図1〜図5は、本発明に係る運転姿勢調整装置の実施形態を示している。この運転姿勢調整装置を備えた自動車には、前後位置調整機構2と、座面調整機構3とからなるシート調整機構が設けられている。前記前後位置調整機構2は、車室内に配設された運転席シート1のシートクッション(座面)1aを車体の前後方向にスライド変位させてその前後位置を調整する。前記座面調整機構3は、前記運転席シート1のシートクッション1aを昇降駆動して座面の上下位置を調整するとともに、この座面の傾斜角度を調整する。また、前記車室の前部には、運転席シート1に着座した運転者の操作足により踏み込み操作されるブレーキペダル4およびアクセルペダル5からなる操作ペダルが左右に並設されている。
前記自動車の車体には、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル6と、このダッシュパネル6の下端部から後下がりの傾斜状態で車体の後方側に延びるキックアップ部7と、その後端部に連続して車体の後方側に延びる略平坦な車体フロア部8とが設けられている。この車体フロア部8の上面には、遮音および断熱機能等を有するフェルト材またはグラスウール等からなるインシュレータと、その上面を被覆するカーペット材等からなる表層材とを備えた従来周知のフロアトリム材(図示せず)が設置されている。
前記運転席シート1に着座した運転者の足元部に位置する車体フロア部8上には、運転席用フロアマット11が敷設されている。この運転席用フロアマット11は、例えば、適度の弾力性と剛性とを有する合成ゴム材またはウレタン樹脂材等からなる。この運転席用フロアマット11には、図2に示すように、第1傾斜面部12と第2傾斜面部13と接続部14とからなる膨出部が一体に形成されている。前記第1傾斜面部12は、その上面15が水平面に対して16°〜24°程度の角度αで前上がりに傾斜する部分である。前記第2傾斜面部13は、その上面16が第1傾斜面部12の上面15よりも小さい角度β(例えば水平面に対して10°〜15°程度)で前上がりに傾斜する部分である。そして、前記接続部14は、前記両傾斜面部12,13をなだらかに接続する部分である。
前記第1傾斜面部12は、ブレーキペダル4の踏込ポイント、つまり前記運転席シート1に着座した運転者の操作足の拇子球部(親指の付け根部分に位置する膨出部)によって押動される踏込ポイント4aの後方に位置する操作足(通常は右足)の踵が載置される領域に形成されている。このようにブレーキペダル4の後方側の踵が載置される領域に前上がりに傾斜するこの第1傾斜面部12が設けられていれば、比較的身長の低い運転者であっても前記ブレーキペダル4を適切に踏み込むことができる。
前記第2傾斜面部13は、アクセルペダル5の踏込ポイント5aの後方に位置する操作足の踵が載置される領域に形成されている。この第2傾斜面部13の前後寸法は、この第2傾斜面部13からなる膨出部が、前記アクセルペダル5の後方側に位置する踵が載置される領域の略全域、つまり運転席シート1に着座する全ての運転者が操作足の踵部を載置する可能性がある前後領域の全長に亘り配設されるように設定されている。このようにアクセルペダル5の後方側の踵が載置される領域に、前上がりに傾斜するこの第2傾斜面部13が設けられていれば、後述するように、比較的身長の低い運転者であっても前記アクセルペダル5を適切に踏み込むことができる。
なお、この第1傾斜面部12の前後寸法は、前記第2傾斜面部13の前後寸法よりも短く、この第1傾斜面部12の後端部が運転席シート1に着座した平均身長者(統計的に見て運転席シート1に着座する機会が最も多い考えられる者)の操作足の踵載置位置よりもやや前方に配設されるように設定されており、前記ブレーキペダル4を運転者が急操作する場合に、運転者の踵部が前記第1傾斜面部12の後端に干渉するのが防止される。
前記接続部14は、図2および図3に示すように、平面視で前記第1傾斜面部12の後端部と前記第2傾斜面部13の後端部とを円弧状に連続させる形状を有している。また、この接続部14は、図5に示すように、正面視で前記第1傾斜面部12の側端部と前記第2傾斜面部13の側端部とをなだらかに連続させる形状を有している。従って、この接続部14により、第1傾斜面部12と第2傾斜面部13との間に、第1傾斜面部12の前後寸法が第2傾斜面部13よりも短いことに起因した段差および第1傾斜面部12の上面15の傾斜角度と第2傾斜面部13の上面16の傾斜角度とが異なることに起因した段差が形成されるのが防止される。
そして、前記運転席用フロアマット11が接着剤または係止具等を介して車体フロア部8上に固定されることにより、前記操作足の踵が載置される領域の一部に、上面15,16が前上がり傾斜した第1,第2傾斜面部12,13、つまり前方に至るほど厚み比べて大きくなる膨出部が形成される。また、前記第1,第2傾斜面部12,13の後端と、その後方に連続する略水平なフロアマット面21との間には、図4および図5に示すように、谷折状の折曲部17,18が車幅方向に延びるように形成される。
前記運転席シート1が設置される部分には、図6〜図8に示すように、シートクッション1aを前後移動可能に支持する左右一対のシートスライドロアレール41が配設されているとともに、シートスライドアッパレール42が前記シートスライドロアレール41に沿ってスライド変位可能に支持されている。
前記シートスライドロアレール41は、上面が開口したC型鋼等からなり、その前後両端部には、取付ブラケット43,44が溶接等により一体に接合されている。このシートスライドロアレール41は、前記取付ブラケット43,44がクロスメンバ19の上面等に締結ボルト等を介して固定されることにより、やや前上がりに傾斜した状態で車体フロア部8上に設置されている。
前記左右のシートスライドロアレール41内には、図8に示すように、ねじ軸からなる回転軸45が回転自在に設置されている。前記左右のシートスライドアッパレール42の前端部間には、駆動モータ46により回転駆動される駆動軸47およびこれを回転可能に支持する支持部材48が車幅方向に延びるように設置されている。前記駆動軸47の左右両端部には、その駆動力を前記回転軸45に伝達するベベルギア機構またはウォームホイールギア機構等からなる動力伝達部49が設けられている。また、前記シートスライドロアレール41の底部には、前記回転軸45が螺合するナットブロック41aが固定されている。
前記前後位置調整機構2は、前記シートスライドロアレール41、シートスライドアッパレール42、回転軸45、駆動モータ46、駆動軸47、動力伝達部49、および、ナットブロック41aとにより構成される。
前記前後位置調整機構2は、後述するメイン操作スイッチ81等の操作に基づき前記シートクッション1aを前後方向にスライド変位させる。
具体的には、前記メイン操作スイッチ81等の操作によりシートクッション1aを前進方向に移動させるよう指示がなされると、前記駆動モータ46が正回転駆動される。駆動モータ46が正回転すると、前記シートクッション1aを前進させる方向の駆動力が前記駆動軸47、動力伝達部49および回転軸45に伝達される。駆動力を受けた回転軸45は、前記シートスライドロアレール41の底部に固定されたナットブロック41aに支持された状態で、回転駆動されて車体の前方側に螺進する。これにより、前記シートスライドアッパレール42とともに運転席シート1のシートクッション1aが車体の前方側に駆動される。
一方、前記メイン操作スイッチ81等の操作によりシートクッション1aを後退方向に移動させるよう指示がなされると、前記駆動モータ46は逆回転し、前記シートクッション1aを後退させる方向の駆動力が前記駆動軸47、動力伝達部49および回転軸45に伝達される。そして、この回転軸45が逆転駆動されて車体の後方側に螺進することにより、前記シートスライドアッパレール42および運転席シート1のシートクッション1aは車体の後方側に駆動される。
