JP4022177B2 - 有機質無機質複合体微粒子およびその用途 - Google Patents

有機質無機質複合体微粒子およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機質無機質複合体微粒子に関する。また、この微粒子を用いてなる隙間距離保持用スペーサーや導電性粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックやプラスチックなどの各種基板間の隙間を均一に保持し得る隙間保持材等の隙間距離保持用スペーサー、および、導電性微粒子などの技術分野において用いられる粒子としては、加水分解性シリル基を有するシリコン化合物を原料としたポリシロキサン系の無機質粒子が好適であることがよく知られている。
これまで、このような無機質粒子としては、上記シリコン化合物を用いたゾル−ゲル反応により得られるシリカ粒子(例えば、特許文献1参照。)のほか、さらに有機質の部分を含むものとして、有機質である非水溶性ビニル単量体がグラフトされたポリシロキサン系複合体粒子(例えば、特許文献2参照。)、有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格とを含む有機質無機質複合粒子(例えば、特許文献3参照。)、有機無機複合粒子の製造方法(例えば、特許文献4参照。)により得られる粒子などが知られている。
【0003】
しかしながら、これら従来の無機質粒子や有機質無機質複合粒子を、前述した各種用途に用いた場合、各種不具合が生じていた。例えば、バインダー樹脂中に添加して隙間保持材として使用する場合においては、粒子表面のバインダー樹脂に対する親和性が(バインダー樹脂と粒子との界面における親和性)が十分ではなく、ひいては良好な分散状態を得ることができないため、上記添加後、バインダー樹脂中で粒子が凝集してしまい、結果として隙間距離を全体的に均一に保持することができない等の問題があり、また、粒子表面に導体層を形成し導電性粒子として使用する場合においては、導体層となる金属の粒子表面への親和性や密着性が十分ではないため、加圧や衝撃により導体層が剥がれ落ちやすく、結果として電極間のショートや電極間の接触不良が生じやすい等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−269933号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平4−15209号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平8−81561号公報
【0007】
【特許文献4】
特開平11−199671号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、バインダー樹脂への分散性や金属導体層との密着性などに優れた有機質無機質複合体微粒子、および、この微粒子を用いてなる隙間距離保持用スペーサーや導電性粒子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、無機質部分としてのポリシロキサン骨格と有機質部分としての有機ポリマー骨格とを有する有機質無機質複合体微粒子において、上記有機ポリマー骨格を、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーからなる骨格とした有機質無機質複合体微粒子、および、これを用いてなる隙間距離保持用スペーサーや導電性粒子であれば、上記課題を一挙に解決できることを見出し、それを確認して本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる有機質無機質複合体微粒子は、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーからなる骨格とポリシロキサン骨格とを必須成分として含む構造を有することを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる隙間距離保持用スペーサーは、上記本発明の有機質無機質複合体微粒子を用いてなることを特徴とする。
本発明にかかる導電性粒子は、上記本発明の有機質無機質複合体微粒子と該微粒子表面に形成された導体層とを有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる有機質無機質複合体微粒子およびこれを用いてなる隙間距離保持用スペーサーや導電性粒子について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
〔有機質無機質複合体微粒子〕
本発明の有機質無機質複合体微粒子(以下では、単に、複合体微粒子と称することがある。)は、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーからなる骨格(以下では、単に、有機ポリマー骨格と称することがある。)とポリシロキサン骨格とを必須成分として含む構造を有する微粒子である。
【0012】
本発明の複合体微粒子の形態としては、a)ポリシロキサン骨格が有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素原子を分子内に有している形態(化学結合タイプ)であってもよいし、b)そのような有機ケイ素原子を分子内に有していない形態(IPNタイプ)であってもよいし、これらa)およびb)の形態が複合した形態であってよく、特に限定はされない。詳しくは、上記a)の形態としては、ポリシロキサン中のケイ素原子と有機ポリマー中の炭素原子とが結合していることにより、ポリシロキサン骨格と有機ポリマー骨格とが3次元的なネットワーク構造を構成している形態が好ましい。同様に、上記b)の形態としては、ポリシロキサン骨格を含む粒子構造中に有機ポリマーが含まれている形態、つまり該ポリシロキサンの構造の間に有機ポリマーが存在し互いに独立に骨格構造を有しつつ一体化している形態が好ましい。
【0013】
本発明の複合体微粒子における有機ポリマー骨格は、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーに由来する主鎖、側鎖、分岐鎖、架橋鎖のうちの少なくとも主鎖を含む。上記有機ポリマーは、非ビニル系重合体を必須とする以外は、その分子量、組成、構造、官能基の有無などは特に限定はされない。非ビニル系重合体としては、例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリカーボネート、フェノール樹脂、尿素樹脂およびメラミン樹脂等が好ましく挙げられ、これらの1種のみを必須としてもよいし2種以上を必須としてもよい。
【0014】
本発明の複合体微粒子における有機ポリマー骨格は、非ビニル系重合体を必須とするが、さらにビニル系重合体をも含んでなる骨格であってもよく、特に限定はされない。また、上記ビニル系重合体をも含む場合、非ビニル系重合体とビニル系重合体との間に化学結合があっても無くてもよく、特に限定はされないが、非ビニル系重合体とビニル系重合体とが化学結合せずにそれぞれ独立して存在している形態が好ましい。ビニル系重合体としては、炭素原子の繰り返し単位「−C−C−」から構成される主鎖を有するポリマーが好ましく、例えば、(メタ)アクリル系重合体、ポリスチレン、ポリオレフィン等が好ましく挙げられ、これらの1種のみを含んでいても2種以上を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の複合体微粒子における有機ポリマー骨格全体に対する、非ビニル系重合体の含有割合は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。上記含有割合を満たすことによって、前述した本発明の課題を容易かつ十分に解決することができる。一方、上記含有割合が、10重量%未満であると、該複合体微粒子表面のバインダー樹脂との親和性、ひいては該複合体微粒子のバインダー樹脂への分散性が低下し、バインダー樹脂中に粒子を充填して隙間距離を保持する等の用途において、粒子どうしの凝集が顕著となり隙間距離の保持の均一性が低下するおそれがある。
