JP3192123B2 - 液晶表示板用スペーサーおよび液晶表示板 - Google Patents

液晶表示板用スペーサーおよび液晶表示板

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JP3192123B2 JP31250798A JP31250798A JP3192123B2 JP 3192123 B2 JP3192123 B2 JP 3192123B2 JP 31250798 A JP31250798 A JP 31250798A JP 31250798 A JP31250798 A JP 31250798A JP 3192123 B2 JP3192123 B2 JP 3192123B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示板用スペーサ
ーおよび液晶表示板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示板(LCD)は、2枚の対向す
る電極基板と、前記電極基板間に介在するスペーサーお
よび液晶物質とで構成されている。スペーサーは、液晶
層の厚みを均一かつ一定に保つために使用される。液晶
表示板の実用に際して要求される表示性能として、一般
に、高速応答性、高コントラスト性、広視野角性等が挙
げられる。これら諸性能の実現のためには、液晶層の厚
み、つまり、2枚の電極基板の隙間距離を厳密に一定に
保持しなければならない。
【0003】このような要望に応じた液晶表示板用スペ
ーサーとしては、ゾル−ゲル法で製造したシリカ粒子
(特開昭62−269933号公報)、前記シリカ粒子
を焼成したもの(特開平1−234826号公報)、ス
チレン系単量体やジビニルベンゼン系単量体等を懸濁重
合させて得られるスチレン系やジビニルベンゼン系ポリ
マー粒子(特開昭61−95016号公報)等がある。
これらは、いずれも、粒子径分布が狭く、粒子径が良く
揃った球状粒子である。
【0004】しかし、上記従来技術では、次のような問
題点がある。 (A) ゾル−ゲル法で製造されたシリカ粒子を焼成したも
のは、変形性が乏しく、非常に硬いため、液晶表示板を
作製するためにプレスを行うと、基板上の電極等の蒸着
層、配向膜、カラーフィルター等のコート層に物理的損
傷を与え、画像ムラやTFTの断線による画素欠陥を生
じさせる。また、このシリカ焼成物粒子と液晶との熱膨
張係数の差が大きいため、そのシリカ焼成物粒子を用い
た液晶表示板がたとえばマイナス40℃の低温環境に曝
された場合、液晶が収縮するほどには粒子が収縮せず、
液晶層と電極基板との間に空隙が生じて表示機能が全く
作動しないという、いわゆる低温発泡の問題を生じる。 (B) ゾル−ゲル法で製造されたシリカ粒子は、シリカ焼
成物粒子と比べて柔らかい。しかし、この未焼成のシリ
カ粒子は、機械的復元性に劣るため、隙間距離が不均一
になり画像ムラを発生させやすい。しかも、未焼成のシ
リカ粒子は、シリカ焼成物粒子と同様に低温発泡の問題
を起こす。 (C) スチレン系やジビニルベンゼン系のポリマー粒子
は、有機粒子であり、非常に柔らかいので、散布個数を
多くせざるを得ない。このため、製造コストの上昇を招
くばかりでなく、画像を形成しない部分の面積が結果と
して増加する。さらに、イオンや分子等の不純物がスペ
ーサー内部から液晶層中へ溶出する量が増加することに
より、コントラストの低下、ざらつきの増加等の諸表示
品位を低下させる原因となる。
【0005】そこで、ジビニルベンゼンなどの架橋性単
量体を多く用いたり、重合開始剤を多く用いて懸濁重合
を行うことにより変形しにくくしたポリマー粒子が提案
されている(特開平4−313727号公報)。また、
テトラメチロールメタンテトラアクリレートまたはテト
ラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベン
ゼンとを懸濁重合した後、分級により平均粒子径と標準
偏差とを調節したポリマー粒子が提案されている(特表
平6−503180号公報)。
【0006】これらのポリマー粒子は、液晶の異常配向
が生じ易いという問題がある。液晶表示板において、液
晶の異常配向が生じた箇所は表示を行うことができな
い。本発明者らは、10%圧縮弾性率と10%変形後の
残留変位とが特定範囲にあり、かつ特定の有機質−無機
質複合体粒子からなる液晶表示板用スペーサーを提案し
ている(特願平5−288536号)。この液晶表示板
用スペーサーは、従来のポリマー粒子よりも大きい硬度
を有するため、散布個数を低減できる。しかし、散布個
数の低減は、粒子1個あたりにかかる荷重を増大させる
ため、破壊強度が不足することがある。
【0007】従来の導電性粒子は、シリカ粒子などの無
機化合物粒子またはポリマー粒子と当該粒子の表面に形
成された導体層とを備えている。一般に、導電性粒子
は、エレクトロニクス実装分野において、1対の電極間
を接続するために使用される。すなわち、導電性粒子を
介在させた1対の電極をプレスして、導電性粒子を介し
両電極を電気的に接続させる。
【0008】導電性粒子がポリマー粒子を含む場合には
柔らかすぎるため、加圧時に導体層が粒子の変形に追従
できず、導体層が粒子表面から剥がれ落ちたり、電極同
士が引っつきすぎてショートしたりする。他方、導電性
粒子が無機化合物粒子を含む場合には硬すぎるため、電
極との接触面積が広がらず、接触抵抗値を低くすること
ができなかったり、変形時に無理な圧力をかけて導電体
層が剥がれ落ちたりする。また、導電性粒子の機械的復
元性が悪いと、隙間距離を一定に保持しにくくなり接触
不良を起こすという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、正確
な間隔で配置されるべき1対の電極基板間の隙間距離を
一定に保持するために必要な機械的復元性と少ない個数
で前記隙間距離を一定に保持するために必要な硬度・破
壊強度とを有するとともに、前記電極基板に対して物理
的ダメージを与えにくい液晶表示板用スペーサーを提供
することである。
【0010】本発明の別の目的は、電極基板の物理的損
傷を少なくするとともに、画質を向上させた液晶表示板
を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示板用ス
ペーサーは、次のような有機質無機質複合体粒子からな
る。すなわち、該有機質無機質複合体粒子は、有機ポリ
マー骨格とポリシロキサン骨格とを含む。ポリシロキサ
ン骨格は、有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素
原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子
内に有する。ポリシロキサン骨格を構成するSiO2
量は、粒子の全重量に対して25wt%以上である。該
有機質無機質複合体粒子は、0.5μm以上の平均粒子
径を有する。
【0012】該有機質無機質複合体粒子は、次
【0013】
【数2】
【0014】(ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Y
は粒子径〔mm〕を示す)を満足する破壊強度をさらに有
する。該有機質無機質複合体粒子は、粒子径の変動係数
が20%以下である。
【0015】該有機質無機質複合体粒子は、100℃〜
600℃の温度で熱処理されたものであってもよい。該
有機質無機質複合体粒子は、染料および顔料からなる群
から選ばれる少なくとも1つを含むことで着色されてい
てもよい。本発明の液晶表示板用スペーサーは、該有機
質無機質複合体粒子と、前記有機質無機質複合体粒子表
面に形成された接着剤層とを有するものであってもよ
。本発明の液晶表示板は、電極基板間に介在させるス
ペーサーとして、本発明の液晶表示板用スペーサーが用
いられてなるものである。
【0016】
【手段の説明】〔液晶表示板用スペーサー〕本発明の液
晶表示板用スぺーサーとして用いられる有機質無機質複
合体粒子は、有機ポリマー骨格と有機ポリマー骨格中の
少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合
した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格と
を含み、ポリシロキサン骨格を構成するSiO2 の量が
25wt%以上であるので、ポリシロキサン骨格の特徴
である大きな硬度と、有機ポリマー骨格の特徴である高
い機械的復元性および破壊強度とを有する。このため、
本発明の液晶表示板用スペーサーとして用いられる有機
質無機質複合体粒子は、正確な間隔で配置されるべき1
対の部材間の隙間距離を一定に保持するために必要な機
械的復元性と少ない個数で前記隙間距離を一定に保持す
るために必要な硬度および破壊強度とを有するととも
に、それらの部材に対して物理的ダメージを与えにく
い。しかも、該有機質無機質複合体粒子は、0.5μm
以上の平均粒子径を有するので、1対の部材間に隙間を
形成するのに有用である。
【0017】有機ポリマー骨格は、有機ポリマーに由来
する主鎖・側鎖・分岐鎖・架橋鎖のうちの少なくとも主
鎖を含む。有機ポリマーの分子量、組成、構造、官能基
の有無などに特に限定されない。有機ポリマーは、たと
えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、およびポリ
エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つであ
る。好ましい有機ポリマー骨格は、機械的復元性に特に
優れた粒子を形成するという理由で、繰り返し単位−C
−C−から構成される主鎖を有するもの(以下では、
「ビニル系ポリマー」と言うことがある)である。
【0018】ビニル系ポリマーは、たとえば、(メタ)
アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢
酸ビニル、およびポリオレフィンからなる群から選ばれ
る少なくとも1つである。好ましいビニル系ポリマー
は、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−スチレ
ン系樹脂およびポリスチレンからなる群から選ばれる少
なくとも1つである。より好ましいビニル系ポリマー
は、(メタ)アクリル樹脂および(メタ)アクリル−ス
チレン系樹脂である。
【0019】ポリシロキサンは、次式4:
【0020】
【化1】
【0021】で表されるシロキサン単位が連続的に化学
結合して、三次元のネットワークを構成した化合物と定
義される。有機ポリマー骨格を構成する炭素原子の少な
くとも1個には、ポリシロキサン中のケイ素原子が直接
化学結合している。ポリシロキサン骨格を構成するSi
2の量は、有機質無機質複合体粒子の重量に対して、
25wt%以上、好ましくは30〜80wt%、より好
ましくは33〜70wt%、最も好ましくは37〜60
wt%である。前記範囲であると、効果的な、硬度と機
械的復元性と破壊強度とを有する粒子となる。25wt
%を下回ると無機質の特徴である硬度が発現せず、後述
する10%圧縮弾性率が小さいという問題がある。80
wt%を上回ると有機ポリマー骨格の有する機械的復元
性または破壊強度が損なわれ、残留変位が大きくなった
り粒子が割れたりする場合がある。
【0022】ポリシロキサン骨格を構成するSiO2
量は、粒子を空気などの酸化性雰囲気中で1000℃以
上の温度で焼成した前後の重量を測定することにより求
めた重量百分率である。上記有機質無機質複合体粒子
は、ポリシロキサン以外の無機質成分を含むことができ
る。ポリシロキサン以外の無機質成分は、たとえば、ホ
ウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等の酸化物
である。ポリシロキサン以外の無機質成分の量は、0〜
20wt%が好ましく、0〜10wt%がより好まし
い。前記範囲を外れると、硬度、機械的復元性または破
壊強度が効果的に発現しないおそれがある。
【0023】上記有機質無機質複合体粒子は、0.5μ
m以上の平均粒子径を有し、好ましくは0.5〜50μ
m、より好ましくは1〜25μm、もっと好ましくは
