JPH11152422A - 着色粒子、その製造方法および用途 - Google Patents

着色粒子、その製造方法および用途

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JPH11152422A
JPH11152422A JP31942297A JP31942297A JPH11152422A JP H11152422 A JPH11152422 A JP H11152422A JP 31942297 A JP31942297 A JP 31942297A JP 31942297 A JP31942297 A JP 31942297A JP H11152422 A JPH11152422 A JP H11152422A
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dye
particles
colored
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JP31942297A
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English (en)
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Yasuhiro Sakai
保宏 酒井
Norikuni Sasaki
令晋 佐々木
Shigefumi Kuramoto
成史 倉本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色素や染料の溶出がなく、耐褪色性にも優れ
た着色粒子と、この着色粒子を簡便かつ効率よく製造す
る方法と、前記着色粒子の好ましい用途とを提供するこ
とである。 【解決手段】 着色粒子は、原料粒子を染料で着色して
なる着色粒子において、前記染料が有機ケイ素染料であ
り、加水分解性シリル基同志の化学反応による結合を介
して前記原料粒子に結びついていることを特徴とする。
着色粒子の製造方法は、原料粒子を染料で着色する方法
において、前記原料粒子として加水分解性シリル基を含
有する粒子を用い、前記染料として加水分解性シリル基
を含有する有機ケイ素染料を用い、前記加水分解性シリ
ル基同志を反応させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示板などに
用いられる着色粒子と、その製造方法および用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示板(LCD)においては高表示
品位の画質(特にコントラストの向上)が望まれている
ことから、スペーサーからの光抜け(輝点)を防止する
ために、着色スペーサーが用いられている。着色粒子
は、液晶表示板用途以外に、フォトクロミック粒子等と
しても使用される。
【0003】着色スペーサーを得るために、シリカ系粒
子を着色することが試みられている。たとえば、有機物
を含有するシリカ粒子を高温で熱処理して有機物を分解
することで黒色化し、これを液晶表示板に使用する例
(特開昭63−89890号公報参照)、ポリシロキサ
ン骨格からなる粒子のマトリクスに色素や染料を含有さ
せて着色し、これをフォトクロミック粒子として使用す
る例(特開平4−246465号公報参照)等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の方法で
は、分解した有機物が熱処理により炭化して導電性を示
すようになるため、得られる黒色粒子は、液晶表示板用
にあまり適しない。後者の方法で得られた着色粒子は、
導電性の問題がないため、液晶表示板用途には適してい
る。しかし、水や有機溶剤中に浸漬されると色素や染料
が溶出しやすいと言う問題や、長期間強い光や加熱下で
使用すると色が薄くなると言う褪色性の問題があった。
【0005】そこで、本発明の課題は、色素や染料の溶
出がなく、耐褪色性にも優れた着色粒子と、この着色粒
子を簡便かつ効率よく製造する方法と、前記着色粒子の
好ましい用途とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者の検討した結果
によると、染料等の溶出や褪色が起きるのは、染料等の
原料粒子に対する染着が弱いことに一つの原因がある。
例えば、前記従来の方法では、粒子のポリシロキサン骨
格と色素や染料が化学結合によって結びつけられたもの
ではない。そこで、本発明者は、原料粒子と染料を化学
結合させることを検討し、実験を重ねて、本発明を完成
した。
【0007】したがって、本発明にかかる着色粒子は、
原料粒子を染料で着色してなる着色粒子において、前記
染料が有機ケイ素染料であり、加水分解性シリル基同志
の化学反応による結合を介して前記原料粒子に結びつい
ていることを特徴とする。本発明にかかる着色粒子の製
造方法は、原料粒子を染料で着色する方法において、前
記原料粒子として加水分解性シリル基を含有する粒子を
用い、前記染料として加水分解性シリル基を含有する有
機ケイ素染料を用い、前記加水分解性シリル基同志を反
応させることを特徴とする。
【0008】本発明にかかる液晶表示板用着色スペーサ
ーは上記着色粒子からなり、本発明にかかる液晶表示板
は、電極基板間に介在させるスペーサーとして上記着色
粒子からなる着色スペーサーが用いられている。
【0009】
【発明の実施の形態】〔着色粒子とその製造方法〕以下
では、原料粒子とこれを染着するための有機ケイ素染料
を説明した後、原料粒子を染着する方法を詳しく説明す
る。原料粒子 本発明で用いられる原料粒子は、加水分解性シリル基を
含有する粒子である。加水分解性シリル基としては、特
に限定はないが、たとえば、アルコキシシリル基、シラ
ノール基、アシロキシシリル基等を挙げることができ、
これらが1種のみ存在するほか、2種以上共存すること
もできる。
【0010】本発明で用いられる原料粒子としては、た
とえば、加水分解可能なシリコン化合物を加水分解・縮
合して得られる原料粒子Aや、有機ポリマー骨格と、前
記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケ
イ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有す
るポリシロキサン骨格とを含む有機質無機質複合体粒子
(原料粒子B)等を挙げることができる。
【0011】原料粒子A 原料粒子Aは、加水分解可能なシリコン化合物を、水を
含む溶媒中で加水分解・縮合することにより得られる粒
子である。原料粒子Aの製造に用いれる加水分解可能な
シリコン化合物としては、特に限定はないが、たとえ
ば、下記一般式1: R’m SiX4-m ・・・(1) (ここで、R’は、置換基を有していてもよく、アルキ
ル基、アリール基および不飽和脂肪族残基からなる群の
中から選ばれた少なくとも1種の基を表し;Xは、水酸
基、アルコキシ基およびアシロキシ基からなる群の中か
ら選ばれた少なくとも1種の基を表し;mは0〜3の整
数である)で表されるシラン化合物およびその誘導体等
が挙げられる。
【0012】一般式1で表されるシラン化合物として
は、特に限定はないが、たとえば、m=0のものとして
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の
4官能性シラン;m=1のものとしては、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン等の3官能性シラン;m=2のもの
としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジフェニル
シランジオール等の2官能性シラン;m=3のものとし
ては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシ
シラン、トリメチルシラノール等の1官能性シラン等を
挙げることができる。
【0013】これらのうちでも、一般式中、R’が、炭
素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビニル基、3−
グリシドキシプロピル基、3−(メタ)アクリロキシプ
ロピル基から選ばれる少なくとも1種で、Xがメトキシ
基またはエトキシ基で、mが0または1の構造を有する
アルコキシ基を含有したシラン化合物は、入手しやす
く、着色粒子を容易に製造することができるため好まし
い。このようなシラン化合物としては、たとえば、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0014】一般式1で表されるシラン化合物の誘導体
としては、特に限定はないが、たとえば、Xの一部がカ
ルボキシル基、β−ジカルボニル基等のキレート化合物
を形成しうる基で置換された化合物や、上記シラン化合
物を部分的に加水分解して得られる低縮合物等を挙げる
ことができる。これらのうちでも、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ンおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
から選ばれる少なくとも1種から得られる低縮合物は、
容易に入手することができ、着色粒子が製造しやすい。
【0015】加水分解可能なシリコン化合物は、1種の
みを使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使
用してもよい。前記一般式1においてm=2または3で
あるシラン化合物およびその誘導体のみを原料として使
用する場合は、原料粒子Aは得られない。加水分解・縮
合時に、加水分解可能なシリコン化合物とともに、後述
の加水分解・縮合可能な金属化合物を用いて、加水分解
・縮合してもよい。
【0016】原料粒子Aの製造に用いられる溶媒は、水
を必須成分として含むものであれば、特に限定はなく、
有機溶剤をさらに含むものでもよい。有機溶剤として
は、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタ
ノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタ
ン、シクロヘキサン等の(シクロ)パラフィン類;ジオ
キサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、
トルエン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができ、
これらが1種または2種以上使用される。
【0017】加水分解・縮合させるにあたって、反応を
促進させるために触媒を用いてもよい。触媒としては、
たとえば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸
等の有機酸等の酸触媒;アンモニア、尿素、エタノール
アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイ
ド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物
等のアルカリ触媒等を挙げることができ、これらが1種
または2種以上使用される。
【0018】加水分解・縮合は、たとえば、加水分解可
能なシリコン化合物を、溶媒に添加し、好ましくは0〜
100℃、さらに好ましくは0〜70℃の範囲で、30
分間〜100時間攪拌することによって行われる。加水
分解・縮合は、一括、分割、連続等、任意の反応方法を
採ることができる。また、上記のような方法により得ら
れた粒子を、種粒子として予め加水分解・縮合の反応系
に仕込んでおき、加水分解可能なシリコン化合物を添加
してこの種粒子を成長させて、原料粒子Aを製造しても
よい。
【0019】加水分解可能なシリコン化合物を、溶媒
中、後述の適切な条件の下で加水分解・縮合させること
により、原料粒子Aが析出したスラリーが生成する。析
出した原料粒子Aは、その平均粒子径が、たとえば0.
