JP2010078786A - スペーサ粒子の製造方法、スペーサ粒子分散液、及び、液晶表示装置 - Google Patents

スペーサ粒子の製造方法、スペーサ粒子分散液、及び、液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子の製造方法を提供する。また、該スペーサ粒子の製造方法により製造されるスペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液、及び、該スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】スペーサ粒子分散液に用いるスペーサ粒子の製造方法であって、表面に還元性基を有する微粒子に酸化剤を反応させて前記微粒子の表面にラジカルを発生させ、発生したラジカルに水酸基を有する重合性単量体を反応させて、前記微粒子の表面に0.01〜1μmの厚さのグラフト重合層を形成させる第一工程と、前記グラフト重合層に酸化剤を反応させて前記グラフト重合層にラジカルを発生させ、発生したラジカルに多官能の(メタ)アクリレートを反応させる第二工程とを有するスペーサ粒子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子の製造方法に関する。また、本発明は、該スペーサ粒子の製造方法により製造されるスペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液、及び、該スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。この液晶表示装置は、一般に、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、線状透明電極、及び、配向膜等が形成された2枚の基板に液晶を挟持させてなる構造を有する。ここで、2枚の基板の間隔を規制し、適正な液晶層の厚さを維持しているのがスペーサ粒子である。
従来の液晶表示装置の製造方法において、スペーサ粒子を配置する方法は、イソプロパノール等の溶剤を用いてスペーサ粒子を基板上に散布する湿式散布法や、溶剤を使用せずに空気の圧力を利用してスペーサ粒子を基板上に散布する乾式散布法等が用いられていた。
しかしながら、このような方法では、画素電極が形成された基板上にスペーサ粒子がランダムかつ均一に散布するため、画素電極上、すなわち、液晶表示装置の表示部(画素領域)にスペーサ粒子が配置されやすかった。
一般的なスペーサ粒子は、合成樹脂やガラス等からなるため、スペーサ粒子が画素電極上に配置されると、偏光が乱されて偏光性を失うという現象、いわゆる消偏現象が生じて、スペーサ粒子部分が光漏れを起こすという問題が発生することがあった。また、スペーサ粒子表面において液晶の配向が乱れることにより、光抜けが起こりコントラストや色調が低下して表示品質が悪化するという問題が発生することがあった。
更に、TFT液晶表示装置においては、基板上にTFT素子が配置されているが、このTFT素子上にスペーサ粒子が配置されたときに、基板に圧力が加わると、素子が破損することがあった。
スペーサ粒子のランダム散布に伴う問題点を解決するために、スペーサ粒子を非画素領域に配置する種々の試みがなされている。
スペーサ粒子を非画素領域、すなわち特定の位置のみに配置する方法として、例えば、特許文献1には、スペーサ粒子を配置させる部分にマスクの開口部を合致させた後、マスクを通してスペーサ粒子を散布する方法が開示されている。また、例えば、特許文献2には、感光体に静電的にスペーサ粒子を吸着させた後、透明基板にスペーサ粒子を転写する方法が開示されている。更に、特許文献3には、基板上の画素電極に電圧を印加し、帯電させたスペーサ粒子を散布することで、静電的斥力によってスペーサ粒子を特定の位置に配置する液晶表示装置の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法では、基板表面にマスクや感光体を直接接触させるために、基板表面に形成されている配向膜が損傷することがあり、液晶表示装置の画質が低下することがあった。一方、特許文献3に記載の方法では、スペーサ粒子の配置パターンに従って電極を構成する必要があるため、任意の位置にスペーサ粒子を配置することが困難であった。
他方、特許文献4には、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を基板上に配置する方法が示されている。この方法では、基板上にマスクや感光体を直接接触させることがないため、基板表面に形成されている配向膜が損傷することなく、特定の位置に特定のパターンでスペーサ粒子を配置できるので有効な方法であるといえる。
インクジェット装置を用いてスペーサ粒子を基板上に配置する方法では、スペーサ粒子と該スペーサ粒子を分散させる分散溶剤とを含有するスペーサ粒子分散液をインクジェット装置内に充填し、ノズルからスペーサ粒子分散液の液滴を基板に向けて吐出している。しかしながら、実際にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液の吐出を行うと、スペーサ粒子の吐出不良等を起こすという問題があった。そして、スペーサ粒子の吐出不良等を解決する手段として、スペーサ粒子に表面処理を施す方法もあるが、単なる表面処理だけでは、スペーサ溶液中の分散性や一時的に吐出できても安定的に吐出性を維持することは困難であった。
特開平4−198919号公報 特開平6−258647号公報 特開平10−339878号公報 特開昭57−58124号公報
本発明は、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該スペーサ粒子の製造方法により製造されるスペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液、及び、該スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置を提供することを目的とする。
スペーサ粒子分散液に用いるスペーサ粒子の製造方法であって、表面に還元性基を有する微粒子に酸化剤を反応させて上記微粒子の表面にラジカルを発生させ、発生したラジカルに水酸基を有する重合性単量体を反応させて、上記微粒子の表面に0.01〜1μmの厚さのグラフト重合層を形成させる第一工程と、上記グラフト重合層に酸化剤を反応させて上記グラフト重合層にラジカルを発生させ、発生したラジカルに多官能の(メタ)アクリレートを反応させる第二工程とを有するスペーサ粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、スペーサ粒子に表面処理を施す方法(自己分散処理)として微粒子の表面にグラフト重合層を形成させるだけでなく、形成させたグラフト重合層に多官能の(メタ)アクリレートを反応させて架橋させることにより、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子分散液を得ることができるということを見出し、本発明を完成させるに至った。ここで自己分散処理とは分散溶剤に対する分散性だけでなく吐出性等の向上を図る方法を示す。
本発明のスペーサ粒子の製造方法は、表面に還元性基を有する微粒子に酸化剤を反応させて上記微粒子の表面にラジカルを発生させ、発生したラジカルに水酸基を有する重合性単量体を反応させて、上記微粒子の表面に0.01〜1μmの厚さのグラフト重合層を形成させる第一工程を有する。上記第一工程で得られる、表面にグラフト重合層を有する微粒子の表面を示す模式図を図1(a)に示した。
