JP5417680B2 - 樹脂組成物、積層体、配線板および配線板の製造方法 - Google Patents
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また、本発明の目的は、加工性に優れる積層体を提供することである。
また、本発明の目的は、電気特性に優れた配線板およびその製造方法を提供することである。
[1] 配線板の絶縁層を構成する樹脂組成物であって、
(A)下記一般式(2a)〜(2d)で表される4種類のノルボルネン系モノマーを付加共重合させた付加型ノルボルネン系樹脂と、(B)平均粒径2μm以下の球状シリカと、(C)反応開始剤とを必須成分とし、さらにエポキシ樹脂およびオキセタン樹脂の少なくともいずれか一方を含み、前記一般式(2a)〜(2d)で表される4種類のノルボルネン系モノマーの構成比率をそれぞれa,b,c、およびdモル%とした場合、75≦a≦80、2.5≦b≦10、2.5≦c≦5、10≦d≦15を満たし、前記(A)は、樹脂組成物に対して10〜50重量%であり、前記(B)は、樹脂組成物に対して30〜80重量%であり、前記(C)は、樹脂組成物の樹脂成分に対して0.1〜10重量%であり、200℃で1時間熱処理した樹脂組成物の−50〜150℃の熱膨張率が60ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
R1は水素または炭素数1〜3の炭化水素基、R2は、オキシランまたはオキセタンである環状エーテル基、R3はトリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基、R4は炭素数4〜12の炭化水素基を示す。nは0から2の整数を示す。]
[式(2a)〜(2d)中のXは、−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を示し、R1は水素または炭素数1〜3の炭化水素基、R2は環状エーテル基または反応性二重結合を有する有機基、R3はアルコキシシリル基を含む基、R4は炭素数4〜12の炭化水素基を示す。nは0から2の整数を示す。]
前記球状シリカは、予め表面処理されたものである[1]項に記載の樹脂組成物。
[3]
前記球状シリカを予め表面処理する表面処理剤が、官能基含有シラン類、環状オリゴシロキサン類、オルガノハロシラン類、オルガノアルコキシシラン類、アルキルシラザン類およびシロキサン結合の繰り返し単位を2個以上、かつアルコキシ基を有するシリコーンオイル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である [2]項に記載の樹脂組成物。
[4]
前記官能基含有シラン類が、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、ウレイドシラン、(5−ノルボルネン−2−イル)アルキルシランおよびフェニルシランからなる群から選ばれるものである[3]項に記載の樹脂組成物。
[5]
オルガノハロシラン類が、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシランおよびメチルトリクロロシランからなる群から選ばれるものである[3]項に記載の樹脂組成物。
[6]
前記アルキルシラザン類がヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザンおよびへキサメチルシクロトリシラザンからなる群から選ばれるものである[3]項に記載の樹脂組成物。
[7]
配線板に用いる積層体であって、[1]ないし[6]項のいずれかに記載の樹脂組成物より構成される樹脂層と、キャリアフィルムとを積層してなることを特徴とする積層体。
[8]
[1]ないし[6]項のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて絶縁層を形成する工程と、回路層を形成する工程と、前記絶縁層をレーザー照射により開孔する工程とを含む配線板の製造方法。
[9]
前記絶縁層を形成する工程は、前記樹脂組成物を塗布して形成するものである[8]項に記載の配線板の製造方法。
[10]
前記絶縁層を形成する工程は、前記樹脂組成物を用いて得られたフィルムをラミネートして形成するものである[8]または[9]に記載の配線板の製造方法。
[11]
前記絶縁層を形成する工程におけるフィルムは、[7]項に記載の積層体である[10]項に記載の配線板の製造方法。
[12]
前記絶縁層を加熱硬化する工程を含む[8]ないし[11]項のいずれかに記載の配線板の製造方法。
[13]
[8]ないし[11]項のいずれかに記載の配線板の製造方法により得られる配線板。
[14]
[7]項に記載の積層体を用いて形成された樹脂層を有することを特徴とする配線板。
また、本発明によれば、加工性に優れる積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、電気特性に優れた配線板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、配線板の絶縁層を構成する樹脂組成物であって、水素または炭素数1〜3の炭化水素基、環状エーテル基または反応性二重結合を有する有機基、アルコキシシリル基を含む基、および炭素数4〜12の炭化水素基を含む付加型ノルボルネン系樹脂と、平均粒径2μm以下の球状シリカとを必須成分とし、−50〜150℃の熱膨張率が60ppm以下であることを特徴とする。
