JP2004117564A - 液晶表示装置用スペーサ及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶の配向異常を起こさず、しかも凝集性が大幅に改善され、高品位な表示性能を発現しうる液晶表示装置用スペーサ、及び、その液晶表示装置用スペーサを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置用スペーサとして、微粒子の表面に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有するグラフト重合層を有するものを使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】液晶表示装置用スペーサとして、微粒子の表面に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有するグラフト重合層を有するものを使用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用スペーサ、及びその液晶表示装置用スペーサを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に配向層を形成した透明電極基板をスペーサを介して所定の間隙に対向配置し、周辺をシール後、その間隙に液晶を注入し、注入口を封止して製造される。
【0003】
例えば、TN(ツイステッドネマティック)モードの液晶表示装置は、図1に示されるように、1対の基板8、10とこの基板8と10との間に封入されたネマティック液晶11と、基板8、10の周囲に充填されたシール部材1と、基板8、10の表面に被覆された偏光シート12、13とを構成材料とし、上記1対の基板8、10間のギャップを一定に保持するために、基板8、10間にはスペーサ9が配置されている。
【0004】
上記基板8、10は、ガラス透明基板2、5の片面にITO膜からなる透明電極3、6のパターンを形成し、この透明電極3、6及び透明基板2、5の表面にポリイミド膜等からなる配向制御膜4、7を被覆することにより得られる。上記配向制御膜4、7にはラビングによって配向制御処理が施される。
この液晶表示装置において、スペーサは2枚の基板の間隙を一定に保つために用いられるが、このスペーサは、液晶中において化学的に安定に、かつ、液晶の配向を乱すことなく存在すること等が要求される。
【0005】
しかしながら、上記スペーサを使用して作製された液晶表示装置は、電気的な若しくは物理的な衝撃等、又は、その他の事由により、スペーサの界面において、「光抜け」と呼ばれる液晶の配向異常が発生するという問題点があった。
このような異常配向が生じると、液晶表示装置のコントラストを低下させ、表示品位を著しく損なうことがある。
【0006】
従来、上記配向異常を防止する方法としては、スペーサ界面において、液晶分子に充分な垂直配向性を持たせる方法が知られている。
例えば、特許文献1には架橋重合体微粒子の表面に長鎖アルキル基を有するスペーサが提案されている。
しかしながら、長鎖アルキル基は柔軟な骨格の分子鎖となり、このような分子鎖をスペーサ表面に形成した場合、表面層のガラス転移温度(Tg)が低いため、粘着性を有するスペーサとなる。この場合、その粘着性のため凝集が生じやすく、単粒子状に均一に散布されることが困難となり、これに起因する表示ムラが発生する。更に凝集したスペーサを散布した場合、散布機のノズルや配管中で詰まりを生じるばかりでなく、液晶表示パネルに凝集物の潰れた跡が残り、液晶表示パネルの品質が大幅に損なわれるという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−11719号公報
【0008】
一方、特許文献2には、配向異常や凝集性を改善するために、長鎖アルキル基及びイソボニル基等の高いTgを有する置換基を有するスペーサが提案されている。しかしながら、この方法でも、凝集性の改善が十分とはいえなかった。
【0009】
【特許文献2】
特開2001−133788号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に鑑み、液晶の配向異常を起こさず、しかも凝集性が大幅に改善され、高品位な表示性能を発現しうる液晶表示装置用スペーサ、及び、その液晶表示装置用スペーサを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置用スペーサは、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを、微粒子の表面のグラフト重合層に含有することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶表示装置用スペーサは、微粒子の表面のグラフト層に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有する。
【0013】
本発明で用いられる微粒子は、無機材料又は有機材料のいずれを素材とするものであってもよい。無機材料としては、珪酸ガラス、ほう酸ガラス、鉛ガラス、ソーダ灰ガラス、アルミナ、アルミナシリケート等が挙げられる。
また、有機材料としては、エチレン系不飽和基を有する重合性単量体からなる重合体が好ましい。
【0014】
上記有機材料を素材とする微粒子(有機系微粒子)は、機械的強度を考慮すると、エチレン系不飽和基を有する重合性単量体のうち、少なくとも20重量%が2個以上のエチレン系不飽和基を有する重合性単量体であることが好ましい。
【0015】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0016】
