本発明の一実施形態に係る車体構造1を、図1〜6を用いて説明する。図1は、本発明で言う車体の一例である車体10が分解された状態を示す斜視図である。図1に示すように、車体10は、車幅方向両端部に1つずつ配置されて車体10の側壁部11となるサイドストラクチャ20と、サイドストラクチャ20間に掛け渡されるルーフパネル部30となどを備えている。
図1では、ルーフパネル部30とサイドストラクチャ20とが分解された状態を示している。図中車体10の前部に符号5を付し、後部に符号6を付している。
車幅方向一端部のサイドストラクチャ20と、他端部のサイドストラクチャ20の構造は、本実施形態では、同様である。このため、一端部のサイドストラクチャ20の構造を代表して説明する。なお、ここで、車体前後方向A、車幅方向B、車体上下方向Cを定義する。
車体前後方向A、車幅方向B、車体上下方向Cを、車体10を有する車両(図示せず)が重力の作用する方向に直交する面上に配置された状態で定義する。重力の作用する方向に平行な方向を車体上下方向Cとし、重力の作用方向前側を下方とし、重力の作用する方向とは逆方向を上方向とし、上側、下側を定義する。車体10に設定される前部とこれに反対側の後部とによって車体前後方向Aを定義する。車体前後方向Aは、車体上下方向Cに直交する。車幅方向Bは、車体前後方向Aと車体上下方向Cとに直交する方向である。方向A,B,Cは、互いに直交する。方向A,B,Cは、車体10に対して一定に設定されており、車体10の姿勢によって変化するものではない。
サイドストラクチャ20は、上端部に設けられて車体前後方向Aに延びるサイドルーフレイル40と、サイドルーフレイル40に固定されるとともに、サイドルーフレイル40と交差する方向に延びる複数のピラーを備えている。本実施形態では、一例として、フロントピラー50と、センターピラー60と、リアピラー70とを備えている。フロントピラー50とセンターピラー60とリアピラー70とは、本発明で言うピラーの一例である。
図2は、ルーフパネル部30がサイドストラクチャ20に取り付けられた状態において、図1に示されるF2の方向にそって車体10を見た状態を示す側面図である。図3は、図2に示されるF3−F3線に沿って示す断面図である。図3は、車体10を車幅方向Bに断面した状態を示している。図3に示すように、サイドルーフレイル40は、サイドルーフレイルインナ41と、サイドアウタ42と、サイドルーフレイルリンホース43とを備えている。
図2に示すように、サイドルーフレイルインナ41は、車体前後方向Aに延設されている。サイドアウタ42は、サイドストラクチャ20全体のボデー外板を構成する部材であり、サイドルーフレイルに対応する部位がサイドルーフレイルインナ41よりも車体外側に配置されて車体前後方向Aに延設されている。サイドルーフレイルリンホース43は、サイドルーフレイルインナ41とサイドアウタ42との間に収容されており、車体前後方向Aに延設されている。サイドルーフレイルリンホース43は、サイドルーフレイル40の補強部材として機能するため、求められる高い剛性を有している。サイドルーフレイルリンホース43は、高い剛性を有する構造の一例として、求められる剛性が得られる板厚を有している。
なお、本発明で言う、車体前後方向に延設されるとは、車体前後方向Aに平行に延びることに限定されるものではない。このため、上記した、サイドルーフレイル40と、サイドルーフレイルインナ41と、サイドアウタ42と、サイドルーフレイルリンホース43とが車体前後方向Aに延びるとは、車体前後方向Aに平行であることだけに限定されない。
図3に示すように、サイドルーフレイルインナ41は、上下端にフランジ41a,41bが形成されている。フランジ41aは、車幅方向B内側に延びている。フランジ41bは、車体上下方向Cに対して斜め下方に延びている。
サイドルーフレイルリンホース43の上端部43dは、車幅方向Bに延びている。また、サイドルーフレイルリンホース43は、下端にフランジ43bが形成されている。サイドルーフレイルインナ41とサイドルーフレイルリンホース43とは、サイドルーフレイルリンホース43の上端部43dが車体上方からフランジ41aに接触し、フランジ41b,43bが互いに接触することによって、車幅方向Bに沿う断面が閉断面となるように組み合わさっている。上端部43dは、フランジ41aに、例えば溶接されて結合されている。フランジ41bは、フランジ43bに、例えば溶接されて結合されている。