05μm以上の任意の粒子径で、粒度分布のシャープな
粒子である。ここで、適切な条件とは、たとえば、加水
分解可能なシリコン化合物、溶媒および触媒の合計量に
対して、加水分解可能なシリコン化合物20wt%以
下、好ましくは1〜18wt%、さらに好ましくは2〜
15wt%;水5wt%以上、好ましくは6〜90wt
%、さらに好ましくは7〜85wt%;触媒20wt%
以下、好ましくは0.1〜18wt%、さらに好ましく
は0.2〜15wt%であることである。
【0020】原料粒子Aは、濾過、遠心分離、減圧濃縮
等の従来公知の方法を用いて上記スラリー中から単離さ
れる。さらに、単離後に後述の原料粒子Bで記載したの
と同様の熱処理を行って、原料粒子Aとしてもよい。原料粒子B 原料粒子Bは、有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格
とを含む有機質無機質複合体粒子であり、ポリシロキサ
ン骨格は、有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素
原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子
内に有している。
【0021】原料粒子Bは、ポリシロキサン骨格の特徴
である大きな硬度と、有機ポリマー骨格の特徴である高
い機械的復元性とを有している。原料粒子Bを用いて得
られる着色粒子からなる着色スペーサーは、液晶表示板
において、正確な間隔で配置されるべき1対の部材間の
隙間距離を一定に保持するために必要な機械的復元性と
少ない個数で前記隙間距離を一定に保持するために必要
な硬度とを有するとともに、それらの部材に対して物理
的損傷を与えにくい。
【0022】ここでいう有機ポリマー骨格とは、モノマ
ーの繰り返し単位を有するものであり、たとえば、後述
の有機ポリマー骨格等がある。有機ポリマー骨格は高い
機械的復元性および破壊強度を有する。有機ポリマー骨
格は、有機ポリマーに由来する主鎖・側鎖・分岐鎖・架
橋鎖のうちの少なくとも主鎖を含む。有機ポリマーの分
子量、組成、構造、官能基の有無などに特に限定されな
い。
【0023】有機ポリマーは、たとえば、(メタ)アク
リル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリオレフィン、およびポリエステルからなる群
から選ばれる少なくとも1つである。好ましい有機ポリ
マーは、機械的復元性に特に優れた粒子を形成するとい
う理由で、繰り返し単位−C−C−から構成される主鎖
を有するもの(以下では、「ビニル系ポリマー」と言う
ことがある)である。
【0024】ビニル系ポリマーは、たとえば、(メタ)
アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢
酸ビニル、およびポリオレフィンからなる群から選ばれ
る少なくとも1つである。好ましいビニル系ポリマー
は、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−スチレ
ン系樹脂およびポリスチレンからなる群から選ばれる少
なくとも1つである。より好ましいビニル系ポリマー
は、(メタ)アクリル樹脂および(メタ)アクリル−ス
チレン系樹脂である。
【0025】原料粒子Bは、有機ポリマー骨格を含有す
ることにより、高い機械的復元性を有するようになる。
ポリシロキサン骨格は、後述の式7で表されるシロキサ
ン単位が連続的に化学結合した三次元のネットワークと
定義される。有機ポリマー骨格を構成する炭素原子の少
なくとも1個には、ポリシロキサン中のケイ素原子が直
接化学結合している。
【0026】ポリシロキサン骨格を構成するSiO2
量は特に限定されないが、原料粒子Bの重量に対して、
好ましくは10wt%以上、さらに好ましくは15〜8
5wt%、最も好ましくは25〜80wt%である。前
記範囲であると、効果的な、硬度と機械的復元性とを有
する粒子となる。10wt%を下回ると無機質の特徴で
ある硬度が発現しにくくなる。また、前記範囲を上回る
と、その機械的復元性が損なわれ、残留変位が大きくな
ったりする場合がある。
【0027】ポリシロキサン骨格を構成するSiO2
量は、粒子を空気などの酸化性雰囲気中で1000℃以
上の温度で焼成した前後の重量を測定することにより求
めた重量百分率である。原料粒子Bは、ポリシロキサン
以外の無機質成分を含むことができる。ポリシロキサン
以外の無機質成分は、たとえば、ホウ素、アルミニウ
ム、チタン、ジルコニウム等の酸化物である。ポリシロ
キサン以外の無機質成分の量は、0〜20wt%が好ま
しく、0〜10wt%がより好ましい。前記範囲を外れ
ると、硬度、機械的復元性が効果的に発現しないおそれ
がある。
【0028】原料粒子Bの製造方法については、特に限
定はないが、好ましいものとして、以下の縮合工程と重
合工程とを含む製造方法を挙げることができる。縮合工
程は、加水分解可能なラジカル重合性基含有シリコン化
合物を加水分解・縮合する工程である。重合工程は、前
記ラジカル重合性基をラジカル重合反応させる工程であ
り、縮合工程前、縮合工程中、縮合工程後のいずれかで
行われる工程である。
【0029】以下、縮合工程および重合工程を説明す
る。縮合工程で用いられるラジカル重合性基含有シリコ
ン化合物は、ラジカル重合性基を含有し、加水分解可能
なシリコン化合物である。ラジカル重合性基含有シリコ
ン化合物は特に限定されないが、たとえば、次の一般式
2:
【0030】
【化1】
【0031】(ここで、R1 は水素原子またはメチル基
を示し;R2 は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;R3 は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
と、次の一般式3:
【0032】
【化2】
【0033】(ここで、R4 は水素原子またはメチル基
を示し;R5 は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル
基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの1価基を示す)と、次の一般式4:
【0034】
【化3】
【0035】(ここで、R6 は水素原子またはメチル基
を示し;R7 は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;R8 は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表
される化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる
少なくとも1種のラジカル重合性基含有シリコン化合物
を好ましいものとして挙げることができる。
【0036】一般式2〜4において、ラジカル重合性基
は、CH2 =C(−R1 )−COOR2 −、CH2 =C
(−R4 )−、または、CH2 =C(−R6 )−R7
である。ラジカル重合性基をラジカル重合反応させるこ
とにより、ビニル系ポリマーに由来する有機ポリマー骨
格を生成する。ラジカル重合性基は、アクリロキシ基
(一般式2においてR1 が水素原子である場合)、メタ
クリロキシ基(一般式2においてR1 がメチル基である
場合)、ビニル基(一般式3においてR4 が水素原子で
ある場合)、イソプロペニル基(一般式3においてR4
がメチル基である場合)、1−アルケニル基もしくはビ
ニルフェニル基(一般式4においてR6 が水素原子であ
る場合)、または、イソアルケニル基もしくはイソプロ
ペニルフェニル基(一般式4においてR6 がメチル基で
ある場合)である。
【0037】一般式2〜4において、加水分解性基はR
