JP2005309365A - 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 - Google Patents
液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005309365A JP2005309365A JP2004282805A JP2004282805A JP2005309365A JP 2005309365 A JP2005309365 A JP 2005309365A JP 2004282805 A JP2004282805 A JP 2004282805A JP 2004282805 A JP2004282805 A JP 2004282805A JP 2005309365 A JP2005309365 A JP 2005309365A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid crystal
- crystal display
- display element
- spacer
- meth
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
Abstract
Description
本発明は、乾式散布性が良好で、スペーサの周囲に光抜けがなく高品位な表示性能を有する液晶表示素子が得られる液晶表示素子用スペーサ、及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は二枚のガラス基板間に液晶を挟持して構成され、ガラス基板間の間隔の大きさ(ギャップ)を均一かつ一定に保つためにスペーサと呼ばれる粒子径の揃った微粒子をギャップ制御材として使用している。
液晶表示素子において、液晶とスペーサとの界面で液晶分子の配向が変則的になり、表示品質を低下させることがある。この様なスペーサ周辺の液晶分子の異常配向が起こると、スペーサは液晶表示素子の画素領域にも存在することから、スペーサの周囲に光抜けというバックライトからの光が透過する現象が生じ、コントラスト低下やホワイトスポットのような表示品質の低下を起こしていた。この様な異常配向による光抜け現象は、基板間に電圧を印加した際等に生じ、その後消えることはない。
この様な異常配向を防止する方法としては、微球体上に有機シラン化合物による被覆に由来するアルキル基を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面に長鎖アルキル基が存在する重合体粒子とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの方法では、アルキル基により液晶分子に垂直配向を持たせることにより、ある程度効果を示すことが知られている。
しかしながら、STN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子のなかでも近年需要の伸びているカラー表示のものや、横電界方式のIPS(In Plane Switching)型液晶表示素子は、特に高いコントラストを必要とするため、これらに使用されるスペーサについても上述の様な異常配向による光抜け現象を更になくし、コントラストの向上が求められてきている。
また、特許文献2には、基材微粒子の表面に長鎖アルキル基を導入した表面被覆微粒子が記載されている。しかしながら、基材微粒子の表面に長鎖アルキル基を導入した表面被覆微粒子では光抜け現象をなくし高コントラストを達成しようとすると散布性が悪化するといった問題点があった。
すなわち、スペーサは通常、片方の基板上に単粒子状に均一に散布され、このスペーサが付着した基板を用いて、液晶表示素子が作製される。スペーサの散布には、乾式散布法と湿式散布法がある。湿式散布法による場合は、分散媒にスペーサを分散させて分散液をスプレー塗布して散布するが、この分散液は火災や爆発を避けるために水を含ませる必要があったり、散布後分散媒を蒸発させる必要がある等、煩雑な工程が必要となっている。このため、近年乾式散布法が増えてきているが、乾式散布法による場合は、スペーサ表面のアルキル基の量が多くなったりアルキル基の種類によっては、静電気を帯びやすくなるため、粒子同士が合着したり、基板上に不均一に散布されたりする現象が発生する。
このため、上述の様な表面にアルキル基を有するスペーサにおいても、乾式散布法による散布性(乾式散布性)が良好であることが求められてきていた。
このため、上述の様な表面にアルキル基を有するスペーサにおいても、乾式散布法による散布性(乾式散布性)が良好であることが求められてきていた。
本発明は、上記現状に鑑み、乾式散布性が良好で、スペーサの周囲に光抜けがなく高品位な表示性能を有する液晶表示素子が得られる液晶表示素子用スペーサ、及びそれを用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、基材微粒子表面に重合体からなる被覆層が形成されてなる液晶表示素子用スペーサであって、前記重合体は(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合して得られた重合体であり、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物は炭素数18〜22のアルキル基を有する下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50〜90重量%、(メタ)アクリル酸イソボルニルを10〜30重量%含有する液晶表示素子用スペーサを提供する。
式中、R1 は炭素数18〜22のアルキル基を示し、R2 は水素又はメチル基を示す。
また、請求項2記載の発明は、STN型液晶表示素子用である請求項1記載の液晶表示素子用スペーサを提供する。
また、請求項3記載の発明は、基材微粒子は黒色着色剤を含有する請求項2記載の液晶表示素子用スペーサを提供する。
また、請求項4記載の発明は、IPS型液晶表示素子用である請求項1記載の液晶表示素子用スペーサを提供する。
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子用スペーサを用いてなる液晶表示素子を提供する。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の液晶表示素子用スペーサは、基材微粒子表面に重合体からなる被覆層が形成されてなり、前記重合体は(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合して得られたものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを意味する。
本発明の液晶表示素子用スペーサは、基材微粒子表面に重合体からなる被覆層が形成されてなり、前記重合体は(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合して得られたものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを意味する。