1.5〜20μmの平均粒子径を有する。0.5μmを
下回ると、1対の部材間に隙間を形成するのが困難であ
る。前記範囲を外れると、液晶表示板用スペーサーとし
ては用いられない領域である。
【0024】上記有機質無機質複合体粒子は、スペーサ
ーとして用いられるので、電極基板の隙間距離の均一性
の面から、20%以下、好ましくは10%以下、より好
ましくは8%以下の粒子径の変動係数を有する。前記上
限値を上回ると隙間距離の均一性が低下して画像ムラを
起こしやすくなる。粒子径の変動係数は、次式:
【0025】
【数3】
【0026】で定義される。本発明では、平均粒子径と
粒子径の標準偏差は、電子顕微鏡撮影像の任意の粒子2
00個の粒子径を実測して次式より求めた。
【0027】
【数4】
【0028】上記有機質無機質複合体粒子は、上記式4
で表される無機質構成単位と有機ポリマー骨格との両方
を含有し、かつ、無機質構成単位と有機ポリマー骨格と
が化学結合した複合体粒子である。従って、該有機質無
機質複合体粒子は、無機質の特徴である大きな硬度と有
機ポリマーの特徴である高い機械的復元性および破壊強
度とを兼ね備えている。
【0029】硬度を示す尺度は10%圧縮弾性率であ
り、機械的復元性を示す尺度は、10%変形後の残留変
位である。ここで10%圧縮弾性率とは、下記測定方法
により測定した値である。島津微小圧縮試験機(株式会
社島津製作所製MCTM−200)により、室温(25
℃)において、試料台(材質:SKS平板)上に散布し
た試料粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子
(材質:ダイヤモンド)を用いて、粒子の中心方向へ一
定の負荷速度で荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%
となるまで粒子を変形させ、10%変形時の荷重と圧縮
変位のミリメートル数を求める。求められた圧縮荷重、
粒子の圧縮変位、粒子の半径を次式:
【0030】
【数5】
【0031】〔ここで、E:圧縮弾性率(kg/mm2 ) F:圧縮荷重(kg) K:粒子のポアソン比(定数、0.38) S:圧縮変位(mm) R:粒子の半径(mm) である。〕に代入して計算された圧縮弾性率が10%圧
縮弾性率である。その後、すぐに、負荷時と同じ速度で
負荷を除き、荷重が0.1gとなるまで除荷を行い、最
終的に荷重が0gとなるように荷重−変位曲線を接線に
沿って外挿し、粒子になお残留する変位を求める。これ
を粒子径に対する百分率として残留変位を算出する。こ
の操作を異なる3個の粒子について行い、その平均値を
粒子の10%圧縮弾性率、残留変位とし、それぞれ、粒
子の硬度、機械的復元性の尺度とする。
【0032】また、破壊強度は、前述した微小圧縮試験
機を使用して調べることができる。前述したように試料
台上に散布した試料粒子1個について、円形平板圧子を
用いて、粒子の中心方向へ一定速度で荷重をかけ、粒子
が破壊する圧縮荷重を求めることができる。従来のスペ
ーサーとして使用されている粒子の10%圧縮弾性率を
上記測定方法により測定した場合、シリカ焼成物粒子は
4400kg/mm2 、スチレン系ポリマー粒子は300kg
/mm2 であった。
【0033】これに対し、本発明で用いられる有機質無
機質複合体粒子は、10%圧縮弾性率が、好ましくは3
50〜3000kg/mm2 の範囲、更に好ましくは400
〜2500kg/mm2 の範囲、より一層好ましくは500
〜2000kg/mm2 の範囲で任意の硬度に調整されてい
る。10%圧縮弾性率が前記範囲を下回ると、前述のよ
うに、液晶表示板用スペーサーとして使用した場合に粒
子の散布個数の増加による製造コストの上昇、コントラ
ストの低下、ざらつきの増加のおそれがあり、上回る
と、前述のように、基板上の蒸着層、コート層への物理
的損傷や低温発泡のおそれがある。
【0034】10%変形後の残留変位については、未焼
成のシリカ粒子は残留変位が8%であったが、本発明で
用いられる有機質無機質複合体粒子は、好ましくは0〜
5%の範囲、更に好ましくは0〜4%、一層好ましくは
0〜3%の範囲の残留変位を有する機械的復元性に優れ
た複合体粒子である。10%変形後の残留変位が前記範
囲を上回ると液晶表示板用スペーサーとして使用した場
合に画像ムラが起こりやすい。
【0035】また、破壊強度については、本発明で用い
られる有機質無機質複合体粒子は、次式:
【0036】
【数6】
【0037】(ここで、GとYとは上述したものを示
す)を、より好ましくは次式:
【0038】
【数7】
【0039】(ここで、GとYとは上述したものを示
す)を満足する複合体粒子である。破壊強度が前記式を
満足しないと、液晶表示板を作製する際に粒子が破壊す
る場合があり、電極基板の隙間距離を一定に保つことが
できなくなる。上記範囲における10%圧縮弾性率およ
び残留変位の程度は、粒子中に占めるポリシロキサン骨
格または有機ポリマー骨格の量を調節することにより達
成される。たとえば、ポリシロキサン骨格の量を低くす
ると、10%圧縮弾性率と残留変位が小さくなり、ポリ
シロキサン骨格の量を高めると、10%圧縮弾性率と残
留変位が大きくなる。
【0040】上記有機質無機質複合体粒子は、染料およ
び顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むこ
とで着色されていてもよい。粒子の色は、光が透過しな
い色が好ましい。光が透過しない色は、光抜けを防止で
き画質のコントラストを向上できるので、液晶表示板用
スペーサーの色には好ましい。光が透過しない色として
は、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤などの色
が挙げられるが、特に好ましくは、黒、濃青、または紺
である。染料は、着色しようとする色に応じて適宜選択
して使用され、たとえば、染色方法によって分類され
た、分散染料、酸性染料、塩基性染料、反応染料、硫化
染料等が挙げられる。これらの染料の具体例は、「化学
便覧応用化学編 日本化学会編」(1986年丸善株式
会社発行)の1399頁〜1427頁、「日本化薬染料
便覧」(1973年日本化薬株式会社発行)に記載され
ている。
【0041】有機質無機質複合体粒子を染色する方法は
従来公知の方法がとられる。たとえば、上記の「化学便
覧応用化学編 日本化学会編」や「日本化薬染料便覧」
に記載されている方法で行うことができる。本発明で用
いられる有機質無機質複合体粒子は、上述した硬度と機
械的復元性とを兼ね備えているので、液晶表示板の画質
向上に特に有用である。
【0042】本発明において液晶表示板用スペーサーと
して用いられる有機質無機質複合体粒子の好ましい態様
は次のとおりである。 破壊強度Gが、上記数式6を、より好ましくは上記
数式7を満足する。 ポリシロキサン骨格の量25wt%以上、10%圧
縮弾性率350〜3000kg/mm2 、10%変形後の残
留変位0〜5%、平均粒子径0.5〜50μm、およ
び、粒子径の変動係数20%以下である。
【0043】 ポリシロキサン骨格の量30〜80w
t%、10%圧縮弾性率400〜2900kg/mm2 、1
0%変形後の残留変位0〜4%、平均粒子径1〜25μ
m、および、粒子径の変動係数10%以下である。 ポリシロキサン骨格の量33〜70wt%、10%
圧縮弾性率500〜2800kg/mm2 、10%変形後の
残留変位0〜3%、平均粒子径1.5〜20μm、およ
び、粒子径の変動係数8%以下である。
【0044】 ポリシロキサン骨格の量37〜60w
t%、10%圧縮弾性率550〜2700kg/mm2 、1
0%変形後の残留変位0〜2%、平均粒子径2〜15μ
m、および、粒子径の変動係数6%以下である。 上記〜において、破壊強度G、上記数式6を、
より好ましくは上記数式7を満足する。
【0045】 上記〜において、染料および顔料
からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことで着
色されている。 上記有機質無機質複合体粒子の形状は、球状、針状、板
状、鱗片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意
の粒子形状で良く、特に限定されないが、液晶表示板用
スペーサーとして用いられるので、隙間距離を均一に一
定とする上で球状が好ましい。これは、粒子が球状であ
ると、すべてまたはほぼすべての方向について一定また
はほぼ一定の粒径を有するからである。
【0046】該有機質無機質複合体粒子は、たとえば、
以下に述べる製造方法によって作ることができるが、他
の製造方法によって作られてもよい。上記有機質無機質
複合体粒子は、縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含
む製造方法により作ることができる。縮合工程は、ラジ
カル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水分解
・縮合する工程である。
【0047】第1シリコン化合物は、次の一般式1:
【0048】
【化2】
【0049】(ここで、R1 は水素原子またはメチル基
を示し;R2 は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;R3 は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
と、次の一般式2:
【0050】
【化3】
【0051】(ここで、R4 は水素原子またはメチル基
を示し;R5 は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル
基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの1価基を示す)と、次の一般式3:
【0052】
【化4】
【0053】(ここで、R6 は水素原子またはメチル基
を示し;R7 は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;R8 は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表
される化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる
少なくとも1つである。
【0054】縮合工程では、第1シリコン化合物と下記
ラジカル重合性基含有第2シリコン化合物との両方を用
いることができる。第2シリコン化合物は、次の一般式
5:
【0055】
【化5】
【0056】(ここで、Xは、CH2 =C(−R1 )−
COOR2 −、CH2 =C(−R4 )−またはCH2
C(−R6 )−R7 −で示される1価ラジカル重合性官
能基を示し;R1 とR4 とR6 とは水素原子またはメチ
ル基を示し;R2 とR7 とは、置換基を有していても良
い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;R9 は、水素
原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5の
アシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1
価基を示し;R10は、置換基を有していても良い炭素数
1〜10のアルキル基と、炭素数6〜10のアリール基
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示
し;mは2〜3の整数を示し;nは0〜2の整数を示
し;m+nは2〜3の整数を示す。複数のXは互いに異
なっていても良いし、2個以上が同じであっても良い。
nが2の場合、2個のR10は互いに異なっていても良い
し、同じであっても良い。4−m−nが2の場合、2個
のR9は互いに異なっていても良いし、同じであっても
良い)で表される化合物およびその誘導体からなる群か
ら選ばれる少なくとも1つである。
【0057】一般式1〜3および5において、ラジカル
重合性基は、CH2 =C(−R1 )−COOR2 −、C
2 =C(−R4 )−、または、CH2 =C(−R6