ここで、前記シートスライドロアレール41は、前述のように、所定角度(例えば5°程度)で前上がりに傾斜した状態で車体フロア部8上に設置されている。そのため、前記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール42および運転席シート1のシートクッション1aが前記シートスライドロアレール41に沿って車体の前方側に駆動されると、これに連動してシートクッション1aは上方に押し上げられる。逆に、前記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール42および運転席シート1のシートクッション1aが前記シートスライドロアレール41に沿って車体の後方側に駆動されると、これに連動してシートクッション1aは下方に押し下げられる。
前記シートスライドアッパレール42には、運転席シート1のシートクッション1aを昇降駆動するとともにその傾斜角度を変更する座面調整機構3が設けられている。この座面調整機構3は、図6および図7に示すように、クッションフレーム51、前部ブラケット52、前部リンク53、後部ブラケット54、後部リンク55、連結軸56、中央ブラケット58、連結リンク59、駆動軸60、駆動レバー61および傾動駆動部62とを有している。
前記クッションフレーム51は、前記シートクッション1aの左右両側辺部に設けられたフレームである。前記前部ブラケット52および前部リンク53は、前記シートスライドアッパレール42の前部上面に設置されており、前記クッションフレーム51の前端部を支持している。前記後部ブラケット54および後部リンク55は、前記シートスライドアッパレール42の後部上面に設置されており、前記クッションフレーム51の後方部を支持している。本実施形態では、前記後部リンク55は、三角形状を有している。前記連結軸56は、左右の前記後部リンク55の後端部同士および前記両クッションフレーム51の後方下端部同士を連結している。
前記中央リンク57は、前記シートスライドアッパレール42の中央部上面に設置されて前記後部リンク55に駆動力を伝達するものである。この中央リンク57は、その下端部が車幅方向に延びる駆動軸60に固定されるとともに、この駆動軸60を介して前記中央ブラケット58に回動自在に支持されている。前記駆動軸60には、この駆動軸60を回動変位させる駆動レバー61が固定されている。この中央リンク57は、その上部を前記連結リンク59により前記後部リンク55の前端部に連結されている。
前記中央ブラケット58は、前記中央リンク57を支持するものであり、左右一対の前記シートスライドアッパレール42にそれぞれ設けられている。
ここで、本実施形態では、図6に示すように、運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に位置した状態において、前記前部リンク53および中央リンク57が後傾した状態になっているとともに、前記後部リンク55の後端部に設けられた前記連結軸56が下方に位置した状態となっており、これらによってシートクッション1aは所定角度で後傾する状態に保持されている。
前記傾動駆動部62は、前記駆動軸60に固定された前記駆動レバー61を駆動するためのものである。この傾動駆動部62は、前記中央ブラケット58のうち車幅方向の外方側のシートスライドアッパレール42に設けられた中央ブラケット58に設けられている。この傾動駆動部62は、図9および図10に示すように、ねじ軸64と、駆動モータ65と、ギア機構66と、ガイドブラケット67とを有する。
前記ねじ軸64は、その前端部が連結ピン63を介して前記駆動レバー61の先端部(下端部)に連結されている。前記駆動モータ65およびギア機構66は、このねじ軸64を回転駆動するためのものである。前記ギア機構66には、前記駆動モータ65の出力軸65aに固着されたウォームギア69と、このウォームギア69により回転駆動されるウォームナット70とが配設されており、このウォームナット70には、前記ねじ軸64に螺合するねじ孔が形成されている。従って、前記ねじ軸64は、前記駆動モータ65から前記ウォームギア69を介して入力される駆動力により前記ウォームナット70が回転駆動されるのに応じて、回転してねじ送りされる。
前記ガイドブラケット67は、前記ギア機構66の前面に固着されているとともに、その基端部において、支持ブラケット68を介して前記中央ブラケット58に支持されている。このガイドブラケット67には、前記連結ピン63を前後に案内する支持溝71が形成されている。
本傾動駆動部62では、前記のようにして駆動モータ65の駆動により前記ねじ軸64がねじ送りされると、その先端部に設けられた前記連結ピン63が前記支持溝71に沿って前後移動する。そして、この連結ピン63の移動に伴い、この連結ピン63を介して前記駆動モータ65の駆動力が前記駆動レバー61に伝達されて駆動レバー61が揺動変位し、これにより、前記駆動軸60が回動駆動される。
このようにして前記駆動軸60が回転駆動されると、本座面調整機構3では、前記中央リンク57が揺動変位して前記連結リンク59を介して前記後部リンク55および前部リンク53が揺動変位する結果、前記シートクッション1aが昇降する。
すなわち、図6に示すような運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に位置した状態から、前記メイン操作スイッチ81等の操作によりシートクッション1aを上方側に移動させるよう指示がなされると、まず前記駆動モータ65が正回転駆動される。そして、この駆動モータ65の正回転駆動力が前記ギア機構66、ねじ軸64、連結ピン63、駆動レバー61および駆動軸60を介して前記中央リンク57に伝達され、この中央リンク57が図6に示すような後傾状態から図11に示すように起立状態に移行する。中央リンク57の起立状態への移行に応じて、前記駆動モータ65の駆動力は前記連結リンク59を介して前記後部リンク55に伝達される。伝達された駆動力は、前記後部リンク55を揺動変位させてこの後部リンク55の前端部を車体の前方側に引っ張る。これにより、後部リンク55の後端部に設けられた前記連結軸56は図6の矢印に示すように上昇し、これに応じてシートクッション1aの後端部は斜め前方に押し上げられるように駆動される。
また、前記後部リンク55の揺動変位に連動して、前記前部リンク53は後傾状態から起立状態に移行する。これにより、前部リンク53の上端枢支部は図6の矢印に示す方向に駆動され、前記シートクッション1aの前端部は押し上げられつつ前方に移動するように駆動される。このようにして、シートクッション1aは図6に示す下降位置から図11に示す上昇位置に変位する。
ここで、本実施形態では、前記シートクッション1aの前端部の上方移動量に比べて後端部の上方移動量が大きく設定されている。そのため、前記のようにシートクッション1aを上昇変位すると、前記シートクッション1aは、その後傾角度がシートクッション1aの上方移動に応じて小さくなるように変位して水平状態に近づく。また、シートクッション1a上に位置する運転者のヒップポイント(着座中心点)Hは、図6の矢印に示すように斜め前方側に移動する。
一方、前記メイン操作スイッチ81等の操作によって運転席シート1を下方側に移動させる指示がなされた場合には、座面調整機構3の前記駆動モータ65を逆転駆動され、この駆動モータ65の逆回転駆動力が前記ギア機構66、ねじ軸64、連結ピン63、駆動レバー61および駆動軸60を介して中央リンク57に伝達される。これによって前記シートクッション1aは、図11に示す上昇位置から図6に示す下降位置に変位するとともに、このシートクッション1aの下方移動に応じてその後傾角度が次第に大きくなるように変化する。
