JP4259301B2 - 車両の運転姿勢調整装置 - Google Patents
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Description
すなわち、体格が大きい乗員Lはシート100に着座した状態下において、そのアイポイントが上方に位置するので、図28に視線ラインeLを点線で示すように充分な前方視界が確保されるが、体格が小さい乗員Sはシート100に着座した状態下において、そのアイポイントが下方に位置するので、図28に視線ラインeSを仮想線で示すように、視線がボンネット106に遮られて充分な前方視界の確保が困難で、特に手前部分の視認領域が小さくなる問題点があった。
このような問題点を解決するために、従来、図30に示すような車両の運転姿勢調整装置が既に発明されている(特許文献1参照)。
図30に示すこの従来装置は、シート200を前部上方と後部下方との間に傾斜方向(いわゆるスラント方向)に位置調整すべく構成すると共に、ブレーキ用および/またはアクセル用のペダル201を略水平方向に前後位置調整し、ペダル201とシート200との間の位置関係を乗員の体格に応じて略一定に維持すべく構成したものである。
この発明の一実施態様においては、上記シート位置調整手段の位置調整に関連して、上記フロア位置調整手段によってフロア位置が調整されるものである。
この発明の一実施態様においては、上記ペダル位置調整手段はペダルの操作角度およびペダルの踏面高さを調整すべく構成したものである。
上記構成によれば、体格が大きく、かつ下肢が長い乗員の場合には、ペダル位置調整手段によりペダルの踏面高さを低位置に調整することができ、体格が小さく、かつ下肢が短い乗員の場合には、ペダル位置調整手段によりペダルの踏面高さを高位置に調整することができ、体格が標準の乗員の場合には、ペダル踏面高さをこれらの中間位置に調整することができる。
この発明の一実施態様においては、上記フロア位置調整手段はフロアの上下位置および角度を調整すべく構成したものである。
上記構成によれば、体格が小さい乗員の場合には、シート位置調整手段によりシートの座面を前部上方に調整することができ、体格が大きい乗員の場合には、シート位置調整手段によりシートの座面を後部下方に調整することができ、体格が標準の場合にはこれらの中間位置に調整することができる。
上述の所定の関係は、シートが下部から斜め上方前部に移動する時、フロアは下方から上方に移動し、ペダルはその回転センタを中心として乗員に近づく方向へ回動し、シートが上部から斜め下方後部に移動する時、フロアは上方から下方に移動し、ペダルはその回転センタを中心として乗員から遠ざかる方向へ回動する関係に設定してもよい。
図面は車両の運転姿勢調整装置を示すが、まず図1〜図4を参照して、その基本的構成の概要について説明する。
図1〜図4においてLは体格が大きい乗員、Mは体格が標準(中位)の乗員、Sは体格が小さい乗員で、これら乗員L,M,Sはシートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを備えたシート4(運転席としてのドライバーズシート)に着座する。
上述のフロアパネル7は固定構造であるが、アクセルペダル9および後述するブレーキペダル51(図14参照)を操作する乗員L,M,Sの脚部(踵参照)が載置される部分には可動フロア10が設けられていて、フロアパネル7(固定フロア)と可動フロア10との二重フロア構造に形成されている。
そこで、このような安楽な姿勢を維持した状態のままで、人間の姿勢をアクセルペダル9の回動センタ8をほぼ支点として回動させてヒップポイントを設定すれば、乗員は常に安楽な姿勢となることに着目して次のようにヒップポイントを設定するものである。
またアクセルペダル9は図4に示すように、体格が大きい乗員Lに対応する位置h(点線参照)から体格が小さい乗員Sに対応する位置j(仮想線参照)に向けて、該アクセルペダル9の回動センタ8を中心として順次乗員に近づく方向へ移動し、アクセルペダル9の操作角度が調整できるように構成されている。
図5において、シート4(ドライバーズシート)と対応するフロアパネル7(固定構造のベースフロア)にはロアレール13およびアッパレール14を取付け、乗員の好みに応じてシート4の前後動が可能なシートスライド機構15を構成している。なお、アッパレール14は通常時にあってはロアレール13に位置固定されている。
上述のアッパレール14とシートクッション1が固定されるシートフレーム16との間には、シート4の座面前後位置、シート4の座面上下位置、シート4の座面の角度を同時に調整するシート位置調整手段17を設けている。
すなわち、アッパレール14の前後に支持ブラケット18,19を取付け固定し、前側の支持ブラケット18とシートフレーム16の前部との間にリンク20をピン連結し、後側の支持ブラケット19とシートフレーム16の後部との間に別のリンク21をピン連結し、前側のリンク20の長さを、後側のリンク21の長さに対して長く設定している。
前後のリンク20,21の長さを異ならせたことにより、座面の角度と座面の高さとを上述の如く同時に調整することができる。