上記還元性基は特に限定されず、例えば、水酸基、チオール基、アルデヒド基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられる。
上記表面に還元性基を有する微粒子は上記還元性基を有する材料からなる微粒子であってもよいし、表面に上記還元性基を導入した微粒子であってもよい。
上記還元性基を微粒子の表面に導入する方法としては特に限定されず、例えば、特開平11−166023号公報に記載されている、重合法による方法、ポリビニルアルコール等の高分子保護剤を用いる方法、界面活性剤を用いる方法等が挙げられる。
上記表面に還元性基を有する微粒子は、表面に上記還元性基を有していれば、無機系微粒子であってもよいし、有機系微粒子であってもよい。
上記無機系微粒子は特に限定されず、例えば、シリカ微粒子等が挙げられる。
上記有機系微粒子は特に限定されないが、強度等を適切な範囲に調整することができることから、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好適である。
上記単官能単量体は特に限定されず、例えば、スチレン誘導体、ビニルエステル類、不飽和ニトリル類、(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。
上記スチレン誘導体は特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルエステル類は特に限定されず、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記不飽和ニトリル類は特に限定されず、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル誘導体は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら単官能単量体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能単量体は特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら多官能単量体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能単量体又は多官能単量体は、親水性官能基を有する重合性単量体であってもよい。上記親水性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基等が挙げられる。
上記親水性官能基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、水酸基を有する単量体、アクリル酸、アクリル酸のα−又はβ−アルキル誘導体、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体、スルホニル基を有する単量体、ホスフォニル基を有する単量体、アミノ基を有する化合物、水酸基とエーテル基とをともに有する単量体、エーテル基を有する単量体、アミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記水酸基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。
上記アクリル酸としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸としては特に限定されず、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
上記スルホニル基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
上記ホスフォニル基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アミノ基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等が挙げられる。
上記水酸基とエーテル基とをともに有する単量体としては特に限定されず、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エーテル基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミド基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記有機系微粒子を製造する方法は特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒径や粒径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合法、分散重合法は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒径の粒子を大量に製造する際に好適である。
上記懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等において用いられる重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。
また、上記有機系微粒子は、ミクロパール(積水化学工業社製)等も好適に用いられる。
上記酸化剤は特に限定されず、例えば、硝酸第2セリウムアンモニウム、硫酸第2セリウムアンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
上記酸化剤の配合量は特に限定されないが、上記表面に還元性基を有する微粒子100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記酸化剤の配合量0.1重量部未満であると、上記微粒子の表面にグラフト重合層を形成する起点となるラジカルが充分に発生せず、グラフト率が低下することがある。上記酸化剤の配合量が20重量部を超えると、上記微粒子の表面の反応のみならず溶液中の重合性単量体が多く消費され、異なる微粒子の形成やグラフト率の低下につながることがある。
上記水酸基を有する重合性単量体は特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。
上記水酸基を有する重合性単量体の配合量は特に限定されないが、上記表面に還元性基を有する微粒子10重量部に対して好ましい下限は5重量部、好ましい上限は1000重量部である。上記水酸基を有する重合性単量体の配合量が5重量部未満であると、上記微粒子の表面に充分な厚さのグラフト重合層を形成させることができないことがある。上記水酸基を有する重合性単量体の配合量が1000重量部を超えると、上記微粒子の表面以外で重合が進行し、グラフト重合層の形成が困難となることがある。
上記表面に還元性基を有する微粒子の表面に上記酸化剤と上記水酸基を有する重合性単量体を反応させてグラフト重合層を形成させる方法は特に限定されず、例えば、水酸基を有する重合性単量体を含有する重合系に上記表面に還元性基を有する微粒子を分散させ、上記重合系に、上記酸化剤を添加する方法等が挙げられる。
上記微粒子の表面に形成させるグラフト重合層の厚さの下限は0.01μm、上限は1μmである。上記グラフト重合層の厚さが0.01μm未満であると、本発明の製造方法によって製造されるスペーサ粒子を用いた表示装置において、振動や衝撃により前記スペーサ粒子が移動しやすくなり、表示性能が低下する。上記グラフト重合層の厚さが1μmを超えると、本発明の製造法によって製造されるスペーサ粒子の分散液中での分散性が充分に得られない。上記グラフト重合層の厚さの好ましい下限は0.02μm、好ましい上限は0.5μmである。