図1に示すように、フロントピラー50は、車体前部5に配置されており、車体上下方向Cに延びている。フロントピラー50の上端部は、サイドルーフレイル40に結合されている。リアピラー70は、車体後部6に配置されており、車体上下方向Cに延びている。リアピラー70の上端部は、サイドルーフレイル40に結合されている。センターピラー60は、車体前後方向中央に配置されており、車体上下方向Cに延びている。センターピラー60の上端部は、サイドルーフレイル40に結合されている。
なお、本発明で言う、車体上下方向に延設されるとは、車体上下方向Cに平行に延びることに限定されるものではない。このため、上記した車体上下方向Cに延びるとは、車体上下方向Cに平行に延びることだけに限定されるものではない。フロントピラー50とセンターピラー60との間と、センターピラー60とリアピラー70との間とには、乗降用の開口12,13が形成される。
各ピラーの構造と、各ピラーの上端部とサイドルーフレイル40との結合部とについては、後で具体的に説明する。
ルーフパネル部30は、ルーフパネル31と、複数のルーフボウとを備えている。図1に示すようにルーフパネル31は、一方のサイドストラクチャ20から他方のサイドストラクチャ20に掛け渡される大きさを有している。
複数のルーフボウは、図中点線で示される。複数のルーフボウは、本実施形態では一例として、車体前部5に配置されるフロントルーフボウ32と、車体前後方向中央に配置されるセンタールーフボウ33と、車体後部6に配置されるリアルーフボウ34とを備えている。これらルーフボウは、ルーフパネル31において車体内側の面に、例えば溶接されることによって、結合されている。この結合については、後で具体的に説明する。フロントルーフボウ32とセンタールーフボウ33とリアルーフボウ34とは、本発明で言う梁部材の一例である。
各ルーフボウは、車体前後方向Aに互いに離間して配置されている。各ルーフボウは、車幅方向Bに延設されており、一方のサイドルーフレイル40から他方のサイドルーフレイル40に掛け渡される長さを有している。各ルーフボウは、車体10のルーフ部の骨格部材として機能しており、それゆえ、高い剛性を有している。なお、本発明で言う、車幅方向に延設されるとは、車幅方向Bに平行であることだけに限定されるものではない。このため、ルーフボウ32,33,34は、車幅方向Bに平行に延びることだけに限定されるものではない。
フロントルーフボウ32は、各サイドルーフレイル40においてフロントピラー50が結合される部位の近傍に結合されている。センタールーフボウ33は、各サイドルーフレイル40においてセンターピラー60が結合される部位の近傍に結合されている。リアルーフボウ34は、各サイドルーフレイル40においてリアピラー70が結合される部位の近傍に結合されている。各ルーフボウとサイドルーフレイル40との結合については、後で具体的に説明する。
フロントルーフボウ32とセンタールーフボウ33とリアルーフボウ34の構造は、本実施形態では、同様である。センタールーフボウ33の構造を代表して説明する。図3に示すように、センタールーフボウ33は、車幅方向Bに延びるセンタールーフボウアッパ35と、車幅方向Bに延びるセンタールーフボウロア36とを備えている。
センタールーフボウアッパ35の両端部35aは、センタールーフボウロア36の両端部36aよりも、車幅方向外側に延びている。センタールーフボウロア36は、センタールーフボウアッパ35に対して隙間を有して重なっており、両端部36aがセンタールーフボウアッパ35に溶接されることによって、センタールーフボウアッパ35とセンタールーフボウロア36とが互いに結合され、センタールーフボウ33が構成される。端部36aがセンタールーフボウアッパ35に溶接されて結合される結合部をP1で示す。なお、図3では、車幅方向Bの一端部でのセンタールーフボウアッパ35とセンタールーフボウロア36との結合のみ示されているが、他端部でも同様である。フロントルーフボウ32とリアルーフボウ34とも同様にアッパとロアとを備える構造である。
ついで、サイドルーフレイル40と各ルーフボウとの結合構造を説明する。ルーフボウ32〜34の各々とサイドルーフレイル40との結合構造は、各々同じであってよい。このため、サイドルーフレイル40とセンタールーフボウ33との結合部の構造を代表して説明する。