3 O、R5 OおよびR8 Oである。R3 O基、R5 O基
およびR8 O基は、水酸基と炭素数1〜5のアルコキシ
基と炭素数2〜5個のアシロキシ基とからなる群から選
ばれる1価基である。一般式2〜4において、3個のR
3 O基、3個のR5 O基およびR8 O基は、それぞれ、
互いに異なっていても良いし、2個以上が同じであって
も良い。好ましいR3O基・R5 O基・R8 O基は、加
水分解・縮合速度が大きい点で、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基およびアセトキシ基からなる群から選
ばれるものであり、メトキシ基およびエトキシ基がより
好ましい。ラジカル重合性基含有シリコン化合物は、R
3 O基・R5 O基・R8 O基が水により加水分解し、更
に縮合することにより、前述の一般式5で示されるポリ
シロキサン骨格を形成する。
【0038】一般式2〜4において、R2 基およびR7
基は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価
の有機基である。この2価の有機基としては、特に限定
されないが、たとえば、置換基を有していてもよい、エ
チレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、
オクチレン基などのアルキレン基、置換基を有していて
もよいフェニレン基、あるいは、これらの置換基を有し
ていてもよいアルキレン基やフェニレン基がエーテル結
合を介して結合した基等を挙げることができる。容易に
入手可能である点で、R2 およびR7 がプロピレン基や
フェニレン基であるものが好ましい。
【0039】一般式2と3と4とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの一般式で表される化合物は、1個の
ケイ素原子と、ケイ素原子に結合した3個の加水分解性
基と、ケイ素原子に結合した1個のラジカル重合性基と
を有する。一般式2で表される化合物としては、たとえ
ば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシ
エトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ−ト
リメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチル
エーテルともいう)等を挙げることができ、これらが1
種または2種以上使用される。
【0040】一般式3で表される化合物としては、たと
えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン等を挙げることが
でき、これらが1種または2種以上使用される。一般式
4で表される化合物としては、たとえば、1−ヘキセニ
ルトリメトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシ
ラン、1−デセニルトリメトキシシラン、γ−トリメト
キシシリルプロピルビニルエーテル、ω−トリメトキシ
シリルウンデカン酸ビニルエステル、p−トリメトキシ
シリルスチレン等を挙げることができ、これらが1種ま
たは2種以上使用される。
【0041】一般式2〜4で表される化合物の誘導体
は、たとえば、一般式2〜4で表される化合物の有する
一部のR3 O、R5 O、R8 O基がβ−ジカルボニル基
および/または他のキレート化合物を形成し得る基で置
換された化合物と、一般式2〜4で表される化合物およ
び/またはそのキレート化合物を部分的に加水分解・縮
合して得られた低縮合物とからなる群から選ばれる少な
くとも1種である。
【0042】ラジカル重合性基含有シリコン化合物とし
ては、粒子径分布がシャープである原料粒子Bを形成し
やすいという点から、一般式2または3で示される化合
物が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランか
らなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0043】原料粒子Bを得るために、上述したラジカ
ル重合性基含有シリコン化合物以外に、下記一般式5、
6で表されるシラン化合物;その誘導体;ホウ素、アル
ミニウム、ガリウム、インジウム、リン、チタン、ジル
コニウム等の有機金属化合物および無機金属化合物から
なる群から選ばれる少なくとも1種の加水分解・縮合可
能な金属化合物も併用して良い。
【0044】
【化4】
【0045】(ここで、R11、R13、R17は、R3 と同
じであり;R12、R14、R16は、置換基を有していても
良い炭素数1〜10のアルキル基と、炭素数6〜10の
アリール基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの
1価基であり;R15はR7 と同じであり;p、q、r
は、0又は1である)一般式5、6で表されるシラン化
合物の有するR11、R13、R17基としては、加水分解縮
合速度が速い点でメチル基又はエチル基が好ましい。
p、q、rは、0又は1であるが、得られる原料粒子B
の硬度を高めることができる点でp、q、r=0が好ま
しい。
【0046】一般式6で表されるシラン化合物の例とし
ては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、
1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−トリ
メトキシシリル−2−トリエトキシシリルエタン等が挙
げられる。一般式5、6で表されるシラン化合物の誘導
体は、一般式5、6で表される化合物の有する一部のR
11O、R13O、R17O基がβ−ジカルボニル基および/
または他のキレート化合物を形成し得る基で置換された
化合物と、一般式5、6で表される化合物および/また
はそのキレート化合物を部分的に加水分解・縮合して得
られた低縮合物とからなる群から選ばれる少なくとも1
種である。
【0047】ラジカル重合性基含有シリコン化合物以外
の加水分解・縮合可能な金属化合物の量は、特に限定さ
れないが、多量に使用すると得られる原料粒子Bの形状
が球状にならなかったり、粒子径の制御が困難になった
り、粒度分布が広がったりするので、液晶表示板用スペ
ーサーには不適な場合がある。このため、この加水分解
・縮合可能な金属化合物の量は、ラジカル重合性基含有
シリコン化合物の重量に対して、200wt%以下が好
ましく、100wt%以下がさらに好ましく、50wt
%以下が最も好ましい。
【0048】縮合工程では、ラジカル重合性基含有シリ
コン化合物を、必要に応じて使用される加水分解・縮合
可能な金属化合物ともに(以下では、これらを「原料」
と言うことがある)、水を含む溶媒中で加水分解・縮合
させる。加水分解・縮合する方法については、特に限定
はないが、前述の原料粒子Aで説明した加水分解・縮合
の方法を挙げることができる。
【0049】次に、重合工程は、縮合工程前、縮合工程
中、縮合工程後のいずれかに、ラジカル重合性基をラジ
カル重合反応させる工程である。重合工程は、すなわ
ち、縮合工程前にラジカル重合性基含有シリコン化合物
をラジカル重合してもよく、また、ラジカル重合性基含
有シリコン化合物を加水分解・縮合で得られた中間生成
物・粒子を、ラジカル重合してもよい。このラジカル重
合性基がラジカル重合反応することによって有機ポリマ
ー骨格が形成される。
【0050】ラジカル重合する方法としては、有機溶媒
中でラジカル重合性基含有シリコン化合物にラジカル重
合開始剤を溶解させて重合してもよく、ラジカル重合性
基含有シリコン化合物を加水分解・縮合して得られた中
間生成物や粒子の水を含む溶媒スラリーに水溶性又は油
溶性のラジカル重合開始剤を添加溶解して、そのまま重