本発明のスペーサ粒子の製造方法は、上記グラフト重合層に酸化剤を反応させて上記グラフト重合層にラジカルを発生させ、発生したラジカルに多官能の(メタ)アクリレートを反応させる第二工程を有する。上記第二工程で得られる、グラフト重合層が架橋されたスペーサ粒子の表面を示す模式図を図1(b)に示した。
上記酸化剤は特に限定されず、上記第一工程において用いた酸化剤と同様の酸化剤を同様に用いることができる。
上記多官能の(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、ポリオール骨格、アルキル基等を有する多官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリオール骨格は特に限定されず、例えば、(ポリ)エチレングリコール(EG)、(ポリ)プロピレングリコール(PG)、(ポリ)ブチレングリコール(BG)、トリメチロール、グリセロール、ペンタエリスリトール等からなるポリオール骨格が挙げられる。なかでも、上記ポリオール骨格はグリコール骨格であることが好ましい。上記多官能の(メタ)アクリレートは、1種類の上記ポリオール骨格を単独で有していてもよく、2種類以上の上記ポリオール骨格を複数有していてもよい。
上記ポリオール骨格の繰り返し単位数は特に限定されないが、好ましい上限は20である。上記ポリオール骨格の繰り返し単位数が20を超えると、架橋点間距離が長く表面層の架橋効果が得られないことがある。上記ポリオール骨格の繰り返し単位数のより好ましい上限は10である。
上記ポリオール骨格を有する多官能の(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アルキル基は特に限定されず、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。なかでも、炭素数10以下のアルキル基が好適であり、炭素数6以下のアルキル基がより好適である。
上記アルキル基を有する多官能の(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、エタンジ(メタ)アクリレート、プロパンジ(メタ)アクリレート、ブタンジ(メタ)アクリレート、ペンタンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記多官能の(メタ)アクリレートの配合量は特に限定されないが、上記グラフト重合層を有する微粒子100重量部に対して好ましい下限は5重量部、好ましい上限は300重量部である。上記多官能の(メタ)アクリレートの配合量が5重量部未満であると、上記多官能重合性単量体による効果が得られないことがある。上記多官能の(メタ)アクリレートの配合量が300重量部を超えると、上記製造法により得られたスペーサ粒子の分散液中での分散性が充分に得られないことがある。
本発明の製造方法によって製造されるスペーサ粒子の粒径は、液晶表示素子の種類により適宜選択すればよいが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。上記粒径が1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示素子のスペーサ粒子として充分機能しないことがある。上記粒径が20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の遮光領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示素子の小型化等の要請に充分に応えられなくなる。
上記スペーサ粒子は、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)の好ましい下限が2000MPa、好ましい上限が15000MPaである。上記10%K値が2000MPa未満であると、液晶表示素子を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが得られないことがある。上記10%K値が15000MPaを超えると、液晶表示素子に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常が発生することがある。
なお、上記10%K値は、例えば、微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、粒子を10%歪ませるための加重から求めることができる。
上記スペーサ粒子は、後述するスペーサ粒子分散液中において単粒子状に分散されていることが好ましい。分散液中に凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合がある。
上記スペーサ粒子の濃度は特に限定されないが、好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が8重量%である。0.01重量%未満であると、吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まない確率が高くなり、8重量%を超えると、インクジェット装置のノズルが閉塞してしまったり、着弾した液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて乾燥過程でスペーサ粒子の移動(集中)が起こりにくくなったりすることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は6重量%である。
上記スペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液もまた、本発明の1つである。
上記スペーサ粒子分散液は上記スペーサ粒子と溶剤を含有する。
上記溶剤は特に限定されないが、インクジェット装置のノズルから吐出される温度において液体である各種溶剤であることが好ましい。なかでも、水溶性又は親水性の溶剤が好ましい。上記スペーサ粒子分散液の溶剤として疎水性の強い溶剤を用いると、ノズルを構成する部材を溶剤が侵したり、部材を接着している接着剤の一部が溶剤に溶解したりすることがある。
上記スペーサ粒子分散液は、沸点が150℃以上の溶剤を含むことが好ましく、更に、沸点が150℃以上、かつ、表面張力が30mN/m以上である溶剤を含むことがより好ましい。沸点が150℃以上、かつ、表面張力が30mN/m以上である溶剤を含むことにより、後述する後退接触角(θr)を大きくすることができる。
また、沸点が150℃以上、かつ、表面張力が30mN/m以上である溶剤を含むと、基板にスペーサ粒子分散液を吐出し着弾させたときの液滴径が小さくなるため、液滴の拡がりが生じ難い。更に、液滴の着弾中心に向かってスペーサ粒子が移動し易くなる。よって、基板にスペーサ粒子を高精度に配置することができる。
上記沸点が150℃以上の溶剤は特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び、ネオペンチルグリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましく、そのなかでもエチレングリコールが最も好ましい。
上記スペーサ粒子分散液を乾燥させる際には、沸点が低い溶剤が先に揮発する。沸点が低い溶剤が先に揮発することにより、残存しているスペーサ粒子分散液における沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶剤の比率が高くなる。沸点が150℃以上で表面張力が30mN/m以上の溶剤の比率が高くなると、残存しているスペーサ粒子分散液の表面張力がより一層高くなり、スペーサ粒子が着弾地点中心に向かって移動し易くなる。