一方、図5に示すように、アクセルペダル9や後述するブレーキペダル51(図14参照)を操作する乗員の脚部(踵参照)が載置されるところの可動フロア10の上下位置および可動フロア10のフロア角度を同時に調整するフロア位置調整手段としての可動フロア調整機構30を設けている。
つまり、フレキシブルシャフト29の回転時に、ダブルリンク構造の可動フロア調整機構30を介して可動フロア10が図9、図10、図11に示すそれぞれの位置d,f,gに調整される。この可動フロア10の上下位置および該可動フロア10のフロア角度は図4に点線、実線、仮想線で示したそれぞれの状態に対応し、図9に示す位置dは体格が大きい乗員Lの脚部載置状態に対応し、図10に示す位置fは体格が標準の乗員Mの脚部載置状態に対応し、図11に示す位置gは体格が小さい乗員Sの脚部載置状態に対応するものである。なお、図5に示すように、上述の可動フロア10の上面はフロアマット41で覆われるように構成している。ここで、ダブルリンク構造の可動フロア調整機構30において前後のリンク34,35の長さを異ならせることにより、可動フロア10の上下動と可動フロア10の角度変位とを同時に達成するように構成している。
このペダル位置調整手段42は図12、図13に示すように構成している。
図4、図5に示すアクセルペダル9の低位置hは体格が大きい乗員Lに対応し、中間位置iは体格が標準(中位)の乗員Mに対応し、高位置jは体格が小さい乗員Sに対応するものであって、フレキシブルシャフト29の回転により、ウオーム50、ラック部49、スライダ47を介して、アクセルペダル9がそれぞれの位置h,i,jに調整され、このペダル位置調整手段42によりペダル9の操作角度とペダル9の踏面高さとが同時に調整される。
上述入力ギヤ53のインプット側にはインナシャフトクランプ56を介してフレキシブルシャフト29の先端を固定し、各出力ギヤ54,55のアウトプット側にはインナシャフトクランプ56A,56Bを介してアクセルペダル9側およびブレーキペダル51側のフレキシブルシャフト29A,29Bの基端をそれぞれ固定し、共通のフレキシブルシャフト29の回転時に各ギヤ53,54,55を介して、アクセルペダル9側およびブレーキペダル51側の各フレキシブルシャフト29A,29Bを同方向に回転すべく構成している。
しかも、この実施例においては、図5、図14に示すように、上述のシート位置調整手段17と、可動フロア調整機構30とペダル位置調整手段42,42Bとを操作可能な運転姿勢調整操作手段を設けている。この実施例では、この運転姿勢調整操作手段は、レバー23(図5参照)とフレキシブルシャフト29,29A,29B(図14参照)とで構成している。
この構成によれば、シート4の着座面の位置と、ペダル9,51の操作角度とが関連して調整(所定の関係で連動して調整)されるので、ペダル9,51を操作する乗員の脚部角度とペダル操作方向のさらなる最適化を図ることができる。すなわち、体格が小さい乗員Sの場合にはシート4の着座面の位置を高くし、これに対応してペダル9,51の操作角度が調整されるので、ペダル9,51を上から下に適切に踏み下ろす方向の操作状態が得られ、体格が大きい乗員Lの場合にはシート4の着座面の位置を低くし、これに対応してペダル9,51の操作角度が調整されるので、ペダル9,51を適切に押し込む方向の操作状態が得られる。また、シート位置の調整により、特に体格が小さい乗員であっても、さらに充分な前方視界が確保できる。
また、上記シート位置調整手段17の位置調整に関連して、上記可動フロア調整機構30によって可動フロア10の位置が調整されるものである。
この構成によれば、適切な運転姿勢の設定と、前方視界の確保とをより一層良好に両立することができる。
加えて、上記可動フロア調整機構30は可動フロア10の上下位置および角度を調整すべく構成したものである。
この構成によれば、体格が小さい乗員Sの場合には、シート位置調整手段17によりシート4の座面を前方上部に調整することができ、体格が大きい乗員Lの場合には、シート位置調整手段17によりシート4の座面を後方下部に調整することができ、体格が標準の乗員Mの場合にはこれらの中間位置に調整することができる。
図22〜図27は可動フロア調整機構の他の実施例を示すものである。
図22に示す可動フロア調整機構64は、可動フロア10の下面にネジ孔65aを有する複数のガイド筒65を固定し、これら各ネジ孔65aに螺合させた複数のスクリュ66(ネジ軸)の下部に従動ベベルギヤ67を一体的に嵌合する一方、フレキシブルシャフト29の所定箇所には、これら従動ベベルギヤ67に噛合する原動ベベルギヤ68を取付け、フレキシブルシャフト29の回転時に、各要素68,67,66,65a,65を介して、可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図23に示す可動フロア調整機構69は、可動フロア10の下面に支持ブラケット70,70を取付ける一方、固定構造のフロアパネル7(前図参照)側には支持部材71を設けて、X字状に組合わせた2つのリンク72,73の両端部を、支持ブラケット70および支持部材71のそれぞれの長孔70a,71aに対してピン連結し、フレキシブルシャフト29を2つのリンク72,73の交差部に配設し、このフレキシブルシャフト29の回転力を2つのリンク72,73のうちの一方のリンク72にのみ動力伝達すべく構成し、このフレキシブルシャフト29の回転時に、各リンク72,73を介して可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図24に示す可動フロア調整機構74は、可動フロア10の下面に複数のラック部材75,75を固定する一方、これら各ラック部材75,75と対応するフレキシブルシャフト29の所定箇所には、ラック部材75,75に噛合するピニオン76,76またはウオームを取付けて、フレキシブルシャフト29の回転時に、ラック&ピニオン機構を介して可動フロア10を上下動すべく構成したものである。