本発明における(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物は、炭素数18〜22のアルキル基を有する上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルを50〜90重量%、(メタ)アクリル酸イソボルニルを10〜30重量%含有するものである。
上記炭素数18〜22のアルキル基としては、具体的には、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
上記炭素数18〜22のアルキル基を有する一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(以下、長鎖アルキル(メタ)アクリレートともいう)としては、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート(C18)、ベヘニル(メタ)アクリレート(C22)等が挙げられる。なお、C18とは、上記アルキル基の炭素数が18であることを示す。
これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記長鎖アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、モノマー混合物中に50〜90重量%とされるが、含有量が50重量%未満であると、高コントラストの表示に必要となる十分な異常配向を防止する効果が得られないことがあり、含有量が90重量%を超えると、スペーサを乾式散布する際に均一な乾式散布性を発現できなくなることがある。長鎖アルキル(メタ)アクリレートの含有量は、60〜80重量%であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸イソボルニルの含有量は、モノマー混合物中に10〜30重量%とされるが、含有量が10重量%未満であると、基材微粒子の表面を被覆する被覆層のガラス転移温度(Tg)が十分に上がらず、良好な乾式散布性が得られないことがあり、含有量が30重量%を超えると、被覆層のTgが高すぎスペーサが固着しにくくなり移動しやすくなることがある。
本発明における(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物は、本発明の液晶表示素子用スペーサの効果を損なわない程度に、上記長鎖アルキル(メタ)アクリレート及び上記(メタ)アクリル酸イソボルニルと共に、その他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを用いてもよい。
上記その他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリル酸エステル;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン鎖を有するモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記その他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリル酸エステル;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン鎖を有するモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明における基材微粒子としては、特に限定されず、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。上記有機材料としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得られる樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、基材微粒子の機械強度を考えれば、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得られる樹脂が好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体は、非架橋性単量体であってもよく、架橋性単量体であってもよいが、少なくとも20重量%以上が架橋性単量体であることが好ましい。
上記非架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
上記非架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
上記基材微粒子の重合方法は特に限定されず、通常の懸濁重合、シード重合等の汎用の重合方法を用いることができる。
上記基材微粒子の平均粒子径は、1〜30μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。また、CV値(粒子径分布の標準偏差を平均粒子径で除して百分率とした値)は、10%以下であることが好ましく、1〜6%であることがより好ましい。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を用いて液晶表示素子用スペーサを得る方法としては、特に限定されないが、例えば、還元性基を表面に有する基材微粒子に(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を含浸後、酸化剤を反応させて基材微粒子表面にラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として基材微粒子表面に重合体からなる被覆層を形成させる方法等が挙げられる。
上記還元性基としては、例えば、水酸基、チオール基、アルデヒド基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられる。
上記酸化剤としては、例えば、セリウム塩、過硫酸塩等が挙げられる。
上記還元性基としては、例えば、水酸基、チオール基、アルデヒド基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられる。
上記酸化剤としては、例えば、セリウム塩、過硫酸塩等が挙げられる。
上記還元性基を有する基材微粒子としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得られる樹脂であって、上記還元性基を有する重合性単量体を構成成分として含有するもの等が挙げられる。