上記スペーサ粒子分散液の表面張力を調整するため、具体的には高くしすぎないために(例えば50mN/m以下とするために)、スペーサ粒子分散液の溶剤は、沸点が150℃未満の溶剤を更に含むことがより好ましい。沸点が70℃以上、100℃未満の溶剤を含むことが更に好ましい。
具体的には、上記溶剤は、沸点が150℃未満の溶剤と、水と、沸点が150℃以上の溶剤とを含有し、上記沸点が150℃以上の溶剤の含有量が30〜96重量%であり、かつ、上記水及び上記沸点が150℃未満の溶剤の含有量の合計が4〜70重量%であることが好ましい。
上記沸点が150℃未満の溶剤は特に限定されないが、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の低級モノアルコール類、及び、アセトンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記沸点が150℃未満の溶剤は、上記スペーサ粒子分散液を基板上に吐出した後、乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する。特に、上記スペーサ粒子分散液においては、配向膜に溶剤が高温で接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示品質を損なうため、乾燥温度をあまり高くすることができない。従って、上記沸点が150℃未満の溶剤を用いることが好ましい。但し、上記沸点が150℃未満の溶剤が室温で揮散しやすいと、上記スペーサ粒子分散液の製造時や貯蔵時に凝集粒子が発生しやすくなったり、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくなって、インクジェット吐出性が損なわれたりするので、室温で揮散しやすい溶剤は好ましくない。
基板に吐出された上記スペーサ粒子分散液を乾燥させる温度が高温であると、配向膜が損傷し、液晶表示装置の表示画質が劣化することがあるが、上記沸点が150℃未満の溶剤を使用することにより、乾燥温度を低くでき、配向膜の損傷を防ぐことができる。
上記沸点が150℃未満の溶剤は、20℃における表面張力が28mN/m未満であることが好ましく、25mN/m以下であることがより好ましい。溶剤の表面張力が28mN/m以上であると、上記スペーサ粒子分散液の表面張力が高くなり、インクジェット装置のノズルの接液部分の表面張力によっては、吐出性が悪くなることがある。
上記スペーサ粒子分散液が、沸点が150℃未満、かつ、表面張力が28mN/m未満である溶剤を含むことにより、後述するインクジェット装置にスペーサ粒子分散液を導入し易くなり、吐出する際には吐出性が向上する。
上記スペーサ粒子分散液には、媒体として沸点が200℃以上、かつ、20℃における表面張力が42mN/m以上である溶剤Xを含有させることもできる。なお、本明細書において、「沸点」とは、1気圧下における沸点を言うものとする。上記溶剤Xを含有させると、更に、種々の基板で、後退接触角(θr)を大きくすることができる。
上記溶剤Xは、上述した沸点及び表面張力を有するものであれば特に限定されず、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、ニトロベンゼン等が挙げられる。なかでも、乾燥時に短時間で効果的にスペーサ粒子を寄せ集めることができるため、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びグリセリンが好ましく用いられる。乾燥時に短時間でより一層効果的にスペーサ粒子を寄せ集めることができるため、グリセリンがより好ましく用いられる。溶剤Xとして、上述した溶剤が単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
溶剤Xの含有量は特に限定されないが、好ましい範囲は上記溶剤中0.1〜50重量%、より好ましい範囲は1〜30重量%、更に好ましい範囲は1〜10重量%である。
上記スペーサ粒子分散液を乾燥させる際には、沸点が低い溶剤が先に揮発する。沸点が低い溶剤が先に揮発することにより、残存しているスペーサ粒子分散液における溶剤Xの比率が高くなる。溶剤Xの比率が高くなると、残存しているスペーサ粒子分散液の表面張力がより一層高くなり、スペーサ粒子が着弾地点中心に向かって移動し易くなる。
上述した溶剤以外で使用可能な溶剤は以下のものが挙げられる。水溶性又は親水性の溶剤は、水の他、モノアルコール類、エチレングリコールの多量体、プロピレングリコールの多量体、低級モノアルキルエーテル類、低級ジアルキルエーテル類、グリコール類のモノアセテート、アルキルエステル類、ジオール類、ジオール類のエーテル誘導体、ジオール類のアセテート誘導体、多価アルコール類、多価アルコール類のエーテル誘導体、アセテート誘導体、エステル類、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。
上記モノアルコール類は特に限定されず、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
上記エチレングリコールの多量体は特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられる。
上記プロピレングリコールの多量体は特に限定されず、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
上記低級モノアルキルエーテル類は特に限定されず、例えば、グリコール(上記エチレングリコールやプロピレングリコールを指す)類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等が挙げられる。
上記低級ジアルキルエーテル類は特に限定されず、例えば、グリコール類のジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等が挙げられる。
上記アルキルエステル類は特に限定されず、例えば、ジアセテート等が挙げられる。
上記ジオール類は特に限定されず、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
上記多価アルコール類は特に限定されず、例えば、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
上記エステル類は特に限定されず、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
上記スペーサ粒子分散液は、本発明の目的を阻害しない範囲において、スペーサ粒子の分散性を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤等を含有してもよい。
上記スペーサ粒子分散液は、pHの下限が7であることが好ましい。pHが7未満であると、SUS性フィルタへのスペーサ粒子付着を阻害する効果が不充分となり、フィルタに目詰まりを生じることがある。pHのより好ましい下限は8である。
上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子を除く不揮発成分の含有量が少ないこと、具体的には1μmよりも小さい粒径を有する不揮発成分の含有割合が上記スペーサ粒子分散液全体に対して、0.001重量%未満であることが好ましい。1μmよりも小さい粒径を有する不揮発成分の含有割合が0.001重量%を超えると、液晶や配向膜が汚染されて、液晶表示装置のコントラスト等の表示品質が劣ることがある。
