JP4067900B2 - 透明複合シート及びそれを用いた液晶表示素子用基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れ、かつ線膨張係数が低く、電子材料、光学材料、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板等の表示素子用基板に好適に使用できる透明複合シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示素子用基板としてはガラス板が多く用いられている。しかし、大面積化を考えた場合、割れ易い、曲げられない、比重が大きく軽量化に不向き等の問題から、近年、ガラス板の代わりにプラスチック素材を用いる試みが数多く行われるようになってきた。例えば、特開平5−61226号、特開平7−287123号公報には、吸水性が0.05重量%以下の水添熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるシートを液晶基板として用いることが提案されている。しかしながら、プラスチック素材は、ガラス板に比べ、線膨張係数が大きいため、液晶表示素子用基板の中でも、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)の場合、その製造工程おいて、アルミ配線を施したときに断線する等の不具合が生じる可能性がある。したがって、液晶表示素子基板、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)として要求される、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性や、リタデーション値が低いこと等を満足しつつ線膨張係数の小さいプラスチック素材の開発が望まれている。また、このような樹脂を用いたシートに、配向剤を塗布した場合、その中に含まれているNMP等の溶剤に侵され、シートが浸食されてしまう問題があった。さらに、液晶を封入した場合に液晶により樹脂が溶けたり、膨潤することにより、液晶が劣化したり、液晶表示素子自体が破壊してしまう問題があった。
【0003】
線膨張係数を低減する方法としては、一般に、樹脂中に無機フィラーを添加する方法や基板に無機膜を積層する等の方法がある。しかし、樹脂中に無機フィラーを添加した場合、その透明性が著しく損なわれる、表面平滑性が失われる、分散性が悪いために基板内に不均一性が生じ割れやすくなる等の問題があった。また、無機膜を積層した場合には、樹脂との密着性が悪い、線膨張係数の差が大きい等の理由から、剥離、割れ等が発生する問題があった。
【0004】
特開2001−14950号には、透明電極用基板として熱可塑性プラスチックに粒径1〜300nmの無機酸化物を10〜95重量%含有させたものを用いること、またこの透明電極用基板を用いた液晶素子に関する提案がある。しかしながら、熱可塑性樹脂に無機酸化物を分散させるために、メカノフュージョン装置や2軸混練機を使用し、高いせん断エネルギーをかける必要があり、より容易に無機酸化物を分散でき、かつ透明化できることが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優れ、且つ線膨張係数の小さい透明複合シートを提供し、これを用いた液晶表示素子用基板、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)アルコキシシリル基を含有する脂環式ポリオレフィン樹脂、平均粒子径が1〜100nmであるシリカ微粒子を分散したコロイダルシリカ、及び下式(2)で示される化合物を配合してなる組成物から得られる透明複合シートであって、下式(2)で示される化合物の配合量が、透明複合シートに含まれるシリカ微粒子100重量部に対し0.01〜10重量部であり、シリカ微粒子の含有量が10〜90重量%であり、 30〜230℃の平均線膨張係数が52ppm以下であることを特徴とする透明複合シート。
【0009】
【化2】
(式(2)中、R1, R2, R3, R4は炭素数1〜30の炭化水素残基を表す。)
【0010】
(2)アルコキシシリル基を含有する脂環式ポリオレフィン樹脂が150℃以上のガラス転移点を有することを特徴とする(1)記載の透明複合シート。
(3) アルコキシシリル基を含有する脂環式ポリオレフィン樹脂に含まれるアルコキシシリル基の含有量が、脂環式ポリオレフィン樹脂100gに対し5〜500mmolであることを特徴とする(1)又は(2)記載の透明複合シート。
(4)波長500nmの光線透過率が85%以上であることを特徴とする(1)〜(3)記載の透明複合シート。
(5) シートの厚さが50〜2000μmであることを特徴とする(1)〜(4)記載の透明複合シート。
(6)(1)〜(5)記載の透明複合シートを用いることを特徴とする液晶表示素子用基板。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物(a)としては、有機高分子化合物(a)にアルコキシシリル基を含有し、シリカ微粒子と混合して透明化できるものであれば特に制限されるものではなく、アルコキシシリル基を含有するメタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、脂環式ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。中でも、透明性や耐熱性の面からポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、脂環式ポリオレフィン樹脂が好ましく、さらに吸水率が低く、透明性に優れることから脂環式ポリオレフィンが最も好ましい。脂環式ポリオレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、シクロヘキサジエン系ポリマー、オレフィンマレイミド交互共重合体などが挙げられ、ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンとの付加型重合体などが挙げられ、TFT液晶表示基板のように製造工程で高温にさらされる恐れのある用途では耐熱性のあるノルボルネン系単量体の付加型重合体が好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれらオレフィンのハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等;ノルボルネンに1つ以上のシクロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアントラセン等;シクロペンタジエンの多量体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等;等が挙げられる。
アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物(a)は、アルコキシシリル基を含有するモノマーを共重合させる方法、有機高分子化合物にアルコキシシリル基をグラフトさせる方法などにより製造できる。例えば、ノルボルネン系樹脂では、ノルボルネン系単量体とアルコキシシリル基を含有するモノマーとの共重合で、アルコキシシリル基を含有するノルボルネン系樹脂が製造できる。
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、モノメトキシジメチルシリル基など、アルコキシが1つ以上付いた各種のアルコキシシリル基を用いることができる。
【0012】
アルコキシシリル基の含有量としては、有機高分子化合物(a)100g中に5〜500mmolが好ましく、さらに好ましくは10〜200mmol 、最も好ましくは20〜100mmolである。この範囲内であれば、適度な柔軟性を持ち、且つ十分な透明性を持つ複合シートが得られる。
【0013】
本発明で用いられるアルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物(a)は、柔軟性を付与する、耐溶剤性を向上させる等の目的で、アルコキシシリル基を含有しないオリゴマーや熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を併用して用いても良い。
【0014】
本発明で用いられる平均粒子径が1〜100nmであるシリカ微粒子(b)とは、ケイ素を含有する金属酸化物でかつ平均粒径が1〜100nmの範囲のものであれば、特に制限されるものではないが、線膨張係数の点において、平均粒径が1〜100nmのシリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子としては、乾燥された粉末状のシリカ微粒子、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)等を使用することができるが、分散性の点で、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)を用いることが好ましい。有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)を用いる場合の有機溶媒としては、特に限定はしないが、複合体組成物中に使用する有機成分が溶解するものを用いることが好ましく、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類が挙げられる。これらの有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)、シリカ微粒子は、液晶表示素子用基板に要求される、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性等の特性を極端に損なうことのない範囲で、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤や疎水処理剤で表面処理されたものであっても良く、有機溶媒に分散させるために、界面活性剤等の分散剤を使用しているものであっても良い。
【0015】
シリカ微粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、さらに好ましくは1〜50nm、最も好ましくは5〜40nmである。1nm未満であれば、シリカ微粒子の充填量が制限されるとともに分散性が悪化し、十分な透明性、線膨張係数を得ることができない。また、100nmを超えると超える透明性が著しく悪化する。
【0016】
波長400〜500nmの光線透過率を低下させないために、1次粒径が200nm以上のシリカ微粒子が5%以下の割合で存在するシリカ微粒子を用いることが好ましく、さらに好ましくは、0%である。
また、シリカ微粒子の充填量を上げるために、平均粒径が異なるシリカ微粒子を混合して用いても良い。
さらに、シリカ微粒子として、特開平7−48117に示されるような多孔質シリカゾルや、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛等とケイ素の複合金属酸化物を用いても良い。
透明複合シート中のシリカ微粒子の含有量は10〜90重量%が好ましく、線膨張係数と軽量化、透明性、靱性のバランスの点で、さらに好ましくは、10〜80重量%、最も好ましくは、10〜70重量%である。
【0017】
式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)は、複合シートの透明性を向上させるために用いることが好ましい。ここでいう金属とは、金属、亜(半)金属を含む非金属以外の元素のことを表す。
【0018】
【数1】
(式(1)中、χi:金属イオンの電気陰性度、z:価数、χ0:ポーリングの電気陰性度を示す。)
【0019】
式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属には、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、スカンジウム、ガリウム、ストロンチウム、イットリウム、カドミウム、インジウム、タリウム、ハフニウム、ジルコニウム、バリウム、水銀、鉄、クロム、ゲルマニウム、ニッケル、銅、コバルト、ランタン、ジスプロシウム、ツリウム、ネオジム、ユウロピウム等が挙げられる。中でも、コスト、安全性の点で、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウムが好ましく、最も好ましくは、アルミニウムである。
【0020】
アルミニウムを含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート類、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート類などが上げられる。
中でも、複合シートの透明性の点で、下式(2)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種以上を用いることが好ましく、さらに好ましくは、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテートであり、最も好ましくは、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートである。