前記運転姿勢調整装置には、前記前後位置調整機構2および前記座面調整機構3に加えて図12に示すようにシートバック角度調整機構98が設けられている。このシートバック角度調整機構98は、前記シートバック1bの前記シートクッション1aに対する角度を調整するためのものである。このシートバック角度調整機構98については、従来の機構を用いればよくその詳細な説明は省略する。
前記運転姿勢調整装置には、さらに、図12に示すように、前記前後位置調整機構2、前記座面調整機構3等を制御するための主制御手段85と、副制御手段86とが設けられている。前記主制御手段85は、基本移動手段87と、復帰手段88と、シートクッション位置判断手段(判断手段)91とからなる。また、前記運転姿勢調整装置は、前記主制御手段85あるいは副制御手段86を操作するための、メイン操作スイッチ81、微調整スイッチ82、シートバックスイッチ84とを有している。これらスイッチ81,82,84は、車室内のコンソールボックスまたはインストルメントパネル等に設けられたスイッチパネル上に配設されている。
前記基本移動手段87は、運転席シート1のシートクッション1aを後述する予め設定された基準ラインPに沿って移動させるためのものである。
前記基準ラインPは、図17に示すように、前後位置に対してそれぞれ異なる上下位置が設定されたラインである。この基準ラインPは、身長の異なる種々の運転者に対するシートクッション1aの前後位置および上下位置の適正値を抽出し、それらの位置を結ぶことにより作成されたものである。前記適正な位置とは、各身長の標準的な体格を有する運転者がそれぞれ、安楽姿勢を維持でき、ステアリングハンドル20を適正に把持でき、アクセルペダル5からなる操作ペダルの踏込ポイント5a等に操作足の拇子球部を適正に当接させることができ、かつ、アイポイントIを例えばフロントガラスの下端部とボンネットの上面とを結ぶように設定された適正ラインLに一致させて前方視界を適正に確保できる位置である。ここで、本実施形態では、前記基準ラインP上の各点に対応して、シートクッション1aに対するシートバック1bの適正角度も予め設定されている。そして、後述するように、シートクッション1aが基準ラインPに沿って動くのに伴い、シートバック1bの角度も変更される。
例えば、図17に示す位置Hmは、米人男性の平均身長173cmを有し、米国において運転席シート1に着座する機会が最も多いと考えられる平均身長者Mにとっての適正な位置である。
人間工学的実験において、図13に示すように、足首角度θ1が85°〜95°程度、前記膝角度θ2が115°〜135°程度、前記折曲角度θ3が約95°に維持されれば、安楽姿勢を実現することができるとの結果が得られている。ここでの安楽姿勢とは、長期間に亘りその着座状態を維持できるとともにハンドル操作およびペダル操作等に適した着座姿勢である。また、前記人間工学実験において、平均身長者Mの場合においては、水平線に対して太腿部がなす角度であるサイ角θ4の適正角度はシートクッション1aの傾斜角度に約1.5°を加算した値となるとの結果が得られている。
これに対して、前記位置Hmでは、図13に示すように、前記シートバック1bがシートクッション1aに対して所定の角度で調整された状態において、運転席シート1に着座した平均身長者Mの操作足の足首角度θ1は90°、膝角度θ2は125°、腰骨部から肩部までの上半身と大腿部との折曲角度θ3は95°、サイ角θ4は17°となっており、各角度θ1,θ2,θ3,θ4全てについて前記安楽姿勢を実現するための条件が満足されている。従って、位置Hmにシートクッション1aを合わせれば、平均身長者Mの安楽姿勢が実現される。
また、肘角度θ5が100°〜130°程度に維持されるとともに脇角度θ6が20°〜45°程度に維持されれば、前記ステアリングハンドル20を適正に操作することができることが分かっている。これに対して、前記位置Hmでは、肘角度θ5が110°程度、脇角度θ6が25°程度となり、位置Hmにシートクッション1aを合わせることで、平均身長者Mのステアリングハンドル20の適正な把持が実現される。
また、前記アクセルペダル5を適正に操作することができる操作足の足裏角度、つまり水平線に対する足裏の傾斜角度θ7は約52°であることが分かっている。これに対して、前記位置Hmでは、足裏の傾斜角度θ7が52°程度となり、位置Hmにシートクッション1aを合わせることで、平均身長者Mのアクセルペダルの適正な操作が維持される。
さらに、前記位置Hmでは、図13に示すように、平均身長者MのアイポイントImが、約8°の角度で前下がりに傾斜する適正ラインLに一致しており、平均身長者Mの前方視界が適正に確保される。
図17に示す位置Hsは、150cmの身長を有する女性ドライバー等からなる低身長者Sにとっての適正な位置である。この位置Hsは、図17に示すように、前記平均身長者Mの適正な位置Hmよりも前方かつ上方である。従って、この位置Hsにシートクッション1aが設定されることで、平均身長者Mよりも手の短い低身長者Sのステアリングハンドル20の適正な把持が実現されるとともに、平均身長者Mに比べて座高の低い低身長者SのアイポイントIsが上方に移動することで適正ラインL上に維持される。特に、本実施形態では、前述のように、シートクッション1aを上昇変位させるとシートクッション1a上の運転者のヒップポイントHが斜め前方側に移動するよう構成されており、シートクッション1aを前記位置Hsにすることで前記サイ角θ4を減少させてアイポイントIsをより確実に適正ラインL上に維持することができる。
ここで、図14に示すように、前記低身長者Sが操作足の足首角度θ1を90°に、前記足裏の傾斜角度θ7を52°に維持しつつ、その拇子球部Bsをアクセルペダル5の踏込ポイント5aに当接させた状態に維持しようとすると、低身長者Sの操作足の踵部Ksを平均身長者Mの踵部Kmよりも上方に位置させる必要がある。具体的には、前記低身長者Sの踵部Ksから拇子球部Bsまでの距離(15.5cm程度)は、平均身長者Mの同距離(18.0cm程度)に比べて約2.5cm短いため、低身長者Sの操作足の踵部Ksを平均身長者Mの踵部Kmよりも約2cm(=sin52°×2.5cm)だけ上方に位置させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、上面16が10°〜15°の傾斜角度βで前上がりに傾斜した第2傾斜面部13が前記アクセルペダル5の後方に位置する操作足の踵が載置される領域に形成されているため、運転席シート1に着座した低身長者Sが、図14の仮想線で示すように、操作足の踵部Ksを前記第2傾斜面部13上に載置することで、操作足の足首角度θ1を90°に前記足裏の傾斜角度θ7を52°に維持することができる。すなわち、操作足の拇子球部Bsをアクセルペダル5の踏込ポイント5aに当接させることができ、その踏込操作を適正に行うことが可能となる。
前記のように前記足首角度θ1を90°に維持した状態では、前記シートクッション1aの前方移動および上方移動に応じて低身長者Sの膝角度θ2は130°程度に増大する。しかしながら、この値は前記安楽姿勢を実現するために必要な条件である115°〜135°の範囲内であり、低身長者Sの安楽姿勢は確保される。
図17に示す位置Htは、186cmの身長を有する高身長者Tにとっての適正な位置である。この位置Htは、図17に示すように、前記平均身長者Mの適正な位置Hmよりも後方かつ下方である。従って、この位置Htにシートクッション1aが設定されることで、平均身長者Mよりも手の長い高身長者Tのステアリングハンドル20の適正な把持が実現されるとともに、平均身長者Mに比べて座高の高い高身長者TのアイポイントItが下方に移動することで適正ラインL上に維持される。特に、本実施形態では、前述のように、シートクッション1aを下降変位させるとシートクッション1a上の運転者のヒップポイントHが斜め後方側に移動するよう構成されており、シートクッション1aを前記位置Hsにすることで前記サイ角θ4を20.0°増大させてアイポイントItをより確実に適正ラインL上に維持することができる。