−R 7 −である。一般式5において、ラジカル重合性基
が2個以上ある場合には、互いに異なっていても良い
し、2個以上が同じであっても良い。ラジカル重合性基
をラジカル重合反応させることにより、上述したビニル
系ポリマーに由来する有機ポリマー骨格を生成する。ラ
ジカル重合性基は、アクリロキシ基(一般式1および5
においてR1 が水素原子である場合)、メタクリロキシ
基(一般式1および5においてR1 がメチル基である場
合)、ビニル基(一般式2および5においてR4 が水素
原子である場合)、イソプロペニル基(一般式2および
5においてR4 がメチル基である場合)、1−アルケニ
ル基もしくはビニルフェニル基(一般式3および5にお
いてR6 が水素原子である場合)、または、イソアルケ
ニル基もしくはイソプロペニルフェニル基(一般式3お
よび5においてR6 がメチル基である場合)である。
【0058】一般式1〜3および5において、加水分解
性基はR3 O、R5 O、R8 OおよびR9 Oである。R
3 O基、R5 O基、R8 O基およびR9 O基は、水酸基
と炭素数1〜5のアルコキシ基と炭素数2〜5個のアシ
ロキシ基とからなる群から選ばれる1価基である。一般
式1〜3において、3個のR3 O基、3個のR5 O基お
よびR8 O基は、それぞれ、互いに異なっていても良い
し、2個以上が同じであっても良い。一般式5におい
て、R9 O基が2個ある場合には、互いに異なっていて
も良いし、同じであっても良い。好ましいR3 O基・R
5 O基・R8 O基・R9 O基は、加水分解・縮合速度が
大きい点で、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基お
よびアセトキシ基からなる群から選ばれるものであり、
メトキシ基およびエトキシ基がより好ましい。第1シリ
コン化合物および第2シリコン化合物は、R3 O基・R
5 O基・R8 O基・R9 O基が水により加水分解し、更
に縮合することにより、前記一般式4で示されるポリシ
ロキサン骨格を形成する。
【0059】一般式1〜3および5において、R2 基お
よびR7 基は、置換基を有していても良い炭素数1〜2
0の2価の有機基である。この2価の有機基としては、
特に限定されないが、たとえば、置換基を有していても
よい、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシ
レン基、オクチレン基などのアルキレン基、置換基を有
していてもよいフェニレン基、あるいは、これらの置換
基を有していてもよいアルキレン基やフェニレン基がエ
ーテル結合を介して結合した基等が挙げられる。容易に
入手可能である点で、R2 およびR7 がプロピレン基や
フェニレン基であるラジカル重合性基を有するものが好
ましい。
【0060】一般式5において、R10基は、ケイ素原子
に結合した、アルキル基またはアリール基である。この
アルキル基は、置換基を有していても良い炭素数1〜1
0のアルキル基であり、たとえば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等である。この
アリール基は、炭素数6〜10のアリール基であり、た
とえば、フェニル基、トリル基等である。一般式5にお
いて、R10基が2個ある場合には、互いに異なっていて
も良いし、同じであっても良い。
【0061】一般式1と2と3とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの一般式で表される化合物は、1個の
ケイ素原子と、ケイ素原子に結合した3個の加水分解性
基と、ケイ素原子に結合した1個のラジカル重合性基と
を有する。一般式1で表される化合物の具体例は、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシ
プロピルトリメトキシシラン(または、γ−トリメトキ
シシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテル
ともいう)等であり、これらのうちのいずれか1つが単
独で使用されたり、2以上が併用されたりする。
【0062】一般式2で表される化合物の具体例は、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシラン等であり、これらのうちの
いずれか1つが単独で使用されたり、2以上が併用され
たりする。一般式3で表される化合物の具体例は、1−
ヘキセニルトリメトキシシラン、1−オクテニルトリメ
トキシシラン、1−デセニルトリメトキシシラン、γ−
トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ω−トリ
メトキシシリルウンデカン酸ビニルエステル、p−トリ
メトキシシリルスチレン等であり、これらのうちのいず
れか1つが単独で使用されたり、2以上が併用されたり
する。
【0063】一般式1〜3で表される化合物の誘導体
は、たとえば、一般式1〜3で表される化合物の有する
一部のR3 O基がβ−ジカルボニル基および/または他
のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物
と、一般式1〜3で表される化合物および/またはその
キレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得られた
低縮合物とからなる群から選ばれる少なくとも1つであ
る。
【0064】第1シリコン化合物としては、粒子径分布
がシャープである有機質無機質複合体粒子を形成しやす
いという点から、一般式1で示される化合物が好まし
く、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選ば
れる少なくとも1つが特に好ましい。
【0065】一般式5で表される化合物は、次の5つで
ある。 (1) 1個のケイ素原子と、ケイ素原子に結合した1個の
ラジカル重合性基と、ケイ素原子に結合した1個のアル
キル基またはアリール基と、ケイ素原子に結合した2個
の加水分解性基とを有する(m=1、n=1)。この化
合物の具体例は、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメ
チルジエトキシシラン等であり、いずれか1つが単独で
使用されたり、あるいは、2以上が併用されたりする。 (2) 1個のケイ素原子と、ケイ素原子に結合した1個の
ラジカル重合性基と、ケイ素原子に結合した2個の、ア
ルキル基および/またはアリール基と、ケイ素原子に結
合した1個の加水分解性基とを有する(m=1、n=
2)。この化合物の具体例は、γ−メタクリロキシプロ
ピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピ
ルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピル
ジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラ
ン等であり、いずれか1つが単独で使用されたり、ある
いは、2以上が併用されたりする。 (3) 1個のケイ素原子と、ケイ素原子に結合した2個の
ラジカル重合性基と、ケイ素原子に結合した2個の加水
分解性基とを有する(m=2、n=0)。この化合物の
具体例は、ビス(γ−アクリロキシプロピル)ジメトキ
シシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメト
キシシラン等であり、いずれか1つが単独で使用された
り、あるいは、2以上が併用されたりする。 (4) 1個のケイ素原子と、ケイ素原子に結合した2個の
ラジカル重合性基と、ケイ素原子に結合した1個のアル
キル基またはアリール基と、ケイ素原子に結合した1個
の加水分解性基とを有する(m=2、n=1)。この化
合物の具体例は、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)
メチルメトキシシラン、ビス(γ−アクリロキシプロピ
ル)メチルメトキシシラン等であり、いずれか1つが単
独で使用されたり、あるいは、2以上が併用されたりす
る。 (5) 1個のケイ素原子と、ケイ素原子に結合した3個の
ラジカル重合性基と、ケイ素原子に結合した1個の加水
分解性基とを有する(m=3、n=0)。この化合物の
具体例は、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メト
キシシラン、トリス(γ−アクリロキシプロピル)メト
キシシラン等であり、いずれか1つが単独で使用された
り、あるいは、2以上が併用されたりする。
【0066】第2シリコン化合物としては、粒子径分布
がシャープである有機質無機質複合体粒子を形成しやす
いという点から、一般式5で表される化合物の中でも、
ラジカル重合性基がCH2 =C(−R1 )−COOR2
−基である化合物が好ましい。一般式5で表される化合
物の誘導体は、たとえば、一般式5で表される化合物の
有する一部のR9 O基がβ−ジカルボニル基および/ま
たは他のキレート化合物を形成し得る基で置換された化
合物と、一般式5で表される化合物および/またはその
キレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得られた
低縮合物とからなる群から選ばれる少なくとも1つであ
る。
【0067】第1シリコン化合物を用いずに第2シリコ
ン化合物を用いて加水分解・縮合したときには得られる
粒子の硬度が低下する傾向にあるので、本発明では第1
シリコン化合物を必ず用いるのである。本発明では、上
述した第1および第2シリコン化合物以外に、下記一般
式6と7で表されるシラン化合物;その誘導体;ホウ
素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、チタ
ン、ジルコニウム等の有機金属化合物および無機金属化
合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの加水分解
・縮合可能な金属化合物も併用して良い。
【0068】
【化6】
【0069】(ここで、R11、R13、R17は、R3 と同
じであり;R12、R14、R16は、R10と同じであり;R
15はR7 と同じであり;p、q、rは、0又は1であ
る) 一般式6、7で表されるシラン化合物の有するR11、R
13、R17基としては、加水分解縮合速度が速い点でメチ
ル基又はエチル基が好ましい。p、q、rは、0又は1
であるが、得られる有機質無機質複合体粒子の硬度を高
めることができる点でp、q、r=0が好ましい。
【0070】一般式7で表されるシラン化合物の例とし
ては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−トリ
メトキシシリル−2−トリエトキシシリルエタン等が挙
げられる。一般式6、7で表されるシラン化合物の誘導
体は、一般式6、7で表される化合物の有する一部のR
11O、R13O、R17O基がβ−ジカルボニル基および/
または他のキレート化合物を形成し得る基で置換された
化合物と、一般式6、7で表される化合物および/また
はそのキレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得
られた低縮合物とからなる群から選ばれる少なくとも1
つである。
【0071】第1および第2シリコン化合物以外の加水
分解・縮合可能な金属化合物の量は、特に限定されない
が、多量に使用すると得られる有機質無機質複合体粒子
の形状が球状にならなかったり、粒子径の制御が困難に
なったり、粒度分布が広がったりするので液晶表示板用
スペーサーには不適な場合がある。このため、この加水
分解・縮合可能な金属化合物の量は、第1および第2シ
リコン化合物の合計重量に対して、200wt%以下が
好ましく、100wt%以下が更に好ましく、50wt
%以下がより一層好ましい。
【0072】第1シリコン化合物と、必要に応じて使用
される第2シリコン化合物および/または加水分解・縮
合可能な金属化合物と(以下では、「原料」と言うこと
がある)は、水を含む溶媒中で加水分解され、縮合す