上記還元性基を有する重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、ビニルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシフタル酸、モノ[2(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシッドホスフェート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;スチレン誘導体;ビニルエステル類;共役ジエン類等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用スペーサにおける被覆層の厚さは、0.005〜0.2μmであることが好ましい。被覆層の厚さが0.005μm未満であると、光抜けを防止する性能が不十分なことがあり、0.2μmを超えると、スペーサが凝集し易くなり乾式散布性が不十分になることがある。より好ましい被覆層の厚さは、0.01〜0.1μmである。さらに好ましくは0.02〜0.1μmである。
このような構成からなる本発明の液晶表示素子用スペーサは、STN型液晶表示素子に好適に用いられる。特に、高いコントラストを必要とするカラー表示用のSTN型液晶表示素子により好適に用いられる。
STN型液晶表示素子用である本発明の液晶表示素子用スペーサもまた、本発明の一つである。
STN型液晶表示素子用である本発明の液晶表示素子用スペーサもまた、本発明の一つである。
本発明の液晶表示素子用スペーサがSTN型液晶表示素子用に用いられる場合には、本発明における基材微粒子は、黒色着色剤を含有することが好ましい。上記黒色着色剤により着色されていることにより、液晶表示素子が黒表示の際にバックライトからの光がスペーサを透過し難くなり、コントラストが向上し易い。上記黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等が挙げられる。
また、このような構成からなる本発明の液晶表示素子用スペーサは、IPS型液晶表示素子にも好適に用いられる。
IPS型液晶表示素子用である本発明の液晶表示素子用スペーサもまた、本発明の一つである。
IPS型液晶表示素子用である本発明の液晶表示素子用スペーサもまた、本発明の一つである。
本発明の液晶表示素子用スペーサを用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の一つである。
上記液晶表示素子について、その要部断面図である図1を参照しながら説明する。
上記液晶表示素子は、図1に示すように、偏光シート1が一面に設けられ、偏光シート1が設けられた面と反対の面に絶縁膜3、透明電極4及び配向膜5が順次積層され、配向膜5が対向するように設置された一対の透明基板2と、対向する配向膜5の間に狭持された液晶表示素子用スペーサ7と配向膜5との間に注入された液晶6と、周辺に形成されたシール材8とを構成要素としている。
上記液晶表示素子は、図1に示すように、偏光シート1が一面に設けられ、偏光シート1が設けられた面と反対の面に絶縁膜3、透明電極4及び配向膜5が順次積層され、配向膜5が対向するように設置された一対の透明基板2と、対向する配向膜5の間に狭持された液晶表示素子用スペーサ7と配向膜5との間に注入された液晶6と、周辺に形成されたシール材8とを構成要素としている。
上記液晶表示素子は、例えば、以下の方法を用いて作製することができる。
まず、偏光シート1が一面に設けられた2枚の透明基板2の偏光シート1が設けられた面と反対側の面に、SiO2 等からなる絶縁膜3を形成し、絶縁膜3の上にITO等からなる透明電極4をフォトリソグラフィーによりパターンニングして形成する。その後、それぞれの透明電極4上に、ポリイミド等からなる配向膜5を形成し、1枚の透明基板2の配向膜5上に液晶表示素子用スペーサ7を散布する。
まず、偏光シート1が一面に設けられた2枚の透明基板2の偏光シート1が設けられた面と反対側の面に、SiO2 等からなる絶縁膜3を形成し、絶縁膜3の上にITO等からなる透明電極4をフォトリソグラフィーによりパターンニングして形成する。その後、それぞれの透明電極4上に、ポリイミド等からなる配向膜5を形成し、1枚の透明基板2の配向膜5上に液晶表示素子用スペーサ7を散布する。
その後、液晶表示素子用スペーサ7を散布した基板に、スペーサが散布されていない他の基板を、配向膜5が対向するように設置し、これらの基板の周囲に、シール材8を用いて周辺部に接着層を形成し、液晶表示素子用スペーサを散布した基板とスペーサが散布されていない基板とを貼り合わせ、更に液晶6をこれら基板間に注入することにより液晶セルを作製し、得られた液晶セルに配線を設けることにより液晶表示素子10を作製する。
上記液晶表示素子用スペーサを基板上に散布する際の散布密度は、10〜1000個/mm2 が好ましい。10個/mm2 未満であると、液晶表示素子のギャップが均一にならない場合があり、1000個/mm2を超えると、液晶表示素子用スペーサの存在により液晶表示素子のコントラストが低下することがある。
(作用)
本発明の液晶表示素子用スペーサは、特定の含有量の長鎖アルキル(メタ)アクリレートと、特定の含有量の(メタ)アクリル酸イソボルニルとを含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合した被覆層が形成されている。本発明によりスペーサ周辺の液晶分子の異常配向現象が改善され光抜けがなくなる要因は明らかではないが、炭素数が18〜22の長鎖アルキル基とイソボルニル基とが共存していることにより、液晶分子との相互作用において、異常配向を防止できるように最適化されたためと考えられる。更に、炭素数が18〜22の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーだけでは、乾式散布性が悪化する傾向は避けられないが、特定量の(メタ)アクリル酸イソボルニルモノマーを用いることにより被覆層のTgを効果的に上げることができ、乾式散布時の凝集が起こり難くなり乾式散布性が良好になる。
本発明の液晶表示素子用スペーサは、特定の含有量の長鎖アルキル(メタ)アクリレートと、特定の含有量の(メタ)アクリル酸イソボルニルとを含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物を重合した被覆層が形成されている。本発明によりスペーサ周辺の液晶分子の異常配向現象が改善され光抜けがなくなる要因は明らかではないが、炭素数が18〜22の長鎖アルキル基とイソボルニル基とが共存していることにより、液晶分子との相互作用において、異常配向を防止できるように最適化されたためと考えられる。更に、炭素数が18〜22の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーだけでは、乾式散布性が悪化する傾向は避けられないが、特定量の(メタ)アクリル酸イソボルニルモノマーを用いることにより被覆層のTgを効果的に上げることができ、乾式散布時の凝集が起こり難くなり乾式散布性が良好になる。