上記2個以上のエチレン系不飽和基を有する重合性単量体に併用される重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体などが挙げられる。
【0017】
上記有機系微粒子は、懸濁重合、シード重合、ソープフリー重合、沈殿重合等、公知の重合法により得ることができる。
【0018】
本発明で用いられる微粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。また、微粒子は、無色であっても着色されていてもよい。
【0019】
本発明の液晶表示用スペーサは、微粒子の表面に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有するグラフト重合層を有する。
【0020】
上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する単量体としては、特に限定されず、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、既に上述の2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体と同一のものを使用することができ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する単量体と長鎖アルキル基を有する単量体には、本発明の液晶表示用スペーサの性能を阻害しない範囲で、その他の重合性単量体が併用されてもよい。
【0023】
上記その他の重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリル酸エステル;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記の各種重合性単量体を用いて、微粒子の表面にグラフト重合層を形成させる方法としては、特に限定されないが、微粒子表面にグラフト重合層を形成できるような官能基が存在することが好ましい。
【0025】
上記官能基として微粒子表面に還元性基が存在する場合は、酸化剤を反応させて微粒子表面にラジカルを発生させ、このラジカルを起点として上記の各種重合性単量体を重合させグラフト重合層を形成する方法が挙げられる。
上記還元性基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、アルデヒド基、メルカプト基等が挙げられる。
【0026】
上記酸化剤としては、例えば、セリウム塩、過硫酸塩、過酸化水素、ジメチルアニリン、過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩、アルキルホウ素等が挙げられる。なかでも、セリウム塩が好適である。
上記セリウム塩としては4価であれば特に限定されず、例えば、硫酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、ピロリン酸セリウムアンモニウム、ヨウ化セリウム等が挙げられる。
【0027】
表面に還元性基を有する上記微粒子を用いて微粒子表面にグラフト重合層を形成する方法としては、例えば、表面に還元性基を有する微粒子を溶媒中に分散させ、これに上記の各種重合性単量体及び上記セリウム塩を添加し重合反応を行う。このとき重合系の反応速度を速めるために硝酸等の酸や塩を添加して、pHを6以下に調整することができる。
【0028】
微粒子表面にグラフト重合層を形成させる別の方法として、例えば、微粒子表面の官能基と反応可能であって、かつ、重合性の二重結合を有する化合物を、微粒子表面の官能基と反応させて、表面に二重結合を導入した微粒子を得た後、この微粒子を各種重合性単量体の存在下で重合開始剤を作用させグラフト重合反応を行う方法が挙げられる。
【0029】
微粒子表面の官能基と重合性の二重結合を有する化合物の官能基との組み合わせは、特に限定されず、例えば、水酸基、アミノ基等の活性水素を有する官能基と、イソシアネート基、カルボン酸のハロゲン化物、アルコキシ基、エポキシ基等の官能基との組み合わせなどが挙げられる。
なお、本発明においてグラフト重合層の形成方法は、上述の方法に限定されるものではない。
【0030】
また、微粒子の表面に官能基がない場合であっても、あらかじめ微粒子の表面に活性水素を有する重合性単量体を共重合させ、この重合性単量体のグラフト重合層を形成し、その後、活性水素と反応する官能基を有し、かつ、上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する化合物や、2個以上のエチレン性の不飽和基を有する化合物を反応させて微粒子の表面に置換基を導入してもよい。
【0031】
上記活性水素を有する重合性単量体としては、上記エチレン性の不飽和基や長鎖アルキル基と反応活性を有する水素原子を有する単量体であれば、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸等のカルボキシル基を有する単量体;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリルアルコール等の水酸基を有する単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリルアミン等のアミノ基を有する単量体等が挙げられる。
【0032】
上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する重合性単量体の割合は、グラフト重合層を形成する全単量体のうち、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%である。5重量%未満では、液晶の異常配向を抑制することができず、95重量%を超えるとTgが低くなり過ぎ、微粒子表面が粘着性を帯び、微粒子同士が合着凝集し易くなる。