合しても良いし、また、加水分解・縮合して得られた中
間生成物や粒子を、濾過、遠心分離、減圧濃縮等の従来
公知の方法を用いてスラリーから単離した後、ラジカル
重合開始剤を含有する水又は有機溶媒等の溶液に分散さ
せて重合しても良く、これらに限定されるものではな
い。特に、重合工程を前記縮合工程中および/または縮
合工程後に行うと、得られる粒子が凝集しにくくなるた
め好ましい。中でも、上記原料を加水分解・縮合しなが
らラジカル重合開始剤を共存させてラジカル重合を同時
に行う方法が好ましい。この理由としては、下式7で表
されるシロキサン単位が連続的に化学結合したポリシロ
キサンの生成と重合による有機ポリマーの生成が並行し
て生じるため、無機質の特徴である硬度と有機ポリマー
の特徴である機械的復元性とを有する原料粒子Bが得ら
れやすくなるからである。
【0051】
【化5】
【0052】ここで、ラジカル重合開始剤としては従来
公知のものを使用することができ、特に限定されない
が、好ましくはアゾ化合物、過酸化物等から選ばれる少
なくとも1種の化合物である。上記したラジカル重合開
始剤の量は、特に限定されないが、多量に使用すると発
熱量が多くなって反応の制御が困難となり、一方、少量
使用の場合にはラジカル重合が進行しない場合があるの
で、ラジカル重合性基含有シリコン化合物の重量に対し
て、好ましくは0.1〜5wt%、さらに好ましくは
0.3〜2wt%の範囲である。
【0053】ラジカル重合させる際の温度は、使用する
ラジカル重合開始剤によって適宜選択可能であるが、反
応の制御のし易さから、好ましくは30〜100℃、さ
らに好ましくは50〜80℃の範囲である。また、ラジ
カル重合する際に、ラジカル重合性基とラジカル重合可
能な基を有するモノマー等を共存させて、ラジカル重合
しても良い。このようなモノマーとしては、たとえば、
アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;ア
クリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロト
ン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイン酸エ
ステル類、フマール酸エステル類等の不飽和カルボン酸
エステル類;アクリルアミド類;メタクリルアミド類;
スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の
芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル
類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物等のビニル
化合物類等を挙げることができ、これらが1種または2
種以上使用される。
【0054】しかし、モノマーを多量に使用して原料粒
子B中に含まれる後述のポリシロキサン骨格の含有量が
10wt%未満になると、硬度が不充分になる場合があ
る。このため、モノマーの量は、ラジカル重合性基含有
シリコン化合物の重量に対して好ましくは0〜200w
t%、さらに好ましくは0〜100wt%である。原料
粒子Bは、濾過、遠心分離、減圧濃縮等の従来公知の方
法を用いて、反応混合物(スラリー)より単離され、必
要に応じて、その後、好ましくは500℃以下の温度、
さらに好ましくは100〜400℃の温度、最も好まし
くは100〜300℃の温度で乾燥および焼成のための
熱処理をさらに施してもよい。
【0055】上記熱処理を低い温度で行うと、式5で示
されるシロキサン単位中に存在する、下式8:
【0056】
【化6】
【0057】で表されるシラノール基同士の脱水縮合反
応が充分に起こらないため、必要な硬度が得られない場
合がある。また、500℃より高い温度での熱処理では
原料粒子中の有機ポリマー骨格の分解が顕著となるた
め、原料粒子Bが得られない。更に、熱処理する際の雰
囲気については、特に限定はないが、有機ポリマー骨格
の分解を抑制するためには、雰囲気中の酸素濃度が10
容量%以下である場合がより好ましい。熱処理温度が2
00℃〜500℃の範囲の場合は、好ましい物性の原料
粒子Bを得るためには、熱処理する際の雰囲気中の酸素
濃度が10容量%以下であることが好ましい。熱処理温
度が200℃以下の場合は、空気中でも、好ましい物性
の原料粒子Bが生成する。有機ケイ素染料 本発明で用いられる有機ケイ素染料は、加水分解性シリ
ル基を含有し、さらに、後述の染料に由来した染料構造
を有する。
【0058】加水分解性シリル基としては、前述の原料
粒子で例示した各種加水分解性シリル基を挙げることが
できる。染料構造とは、染料の分子構造を化学的に変換
して得られる、染料に由来した化学構造を意味し、染料
構造は染料と同等の発色性を発揮する。このような染料
としては、その分子構造を化学的に変換することが可能
な染料であれば、特に限定はないが、たとえば、ピラゾ
ロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染
料等のアゾ系染料;アントラキノン誘導体、アントロン
誘導体等のアントラキノン系染料;インジゴ誘導体、チ
オインジゴ誘導体等のインジゴイド系染料;フタロシア
ニン系染料;ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメ
タン系染料等のフェニルメタン系染料;キサンテン系染
料;アクリジン系染料;ニトロ系染料;ニトロソ系染
料;アジン系染料;オキサジン系染料;チアジン系染
料;キノリン系染料;シアニン(ポリメチン)系染料、
アゾメチン系染料等のメチン系染料;ベンゾキノン系染
料;ナフトキノン系染料;ナフタルイミド系染料;ペリ
フン系染料;アゾール系染料等を挙げることができる。
これらのうちでも、染料が、アントラキノン系染料、ベ
ンゾキノン系染料およびナフトキノン系染料から選ばれ
る少なくとも1種であると、褪色性が優れる。
【0059】有機ケイ素染料の製造方法については特に
限定はされないが、たとえば、官能基Yを有する染料
と、官能基Yと反応する官能基Zと加水分解性シリル基
とを有するアルコキシラン化合物とを反応させる方法
や、官能基Yを有する染料と、官能基Yと反応する官
能基Zと加水分解性シリル基とを有する官能性ポリシロ
キサン化合物とを反応させる方法等がある。
【0060】官能基Yとしては、たとえば、水酸基、ア
ミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、
ビニル基等を挙げることができ、これらが染料中に1種
のみ存在するほか、2種以上共存することもできる。官
能基Yと反応する官能基Zとしては、イソシアナート
基、エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、ビニ
ル基等を挙げることができ、これらがアルコキシラン化
合物や官能性ポリシロキサン化合物中に1種のみ存在す
るほか、2種以上共存することもできる。
【0061】官能基Zと加水分解性シリル基とを有する
アルコキシラン化合物としては、たとえば、たとえば、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、β−3,4−エ
ポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のエ
ポキシ基を有するアルコキシシラン化合物;3−イソシ
アナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナ
ートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアナート基