る。加水分解と縮合は、一括、分割、連続等、任意の方
法を採ることができる。加水分解や縮合させるにあた
り、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチ
ルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸
化物、アルカリ土類金属水酸化物等の触媒を用いてもよ
い。また、溶媒中には、水や触媒以外の有機溶剤が存在
していてもよい。有機溶剤の具体例としては、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノー
ル、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチ
ル等のエステル類;イソオクタン、シクロヘキサン等の
(シクロ)パラフィン類;ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化
水素類等が単独で、または、混合して用いられる。
【0073】加水分解と縮合は、たとえば、上記した原
料またはその有機溶剤溶液を水を含む溶媒に添加し、0
〜100℃、好ましくは0〜70℃の範囲で30分〜1
00時間攪拌することによって行われる。また、上記の
ような方法により得られた粒子を、種粒子として予め合
成系に仕込んでおき、上記原料を添加して該種粒子を成
長させていっても良い。
【0074】このようにして原料を、水を含む溶媒中で
適切な条件の下で加水分解、縮合させることにより、粒
子が析出しスラリーが生成する。析出した粒子は、上述
のラジカル重合性基を有するシリコン化合物を加水分解
・縮合したので、平均粒子径が0.5μm以上の任意の
粒子径で、しかも、粒度分布のシャープな粒子である。
ここで、適切な条件とは、たとえば、得られるスラリー
に対して、原料濃度については20重量%以下、水濃度
については50重量%以上、触媒濃度については10重
量%以下が好ましく用いられる。
【0075】加水分解・縮合で生成する粒子の平均粒子
径は、水濃度、触媒濃度、有機溶剤濃度、原料濃度、原
料の添加時間、温度、種粒子の濃度を、たとえば、それ
ぞれ、50〜99.99重量%、0.01〜10重量
%、0〜90重量%、0.1〜30重量%、0.001
〜500時間、0〜100℃、0〜10重量%に設定す
ることにより、上述の平均粒子径の範囲内にすることが
できる。生成する粒子の粒子径の変動係数は、水濃度、
触媒濃度、有機溶剤濃度を、それぞれ、上記範囲内に設
定することにより、上述の粒子径の変動係数の範囲内に
することができる。
【0076】縮合工程では、更に、第1シリコン化合物
と、必要に応じて使用される第2シリコン化合物および
/または加水分解・縮合可能な金属化合物とを加水分解
・縮合する際に、平均粒子径0.4μm以下の無機微粒
子をさらに用いることが好ましい。この理由は、得られ
る有機質無機質複合体粒子が、ポリシロキサン骨格と化
学結合した無機微粒子を含むことにより、より高い硬度
を持ち、向上した破壊強度を有するからである。
【0077】無機微粒子の具体例としては、例えば、シ
リカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸
化ジルコニウム等が挙げられるが、原料を加水分解・縮
合して得られる粒子中に導入され易い点でシリカが好ま
しい。また、無機微粒子の平均粒径は0.4μmを超え
ると原料を加水分解・縮合して得られる粒子中に導入さ
れにくくなるので好ましくない。従って、無機微粒子の
平均粒子径は、小さい程好ましく、好ましくは0.1μ
m以下、さらに好ましくは30nm以下、より一層好ま
しくは10nm以下である。無機微粒子としては、好ま
しくは平均粒子径0.1μm以下、より好ましくは平均
粒子径30nm以下、または更により一層好ましくは平
均粒子径10nm以下のシリカが挙げられる。
【0078】これら無機微粒子としては、微粒子の凝集
等が少ない点で水や有機溶媒に分散したゾルが好まし
い。さらに好ましくは平均粒子径30nm以下、より一
層好ましくは10nm以下の無機微粒子のゾルである。
具体例としては、例えば平均粒子径30nm以下のシリ
カ粒子のゾル(シリカゾル)としては、日産化学株式会
社製商品名「スノーテックス20」、「スノーテックス
O」、「スノーテックス−C」、「スノーテックス−
N」、「スノーテックス−S」、「スノーテックス−2
0L」、「スノーテックス−XS」、「スノーテックス
−XL」、「スノーテックス−YL」、「スノーテック
ス−ZL」、「メタノールシリカゾル」、「IPA−S
T」等が挙げられ、アルミナゾルとしては日産化学株式
会社製商品名「アルミナゾル−100」、「アルミナゾ
ル−200」、「アルミナゾル−520」等が挙げられ
る。
【0079】重合工程は、縮合工程中および/または縮
合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させ
る工程である。すなわち、第1シリコン化合物、必要に
応じて使用される第2シリコン化合物を、加水分解・縮
合で得られた中間生成物・粒子をラジカル重合する。ラ
ジカル重合性基がラジカル重合反応して有機ポリマー骨
格を形成する。
【0080】ラジカル重合する方法としては、加水分解
・縮合して得られた粒子の水を含む溶媒スラリーに水溶
性又は油溶性のラジカル重合開始剤を添加溶解して、そ
のまま重合しても良いし、また加水分解・縮合して得ら
れた粒子を、濾過、遠心分離、減圧濃縮等の従来公知の
方法を用いてスラリーから単離した後、ラジカル重合開
始剤を含有する水又は有機溶媒等の溶液に分散させて重
合しても良く、これらに限定されるものではない。特
に、上記原料を加水分解・縮合しながらラジカル重合開
始剤を共存させてラジカル重合を同時に行う方法が好ま
しい。この理由としては、式4で示されるポリシロキサ
ンの生成と重合による有機ポリマーの生成が並行して生
じるため、上述した有機質無機質複合体粒子が有する、
無機質の特徴である硬度と、有機ポリマーの特徴である
機械的復元性および破壊強度とを含有する有機質無機質
複合体粒子が得られ易く、また硬度、機械的復元性およ
び破壊強度が効果的に発現する有機質無機質複合体粒子
となるためである。
【0081】ここで、ラジカル重合開始剤としては従来
公知の物を使用することができ、特に限定されないが、
好ましくはアゾ化合物、過酸化物等から選ばれる少なく
とも1つの化合物である。上記したラジカル重合開始剤
の量は、特に限定されないが、多量に使用すると発熱量
が多くなって反応の制御が困難となり、一方、少量使用
の場合にはラジカル重合が進行しない場合があるので、
第1および第2シリコン化合物の合計重量に対して、た
とえば0.1〜5wt%、好ましくは0.3〜2wt%
の範囲である。
【0082】ラジカル重合させる際の温度は、使用する
ラジカル重合開始剤によって適宜選択可能であるが、反
応の制御のし易さから30〜100℃、好ましくは、5
0〜80℃の範囲である。また、ラジカル重合する際
に、ラジカル重合性基とラジカル重合可能な基を有する
モノマーを共存させても良い。モノマーとしては、例え
ば、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸
類;アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、
クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイ
ン酸エステル類、フマール酸エステル類等の不飽和カル
ボン酸エステル類;アクリルアミド類;メタクリルアミ
ド類;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエス
テル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物等のビ
ニル化合物類等が挙げられ、これらの一種以上を使用し
ても良い。中でも、ラジカル重合可能な基を2個以上含
有する、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト等のモノマーが好ましい。
【0083】しかし、モノマーを多量に使用して有機質
無機質複合体粒子中のポリシロキサン骨格の含有量が2
5wt%未満になると、硬度が不充分になるので好まし
くない。このため、モノマーの量は、第1および第2シ
リコン化合物の合計重量に対して、たとえば0〜50w
t%、好ましくは0〜30wt%である。ラジカル重合
後、さらに以下に示す再縮合工程を行う方が最終的に得
られる有機質無機質複合体粒子の硬度・機械的復元性・
破壊強度が向上するので好ましい。再縮合工程は、ラジ
カル重合により生成した重合体粒子を有機溶媒中で更に
縮合を進行させる工程である。縮合を進行させるにあた
り、前述した触媒を用いても良いが、縮合をより促進さ
せる点で好ましい触媒としては、チタンテトライソプロ
ポキシド、チタンテトラブトキシド、ジイソプロポキシ
−ビス(アセチルアセトネート)チタネート等の有機チ
タン化合物;アルミニウムトリイソプロポキシド、アル
ミニウムトリsec-ブトキシド、アルミニウムトリスアセ
チルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド−ビ
スアセチルアセトネート等の有機アルミニウム化合物;
ジルコニウムテトラブトキシド、テトラキス(アセチル
アセトネート)ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合
物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジ
マレエート等の有機錫化合物;(CH3 O)2 P(=
O)OH、(CH3 O)P(=O)(OH)2 、(C4
9 O)2 P(=O)OH、(C8 17O)P(=O)
(OH)2 等の酸性リン酸エステル等が挙げられ、いず
れか1つが単独で使用されたり、または、2以上が併用
されたりする。中でも、有機錫化合物および酸性リン酸
エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ま
しい。
【0084】再縮合工程では、重合体粒子が水を含有し
ないことが好ましい。この理由は、シラノール基の脱水
縮合がより進行し易いからである。従って、再縮合工程
では、重合工程で得られたスラリーが水を含有しない場
合は、スラリーをそのまま使用することができ、スラリ
ーが水を含有する場合には、重合体粒子を濾過、遠心分
離、減圧濃縮等の従来公知の方法を用いてスラリーから
分離した後、有機溶媒中に分散させて行うのが好まし
い。使用される有機溶媒は、たとえば、前述した、アル
コール類、ケトン類、エステル類、パラフィン類、エー
テル類、芳香族炭化水素類からなる群から選ばれる少な
くとも1つである。また、再縮合工程は、たとえば50
〜200℃、好ましくは60〜150℃の温度で30分
間〜100時間、重合体粒子を含む有機溶媒スラリーを
攪拌することによって行われる。また、圧力は、常圧、
減圧、加圧のいずれでも良い。
【0085】熱処理工程は、重合工程で生成した重合体
粒子を800℃以下の温度で乾燥および焼成する工程で
ある。すなわち、ラジカル重合により生成した重合体粒
子を濾過、遠心分離、減圧濃縮等の従来公知の方法を用
いて上記スラリーより単離した後、800℃以下の温
度、好ましくは100〜600℃の温度、更に好ましく
は150〜500℃の温度で乾燥および焼成のための熱
処理を施すことにより、適当な、硬さと機械的復元性と
破壊強度とを持つ、有機質無機質複合体粒子が得られ
る。この複合体粒子は、有機ポリマー骨格と、有機ポリ
マー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が
直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロ
キサン骨格とを主成分として含む。しかしながら、低い
温度での熱処理では、式5で示されるシロキサン単位中
に存在する、下式8:
【0086】
【化7】
【0087】で表されるシラノール基同士の脱水縮合反