【0016】
本発明の複合体微粒子における有機ポリマー骨格全体の含有割合は、該複合体微粒子全体に対して、20〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜85重量%である。上記含有割合が、20重量%未満の場合、バインダー樹脂等の樹脂との密着性が不十分となるおそれがあり、95重量%を超える場合、粒子が柔軟すぎるために、例えば各基板間の隙間保持材として用いた場合に、隙間距離を均一に保持することができないおそれがある。上記有機ポリマー骨格の含有割合は、後述する重合性反応基を有する有機基を有するシリコン化合物の使用量、および/または、後述する吸収工程においてポリシロキサン粒子に吸収させる重合性モノマーの使用量などを適宜調整すること等で満たすようにすることができる。
【0017】
本発明の複合体微粒子におけるポリシロキサン骨格は、下記式(1):
【0018】
【化1】
Figure 0004022177
【0019】
で表されるシロキサン単位が連続的に化学結合して、三次元のネットワークを構成した化合物と定義される。ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量は、特に限定はされないが、有機質無機質複合体微粒子全体の重量に対して、0.1〜80重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜70重量%、さらに好ましくは1.0〜60重量%である。上記SiO2の量が、0.1重量%未満であると、粒子が柔軟すぎるために、例えば各基板間の隙間保持材として用いた場合に、隙間距離を均一に保持することができないおそれがあり、80重量%を超えると、有機質無機質複合体微粒子が固くなりすぎ、上記同様に隙間保持材として用いた場合に、基板表面に損傷を与えてしまうおそれがある。なお、ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量は、粒子を空気などの酸化性雰囲気中で1000℃以上の温度で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率である。
【0020】
本発明の複合体微粒子の平均粒子径は、特に限定されるわけではないが、具体的には、0.1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜50μmである。上記平均粒子径が上記範囲内である場合、ポリシロキサン骨格由来の無機質成分と有機ポリマー骨格由来の有機質成分の比率を幅広く変化させることが可能であり、例えば、同一の平均粒子径であっても、粒子の硬度、破壊強度などの機械的特性を様々に変化させ得るといった有利な効果が発揮される。また、上記平均粒子径が0.1μm未満であると、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーの含有量が少なくなり本発明の複合体微粒子の効果が発揮されないおそれがあり、200μmを超えると、特に、後述するようにポリシロキサン骨格からなる無機質粒子にモノマーを吸収させる場合に、その吸収させる量が非常に多くなる為、得られる有機質無機質複合体微粒子の安定性が悪くなり粒子間で凝集しやすくなるおそれがある。
【0021】
本発明の複合体微粒子については、その粒度分布のシャープさは、粒子径の変動係数(CV値)で示すこととし、特に限定されるわけではないが、具体的には、20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。上記変動係数(CV値)が上記範囲内であると、各基板間の隙間保持材として用いた場合に、隙間距離を均一に保つことができるという有利な効果が発揮できる。一方、上記変動係数(CV値)が、20%を超えると、上記同様に隙間保持材として用いた場合に、隙間距離を均一に保つことが十分にできないおそれがある。
【0022】
本発明の複合体微粒子は、特に限定されるわけではないが、硬度、破壊強度などといった機械的特性それぞれについて、ポリシロキサン骨格部分や有機ポリマー骨格部分の割合を適宜変化させることにより任意に調節することができる。
本発明の複合体微粒子の形状は、特に限定されるわけではなく、例えば、球状、針状、板状、鱗片状、紛砕状、偏状、まゆ状、こんぺい糖状などを挙げることができる。特に、フィルム用添加剤として用いる場合は、真球状であって、その短粒子径に対する長粒子径の比率が1.00〜1.20の範囲にあり、かつ、粒子径の変動計数が30%以下であることが好ましい。
【0023】
本発明の複合体微粒子は、染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つ等を含むことで着色されていてもよい。その色は、光が透過しにくいか、または、透過しない色が、例えば液晶表示装置用スペーサー等の隙間保持材として用いた場合などには、粒子自身の光抜けを防止でき画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過しにくいか、または、透過しない色としては、たとえば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色を好ましく挙げることができるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。なお、染料および/または顔料は、単に重合体粒子に含まれるものでもよく、あるいは、染料および/または顔料と複合体微粒子を構成するマトリックスとが化学結合によって結び付けられた構造を有するものでもよいが、特にこれらに限定されない。
【0024】
前記染料は、着色しようとする色に応じて適宜選択して使用され、たとえば、染色方法によって分類された、分散染料、酸性染料、塩基性染料、反応染料、硫化染料等が挙げられる。これらの染料の具体例は、「化学便覧応用化学編 日本化学会編」(1986年丸善株式会社発行)の1399頁〜1427頁、「日本化薬染料便覧」(1973年日本化薬株式会社発行)に記載されている。
複合体微粒子を染色する方法としては、従来公知の方法を採ることができる。たとえば、上記の「化学便覧応用化学編 日本化学会編」や「日本化薬染料便覧」に記載されている方法等で行うことができる。
【0025】
前記顔料としては、特に限定はされないが、たとえば、カーボンブラック、鉄黒、クロムバーミリオン、モリブデン赤、べんがら、黄鉛、クロム緑、コバルト緑、群青、紺青などの無機顔料;フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系などの有機顔料が挙げられる。なお、前記顔料は、その平均粒子径が0.1μm以下でないと、複合体微粒子中に導入されない場合があるので、この場合は染料を使用する方が好ましい。本発明の複合体微粒子が着色されている場合、例えば液晶表示装置用スペーサーとして用いると、バックライトの光抜けを防止でき、液晶表示装置の画質向上を達成することができる。