を有するアルコキシシラン化合物;3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するアル
コキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン等のビニル基を有するアルコキシ
シラン化合物等を挙げることができ、これらが1種また
は2種以上使用される。
【0062】官能基Zと加水分解性シリル基とを有する
官能性ポリシロキサン化合物としては、たとえば、上記
アルコキシラン化合物の低縮合物や、アルコキシラン化
合物と前記加水分解可能なシリコン化合物等の低縮合物
等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使
用される。有機ケイ素染料は特に限定されるわけではな
いが、たとえば、有機ケイ素染料が、アミノ基、水酸基
およびメルカプト基からなる群の中から選ばれた少なく
とも1種の基を有する染料と、エポキシ基およびイソシ
アナート基からなる群の中から選ばれた少なくとも1種
の基を有するアルコキシシラン化合物とを反応させるこ
とにより得られる有機ケイ素染料であると、着色粒子を
容易に製造することができるため好ましい。
【0063】有機ケイ素染料の色は、得ようとする着色
粒子の色に応じて適宜選択される。また、有機ケイ素染
料は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を適宜組み
合わせて使用してもよい。原料粒子の染着方法 本発明においては、上記原料粒子を上記有機ケイ素染料
で染着する。この方法では、原料粒子中の加水分解性シ
リル基と有機ケイ素染料中の加水分解性シリル基が反応
することによって、原料粒子と有機ケイ素染料とが化学
的に強固に結合する。
【0064】上記の染着反応は、通常、水および/また
は有機溶剤を含む溶媒中で行われる。有機溶剤として
は、たとえば、水100重量部に対する溶解度が5重量
部以上であるものを挙げることができ、その具体例とし
ては、原料粒子Aで例示した各種有機溶剤を挙げること
ができる。有機ケイ素染料の使用量は、特に限定はない
が、原料粒子に対して、好ましくは1〜100wt%、
さらに好ましくは1〜50wt%、最も好ましくは2〜
30wt%である。有機ケイ素染料の使用量が1wt%
未満であると、有機ケイ素染料の染着が不十分となるお
それがある。他方、有機ケイ素染料の使用量が100w
t%を超えると、得られる着色粒子の破壊強度が低下す
るおそれがある。
【0065】上記加水分解性シリル基同士の反応を促進
させ、染着を円滑に行わせるために、原料粒子Aで説明
した酸触媒やアルカリ触媒を用いてもよい。染着温度
は、好ましくは70〜250℃であり、さらに好ましく
は100〜180℃である。温度が70℃未満である
と、有機ケイ素染料が原料粒子に十分に結合しないおそ
れがある。他方、温度が250℃を超えると、原料粒子
が軟化や分解等するおそれがある。
【0066】溶媒の沸点以上で有機ケイ素染料を原料粒
子に結合させる場合は、オートクレーブ等の圧力容器を
用いる必要がある。圧力容器を用い、加圧下で染着させ
ると、原料粒子の表面だけでなく、原料粒子の内部にま
で、有機ケイ素染料を浸透させることができる。このよ
うにして、有機ケイ素染料で原料粒子を染着した後、残
存する有機ケイ素染料を除去するため、水やアルコール
等の溶媒での洗浄後、濾過や遠心分離等の手法で分離
し、解砕して単粒子化することによって、着色粒子が単
離される。 〔着色粒子〕本発明にかかる着色粒子は、上記製造方法
で得られた粒子である。この粒子は、原料粒子と有機ケ
イ素染料とが化学結合によって結ばれてなる粒子である
ため、有機ケイ素染料が着色粒子から容易に溶出したり
することはなく、光や熱等に対して優れた耐褪色性を有
し、その発色性は高い。
【0067】本発明の着色粒子は、有機ケイ素染料中の
染料構造の色によって、着色されることになる。その色
が光を透過させにくい色である場合、この着色粒子を液
晶表示板用スペーサーとして用いると、光抜けを防止で
き画質のコントラストを向上できる。光を透過させにく
い色としては、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、
赤などの色が挙げられるが、好ましくは、黒、濃青、ま
たは紺である。また、染料構造の色が蛍光色である場
合、この着色粒子を蛍光顔料等に用いることができる。
【0068】本発明の着色粒子は、好ましくは0.05
μm以上の平均粒子径を有し、さらに好ましくは0.1
〜50μm、より好ましくは0.5〜25μm、もっと
好ましくは1〜20μmの平均粒子径を有する。なお、
着色粒子を液晶表示板用スペーサーとして用いる場合
は、平均粒子径が0.5μm以上であると好ましい。本
発明の着色粒子は、スペーサーとして用いる場合に電極
基板の隙間距離の均一性の面から、たとえば20%以
下、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下の
粒子径の変動係数を有する。前記上限値を上回ると隙間
距離の均一性が低下して画像ムラを起こしやすくなる。
粒子径の変動係数は、次式:
【0069】
【数1】
【0070】で定義される。本発明では、平均粒子径と
粒子径の標準偏差は、電子顕微鏡撮影像の任意の粒子2
00個の粒子径を実測して次式より求めた。
【0071】
【数2】
【0072】本発明の着色粒子が、原料粒子Bを有機ケ
イ素染料で染着して得られる粒子である場合、ポリシロ
キサン骨格(無機質構成単位)と、有機ポリマー骨格と
の両方を含有し、かつ、無機質構成単位と有機ポリマー
骨格とが化学結合した複合体粒子であり、無機質の特徴
である硬度と、有機ポリマー骨格の特徴である機械的復
元性を兼ね備えるようになる。
【0073】本発明の着色粒子の形状は、球状、針状、
板状、鱗片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任
意の粒子形状で良く、特に限定されないが、液晶表示板
用スペーサーとして用いる場合には隙間距離を均一に一
定とする上で球状が好ましい。これは、粒子が球状であ
ると、すべてまたはほぼすべての方向について一定また
はほぼ一定の粒径を有するからである。 〔液晶表示板用着色スペーサー、液晶表示板〕本発明の
液晶表示板用着色スペーサーは、本発明の着色粒子から
なる。この液晶表示板用着色スペーサーは、正確な間隔
で配置されるべき1対の電極基板間の隙間距離を一定に
保持するために必要な機械的復元性と少ない個数で前記
隙間距離を一定に保持するために必要な硬度とを有する
とともに、電極基板に対して物理的ダメージを与えにく
い。このため、1対の電極基板間の隙間距離を一定に保
持しやすく、加圧による蒸着層・配向膜・コート層が損
傷を受けにくくなり、低温環境における収縮が液晶の収
縮に近くなり、電極基板間における散布個数が低減す
る。
【0074】液晶表示板において、電極基板間に電圧を
印加することにより、液晶は光学的変化を生じて画像を
形成する。これに対しスペーサーは、電圧印加によって
光学的変化を示さない。従って、スペーサーが着色され
ているため、画像を表示させた時の暗部において、光抜
けが生じて輝点として確認される場合はなく、画質のコ
ントラストは低下しない。
【0075】本発明の液晶表示板は、本発明の着色粒子
からなる着色スペーサー、すなわち、上記着色スペーサ
ーを電極基板間に介在させたものであり、同スペーサー
の粒子径と同じかまたはほぼ同じ隙間距離を有する。使
用されるスペーサーの量は、通常40〜180個/mm
2 、好ましくは40〜150個/mm2 と、従来の有機
質粒子スペーサーに比べると10〜50%程度少なくな
っており、画像を形成しない部分の面積が少なくなり、
また、イオンや分子等の不純物や染料がスペーサー内部