上記不揮発成分には、例えば、大気中のゴミ、スペーサ粒子を分散させるのに用いた溶剤中に含まれていた不純物、スペーサ粒子の粉砕物、金属イオン等のイオン性化合物等が含まれ、スペーサ粒子分散液中における保形性を有さない固形分や非球形の微粒子を含むものとする。
上記スペーサ粒子分散液中の不揮発成分を少なくする方法は、例えば、まずスペーサ粒子の粒径よりも大きい濾過径を有するフィルタで上記スペーサ粒子分散液を濾過して大きなゴミを除いた後、上記スペーサ粒子分散液を遠心してスペーサ粒子を沈殿させた後、上澄み液を捨てて、更に濾取したスペーサ粒子を1μmの濾過径を有するフィルタで濾過した溶剤を加えてスペーサ粒子を分散させる方法や、スペーサ粒子の粒径よりも小さい濾過径を有するフィルタでスペーサ粒子を濾取し、濾取したスペーサ粒子を1μmの濾過径を有するフィルタで濾過した溶剤に分散させる方法や、層状珪酸塩等のイオン吸着性固体を用いる方法等が挙げられる。これらの方法は、繰り返して行われてもよい。
上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の比重と、スペーサ粒子を除く液状部分の比重との差が0.5以下であることが好ましい。スペーサ粒子の比重と、スペーサ粒子を除く液状部分の比重との差が0.5を超えると、上記スペーサ粒子分散液を保存中にスペーサ粒子が沈降してしまい、吐出した上記スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の数が不均一になることがある。
上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の表面の溶解度パラメータ値と、スペーサ粒子を除く液状部分の溶解度パラメータ値との差が5.0以下であることが好ましい。スペーサ粒子の表面の溶解度パラメータ値と、スペーサ粒子を除く液状部分の溶解度パラメータ値との差が5.0を超えると、上記スペーサ粒子分散液中におけるスペーサ粒子の分散性が劣り、吐出した上記スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の数が不均一になることがある。
上記スペーサ粒子分散液は、表面張力が25〜50mN/mであることが好ましい。表面張力がこの範囲外であるとインクジェット装置で安定的に吐出することが難しくなることがある。
また、上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液の表面張力の値から基板の表面張力の値を減じた値が−2〜40mN/mであることが好ましい。スペーサ粒子分散液の表面張力の値から基板の表面張力の値を減じた値が−2mN/m未満であると、上記スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した際の着弾径が非常に大きくなることがある。スペーサ粒子分散液の表面張力の値から基板の表面張力の値を減じた値が40mN/mを超えると、着弾したスペーサ粒子分散液が容易に移動してしまい、正確にスペーサ粒子を配置できないことがある。
なお、本明細書において、上記表面張力は、白金板を使用するウイルヘルミー法にて測定された値である。
上記スペーサ粒子分散液においては、例えば、表面張力について上記要件を満たすように上述の低沸点低表面張力の溶剤と高沸点高表面張力の溶剤とを混合することが好ましい。このような組み合わせを選択することにより、着弾した上記スペーサ粒子分散液の液滴が乾燥するにつれ表面張力が高くなるので、液滴が乾燥するに従って液滴の径が小さくなるような力が働き、最終的なスペーサ粒子が配置される範囲を限定することができる。
上記スペーサ粒子分散液は、基板に対する後退接触角(θr)が5度以上であることが好ましい。上記後退接触角が5度以上であれば、基板に着弾した上記スペーサ粒子分散液の液滴が乾燥するときに、その中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる。一方で、上記後退接触角が5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小するとともに、スペーサ粒子がその中心に集まり難くなる。
本明細書において後退接触角とは、基板上に置かれた上記スペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
なお、上記後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向がある。これは、初期の接触角は、上記スペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角は上記スペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。すなわち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶剤によって配向膜が損傷を受けていることを示しており、これらの溶剤を使用することが配向膜汚染に対して好ましくないことを示すと考えられる。
上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θの好ましい下限が10度、好ましい上限が110度である。スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θが10度未満であると、基板上に吐出された上記スペーサ粒子分散液液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔を狭くできないことがある。スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θが110度を超えると、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易く、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなったりすることがある。
上記スペーサ粒子分散液は、少なくともインクジェット装置からの吐出時において、20℃にてE型粘度計を用いてプローブ回転数を30rpmに設定して測定した吐出時のヘッド温度における粘度の好ましい下限が0.5mPa・s、好ましい上限が15mPa・sである。粘度が0.5mPa・s未満であると、インクジェット装置から吐出するときの吐出量をコントロールすることが困難になることがある。粘度が15mPa・sを超えると、インクジェット装置で吐出できないことがある。粘度のより好ましい下限は5mPa・s、より好ましい上限は10mPa・sである。
なお、上記スペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
上記スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の配向膜溶剤溶解度が5%未満であることが好ましい。スペーサ粒子の配向膜溶剤溶解度が5%を超えると、配向膜を損傷したり、液晶汚染の原因となったりすることがある。
上記配向膜溶剤溶解度は、例えば、以下の方法により測定することができる。すなわち、固形分で100mg相当の上記スペーサ粒子分散液を90℃で5時間、150℃にて5時間真空で乾燥させることで、乾固させたあと、220℃で1時間ベークする。硬化物の重量(Wa)を測定した後、10gのN−メチル2−ピロリドンに入れ振とうさせながら5時間放置し、固形分を濾別し、150℃にて5時間真空で乾燥させ乾固させた重量(Wb)を測定する。配向膜溶剤溶解度は、下記式により求めることができる。