【0026】
本発明の複合体微粒子について、その用途としては、特に限定はされないが、例えば、液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックやプラスチック等の各種基板間の隙間を均一に保持し得る隙間保持材等の隙間距離保持用スペーサー、あるいは、導電性粒子などが好ましく挙げられる。
〔導電性粒子〕
本発明にかかる導電性粒子(以下、本発明の導電性粒子と称することがある。)は、上記本発明に記載の複合体微粒子と、この複合体微粒子の表面に形成された導体層とを有する導電性の粒子である。本発明の導電性粒子においては、導体層は、複合体微粒子表面の少なくとも一部に形成されていればよい。
【0027】
本発明の導電性粒子は、上記本発明の複合体微粒子を用いてなるので、電気的に接続される一対の電極基板間の隙間距離を一定に保持するにあたり、加圧による導体層の剥がれ落ちや、電気的に接続されるべきではない電極間のショート、電気的に接続されるべき電極間の接触不良などを効果的に防ぐことができるとともに、隙間距離を容易に均一に保持することができる。また、同様に、必要な硬度および破壊強度とを有するとともに、電極に対して物理的ダメージを与えにくい。
導体層に使用することのできる金属は、特に限定はされないが、例えば、ニッケル、金、銀、銅、インジウムやこれらの合金等が挙げられる。なかでも特に、ニッケル、金およびインジウムは導電性が高いので好ましい。導体層の厚みは、十分な導通があれば特に限定はされないが、0.01〜5.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜2.0μmである。導体層の厚みが0.01μm未満であると、導電性が不十分となるおそれがあり、5.0μmを超える場合は、導体層の熱膨張率の差により複合体微粒子表面から導体層が剥がれ落ちやすくなるおそれがある。導体層は、1層でも2層以上でもよく、2層以上の場合は異なる種類の金属が積層されていてもよい。
【0028】
本発明の複合体微粒子表面に、導体層を形成する方法としては、特に限定はされず、従来公知の方法を用いればよいが、例えば、化学めっき(電界めっき)法、コーティング法、PVD(真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなど)法などが挙げられ、なかでも、化学めっき法が本発明の導電性粒子を容易に得ることができるため好ましい。このようにして得られる本発明の導電性粒子は、上記本発明の複合体微粒子と同様の機械的特性(硬度、破壊強度)を備える。このため、液晶表示板、LSI、プリント配線基板等のエレクトロニクスの電気的接続材料として特に有用である。
〔隙間距離保持用スペーサー〕
本発明にかかる隙間距離保持用スペーサー(以下、本発明のスペーサーと称することがある。)は、上記本発明の複合体微粒子を用いてなるスペーサー粒子である。
【0029】
本発明のスペーサーは、液晶表示素子用面内スペーサー、液晶表示素子用シール部スペーサー、EL表示素子用スペーサー、タッチパネル用スペーサー、セラミックやプラスチック等の各種基板間の隙間を均一に保持し得る隙間保持材などとして用いることができる。
本発明のスペーサーは、上記本発明の複合体微粒子のみからなるスペーサーであっても、この複合体微粒子全体やその表面等に何らかの処理を施すことにより特定の物性を有するようにしたスペーサーであってよく、いずれにしても各種用途において有用なスペーサーとして用いることができ、特に限定はされない。例えば、本発明の複合体微粒子を粒子本体としてその表面に樹脂等を付着させたりグラフト化したりして被覆することにより接着層を形成させた接着性スペーサーや、本発明の複合体微粒子の合成時の反応系に染料などを含ませておくことによって複合体微粒子そのものを着色した着色スペーサー、または、これら接着性と着色の機能を組み合わせた接着性着色スペーサーなどが好ましく挙げられる。
〔有機質無機質複合体微粒子の製造方法〕
本発明の複合体微粒子におけるポリシロキサン骨格は、加水分解性基を有するシリコン化合物の加水分解縮合反応により得ることができる。
【0030】
加水分解性を有するシリコン化合物としては、特に限定はされないが、例えば、下記一般式(2):
R’mSiX4-m (2)
(ここで、R’は置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基および不飽和脂肪族基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、Xは水酸基、アルコキシ基およびアシロキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、mは0から3までの整数である。)
で表されるシラン化合物およびその誘導体などが挙げられる。
【0031】
上記一般式(2)で表されるシラン化合物の具体例は、特に限定はされないが、例えば、m=0のものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン;m=1のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の3官能性シラン;m=2のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジフェニルシランジオール等の2官能性シラン;m=3のものとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルシラノール等の1官能性シラン等を挙げることができる。
【0032】
これらの中でも、上記一般式(2)中、mが0の構造を有し、Xがメトキシ基またはエトキシ基であるシラン化合物、または、mが1の構造を有し、R’がアリール基またはアラルキル基で、Xがメトキシ基またはエトキシ基であるアルコキシ基を含有したシラン化合物は、耐熱性に優れた有機質無機質複合体微粒子を得ることができるため好ましい。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記一般式(2)で表されるシラン化合物の誘導体としては、特に限定はされないが、例えば、Xの一部がカルボキシル基、β−ジカルボニル基等のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物や、上記シラン化合物を部分的に加水分解して得られる低縮合物等が挙げられる。
【0033】
加水分解性を有するシリコン化合物は、1種のみ用いても2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。上記一般式(2)において、m=3であるシラン化合物およびその誘導体のみを原料として使用する場合は、本発明の複合体微粒子は得られない。
本発明の複合体微粒子において、ポリシロキサン骨格が、有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接結合した有機ケイ素原子を分子内に有する形態の場合は、前記加水分解性を有するシリコン化合物として、有機ポリマー骨格を形成し得る重合性反応基を有する有機基を、ケイ素原子に結合した形で有するものを用いる必要がある。
【0034】
本発明の複合体微粒子において、有機ポリマー中の必須成分である非ビニル系重合体部分を、上記シリコン化合物中の重合性反応基を有する有機基に由来するものとして得ようとする場合は、使用するシリコン化合物のうちの少なくとも一部に、該重合性反応基を有する有機基が、非ビニル系の重合性反応基を有する有機基であるシリコン化合物を用いるようにする。