から液晶層中へ溶出する量も減少する。このため、コン
トラストが高くなり、ざらつきが減り、表示品位の向上
が期待される。
【0076】本発明の液晶表示板は、たとえば、第1電
極基板と第2電極基板と液晶表示板用着色スペーサーと
シール材と液晶とを備えている。第1電極基板は、第1
基板と、第1基板の表面に形成された第1電極とを有す
る。第2電極基板は、第2基板と、第2基板の表面に形
成された第2電極とを有し、第1電極基板と対向してい
る。液晶表示板用着色スペーサーは、第1電極基板と第
2電極基板との間に介在しており、本発明の液晶表示板
用着色スペーサーである。シール材は、第1電極基板と
第2電極基板とを周辺部で接着する。液晶は、第1電極
基板と第2電極基板とシール材とで囲まれた空間に充填
されている。
【0077】本発明の液晶表示板には、電極基板、シー
ル材、液晶等の、スペーサー以外のものは従来と同様の
ものが用いられる。電極基板は、ガラス基板、フィルム
基板などの基板と、基板の表面に形成された電極とを有
しており、必要に応じて、電極基板の表面に電極を覆う
ように形成された配向膜をさらに有する。シール材とし
ては、エポキシ樹脂接着シール材などが使用される。液
晶としては、従来より用いられているものでよく、たと
えば、ビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、シッ
フ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、
ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル
系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオ
キサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、
シクロヘキシルエタン系、シクロヘキセン系、フッ素系
などの液晶が使用できる。
【0078】本発明の液晶表示板を作製する方法として
は、たとえば、本発明の着色スペーサーを面内スペーサ
ーとして2枚の電極基板のうちの一方の電極基板に湿式
法または乾式法により均一に散布したものに、シリカス
ペーサーをシール部スペーサーとしてエポキシ樹脂等の
接着シール材に分散させた後、もう一方の電極基板の接
着シール部分にスクリーン印刷などの手段により塗布し
たものを載せ、適度の圧力を加え、100〜180℃の
温度で1〜60分間の加熱、または、照射量40〜30
0mJ/cm2 の紫外線照射により、接着シール材を加
熱または紫外線硬化させた後、液晶を注入し、注入部を
封止して、液晶表示板を得る方法を挙げることができる
が、特に限定されるものではない。
【0079】本発明の液晶表示板は、着色スペーサーを
介在させているため、従来の液晶表示板と同じ用途、た
とえば、テレビ、パーソナルコンピューター、ワードプ
ロセッサーなどの画像表示素子として好適に使用され
る。
【0080】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、本発明の範囲を
外れた比較例とを示すが、本発明は下記実施例に限定さ
れない。まず、以下の合成例により、加水分解性シリル
基を含有する有機ケイ素染料を合成した。
【0081】〔合成例1〕冷却管、温度計の付いた四つ
口フラスコ中に、γ−イソシアナートプロピルトリメト
キシシラン40gを入れ、これを攪拌しながら、式9の
構造式で示される、酸性のアントラキノン系染料である
日本化薬(株)製「カヤシルスカイブルーR」(商品
名)(ベンゼン環に直接結合したアミノ基を1分子中に
2個含有)20gを徐々に添加した。反応を促進するた
めにさらにジブチルスズジラウレート0.1gを添加し
た後、70℃で10時間加熱することにより、濃青色液
体を得た。次いで、未反応のγ−イソシアナートプロピ
ルトリメトキシシランのイソシアナート基を分解させる
ために、イソプロピルアルコール60gを添加すること
により、2倍に希釈された有機ケイ素染料(1)のイソ
プロピルアルコール溶液(濃青色)を得た。
【0082】
【化7】
【0083】〔合成例2〕合成例1において、γ−イソ
シアナートプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランを45g用い
たこと以外は合成例1と同様の操作を行って、有機ケイ
素染料(2)のイソプロピルアルコール溶液(濃青色)
を得た。
【0084】〔合成例3〕合成例1において、「カヤシ
ルスカイブルーR」の代わりに、式10の構造式で示さ
れる、油溶性のアントラキノン系染料である三井東圧
(株)製「ミケトンファーストターコイスブルーG」
(商品名)(ベンゼン環に直接結合したアミノ基および
水酸基を1分子中に2個ずつ含有し、ベンゼン環よりア
ルキル基を介して結合した水酸基を1分子中に2個含
有)を18g用いるとともに、γ−イソシアナートプロ
ピルトリメトキシシランの代わりにγ−イソシアナート
プロピルトリエトキシシランを60g用いたこと以外は
合成例1と同様の操作を行って、有機ケイ素染料(3)
のイソプロピルアルコール溶液(濃青色)を得た。
【0085】
【化8】
【0086】〔合成例4〕合成例1において、「カヤシ
ルスカイブルーR」の代わりに、「ミケトンファースト
ターコイスブルーG」(合成例3で用いたものと同じ)
を18g用いるとともに、γ−イソシアナートプロピル
トリメトキシシランの代わりにγ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシランを70g用いたこと以外は合成例
1と同様の操作を行って、有機ケイ素染料(4)のイソ
プロピルアルコール溶液(濃青色)を得た。
【0087】〔合成例5〕合成例1において、「カヤシ
ルスカイブルーR」の代わりに、式11の構造式で示さ
れる、油溶性のアントラキノン系染料である三井東圧
(株)製「ミケトンファーストレッドバイオレットR」
(商品名)(ベンゼン環に直接結合したアミノ基を1分
子中に2個含有)を35g用いるとともに、γ−イソシ
アナートプロピルトリメトキシシランの使用量を60g
に変更したこと以外は合成例1と同様の操作を行って、
有機ケイ素染料(5)のイソプロピルアルコール溶液
(赤紫色)を得た。
【0088】
【化9】
【0089】〔合成例6〕合成例1において、「カヤシ
ルスカイブルーR」の代わりに、「ミケトンファースト
レッドバイオレットR」(合成例5で用いたものと同
じ)を35g用いるとともに、γ−イソシアナートプロ
ピルトリメトキシシランの代わりにγ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシランを70g用いたこと以外は合
成例1と同様の操作を行って、有機ケイ素染料(6)の
イソプロピルアルコール溶液(赤紫色)を得た。
【0090】上記合成例で用いた有機ケイ素染料を用
い、以下の実施例を行った。 〔実施例1〕攪拌機、滴下口、温度計を備えた反応器
に、エタノール70g、28%アンモニア水27.5g
および水2.4gを入れ、混合した。30℃で攪拌しな
がら、該混合液に、テトラエトキシシラン15.4gを
滴下口より1時間かけて滴下し、テトラエトキシシラン
を加水分解・縮合することにより、白色粒子(1)の懸
濁体を得た。得られた懸濁体を遠心分離により固液分離
し、メタノールによる洗浄と水による洗浄を行い、白色
粒子(1)の水分散体10g(固形分40%)を得た。
【0091】得られた白色粒子(1)の水分散体10
g、イソプロピルアルコール20gおよび合成例1で得
られた有機ケイ素染料(1)のイソプロピルアルコール
溶液5gを、オートクレーブに仕込み、窒素ガスでオー
トクレーブ内を置換し、オートクレーブを密閉した後、
オートクレーブを120℃まで昇温して、5時間染着さ