ここで、図16に示すように、前記高身長者Tが操作足の足首角度θ1を90°に、前記足裏の傾斜角度θ7を52°に維持しつつ、その拇子球部Bsをアクセルペダル5の踏込ポイント5aに当接させた状態に維持しようとすると、高身長者Tの操作足の踵部Ksを平均身長者Mの踵部Kmよりも下方に位置させる必要がある。具体的には、前記高身長者Tの踵部Ktから拇子球部Btまでの距離(19.5cm程度)は、平均身長者Mの同距離(18.0cm程度)に比べて約1.5cm長いため、高身長者Tの操作足の踵部Ktを平均身長者Mの踵部Kmよりも約1.2cm(=sin52°×1.5cm)だけ下方に位置させる必要がある。一方、高身長者Tでは、前記のように踵部Ktから拇子球部Btまでの距離が十分に長いため、踵部Ktを前記第1傾斜面部12の後方に位置する略水平なフロアマット面21上に載置した状態であっても、拇子球部Btをアクセルペダル5の踏込ポイント5aに当接させることができる。従って、本実施形態では、高身長者Tに合わせてフロア面を下方に位置させることなく、高身長者Tの足裏の傾斜角度θ7の適正値を48°に変更することで、アクセルペダル5の踏込み操作を適正に行えるようにしている。
前記のように足裏の傾斜角度θ7を48°とした状態では、高身長者Tの操作足の足首角度θ1は90°よりも大きくなる傾向がある。しかしながら、膝角度θ2を120°よりも小さくして膝を曲げ気味状態とすれば、足首角度θ1を適正範囲内(95°以下)に抑えることができ、高身長者Tの安楽姿勢は確保される。また、前記操作足の拇子球部Btをアクセルペダル5の踏込ポイント5aよりもやや上方に位置させるようにすれば、前記足首角度θ1の変化はより効果的に抑制される。
以上のように、本実施形態では、約150cm〜186cmの範囲の身長を有する運転者に対するシートクッション1aの適正な前後位置および上下位置が前記基準ラインP上に設定されている。従って、前記範囲の身長であって少なくとも標準的な体格を有する運転者であれば、前記基準ラインP上のいずれかの点にシートクッション1aの位置を合わせることで、着座時の姿勢、ステアリングハンドル20の把持性、操作ペダルの操作性、およびアイポイントIをそれぞれ適正な状態にすることができる。
前記基本移動手段87は、シートクッション1aの前後位置および上下位置を同時に変更することで、このシートクッション1aを前記基準ラインPに沿って移動させる。この基本移動手段87は、前記メイン操作スイッチ81が操作され、かつ、前記シートクッション位置判断手段91にて前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインP上にあると判断された場合にシートクッション1aを基準ラインPに沿って移動させる。
前記シートクッション位置判断手段91は、前記運転席シート1のシートクッション1aが前記基準ラインP上にあるかどうかを判断するためのものであり、現在位置算出手段96と基準ライン記憶手段94とを有している。
前記基準ライン記憶手段94は、前記基準ラインPを記憶するためのものである。この基準ライン記憶手段94には、基準ラインP上の各点におけるシートクッション1aの前後位置と上下位置とが互いに対応付けられたマップが記憶されている。前記現在位置算出手段96は、運転席シート1の現在のシートクッション1aの前後位置および上下位置を算出するためのものである。本実施形態では、前記前後位置調整機構2の駆動モータ46および前記座面調整機構3の駆動モータ65にそれぞれステッピングモータを用いており、前記現在位置算出手段96は、これら駆動モータ46および駆動モータ65の各回転角に基づいて前記シートクッション1aの前後位置および上下位置を算出する。
前記シートクッション位置判断手段91は、前記基準ライン記憶手段94に記憶されている基準ラインPのマップから、前記現在位置算出手段96で算出された現在のシートクッション1aの前後位置に対する基準ラインP上のシートクッション1aの上下位置を抽出する。そして、このシートクッション位置判断手段91は、抽出された基準ラインP上の上下位置と前記現在位置算出手段96で算出された現在のシートクッション1aの上下位置とを比較し、これらの値が一致していればシートクッション1aが基準ラインP上にあると判断し、各値が一致しない場合にはシートクッション1aの位置が基準ラインP上にないと判断する。ここで、各値が一致しない場合には、このシートクッション位置判断手段91は、さらにシートクッション1aの位置が基準ラインPの上方にあるか下方にあるかを判断する。
このようにして前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aの位置が判断され、シートクッション1aが基準ラインP上にあると判断されると、前記基本移動手段87は、前記メイン操作スイッチ81の操作に応じてシートクッション1aを前記基準ラインPに沿って移動させる。
前記メイン操作スイッチ81は、操作部が前後方向に押動操作されることにより運転席シート1のシートクッション1aの前進または後退を指示する2方向操作が可能なトグルスイッチからなる。前記基本移動手段87は、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが前記基準ラインP上にあると判断された場合に前記メイン操作スイッチ81の操作部が前進側に押動操作されると、押動操作がなされている期間中、運転席シート1のシートクッション1aを基準ラインPに沿って前進させつつ上昇させる。一方、前記基本移動手段87は、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが前記基準ラインP上にあると判断された場合に前記メイン操作スイッチ81の操作部が後進側に押動操作されると、押動操作がなされている期間中、運転席シート1のシートクッション1aを基準ラインPに沿って後進させつつ下降させる。
本実施形態では、シートクッション1aを前記基準ラインPに沿って移動させるために必要な前記前後位置調整機構2の駆動量および前記座面調整機構3の駆動量が予め設定されており、前記基本移動手段87はこれら設定量に基づいて前後位置調整機構2および座面調整機構3を連動して駆動してシートクッション1aの前後位置および上下位置を同時に変更することでシートクッション1aを基準ラインPに沿って移動させる。具体的には、前記基本移動手段87には、シートクッション1aを前記基準ラインP沿って移動させるために必要な前記駆動モータ46の駆動量と、シートクッション1aを前記基準ラインP沿って移動させるために必要な前記駆動モータ65の駆動量とが、それぞれ前記シートクッション1aの前後位置に対してマップで記憶されている。そして、この基本移動手段87は、現在のシートクッション1aの前後位置に基づき、前記各マップから前記駆動モータ46および駆動モータ65の駆動量とを抽出して駆動モータ46,65を抽出された駆動量に応じて駆動する。
例えば、平均身長者Mによってシートクッション1aの位置が前記位置Hmに設定されている状態で運転者が低身長者Sに交代した場合、この低身長者Sは、前記メイン操作スイッチ81を前進側に所定期間押動操作し続けることで、前記シートクッション1aを前記位置Hmよりも前方かつ上方であって自分の身長に適応した前記位置Hsに移動させることができる。
なお、本実施形態では、前記基本移動手段87は、前記前後位置調整機構2等と連動して前記シートバック角度調整機構98を駆動して、シートバック1bのシートクッション1aに対する角度も変更する。