また、本発明の積層体は、上記に記載の樹脂組成物が、キャリアフィルム(キャリア材料)の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の配線板は、上記に記載の樹脂組成物で絶縁層を構成することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、配線板の絶縁層を構成するものである。電気信号の高速伝送化が要求される配線板に、電気特性が優れる絶縁層を提供するためである。
前記樹脂組成物は、下記一般式(1a)〜(1d)の構造単位を含む付加型ノルボルネン系樹脂を含む。これにより、絶縁層を形成した場合に電気特性、耐熱性、および機械強度に優れる。
前記樹脂組成物は、平均粒径2μm以下の球状シリカを含む。これにより、−50〜150℃の熱膨張率が60ppm以下である樹脂層が得られるため導体配線間の熱膨張率差による発生応力を低減することができる。また、鉛フリーのリフロー工程に耐えうる耐熱性を有する。更には、ファインピッチの配線に対応して絶縁層の薄膜化が可能である。そのため、高密度化、薄膜化の配線板において実装信頼性および接続信頼性に優れる。
[式(2a)〜(2d)中のXは、−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を示し、R1は水素または炭素数1〜3の炭化水素基、R2は環状エーテル基または反応性二重結合を有する有機基、R3はアルコキシシリル基を含む基、R4は炭素数4〜12の炭化水素基を示す。nは0から2の整数を示す。]
かつ 50≦a+d≦95、 5≦b+c≦50 (3)
[但し、a+b+c+d=100である。]
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
前記付加型ノルボルネン系樹脂の分子量分布[重量平均分子量:Mwと、数平均分子量:Mnとの比(Mw/Mn)]は、特に限定されないが、5以下が好ましく、特に4以下が好ましく、特に1〜3が好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、機械強度に特に優れる。
また、上記方法で重量平均分子量や分子量分布が測定できない付加型ノルボルネン系樹脂の場合には、通常の溶融加工法により樹脂層を形成し得る程度の溶融粘度や重合度を有するものを使用することができる。前記付加型ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜制御できるが、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。
さらには、ホスフィン化合物は、ホスホニウム塩が好ましい。これにより、十分な潜在性と架橋速度を併せ持つことができる。これらは、単独または2種類以上を併用してもよい。
また、アゾビスイソブチロニトリル、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカルボナート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。
4,4’−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’,4”−トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルフォニウムジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(2−メチルプロピル)フェニル(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイトとそれらの混合物である。
図1は、本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
積層体1は、上記の樹脂組成物で構成される樹脂層3と、キャリアフィルム2とを積層してなるものである。
上記樹脂組成物で構成される樹脂層により、電子機器の高速伝送化を可能とする。また、電気特性およびレーザー加工性に優れる特性を有する絶縁層として用いることができる。
樹脂組成物で構成される樹脂層3の厚さは、特に限定されないが、0.1〜60μmが好ましく、特に1〜40μmが好ましい。樹脂組成物で構成される樹脂層の厚さは、絶縁信頼性を向上させる上で前記下限値以上が好ましく、多層配線板における目的の一つである薄膜化を達成する上で前記上限値以下が好ましい。
図2は、本発明の配線板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、配線板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
コア基板5には、ドリル機で開口された開口部51が形成されている。また、コア基板5の両表面には導体回路52が形成されている。
開口部51の内部はメッキ処理されており、コア基板5の両表面の導体回路52が導通されている。
また、樹脂層3の両表面には、第2導体回路32が形成されている。
導体回路52と、導体回路32とは、開口部31を介して導通されている。
また、キャリア材料として金属層を用いた場合、該金属層を導体回路として加工することができる。
次に、導体ポストを形成する(図3(e))。導体ポスト107の形成方法としては、公知の方法である電解メッキ等で形成することができる。例えば、導体回路106を電解メッキ用リードとして、銅電解メッキを行い、銅で充填し銅ポストを形成することができる。これらの方法により、配線板を得ることができる。
上記配線板を得る工程において、上記図3(b)〜図3(e)で示した工程を繰り返すことにより、さらに多層の配線板を得ることができる。