ここで、非ビニル系の重合性反応基を有する有機基とは、エチレン性不飽和基を含有しない重合性反応基を有する有機基であるとする。なお、ビニル系の重合性反応基を有する有機基とは、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する重合性反応基を有する有機基であるとする。
【0035】
非ビニル系の重合性反応基を有する有機基としては、例えば、エポキシ基を有する有機基、水酸基を有する有機基、アミノ基を有する有機基、酸無水物を有する有機基およびイソシアネート基を有する有機基などを挙げることができる。
エポキシ基を有する有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0036】
水酸基を有する有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
アミノ基を有する有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0037】
酸無水物を有する有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、3−(トリエトキシシクル)プロピルサクシニック無水物等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
イソシアネート基を有する有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
有機ポリマー中の必須成分である非ビニル系重合体部分を、上記シリコン化合物中の重合性反応基を有する有機基に由来するものとして形成する場合、形成しようとする非ビニル系重合体の種類に応じて、以下に示すシリコン化合物を用いるようにする。すなわち、例えば、ポリアミドに対しては、アミノ基を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリイミドに対しては、アミノ基を有する有機基を有するシリコン化合物や、酸無水物を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリエステルに対しては、水酸基を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリエーテルに対しては、水酸基を有する有機基を有するシリコン化合物や、エポキシ基を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリウレタンに対しては、イソシアネート基を有する有機基を有するシリコン化合物や、水酸基を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリ尿素に対しては、アミノ基を有する有機基を有するシリコン化合物;ポリカーボネートに対しては、水酸基を有する有機基を有するシリコン化合物;尿素樹脂に対しては、アミノ基を有する有機基を有するシリコン化合物;メラミン樹脂に対しては、アミノ基を有する有機基を有するシリコン化合物;である。
【0038】
ビニル系の重合性反応基を有する有機基としては、例えば、ラジカル重合性ビニル基を有する有機基などを挙げることができる。ラジカル重合性ビニル基を有する有機基とは、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有するラジカル重合性基を有する有機基であるとする。
ラジカル重合性ビニル基を有する有機基としては、例えば、下記一般式(3)、(4)および(5):
CH2=C(−Ra)−COORb− (3)
(ここで、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
CH2=C(−Rc)− (4)
(ここで、Rcは水素原子またはメチル基を表す。)
CH2=C(−Rd)−Re− (5)
(ここで、Rdは水素原子またはメチル基を表し、Reは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
で表される有機基などを挙げることができる。
【0039】
上記一般式(3)のラジカル重合性ビニル基を有する有機基としては、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基などが挙げられ、該有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ−トリメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテルともいう)、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0040】
上記一般式(4)のラジカル重合性ビニル基を有する有機基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基などが挙げられ、該有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記一般式(5)のラジカル重合性ビニル基を有する有機基としては、例えば、1−アルケニル基もしくはビニルフェニル基、イソアルケニル基もしくはイソプロペニルフェニル基などが挙げられ、該有機基を有する前記シリコン化合物としては、例えば、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシラン、1−デセニルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ω−トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルエステル、p−トリメトキシシリルスチレン、1−ヘキセニルメチルジメトキシシラン、1−ヘキセニルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0041】
本発明の複合体微粒子においては、有機ポリマー骨格は、
例えば、1)前記シリコン化合物が、加水分解性基とともに、有機ポリマー骨格を形成し得る重合性反応基を有する有機基をも有する場合は、
1-1)シリコン化合物の加水分解縮合反応後に重合または共重合することで得られることや、
1-2)シリコン化合物の加水分解縮合反応により得られたポリシロキサン骨格を有する粒子に、有機ポリマー骨格を形成し得る重合性反応基を有するモノマーを必須成分とする重合性モノマーを吸収させておいて重合または共重合することで得られること、
また、2)上記シリコン化合物が、有機ポリマー骨格を形成し得る重合性反応基を有する有機基を有しない場合は、シリコン化合物の加水分解縮合反応により得られたポリシロキサン骨格を有する粒子に、有機ポリマー骨格を形成し得る重合性反応基を有するモノマーを必須成分とする重合性モノマーを吸収させておいて重合または共重合することで得られること、
などが好ましい。
【0042】