このようにして、基本移動手段87により運転席シート1のシートクッション1aが前記のような基準ラインPに沿って移動すれば、運転席シート1に着座した運転者は、自分の身長に合わせてシートクッション1aの位置を容易に適正な位置に調整することができる。実際に、発明者等が行なった実験により、この基本移動手段87によりシートクッション1aを基準ラインPに沿って移動させることで、運転席シート1に着座した運転者の大多数が、その安楽姿勢を維持して着座した状態で、前記ハンドル操作性およびペダル操作性を維持しつつ、そのアイポイントIを適正ラインLに一致させて前方視界を適正に確保する操作をそれぞれ効果的に実行できることが確認されている。
特に、本実施形態では、前記座面調整機構3によってシートクッション1aの上下位置とともにシートクッション1aの傾斜角度が変化するよう構成されており、シートクッション1aの上下移動が大きくなるのを抑制しつつ、運転者のアイポイントIを適正ラインLに容易に一致させることができる。
また、シートクッション1aの基準ラインPに沿った移動に合わせてシートバック1bのシートクッション1aに対する角度も変更されるよう構成されているため、シートクッション1aの上下移動が大きくなるのをより抑制抑制しつつ、運転者のアイポイントIを適正ラインLに容易に一致させることができる。例えば、運転席シート1に着座する運転者が高身長者Tから低身長者Sに交代し、この低身長者Sがシートクッション1aを前方かつ上方に移動させた場合に、これと連動してシートバック1bのシートクッション1aに対する角度を、低身長者Sの上半身を起立させる方向に変化させることにより、前下がりに傾斜した前記適正ラインLに低身長者のアイポイントIsを効果的に一致させることができる。
前記副制御手段86は、前記基準ラインP上にある運転席シート1の位置を微調整するためのものである。この副制御手段86は、シートクッション微調整手段(位置調整手段)90と、シートバック微調整手段92とを有している。
運転者のごく一部の者は、長年の運転スタイルや身体的特徴等に応じ、そのアイポイントIを前記適正ラインLよりも上方または下方に位置させることを望む場合がある。例えば、スポーツ走行を好む運転者は、ハンドル操作性およびペダル操作性を確保すべく、アイポイントIを適正ラインLよりも下方に位置させて腰高感を回避することを望む場合がある。逆に、車体の前部下方に対する視認性を向上させることを意図して、アイポイントIを適正ラインLよりも上方に位置させることを望む運転者も存在する。また、同じ運転者であっても、周囲の状況に応じてアイポイントIを適正ラインよりも上方あるいは下方に変更させることを望む場合がある。さらに、前記のような標準的な体格よりも手足が長い運転者等は、シートクッション1aの位置をより後方に位置させることを望む場合がある。
これに対して、本運転姿勢調整装置では、前記シートクッション微調整手段90によって前記基準ラインPにある運転席シート1のシートクッション1aの上下位置と前後位置を微調整することで、アイポイントIを適正ラインLよりも上方あるいは下方に位置させる、あるいは、アイポイントIを所定のラインに維持した状態でシートクッション1aを適正位置よりも前後方向に位置させる。また、前記シートバック微調整手段92によって、シートクッション1aに対するシートバック1bの位置を微調整する。
前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82の操作に基づいて、前記前後位置調整機構2および座面調整機構3を連動して駆動して前記シートクッション1aの位置を微調整する。前記微調整スイッチ82は、操作部が上下前後方向に押動操作されることにより運転席シート1のシートクッション1aの上下前後方向への移動を指示する4方向操作が可能なトグルスイッチからなる。
前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82が上下方向に押動操作された場合には、前記シートクッション1aを図18に示すような予め設定された第1微調整ラインQに沿って移動させ、これによりアイポイントIを上下移動させる。具体的には、このシートクッション微調整手段90には、シートクッション1aを前記第1微調整ラインQに沿って移動させるために必要な前記前後位置調整機構2の駆動モータ46および座面調整機構3の駆動モータ65の駆動量が予め記憶されており、シートクッション微調整手段90は、これらの値に基づいて各駆動モータ46,65を駆動することでシートクッション1aを前記第1微調整ラインQに沿って移動させる。
前記第1微調整ラインQは、運転席シート1に着座した運転者の膝部Nを支点に、運転席シート1のシートクッション1a、具体的には運転席シート1に着座した運転者のヒップポイントH、を揺動変位させる方向に延びるラインである。この第1微調整ラインQは、図18に示すように、基準ラインP上の位置Hに対して上方に向かうほど後方に傾斜するようにして上下方向に延びている。
前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82の操作部が上方側に押動操作されると、前記操作がなされている期間中、前記シートクッション1aが前記第1微調整ラインQに沿って上昇するように前記前後位置調整機構2と前記座面調整機構3とを連動して駆動し、運転者のヒップポイントHひいてはアイポイントIを上方に移動させる。前述のように、第1微調整ラインQは、運転者の膝部Nを支点として運転者のヒップポイントHを揺動変位させるよう設定されたラインである。従って、この第1微調整ラインQに沿ってシートクッション1aを移動させると、運転者の膝部Nの位置ひいては運転者の足首角度θ1および足裏角度θ7は前記基本移動手段87によって適正値に設定された値にそれぞれ保持され、アクセルペダル5等からなる操作ペダルに対する操作性が良好に維持されたままアイポイントIが上方に変更される。
一方、前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82の操作部が下方側に押動操作されると、前記操作がなされている期間中、前記シートクッション1aが前記第1微調整ラインQに沿って下降するように前記前後位置調整機構2と前記座面調整機構3とを連動して駆動する。この場合には、前記操作ペダルに対する操作性が良好に維持された状態で運転者のヒップポイントHおよびアイポイントIが下方に移動する。
ここで、前記微調整スイッチ82の操作に応じて前記座面調整機構3のみを作動させ、運転席シート1に着座した運転者のヒップポイントHを昇降させるようにしてもよい。ただし、この場合には、前記座面調整機構3の前部リンク53および後部リンク55の揺動方向に対応して、図18および図19の破線Q1に示すように、ヒップポイントHおよび運転者の膝部Nが上昇するほど前方側に移動して、運転者の足首角度θ1および足裏角度θ7が変動する。そのため、より確実に操作ペダルに対する操作性を維持するためには、前記のように前記シートクッション1aを前記第1微調整ラインQに沿って移動させるのがこの好ましい。
また、前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82が前後方向に押動操作された場合には、シートクッション1aを図20に示すような予め設定された第2微調整ラインRに沿って移動させる。具体的には、このシートクッション微調整手段90には、シートクッション1aを前記第2微調整ラインRに沿って移動させるために必要な前記前後位置調整機構2の駆動モータ46および座面調整機構3の駆動モータ65の駆動量が予め記憶されており、シートクッション微調整手段90は、これらの値に基づいて各駆動モータ46,65を駆動することでシートクッション1aを前記第2微調整ラインRに沿って移動させる。