図25〜図27に示す可動フロア調整機構77は、移動可能な可動フロア10の下面前後に支持ブラケット78,79を取付ける一方、固定構造のフロアパネル7(前図参照)側には支持部材80を固定して、支持部材80の前部と、可動フロア10の後部のブラケット79における長孔79aとの間にリンク81をピン連結し、支持部材80後部の長孔80aと、可動フロア10側の前部のブラケット78との間に別のリンク82をピン連結している。
この発明の乗員の脚部が載置されるフロアは、実施例の可動フロア10に対応し、以下同様に、
フロア位置調整手段は、可動フロア調整機構30に対応し、
運転姿勢調整操作手段は、レバー23、フレキシブルシャフト29,29A,29B、第1スイッチ62、第2スイッチ63に対応し、
ペダルは、アクセルペダル9、ブレーキペダル51に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
8…回動センタ
9,51…ペダル
10…可動フロア
17…シート位置調整手段
23…レバー(運転姿勢調整操作手段)
29,29A,29B…フレキシブルシャフト(運転姿勢調整操作手段)
30…可動フロア調整機構(フロア位置調整手段)
42,42B…ペダル位置調整手段
62、63…スイッチ(運転姿勢調整操作手段)
64、69、74、77…可動フロア調整機構(フロア位置調整手段)
Claims (10)
- 乗員の運転姿勢を調整する車両の運転姿勢調整装置であって、
乗員が着座するシートの着座面の位置を調整可能なシート位置調整手段と、
乗員の脚部によって操作されるペダルの操作角度を調整可能なペダル位置調整手段と、
ペダルを操作する乗員の脚部が載置されるフロアの位置を調整可能なフロア位置調整手段とを備え、
所定の乗員姿勢を維持した状態下においてペダルの回動センタを中心とする円弧に沿って乗員が移動し得るようにシート、ペダルおよびフロアを調整すると共に、上記ペダル位置調整手段とフロア位置調整手段とを所定の関係で連動して調整する運転姿勢調整操作手段を備えた
車両の運転姿勢調整装置。 - 上記所定の関係は、ペダル位置調整手段によりペダルが回動センタを支点として乗員に近づく方向に移動される時、フロア位置調整手段によりフロアが下部から上部に移動されるように設定した
請求項1記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段の位置調整に関連して、上記ペダル位置調整手段によってペダル位置が調整される
請求項1記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段によりシートが後部下方から前部上方に移動する時、ペダル位置調整手段によって上記ペダルが乗員に近づく方向に移動される
請求項3記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段の位置調整に関連して、上記フロア位置調整手段によってフロア位置が調整される
請求項1または3記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段によりシートが後部下方から前部上方に移動する時、フロア位置調整手段によってフロアが下方から上方に移動される
請求項5記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記ペダル位置調整手段はペダルの操作角度およびペダルの踏面高さを調整すべく構成した
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記フロア位置調整手段はフロアの上下位置および角度を調整すべく構成した
請求項1〜7の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記シート位置調整手段はシートの座面角度、座面前後位置および座面上下位置を調整すべく構成した
請求項1〜8の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。 - 上記運転姿勢調整操作手段は、上記シート位置調整手段と上記ペダル位置調整手段と上記フロア位置調整手段とを所定の関係で連動させて調整操作すべく構成した
請求項1〜9の何れか1に記載の車両の運転姿勢調整装置。
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