本発明の複合体微粒子は、有機ポリマー骨格として、非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーからなる骨格を有する粒子である。よって、このような粒子を得るためには、上記1)の場合であり且つ前記シリコン化合物が加水分解性基とともに非ビニル系の重合性反応基を有する有機基をも有する場合は、上記1-1)および1-2)のいずれの形態を採用することもでき、そのうち上記1-2)の場合においては、上記吸収させる重合性モノマーに非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーを必須成分として使用する形態であっても、使用しない形態(重合性モノマーにビニル系の重合性反応基を有するモノマーのみを使用する形態)であっても採用することができる。一方、上記2)の場合は、上記吸収させる重合性モノマーに非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーを必須成分として使用する形態を採用することとなる。
【0043】
ここで、非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーとは、エチレン性不飽和基を含有しない重合性反応基を有するモノマーであるとする。なお、ビニル系の重合性反応基を有するモノマーとは、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する重合性反応基を有するモノマーである。
上記非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーとしては、例えば、エポキシ基を有するモノマー、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、酸無水物などを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0044】
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジグリシジルアニリン、トリメチロール、プロパントリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0045】
アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン(MPD)、p−フェニレンジアミン(PPD)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,4−ジアミノトルエン(DAT)、2,6’−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、4,4’−ジアミノジフェニエーテル(DPE)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB),1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフタレン、S(+)−2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフタレン等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,10−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン;1,4−ジアミノシクロへキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、等の脂環族ジアミン;のほか、3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0046】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエタンカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アンマラヤンジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ビスカルボキシフェニル)プロパン無水物(PPDA)等の芳香族テトラカルボン酸無水物;ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸無水物;シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等の脂環族テトラカルボン酸無水物;チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の複素環族テトラカルボン酸二無水物;などが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0047】
上記ビニル系の重合性反応基を有するモノマーとしては、例えば、ラジカル重合性ビニルモノマーなどを挙げることができ、ラジカル重合性ビニルモノマーを必須とする重合性モノマーであることがより好ましい。なお、ラジカル重合性ビニルモノマーとは、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有するラジカル重合性基を有するモノマーであるとし、その種類等は特に限定はされない。
ラジカル重合性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−クロロスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0048】
前述したように、本発明の複合体微粒子は、a)ポリシロキサン骨格が有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素原子を分子内に有している形態(化学結合タイプ)であっても、b)そのような有機ケイ素原子を分子内に有していない形態(IPNタイプ)であってもよく、特に限定はされないが、例えば、上記1-1)のようにしてポリシロキサン骨格とともに有機ポリマー骨格を得た場合は、a)の形態を有する有機質無機質複合体微粒子を得ることができ、上記2)のようにした場合は、b)の形態を有する有機質無機質複合体微粒子を得ることができる。また、上記1-2)のようにしてポリシロキサン骨格とともに有機ポリマー骨格を得た場合は、上記a)とb)の両方の形態を併せ持った形態を有する有機質無機質複合体微粒子を得ることができる。
【0049】
ポリシロキサン骨格を有する粒子に上記重合性モノマーを吸収させるにあたり、予め上記重合性モノマーを乳化分散させエマルションを生成させておく場合においては、安定なエマルションとするため、重合性モノマーとしては疎水性を有するものがより好ましい。同様に、架橋性モノマーを用いてもよく、得られる有機質無機質複合体微粒子に関する機械的特性にかかる効果を容易に調節することができるため好ましい。また、加水分解性シリル基と非ビニル系の重合性反応基とを有するモノマーを用いることもでき、例えば、エポキシ基やアミノ基を有する有機基を有する加水分解性シリコン化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性モノマーを用いることもでき、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−トリメトキシシシリルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0050】
以下、本発明の有機質無機質複合体微粒子を得る方法についてより詳しく説明する。すなわち、下記に示す加水分解縮合工程と重合工程とを含む製造方法を好ましく挙げることができる。また、必要に応じて、加水分解縮合工程後、重合工程前に、前記重合性モノマーを吸収させる吸収工程を含めることもできるが、加水分解縮合工程に用いるシリコン化合物が、ポリシロキサン骨格構造を構成し得る要素とともに有機ポリマー骨格を構成する要素を併せ持ったものでない場合は、吸収工程を必須とし、この吸収工程と重合工程とを行うことで有機ポリマー骨格を形成するようにする。