前記第2微調整ラインRは、図20および図21に示すように、約8°の角度で前下がりに傾斜した方向、つまり運転席シート1に着座した運転者のアイポイントIの適正ラインLと平行に延びるラインである。従って、この第2微調整ラインRに沿ってシートクッション1aが移動した場合には、運転者のアイポイントIが所定のライン上に維持される。
前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82の操作部が前方側に押動操作されると、この操作がなされている期間中、前記シートクッション1aが前記第2微調整ラインRに沿って前進するように前記前後位置調整機構2と前記座面調整機構3とを連動して駆動して、運転者のヒップポイントHを前方に移動させる。このとき、シートクッション1aに着座した運転者のアイポイントIはこの微調整スイッチ82の押動操作前の位置と同じラインに維持される。
一方、前記シートクッション微調整手段90は、前記微調整スイッチ82の操作部が後方側に押動操作されると、前記操作がなされている期間中、前記シートクッション1aが前記第2微調整ラインRに沿って後進するように前記前後位置調整機構2と前記座面調整機構3とを連動して駆動する。この場合には、前記アイポイントIが所定のラインLに維持されたまま、運転者のヒップポイントHが後方に移動する。
ここで、前記微調整スイッチ82の操作に応じて前記前後位置調整機構2のみを作動させ、運転席シート1に着座した運転者のヒップポイントHを前後移動させるようにしてもよい。ただし、この場合には、前記シートスライドロアレール41の傾斜角度に対応して、図20の破線R1に示すように、ヒップポイントHおよびアイポイントIが前進するに応じて上方に移動する。そして、アイポイントIがこの前後移動の操作前の高さから移動することで、再度アイポイントIを調整する必要が生じる。従って、前記のように前記シートクッション1aを前記第2微調整ラインRに沿って移動させるのがこの好ましい。
また、前記微調整スイッチ82の操作部の上下方向の押動操作に伴って、前述のようにシートクッション1aが前記第1微調整ラインQに沿って変位した場合、運転者の膝部Nが固定されていることで運転者の膝角度θ2および肘角度θ5は変化する。ただし、この膝角度θ2および肘角度θ5は、前記足首角度θ1および足裏角度θ7等に比べて自由度が大きく、前記膝角度θ2および肘角度θ5が多少変化しても運転者の安楽姿勢が損なわれたり、ペダル操作性が損なわれたりする等の弊害が生じる可能性は低い。しかしながら、前記膝角度θ2および肘角度θ5が変化することに起因して運転者が違和感を受ける場合があるが、この場合には、前記微調整スイッチ82の操作部を前後操作してシートクッション1aを前後移動させれば、前記微調整スイッチ82の操作部の上下方向の押動操作によって設定した好みのアイポイントIを維持したまま、膝角度θ2等を変更することで、前記違和感を解消することができる。
このように、本運転姿勢調整装置では、前記シートクッション微調整手段90によってシートクッション1aの位置を微調整することで、運転者の好みに応じてシートクッション1aの位置を適宜設定することができる。また、平均的な人体モデル等に比べて、手足は長いが、座高が低いという身体的特徴を有する運転者が、ハンドル操作性およびペダル操作性に応じて運転席シート1の前後位置を設定した際に、そのアイポイントIが適正ラインLよりも下方に位置するような事態が生じた場合、あるいはその逆の事態が生じた場合においても、シートクッション微調整手段90の微調整により、シートクッション1aの位置を運転者にとってより適切な位置に設定することができるという利点がある。
前記シートバック微調整手段92は、前記シートバックスイッチ84の操作に基づいて、前記シートバック角度調整機構98を駆動して前記シートバック1bのシートクッション1aに対する角度を微調整する。前記シートバックスイッチ84は、操作部が前後方向に押動操作されることによりシートバック1bのシートクッション1aに対する角度の大小を指示する2方向操作が可能なトグルスイッチからなる。このシートバック微調整手段92は、前記シートバックスイッチ84が前方側に押動操作された場合には、前記シートバック1bを前方に傾けるように前記シートバック角度調整機構98を駆動し、シートバック1bのシートクッション1aに対する角度を小さくする。一方、前記シートバックスイッチ84が後方側に押動操作された場合には、前記シートバック1bを後方に傾けるように前記シートバック角度調整機構98を駆動し、シートバック1bのシートクッション1aに対する角度を大きくする。
このようにして、シートバック1bのシートクッション1aに対する角度をシートクッション1aの位置と独立して微調整できれば、種々の運転者あるいは種々の運転状況に対してより適切な運転姿勢を提供することができ、利便性が向上する。
前記復帰手段88は、前記副制御手段86により前記基準ラインPから逸脱した位置に移動させられた運転席シート1のシートクッション1aを前記基準ラインP上に復帰させるためのものである。この復帰手段88は、前記メイン操作スイッチ81の操作およびシートクッション1aの位置に応じてシートクッション1aを所定の軌跡に沿って基準ラインP上に復帰させる。
まず、前記シートクッション位置判断手段91にて前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインPよりも上方であると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81の操作部が前進側に押動操作されると、前記復帰手段88は、図22に示すように、シートクッション1aを位置Hxから前記第2微調整ラインRに沿って移動させて基準ラインP上に復帰させる。具体的には、この復帰手段88は、前記前後位置調整機構2の駆動モータ46および前記座面調整機構3の駆動モータ65をそれぞれ前記シートクッション微調整手段90に記憶されている駆動量(第2微調整ラインRに沿った移動を実現する駆動量)に基づいて駆動する。
前記第2微調整ラインRは、前述のように約8°の角度で前下がりに傾斜する形状を有している。従って、この第2微調整ラインRに沿って移動する場合、シートクッション1aは、その前方向の移動速度の方がその上下方向の移動速度よりも速い状態で移動する。そのため、シートクッション1aに着座している運転者はシートクッション1aが主に前方向に移動しているように感じる。
前述のように、前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインP上にあると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81が前進側に押動操作された場合には、前記基本移動手段87によってシートクッション1aは前方に移動する。従って、前記のように、復帰手段88によるシートクッション1aの移動時においても、メイン操作スイッチ81の前進側への押動操作に伴ってシートクッション1aが主に前方側に移動すれば、メイン操作スイッチ81の前進側操作時のシートクッション1aの挙動が略統一される。
例えば、シートクッション1aの移動量をより小さくするべくシートクッション1aを図22に示すように基準ラインPまでの最短ラインSに沿って移動させた場合には、シートクッション1aは主に下方に移動する。そのため、この場合には、同じメイン操作スイッチ81を操作しているにも関わらず、前記基本移動手段87による移動時と復帰手段88による移動時とでシートクッション1aの挙動が異なる結果、運転者に違和感を与えるおそれがあるが、本実施形態ではこの違和感を抑制することができる。しかも、シートクッション1aを前記第1微調整ラインRに沿って移動させており、シートクッション1aの移動時に運転者のアイポイントIが所定のラインに維持される。