せた。染着後、オートクレーブの内容物を濾過して、着
色粒子(1)を濾別し、水による洗浄とイソプロピルア
ルコールによる洗浄とを数回ずつ行った後、乾燥、解砕
して、着色粒子(1)を得た。得られた着色粒子(1)
は、濃青色の球状粒子であり、平均粒子径1.2μm、
粒子径の変動係数5.4%であった。
【0092】なお、粒子径の変動係数は、数1に示した
式から求めた。また、平均粒子径と粒子径の標準偏差
は、電子顕微鏡撮影像の任意の粒子200個の粒子径を
実測して、数2に示した式より求めた。次に、着色粒子
(1)について、染料の溶出と、耐褪色性を以下の方法
で評価した。 〔染料の溶出〕得られた着色粒子(1)1gをイソプロ
ピルアルコール10g中に混合、分散した後、室温で1
週間放置し、上澄みのイソプロピルアルコールの着色の
有無を目視で判断した。
【0093】○:着色なし ×:着色あり 〔耐褪色性〕得られた着色粒子(1)を250℃で24
時間加熱し、加熱前後の粒子の色の状態を観察した。 ○:変化なし ×:色落ちあり 結果を表1に示す。
【0094】〔実施例2〕実施例1において、テトラエ
トキシシランの代わりにメチルトリメトキシシラン1
5.4g、有機ケイ素染料(1)のイソプロピルアルコ
ール溶液の代わりに合成例2で得られた有機ケイ素染料
(2)のイソプロピルアルコール溶液1.8gをそれぞ
れ用い、オートクレーブを150℃まで昇温した以外
は、実施例1と同様の操作を行って、着色粒子(2)を
得た。
【0095】得られた着色粒子(2)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔実施例3〕実施例1において、テトラエトキシシラン
の代わりにテトラメトキシシラン10.0gおよびフェ
ニルトリメトキシシラン3.0gを、有機ケイ素染料
(1)のイソプロピルアルコール溶液の代わりに合成例
6で得られた有機ケイ素染料(6)のイソプロピルアル
コール溶液5.0gをそれぞれ用いたこと以外は実施例
1と同様の操作を行って、着色粒子(3)を得た。
【0096】得られた着色粒子(3)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔実施例4〕冷却管、温度計、滴下口の付いた四つ口フ
ラスコ中に、25%アンモニア水溶液3.0gと水43
0gとを混合した溶液を入れ、30℃で攪拌しながら、
この混合溶液中に、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン60g、メタノール60g、2,2’アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.17gを混合した溶液を添加して、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合
を行った。攪拌を継続しながら、さらにN2 雰囲気中で
60℃に加熱することにより、ラジカル重合を行った。
2時間加熱を続けた後、室温まで冷却することにより、
白色粒子(4)の懸濁体を得た。
【0097】得られた懸濁体を濾過により固液分離し、
得られたケーキを、メタノールと水で洗浄して、白色粒
子(4)の水分散体100g(固形分40%)を得た。
得られた白色粒子(4)の水分散体100g、イソプロ
ピルアルコール200gおよび合成例3で得られた有機
ケイ素染料(3)のイソプロピルアルコール溶液100
gを、1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素ガス
でオートクレーブ内を置換し、オートクレーブを密閉し
た後、オートクレーブを150℃まで昇温して、2時間
染着させた。染着後、オートクレーブの内容物を濾過し
て、着色粒子(4)を濾別し、水による洗浄とイソプロ
ピルアルコールによる洗浄とを数回ずつ行った後、乾
燥、解砕して、着色粒子(4)を得た。
【0098】得られた着色粒子(4)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔実施例5〕実施例4において、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランの代わりにγ−アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン44gおよびビニルトリメ
トキシシラン20gを、有機ケイ素染料(3)のイソプ
ロピルアルコール溶液の代わりに合成例4で得られた有
機ケイ素染料(4)のイソプロピルアルコール溶液20
0gをそれぞれ用いたこと以外は実施例4と同様の操作
を行って、着色粒子(5)を得た。
【0099】得られた着色粒子(5)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔実施例6〕実施例4において、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランの代わりにp−ビニルフェニ
ルトリメトキシシラン35gおよび1−ヘキセニルトリ
メトキシシラン25gを、有機ケイ素染料(3)のイソ
プロピルアルコール溶液の代わりに合成例5で得られた
有機ケイ素染料(5)のイソプロピルアルコール溶液8
0gをそれぞれ用いたこと以外は実施例4と同様の操作
を行って、着色粒子(6)を得た。
【0100】得られた着色粒子(6)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔実施例7〕攪拌機、冷却管および温度計を備えた反応
器に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
25gと、メチルメタクリレート50gと、エタノール
430gとの混合物に、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル3gを溶解させ、窒素雰囲気下、70℃でラジ
カル重合させ、重合の進行とともに白色粒子が析出し
た。
【0101】得られた白色粒子の懸濁体を濾過して、固
体と液体とを分離し、ケーキ状の固体部分をメタノール
および水で洗浄した後、真空乾燥機中、150℃で2時
間乾燥して、メトキシシリル基の加水分解・縮合による
架橋反応を進行させて白色粒子(7)を得た。得られた
白色粒子(7)4g、トルエン20gおよび合成例1で
得られた有機ケイ素染料(1)のイソプロピルアルコー
ル溶液10gを、100ミリリットルのオートクレーブ
に仕込み、窒素ガスでオートクレーブ内を置換し、オー
トクレーブを密閉した後、オートクレーブを170℃ま
で昇温して、1時間染着させた。染着後、オートクレー
ブの内容物を濾過して、着色粒子(7)を濾別し、水に
よる洗浄とイソプロピルアルコールによる洗浄とを数回
ずつ行った後、乾燥、解砕して、着色粒子(7)を得
た。
【0102】得られた着色粒子(7)を実施例1と同様
の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔比較例1〕実施例1において、有機ケイ素染料(1)
のイソプロピルアルコール溶液の代わりに酸性染料であ
る「カヤシルスカイブルーR」(合成例1で用いたもの
と同じ)4gを用いたこと以外は実施例1と同様の操作
を行って、比較用着色粒子(11)を得た。
【0103】得られた比較用着色粒子(11)を実施例
1と同様の方法で分析評価した結果を表1に示す。 〔比較例2〕実施例4において、有機ケイ素染料(3)
のイソプロピルアルコール溶液の代わりに油溶性染料で
ある「ミケトンファーストターコイスブルーG」(合成
例3で用いたものと同じ)40gを用いたこと以外は実
施例4と同様の操作を行って、比較用着色粒子(12)
を得た。
【0104】得られた比較用着色粒子(12)を実施例