【0051】
上記加水分解縮合工程は、前述したシリコン化合物を、水を含む溶媒中で加水分解して縮合させる反応を行う工程である。該工程により、ポリシロキサン骨格を有する粒子(ポリシロキサン粒子)を得ることができる。加水分解と縮合は、一括、分割、連続など、任意の方法をとることができる。加水分解・縮合させるにあたっては、触媒としてアンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができる。
上記水を含む溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のアステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0052】
また、加水分解縮合工程において、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することもできる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
加水分解縮合工程において、重合性反応基を有する有機基を有するシリコン化合物を用いることにより複合体微粒子中の有機ポリマー骨格を形成させようとする場合、使用するシリコン化合物の全量に対して、上記重合性反応基を有する有機基の合計重量割合が、20〜90重量%となるようにすることが好ましく、より好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜70重量%である。上記有機基の合計重量割合が上記範囲を満たさない場合は、得られた複合体微粒子中の有機ポリマー骨格の重量割合が前述した範囲を満たさないおそれがある。なお、後述する吸収工程をも行う場合は、該吸収工程において吸収させる重合性モノマーの使用量も考慮して、上記有機基の合計重量割合を適宜設定することができる。
【0053】
上記において、非ビニル系の重合性反応基を有する有機基を有するシリコン化合物を用いることにより非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーの骨格を形成しようとする場合、使用するシリコン化合物全量中の重合性反応基を有する有機基の合計重量に対し、非ビニル系の重合性反応基を有する有機基の合計重量割合は、特に限定はされないが、例えば、30重量%以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。上記合計重量割合が30重量%未満の場合は、前述した本発明の課題を解決できないおそれがある。なお、上記合計重量割合については、前述した1-2)の製法形態をとり、かつ、吸収工程において非ビニル系の重合反応性基を有するモノマーを必須とする重合性モノマーを吸収させる場合は、この非ビニル系の重合反応性基を有するモノマーの使用量と、得られる複合体微粒子における有機ポリマー骨格中の非ビニル系重合体の含有割合とを考慮した上で、適宜調整すればよいため、上記範囲を下回る場合であっても、その分、吸収工程において非ビニル系の重合反応性基を有するモノマーを適度に多く使用した場合などであれば、前述した本発明の課題を十分に解決するようにできる。
【0054】
加水分解および縮合は、例えば、原料となる上記シリコン化合物や触媒や有機溶剤を水を含む溶媒に添加し、0〜100℃、好ましくは0〜70℃で、30分〜100時間撹拌することにより行うことができる。また、このような方法により、所望の程度まで反応を行って一旦得られた粒子を、種粒子として予め反応系に仕込んでおいたうえで、さらにシリコン化合物を添加して該種粒子を成長させることもできる。
上記吸収工程は、前述したように、用いるシリコン化合物の種類に応じて必須工程にすべき場合と任意工程にしてもよい場合とがある。
【0055】
上記吸収工程においては、ポリシロキサン粒子に重合性モノマーが加えるが、最終的にポリシロキサン粒子の存在下に上記重合性モノマーを存在させた状態で吸収させればよい。よって、特に限定はされないが、例えば、ポリシロキサン粒子を分散させた溶媒中に重合性モノマーを加えておいてもよいし、重合性モノマーを含む溶媒中にポリシロキサン粒子を加えておいてもよいとする。なかでも、前者のように、予めポリシロキサン粒子を分散させた溶媒中に、重合性モノマーを加えておくことが、好ましく、さらにはポリシロキサン粒子を合成して得られたポリシロキサン粒子分散液から該粒子を取り出すことなく該分散液に重合性モノマーを加えておくことが、複雑な工程を必要とならず、生産性に優れており、好ましい。
【0056】
吸収工程においては、ポリシロキサン粒子の構造中に上記重合性モノマーを吸収させるが、この吸収が容易にされやすくなるよう、ポリシロキサン粒子に上記重合性モノマーを加えるにあたっては、種々の条件を設定し、その条件のもとで行うことが好ましい。そのような条件としては、ポリシロキサン粒子および重合性モノマーのそれぞれの濃度や、ポリシロキサン粒子と重合性モノマーとの混合比、混合の処理方法・手段、混合時の温度や時間、混合後の処理方法・手段などが挙げられる。これら条件は、用いるポリシロキサン粒子や重合性モノマーの種類などによって、適宜その必要性を考慮すればよい。また、これら条件は1種のみ適用しても2種以上を合わせて適用してもよい。
【0057】
吸収工程において吸収させる重合性モノマーの使用量は、特に限定はされないが、得られた複合体微粒子中の有機ポリマー骨格の重量割合が前述した範囲を満たし得るようにすればよく、前記加水分解縮合工程において、シリコン化合物として重合性反応基を有する有機基を有するシリコン化合物を用いたような場合は、その使用量も考慮して、吸収させる重合性モノマーの使用量を調整することが好ましい。具体的には、ポリシロキサン粒子の原料として使用したシリコン化合物の重量に対して、重量で0.01倍〜100倍に相当する量を添加することが好ましい。上記添加量が0.01倍に相当する量に満たない場合は、ポリシロキサン粒子の上記重合性モノマーの吸収量が少なくなり、優れた機械的特性を有する有機質無機質複合体微粒子を得ることができないおそれがあり、100倍に相当する量を超える場合は、添加した重合性モノマーをポリシロキサン粒子に完全に吸収させることが困難であり、未吸収の重合性モノマーが残存するため後の重合段階において粒子間の凝集が発生しやすくなるおそれがある。
【0058】
上記において、吸収させる重合性モノマー中に非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーを使用することにより非ビニル系重合体を必須とする有機ポリマーの骨格を形成しようとする場合、吸収させる重合性モノマーの全量に対する非ビニル系の重合性反応基を有するモノマーの使用量の割合を、特に限定はされないが、例えば、20重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。上記使用量割合が20重量%未満の場合は、前述した本発明の課題を解決できないおそれがある。なお、上記使用量割合については、前述した1-2)の製法形態をとり、かつ、加水分解縮合工程において使用するシリコン化合物中に非ビニル系の重合反応性基を有する有機基を有するシリコン化合物を含むようにする場合は、この非ビニル系の重合反応性基を有する有機基を有するシリコン化合物の使用量と、得られる複合体微粒子における有機ポリマー骨格中の非ビニル系重合体の含有割合とを考慮した上で、適宜調整すればよいため、上記使用量割合の範囲を下回る場合であっても、その分、加水分解縮合工程において非ビニル系の重合反応性基を有する有機基を有するシリコン化合物を適度に多く使用した場合などであれば、前述した本発明の課題を十分に解決するようにできる。