配向膜溶剤溶解度=(Wa−Wb)/Wa
上記スペーサ粒子分散液は、インクジェット装置を用いて該スペーサ粒子分散液の液滴を吐出して基板上の所定の位置に着弾させた後、乾燥させることによりスペーサ粒子を基板上に所定の位置に配置することができる。
すなわち、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、上記スペーサ粒子分散液を、インクジェット装置を用いて第1の基板又は第2の基板の非画素領域に対応する特定の位置に配置する工程、前記スペーサ粒子分散液を乾燥させる工程、及び、前記第1の基板と第2の基板とを、液晶及びスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有することにより、液晶表示装置を製造することができる。
上記液晶表示装置の製造方法に供される基板は特に限定されず、ガラスや樹脂等、通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。また、一対の基板のうち、一方の基板には画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが非画素領域を構成することになる。
上記液晶表示装置の製造方法では、上述した上記スペーサ粒子分散液を用いるため、インクジェット装置のSUS性フィルタに目詰まりが生じることがなく、連続的かつ安定的にスペーサ粒子の配置ができ、表示品質に優れる液晶表示措置を製造することができる。
上記スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子の製造方法を提供することができる。また、本発明は、該スペーサ粒子の製造方法により製造されるスペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液、及び、該スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(表面に還元性基を有する微粒子の作製)
セパラブルフラスコにて、ジビニルベンゼン15重量部と、イソオクチルアクリレート5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重量部とを均一に混合した。次に、ポリビニルアルコール(クラレ社製、「クラレポバールGL−03」)の3%水溶液20重量部と、ドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部とを投入し、よく攪拌した。しかる後、イオン交換水140重量部を添加した。この溶液を攪拌しながら窒素気流下80℃で15時間反応を行った。得られた粒子を熱水及びアセトンにて洗浄後、分級操作を行い、平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%の微粒子を得た。
(グラフト重合層の形成)
得られた微粒子25重量部を、2−ヒドロキシエチルメタクリレート100重量部とジメチルスルホキシド(DMSO)50重量部とからなる混合物中に投入し、ソニケータによって均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し40℃にて2時間撹拌を続けた。
次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液100重量部を添加し、5時間反応を続けた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、表面にグラフト重合層を有する微粒子を得た。表面のグラフト重合層の組成は表1中の(a)である。
(グラフト重合層の架橋)
得られた微粒子5重量部を、DMSO50重量部と、多官能の(メタ)アクリレートとしてジエチレングリコールジメタクリレート1重量部とからなる混合物に投入し、ソニケータによって均一に分散させた。しかる後に、反応系に窒素ガスを導入し40℃にて2時間攪拌し続けた。
次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液20重量部を添加し、4時間反応を続けた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、グラフト重合層が架橋されたスペーサ粒子を得た。
(実施例2〜9)
グラフト重合層を架橋させる際に用いた多官能の(メタ)アクリレートを、表1に示した種類及び配合量としたこと以外は実施例1と同様にしてスペーサ粒子を得た。
(実施例10〜15)
グラフト重合層を形成させる際に用いた2−ヒドロキシエチルメタクリレート100重量部の代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とイソブチルメタクリレート30重量部の混合物を用い、更にグラフト重合層を架橋させる際に用いた多官能の(メタ)アクリレートを、表1に示した種類及び配合量としたこと以外は実施例1と同様にしてスペーサ粒子を得た。表面のグラフト重合層の組成は表1中の(b)である。
(比較例1)
グラフト重合層を形成させる際に用いた2−ヒドロキシエチルメタクリレート100重量部の代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とイソブチルメタクリレート30重量部の混合物を用い、多官能の(メタ)アクリレートを用いず、グラフト重合層の架橋を行わなかったこと以外は実施例1と同様にしてスペーサ粒子を得た。
(比較例2)
グラフト重合層を形成させる際に用いた2−ヒドロキシエチルメタクリレート100重量部の代わりに、イソブチルメタクリレート100重量部を用い、更にグラフト重合層を架橋させる際に用いたジエチレングリコールジメタクリレートの配合量を4重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてスペーサ粒子を得た。表面のグラフト重合層の組成は表1中の(c)である。
(比較例3)
(一括処方によるグラフト重合層の形成)
実施例1と同様にして得られた表面に還元性基を有する微粒子5重量部を、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20重量部とジエチレングリコールジメタクリレート4重量部とジメチルスルホキシド(DMSO)50重量部とからなる混合物中に投入し、ソニケータによって均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し40℃にて2時間撹拌を続けた。
次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液20重量部を添加し、5時間反応を続けた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、スペーサ粒子を得た。
(スペーサ粒子分散液の調製)
実施例及び比較例において得られたスペーサ粒子をスペーサ粒子分散液中で2.0重量%になるように必要量をとり、表2〜4に示す組成の溶剤中にゆっくり添加し、超音波機を用いて充分撹拌し分散させた。しかる後、10μmの目開きのステンレスメッシュを用いて濾過し、凝集物を除去することによりスペーサ粒子分散液を得た。
なお、実施例及び比較例に用いた溶剤の沸点、表面張力、粘度、比重ならびにスペーサ粒子分散液の表面張力、粘度、比重を測定し表2〜4に示した。
