本発明は、スペーサ粒子と溶剤とを含有し、インクジェット装置を用いて基板の表面に前記スペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液であって、前記基板の表面に吐出し形成した液滴を乾燥する工程において、前記液滴が完全に乾燥する前に液滴内部で前記スペーサ同士が凝集し、前記溶剤の沸点が50〜190℃であるスペーサ粒子分散液である。
また、本発明は、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板又は第2の基板の表面に、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置にスペーサ粒子分散液の液滴を配置する工程1、前記スペーサ粒子分散液の液滴中でスペーサ粒子を凝集させる工程2、及び、前記第1の基板と前記第2の基板とを、液晶及び凝集させた前記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程3を有する液晶表示装置の製造方法である。
また、本発明は、本発明のスペーサ粒子分散液又は本発明の液晶表示装置の製造方法を用いてなる液晶表示装置である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、インクジェット装置を用いて基板の表面にスペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液が、沸点が所定の範囲内にある溶剤を含有し、かつ、基板の表面に吐出し形成した液滴の状態がその乾燥過程において変化する、すなわち、液滴の乾燥過程でスペーサ粒子の溶剤に対する分散性が変化するものであると、スペーサ粒子を迅速にかつ目的とする領域に確実に配置させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子と溶剤とを含有し、インクジェット装置を用いて基板の表面に上記スペーサ粒子を配置する際に用いられるものである。
本発明のスペーサ粒子分散液は、上記基板の表面に吐出した液滴を乾燥する工程において、該液滴が完全に乾燥する前に液滴内部で上記スペーサ粒子同士が凝集する。すなわち、本発明のスペーサ粒子分散液が液滴内部でスペーサ粒子同士が凝集するとは、基板表面に吐出し形成された液滴を乾燥させると、図10(a)を用いて説明した従来のスペーサ粒子分散液とは異なり、液滴中のスペーサ粒子が液滴の外周部が縮小する力によらず、スペーサ粒子同士が凝集するものである。また、場合によっては、スペーサ粒子同士の凝集に引き続いて液滴外周が収縮する場合もある。
図1は、基板表面に吐出した本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴の乾燥工程を示す断面図であり、(a)は、基板表面に形成した液滴の着弾径が液滴の乾燥に伴って縮小する場合を示し、(b)は、基板表面に形成した液滴の着弾径が液滴の乾燥に伴って変化しない場合を示す。なお、図1(a)、(b)において、破線は、液滴の着弾径を示し、「着弾径」とは、本発明のスペーサ粒子分散液を、インクジェット装置を用いて基板表面に吐出し形成した液滴を上方から見たときに外周の描く円の直径を意味する。また、図1(a)中、矢印は、液滴5が縮小する方向を示す。
図1(a)に示すように、本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴の着弾径が乾燥に伴って縮小する場合、着弾直後の液滴5中のスペーサ粒子1は、液滴5中で凝集していないが、液滴5を乾燥させると、液滴5は縮小する一方、該液滴5中のスペーサ粒子1は、液滴5の外周部が縮小する力によらず、着弾中心付近に凝集した状態となる。その後、液滴5は、乾燥の進行に伴って縮小し続け、乾燥完了後においては、基板表面にスペーサ粒子1のみが凝集した状態で配置される。
一方、図1(b)に示すように、本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴の着弾径が乾燥に伴って変化しない場合、着弾直後の液滴5’中のスペーサ粒子1’は、液滴5’中で凝集していないが、液滴5’を乾燥させると、液滴5’の着弾径は変化せずその高さが低くなる一方、該液滴5’中のスペーサ粒子1’は、液滴5’の外周部が縮小する力によらず、着弾中心付近に凝集した状態となる。その後、液滴5’は、乾燥の進行に伴って高さが低くなり続け、乾燥完了後においては、基板表面にスペーサ粒子1’のみが凝集した状態で配置される。