【0021】
【化3】
(式(2)中、R1, R2, R3, R4は炭素数1〜30の炭化水素残基を表す。)
【0022】
式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)の配合量としては、透明複合シートに含まれるシリカ微粒子100重量部に対し0.01〜10重量部配合することが好ましく、透明性、吸水率のバランスから、さらに好ましくは0.1〜5重量部であり、最も好ましくは0.1〜3重量部である。
【0023】
なお、電気陰性度がχiが13を超える金属として、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、バナジウム、モリブデン等が挙げられ、これらの金属を含有する金属アルコキサイドおよび/または金属ジケトネート類としては、例えばケイ素のみを含有するシランカップリング剤等が挙げられるが、これらの金属アルコキサイドおよび/または金属ジケトネート類を用いた場合、これらの金属が有機高分子化合物中に含まれるアルコキシシリル基中のケイ素に近い電気陰性度を有するため、有機高分子化合物中に含まれるアルコキシシリル基との反応性が不十分で、複合シートの透明性を向上させる効果が十分でない。
【0024】
また、本発明で作製される透明複合シート中には、透明性等の特性を損なわない範囲で、少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、他の無機フィラー等の充填剤等を含んでいても良い。また、吸水率を低減させる目的で、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の疎水化処理剤を含有させても良い。
【0025】
透明複合シートを製造する方法としては、例えば、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)とその他の配合物を混合し、必要に応じて、脱溶媒した後、キャストし、さらに脱溶媒させる方法、乾燥した粉末状のシリカ微粒子とその他の配合物、必要に応じて有機溶媒を分散能力の高い混合装置を用いて混合し、分散させる方法などが挙げられる。分散能力が高い装置としては、例えば、特殊機化工業(株)製のフィルミックスや種々のビーズミル、アジホミクサー等が挙げられる。分散能力が高い装置を使用するときは、混合又は混練中に、反応が急速に進まないように、温度が上昇しすぎないよう注意する必要がある。
シリカ微粒子を分散させ複合シートを透明化するために必要な攪拌エネルギーは、アルコキシシリル基を含有しない有機高分子化合物を用いた場合よりもアルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物を用いた場合のほうが小さく、さらにアルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物(a)、式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)を併用した場合のほうが小さくて済む。式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)を併用した場合は、攪拌子で数時間〜1日攪拌するだけで比較的透明な溶液を作製でき、それを用いて透明複合シートを得ることができる。また、式(1)より求められる電気陰性度χiが13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)を併用した場合に、T.K.アジホミクサー(特殊機化工業(株)製)のような比較的攪拌エネルギーの高い攪拌装置を使用すると、数分で比較的透明な溶液を作製でき、それを用いて透明複合シートを得ることができる。
【0026】
本発明の液晶表示素子用基板を、薄膜トランジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)として用いる場合は、30〜230℃の平均線膨張係数が70ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、60ppm以下であり、最も好ましくは、50ppm以下である。70ppmを超えると、その製造工程おいて、アルミ配線を施したときに断線する等の不具合が生じる可能性が極端に増大する。また、吸水率、ガス透過性等を低減させるため、無機膜を積層した場合には、線膨張係数の差が大きいため、剥離、割れ等が発生する可能性が増大する。
【0027】
本発明の透明複合シートは、波長500nmの光線透過率が85%以上であり、さらに好ましくは、90%以上である。波長500nmの光線透過率が85%を下回ると、液晶表示素子用基板として液晶表示装置に組み込んだ時、文字又は色等の表示性が悪化する。
本発明の透明複合シートは、例えば、液晶表示素子用基板として用いる場合等、軽量化を要求される用途に用いる場合等には、シートの厚さが50〜2000μmであることが好ましく、さらに好ましくは100〜1000μmであり、最も好ましくは、100〜500μmである。シートの厚さがこの範囲内にあれば、平坦性に優れ、ガラス基板と比較して、基板の軽量化を図ることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例により詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。
まず、表1に示す実施例及び比較例で得られた液晶表示素子用基板の作製手順について説明する。
【0029】
(実施例1)
メチルエチルケトン(MEK)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基含有脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂100g中50mmol)]100重量部に混合し、常温で約1日撹拌し比較的透明な溶液を作製した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透明複合シートを得た。
(実施例2)
メチルエチルケトン(MEK)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基含有脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂100g中50mmol)]100重量部に混合し、さらにアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート[商品名プレンアクトAL−M;味の素(株)製]0.6重量部を混合し、常温で約1日撹拌しほぼ透明な溶液を作製した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透明複合シートを得た。