付加型ノルボルネン系樹脂として5−メチル−2−ノルボルネン/(2−ノルボルネン−5−イル)メチルアクリレート/5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン/5−デシル−2−ノルボルネン(75/10/5/10)モノマーの付加共重合体(A−1、Mw=150,000)を用いた。なお、付加型ノルボルネン系樹脂(A−1)は、下記の方法で合成した。
[付加型ノルボルネン系樹脂(A−1)の合成]
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−メチルー2−ノルボルネン40.57g(0.375mol)、(2−ノルボルネン−5−イル)メチルアクリレート9.62g(0.05mol)、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン6.06g(0.025mol)、5−デシル−2−ノルボルネン11.72g(0.05mol)、重合溶剤としてトルエン216gを仕込んだ。次いで、遷移金属触媒([(アセチル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)(アセトニトリル)パラジウム])0.0482g(4.0×10-5mol)、ルイス酸としてジメチルフェニルアンモニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート0.0641g(8.0×10-5mol)、分子量調節剤としてトリエトキシシラン0.58gとを、トルエン10gに溶解させ、触媒溶液を反応容器に投入した。70℃で3時間攪拌重合させた後、樹脂溶液をメタノール中に投入し樹脂を析出させた。固形分を濾過後、減圧乾燥し溶剤を除き付加型ノルボルネン系樹脂(ポリマーA−1)を得た。
熱歪測定装置(セイコーインスツルメント社製、EXSTAR6000 TMA/SS)を用いて、荷重20mN、昇温速度5℃/min、温度範囲−50〜350℃で測定した。−50〜150℃の熱膨張率は−50〜0℃、0〜50℃、50〜100℃、100〜150℃での各平均熱線膨張係数を算出しその平均値として算出して評価した。また、変曲点をガラス転移温度とした。なお積層体よりキャリアフィルムを除去し、続いて窒素雰囲気下の乾燥機により200℃で1時間熱処理した樹脂組成物をサンプルとした。
各符号は以下の通りである。
◎:30ppm未満
○:30〜60ppm以下
△:60〜90ppm以下
×:90ppm以上
周波数1.0GHzにおける誘電特性(誘電率、誘電正接)を測定した。測定機器は、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製、マイクロ波ネットワークアナライザ HP8510B)を用いた。なお積層体よりキャリアフィルムを除去し、続いて窒素雰囲気下の乾燥機により200℃で1時間熱処理した樹脂組成物をサンプルとした。
実施例1の球状シリカをヘキサメチルジシラザンで表面処理し、樹脂組成物に対して含有量を60重量%にした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
球状シリカの表面処理剤およびエポキシ樹脂として以下のものを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
球状シリカの表面処理剤としてN−3−アミノプロピルトリメトキシシランを、エポキシ樹脂としてジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテルを用いた。また、配合量は(ポリマーA−1)10g、表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製、SE−2030、平均粒径0.5μm、3μm粗粒カット)30.0g、エポキシ樹脂10g、反応開始剤として(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)0.1g、UV吸収剤として2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.15gとを、メシチレン溶剤中に50%になるように溶解させた。この場合、球状シリカ含有量は樹脂組成物に対して60重量%である。
エポキシ樹脂として以下のものを用いた以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
エポキシ樹脂としてビシクロヘキシルー3,3’−ジオキシドを用いた。また、配合量は(ポリマーA−1)10g、表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製、SE−2030、平均粒径0.5μm、3μm粗粒カット)30.0g、エポキシ樹脂10g、反応開始剤として(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)0.1g、UV吸収剤として2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.15gとを、メシチレン溶剤中に50%になるように溶解させた。この場合、球状シリカ含有量は樹脂組成物に対して60重量%である。
エポキシ樹脂の一部を以下のオキセタン樹脂にした以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