本発明の液晶表示素子用スペーサは、上述の構成よりなるので、乾式散布性が良好で、スペーサの周囲に光抜けがなく高品位な表示性能を有する液晶表示素子を提供することができる。また、本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶表示素子用スペーサを用いてなるので、スペーサの周囲に光抜けがなく高品位な表示性能を有する。
また、本発明の液晶表示素子用スペーサは、STN型液晶表示素子、なかでも特に高いコントラストを必要とするノーマリブラック表示モードのカラー表示のSTN型液晶表示素子、又は、IPS型液晶表示素子に使用されるスペーサとして優れており、異常配向による光抜け現象がなく、高コントラストの表示性能を発現できる。
また、本発明の液晶表示素子用スペーサは、STN型液晶表示素子、なかでも特に高いコントラストを必要とするノーマリブラック表示モードのカラー表示のSTN型液晶表示素子、又は、IPS型液晶表示素子に使用されるスペーサとして優れており、異常配向による光抜け現象がなく、高コントラストの表示性能を発現できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.STN型液晶表示素子用スペーサ
(実施例1)
〔基材微粒子の作製〕
ポリビニルアルコールの3%水溶液800重量部に、ジビニルベンゼン100重量部、過酸化ベンゾイル2重量部の混合液を加え、ホモジナイザーにて攪拌して粒度調整を行った。その後、攪拌しながら窒素気流下にて、80℃まで昇温して、15時間反応を行った。得られた基材微粒子を熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄後、分級操作を行った。得られた基材微粒子Aは、平均粒子径5.0μm、CV値5%であった。
(実施例1)
〔基材微粒子の作製〕
ポリビニルアルコールの3%水溶液800重量部に、ジビニルベンゼン100重量部、過酸化ベンゾイル2重量部の混合液を加え、ホモジナイザーにて攪拌して粒度調整を行った。その後、攪拌しながら窒素気流下にて、80℃まで昇温して、15時間反応を行った。得られた基材微粒子を熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄後、分級操作を行った。得られた基材微粒子Aは、平均粒子径5.0μm、CV値5%であった。
〔基材微粒子表面の被覆層形成〕
セパラブルフラスコに、上記操作で作製した基材微粒子A100g、ジメチルスルホキシド200g、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gを加え、撹拌した。このとき、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート189g(70重量%)、イソボルニルメタクリレート54g(20重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えた。次に、反応系に窒素ガスを導入し、30℃にて3時間撹拌した。これに1Nの硝酸水溶液で調製した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液50gを添加し10時間反応させた。反応終了後、得られた微球体をテトラヒドロフランにて洗浄し、真空乾燥器にて、減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
セパラブルフラスコに、上記操作で作製した基材微粒子A100g、ジメチルスルホキシド200g、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gを加え、撹拌した。このとき、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート189g(70重量%)、イソボルニルメタクリレート54g(20重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えた。次に、反応系に窒素ガスを導入し、30℃にて3時間撹拌した。これに1Nの硝酸水溶液で調製した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液50gを添加し10時間反応させた。反応終了後、得られた微球体をテトラヒドロフランにて洗浄し、真空乾燥器にて、減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態(液晶の配向状態)及び乾式散布性を、下記の評価方法を用いて評価した。結果を表1に示した。
〔STN型液晶表示素子用スペーサ評価方法〕
(1)光抜けの状態
一対の透明ガラス板(150mm×150mm 厚さ1.1mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−150)を配置し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った後、上記基板のうちの、一枚の基板の配向膜側に、得られた液晶表示素子用スペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2当たり100〜200個となるように散布した。もう一方の基板の周辺に周辺シール剤を形成した後、スペーサを散布した基板とラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させ、空セル(液晶の入ってない画面)を作製した。得られた空セルに、STN型液晶(メルク社製、ZLI−2293)を注入した後、注入口を接着剤で塞いでSTN型液晶表示素子を作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
(1)光抜けの状態
一対の透明ガラス板(150mm×150mm 厚さ1.1mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−150)を配置し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った後、上記基板のうちの、一枚の基板の配向膜側に、得られた液晶表示素子用スペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2当たり100〜200個となるように散布した。もう一方の基板の周辺に周辺シール剤を形成した後、スペーサを散布した基板とラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させ、空セル(液晶の入ってない画面)を作製した。得られた空セルに、STN型液晶(メルク社製、ZLI−2293)を注入した後、注入口を接着剤で塞いでSTN型液晶表示素子を作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
このようにして得られたSTN型液晶表示素子をノーマリブラック表示モードになるように配置した偏光フィルムで挟み込み、7V、17V、30V、又は50Vの電圧を印加した後、顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮り光抜けの状態(液晶の配向状態)を観察し、以下の基準で評価した。