【0033】
また、上記2個以上のエチレン性の不飽和基を有する重合性単量体の割合は、グラフト重合層を形成する全単量体のうち、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%である。0.1重量%未満では、微粒子表面が粘着性を帯び、微粒子同士が合着凝集し易くなり、20重量%を超えると液晶の異常配向を抑制することができなくなる。
【0034】
上記グラフト重合層の厚みは、薄くなると異常配向を生じることがあり、厚くなると散布性、凝集性が低下するので、0.005〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.18μmである。
【0035】
本発明の液晶表示装置用スペーサの力学的強度は、10%K値が2450〜9800Nであることが好ましい。2450N未満では、粒子の強度が充分でないため、液晶表示装置を組む際にスペーサが破壊されて適切なギャップが出ないことがある。また、9800Nを超えると、表示装置に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常を発生することがある。
【0036】
なお、本発明において10%K値とは、特許文献3に記載された方法に準拠し、微小圧縮試験器(島津製作所社製、PCT−200)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、得られたスペーサ微粒子を圧縮硬度0. 27g/秒、最大試験過重10gで圧縮し、下記の式より求められた値をいう。
K=(29.4/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:微粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:微粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:微粒子の半径(mm)
【0037】
【特許文献3】
特開平6−503180号公報
【0038】
本発明の液晶表示装置は、配向膜及び透明電極が配置された2枚のガラス基板が上記液晶表示装置用スペーサを介して対向され、ガラス基板間に液晶が封入されてなる液晶表示装置であり、上記液晶表示装置用スペーサを用いて、常法により作製される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例中の液晶異常配向の評価、乾式散布性の評価及びグラフト重合層厚みの測定は次のように行った。
【0040】
(液晶異常配向の評価)
液晶の配位がそれぞれSTN型液晶表示装置、TN型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置の指標になるよう、以下の3種類のモードの簡易セルを作製して評価を行った。
【0041】
・STNモードセル
一対の透明ガラス板(150mm×150mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド中間体(東レ社製、LP−64)を形成し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った。
【0042】
次に、上記基板のうちの一枚の基板の配向膜側に、合成した微粒子をスペーサとして乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて、1mm2 当たり100〜200個になるよう散布した。他方の基板の周辺に周辺シール剤(主剤:SE4500、硬化剤:T、HAVEN CHEMICAL社製)を形成した後、ラビング方向(ツイスト角)が240°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、STN型液晶(メルク社製、S−811)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0043】
このようにして得られた液晶セルをノーマリブラック表示モードになるように2枚の偏光フィルムで挟み込み、5Vの電圧を印加しながら顕微鏡で200倍に拡大した写真をとり、光抜けの状態と、肉眼により表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0044】
・TNモードセル
STNセルと同様にして得たITO付きの一対の透明ガラス板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−7210)を配置し、同様に焼成した後ラビング処理を行った。次に、合成した微粒子をスペーサとしてSTNセルと同様にして散布し、ラビング方向が90°になるように対向配置させ、同様のシール剤を用いて両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、TN型液晶(メルク社製、MLC−6222)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0045】
このようにして得られた液晶セルをノーマリホワイト表示モードになるようクロスニコルに配置した偏光フィルムで挟み込み、7Vの電圧を印加しながら顕微鏡を用いてSTNセルと同様に光抜け及び表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0046】
・IPSモードセル
