へ移動するのに伴って前高後低状から水平に近づき、さらに前低後高状となるように調整される
車両の運転姿勢調整装置。 - 上記ステアリング位置調整手段は、上記ステアリングを、ペダルの回動センタを中心として位置調整する
請求項1記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記ステアリング位置調整手段はステアリングの位置および角度を調整可能に構成した
請求項1または2に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 乗員が操作するペダルの操作位置を調整可能なペダル位置調整手段を備えた
請求項1〜3の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 乗員が着座するシートの着座面の位置を調整可能なシート位置調整手段を備えた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段によりシートが後部下方から前部上方に移動される時、フロア位置調整手段によりフロアが下方から上方に移動され、かつペダル位置調整手段によりペダルが回動センタを支点として乗員に近づく方向に移動される
請求項5記載の車両の運転姿勢調整装置。
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