◎:スペーサ周囲に液晶の異常配向発生がない。
○:スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生。
△:スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生。
×:スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生。
◎:スペーサ周囲に液晶の異常配向発生がない。
○:スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生。
△:スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生。
×:スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生。
(2)乾式散布性
得られた液晶表示素子用スペーサを、乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて面積450cm2 のガラス基板上に150個/mm2 の散布密度で散布し、ガラス基板上に液晶表示素子用スペーサを付着させた。その後、6.3mm2当たりに3個、4個及び5個以上のスペーサが凝集した塊の個数を調べた。
得られた液晶表示素子用スペーサを、乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて面積450cm2 のガラス基板上に150個/mm2 の散布密度で散布し、ガラス基板上に液晶表示素子用スペーサを付着させた。その後、6.3mm2当たりに3個、4個及び5個以上のスペーサが凝集した塊の個数を調べた。
(実施例2)
実施例1において、ジビニルベンゼン100重量部にカーボンブラック5重量部を加えて基材微粒子を作製したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1において、ジビニルベンゼン100重量部にカーボンブラック5重量部を加えて基材微粒子を作製したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート243g(90重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート243g(90重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート108g(40重量%)、イソボルニルメタクリレート108g(40重量%)、メチルメタクリレート54g(20重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート108g(40重量%)、イソボルニルメタクリレート108g(40重量%)、メチルメタクリレート54g(20重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート67.5g(25重量%)、メチルメタクリレート189g(70重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート67.5g(25重量%)、メチルメタクリレート189g(70重量%)を加えたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例1と同様にして、STN型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表1に示した。
実施例1及び2で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかった。また、乾式散布性も良好であった。
一方、比較例1で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
また、比較例2で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生があった。
更に、比較例3で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生があった。
一方、比較例1で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
また、比較例2で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生があった。
更に、比較例3で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生があった。
2.IPS型液晶表示素子用スペーサ
(実施例3)
〔基材微粒子の作製〕
実施例1において、攪拌条件を変えて粒度調整を行い、分級条件を変えて分級操作を行ったこと以外は同様に行った。得られた基材微粒子Bは、平均粒子径3.5μm、CV値5%であった。
(実施例3)
〔基材微粒子の作製〕
実施例1において、攪拌条件を変えて粒度調整を行い、分級条件を変えて分級操作を行ったこと以外は同様に行った。得られた基材微粒子Bは、平均粒子径3.5μm、CV値5%であった。
〔基材微粒子表面の被覆層形成〕
セパラブルフラスコに、上記操作で作製した基材微粒子B100g、ジメチルスルホキシド200g、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gを加え、撹拌した。このとき、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート189g(70重量%)、イソボルニルメタクリレート54g(20重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えた。次に、反応系に窒素ガスを導入し、30℃にて3時間撹拌した。これに1Nの硝酸水溶液で調製した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液50gを添加し10時間反応させた。反応終了後、得られた微球体をテトラヒドロフランにて洗浄し、真空乾燥器にて、減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