TNセルと同様にして得たポリイミド配向膜を形成させたITO膜なしの一対のガラス板に、ラビング処理を行い、合成した微粒子をスペーサとしてSTNセルと同様にして散布し、ラビング方向が180°になるように対向配置させ、同様のシール剤を用いて両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、カイラル剤を含んでいないIPS型液晶(チッソ社製、JC−5014)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0047】
このようにして得られた液晶セルをノーマリブラック表示モードになるようクロスニコルに配置した偏光フィルムで挟み込み、電圧印加せずに顕微鏡を用いてSTNセルと同様に光抜け及び表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0048】
(乾式散布性の評価)
得られたスペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2 当たり約5000個になるよう150mm×150mmのガラス板に散布し、元の粒子径の3倍以上の大きさの凝集塊数を顕微鏡で観察し計測した。
【0049】
(グラフト重合層の厚みの測定)
得られたスペーサを、コールターカウンタにより解析して粒子径を求め、同様にして求めたグラフト重合前の微粒子の粒子径との差異により算出した。
【0050】
・微粒子(1)〜(3)の調製
けん化度が88%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、GH−20)の3%水溶液800重量部に、表1に示した配合量のテトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリセロールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン40重量部及び過酸化ベンゾイル2重量部の混合液を加えてホモジナイザーにて撹拌して粒度調整を行った。
次いで、撹拌しながら窒素気流下にて80℃まで昇温し、15時間反応を行った後、熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄後分級操作を行い、微粒子(1)〜(3)を得た。
また、TOF−SIMSにて表面分析を行ったところ、微粒子(1)〜(3)のいずれの表面にもポリビニルアルコール由来のOH基が確認された。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例1〜10、比較例1,2)
表2、3に示した配合量の重合性単量体に、上記微粒子(1)、(2)又は(3)を3重量部加え、ソニケーターにより充分分散させた後均一に撹拌を行った。次いで、窒素雰囲気下で2Nの硝酸水溶液で調整した0.1mol/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液5重量部を添加し、30℃にて8時間グラフト重合を行った。重合終了後反応液を取り出し、3μmのメンブランフィルターにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をTHF及びメタノールで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行い、微粒子の表面にグラフト重合層を有する粒子を得た。得られた粒子について、上記項目の評価及び測定を行い、その結果を表2、3に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表中で使用した重合性単量体は、下記に示す通りである。
SMA:ステアリルメタクリレート(炭素数18)
LMA:ラウリルメタクリレート (炭素数12)
BMA:ブチルメタクリレート (炭素数4)
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
【0056】
尚、表中の記載は、以下の通りである。
◎:光抜け、表示ムラが全く発生なし
○:光抜け、表示ムラの発生が殆どないか、あってもごく僅か
△:光抜け、表示ムラが少し発生
×:大きく光抜け、表示ムラが発生
【0057】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置用スペーサは、STN型、TN型TFT、及びIPS型TFT液晶表示装置に適した、乾式散布性の優れた液晶表示装置用スペーサであり、液晶の異常配向を与えることがなく、スペーサ凝集に起因する表示ムラのない高品位な表示性能を保持する液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスペーサを用いたTN(ツイステッドネマティック)モードの液晶表示装置の概略図である。
【符号の説明】
1 シール部材
2、5 ガラス透明基板
3、6 透明電極
4、7 配向制御膜
8、10 基板
9 スペーサ
11 ネマティック液晶
12、13 偏光シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用スペーサ、及びその液晶表示装置用スペーサを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に配向層を形成した透明電極基板をスペーサを介して所定の間隙に対向配置し、周辺をシール後、その間隙に液晶を注入し、注入口を封止して製造される。
【0003】
例えば、TN(ツイステッドネマティック)モードの液晶表示装置は、図1に示されるように、1対の基板8、10とこの基板8と10との間に封入されたネマティック液晶11と、基板8、10の周囲に充填されたシール部材1と、基板8、10の表面に被覆された偏光シート12、13とを構成材料とし、上記1対の基板8、10間のギャップを一定に保持するために、基板8、10間にはスペーサ9が配置されている。