【0059】
吸収工程において、重合性モノマーを加えておくにあたっては、重合性モノマーを一括で加えておいてもよいし、数回に分けて加えてもよいし、任意の速度でフィードしてもよく、特に限定はされない。また、重合性モノマーを加えるにあたっては、重合性モノマーのみで添加しても、重合性モノマーの溶液を添加してもよいが、重合性モノマーを予め乳化分散させた状態でポリシロキサン粒子に加えておくことが、該粒子への吸収がより効率よく行われるため、好ましい。
上記乳化分散については、通常、上記モノマー成分を乳化剤とともにホモミキサーや超音波ホモジナイザー等を用いて水中で乳濁状態とすることが好ましい。
【0060】
吸収工程において、モノマー成分がポリシロキサン粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、モノマー成分を加える前および吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、モノマー成分の吸収により粒子径が大きくなっていることで容易に判断できる。
上記重合工程は、重合性反応基を重合反応させて、有機ポリマー骨格を有する粒子を得る工程である。具体的には、シリコン化合物として重合性反応基を有する有機基を有するものを用いた場合は、該有機基の重合性反応基を重合させて有機ポリマー骨格を形成する工程であり、上記吸収工程を経た場合は、吸収させた重合性反応基を有する重合性モノマーを重合させて有機ポリマー骨格を形成する工程であるが、両方に該当する場合はどちらの反応によっても有機ポリマー骨格を形成する工程となり得る。
【0061】
重合反応は、上記加水分解縮合工程や吸収工程の途中で行ってもよいし、いずれか又は両方の工程後に行ってもよく、特に限定はされないが、通常は、上記加水分解縮合工程後(吸収工程を行った場合は吸収工程後)に開始するようにする。
重合反応においては、重合温度や重合時間等の各種反応条件は、加水分解縮合工程で使用した重合性反応基を有する有機基を有するシリコン化合物の種類や、吸収工程で吸収させた重合性反応基を有するモノマーの種類等に応じて、適宜設定することができ、特に限定はされないが、例えば、重合温度については40〜180℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。重合温度が40℃未満であると、重合が不十分となるおそれがあり、180℃を超えると、複合体微粒子の凝集が発生するおそれがある。また、重合時間については、30分〜50時間であることが好ましく、より好ましくは1〜20時間である。重合時間が30分未満であると、重合が不十分となるおそれがあり、50時間を超えると、プロセスが長くなり生産性が低下するおそれがある。
【0062】
上記重合工程後は、得られた粒子を含む調製液を研磨剤などの用途に用いる場合は、そのまま使用することもできるが、有機溶剤を蒸留して水および/またはアルコールを含む分散媒に置換して使用してもよく、また、ろ過、遠心分離、減圧濃縮等の従来公知の方法を用いて単離することもできる。また、分級により所望の粒度分布を有する粒子にすることができる。単離後は、必要に応じ、乾燥や焼成を目的として、得られた有機質無機質複合体微粒子に熱処理工程を施すことができる。
上記熱処理工程は、上記重合工程で生成した有機質無機質複合体微粒子を800℃以下、より好ましくは100〜600℃の温度で乾燥および焼成する工程であり、たとえば、10容量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中や減圧下で行われることが好ましい。熱処理工程を行うことによって、得られた有機質無機質複合体微粒子に適度な硬度を付与することができる。
【0063】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「%」は特に言及しない限り「重量%」を表すものとし、「重量%」を単に「wt%」と記すことがある。
−実施例1−
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、水250部と25%アンモニア水5部とを混合した溶液を入れ、撹拌しながらこの溶液にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40部とメタノール125部を混合した溶液を滴下口から添加して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合反応を行って無機質粒子を調製した。別途、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物10部をトルエン20部に溶解させたものにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名:N−08)1部とイオン交換水50部とを加えたものをホモミキサーにより乳化分散させた乳化物、および、p−フェニレンジアミン3部をトルエン20部に溶解させたものにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名:N−08)1部とイオン交換水50部とを加えたものをホモミキサーにより乳化分散させた乳化物を調製し、上記反応開始から2時間後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の乳化物、p−フェニレンジアミンの乳化物の順で、順次滴下口から添加した。この添加後、さらに撹拌を1時間行い、次に反応液を窒素雰囲気下で80℃に昇温し、80℃±2℃で2次間保持して重合反応を行った。この重合反応後、得られた乳濁液(懸濁液)を自然沈降(デカンテーション)により固液分離し、得られたケーキをイオン交換水で洗浄し、さらに200℃で10時間真空乾燥することにより、有機質無機質複合体微粒子(1)を得た。
【0064】
有機質無機質複合体微粒子(1)の粒子径をコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は5.2μm、標準偏差は0.13μmであった。
−実施例2−
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、水250部と25%アンモニア水5部とを混合した溶液を入れ、撹拌しながらこの溶液にβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン40部とメタノール125部を混合した溶液を滴下口から添加して、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの加水分解・縮合反応を行って無機質粒子を調製した。別途、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物10部をトルエン20部に溶解させたものにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名:N−08)1部とイオン交換水50部とを加えたものをホモミキサーにより乳化分散させた乳化物、および、p−フェニレンジアミン3部をトルエン20部に溶解させたものにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名:N−08)1部とイオン交換水50部とを加えたものをホモミキサーにより乳化分散させた乳化物を調製し、上記反応開始から2時間後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の乳化物、p−フェニレンジアミンの乳化物の順で、順次滴下口から添加した。この添加後、さらに撹拌を1時間行い、次に反応液を窒素雰囲気下で80℃に昇温し、80℃±2℃で2次間保持して重合反応を行った。この重合反応後、得られた乳濁液(懸濁液)を自然沈降(デカンテーション)により固液分離し、得られたケーキをイオン交換水で洗浄し、さらに200℃で10時間真空乾燥することにより、有機質無機質複合体微粒子(2)を得た。