なお、本発明のスペーサ粒子分散液において、乾燥を行う前の液滴中のスペーサ粒子は、図1に示したように、液滴中に分散した状態であってもよいが、例えば、液滴の底面部分に広がって沈降した状態であってもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、図1(a)及び(b)に示したように、基板表面に形成した液滴の重量を5重量%以上減少させたとき(以下、この状態を乾燥後期ともいう)に、液滴中のスペーサ粒子が凝集することが好ましい。すなわち、本発明のスペーサ粒子分散液は、基板表面に形成した液滴を乾燥させ、その重量を5重量%以上減少させたときに、液滴の組成が変化するものであることが好ましい。
上記液滴の重量を5重量%未満減少させたときに上記スペーサ粒子が凝集するものであると、本発明のスペーサ粒子分散液の取り扱い性に劣り、インクジェット装置を用いて基板表面に吐出する前にスペーサ粒子が凝集し、ノズルの詰まりや液滴の配置精度が低下することがある。
このような本発明のスペーサ粒子分散液は、本発明のスペーサ粒子分散液に用いられる溶剤のうち、基板の表面に形成した液滴の乾燥後期に残存する溶剤を、スペーサ粒子の分散性が悪いものとすることにより、液滴の乾燥後期にスペーサ粒子の凝集を実現することができる。これに対して、例えば、スペーサ粒子分散液に用いられる溶剤のうち、液滴の乾燥後期に残存する溶剤に対してスペーサ粒子の分散性が変化しない場合、又は、分散性がよくなるような場合、液滴の乾燥の進行に伴ってスペーサ粒子分散液が凝集することがない。特に、本発明のスペーサ粒子分散液の後退接触角が低い場合(すなわち、液滴が乾燥に伴って縮小しないとき、図10(b)参照)、スペーサ粒子が液滴の乾燥の進行に伴って液滴の縮小により凝集することもないため、スペーサ粒子を基板表面の目的とする位置に凝集した状態で配置することができない。
上記液滴の組成が該液滴の乾燥の進行に伴って変化する本発明のスペーサ粒子分散液において、上記溶剤は、沸点等の乾燥条件の異なる複数の溶剤を混合した混合溶剤であって、液滴の形成直後ではスペーサ粒子の分散性に優れる一方、上記液滴の乾燥後期以降では上記スペーサ粒子の分散性が低下するような組成の混合溶剤が好適に用いられる。
上記混合溶剤を構成する乾燥条件の異なる複数の溶剤として、例えば、沸点の異なる溶剤を混合したものを選択した場合、使用するスペーサ粒子に対する分散性を考慮しつつ、沸点の差が10℃以上のものを選択することが好ましい。10℃未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴を基板の表面に形成した後、該液滴が完全に乾燥するまで、スペーサ粒子分散液の溶剤組成が変化しにくく、スペーサ粒子の分散性が変わらないため、上記スペーサ粒子が凝集するといった本発明の効果が得られないことがある。
ただし、本発明のスペーサ粒子分散液において、上記溶剤は沸点の下限が50℃、上限が190℃である。50℃未満であると、上記溶剤が揮発しやすくなりすぎ、インクジェット装置を用いて本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する際に、ノズル近傍で溶剤が揮発しスペーサ粒子が凝集してしまい、190℃を超えると、基板表面に形成した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しにくく、本発明のスペーサ粒子分散液を用いてスペーサ粒子を配置するのに長時間を要する。従って、上記混合溶剤として沸点の異なる溶剤を混合したときは、沸点の下限が50℃、上限が190℃の範囲内である溶剤を適宜選択する。
上記溶剤の沸点の好ましい下限は70℃、好ましい上限は150℃である。なお、本明細書において、溶剤の沸点とは1気圧下における値である。