【0004】
上記基板8、10は、ガラス透明基板2、5の片面にITO膜からなる透明電極3、6のパターンを形成し、この透明電極3、6及び透明基板2、5の表面にポリイミド膜等からなる配向制御膜4、7を被覆することにより得られる。上記配向制御膜4、7にはラビングによって配向制御処理が施される。
この液晶表示装置において、スペーサは2枚の基板の間隙を一定に保つために用いられるが、このスペーサは、液晶中において化学的に安定に、かつ、液晶の配向を乱すことなく存在すること等が要求される。
【0005】
しかしながら、上記スペーサを使用して作製された液晶表示装置は、電気的な若しくは物理的な衝撃等、又は、その他の事由により、スペーサの界面において、「光抜け」と呼ばれる液晶の配向異常が発生するという問題点があった。
このような異常配向が生じると、液晶表示装置のコントラストを低下させ、表示品位を著しく損なうことがある。
【0006】
従来、上記配向異常を防止する方法としては、スペーサ界面において、液晶分子に充分な垂直配向性を持たせる方法が知られている。
例えば、特許文献1には架橋重合体微粒子の表面に長鎖アルキル基を有するスペーサが提案されている。
しかしながら、長鎖アルキル基は柔軟な骨格の分子鎖となり、このような分子鎖をスペーサ表面に形成した場合、表面層のガラス転移温度(Tg)が低いため、粘着性を有するスペーサとなる。この場合、その粘着性のため凝集が生じやすく、単粒子状に均一に散布されることが困難となり、これに起因する表示ムラが発生する。更に凝集したスペーサを散布した場合、散布機のノズルや配管中で詰まりを生じるばかりでなく、液晶表示パネルに凝集物の潰れた跡が残り、液晶表示パネルの品質が大幅に損なわれるという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−11719号公報
【0008】
一方、特許文献2には、配向異常や凝集性を改善するために、長鎖アルキル基及びイソボニル基等の高いTgを有する置換基を有するスペーサが提案されている。しかしながら、この方法でも、凝集性の改善が十分とはいえなかった。
【0009】
【特許文献2】
特開2001−133788号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記に鑑み、液晶の配向異常を起こさず、しかも凝集性が大幅に改善され、高品位な表示性能を発現しうる液晶表示装置用スペーサ、及び、その液晶表示装置用スペーサを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置用スペーサは、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを、微粒子の表面のグラフト重合層に含有することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶表示装置用スペーサは、微粒子の表面のグラフト層に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有する。
【0013】
本発明で用いられる微粒子は、無機材料又は有機材料のいずれを素材とするものであってもよい。無機材料としては、珪酸ガラス、ほう酸ガラス、鉛ガラス、ソーダ灰ガラス、アルミナ、アルミナシリケート等が挙げられる。
また、有機材料としては、エチレン系不飽和基を有する重合性単量体からなる重合体が好ましい。
【0014】
上記有機材料を素材とする微粒子(有機系微粒子)は、機械的強度を考慮すると、エチレン系不飽和基を有する重合性単量体のうち、少なくとも20重量%が2個以上のエチレン系不飽和基を有する重合性単量体であることが好ましい。
【0015】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0016】
上記2個以上のエチレン系不飽和基を有する重合性単量体に併用される重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体などが挙げられる。
【0017】
上記有機系微粒子は、懸濁重合、シード重合、ソープフリー重合、沈殿重合等、公知の重合法により得ることができる。
【0018】
本発明で用いられる微粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。また、微粒子は、無色であっても着色されていてもよい。
【0019】
本発明の液晶表示用スペーサは、微粒子の表面に、炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有するグラフト重合層を有する。
【0020】
上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する単量体としては、特に限定されず、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、既に上述の2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体と同一のものを使用することができ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
上記2個以上のエチレン性不飽和基を有する単量体と長鎖アルキル基を有する単量体には、本発明の液晶表示用スペーサの性能を阻害しない範囲で、その他の重合性単量体が併用されてもよい。
【0023】