オキセタン樹脂として、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニルを用いた。また、配合量は(ポリマーA−1)10g、表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製、SE−2030、平均粒径0.5μm、3μm粗粒カット)30.0g、エポキシ樹脂5g、オキセタン樹脂5g、反応開始剤として(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)0.1g、UV吸収剤として2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール0.15gとを、メシチレン溶剤中に50%になるように溶解させた。この場合、球状シリカ含有量は樹脂組成物に対して60重量%である。
付加型ノルボルネン系樹脂として以下のものを用いた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
付加型ノルボルネン系樹脂として5−メチル−2−ノルボルネン/5−メチルグリシジルエーテル−2−ノルボルネン/5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン/5−デシル−2−ノルボルネン(80/2.5/2.5/15)モノマーの付加共重合体(A−2、Mw=150,000)を用いた。なお、付加型ノルボルネン系樹脂(A−2)は、下記の方法で合成した。
[付加型ノルボルネン系樹脂(A−2)の合成]
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−メチルー2−ノルボルネン43.27g(0.4mol)、5−メチルグリシジルエーテル−2−ノルボルネン2.25g(0.0125mol)、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン3.03g(0.013mol)、5−デシル−2−ノルボルネン17.75g(0.075mol)、重合溶剤としてトルエン216gを仕込んだ。次いで、遷移金属触媒([(アセチル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)(アセトニトリル)パラジウム])0.0482g(4.0×10-5mol)、ルイス酸としてジメチルフェニルアンモニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート0.0641g(8.0×10-5mol)、分子量調節剤としてトリエトキシシラン0.58gとを、トルエン10gに溶解させ、触媒溶液を反応容器に投入した。70℃で3時間攪拌重合させた後、樹脂溶液をメタノール中に投入し樹脂を析出させた。固形分を濾過後、減圧乾燥し溶剤を除き付加型ノルボルネン系樹脂を得た。
付加型ノルボルネン系樹脂として、以下のものを用いた以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
付加型ノルボルネン系樹脂として5−メチル−2−ノルボルネン/5−メチルグリシジルエーテル−2−ノルボルネン/5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン/5−デシル−2−ノルボルネン(80/2.5/2.5/15)モノマーの付加共重合体(A−2、Mw=150,000)を用いた。
付加型ノルボルネン系樹脂として、以下の2種類のノルボルネン系モノマーから重合したものを用いた以外は実施例2と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
付加型ノルボルネン系樹脂として、5−ブチル−2−ノルボルネン/5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン(90/10)モノマーの付加共重合体(ポリマーA−3、Mw=250,000)を用いた。なお、ポリマーA−3は、下記の方法で合成した。
[付加型ノルボルネン系樹脂(A−3)の合成]
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−ブチル−2−ノルボルネン20.29g(0.135mol)、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン3.64g(0.015mol)、重合溶剤としてエチルアセテート170g、シクロヘキサン147gを仕込んだ。次いで、遷移金属触媒(η6−トルエンニッケルビス(ペンタフルオロフェニル)1.04g(2.14×10-3mol)をトルエン5gに溶解させた触媒溶液を反応容器に投入した。室温で4時間攪拌重合させた後、氷酢酸47ml、30%過酸化水素水87ml、純水300mlの混合液に前記重合溶液を投入し、2時間攪拌した。水層の遷移金属触媒と樹脂溶液の有機層とに分離した溶液の水層を除去した。更に有機層を数回純水で洗浄した、そして、樹脂溶液をメタノール中に投入し樹脂を析出させた。固形分を濾過後、減圧乾燥し溶剤を除き付加型ノルボルネン系樹脂を得た。
付加型ノルボルネン系樹脂として、以下のものを用いた以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
付加型ノルボルネン系樹脂として5−メチル−2−ノルボルネン/(2−ノルボルネン−5−イル)メチルアクリレート/5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン/5−デシル−2−ノルボルネン(10/30/30/30)モノマーの付加共重合体(A−4、Mw=150,000)を用いた。なお、付加型ノルボルネン系樹脂(A−4)は、下記の方法で合成した。