図3は、車幅方向Bの一端部でのサイドルーフレイル40とセンタールーフボウ33との結合構造を示している。図4は、車幅方向Bの一端部での結合構造を示しており、図2中に示すF4−F4線に沿って車幅方向Bに平行な方向に沿って切断した状態を示す斜視図である。図4からは、ルーフパネル31と、サイドアウタ42となどが省略されている。なお、サイドルーフレイル40とセンタールーフボウ33との結合構造は、車幅方向Bの他端部であっても同様であるので、車幅方向Bの一端部を代表して説明する。
図2〜4に示すように、サイドルーフレイルインナ41には、センターピラー60が結合される部位の近傍において、サイドルーフレイルリンホース43の一部がサイドルーフレイルインナ41よりも車幅方向内側に位置するように、車幅方向外側に向かって凹む凹部90が形成されている。
そして、サイドルーフレイルリンホース43の凹部90で囲まれる(サイドルーフレイルインナ41よりも車幅方向内側に位置する)部位にセンタールーフボウアッパ35の端部が結合されている。つまり、サイドルーフレイルインナ41は、サイドルーフレイルリンホース43とルーフボウアッパ35との結合部P2を避けるように車幅方向外側に凹設されている。
凹部90は、サイドルーフレイルインナ41の車体上下方向Cの上端から中腹までの範囲に形成されており、縦壁部45と、縦壁部45の両側に隣接して連続する一対の側壁部46とを有している。縦壁部45と側壁部46との間には、角部300が形成される。凹部90は、縦壁部45と側壁部46とによって形成される。
図2、図4に示すように、サイドルーフレイルインナ41において凹部90以外の壁面を成す主壁部200は、車体上下方向Cに対して傾斜している。具体的には、主壁部200は、上端のフランジ41aが下端のフランジ41bより車幅方向内側となるよう傾斜している。主壁部200は、車体前後方向A(サイドルーフレイルインナ41の延びる方向)に一定の傾斜で形成される。凹部90の側壁部46と主壁部200との間には、角部301が形成される。
車体上下方向Cに対する、縦壁部45と主壁部200の傾きについて具体的に説明する。なお、基本的に、凹部90の車体前後方向両側および車体上下方向下方側における主壁部200の車体上下方向Cに対する傾きは、同じである。図3に、2点鎖線で囲まれる範囲F3aを拡大して示している。範囲F3aには、2点鎖線で凹部90の前後における主壁部200の一部を示して、縦壁部45との傾きの違いを比較している。
範囲F3aに示すように、主壁部200は、下端のフランジ41bから車体上下方向上側でかつ車幅方向内側に直線状に延びている。主壁部200の延びる方向をDとする。車体上下方向Cと方向Dとのなす角度を、αとする。つまり、車体上下方向Cに対して主壁部200は、車幅方向内側に向かって角度α傾いている。
縦壁部45は、主壁部200よりもより車体上下方向上側に向いた状態で直線状に延びている。縦壁部45の延びる方向をEとする。車体上下方向Cと方向Eとのなす角度を、βとする。つまり、車体上下方向Cに対して縦壁部45は、車幅方向内側に向かって角度β傾いている。角度βは、角度αよりも小さい(β<α)。
つまり、縦壁部45は、主壁部200よりも車体上下方向Cに近い状態に立設されている。
フランジ41aは、サイドルーフレイルリンホース43の上端部43dの車幅方向Bの内側端部43cに溶接により結合されている。そして、フランジ41aにおいて、凹部90の形状に沿って縦壁部45と側壁部46との上端に形成された部分であるフランジ41cは、上端部43dの内側端部43cよりも車幅方向外側でサイドルーフレイルリンホース43に溶接されることによって結合されている。本実施形態では、フランジ41cの全域が溶接されて形成される結合部P3を、2点鎖線で示している。なお、フランジ41cが部分的にスポット溶接されて結合される構造でもよい。フランジ41cは、本発明で言う縦壁部の上縁の一例である。
フランジ41cは、縦壁部45の上端から車幅方向内側に延びている。車体上下方向Cに対する縦壁部45の傾きβおよび主壁部200の傾きαの関係がβ<αであることによって、縦壁部45は、車体上方から入力される荷重に対して主壁部200よりも剛性が高くなる。なお、サイドルーフレイルインナ41において、凹部90の側壁部46も縦壁部45同様、主壁部200より車体上下方向Cに対する傾きが小さく、車体上下方向Cにおける剛性が高い。つまり、サイドルーフレイルインナ41において、凹部90が形成された部分は、凹部90以外の部分である主壁部200よりも車体上下方向Cでの剛性が高くなっている。