上記その他の重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリル酸エステル;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有単量体;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記の各種重合性単量体を用いて、微粒子の表面にグラフト重合層を形成させる方法としては、特に限定されないが、微粒子表面にグラフト重合層を形成できるような官能基が存在することが好ましい。
【0025】
上記官能基として微粒子表面に還元性基が存在する場合は、酸化剤を反応させて微粒子表面にラジカルを発生させ、このラジカルを起点として上記の各種重合性単量体を重合させグラフト重合層を形成する方法が挙げられる。
上記還元性基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、アルデヒド基、メルカプト基等が挙げられる。
【0026】
上記酸化剤としては、例えば、セリウム塩、過硫酸塩、過酸化水素、ジメチルアニリン、過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩、アルキルホウ素等が挙げられる。なかでも、セリウム塩が好適である。
上記セリウム塩としては4価であれば特に限定されず、例えば、硫酸セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、ピロリン酸セリウムアンモニウム、ヨウ化セリウム等が挙げられる。
【0027】
表面に還元性基を有する上記微粒子を用いて微粒子表面にグラフト重合層を形成する方法としては、例えば、表面に還元性基を有する微粒子を溶媒中に分散させ、これに上記の各種重合性単量体及び上記セリウム塩を添加し重合反応を行う。このとき重合系の反応速度を速めるために硝酸等の酸や塩を添加して、pHを6以下に調整することができる。
【0028】
微粒子表面にグラフト重合層を形成させる別の方法として、例えば、微粒子表面の官能基と反応可能であって、かつ、重合性の二重結合を有する化合物を、微粒子表面の官能基と反応させて、表面に二重結合を導入した微粒子を得た後、この微粒子を各種重合性単量体の存在下で重合開始剤を作用させグラフト重合反応を行う方法が挙げられる。
【0029】
微粒子表面の官能基と重合性の二重結合を有する化合物の官能基との組み合わせは、特に限定されず、例えば、水酸基、アミノ基等の活性水素を有する官能基と、イソシアネート基、カルボン酸のハロゲン化物、アルコキシ基、エポキシ基等の官能基との組み合わせなどが挙げられる。
なお、本発明においてグラフト重合層の形成方法は、上述の方法に限定されるものではない。
【0030】
また、微粒子の表面に官能基がない場合であっても、あらかじめ微粒子の表面に活性水素を有する重合性単量体を共重合させ、この重合性単量体のグラフト重合層を形成し、その後、活性水素と反応する官能基を有し、かつ、上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する化合物や、2個以上のエチレン性の不飽和基を有する化合物を反応させて微粒子の表面に置換基を導入してもよい。
【0031】
上記活性水素を有する重合性単量体としては、上記エチレン性の不飽和基や長鎖アルキル基と反応活性を有する水素原子を有する単量体であれば、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸等のカルボキシル基を有する単量体;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリルアルコール等の水酸基を有する単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリルアミン等のアミノ基を有する単量体等が挙げられる。
【0032】
上記炭素数10〜22の長鎖アルキル基を有する重合性単量体の割合は、グラフト重合層を形成する全単量体のうち、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%である。5重量%未満では、液晶の異常配向を抑制することができず、95重量%を超えるとTgが低くなり過ぎ、微粒子表面が粘着性を帯び、微粒子同士が合着凝集し易くなる。
【0033】
また、上記2個以上のエチレン性の不飽和基を有する重合性単量体の割合は、グラフト重合層を形成する全単量体のうち、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%である。0.1重量%未満では、微粒子表面が粘着性を帯び、微粒子同士が合着凝集し易くなり、20重量%を超えると液晶の異常配向を抑制することができなくなる。
【0034】
上記グラフト重合層の厚みは、薄くなると異常配向を生じることがあり、厚くなると散布性、凝集性が低下するので、0.005〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.18μmである。
【0035】
本発明の液晶表示装置用スペーサの力学的強度は、10%K値が2450〜9800Nであることが好ましい。2450N未満では、粒子の強度が充分でないため、液晶表示装置を組む際にスペーサが破壊されて適切なギャップが出ないことがある。また、9800Nを超えると、表示装置に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常を発生することがある。
【0036】
なお、本発明において10%K値とは、特許文献3に記載された方法に準拠し、微小圧縮試験器(島津製作所社製、PCT−200)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、得られたスペーサ微粒子を圧縮硬度0. 27g/秒、最大試験過重10gで圧縮し、下記の式より求められた値をいう。