このような沸点を有する溶剤としては、例えば、水の他、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソペンチルアルコール)、2−メチル−2−ブタノール(tert−ペンチルアルコール)、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)、2−エチル−1−ブタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート(二酢酸エチレン)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ蟻酸エステル、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールジアセテート、3−メトキシブタノール(1,3−ブタンジオールモノメチルエーテル)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、グリセリンモノアセタート(モノアセチン)、ジオキサン、トリオキサン、THF、アセトン、MEK、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、マロン酸ジメチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、フェノール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、エチルベンゼン、DMF、DMSO、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
また、上記混合溶剤としては、本発明のスペーサ粒子分散液に用いられるスペーサ粒子との関係を考慮して上述した溶剤の中から適宜決定されるが、例えば、(1)上記液滴の乾燥後期までの間(以下、乾燥前期ともいう)における溶解度パラメータ(SP値)とスペーサ粒子表面のSP値との差(A)が下記式(1)を満たし、かつ、上記液滴の乾燥後期の溶剤混合物の溶解度パラメータ(SP値)とスペーサ粒子表面の溶解度パラメータ(SP値)との差(B)が下記式(2)を満たす混合溶剤、(2)上記液滴の乾燥前期におけるスペーサ粒子との接触角(θs1)と、上記液滴の乾燥後期におけるスペーサ粒子との接触角(θs2)との差(θs2−θs1)が1度以上である混合溶剤、(3)上記液滴の乾燥前期におけるスペーサ粒子のゼータ電位が、上記液滴の乾燥後期におけるスペーサ粒子のゼータ電位よりも高くなる混合溶剤等が挙げられる。
|A|≦5 (1)
|B|≧|A|+0.2 (2)
上記式(1)及び(2)を満たす混合溶剤としては、上記スペーサ粒子の表面のSP値により適宜決定され、特に限定されないが、例えば、上記スペーサ粒子として、表面にカルボン酸基のような強い親水性基を有する等により表面のSP値が11以上であるものを用いる場合、上述した溶剤の中から高沸点でSP値の低い溶剤と、これより低沸点でSP値の高い溶剤とを組み合わせ、SP値が9〜(スペーサ表面のSP値)程度としたもの等が挙げられる。このような混合溶剤は、液滴の乾燥の進行に伴い、SP値がより低くなり、上記スペーサ粒子の分散性が低下する。
このような混合溶剤としては、上述した溶剤の中から上記条件を満たすものを適宜選択して用いればよく、具体的には、上記高沸点でSP値が低い溶剤として、例えば、モノアルコール(1級アルコール)、グリコール等のジオールのモノエーテル又はジエーテル等のジオールのエーテル等を選択した場合、これより低沸点のグリコール等のジオール類や水等を選択すればよい。
また、上記スペーサ粒子として、表面に水酸基やエーテル基等の中程度の親水性基を主に有する等により表面のSP値が9〜11程度であるようなものを用いる場合、上述した溶剤の中から高沸点でSP値の高い溶剤と、これより低沸点でSP値の低い溶剤とを組み合わせ、混合溶剤のSP値が、(スペーサ表面のSP値)〜15程度としたもの等が挙げられる。このような混合溶剤は、液滴の乾燥の進行に伴い、SP値がより高くなり、上記スペーサ粒子の分散性が低下する。
このような混合溶剤としては、例えば、上述した溶剤の中から上記条件を満たすものを適宜選択して用いればよく、具体的には、上記高沸点でSP値が高い溶剤として、グリコール等のジオール類や水等を選択した場合、これより低沸点のモノアルコール(1級アルコール)や、グリコール等のジオールのモノエーテル又はジエーテル等のジオールのエーテル等を選択すればよい。