セパラブルフラスコに、上記操作で作製した基材微粒子B100g、ジメチルスルホキシド200g、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gを加え、撹拌した。このとき、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート189g(70重量%)、イソボルニルメタクリレート54g(20重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えた。次に、反応系に窒素ガスを導入し、30℃にて3時間撹拌した。これに1Nの硝酸水溶液で調製した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液50gを添加し10時間反応させた。反応終了後、得られた微球体をテトラヒドロフランにて洗浄し、真空乾燥器にて、減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態(液晶の配向状態)及び乾式散布性を、下記の評価方法を用いて評価した。結果を表2に示した。
〔IPS型液晶表示素子用スペーサ評価方法〕
(1)光抜けの状態
一対の透明ガラス板(150mm×150mm 厚さ1.1mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−1410)を配置し、250℃で120分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った後、上記基板のうちの、一枚の基板の配向膜側に、得られた液晶表示素子用スペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2当たり100〜200個となるように散布した。もう一方の基板の周辺に周辺シール剤を形成した後、スペーサを散布した基板とラビング方向が180°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させ、空セル(液晶の入ってない画面)を作製した。得られた空セルに、IPS型液晶(メルク社製、MLC−6692)を注入した後、注入口を接着剤で塞いでIPS型液晶表示素子を作製し、更に、95℃で10分間熱処理した。
(1)光抜けの状態
一対の透明ガラス板(150mm×150mm 厚さ1.1mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−1410)を配置し、250℃で120分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った後、上記基板のうちの、一枚の基板の配向膜側に、得られた液晶表示素子用スペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2当たり100〜200個となるように散布した。もう一方の基板の周辺に周辺シール剤を形成した後、スペーサを散布した基板とラビング方向が180°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させ、空セル(液晶の入ってない画面)を作製した。得られた空セルに、IPS型液晶(メルク社製、MLC−6692)を注入した後、注入口を接着剤で塞いでIPS型液晶表示素子を作製し、更に、95℃で10分間熱処理した。
このようにして得られたIPS型液晶表示素子を偏光フィルムで挟み込み、顕微鏡で200倍に拡大した写真を撮り光抜けの状態(液晶の配向状態)を観察し、以下の基準で評価した。
◎:スペーサ周囲に液晶の異常配向発生がない。
○:スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生。
△:スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生。
×:スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生。
◎:スペーサ周囲に液晶の異常配向発生がない。
○:スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生。
△:スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生。
×:スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生。
(2)乾式散布性
得られた液晶表示素子用スペーサを、乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて面積450cm2 のガラス基板上に150個/mm2 の散布密度で散布し、ガラス基板上に液晶表示素子用スペーサを付着させた。その後、6.3mm2当たりに3個、4個及び5個以上のスペーサが凝集した塊の個数を調べた。
得られた液晶表示素子用スペーサを、乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて面積450cm2 のガラス基板上に150個/mm2 の散布密度で散布し、ガラス基板上に液晶表示素子用スペーサを付着させた。その後、6.3mm2当たりに3個、4個及び5個以上のスペーサが凝集した塊の個数を調べた。
(実施例4)
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート135g(50重量%)、イソボルニルメタクリレート80g(30重量%)、メチルメタクリレート55g(20重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート135g(50重量%)、イソボルニルメタクリレート80g(30重量%)、メチルメタクリレート55g(20重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
(比較例4)
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート243g(90重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート243g(90重量%)、メチルメタクリレート27g(10重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
(比較例5)
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート121.5g(45重量%)、メチルメタクリレート135g(50重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート121.5g(45重量%)、メチルメタクリレート135g(50重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
(比較例6)
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート67.5g(25重量%)、メチルメタクリレート189g(70重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
実施例3において、(メタ)アクリル酸エステルモノマー混合物270gには、ステアリルアクリレート13.5g(5重量%)、イソボルニルメタクリレート67.5g(25重量%)、メチルメタクリレート189g(70重量%)を加えたこと以外は実施例3と同様にして液晶表示素子用スペーサを得た。得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