また、前記シートクッション位置判断手段91にて前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインPよりも下方であると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81の操作部が後進側に押動操作されると、前記復帰手段88は、シートクッション1aを前記第2微調整ラインRに沿って移動させて基準ラインP上に復帰させる。このとき、シートクッション1aはその後方向の移動速度の方がその上下方向の移動速度よりも速い状態で移動し、シートクッション1aに着座している運転者はシートクッション1aが主に後方向に移動しているように感じる。
前述のように、前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインP上にあると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81が後進側に押動操作された場合には、前記基本移動手段87によってシートクッション1aは後方に移動する。従って、前記のように、復帰手段88によるシートクッション1aの移動時においても、メイン操作スイッチ81の後進側への押動操作に伴ってシートクッション1aが主に後方側に移動すれば、メイン操作スイッチ81の前進側操作時のシートクッション1aの挙動が略統一されて、操作時に運転者に与える違和感を抑制することができる。
次に、前記シートクッション位置判断手段91にて前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインPよりも上方であると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81の操作部が後進側に押動操作されると、前記復帰手段88は、図22に示すように、シートクッション1aを位置Hxから前記第1微調整ラインQに沿って移動させて基準ラインP上に復帰させる。具体的には、この復帰手段88は、前記前後位置調整機構2の駆動モータ46および前記座面調整機構3の駆動モータ65をそれぞれ前記シートクッション微調整手段90に記憶されている駆動量(第1微調整ラインQに沿った移動を実現する駆動量)に基づいて駆動する。前述のように、前記第1微調整ラインQは、上下方向に延びるラインである。従って、この第1微調整ラインQに沿って移動することで、シートクッション1aは、その下方向の移動速度の方がその前後方向の移動速度よりも速い状態、すなわち主に下方側に移動する。
図22等に示すように、前記基準ラインPは後方に向かうほど下方に傾斜する形状を有している。そのため、例えば位置Hxからシートクッション1aをその後方向の移動速度の方がその下方向の移動速度よりも速くなるように前記基準ラインPに向かって移動させようとすると、図22の破線Tに示すように基準ラインPまでの距離が長くなってしまう。
これに対して、本運転姿勢調整装置では、前記のようにシートクッション1aを主に下方側に移動させており、基準ラインPまでの距離をより確実に短くすることで、シートクッション1aを早期に基準ラインP上に復帰させることができる。しかも、シートクッション1aが前記第2微調整ラインQに沿って移動するため、運転者の足首周りの姿勢の変化が抑制されて運転者に対して違和感のないシートクッション1aの移動が実現される。
また、前記復帰手段88は、前記シートクッション位置判断手段91にて前記シートクッション1aの位置が前記基準ラインPよりも下方であると判断された場合において前記メイン操作スイッチ81の操作部が前進側に押動操作されると、シートクッション1aを、前記第1微調整ラインQに沿って移動させて基準ラインP上に復帰させる。このとき、シートクッション1aはその上方向の移動速度の方がその前後方向の移動速度よりも速い状態で移動し、運転者の足首周りの姿勢の変化が抑制された状態でシートクッション1aは基準ラインP上に早期に復帰される。
このようにして、前記復帰手段88は、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが基準ラインP上に復帰したと判断されるまでシートクッション1aを移動させ続ける。
前記メイン操作スイッチ81が押動操作された際の各手段によるシートクッション1aの移動要領を図23に示す。まず、前記メイン操作スイッチ81の操作が実施されると、前記現在位置算出手段96にてシートクッション1aの現在位置が算出される(ステップS1)。次に、前記基準ライン記憶手段94から前記算出されたシートクッション1aの前後位置に対する基準ラインP上の上下位置が抽出される(ステップS2)。この抽出された上下位置と前記シートクッション1aの現在の上下位置との比較により、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが基準ラインP上にあるかどうかが判断される(ステップS3)。
前記ステップS3での判断がYESの場合、すなわち、シートクッション1aが基準ラインP上にある場合は、シートクッション1aは前記基本移動手段87の制御に基づき基準ラインPに沿って移動する(ステップS4)。一方、前記ステップS3での判断がNOの場合は、さらに、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが基準ラインPよりも上方であるかどうかが判断される(ステップS5)。
前記ステップS5での判断がYESの場合、すなわち、シートクッション1aが基準ラインPよりも上方にある場合において、前記メイン操作スイッチ81の操作部が前進側に押動操作された場合は(ステップS6にてYES)、シートクッション1aは前記復帰手段88により前記第2微調整ラインRに沿って前方に移動して基準ラインP上に復帰する(ステップS7)。一方、前記ステップS5での判断がYESの場合において、前記メイン操作スイッチ81の操作部が後進側に押動操作された場合は(ステップS6にてNO)、シートクッション1aは前記復帰手段88により前記第1微調整ラインQに沿って下方に移動して基準ラインP上に復帰する(ステップS8)。
一方、前記ステップS5での判断がNOの場合、すなわち、シートクッション1aが基準ラインPよりも下方にある場合において、前記メイン操作スイッチ81の操作部が前進側に押動操作された場合は(ステップS9にてYES)、シートクッション1aは前記復帰手段88により前記第1微調整ラインQに沿って上方に移動して基準ラインP上に復帰する(ステップS10)。一方、前記ステップS5での判断がNOの場合において、前記メイン操作スイッチ81の操作部が後進側に押動操作されている場合は(ステップS9にてNO)、シートクッション1aは前記復帰手段88により前記第2微調整ラインRに沿って後方に移動して基準ラインP上の復帰する(ステップS11)。
最後にステップS12に進み、前記メイン操作スイッチ81の操作が持続している場合(ステップS12でYES)には、前記基本移動手段87の制御に基づきシートクッション1aは基準ラインP上を移動する(ステップS4)。すなわち、前記基準ラインPから逸脱した位置にあったシートクッション1aが、前記メイン操作スイッチ81の操作途中で基準ラインP上に復帰した場合は、そのまま、シートクッション1aは基準ラインP上を移動する。
ここで、本実施形態では、前記基準ライン記憶手段94において、前記基準ラインP上の各点におけるシートクッション1aの前後上下位置に加えてシートバック1bのシートクッション1aに対する適正な角度が記憶されている。また、前記現在位置算出手段96にて、現在のシートバック1bのシートクッション1aに対する角度が算出される。そして、前記シートバック微調整手段92等によってシートバック1bのシートクッション1aに対する角度が前記適正角度と異なる角度に微調整されている場合には、前記メイン操作スイッチ81の操作に応じて、前記復帰手段88により、前記シートバック1bのシートクッション1aに対する角度も前記適正な角度に戻される。