[付加型ノルボルネン系系樹脂(A−4)の合成]
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−メチルー2−ノルボルネン5.41g(0.05mol)、(2−ノルボルネン−5−イル)メチルアクリレート28.85g(0.15mol)、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン36.36g(0.15mol)、5−デシル−2−ノルボルネン0.35.16g(0.15mol)、重合溶剤としてトルエン216gを仕込んだ。次いで、遷移金属触媒([(アセチル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)(アセトニトリル)パラジウム])0.0482g(4.0×10-5mol)、ルイス酸としてジメチルフェニルアンモニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート0.0641g(8.0×10-5mol)、分子量調節剤としてトリエトキシシラン0.58gとを、トルエン10gに溶解させ、触媒溶液を反応容器に投入した。70℃で3時間攪拌重合させた後、樹脂溶液をメタノール中に投入し樹脂を析出させた。固形分を濾過後、減圧乾燥し溶剤を除き付加型ノルボルネン系樹脂を得た。
ノルボルネン系樹脂および球状シリカの表面処理剤として以下のものを用いた以外は実施例6と同じにした。
ノルボルネン系樹脂として、テトラシクロ[4. 4. 0.12, 5.17, 10]ドデセンを公知の方法にて開環重合、水素添加した後、エポキシ変性したもの(ポリマーA−5、Mw=85000)を用いた。なお、ポリマーA−5は、下記の方法で合成した。シリカの表面処理剤として、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−303)を用いた。
[ポリマーA−5の合成]
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器に、テトラシクロ[4. 4. 0.12, 5.17, 10]ドデセン100部、トルエン300部、1−ヘキセン13部を加え、攪拌しながら80℃に加熱した。パラアルデヒドの0.1mol/Lのトルエン溶液0.9部、ジエチルアルミニウムクロリドの0.5mol/Lのトルエン溶液1.5部、ヘキサクロロタングステンの0.05mol/Lのクロロベンゼン溶液1部を加え、80℃で3時間反応させた。重合終了後、重合溶液を大量のメタノール中に滴下してポリマーを析出沈殿させ、濾別分離後真空乾燥を行った。このポリマー100部をテトラヒドロフラン2000部に溶解して、パラジウム触媒(活性炭担時触媒)を加え、オートクレーブ中で水素ガス圧150kg/cm2、反応温度150℃で4時間加熱して水素添加反応を行った。反応終了後、触媒を濾別し大量のメタノール中で析出させて回収した。得られた開環水素添加重合体50部をキシレン1000部に130℃で溶解させた。続いて、アリルグリシジルエーテル10部、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を5部加えて230℃で溶融混錬することによって、エポキシ変性を得た。(Mw=85000)
(実施例1A)
1.内層回路および絶縁層の形成
総厚さが0.3mmで銅箔厚さが12μmの両面銅張り積層板(住友ベークライト(株)製ELC−4781)を用いて、ドリル機で開孔後、無電解めっきで上下銅箔間の導通を図り、前記両面の銅箔をエッチングすることにより内層導体回路を両面に形成した。
次に内層導体回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行い、実施例1で得られた樹脂溶液をスピンコーティングで塗布し80℃で10分、140℃で10分乾燥させる、または得られた積層体を真空積層装置により温度150℃、圧力1MPa、時間1分の条件でラミネートした後、180℃で60分間のベーキング処理を行い、絶縁層を形成した。
次に、UV−YAGレーザー装置(三菱電機(株)製ML605LDX)を用いてφ40μmの開口部(ブラインド・ヴィアホール)を形成し、デスミア処理(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザーシリーズ)を施した後、無電解銅めっき(上村工業(株)製スルカップPRX)を15分間行い、厚さ0.5μmの給電層を形成した。次に、この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成(株)製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク((株)トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(ウシオ電機(株)製UX−1100SM−AJN01)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
実施例1で得られた積層体に替えて、実施例2〜7で得た積層体を用いて、実施例1Aと同様にしてそれぞれ配線板を得た。
実施例1で得られた積層体に替えて、比較例1〜3で得た積層体を用いて、実施例1Aと同様にしてそれぞれ配線板を得た。
接続信頼性は、温度30℃、湿度70%の雰囲気下で196時間放置後260℃リフローを3回行い、温度サイクル試験(−40℃、125℃各30分、さらしなし)を行い、100サイクル毎に導通テストして、不良発生サイクルで評価した。