また、スペーサ粒子分散液のステンレスプレートに対する付着、分散状態の変化を下記の方法にて評価したが、その結果も表2〜4に示した。
(基板の作製)
液晶テストパネル用の基板であるカラーフィルタ基板51と、カラーフィルタ基板51の対向基板である段差が設けられたTFTアレイモデル基板61を用意した。
(カラーフィルタ基板)
図2(a)に、カラーフィルタ基板51に用いるブラックマトリックスが設けられたガラス基板を拡大して部分切欠平面図で示す。図2(b)に、カラーフィルタ基板51の一部を拡大して部分切欠正面断面図で示す。
実施例及び比較例に用いた表面が平滑なカラーフィルタ基板51は以下のように作製した。
図2(a)、(b)に示すように、300mm×360mmのガラス基板52の上に通常の方法により、アクリル樹脂からなるブラックマトリックス53(幅80μm、縦間隔600μm、横間隔200μm、厚さ1.0μm)を設けた。ブラックマトリックス53上及びその間に、RGBの3色からなるカラーフィルタ54画素(厚さ1.5μm)を表面が平坦となるように形成した。その上にほぼ一定の厚さのオーバーコート層55及びITO透明電極56を設けた。
更にITO透明電極56上に、スピンコート法によってポリイミドを含有する溶液を均一に塗布した。塗布後、80℃で乾燥した後に190℃で1時間焼成し、硬化させてほぼ一定の厚さの配向膜57を形成した。配向膜を設けた後にラビング処理を行い、ラビング処理後、純水により洗浄し、105℃で20分乾燥を行った。
配向膜57は、PI1(日産化学社製、「サンエバーSE130」)、PI2(日産化学社製、「サンエバーSE150」)又はPI3(日産化学社製、「サンエバーSE1211」)の3種類のいずれかの配向膜からなる。PI1、PI2又はPI3の配向膜を構成するために、下記ポリイミド樹脂溶液を用いた。形成された配向膜の表面張力(γ)は、
PI1が46mN/m、PI2が39mN/m、PI3が26mN/mであった。
(TFTアレイモデル基板)
図3(a)に、TFTアレイモデル基板に用いる段差が設けられたガラス基板を拡大して部分切欠平面図で示す。図3(b)に、TFTアレイモデル基板の一部を拡大して部分切欠正面図で示す。
実施例及び比較例に用いた段差が設けられたTFTアレイモデル基板61は以下のように作製した。
図3(a)、(b)に示すように、カラーフィルタ基板51のブラックマトリックス53に相対する位置において、300mm×360mmのガラス基板62上に、従来公知の方法により銅からなるよる段差63(幅8μm、厚さ0.2μm)を設けた。その上に、ほぼ一定の厚さのITO透明電極64を設け、更に上述した方法でほぼ一定の厚さの配向膜65を形成した。TFTアレイモデル基板61では、段差63が形成されている部分において、配向膜65が隆起して凸部が形成されており、その凸部の高さ、すなわち、基板表面の段差は0.2μmであった。
配向膜65を構成するに際して、対向基板であるカラーフィルタ基板51の配向膜57と同様のポリイミド樹脂溶液を用いた。また、直交するような方向にラビング処理を行い、同様に洗浄を行った。
(インクジェット装置)
インクジェットのヘッドは、ピエゾ方式のヘッドを用いた。ノズルの口径は40μmで、インク室の接液部が、ガラスセラミックの材料により構成され、共通流路、内部フィルタ、注入口、排出口がSUS316材料により構成されたヘッドを用いた。また、ノズル面はフッ素系の撥水加工が施されているものを用いた。また、供給及び配管系においては、チューブにはPTFE製のものを用い、外部フィルタ(ヘッド外の配管途中でヘッドの注入口の直前に設置するフィルタ、SU316糸による綾畳織のフィルタを使用、1450メッシュ(0.04mm)/165メッシュ(0.07mm))はSUS製のもの、容器は超高分子量PE樹脂製のものを用いた。
(スペーサ粒子の配置)
スペーサ粒子分散液をTFTアレイモデル基板61にスペーサ粒子を配置する工程に移行した。
インクジェット装置のインク室、共通インク室にスペーサ粒子分散液を導入した後、インクジェット装置のノズルからスペーサ粒子分散液約1mLを排出した後に、スペーサ粒子をすぐに吐出した場合(初期)と、1時間吐出後再導入を行い、インクジェット装置のノズルからスペーサ粒子分散液約1mLを排出した後に、スペーサ粒子の配置を再度吐出した場合(再導入後)とについて、試験を行った。
なお、スペーサ粒子分散液を導入しノズルからスペーサ液を排出した直後のノズルプレート面に付着したスペーサ粒子分散液の大液滴は、シリコン弾性ゴムでできたゴムべらを用い拭き取った。この際、液滴飛翔状態も下記の方法にて測定した。
ステージ上に、TFTアレイモデル基板61を載せた後、上述したインクジェット装置を用いて、TFTアレイモデル基板61上の、カラーフィルタ基板51上のブラックマトリックス53の交点に対応する段差部分を狙って、スペーサ粒子分散液を吐出した。
吐出の際のノズルの先端面と基板表面との間隔は0.5mmとした。インクジェットヘッドの波形は、ダブルパルス方式を利用し、液滴の吐出量を1周期1ノズルあたり18ngとした。粘度15mPa・sを超えるスペーサ粒子分散液については、粘度が3〜15mPa・sの範囲となるように加熱しながら吐出した。
スペーサ粒子分散液を吐出した後、カラーフィルタ基板51又はTFTアレイモデル基板61に着弾したスペーサ粒子分散液を乾燥させた。
実施例及び比較例では、ヒーターで45℃に加熱されたステージ上で、基板に吐出されたスペーサ粒子分散液を乾燥し、スペーサ粒子分散液が完全に乾燥したことを目視で確認した。しかる後、残留している溶剤を除去し、150℃に加熱されたホットプレート上に基板を載置して15分間加熱し、スペーサ粒子を基板に固着させた。
(評価用液晶表示装置の作製)
いずれか一方の基板にスペーサ粒子が配置されたカラーフィルタ基板51と、TFTアレイモデル基板61とを、周辺シール剤を用いて貼り合わせた。貼り合わせた後、シール剤を150℃で1時間加熱し、硬化させてセルギャップがスペーサ粒子の粒径となるように空セルを作製した。しかる後、貼り合わされた2枚の基板間に真空注入法により液晶を充填し、封口剤で注入口を封止して液晶表示装置を作製した。
(実施例及び比較例の評価)
下記の項目について評価を行った。結果を表2〜4に示した。
(ステンレスプレートに対する付着状態評価)
スペーサ粒子分散液にステンレスプレート(SUS316)を水平方向に寝かした状態で1時間浸漬した。その後スペーサを含まないスペーサ粒子分散液を構成する溶剤混合物に10回以上上下させながら浸漬を繰り返し過剰なスペーサ粒子分散液を除去した。なお、上記の溶剤混合物はスペーサ粒子がある程度の濃度に達する前に適宜新鮮なものに交換した。また超音波は照射せず、浸漬も緩やかにおこなった。最後に観察する前の乾燥を容易に行うためにイソプロパノールに1回浸漬し、その後風乾した。風乾後、200倍の倍率の反射型顕微鏡によりその表面にスペーサが付着しているかどうかを、5視野に付き、観察し、付着の度合いを下記の基準で判定した。なお、1視野は約0.5mmである。
○:1視野内に付着したスペーサが存在しない
△:1視野内に付着したスペーサが平均で5個以下である
×:1視野内に付着したスペーサが平均で5個を超える
(スペーサ粒子分散液の分散性の評価)
スペーサ粒子分散液を、それを構成する同じ組成の混合溶剤にて0.1wt%になるように希釈する。これをスライドガラス上に滴下し直ちにカバーグラスをかけ、透過型顕微鏡にて400倍の倍率でスペーサの分散状態を5視野に付き観察し、分散性の度合いを下記の基準で判定した。