応が充分に起こらないため、必要な硬度が得られない場
合がある。すなわち、粒子の10%圧縮弾性率が350
kg/mm 2 以上にならない場合がある。また、800℃よ
り高い温度での熱処理では有機ポリマーの分解が顕著と
なるため必要な機械的復元性および破壊強度が得られな
い、すなわち、粒子の10%変形後の残留変位が0〜5
%にならないし、しかも、硬すぎて粒子の10%圧縮弾
性率が3000kg/mm2 を越えてしまう。更に、熱処理
する際の雰囲気は何ら制限なく用い得るが、有機ポリマ
ーの分解を抑制し、必要な機械的復元性を得るために
は、雰囲気中の酸素濃度が10容量%以下である場合が
より好ましい。熱処理温度が200℃〜800℃の範囲
だと、有機質無機質複合体粒子を得るためには熱処理す
る際の雰囲気中の酸素濃度が10容量%以下であること
が好ましく、熱処理温度が200℃以下だと、空気中で
も本発明で用いられる有機質無機質複合体粒子が生成す
る。
【0088】有機質無機質複合体粒子を作る場合、上述
した原料、無機微粒子、加水分解縮合のための水・触
媒、モノマー、ラジカル重合開始剤の種類および/また
は量、熱処理温度・時間・雰囲気中の酸素濃度を適宜選
定することによって、ポリシロキサン骨格のSiO2
量を25wt%以上で任意に制御でき、かつ、平均粒子
径を0.5μm以上で任意に制御できる有機質無機質複
合体粒子が得られる。
【0089】上記した有機質無機質複合体粒子の製造方
法は、上述した縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含
むので、ポリシロキサン骨格と有機ポリマー骨格とがS
i−C結合により化学結合した構造を有し、ポリシロキ
サン骨格の特徴である大きな硬度と、有機ポリマー骨格
の特徴である高い機械的復元性および破壊強度とを有す
る有機質無機質複合体粒子を生成することができる。こ
のため、生成した複合体粒子は、正確な間隔で配置され
るべき1対の部材間の隙間距離を一定に保持するために
必要な機械的復元性と少ない個数で前記隙間距離を一定
に保持するために必要な硬度および破壊強度とを有する
とともに、それらの部材に対して物理的ダメージを与え
にくい。しかも、この製造方法により得られた複合体粒
子は、0.5μm以上の平均粒子径を有するので、1対
の部材間に隙間を形成するのに有用である。
【0090】縮合工程、重合工程、再縮合工程および熱
処理工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/
または後に、生成した粒子を着色する着色工程をさらに
含んでいてもよく、この着色工程により着色された有機
質無機質複合体粒子が得られる。また、製造時の適宜の
工程において染料および/または顔料を共存させて粒子
中に染料および/または顔料を導入することにより着色
された有機質無機質複合体粒子を生成することができ
る。
【0091】好ましくは、縮合工程に染料及び/又は顔
料を用いることによって着色される。染料および染色の
色としては、上記したものが挙げられる。中でも、塩基
性染料が好ましい。これは、ポリシロキサン中のシラノ
ール基が酸性であるため、塩基性(カチオン性)染料が
吸着されやすく、染色されやすいからである。顔料は、
たとえば、カーボンブラック、鉄黒、クロムバーミリオ
ン、モリブデン赤、べんがら、黄鉛、クロム緑、コバル
ト緑、群青、紺青などの無機顔料;フタロシアニン系、
アゾ系、キナクリドン系などの有機顔料がある。しかし
ながら、顔料は、その平均粒子径が0.4μm以下でな
いと、複合体粒子中に導入されない場合があるので、染
料を使用する方が好ましい。このようにして着色された
有機質無機質複合体粒子は、上述した硬度と機械的復元
性と破壊強度とを兼ね備えているので、液晶表示板の画
質向上に特に有用である。
【0092】上記有機質無機質複合体粒子は、該有機質
無機質複合体粒子表面に導体層を形成して、導電性粒子
として用いることもできる。このような導電性粒子は、
上記有機質無機質複合体粒子を有するので、電気的に接
続される1対の電極間の隙間距離を一定に保持するため
に必要な機械的復元性と少ない個数で前記隙間距離を一
定に保持するために必要な硬度および破壊強度とを有す
るとともに、電極に対して物理的ダメージを与えにく
い。このため、1対の電極間の隙間距離を一定に保持し
やすく、加圧による導体層の剥がれ落ち・電気的に接続
されるべきではない電極間のショート・電気的に接続さ
れるべき電極間の接触不良が防がれる。
【0093】導体層に使用される金属は、従来公知のも
のが挙げられ、たとえば、ニッケル、金、銀、銅、イン
ジウムやこれらの合金等が挙げられるが、特に、ニッケ
ル、金、インジウムは導電性が高いので好ましい。導体
層の厚みは、充分な導通があれば特に限定されないが、
0.01〜5μmの範囲が好ましく、0.02〜2μm
の範囲が特に好ましい。厚みが前記範囲よりも薄いと導
電性が不充分となることがあり、前記範囲よりも厚いと
粒子と導体層の熱膨張率の差により導体層が剥がれ落ち
やすくなる。導体層は、1層でも2層以上でも良く、2
層以上の場合には異なる導体からなる層が上下に配され
てもよい。
【0094】上記有機質無機質複合体粒子表面に導体層
を形成する方法としては、従来公知の方法がとられ、特
に限定されないが、たとえば、化学メッキ(無電解メッ
キ)法、コーティング法、PVD(真空蒸着、スパッタ
リング、イオンプレーティングなど)法などが挙げら
れ、中でも、化学メッキ方法が容易に導電性粒子が得ら
れるので好ましい。このようにして得られる導電性粒子
は、上述した有機質無機質複合体粒子の特徴である硬度
と機械的復元性とを兼ね備えている。このため、液晶表
示板、LSI、プリント配線基板等のエレクトロニクス
の電気的接続材料として特に有用である。
【0095】本発明の第1の液晶表示板用スペーサー
は、上記有機質無機質複合体粒子からなるので、正確な
間隔で配置されるべき1対の電極基板間の隙間距離を一
定に保持するために必要な機械的復元性と少ない個数で
前記隙間距離を一定に保持するために必要な硬度および
破壊強度とを有するとともに、電極基板に対して物理的
ダメージを与えにくい。このため、1対の電極基板間の
隙間距離を一定に保持しやすく、加圧による蒸着層・配
向膜・コート層が損傷を受けにくくなり、低温環境にお
ける収縮が液晶の収縮に近くなり、電極基板間における
散布個数が低減する。
【0096】上述したように、上記有機質無機質複合体
粒子は、ポリシロキサン骨格と有機ポリマー骨格との両
方を含有し、かつ、ポリシロキサン骨格と有機ポリマー
骨格とが化学結合した複合化した粒子であり、無機質の
特徴である大きな硬度と有機ポリマーの特徴である高い
機械的復元性および破壊強度とを兼ね備えた粒子である
ため、液晶表示板用スペーサーとして好適に使用され
る。
【0097】上記有機質無機質複合体粒子が染料および
/または顔料を含むことで着色されたものであるときに
は、本発明の第1の液晶表示板用スペーサーは着色スペ
ーサーとして有用である。液晶表示板において、電極基
板間に電圧を印加することにより、液晶は光学的変化を
生じて画像を形成する。これに対しスペーサーは、電圧
印加によって光学的変化を示さない。従って、画像を表
示させた時の暗部において、着色されていないスペーサ
ーは、光抜けが生じ、輝点として確認される場合があ
り、画質のコントラストを低下することがある。
【0098】本発明の第1の液晶表示板用スペーサー
は、染料および/または顔料を含むことで着色された有
機質無機質複合体粒子からなるときには、着色されてい
るため光抜けを生じにくくして画質のコントラスト低下
を防ぎ、しかも、上述した本発明の複合体粒子の特徴で
ある硬度と機械的復元性と破壊強度とを兼ね備えている
ので、液晶表示板の画質を向上するために特に有用であ
る。着色された液晶表示板用スペーサーの好ましい色
は、光が透過しにくいかまたは透過しない色である。た
とえば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の
色が挙げられるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色で
ある。
【0099】また、上記の有機質無機質複合体粒子と、
有機質無機質複合体粒子表面に形成された接着剤層とを
含んだ液晶表示板用スペーサー(第2の液晶表示板用ス
ペーサー)は接着性スペーサーとして有用である。接着
剤層は、たとえば、加熱すると接着性を示すものであ
る。第2の液晶表示板用スペーサーは、液晶表示板を構
成する電極基板の間に介在して加熱加圧されることによ
り、接着剤層が溶融して電極基板に付着し、接着剤層が
冷却固化することにより固着する。このため、第2の液
晶表示板用スペーサーは、電極基板の隙間において移動
しにくくなるので、配向膜の損傷防止や隙間距離の均一
性を維持でき、画質向上を図ることができる。接着剤層
としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂のガ
ラス転移温度が150℃以下が好ましく、80℃以下が
より一層好ましい。これは、短時間の加熱加圧で基板と
接着するからである。ガラス転移温度が高すぎると、加
熱しても基板と接着しない場合があり、逆に低すぎる
と、スペーサー同士が融着し易くなるので、最も好まし
くは40〜80℃の範囲である。また、熱可塑性樹脂の
種類としては、特に限定されないが、好ましくは(メ
タ)アクリル系樹脂である。接着剤層は、1層でも2層
以上でも良く、2層以上の場合には異なる熱可塑性樹脂
からなる層が上下に配されてもよい。
【0100】第2の液晶表示板用スペーサーは、たとえ
ば、上記有機質無機質複合体粒子を接着剤層で被覆する
ことによって得られる。接着剤として熱可塑性樹脂を用
いる場合、具体的には、In situ重合法、コーア
セルベーション法、界面重合法、液中硬化被覆法、液中
乾燥法、高速気流中衝撃法、気中懸濁被覆法、スプレー
ドライング法等の従来公知の樹脂被覆方法によって有機
質無機質複合体粒子表面が熱可塑性樹脂層で被覆され
る。高速気流中衝撃法は、簡単に被覆することができる
ので好ましい。高速気流中衝撃法は、たとえば、有機質
無機質複合体粒子と熱可塑性樹脂の粉体とを混合し、こ
の混合物を気相中に分散させ、衝撃力を主体とする機械
的熱的エネルギーを複合体粒子と熱可塑性樹脂粉体とに
与えることで、有機質無機質複合体粒子表面を熱可塑性
樹脂で被覆する方法であり、簡便に被覆することができ
るので好ましい。
【0101】このような高速気流中衝撃法を利用した装
置としては、奈良機械製作所(株)製ハイブリダイゼー
ションシステムや、ホソカワミクロン(株)製メカノフ
ュージョンシステム、川崎重工業(株)製クリプトロン
システム等がある。第2の液晶表示板用スペーサーは、
上述した上記有機質無機質複合体粒子の特徴である硬度
と機械的復元性と破壊強度とを兼ね備え、かつ接着性を
有しているので、液晶表示板の画質向上に特に有用であ
る。
【0102】第2の液晶表示板用スペーサーは、有機質
無機質複合体粒子が染料および/または顔料を含むこと
で着色されているときには、着色されているため光抜け
を生じにくく画質のコントラスト低下を防ぎ、接着性を
有するため電極基板の隙間において移動しにくくなって
配向膜の損傷防止や隙間距離の均一性を維持でき、しか
も、上述した有機質無機質複合体粒子の特徴である硬度
と機械的復元性と破壊強度とを兼ね備えているので、着
色スペーサーとしても有用な接着性スペーサーであり、
液晶表示板の画質を向上するために特に有用である。 〔液晶表示板〕本発明の液晶表示板は、従来の液晶表示
板において、従来のスペーサーの代わりに、上述したよ
うな本発明の液晶表示板用スペーサーを電極基板間に介
在させたものであり、同スペーサーの粒子径と同じかま
たはほぼ同じ隙間距離を有する。使用されるスペーサー
の量は、通常40〜100個/mm2 、好ましくは40〜
80個/mm2 と、従来の有機質粒子スペーサーに比べる
と10〜50%程度少なくなっており、画像を形成しな
い部分の面積が少なくなり、また、イオンや分子等の不
純物がスペーサー内部から液晶層中へ溶出する量も減少
する。このため、コントラストが高くなり、ざらつきが
減り、表示品位の向上が期待される。