【0065】
有機質無機質複合体微粒子(2)の粒子径をコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は4.9μm、標準偏差は0.15μmであった。
−実施例3−
実施例1で得られた有機質無機質複合体微粒子(1)に、無電解Niメッキを施した後、さらに無電解金メッキを施し、導電性粒子(3)を得た。
得られた導電性粒子(3)の粒子径をコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は5.5μm、標準偏差は0.151μmであった。
【0066】
また、得られた導電性粒子(3)をSEMとXMAで観察したところ、この導電性粒子の表面は完全にNiで被覆され、その上に金でメッキ被覆されており、その断面をTEMで観察したところ、被覆層の厚みは0.1μmであった。
−実施例4−
図1に示すように、300mm×345mm×1.1mmの下側ガラス基板11上に、電極5(例えば、透明電極)およびポリイミド配向膜4を形成した後、ラビングを行って下側電極基板110を得た。この下側電極基板110の表面に、メタノール30容量部、イソプロパノール20容量部および水50容量部の混合溶媒中に面内スペーサー8として実施例1で得られた有機質無機質複合体微粒子(1)が1重量%となるように均一に分散させたものを、1〜10秒間散布した。
【0067】
一方、300mm×345mm×1.1mmの上側ガラス基板12上に、電極5(例えば、透明電極)およびポリイミド配向膜4を形成した後、ラビングを行って上側電極基板120を得た。そして、エポキシ樹脂接着シール材2中にシール部スペーサー3として実施例1で得られた有機質無機質複合体微粒子(1)が30容量%となるように分散させたものを、上側電極基板120の表面の接着シール部にスクリーン印刷した。
次に、上側電極基板120と下側電極基板110とを、電極5および配向膜4がそれぞれ対向するように、有機質無機質複合体微粒子(1)およびシール部を介して重ね合わせ、4kg/cm2の圧力を加えて、150℃の温度で30分間加熱し、接着シール材2を加熱硬化させた。その後、上側電極基板間120と下側電極基板110との隙間を真空とし、さらに、大気圧に戻すことにより、作製する液晶表示装置の種類に応じてビフェニル系およびフェニルシクロヘキサン系などの液晶物質を混合した液晶を注入し、注入部を封止した。そして、上側ガラス基板12および下側ガラス基板11の外側表面に、PVA(ポリビニルアルコール)系偏光膜6を貼り付けて、液晶表示装置を完成させた。
【0068】
このようにして得られた液晶表示装置について、セルの厚みを測定したところ、セルの厚みはパネル全面において均一であり、色ムラ等の不具合は見られなかった。
−実施例5−
実施例3において、有機質無機質複合体微粒子(1)の代わりに実施例2で得られた有機質無機質複合体微粒子(2)を用いた以外は、実施例3と同様にして、導電性粒子(5)を得た。
得られた導電性粒子(5)の粒子径をコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は5.2μm、標準偏差は0.13μmであった。
【0069】
また、得られた導電性粒子(5)をSEMとXMAで観察したところ、この導電性粒子の表面は完全にNiで被覆され、その上に金でメッキ被覆されており、その断面をTEMで観察したところ、被覆層の厚みは0.1μmと非常であった。
−実施例6−
実施例4において、有機質無機質複合体微粒子(1)の代わりに実施例2で得られた有機質無機質複合体微粒子(2)を用いた以外は、実施例4と同様にして、液晶表示装置を完成させた。
【0070】
得られた液晶表示装置について、セルの厚みを測定したところ、セルの厚みはパネル全面において均一であり、色ムラ等の不具合は見られなかった。
−比較例1−
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、水140部と25%アンモニア水2.9部、メタノール10.1部を混合した溶液を入れ、撹拌しながらこの溶液にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部とメタノール54部、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名:V−65)0.14部を混合した溶液を滴下口から添加して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合反応を行った。撹拌を継続しながら20分後、窒素雰囲気下で70℃に加熱しラジカル重合を行った。2時間加熱を続けた後、室温まで冷却し、有機質無機質複合体微粒子を含む懸濁体を得た。この懸濁体をろ過により固液分離し、得られたケーキについてメタノールによる洗浄を3回繰り返して行い、得られた有機質無機質複合体微粒子を真空乾燥機中で200℃で2時間真空乾燥することにより、有機質無機質複合体微粒子(c1)を得た。
【0071】
有機質無機質複合体微粒子(c1)の粒子径をコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により測定したところ、平均粒子径は5.1μm、標準偏差は0.16μmであった。
−比較例2−
実施例4において、有機質無機質複合体微粒子(1)の代わりに比較例1で得られた有機質無機質複合体微粒子(c1)を用いた以外は、実施例4と同様にして、液晶表示装置を完成させた。
得られた液晶表示装置について、セルの厚みを測定したところ、セルの厚みはパネル面内では均一であったが、シール部近傍では一部色ムラが認められた。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、バインダー樹脂への分散性や金属導体層との密着性などに優れた有機質無機質複合体微粒子、および、この微粒子を用いてなる隙間距離保持用スペーサーや導電性粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機質無機質複合体微粒子を用いた液晶表示装置の一例を表す概略断面図である。
【符号の説明】
2 接着シール材
3 シール部スペーサー
4 配向膜
5 電極
6 偏光膜
7 液晶
8 面内スペーサー
11 下側ガラス基板
12 上側ガラス基板
110 下側電極基板
120 上側電極基板

Claims (3)

  1. ポリシロキサン骨格を含む粒子構造中にポリイミドを必須とする非ビニル系重合体が互いに独立に骨格構造を有しつつ一体化している、有機質無機質複合体微粒子。
  2. 請求項1に記載の有機質無機質複合体微粒子を用いてなる、隙間距離保持用スペーサー。
  3. 請求項1に記載の有機質無機質複合体微粒子と該微粒子表面に形成された導体層とを有する、導電性粒子。
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