以上のように、本運転姿勢調整装置では、前記基本移動手段87によって運転席シート1のシートクッション1aの位置を、運転者の着座姿勢を適正な姿勢にし、操作ペダルの操作性を良好に維持し、かつ運転者の視界を適正に確保する前記基準ラインP上に、容易に制御することができるととともに、前記副制御手段86によって、このシートクッション1aの位置を運転者の好みの位置あるいは運転者の詳細な身体的特徴等に応じた位置に容易に変更することができ、利便性が向上する。しかも、前記復帰手段88によって前記基準ラインPから逸脱した位置にあるシートクッション1aの位置をこの基準ラインP上に容易に戻すことができ、運転者が交代した場合等において、前記シートクッション1aの位置を新たな運転者等に対応した前記基準ラインP上の適正な位置に容易に変更することができ、多岐にわたる運転者に柔軟に対応することが可能となる。
特に、前記基本移動手段87と前記復帰手段88とを操作可能なメイン操作スイッチ81を設け、このメイン操作スイッチ81の操作状況と前記シートクッション位置判断手段91の判断手段で判断されたシートクッション1aの位置によって前記基本移動手段87による移動と前記復帰手段88による移動とを切り換えており、各手段85,88によるシートクッション1aの移動を実施するために個別にスイッチを設ける場合に比べて装置を簡素化することができる。
ここで、前記メイン操作スイッチと前記微調整スイッチとを同じスイッチで構成してもよい。すなわち、図24に示すように、前記基本移動手段87、復帰手段88、シートクッション微調整手段90を操作するためのスイッチとして、メイン操作スイッチ181のみを設けるようにしてもよい。
前記メイン操作スイッチ181は、操作部が上下前後方向に押動操作されることによりシートクッション1aの上下前後方向への移動を指示する4方向操作が可能なトグルスイッチからなる。本実施形態では、このメイン操作スイッチ181の前後方向の押動操作の回数と前記シートクッション位置判断手段91におけるシートクッション1aの判断結果とに基づき、シートクッション1aを移動させる手段が、前記基本移動手段87と、前記復帰手段88と、前記シートクッション微調整手段90とで切り替えられる。
前記メイン操作スイッチ181が前後方向に押動操作された際のシートクッション1aの移動要領について、図25を用いて説明する。
まず、ステップS21でカウンタCが1であるかどうかが判断される。このカウンタCは前記メイン操作スイッチ181の前後方向の押動操作に応じて変更されるものであり、初期状態ではC=1に設定されている。このステップS21での判断がYESの場合は、シートクッション1aは、前記メイン操作スイッチ181が前後方向に押動操作されている期間中、前記基本移動手段87により基準ラインPに沿って移動する。このメイン操作スイッチ181の押動操作が終了してこの基本移動手段87による移動が終了すると次にステップS29が実施される。
一方、前記ステップS21での判断がNOの場合は、さらに、カウンタCが2であるかどうかが判断される(ステップS23)。前記ステップS23での判断がYESの場合は、シートクッション1aは、前記メイン操作スイッチ181が前後方向に押動操作されている期間中、前記シートクッション微調整手段90により前記第1微調整ラインQに沿って移動する。このメイン操作スイッチ181の押動操作が終了してこのシートクッション微調整手段90による移動が終了すると次にステップS29が実施される。
前記ステップS23での判断がNOの場合は、さらに、前記シートクッション位置判断手段91にてシートクッション1aが前記基準ラインPから逸脱しているかどうかが判断される(ステップS25)。この判断がYESの場合、すなわち、カウンタCが1でも2でもなく、かつ、シートクッション1aが基準ラインPから逸脱している場合は、シートクッション1aは前記復帰手段88により前記基準ラインP上に復帰させられる(ステップS26)。例えば、シートクッション1aは前記ステップS5〜S11の手順によって前記基準ラインP上に復帰する。この復帰が終了すると次にステップS29が実施される。
一方、前記ステップS25での判断がNOの場合、すなわち、カウンタCが1でも2でもなく、かつ、シートクッション1aが基準ラインP上にある場合は、カウンタCは1に変更され(ステップS27)、シートクッション1aは、ステップS22と同様に、メイン操作スイッチ181が押動操作されている期間中、前記基本移動手段87により基準ラインPに沿って移動する(ステップS28)。このステップS25での判断がNOの場合としては、例えば、前記シートクッション微調整手段90の操作によってシートクッション1aの位置を微調整した結果シートクッション1aが偶然にも基準ラインP上に位置した場合等が挙げられる。このメイン操作スイッチ181の押動操作が終了してこの基本移動手段87による移動が終了すると、その後、ステップS29が実施される。
前記ステップS29では、カウンタCがカウントアップされる。このカウンタCは4より大きくなると(ステップS30にてYESと判断)1にセットされる(ステップS31)。
例えば、前記カウンタCが1でシートクッション1aが前記基準ラインP上にある状態で前記メイン操作スイッチ181の前後方向の1回目の押動操作が実施されると、シートクッション1aは、まず、基準ラインP上に沿って移動する。その後、前記メイン操作スイッチ181の前後方向の2回目の押動操作が実施されると、シートクッション1aは前記基準ラインPから逸脱した方向に微調整される。そして、さらに前記メイン操作スイッチ181の前後方向の3回目の押動操作が実施されると、シートクッション1aは基準ラインP上に復帰する。ここで、シートクッション1aが前記基準ラインP上に復帰した後も前記メイン操作スイッチ181の3回目の押動操作が継続されている場合は、シートクッション1aはそのまま基準ラインP上に沿って移動する。また、前述のように、シートクッション1aの2回目の操作によってシートクッション1aが既に基準ラインP上に位置している場合は、シートクッション1aは基準ラインP上に沿って移動する。
以上のようにして、本実施形態では、メイン操作スイッチ181により前記基本移動手段87と復帰手段88と前記シートクッション微調整手段90の操作が可能となり、各手段に対して個別にスイッチを設ける場合に比べて装置を簡素化することができる。
なお、前記シートクッション微調整手段90は、前記メイン操作スイッチ181が上下方向に押動操作された場合には、前記微調整スイッチ82が上下方向に押動操作された場合と同様に前記シートクッション1aを前記第1微調整ラインQに沿って上下方向に移動させる。
ここで、前記メイン操作スイッチ181の前後方向の押動操作に基づいて、シートクッション1aを移動させる手段を、前記基本移動手段87と、前記復帰手段88と、前記シートクッション微調整手段90とで切り替えるための具体的な構成は前記に限らない。例えば、前記メイン操作スイッチ181の操作が、前回のこのメイン操作スイッチ181の操作から所定時間以上経過して実施された場合にのみ前記カウンタCのカウントアップを行なうようにしてもよい。このようにすれば、例えば、メイン操作スイッチ181を複数回にわたり少しずつ操作して、シートクッション1aの位置をより適切な位置に微調整することが可能となる。
また、前記前後位置調整機構2および前記座面調整機構3の具体的構造は前記に限らない。
また、前記現在のシートクッション1aの位置を算出する方法は前記に限らない。例えば、前記シートスライドアッパレール42の位置を検出するセンサや前記連結ピン63の位置を検出するセンサを取り付け、これらセンサによりシートクッション1aの位置を検出するようにしてもよい。