各符号は以下の通りである。
◎:800サイクル以上
○:500〜800サイクル
△:100〜500サイクル
×:100サイクル未満
絶縁信頼性は、温度100℃、湿度85%の雰囲気下で電圧DC5V、配線ピッチ20μm(L/S=20/20)パターンの基板を用いて、100時間放置後の導体間の絶縁抵抗値をデジタル絶縁抵抗値で評価した。各符号は以下の通りである。
◎:絶縁抵抗値1010Ω以上
○:絶縁抵抗値108〜109Ω
△:絶縁抵抗値107〜108Ω
×:絶縁抵抗値107未満
更に、表1から明らかなように、実施例1A〜7Aは、接続信頼性および絶縁信頼性に優れていた。特に実施例3A〜7Aは接続信頼性および絶縁信頼性共に非常に優れていた。
これに対して、比較例1A〜3Aは、接続信頼性および絶縁信頼性に劣っていた。比較例3Aは、−50〜150℃の熱膨張率及びガラス転移温度が大きく劣っていたため接続信頼性および絶縁信頼性共に大きく劣る結果となった。
2 キャリアフィルム
3 樹脂層
5 コア基板
10 配線板
31 樹脂層の開口部
32 導体回路
51 コア基板の開口部
52 導体回路
101 導体回路
102 開口部
103 コア基板
104 樹脂層
105 開口部
106 導体回路
107 導体ポスト
Claims (14)
- 配線板の絶縁層を構成する樹脂組成物であって、
(A)下記一般式(2a)〜(2d)で表される4種類のノルボルネン系モノマーを付加共重合させた付加型ノルボルネン系樹脂と、(B)平均粒径2μm以下の球状シリカと、(C)反応開始剤とを必須成分とし、さらにエポキシ樹脂およびオキセタン樹脂の少なくともいずれか一方を含み、前記一般式(2a)〜(2d)で表される4種類のノルボルネン系モノマーの構成比率をそれぞれa,b,c、およびdモル%とした場合、75≦a≦80、2.5≦b≦10、2.5≦c≦5、10≦d≦15を満たし、前記(A)は、樹脂組成物に対して10〜50重量%であり、前記(B)は、樹脂組成物に対して30〜80重量%であり、前記(C)は、樹脂組成物の樹脂成分に対して0.1〜10重量%であり、200℃で1時間熱処理した樹脂組成物の−50〜150℃の熱膨張率が60ppm以下であることを特徴とする樹脂組成物。
R1は水素または炭素数1〜3の炭化水素基、R2は、オキシランまたはオキセタンである環状エーテル基、R3はトリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基、R4は炭素数4〜12の炭化水素基を示す。nは0から2の整数を示す。] - 前記球状シリカは、予め表面処理されたものである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記球状シリカを予め表面処理する表面処理剤が、官能基含有シラン類、環状オリゴシロキサン類、オルガノハロシラン類、オルガノアルコキシシラン類、アルキルシラザン類およびシロキサン結合の繰り返し単位を2個以上、かつアルコキシ基を有するシリコーンオイル類からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記官能基含有シラン類が、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、ウレイドシラン、(5−ノルボルネン−2−イル)アルキルシランおよびフェニルシランからなる群から選ばれるものである請求項3に記載の樹脂組成物。
- オルガノハロシラン類が、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシランおよびメチルトリクロロシランからなる群から選ばれるものである請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記アルキルシラザン類がヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザンおよびへキサメチルシクロトリシラザンからなる群から選ばれるものである請求項3に記載の樹脂組成物。
- 配線板に用いる積層体であって、請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物より構成される樹脂層と、キャリアフィルムとを積層してなることを特徴とする積層体。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて絶縁層を形成する工程と、回路層を形成する工程と、前記絶縁層をレーザー照射により開孔する工程とを含む配線板の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程は、前記樹脂組成物を塗布して形成するものである請求項8に記載の配線板の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程は、前記樹脂組成物を用いて得られたフィルムをラミネートして形成するものである請求項8または9に記載の配線板の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程におけるフィルムは、請求項7に記載の積層体である請求項10に記載の配線板の製造方法。
- 前記絶縁層を加熱硬化する工程を含む請求項8ないし11のいずれかに記載の配線板の製造方法。
- 請求項8ないし11のいずれかに記載の配線板の製造方法により得られる配線板。
- 請求項7に記載の積層体を用いて形成された樹脂層を有することを特徴とする配線板。
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