【0103】本発明の液晶表示板は、たとえば、第1電
極基板と第2電極基板と液晶表示板用スペーサーとシー
ル材と液晶とを備えている。第1電極基板は、第1基板
と、第1基板の表面に形成された第1電極とを有する。
第2電極基板は、第2基板と、第2基板の表面に形成さ
れた第2電極とを有し、第1電極基板と対向している。
液晶表示板用スペーサーは、第1電極基板と第2電極基
板との間に介在しており、本発明の液晶表示板用スペー
サーである。シール材は、第1電極基板と第2電極基板
とを周辺部で接着する。液晶は、第1電極基板と第2電
極基板とシール材とで囲まれた空間に充填されている。
【0104】本発明の液晶表示板には、電極基板、シー
ル材、液晶など、スペーサー以外のものは従来と同様の
ものが同様のやり方で使用することができる。電極基板
は、ガラス基板、フィルム基板などの基板と、基板の表
面に形成された電極とを有しており、必要に応じて、電
極基板の表面に電極を覆うように形成された配向膜をさ
らに有する。シール材としては、エポキシ樹脂接着シー
ル材などが使用される。液晶としては、従来より用いら
れているものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニ
ルシクロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ
系、安息香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキ
シルカルボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン
系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシク
ロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シク
ロヘキセン系、フッ素系などの液晶が使用できる。
【0105】本発明の液晶表示板を作製する方法として
は、たとえば、本発明のスペーサーを面内スペーサーと
して2枚の電極基板のうちの一方の電極基板に湿式法ま
たは乾式法により均一に散布したものに、本発明のスペ
ーサーをシール部スペーサーとしてエポキシ樹脂等の接
着シール材に分散させた後、もう一方の電極基板の接着
シール部分にスクリーン印刷などの手段により塗布した
ものを載せ、適度の圧力を加え、100〜180℃の温
度で1〜60分間の加熱、または、照射量40〜300
mJ/cm2 の紫外線照射により、接着シール材を加熱硬
化させた後、液晶を注入し、注入部を封止して、液晶表
示板を得る方法を挙げることができるが、液晶表示板の
作製方法によって本発明が限定されるものではない。面
内スペーサーとしては、本発明の液晶表示板用スペーサ
ーの中でも、前記着色された第1の液晶表示板用スペー
サーが光抜けを生じにくいので好ましく、前記第2の液
晶表示板用スペーサーが基板に固着して移動しにくいの
でより好ましく、着色された第2の液晶表示板用スペー
サーが光抜けを生じにくく基板に固着して移動しにくい
のでさらに好ましい。
【0106】本発明の液晶表示板は、従来の液晶表示板
と同じ用途、たとえば、テレビ、パーソナルコンピュー
ター、ワードプロセッサーなどの画像表示素子として使
用される。
【0107】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を
外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定さ
れない。下記実施例中の液晶表示板は、以下の方法によ
り作製した。図1にみるように、まず、300mm×34
5mm×1.1mmの下側ガラス基板11上に、電極(たと
えば、透明電極)5及びポリイミド配向膜4を形成した
後、ラビングを行って下側電極基板110を得た。その
下側電極基板110に、メタノール30容量部、イソプ
ロパノール20容量部、水50容量部の混合溶媒中に本
発明の液晶表示板用スペーサー(この場合、面内スペー
サー)8が1重量%となるように均一に分散させたもの
を、1〜10秒間散布した。
【0108】一方、300mm×345mm×1.1mmの上
側ガラス基板12上に、電極(たとえば、透明電極)5
及びポリイミド配向膜4を形成した後、ラビングを行っ
て上側電極基板120を得た。そして、エポキシ樹脂接
着シール材2中に本発明の液晶表示板用スペーサー(こ
の場合、シール部スペーサー)3が30容量%となるよ
うに分散させたものを、上側電極基板120の接着シー
ル部分にスクリーン印刷した。
【0109】最後に、上下側電極基板120,110
を、電極5及び配向膜4がそれぞれ対向するように、本
発明のスペーサー8を介して貼り合わせ、4kg/cm2
圧力を加え、150℃の温度で30分間加熱し、接着シ
ール材2を加熱硬化させた。その後、2枚の電極基板1
20,110の隙間を真空とし、さらに、大気圧に戻す
ことにより、作製する液晶表示板の種類に応じてビフェ
ニル系及びフェニルシクロヘキサン系などの液晶物質を
混合した液晶7を注入し、注入部を封止した。そして、
上下ガラス基板12,11の外側にPVA(ポリビニル
アルコール)系偏光膜6を貼り付けて液晶表示板とし
た。
【0110】スペーサー8は、図2に示すように、着色
されていない有機質無機質複合体粒子31からなるもの
であってもよい。このときには、製造時のプレスによる
電極基板の物理的損傷が起こりにくいし、低温発泡と画
像ムラとが発生しにくい。しかも、従来のポリマー粒子
からなるスペーサーに比べてスペーサーの個数を減らす
ことができるので、画像を形成しない部分の面積が減
り、不純物の液晶への溶出量も減る。このため、コント
ラストの向上など表示品位の向上ができる。
【0111】スペーサー8は、図3に示すように、着色
されている有機質無機質複合体粒子32からなるもので
あってもよい。このときには、スペーサー8による光抜
けが起こりにくくなるので、輝点が目立たなくなり、表
示品位がより向上するという利点がさらに得られる。ス
ペーサー8は、図4に示すように、着色されていない有
機質無機質複合体粒子31とこの粒子31表面に形成さ
れた接着剤層33とを含むものであってもよい。このと
きには、スペーサーが移動しにくくなるため、配向膜の
損傷が防がれ、表示品位の向上をより高めるという利点
がさらに得られる。
【0112】スペーサー8は、図5に示すように、着色
された有機質無機質複合体粒子32とこの粒子32表面
に形成された接着剤層33とを含むものであってもよ
い。このときには、スペーサー8による光抜けが起こり
にくくなるので、輝点が目立たなくなり、表示品位がよ
り向上するという利点と、スペーサーが移動しにくくな
るため、配向膜の損傷が防がれ、表示品位の向上をより
高めるという利点とがさらに得られる。
【0113】上記有機質無機質複合体粒子を用いた導電
性粒子は、図6に示すように、該有機質無機質複合体粒
子34とこの粒子34表面に形成された導体層35とを
含む。導体層35は、たとえば、無電解メッキにより形
成された金属被膜であり、1層でも2層以上でもよい。
得られた液晶表示板の評価方法に関して、低温発泡につ
いてはマイナス45℃で1000時間保持後の画像表示
の有無を、画像ムラ及び画素欠陥については室温(25
℃)におけるそれらの有無をそれぞれ目視により観察し
て行った。
【0114】〔実施例1〕冷却管、温度計、滴下口のつ
いた四つ口フラスコ中に25%アンモニア水溶液2.9
g、メタノール10.1g、水141.1gを混合した
溶液(A液)を入れ、25±2℃に保持し、攪拌しなが
ら該溶液中に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン27g、メタノール54g、ラジカル重合開始
剤として2,2′−アゾビス−(2.4−ジメチルバレ
ロニトリル)0.14gを混合した溶液(B液)を滴下
口から添加して、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランの加水分解・縮合を行った。攪拌を継続しな
がら20分後、N2 雰囲気中で70±5℃に加熱し、ラ
ジカル重合を行った。
【0115】2時間加熱を続けた後、室温まで冷却し、
重合体粒子の懸濁体を得た。この懸濁体を濾過により固
液分離し、得られたケーキをメタノールによる洗浄を3
回繰り返して行い、得られた重合体粒子を真空乾燥機中
で200℃で2時間真空乾燥して複合体粒子(1)を得
た。得られた複合体粒子(1)は、平均粒子径4.24
μm、変動係数3.8%、ポリシロキサン骨格を構成す
るSiO2 の量34.7wt%、10%圧縮弾性率48
0kg/mm2 、10%変形後の残留変位2.2%、破
壊強度2.4gであった。複合体粒子(1)について、
FT−IR分析により、有機ポリマー骨格の−CH2
CH2 −に帰属されるスペクトル(650〜800c
m-1)と−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1
150〜1300cm-1)とを確認した。
【0116】これらの結果から、複合体粒子(1)は、
有機ポリマー骨格と、有機ポリマー骨格中の少なくとも
1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケ
イ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含む有機
質無機質複合体粒子であることがわかる。この複合体粒
子(1)を用いて公知の方法によりB版大のSTN型液
晶表示板を作製した。その結果、現存する有機質粒子ス
ペーサー(株式会社日本触媒製エポスターGP−H)に
対して散布個数を10%以上減少させることができ、ま
た、シリカ焼成物粒子やゾル−ゲル法による未焼成シリ
カ粒子を用いたときに生じる低温発泡も画像ムラも生じ
なかった。
【0117】〔実施例2〕実施例1において、B液の組
成をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1
9.2g、メタノール51g、2,2′−アゾビス−
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10g、テト
ラエトキシシランの2〜5量体(多摩化学株式会社製
「シリケート40」SiO2 として40wt%)4.2
gに変えたこと以外は実施例1の操作を繰り返して、複
合体粒子(2)を得た。
【0118】得られた複合体粒子(2)は、平均粒子径
2.02μm、変動係数7.4%、ポリシロキサン骨格
を構成するSiO2 の量42.7wt%、10%圧縮弾
性率720kg/mm2 、10%変形後の残留変位3.
6%、破壊強度1.0gであった。複合体粒子(2)に
ついて、実施例1と同様にして、−CH2 −CH2 −に
帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と−Si
−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜130
0cm-1)とを確認した。
【0119】この複合体粒子(2)を用いて公知の方法
によりB5版大の強誘電性液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例3〕実施例1において、B液の組成をγ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン40.5g、メ
タノール50.6g、2,2′−アゾビス−(4−メト
キシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.20g、
ジビニルベンゼン4.5gに変え、A液を50±5℃に
保持してN2 雰囲気中で攪拌しながらB液を20分間か
けて滴下し、加水分解・縮合しながらラジカル重合を行
ったこと以外は実施例1の操作を繰り返して、複合体粒
子(3)を得た。
【0120】得られた複合体粒子(3)は、平均粒子径
8.91μm、変動係数4.8%、ポリシロキサン骨格
を構成するSiO2 の量29.5wt%、10%圧縮弾
性率370kg/mm2 、10%変形後の残留変位2.