(実施例3)
メチルエチルケトン(MEK)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基含有脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂100g中50mmol)]60重量部に混合し、さらにアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート[商品名プレンアクトAL−M;味の素(株)製]0.6重量部を混合し、常温で約1日撹拌しほぼ透明な溶液を作製した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透明複合シートを得た。
【0030】
(比較例1)
メチルエチルケトン(MEK)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基を含有しない脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:85/15)]100重量部に混合し、常温で約1日撹拌した(このとき溶液は白濁していた)。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した複合シートを得た。
【0031】
(比較例2)
アルコキシシリル基含有脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂100g中50mmol)]100重量部にトルエン200重量部を混合し、常温で約1日撹拌した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透明シートを得た。
【0032】
(比較例3)
アルコキシシリル基を含有しない脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モル比:85/15)]100重量部にトルエン200重量部を混合し、常温で約1日撹拌した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透明シートを得た。
【0033】
以上のようにして作製した複合シートについて、下記に示す評価方法により、各種特性を測定した。
▲1▼平均線膨張係数
セイコー電子(株)製TMA/SS120C型熱応力歪測定装置を用いて、窒素の存在下、1分間に5℃の割合で温度を30℃から400℃まで上昇させて20分間保持し、30℃〜230℃の時の値を測定して求めた。荷重を5gにし、引張モードで測定を行った。引張りチャックには独自に設計した石英引張チャック(材質:石英,線膨張係数0.5ppm)を用いた。セイコー電子(株)製の純正引張チャックは、それ自体の線膨張が高いことやサンプルの支持形態に不具合があり、100μmを超える厚いシートに適用すると線膨張係数が圧縮モードで測定した結果よりも大きめに出たり、測定ばらつきが大きくなる問題があった。したがって、石英引張チャックを独自に設計し、それを用いて線膨張係数を測定することにした。この引張チャックを用いることにより、圧縮モードで測定した場合とほぼ同様の値で測定できることを確認している。
▲2▼耐溶剤性
40℃のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に試料を浸漬して60分間放置。試料を取り出した後、目視にて外観を観察した。完全に変形、変色を伴わず、浸食されない浸食もののみ○、他は×とした。なお、この評価において、温度、浸漬時間等の試験条件が多少変化しても、評価結果に変化がないことを確認している。
▲3▼耐配向剤性
スピンコーター上に試料を設置。その表面にCRD−8201(住友ベークライト製)を滴下した後 2500rpmでスピンコートを実施。180℃60分乾燥処理後、目視にて外観を観察した。完全に変形、変色を伴わず、浸食されない浸食もののみ○、他は×とした。なお、この評価において、温度、時間等の試験条件が多少変化しても、評価結果に変化がないことを確認している。
【0034】
▲4▼耐液晶性
基板の表面にメルク社製ZIL−4792を1滴滴下する。120℃のオーブン内に投入して60分放置する。試料を取り出した後、目視にて外観を観察した。完全に変形、変色を伴わず、浸食されない浸食もののみ○、他は×とした。なお、この評価において、温度、時間等の試験条件が多少変化しても、評価結果に変化がないことを確認している。
▲5▼貯蔵弾性率、tanδ
粘弾性測定装置 DMS-210(セイコーインスツルメンツ製)を用い、周波数1Hzで測定した。
30℃、250℃での貯蔵弾性率を求め、また、30℃〜250℃における損失正接tanδの最大値と最小値を求め、その差の絶対値を損失正接tanδの変化量として求めた。
▲6▼500nmの光線透過率
分光光度計U3200(日立製作所製)で測定した。
▲7▼基板の厚さ
マイクロメータにより、フィルム中央部を測定した。
評価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の透明複合シートは、線膨張係数が低く、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優れ、電子材料、光学材料、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板等の液晶表示素子用基板に好適に使用できる。
Claims (6)
- アルコキシシリル基を含有する脂環式ポリオレフィン樹脂が150℃以上のガラス転移点を有することを特徴とする請求項1に記載の透明複合シート。
- アルコキシシリル基を含有する脂環式ポリオレフィン樹脂に含まれるアルコキシシリル基の含有量が、脂環式ポリオレフィン樹脂100gに対し5〜500mmolであることを特徴とする請求項1又は2記載の透明複合シート。
- 波長500nmの光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明複合シート。
- シートの厚さが50〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明複合シート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明複合シートを用いることを特徴とする液晶表示素子用基板。
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