また、同様にして0.05wt%に希釈したスペーサ粒子分散液1g程度を、45℃にて真空乾燥機を利用し減圧乾燥することで約50%の重量にまで濃縮する。濃縮したスペーサ粒子分散液に超音波を1分程度照射し、照射後1分程度放置した後の、スペーサの分散状態を同様にして観察し、分散性の度合いを下記の基準で判定した。なお、この濃縮したスペーサ粒子分散液の分散性にて、乾燥過程で最後まで残存する溶剤に対する分散性とした。
○:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個以内、かつ、4個以上の凝集塊がない
△:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個〜10個、かつ、4個以上の凝集塊がない
×:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で10個を超える、又は、4個以上の凝集塊がある
(液滴飛翔状態観察)
スペーサ粒子分散液をインクジェットヘッドから基板に吐出する前に、別途、ヘッドからスペーサ粒子分散液の液滴が吐出されている状態を観察し、飛行軌跡の直進性や、未吐出ノズルの有無などを調べることで吐出の安定性の評価を行った。飛翔状態の観察は、ヘッドの駆動周波数に同期した周波数で(あるいは分周された周波数(駆動周波数/整数)で)、若干の遅延時間(例60μ秒)を付加した時間に同期させ、発光し、閃光時間の短いストロボを光源として、スペーサ粒子分散液がヘッドから吐出されている状態を、焦点距離の長い拡大カメラ(テレセントリックレンズをつけたCCDカメラ)で撮影することによって行った。吐出の安定性は下記の基準で判定した。
◎:未吐出ノズル、及び、飛行曲がりが起こっているノズルが無い
○:未吐出ノズルはないが、飛行曲がりが起こっているノズルが5%以下
△:未吐出ノズルが5%以下、飛行曲がりが起こっているノズルが10%以下
×:未吐出ノズルが5%を超える
(スペーサ粒子散布密度)
スペーサ粒子を基板に固着させた後に、スペーサ粒子が配置されている部分において、1mmあたりに散布されているスペーサ粒子の個数を観測し、散布密度とした。
(平均スペーサ粒子数)
1配置箇所あたりに凝集しているスペーサ粒子の個数の平均値を、1mmの範囲内で計測し、平均スペーサ粒子数とした。
(固着性評価)
スペーサ粒子が配置されたTFTアレイ基板に対し、エアーガンにて風を当てる前後での1.0mmの範囲のスペーサ粒子数を計測し、残存したスペーサ粒子の割合を求め、下記の基準で判定した。
なお、この際のエアーブロー条件は、エアーブロー圧5kg/cm、ノズル口径2mm、垂直距離5mm、時間15秒の条件を用いた。なお、エアーブロー圧を7kg/cmにあげた評価も行った。
○:残存率が99%以上
△:残存率が90%以上99%未満
×:残存率が90%未満
(スペーサ粒子配置精度)
液滴が乾燥した後のスペーサ粒子の配置状態を下記の基準で判定した。
○:スペーサ粒子の大部分が非画素領域に対応する領域にある
△:スペーサ粒子の一部が非画素領域に対応する領域からはみだしている
×:スペーサ粒子の多くが非画素領域に対応する領域からはみだしている
(表示画質)
液晶表示装置の表示画質を観察し、下記の基準で判定した。
○:表示領域中にスペーサ粒子がほとんど認められず、スペーサ粒子に起因する光抜けがなく、かつ、スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)がない
△:スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)はないものの、表示領域中にスペーサ粒子がわずかに認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがわずかにある
×:スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)があり、また表示領域中にスペーサ粒子が認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがある
Figure 2010078786
Figure 2010078786
Figure 2010078786
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本発明によれば、インクジェット装置による基板上へのスペーサ粒子の配置を連続的に安定して行うことができ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができるスペーサ粒子の製造方法を提供することができる。また、本発明は、該スペーサ粒子の製造方法により製造されるスペーサ粒子を用いてなるスペーサ粒子分散液、及び、該スペーサ粒子分散液を用いてなる液晶表示装置を提供することができる。
(a)は、表面にグラフト重合層を有する微粒子の表面を示す模式図である。(b)は、グラフト重合層が架橋されたスペーサ粒子の表面を示す模式図である。 (a)は、実施例及び比較例で使用するカラーフィルタ基板を構成するに際して、ガラス基板の内表面に、ブラックマトリックスが設けられた状態を拡大して示す部分切欠平面図である。(b)は、実施例及び比較例で使用するカラーフィルタ基板を拡大して示す部分切欠正面断面図である。 (a)は、実施例及び比較例で使用するTFTアレイモデル基板を構成するに際して、ガラス基板の内表面に、段差が設けられた状態を拡大して示す部分切欠平面図である。(b)は、実施例及び比較例で使用するTFTアレイモデル基板を拡大して示す部分切欠正面図である。
符号の説明
1…表面に還元性基を有する微粒子
2…グラフト鎖
3…架橋鎖
51…カラーフィルタ基板
52…透明基板
53…ブラックマトリックス
54…カラーフィルタ
55…オーバーコート層
56…ITO透明電極
57…配向膜
61…TFTアレイモデル基板
62…透明基板
63…段差
64…ITO透明電極
65…配向膜

Claims (5)

  1. スペーサ粒子分散液に用いるスペーサ粒子の製造方法であって、
    表面に還元性基を有する微粒子に酸化剤を反応させて前記微粒子の表面にラジカルを発生させ、発生したラジカルに水酸基を有する重合性単量体を反応させて、前記微粒子の表面に0.01〜1μmの厚さのグラフト重合層を形成させる第一工程と、
    前記グラフト重合層に酸化剤を反応させて前記グラフト重合層にラジカルを発生させ、発生したラジカルに多官能の(メタ)アクリレートを反応させる第二工程とを有する
    ことを特徴とするスペーサ粒子の製造方法。
  2. 多官能の(メタ)アクリレートは、グリコール骨格を有する多官能の(メタ)アクリレートであり、かつ、前記グリコール骨格部分の繰り返し単位数が1〜20であることを特徴とする請求項1記載のスペーサ粒子の製造方法。
  3. インクジェット装置を用いて基板上の任意の位置に前記スペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液であって、請求項1又は2記載の製造方法を用いてなるスペーサ粒子と溶剤とを含有することを特徴とするスペーサ粒子分散液。
  4. 溶剤は、沸点が150℃以上の溶剤、水、及び、沸点が150℃未満の溶剤を含有し、前記沸点が150℃以上の溶剤の含有量が30〜96重量%、前記水及び前記沸点が150℃未満の溶剤の含有量の合計が4〜70重量%であることを特徴とする請求項3記載のスペーサ粒子分散液。
  5. 請求項3又は4記載のスペーサ粒子分散液を用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
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