1と同様の方法で分析評価した結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】〔実施例8〕実施例4で得られた着色粒子
(4)を液晶表示板用着色スペーサーとして用い、以下
の方法により、液晶表示板を作製した。図1にみるよう
に、まず、300mm×345mm×1.1mmの下側
ガラス基板11上に、電極(たとえば、透明電極)5及
びポリイミド配向膜4を形成した後、ラビングを行って
下側電極基板110を得た。この下側電極基板110
に、液晶表示板用着色スペーサー(この場合、面内スペ
ーサー)8として着色粒子(4)を60個/mm2 の割
合で乾式散布した。
【0107】一方、300mm×345mm×1.1m
mの上側ガラス基板12上に、電極(たとえば、透明電
極)5およびポリイミド配向膜4を形成した後、ラビン
グを行って上側電極基板120を得た。そして、エポキ
シ樹脂接着シール材2中にシリカスペーサー(この場
合、シール部スペーサー)3が30容量%となるように
分散させたものを、上側電極基板120の接着シール部
分にスクリーン印刷した。
【0108】最後に、上下側電極基板120,110
を、電極5及び配向膜4がそれぞれ対向するように、着
色粒子(4)からなる着色スペーサー8を介して貼り合
わせ、1kg/cm2 の圧力を加え、150℃の温度で
30分間加熱し、接着シール材2を加熱硬化させた。そ
の後、2枚の電極基板120,110の隙間を真空と
し、さらに、大気圧に戻すことにより、STN型液晶7
を注入し、注入部を封止した。そして、上下ガラス基板
12,11の外側にPVA(ポリビニルアルコール)系
偏光膜6を貼り付けて液晶表示板とした。
【0109】得られた液晶表示板の表示品位は、優れた
ものであり、通常の白色スペーサーを使用した場合に比
べ、コントラストが15%向上した。 〔実施例9〕実施例8において、液晶表示板用着色スペ
ーサーとして着色粒子(4)の代わりに実施例2で得ら
れた着色粒子(2)を用いたこと以外は実施例8と同様
の作業を行うことにより、液晶表示板を得た。
【0110】得られた液晶表示板の表示品位は、優れた
ものであり、通常の白色スペーサーを使用した場合に比
べ、コントラストが10%向上した。 〔実施例10〕実施例8において、液晶表示板用着色ス
ペーサーとして着色粒子(4)の代わりに実施例7で得
られた着色粒子(7)を用いたこと以外は実施例8と同
様の作業を行うことにより、液晶表示板を得た。
【0111】得られた液晶表示板の表示品位は、優れた
ものであり、通常の白色スペーサーを使用した場合に比
べ、コントラストが12%向上した。 〔比較例3〕実施例8において、液晶表示板用着色スペ
ーサーとして着色粒子(4)の代わりに比較例2で得ら
れた比較着色粒子(12)を用いたこと以外は実施例8
と同様の作業を行うことにより、液晶表示板を得た。
【0112】得られた液晶表示板の表示品位は、染料が
液晶中へ溶出してしまい、光抜けが多くなり、表示品位
は悪くなるとともに、液晶の電気抵抗が低下して作動し
なくなった。
【0113】
【発明の効果】本発明の着色粒子は、ポリシロキサン骨
格からなる粒子のマトリクスに色素や染料を単に含有さ
せた従来の着色粒子と異なり、染料構造を有する有機骨
格がポリシロキサン骨格に化学結合した構造を持つの
で、水や有機溶剤中に浸漬されても染料の溶出はなく、
しかも、長期間強い光や加熱下で使用されても色が薄く
なりにくい耐褪色性に優れている。
【0114】本発明の着色粒子の製造方法は、染料の溶
出がなく、しかも、長期間強い光や加熱下で使用されて
も色が薄くなりにくい耐褪色性に優れ着色粒子を、簡便
かつ効率良く製造することができる。本発明の液晶表示
板用着色スペーサーは上記着色粒子からなり、液晶層中
への染料の溶出がなく、しかも耐褪色性に優れているの
で、光抜けを起こしにくく画質のコントラストを向上さ
せることができる。
【0115】本発明の液晶表示板は、電極基板間に介在
させるスペーサーとして、液晶層中への染料の溶出がな
く且つ耐褪色性に優れた本発明の液晶表示板用着色スペ
ーサーが用いられてなるため、光抜けが起こりにくく画
質のコントラストが向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示板の1実施例を表す部分断面
図である。
【符号の説明】 2 接着シール材 3 シール部スペーサー 4 配向膜 5 電極 6 偏光膜 7 液晶 8 面内スペーサー 11 下側ガラス基板 12 上側ガラス基板 110 下側電極基板 120 上側電極基板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料粒子を染料で着色してなる着色粒子に
    おいて、前記染料が有機ケイ素染料であり、加水分解性
    シリル基同志の化学反応による結合を介して前記原料粒
    子に結びついていることを特徴とする、着色粒子。
  2. 【請求項2】前記原料粒子が、有機ポリマー骨格と、前
    記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケ
    イ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有す
    るポリシロキサン骨格とを含む有機質無機質複合体粒子
    である、請求項1に記載の着色粒子。
  3. 【請求項3】前記有機ケイ素染料が、アミノ基、水酸基
    およびメルカプト基からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種の基を有する染料と、エポキシ基およびイソシ
    アナート基からなる群の中から選ばれた少なくとも1種
    の基を有するアルコキシシランとを反応させることによ
    り得られる染料である、請求項1または2に記載の着色
    粒子。
  4. 【請求項4】原料粒子を染料で着色する方法において、
    前記原料粒子として加水分解性シリル基を含有する粒子
    を用い、前記染料として加水分解性シリル基を含有する
    有機ケイ素染料を用い、前記加水分解性シリル基同志を
    反応させることを特徴とする、着色粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】前記原料粒子が、有機ポリマー骨格と、前
    記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケ
    イ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有す
    るポリシロキサン骨格とを含む有機質無機質複合体粒子
    である、請求項4に記載の着色粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記有機ケイ素染料が、アミノ基、水酸基
    およびメルカプト基からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種の基を有する染料と、エポキシ基およびイソシ
    アナート基からなる群の中から選ばれた少なくとも1種
    の基を有するアルコキシシランとを反応させることによ
    り得られる染料である、請求項4または5に記載の着色
    粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1または2に記載の着色粒子からな
    る液晶表示板用着色スペーサー。
  8. 【請求項8】電極基板間に介在させるスペーサーとし
    て、請求項1または2に記載の着色粒子からなる着色ス
    ペーサーが用いられている液晶表示板。
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