(比較例7)
基材微粒子の作製を実施例3と同様にして行った。
基材微粒子表面の被覆層形成において、ジメチルホルムアミド40重量部、グリシジルメタクリレート10重量部、ステアリルメタクリレート10重量部及び得られた基材微粒子Bを3重量部加えて、ソニケーターにより充分分散させたのち、均一に撹拌を行った。窒素雰囲気下これに2Nの硝酸水溶液で調整した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液5重量部を添加し30℃にて8時間グラフト重合した。重合終了後反応液を取り出し、メンブランフィルターにて微球体と反応液とを濾別した。得られた微粒体をメタノールで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行った。得られた微粒体3重量部をトルエン30重量部に再度分散させ、塩化アルミニウム0.1重量部を加え、110℃に昇温した後、撹拌下でイソボルネオール3重量部の混合液を滴下し、このまま10時間反応させた。その後メンブランフィルターにて微球体と反応液とを濾別し、テトラヒドロフランで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
基材微粒子の作製を実施例3と同様にして行った。
基材微粒子表面の被覆層形成において、ジメチルホルムアミド40重量部、グリシジルメタクリレート10重量部、ステアリルメタクリレート10重量部及び得られた基材微粒子Bを3重量部加えて、ソニケーターにより充分分散させたのち、均一に撹拌を行った。窒素雰囲気下これに2Nの硝酸水溶液で調整した0.1モル/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液5重量部を添加し30℃にて8時間グラフト重合した。重合終了後反応液を取り出し、メンブランフィルターにて微球体と反応液とを濾別した。得られた微粒体をメタノールで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行った。得られた微粒体3重量部をトルエン30重量部に再度分散させ、塩化アルミニウム0.1重量部を加え、110℃に昇温した後、撹拌下でイソボルネオール3重量部の混合液を滴下し、このまま10時間反応させた。その後メンブランフィルターにて微球体と反応液とを濾別し、テトラヒドロフランで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行い、表面に重合処理されて重合体からなる被覆層が形成された微球体を得た。得られた微球体を液晶表示素子用スペーサとした。なお、基材微粒子表面の被覆層形成前後で粒子径の測定を行い、粒子径の変化から被覆層の厚さを求めた。
得られた液晶表示素子用スペーサを用いて、実施例3と同様にして、IPS型液晶表示素子を作製し、光抜けの状態及び乾式散布性を評価した。結果を表2に示した。
実施例3及び4で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかった。また、乾式散布性も良好であった。
一方、比較例4で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
また、比較例5で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生があった。
更に、比較例6で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生があった。
比較例7で得られた液晶表示素子用スペーサは、イソボルネオールがグラフトされた被覆層であり、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
一方、比較例4で得られた液晶表示素子用スペーサは、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
また、比較例5で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の一部に液晶の異常配向発生があった。
更に、比較例6で得られた液晶表示素子用スペーサは、乾式散布性は良好であったが、スペーサ周囲の全周に液晶の異常配向発生があった。
比較例7で得られた液晶表示素子用スペーサは、イソボルネオールがグラフトされた被覆層であり、スペーサ周囲のごく一部に液晶の異常配向発生があったものの、実用上は全く問題なかったが、乾式散布性において凝集塊が多数あった。
本発明によれば、乾式散布性が良好で、スペーサの周囲に光抜けがなく高品位な表示性能を有する液晶表示素子が得られる液晶表示素子用スペーサ、及びそれを用いた液晶表示素子を提供できる。
1 偏光シート
2 透明基板
3 絶縁膜
4 透明電極
5 配向膜
6 液晶
7 液晶表示素子用スペーサ
8 シール材
10 液晶表示素子
2 透明基板
3 絶縁膜
4 透明電極
5 配向膜
6 液晶
7 液晶表示素子用スペーサ
8 シール材
10 液晶表示素子
Claims (5)
- STN型液晶表示素子用であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用スペーサ。
- 基材微粒子は黒色着色剤を含有することを特徴とする請求項2記載の液晶表示素子用スペーサ。
- IPS型液晶表示素子用であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用スペーサ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子用スペーサを用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004282805A JP2005309365A (ja) | 2004-03-24 | 2004-09-28 | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004087271 | 2004-03-24 | ||
JP2004282805A JP2005309365A (ja) | 2004-03-24 | 2004-09-28 | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005309365A true JP2005309365A (ja) | 2005-11-04 |
Family
ID=35438174