車体上下方向Cに対する縦壁部45の傾きは、サイドルーフレイルインナ41の延びる方向(本実施形態では車体前後方向A)に一定であり、角度βである。車体上下方向Cに対する主壁部200(凹部90以外の部分)の傾きは、サイドルーフレイルインナ41の延びる方向に一定であり、角度αである。なお、サイドルーフレイルインナ41において、主壁部200(凹部90を除く部位)の車体上下方向Cに対する傾斜角度は、角度αに限定されるものではなく、角度βよりも大きければよい。また、主壁部200全体が同一の傾斜角度とされる必要はなく、車体上下方向Cに対する傾斜角度が角度βよりも大きければ、部分的に傾斜角度が違ってもよい。
なお、縦壁部45の延びる方向Eは、車体上下方向Cに略平行であってもよい。または、縦壁部45は、車体上下方向Cに平行であってもよい。車体上下方向Cに対する、方向Eの傾き角度が小さいほど、凹部90の剛性が向上し、それゆえ、凹部90の近傍の剛性も向上する。
サイドルーフレイルリンホース43の上端部43dの車幅方向Bの内側端部43cの一部43eは、凹部90を通してサイドルーフレイルインナ41よりも車幅方向内側に出ている。縦壁部45は、一部43eよりも車幅方向外側に位置する。サイドルーフレイルリンホース43の内側端部43cの一部43eは、凹部90の縦壁部45と側壁部46によって囲まれている。
センタールーフボウ33は、サイドルーフレイルインナ41の凹部90に対向するように配置されている。図6は、端部42aを外側から見た状態を、ルーフパネル31を省いて示す斜視図である。図6に示すように、サイドアウタ42の車幅方向内側端部42aは、内側端部43cの一部43eと車体上下方向Cに重ならないように、一部43eよりも車幅方向外側に位置している。具体的には、端部42aにおいて、一部43eに車体上下方向Cに重なる範囲が、切りかかれたように凹んでいる。
このため、センタールーフボウアッパ35の端部35aは、サイドアウタ42に干渉することなく(接触することなく)内側端部43cにおいて凹部90から出ている部分(一部43e)に、上側から接触する。ルーフパネル31の端部31aは、上側からセンタールーフボウアッパ35の端部35aに接触する。
そして、ルーフパネル31の端部31aと、センタールーフボウアッパ35の端部35aと、サイドルーフレイルリンホース43の内側端部43cの一部43eとが、スポット溶接されて互いに結合されている。この溶接部が結合部P2となる。結合部P2は、溶接される箇所であり、本発明で言う結合部の一例である。上記構造により、凹部90は、結合部P2を避けて車幅方向外側に凹む構造となる。つまり、サイドルーフレイルインナ41は、サイドルーフレイルリンホース43とルーフボウアッパ35との結合部P2を避けるとともに結合部P2の周囲を囲むように車幅方向外側に凹設されている。また、フランジ41aの一部であるフランジ41cは、結合部P2の近傍でサイドルーフレイルリンホース43に結合される。
フロントルーフボウ32とサイドルーフレイル40とルーフパネル31との結合構造と、リアルーフボウ34とサイドルーフレイル40とルーフパネル31との結合構造とにおいても、上記と同様に凹部90が形成され、ルーフボウとサイドルーフレイルインナ41とルーフパネル31との3つの部材がスポット溶接されて結合される。
ついで、サイドルーフレイル40と各ピラーとの結合構造および各ピラーの具体的な構造を説明する。フロントピラー50、センターピラー60、リアピラー70の各々とサイドルーフレイル40との結合構造は各々同じである。また、各ピラーの構造は、各々同じである。このため、サイドルーフレイル40とセンターピラー60との結合構造と、センターピラー60の構造とを代表して説明する。
図3に示すように、センターピラー60は、センターピラーインナ61と、センターピラーリンホース62と、センターピラーサポート63とを備えている。センターピラーインナ61は、サイドルーフレイルインナ41に結合され、センターピラーリンホース62およびセンターピラーサポート63は、サイドルーフレイルリンホース43に結合されている。なお、センターピラー60においても、サイドルーフレイル40同様、外板を形成するアウタ部材がサイドアウタ42により構成されている。