K=(29.4/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:微粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:微粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:微粒子の半径(mm)
【0037】
【特許文献3】
特開平6−503180号公報
【0038】
本発明の液晶表示装置は、配向膜及び透明電極が配置された2枚のガラス基板が上記液晶表示装置用スペーサを介して対向され、ガラス基板間に液晶が封入されてなる液晶表示装置であり、上記液晶表示装置用スペーサを用いて、常法により作製される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例中の液晶異常配向の評価、乾式散布性の評価及びグラフト重合層厚みの測定は次のように行った。
【0040】
(液晶異常配向の評価)
液晶の配位がそれぞれSTN型液晶表示装置、TN型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置の指標になるよう、以下の3種類のモードの簡易セルを作製して評価を行った。
【0041】
・STNモードセル
一対の透明ガラス板(150mm×150mm)の一面に、CVD法によりSiO2 膜を蒸着した後、SiO2 膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成して得たITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド中間体(東レ社製、LP−64)を形成し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。このガラス板にラビング処理を行った。
【0042】
次に、上記基板のうちの一枚の基板の配向膜側に、合成した微粒子をスペーサとして乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて、1mm2 当たり100〜200個になるよう散布した。他方の基板の周辺に周辺シール剤(主剤:SE4500、硬化剤:T、HAVEN CHEMICAL社製)を形成した後、ラビング方向(ツイスト角)が240°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、STN型液晶(メルク社製、S−811)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0043】
このようにして得られた液晶セルをノーマリブラック表示モードになるように2枚の偏光フィルムで挟み込み、5Vの電圧を印加しながら顕微鏡で200倍に拡大した写真をとり、光抜けの状態と、肉眼により表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0044】
・TNモードセル
STNセルと同様にして得たITO付きの一対の透明ガラス板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜(日産化学社製、SE−7210)を配置し、同様に焼成した後ラビング処理を行った。次に、合成した微粒子をスペーサとしてSTNセルと同様にして散布し、ラビング方向が90°になるように対向配置させ、同様のシール剤を用いて両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、TN型液晶(メルク社製、MLC−6222)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0045】
このようにして得られた液晶セルをノーマリホワイト表示モードになるようクロスニコルに配置した偏光フィルムで挟み込み、7Vの電圧を印加しながら顕微鏡を用いてSTNセルと同様に光抜け及び表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0046】
・IPSモードセル
TNセルと同様にして得たポリイミド配向膜を形成させたITO膜なしの一対のガラス板に、ラビング処理を行い、合成した微粒子をスペーサとしてSTNセルと同様にして散布し、ラビング方向が180°になるように対向配置させ、同様のシール剤を用いて両者を貼り合わせた。この後、160℃で90分間処理してシール材を硬化させ、空セルを作製した。得られた空セルに、カイラル剤を含んでいないIPS型液晶(チッソ社製、JC−5014)を注入した後、注入口を接着剤で塞いで液晶セルを作製し、更に、120℃で30分間熱処理した。
【0047】
このようにして得られた液晶セルをノーマリブラック表示モードになるようクロスニコルに配置した偏光フィルムで挟み込み、電圧印加せずに顕微鏡を用いてSTNセルと同様に光抜け及び表示ムラを観察した。
続いて、この液晶セルの端部を頭部がゴム製の槌で100回強く叩き、光抜けの状態と表示ムラが増大するかどうかを同様にして観察した。
【0048】
(乾式散布性の評価)
得られたスペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm2 当たり約5000個になるよう150mm×150mmのガラス板に散布し、元の粒子径の3倍以上の大きさの凝集塊数を顕微鏡で観察し計測した。
【0049】
(グラフト重合層の厚みの測定)
得られたスペーサを、コールターカウンタにより解析して粒子径を求め、同様にして求めたグラフト重合前の微粒子の粒子径との差異により算出した。
【0050】
・微粒子(1)〜(3)の調製