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004282805A Pending JP2005309365A (ja) | 2004-03-24 | 2004-09-28 | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005309365A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007256309A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-10-04 | Hayakawa Rubber Co Ltd | 微粒子、液晶セルスペーサー及び液晶表示素子 |
CN104252066A (zh) * | 2013-06-28 | 2014-12-31 | 乐金显示有限公司 | 液晶聚合物组分、液晶显示装置及其制造方法 |
JP2018132740A (ja) * | 2017-02-17 | 2018-08-23 | 積水化学工業株式会社 | 粒子及び液晶表示素子 |
-
2004
- 2004-09-28 JP JP2004282805A patent/JP2005309365A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007256309A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-10-04 | Hayakawa Rubber Co Ltd | 微粒子、液晶セルスペーサー及び液晶表示素子 |
CN104252066A (zh) * | 2013-06-28 | 2014-12-31 | 乐金显示有限公司 | 液晶聚合物组分、液晶显示装置及其制造方法 |
EP2818534A1 (en) * | 2013-06-28 | 2014-12-31 | LG Display Co., Ltd. | Liquid crystal polymer composition, liquid crystal display and method for manufacturing the same |
US9507215B2 (en) | 2013-06-28 | 2016-11-29 | Lg Display Co., Ltd. | Liquid crystal polymer composition, liquid crystal display and method for manufacturing the same |
CN104252066B (zh) * | 2013-06-28 | 2017-05-03 | 乐金显示有限公司 | 液晶聚合物组分、液晶显示装置及其制造方法 |
US10228591B2 (en) | 2013-06-28 | 2019-03-12 | Lg Display Co., Ltd. | Liquid crystal polymer composition, liquid crystal display and method for manufacturing the same |
US10670927B2 (en) | 2013-06-28 | 2020-06-02 | Lg Display Co., Ltd. | Liquid crystal polymer composition, liquid crystal display and method for manufacturing the same |
JP2018132740A (ja) * | 2017-02-17 | 2018-08-23 | 積水化学工業株式会社 | 粒子及び液晶表示素子 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005004094A (ja) | 液晶表示装置の製造方法 | |
JP3333134B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及びそれを用いた液晶表示素子 | |
JP2005309365A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP5480780B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP2003295198A (ja) | 液晶表示装置の製造用スペーサ分散液 | |
JP5087187B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ、液晶表示素子用スペーサ分散液及び液晶表示素子 | |
JP3911144B2 (ja) | 液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法 | |
JP3947323B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP4052864B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及びそれを用いた液晶表示素子 | |
JP2003279999A (ja) | 液晶表示装置の製造方法 | |
JP2006251085A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP4041193B2 (ja) | 液晶表示板用着色スペーサーの製造方法 | |
JP2001147436A (ja) | 液晶表示素子用スペーサの製造方法、液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP3822991B2 (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及びその製造方法、並びに、液晶表示素子 | |
JP3779179B2 (ja) | 液晶表示装置用スペーサ | |
JPH10324706A (ja) | 液晶表示素子用スペーサの製造方法 | |
JP2004117564A (ja) | 液晶表示装置用スペーサ及び液晶表示装置 | |
JP2004280080A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP2005128339A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP2008058816A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP3192123B2 (ja) | 液晶表示板用スペーサーおよび液晶表示板 | |
JP2008083571A (ja) | 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 | |
JP4446997B2 (ja) | 液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法 | |
JP2008111985A (ja) | スペーサ粒子分散液及び液晶表示装置 | |
JP2008107562A (ja) | スペーサ粒子分散液及び液晶表示装置 |