図5は、図4に示されるセンターピラー60がサイドルーフレイルインナ41から分解された状態を示している。図4,5に示すように、センターピラーインナ61の上端部61aは、サイドルーフレイルインナ41において凹部90の下側に位置する下側部47に重ね合わされており、当該重ね合わされる部分が例えば溶接されることによって結合されている。図2に示すように、下側部47と凹部90とは、車幅方向Bに沿って見たときに、車体上下方向Cに平行な仮想線X上に配置されている。
すなわち、ピラーが結合される部分(下側部47)と凹部90とが、車幅方向Bに見たときに、上下に並んで設けられている。下側部47は、凹部90の縦壁部45に対して車体上下方向C下方側に隣接する。下側部47は、主壁部200の一部であって車体上下方向Cに対して角度αだけ傾斜している。
そして、図2,3に示すように、サイドルーフレイルリンホース43とルーフボウアッパ35との結合部P2(サイドルーフレイルリンホース43の内側端部43cの一部43e)と、サイドルーフレイルインナ41の下側部47とは、車幅方向Bに見たときに車体上下方向Cに互いに重なる位置でかつ近傍に配置されている。
図3、図4に示すように、センターピラーインナ61の上端部61aは、サイドルーフレイルインナ41の下側部47に沿うように車体内側に向かって傾斜するように屈曲しており、サイドルーフレイルインナ41から入力される力を、上端部61aで受けるように設定されている。
上記のように、サイドルーフレイル40において、各ピラーとの結合部(下側部47)と、各ルーフボウとの結合部P2とが互いに近傍の位置に配置されている。そして、これら2つの結合部の近傍には、各結合部周縁の剛性を向上するとともに各結合部の結合をより強固とするための補強構造が設けられている。この補強構造について、サイドルーフレイル40において、センターピラー60との結合部とセンタールーフボウ33との結合部の近傍の補強構造を代表して説明する。
サイドルーフレイル40において、フロントピラー50との結合部とフロントルーフボウ32との結合部の近傍の補強構造と、リアピラーとの結合部とリアルーフボウ34との結合部の近傍の補強構造とにおいても同様であってよい。
図2〜5に示すように、サイドルーフレイルインナ41においてセンタールーフボウアッパ35との結合部P2とセンターピラーインナ61との結合部(下側部47)との間の範囲100には、サイドルーフレイルインナ41の延びる方向(長手方向)を横切るように車体上下方向Cに延びる第1のリブ110が2つ並んで形成されている。具体的には、第1のリブ110は、サイドルーフレイルインナ41の上端部のフランジ41aの凹部90におけるフランジ41cから縦壁部45と下側部47に沿って下端部のフランジ41bまで延びている。
第1のリブ110は、縦壁部45に形成される第1の部分111と、サイドルーフレイルインナ41において縦壁部45より車体上下方向下側の下側部47に形成される第2の部分112とを有しており、車体前後方向Aに離間して配置されている。第1のリブ110は、車体内側に突出する形状である。第1のリブ110は、一例として、プレス加工などでサイドルーフレイルインナ41を形成する部材を車体内側に突出するように屈曲することによって形成されている。
第1の部分111は、図2に示すように車幅方向Bに見たときに縦壁部45の上端(フランジ41c)から下方に車体上下方向Cに平行に延びている。第2の部分112は、第1の部分111の下端に連続しており、車幅方向Bに見たときに車体上下方向Cに平行にフランジ41bまで延びている。このように、第1のリブ110は、車幅方向Bに見たときに車体上下方向Cに沿って延びており、これは、本発明で言うサイドルーフレイルインナの延びる方向を横切る方向の一例である。
図2に示すように、サイドルーフレイルインナ41とルーフパネル31とセンタールーフボウアッパ35との結合部P2と、第1のリブ110とは、車幅方向Bに見ると、車体上下方向Cに並んでいる。
センターピラーインナ61には、一対の第2のリブ140が形成されている。各第2のリブ140は、車体前後方向に離間して配置されている。第2のリブ140は、センターピラーインナ61の上端から下方に向かって形成されており、本実施形体では、図2に示すように車幅方向Bに見ると車体上下方向Cに平行に延びている。第2のリブ140は、本実施形態では、例えば、センターピラーインナ61の下端まで延びている。