8%、破壊強度9.7gであった。複合体粒子(3)に
ついて、実施例1と同様にして、−CH2 −CH2 −に
帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と−Si
−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜130
0cm-1)とを確認した。
【0121】この複合体粒子(3)を用いて公知の方法
によりB5版大のTN型液晶表示板を作製したところ、
実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例4〕実施例1において、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランの代わりにビニルトリメトキ
シシランを用い、200℃で2時間真空乾燥した後にN
2 雰囲気中で600℃で2時間焼成したこと以外は実施
例1の操作を繰り返して、複合体粒子(4)を得た。
【0122】得られた複合体粒子(4)は、平均粒子径
4.18μm、変動係数7.2%、ポリシロキサン骨格
を構成するSiO2 の量40.9wt%、10%圧縮弾
性率1050kg/mm2 、10%変形後の残留変位
3.2%、破壊強度1.9gであった。複合体粒子
(4)について、実施例1と同様にして、−CH2 −C
2−に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1
と−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150
〜1300cm-1)とを確認した。
【0123】この複合体粒子(4)を用いて公知の方法
によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例5〕実施例1において、A液にシリカゾル(日
産化学株式会社製「スノーテックス−XS」SiO2
0wt%、粒子径4〜6nm)15gを加えたこと以外
は実施例1の操作を繰り返して、複合体粒子(5)を得
た。
【0124】得られた複合体粒子(5)は、平均粒子径
4.77μm、変動係数4.0%、ポリシロキサン骨格
を構成するSiO2 の量42.0wt%、10%圧縮弾
性率1130kg/mm2 、10%変形後の残留変位
2.5%、破壊強度3.8gであった。複合体粒子
(5)について、実施例1と同様にして、−CH2 −C
2−に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1
と−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150
〜1300cm-1)とを確認した。
【0125】この複合体粒子(5)を用いて公知の方法
によりB5版大のTFT型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例6〜9〕実施例5において、シリカゾルの種類
および量を表1に示すように変えたこと以外は実施例5
の操作を繰り返して、複合体粒子(6)〜(9)を得
た。
【0126】得られた複合体粒子(6)〜(9)の、平
均粒子径、変動係数、ポリシロキサン骨格を構成するS
iO2 の量、10%圧縮弾性率、10%変形後の残留変
位、破壊強度を表1に示した。複合体粒子(6)〜
(9)について、実施例1と同様にして、−CH2 −C
2 −に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1
と−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150
〜1300cm-1)とを確認した。
【0127】複合体粒子(6)〜(9)を用いて公知の
方法によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したと
ころ、いずれも実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例10〕実施例8において得られた複合体粒子
(8)を更に窒素95容量%、酸素5容量%の混合気体
中で400℃で2時間熱処理し、複合体粒子(10)を
得た。
【0128】得られた複合体粒子(10)の、平均粒子
径、変動係数、ポリシロキサン骨格を構成するSiO2
の量、10%圧縮弾性率、10%変形後の残留変位、破
壊強度を表1に示した。複合体粒子(10)について、
実施例1と同様にして、−CH2 −CH2 −に帰属され
るスペクトル(650〜800cm-1)と−Si−CH 2
−に帰属されるスペクトル(1150〜1300cm-1
とを確認した。
【0129】複合体粒子(10)を用いて公知の方法に
よりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したところ、
いずれも実施例1と同様の結果が得られた。
【0130】
【表1】
【0131】〔実施例11〕酸性染料であるKayac
yl Sky Blue R(日本化薬株式会社製)5
gを水100gに溶解した溶液と、実施例8で得られた
複合体粒子(8)10gを水500gに分散した分散液
とを混合し、オートクレーブ中で150℃で1時間加圧
加熱処理した。処理後、濃青色に着色された粒子を濾過
で捕集し、更に水洗を3回繰り返した後、200℃で真
空乾燥して濃青色に着色された複合体粒子(11)を得
た。
【0132】得られた複合体粒子(11)は、平均粒子
径4.26μm、変動係数6.3%、ポリシロキサン骨
格を構成するSiO2 の量40.0wt%、10%圧縮
弾性率920kg/mm2 、10%変形後の残留変位
3.0%、破壊強度3.0gであった。複合体粒子(1
1)について、実施例1と同様にして、−CH2 −CH
2 −に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と
−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜
1300cm-1)とを確認した。
【0133】この複合体粒子(11)を用いて公知の方
法によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例8と同様の結果が得られると共に、輝点(光
抜け)が少なかった。 〔実施例12〕塩基性染料であるKayacryl B
lack NP200(日本化薬株式会社製)5gを水
300gに溶解し、酢酸を加えてpH4とした後、実施
例8で得られた複合体粒子(8)10gを加えて良く攪
拌しながら95℃で8時間加熱して黒色に着色された複
合体粒子(12)を得た。
【0134】得られた複合体粒子(12)は、平均粒子
径4.41μm、変動係数5.7%、ポリシロキサン骨
格を構成するSiO2 の量40.2wt%、10%圧縮
弾性率920kg/mm2 、10%変形後の残留変位
2.8%、破壊強度3.4gであった。複合体粒子(1
2)について、実施例1と同様にして、−CH2 −CH
2 −に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と
−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜
1300cm-1)とを確認した。
【0135】この複合体粒子(12)を用いて公知の方
法によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例11と同様の結果が得られた。 〔実施例13〕実施例8において、A液に塩基性染料で
あるKayacryl BlackNP200(日本化
薬株式会社製)1gを加えたこと以外は実施例8の操作
を繰り返して黒色に着色された複合体粒子(13)を得
た。
【0136】得られた複合体粒子(13)は、平均粒子
径4.53μm、変動係数5.1%、ポリシロキサン骨
格を構成するSiO2 の量40.4wt%、10%圧縮
弾性率970kg/mm2 、10%変形後の残留変位
2.5%、破壊強度3.6gであった。複合体粒子(1
3)について、実施例1と同様にして、−CH2 −CH
2 −に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と
−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜
1300cm-1)とを確認した。
【0137】この複合体粒子(13)を用いて公知の方
法によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例11と同様の結果が得られた。 〔実施例14〕実施例8で得られた複合体粒子(8)3
0gと熱可塑性樹脂粒子(メチルメタクリレート84w
t%とn−ブチルアクリレート16wt%との共重合
体、ガラス転移温度70℃、平均粒子径0.3μm)2
gとを混合し、更に奈良機械製作所製ハイブリダイゼー
ションシステムNHS−O型を使用して複合体粒子
(8)の表面を熱可塑性樹脂で被覆して表面に接着層を
有する複合体粒子(14)を得た。得られた、接着層を
有する複合体粒子(14)をSEMで観察したところ、
複合体粒子(8)の表面は完全に熱可塑性樹脂で被覆さ
れており、その断面をTEMで観察したところ、被覆層
の厚みは0.2μmであった。
【0138】この接着層を有する複合体粒子(14)を
用いて公知の方法によりB5版大のSTN型液晶表示板
を作製したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
また、得られた液晶表示板を振動機を用いて振動する前
と振動した後とに同様に表示させたところ全く変化がな
かった。 〔実施例15〕実施例14において、複合体粒子(8)
の代わりに実施例13で得られた黒色に着色された複合
体粒子(13)を使用したこと以外は実施例14の操作
を繰り返して、表面に接着層を有する黒色に着色された
複合体粒子(15)を得た。得られた、接着層を有する
黒色に着色された複合体粒子(15)をSEMで観察し
たところ、複合体粒子(13)の表面は完全に熱可塑性
樹脂で被覆されており、その断面をTEMで観察したと
ころ、被覆層の厚みは0.2μmであった。
【0139】この接着層を有する黒色に着色された複合
体粒子(15)を用いて公知の方法によりB5版大のS
TN型液晶表示板を作製したところ、実施例14と同様
の結果が得られた。 〔実施例16〕実施例8で得られた複合体粒子(8)に
無電解Niメッキを施して導電性粒子(16)を得た。
得られた導電性粒子(16)は、平均粒子径4.92μ
m、変動係数5.4%であった。得られた導電性粒子
(16)をSEMとXMAで観察したところ、導電性粒
子(16)の表面は完全にNiでメッキ被覆されてお
り、その断面をTEMで観察したところ、被覆層の厚み
は0.3μmであった。
【0140】〔実施例17〕実施例8で得られた複合体
粒子(8)に無電解Niメッキを施した後、更に無電解
金メッキを施し、導電性粒子(17)を得た。得られた
導電性粒子(17)は、平均粒子径5.05μm、変動
係数5.5%であった。得られた導電性粒子(17)を
SEMとXMAで観察したところ、導電性粒子(17)
の表面は完全にNiでメッキ被覆され、その上にAuで
メッキ被覆されており、その断面をTEMで観察したと
ころ、被覆層の厚みは0.5μmであった。
【0141】〔実施例18〕実施例1で得られた重合体
粒子(1)の懸濁体をデカンテーションにより固液分離
し、得られたケーキを室温下で一晩乾燥した。この乾燥
物から5g採取し、イソプロピルアルコール200g中
に超音波分散させた後、この分散液にジブチル錫ジラウ
レート0.5gを添加して攪拌しながら80℃で2時間
加熱した。これにより、再縮合粒子(18)の懸濁体を
得、実施例1と同様にして固液分離・洗浄・乾燥を行っ
て、複合体粒子(18)を得た。
【0142】得られた複合体粒子(18)は、平均粒子
径4.20μm、変動係数3.9%、ポリシロキサン骨
格を構成するSiO2 の量35.1wt%、10%圧縮
弾性率950kg/mm2 、10%変形後の残留変位
1.8%、破壊強度3.0gであった。複合体粒子(1
8)について、実施例1と同様にして、−CH2 −CH
2 −に帰属されるスペクトル(650〜800cm-1)と
−Si−CH2 −に帰属されるスペクトル(1150〜
1300cm-1)とを確認した。
【0143】この複合体粒子(18)を用いて公知の方
法によりB5版大のSTN型液晶表示板を作製したとこ
ろ、実施例1と同様の結果が得られた。 〔実施例19〕冷却管、温度計、滴下口のついた四つ口
フラスコ中にN2 雰囲気中で25%アンモニア水溶液
1.8g、水154.8gを混合した溶液を入れ、40
±2℃に保持し、攪拌しながら該溶液中に、p−トリメ
トキシシリルスチレン29g、メタノール70g、ラジ
カル重合開始剤として2,2′−アゾビス(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.12gを混
合した溶液を滴下口から添加して、p−トリメトキシシ
リルスチレンの加水分解・縮合を行った。攪拌を継続し
ながら7分後、N2 雰囲気中で55±5℃に加熱し、ラ
ジカル重合を行った。
【0144】15分加熱を続けた後、室温まで冷却し、
重合体粒子の懸濁体を得た。この懸濁体を濾過により固
液分離し、得られたケーキをメタノールによる洗浄を3
回繰り返して行い、得られた重合体粒子をN2 雰囲気中
で350℃で2時間加熱して複合体粒子(19)を得
た。得られた複合体粒子(19)は、平均粒子径2.6
0μm、変動係数6.9%、ポリシロキサン骨格を構成
するSiO2 の量36.7wt%、10%圧縮弾性率7
45kg/mm2 、10%変形後の残留変位1.8%、
破壊強度1.2gであった。複合体粒子(19)につい
て、実施例1と同様にして、有機ポリマー骨格の−CH
2 −CH2 −に帰属されるスペクトル(650〜800
cm-1)と−Si−C6 4 −に帰属されるスペクトル