けん化度が88%のポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、GH−20)の3%水溶液800重量部に、表1に示した配合量のテトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリセロールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン40重量部及び過酸化ベンゾイル2重量部の混合液を加えてホモジナイザーにて撹拌して粒度調整を行った。
次いで、撹拌しながら窒素気流下にて80℃まで昇温し、15時間反応を行った後、熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄後分級操作を行い、微粒子(1)〜(3)を得た。
また、TOF−SIMSにて表面分析を行ったところ、微粒子(1)〜(3)のいずれの表面にもポリビニルアルコール由来のOH基が確認された。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例1〜10、比較例1,2)
表2、3に示した配合量の重合性単量体に、上記微粒子(1)、(2)又は(3)を3重量部加え、ソニケーターにより充分分散させた後均一に撹拌を行った。次いで、窒素雰囲気下で2Nの硝酸水溶液で調整した0.1mol/Lの硝酸第二セリウムアンモニウム溶液5重量部を添加し、30℃にて8時間グラフト重合を行った。重合終了後反応液を取り出し、3μmのメンブランフィルターにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をTHF及びメタノールで充分洗浄した後、真空乾燥機で室温にて減圧乾燥を行い、微粒子の表面にグラフト重合層を有する粒子を得た。得られた粒子について、上記項目の評価及び測定を行い、その結果を表2、3に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表中で使用した重合性単量体は、下記に示す通りである。
SMA:ステアリルメタクリレート(炭素数18)
LMA:ラウリルメタクリレート (炭素数12)
BMA:ブチルメタクリレート (炭素数4)
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
【0056】
尚、表中の記載は、以下の通りである。
◎:光抜け、表示ムラが全く発生なし
○:光抜け、表示ムラの発生が殆どないか、あってもごく僅か
△:光抜け、表示ムラが少し発生
×:大きく光抜け、表示ムラが発生
【0057】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置用スペーサは、STN型、TN型TFT、及びIPS型TFT液晶表示装置に適した、乾式散布性の優れた液晶表示装置用スペーサであり、液晶の異常配向を与えることがなく、スペーサ凝集に起因する表示ムラのない高品位な表示性能を保持する液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスペーサを用いたTN(ツイステッドネマティック)モードの液晶表示装置の概略図である。
【符号の説明】
1 シール部材
2、5 ガラス透明基板
3、6 透明電極
4、7 配向制御膜
8、10 基板
9 スペーサ
11 ネマティック液晶
12、13 偏光シート
Claims (3)
- 炭素数10〜22の長鎖アルキル基と2個以上のエチレン性不飽和基とを、微粒子の表面のグラフト重合層に含有することを特徴とする液晶表示装置用スペーサ。
- 微粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得られる重合体微粒子であって、前記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体は、少なくとも20重量%が、2個以上のエチレン性不飽和基を有する重合性単量体であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用スペーサ。
- 請求項1又は2記載の液晶表示装置用スペーサが用いられてなることを特徴とする液晶表示装置。
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WO2010013668A1 (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-04 | 積水化学工業株式会社 | 重合体粒子、導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 |
JP2010078786A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Sekisui Chem Co Ltd | スペーサ粒子の製造方法、スペーサ粒子分散液、及び、液晶表示装置 |
-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002277846A patent/JP2004117564A/ja not_active Withdrawn
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WO2010013668A1 (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-04 | 積水化学工業株式会社 | 重合体粒子、導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 |
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