第2のリブ140は、センターピラーインナ61を形成する部材を車体内側に向かって突出するように、例えばプレス加工などで折り曲げることによって形成されている。このため、センターピラーインナ61の断面は、第2のリブ140が車体内側に突出する凹部状となる。
センターピラーインナ61の上端部61aが上記のようにサイドルーフレイルインナ41に重ね合わされて結合される際、一方の第1のリブ110の第2の部分112が、一方の第2のリブ140の内側に収容される。他方の第1のリブ110の第2の部分112が他方の第2のリブ140の内側に収容される。第2のリブ140の内側の形状は、第1の部分111が嵌るように考慮されている。このため、第2の部分112は、第2のリブ140内に嵌合される。第2の部分112が第2のリブ140内に嵌合した状態で、上端部61aが例えば溶接されることによってサイドルーフレイルインナ41がセンターピラーインナ61に結合される。例えば、第2の部分112と第2のリブ140とが溶接されて結合される。これにより、センターピラーインナ61とサイドルーフレイルインナ41との結合がより強固とされる。また、この結合構造によって、第1のリブ110と第2のリブ140とが一体に連続した状態とされるため、ルーフ側から入力される荷重を第1のリブ110と第2のリブ140を介してセンターピラーインナ61側へ効率よく伝達することができる。
さらに、上記補強構造に加えて、サイドルーフレイルインナ41において車体前後方向Aに沿って両第1のリブ110を挟んだ両側120,121には、各々第3のリブ130が形成されている。各第3のリブ130は、サイドルーフレイルインナ41が延びる方向にそって延びている。各第3のリブ130は、車体内側に向かって突出する形状であり、例えばプレス加工などでサイドルーフレイルインナ41を形成する部材を車体内側に突出するように屈曲することによって形成されている。
車体前側120に形成される第3のリブ130は、車体前側に向かって延びており、例えば、フロントピラー50の近傍まで延びている。車体後側121に形成される第3のリブ130は、車体前後側に向かって延びており、例えば、リアピラー70の近傍まで延びている。言い換えると、第3のリブ130は、隣り合うピラーの近傍まで延びている。
このように形成される車体構造1では、サイドルーフレイル40においてセンタールーフボウ33が結合される結合部P2を囲むように凹部90を形成したので、結合部P2の周囲の剛性と強度を高めることができる。
しかも、凹部90の縦壁部45の車体上下方向Cに対する傾斜角度を主壁部200の傾斜角度より小さくする(角度β<角度α)ことで凹部90の縦壁部45および側壁部46を主壁部200より立たせた状態として、結合部P2の近傍を下方から支持する構成としている。これにより、結合部P2の周囲を、凹部90によってより強固に支持することができる。つまり、横転等により、ルーフボウアッパ35とサイドルーフレイルリンホース43との結合部P2に両者を引き剥がすような応力が作用したとしても、凹部90の縦壁部45および側壁部46によって支えることで結合部P2での結合が剥がれるのを阻止することができる。この結果、結合部P2およびその近傍の剛性を高めることができ、横転等によりサイドルーフレイル40が変形しにくい構造を得ることができる。なお、凹部90の形状は、凹部90によって求められる剛性を確保できるように設定される。車体上下方向Cに対する縦壁部45の傾斜角度が小さい(縦壁部45が車体上下方向Cに略平行、または、平行)ほど、縦壁部45による支持機能が向上し、それゆえ、凹部90の剛性を高めることができる。
さらに、縦壁部45に第1のリブ110を形成して縦壁部45の車体上下方向Cでの剛性を向上することによって、凹部90の剛性をより一層向上することができるので、結合部P2およびその近傍の剛性をより一層高めることができる。
さらに、センターピラーインナ61の上端部61aをサイドレールインナ41の凹部90の下方に位置する下側部47の傾斜に合せて結合し、第1のリブ110とセンターピラーインナ61の第2のリブ140とが連続するように構成しているので、車体上方側のルーフ部から入力された荷重を効率よくセンターピラー60側に伝達することができる。