(1400〜1450cm-1、700〜710cm-1)とを
確認した。
【0145】これらの結果から、複合体粒子(19)
は、有機ポリマー骨格と、有機ポリマー骨格中の少なく
とも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有
機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含む
有機質無機質複合体粒子であることがわかる。この複合
体粒子(19)を用いて公知の方法によりB5版大の強
誘電性液晶表示板を作製したところ、実施例1と同様の
結果が得られた。
【0146】〔実施例20〕カーボンブラックであるラ
ベン1255(コロンビヤン・カーボン日本株式会社
製)500gにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン500gを加えて、熱ロールにて80〜90℃で
3回混練したもの13gを、実施例1におけるB液中に
分散させたものをB液として用いた以外は実施例1の操
作を繰り返して、黒色に着色された複合体粒子(20)
を得た。
【0147】得られた複合体粒子(20)は、平均粒子
径3.92μm、変動係数3.2%、ポリシロキサン骨
格を構成するSiO2 の量27.8wt%、10%圧縮
弾性率837kg/mm2 、10%変形後の残留変位
2.3%、破壊強度2.5gであった。複合体粒子(2
0)について、実施例1と同様にして、有機ポリマー骨
格の−CH2 −CH2 −に帰属されるスペクトル(65
0〜800cm-1)と−Si−CH2 −に帰属されるスペ
クトル(1150〜1300cm-1)とを確認した。
【0148】これらの結果から、複合体粒子(20)
は、有機ポリマー骨格と、有機ポリマー骨格中の少なく
とも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有
機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含む
有機質無機質複合体粒子であることがわかる。この複合
体粒子(20)を用いて公知の方法によりB5版大のT
FT型液晶表示板を作製したところ、実施例1と同様の
結果が得られた。
【0149】〔比較例1〕実施例1で得られた複合体粒
子(1)を更に950℃で2時間熱処理して粒子を得
た。この粒子のポリシロキサン骨格を構成するSiO2
の量は99.8wt%であり、FT−IR分析結果から
も有機ポリマー骨格が分解・燃焼してしまったシリカ粒
子であることがわかった。得られた粒子の10%圧縮弾
性率は3250kg/mm2 、10%変形後の残留変位は
6.2%であった。この粒子を用いて、公知の方法によ
りB5版大のTFT型液晶表示板を作製したところ、電
極基板上のTFTの断線による画素欠陥が生じ、かつ、
粒子の機械的復元性が充分でないため画像のムラが生じ
た。
【0150】上記実施例で得られた液晶表示板の面内に
散布された、本発明のスペーサー個数は、散布面を縦、
横それぞれ3等分して合計9つの区域のそれぞれにおい
て任意の1mm2 内の本発明のスペーサーの個数を光学顕
微鏡により計数し、計9区域の個数の平均値をもって、
散布個数とした。結果は、以下のとおりであった。 実施例1…散布個数73個/mm2 実施例10…散布個数63個/mm2 実施例2…散布個数70個/mm2 実施例11…散布個数70個/mm2 実施例3…散布個数69個/mm2 実施例12…散布個数69個/mm2 実施例4…散布個数68個/mm2 実施例13…散布個数71個/mm2 実施例5…散布個数69個/mm2 実施例14…散布個数69個/mm2 実施例6…散布個数66個/mm2 実施例15…散布個数70個/mm2 実施例7…散布個数64個/mm2 実施例18…散布個数65個/mm2 実施例8…散布個数68個/mm2 実施例19…散布個数75個/mm2 実施例9…散布個数52個/mm2 実施例20…散布個数63個/mm2 〔比較例2〕実施例1記載の現存する有機質粒子スペー
サーを用いて、公知の方法によりB5版大のSTN型液
晶表示板を作製したところ、画像ムラが顕著に現れ、液
晶表示板として使用に耐えないものであった。このと
き、スペーサーの散布個数は、上記のような計数方法に
よれば66個/mm2 であった。
【0151】(比較例3)攪拌機、滴下口および温度計
を備えた2リットルのガラス製反応器中で、メタノール
307重量部、25%アンモニア水6重量部、水122
5重量部を均一に混合した。この混合液を20±0.5
℃に調整して100rpm で均一に攪拌しながら、メチル
トリメトキシシラン60重量部を滴下口より6時間かけ
て滴下した。滴下後も1時間均一に攪拌を続け、加水分
解、縮合を行い、メチルトリメトキシシランの縮合体水
和物微粒子の懸濁体を得た。この懸濁体を濾過により固
液分離し、得られたケーキにメタノールによる洗浄を3
回繰り返して行い、得られた固形分粉体を真空乾燥器中
で200℃で3時間乾燥して、平均粒子径2.04μ
m、変動係数7.6%の有機−無機複合体粒子を得た。
得られた複合体粒子の10%圧縮弾性率は370kg/mm
2 、10%変形後の残留変位は2.7%、破壊強度は
0.2gであった。この複合体粒子を液晶表示板用スペ
ーサーとして用いて、公知の方法によりB5版大の強誘
電性液晶表示板を作製したが、複合体粒子が破壊してし
まい、画像ムラが顕著に現れ、液晶表示板としては使用
に耐えないものであった。このときのスペーサーの散布
個数は上記のような計数方法によれば95個/mm2 であ
った。
【0152】
【発明の効果】本発明のスぺーサーは、有機ポリマー骨
格と有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子に
ケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有
するポリシロキサン骨格とを含み、ポリシロキサン骨格
を構成するSiO2 の量が25wt%以上であり、0.
5μm以上の平均粒子径を有する有機質無機質複合体粒
子からなるので、正確な間隔で配置されるべき1対の部
材間の隙間距離を一定に保持するために必要な機械的復
元性と少ない個数で前記隙間距離を一定に保持するため
に必要な硬度および破壊強度とを有するとともに、前記
部材に対して物理的ダメージを与えにくい。
【0153】本発明のスペーサーを構成する有機質無機
質複合体粒子が、10%圧縮弾性率が350〜3000
kg/mm2 、10%変形後の残留変位が0〜5%、平均粒
子径が0.5〜50μm、粒子径の変動係数が20%以
下であるときには、粒子径が非常にそろっており、高画
質の液晶表示板を作ることのできる液晶表示板用スペー
サーとして有用であるという利点をさらに有する。
【0154】本発明のスペーサーを構成する有機質無機
質複合体粒子が、染料および顔料からなる群から選ばれ
る少なくとも1つを含むことで着色されているときに
は、光抜けを起こしにくいので輝点の少ない液晶表示板
を作ることができる液晶表示板用スペーサーとして有用
であるという利点をさらに有する。また、本発明のスペ
ーサーを構成する複合体粒子を、加水分解・縮合可能な
ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水
分解・縮合する縮合工程と、縮合工程中および/または
縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応さ
せる重合工程と、重合工程で生成した重合体粒子を80
0℃以下の温度で乾燥および焼成する熱処理工程とを含
む製造方法で製造した場合、有機ポリマー骨格とこれと
化学的に結合したポリシロキサン骨格とが粒子の内部と
表面とに均一に分布しており、正確な間隔で配置される
べき1対の部材間の隙間距離を一定に保持するために必
要な機械的復元性と少ない個数で前記隙間距離を一定に
保持するために必要な硬度および破壊強度とを有すると
ともに、前記部材に対して物理的ダメージを与えにくい
スペーサーとなりうる。
【0155】上記製造方法において、縮合工程で、0.
4μm以下の平均粒子径を有する無機微粒子をさらに用
いるときには、得られる複合体粒子の硬度がより高く、
破壊強度がより大きくなるという利点をさらに有する。
上記製造方法において、無機微粒子として、0.1μm
以下の平均粒子径を有するシリカを用いるときには、ポ
リシロキサン骨格がより定量的に複合体粒子に導入され
るため、より高い硬度とより大きな破壊強度とが発現し
易い複合体粒子が生成するという利点をさらに有する。
【0156】上記製造方法において、10容量%以下の
酸素濃度を有する雰囲気中で熱処理工程を行うときに
は、有機ポリマー骨格の分解が抑制されると共にシラノ
ール基の脱水縮合が促進されるため、必要な硬度と機械
的復元性と破壊強度とを有する複合体粒子がより生成し
易いという利点をさらに有する。上記製造方法におい
て、縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれる
少なくとも1つの工程中および/または後に、生成した
粒子を着色する着色工程をさらに含むときには、光抜け
を起こしにくいので輝点の少ない液晶表示板を作ること
ができる液晶表示板用スペーサーとして有用である着色
された有機質無機質複合体粒子が生成するという利点を
さらに有する。
【0157】上記製造方法において、重合工程と熱処理
工程との間に、重合工程で生成した重合体粒子を縮合す
る再縮合工程をさらに含み、熱処理工程が、縮合された
重合体粒子を800℃以下の温度で乾燥および焼成する
工程であるときには、硬度・機械的復元性・破壊強度が
より向上した有機質無機質複合体粒子が生成するという
利点をさらに有する。
【0158】上記製造方法において、再縮合工程をさら
に含み、縮合工程、重合工程、再縮合工程および熱処理
工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/また
は後に、生成した粒子を着色する着色工程をさらに含む
ときには、硬度・機械的復元性・破壊強度がより向上
し、光抜けを起こしにくいので輝点の少ない液晶表示板
を作ることができる液晶表示板用スペーサーとして有用
である着色された有機質無機質複合体粒子が生成すると
いう利点をさらに有する。
【0159】上記有機質無機質複合体粒子を用いた導電
性粒子は、該有機質無機質複合体粒子と、その表面に形
成された導体層とを有するので、電気的に接続される1
対の電極間の隙間距離を一定に保持しやすく、かつ接触
不良を起こしにくい。このため、電極基板間の隙間距離
を一定に保持しながら、良好な電気的接続を行うことが
でき、エレクトロニクスの実装材料として有用である。
【0160】本発明の液晶表示板は、電極基板間に介在
させるスペーサーとして、本発明の液晶表示板用スペー
サーが用いられてなるので、製造時のプレスによる電極
基板の物理的損傷が起こりにくく、画質が向上してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示板の1実施例を表す部分断面
図である。
【図2】本発明の液晶表示板用スペーサーの1実施例を
表す断面図である。
【図3】本発明の液晶表示板用スペーサーの1実施例を
表す断面図である。
【図4】本発明の液晶表示板用スペーサーの1実施例を
表す断面図である。
【図5】本発明の液晶表示板用スペーサーの1実施例を
表す断面図である。
【図6】導電性粒子の1実施例を表す断面図である。
【符号の説明】
2 接着シール材 3 シール部スペーサー 4 配向膜 5 電極 6 偏光膜 7 液晶 8 面内スペーサー 11 下側ガラス基板 12 上側ガラス基板 31 有機質無機質複合体粒子 32 有機質無機質複合体粒子 33 接着剤層 34 有機質無機質複合体粒子 35 導体層 110 下側電極基板 120 上側電極基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−15209(JP,A) 特開 平4−202325(JP,A) 特開 平4−313728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨
    格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化
    学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン
    骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSi
    2の量が25wt%以上であり、0.5μm以上の平
    均粒子径を有し、粒子径の変動係数が20%以下であ
    て、さらに、次式: 【数1】 (ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔m
    m〕を示す)を満足する破壊強度を有する、有機質無機
    質複合体粒子からなる液晶表示板用スペーサー。
  2. 【請求項2】前記有機質無機質複合体粒子が、100℃
    〜600℃の温度で熱処理されたものである、請求項
    記載の液晶表示板用スペーサー。
  3. 【請求項3】前記有機質無機質複合体粒子が、染料およ
    び顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むこ
    とで着色されている、請求項1または2に記載の液晶表
    示板用スペーサー。
  4. 【請求項4】前記有機質無機質複合体粒子と、前記有機
    質無機質複合体粒子表面に形成された接着剤層とを有す
    る、請求項1からまでのいずれかに記載の液晶表示板
    用スペーサー。
  5. 【請求項5】電極基板間に介在させるスペーサーとし
    て、請求項1からまでのいずれかに記載の液晶表示板
    用スペーサーが用いられてなる液晶表示板。
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