しかも、第1のリブ110の一部(第2の部分112)が第2のリブ140の内側に嵌合した状態で結合されるので、サイドルーフレイルインナ41とセンターピラーインナ61との結合が強固となる。
また、第1のリブ110および第2のリブ140に加えて、サイドルーフレイルインナ41において第1のリブ110を挟んで車体前側120と車体後側121とに第3のリブ130が形成されることによって、サイドルーフレイル40の剛性が高められるので、車体10のルーフパネル部30やサイドルーフレイル40の近傍に入力される力を第3のリブ130によって車体10の他の部分に効率よく伝達することができる。さらに、第3のリブ130が第1のリブ110を挟んで両側に形成されることによって、力が効率よく分散されるようになる。
上記のように本発明の構成によれば、剛性を向上するために別部品(補強部材)を用いたり、センターピラー60やサイドルーフレイル40などの板厚を大きくしたりする必要がないので、コストや重量の増加を招くことなく、サイドルーフレイル40とルーフボウとの結合部P2の近傍周辺、しいては、ルーフ部全体が補強されて剛性を向上させることができる。
本実施形態では、フロントルーフボウ32とサイドルーフレイル40との結合構造と、リアルーフボウ34とサイドルーフレイル40との結合構造とは、センタールーフボウ33とサイドルーフレイル40との結合部の構造と同様であるとした。このため、フロントルーフボウ32とサイドルーフレイル40との結合構造と、リアルーフボウ34とサイドルーフレイル40との結合構造においても、上記と同様の効果が得られる。
フロントピラー50とサイドルーフレイル40との結合部の構造と、リアピラー70とサイドルーフレイル40との結合部の構造とは、センターピラー60とサイドルーフレイル40との結合部の構造と同様であるとした。このため、フロントピラー50とサイドルーフレイル40との結合部の構造と、リアピラー70とサイドルーフレイル40との結合部の構造においても同様の効果が得られる。
サイドルーフレイル40において、フロントルーフボウ32との結合部とフロントピラー50との結合部の近傍の補強構造と、サイドルーフレイル40において、リアルーフボウ34との結合部とリアピラー70との結合部の近傍の補強構造とを、サイドルーフレイル40において、センタールーフボウ33との結合部とセンターピラー60との結合部の近傍の補強構造同様であるとした。
このため、サイドルーフレイル40において、フロントピラー50との結合部とフロントルーフボウ32との結合部との近傍の補強構造と、サイドルーフレイル40において、リアルーフボウ34との結合部とリアピラー70との結合部との近傍の補強構造とにおいても、上記と同様の効果が得られる。
フロントピラー50とサイドルーフレイル40との結合部周りの補強構造と、リアピラー70とサイドルーフレイル40との結合部周りの補強構造においては、第3のリブ130は、第1のリブ110を挟んで少なくとも一方にあればよい。具体的には、サイドルーフレイル40は、フロントピラー50よりも前側には延びていない。このため、フロントピラー50よりも前に第3のリブ130を形成することができない場合は、フロントピラー50よりも後側にのみ形成されてもよい。なお、この場合、センターピラー60とサイドルーフレイル40との結合部周りの補強構造用に設けられる第3のリブ130を共通して用いるようにしてもよい。
複数の梁部材とピラーとを備える構造においては、少なくとも1つの梁部材とサイドルーフレイルとの結合部の構造、少なくとも1つのピラーとサイドルーフレイルとの結合部の構造、これら2つの結合部の補強構造に、上記代表して説明されたサイドルーフレイル40とセンタールーフボウ33との結合構造、サイドルーフレイル40とセンターピラー60との結合構造、およびこれら2つの結合部近傍の補強構造が採用されれば、車体の剛性を高めることができる。
本実施形態のように、全てに上記構造が用いられれば、車体のルーフ部の剛性をさらに高めることができる。
また、本実施形態では、車幅方向両端部で上記された結合構造と補強構造とが採用されている。しかしながら、車幅方向一端部のみに上記結合構造と補強構造とが用いられても車体の剛性を高めることができる。本実施形態のように、車幅方向両端部に用いられることによって、車体の剛性をさらに向上することができる。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。