上記液滴の乾燥前期におけるSP値とスペーサ粒子表面のSP値との差(A)が上記式(1)を外れる場合、スペーサ分散液が保存中に凝集する等、初期の分散性が悪化するため好ましくなく、このようなスペーサ粒子分散液を無理に使おうとすると、常に超音波照射が必要になる等装置が大がかりになるといった問題も発生する。また、上記液滴の乾燥後期における溶剤混合物のSP値とスペーサ粒子表面のSP値との差(B)が上記式(2)を外れる場合、上記液滴が乾燥するにつれ液滴中でスペーサ粒子が凝集しにくくなる。
なお、上記溶剤及び混合溶剤のSP値、並びに、スペーサ粒子表面のSP値は、接着40巻8号(1996)p342−350[高分子刊行会]の沖津らによるパラメータ(当該文献 表3−3)を用い、混合溶剤の場合は、当該文献の式(2・8)、スペーサ粒子表面の場合は、式(3・4)(3・5)を用いて計算により算出した値である。
ここで、混合溶剤のSP値は、混合溶剤の配合比から求める。スペーサ粒子表面のSP値はTOF−SIMS(飛行時間型2次イオン質量分析法)によりスペーサ表面の分析を行い、スペーサ表面がどのようなモノマーの共重合体になっているかを測定し(ポリマー構成成分としてのモノマー種とそのモノマー単位(例えば、アクリルモノマーであると「 −CH2−CHCOOR−」)のモル比を測定により算出し)、測定値より計算で算出する。すなわち、スペーサ粒子表面のSP値は、スペーサを作ったり、スペーサの表面修飾をしたりする際のモノマーの仕込み配合量で計算してはいない。これは、モノマーの配合比や量が同じであっても、開始剤や重合方法の違いで、スペーサ表面の化学的物理的状態が異なるためである。
上記(2)の混合溶剤において、該混合溶剤のスペーサ粒子に対する接触角は、本発明のスペーサ粒子分散液を基板上に塗布し、乾燥させる等して通常の接触角測定装置で測定できるような面積以上の領域にスペーサ粒子を均一に敷き詰めて、そこに、上記混合溶剤や、上記液滴の乾燥後期に残存する組成の溶剤(又は混合溶剤)を滴下し、一定時間経過した後に測定されるこれら混合溶剤液滴のスペーサ粒子群表面に対する接触角である。この接触角は、表面の濡れ性を測定する一般の接触角測定装置で測定でき、スペーサ粒子表面の溶剤の親和性を示している。すなわち、接触角が低ければ、より溶剤に対して親和性を示すと言える。なお、例えば、上記混合溶剤を構成する溶剤のいずれもスペーサ粒子表面との親和性が比較的高い場合、その差を見るときに長時間放置しておくと接触角がいずれも0度となり差を見ることができないので、液滴がスペーサ粒子群の上に接触してから比較的短時間の後での接触角の差を見る必要がある。この場合、高速度ビデオカメラを有する接触角測定装置を使用することが好ましい。
なお、この接触角測定装置で撮影された液滴の接触角が時間とともに変化する(液滴がスペーサ粒子群表面上に濡れ広がっていく様子を撮影した)ビデオ画像から、この接触角の時間変化率を測定し、スペーサ粒子表面の濡れ性の尺度とすることもできる。接触角の時間変化率が大きいとスペーサ粒子表面がその混合溶剤により濡れやすく(スペーサ粒子が分散しやすく)なっているということができる。接触角の時間変化率が小さかったり、接触角そのものの値が大きかったりする場合は、それらの溶剤に対してスペーサ粒子が分散しがたくなっているということができる。
上記差(θs2−θs1)が1度未満(負の値も含む)である混合溶剤を使用した場合、スペーサ粒子が、スペーサ粒子分散液液滴が乾燥するにつれ液滴中で凝集するにつれ、スペーサ粒子が凝集しにくくなる。
上記差(θs2−θs1)が1度以上となる混合溶剤としては、例えば、上述した溶剤の中から高沸点の溶剤には濡れ性が低い溶剤、すなわち、溶剤自身の凝集力が高い(表面張力が高い)溶剤と、それより沸点も表面張力も低い溶剤の組み合わせを選択することが好ましい。具体的には、例えば、高沸点で表面張力が高い溶剤として、例えば、グリコール等のジオール類や水等を選択した場合、これよりも沸点の低いモノアルコール(1級アルコール)や、グリコール等のジオールのモノエーテル又はジエーテル等のジオールのエーテル等を選択すればよい。
なお、3種以上の溶剤を混合する場合(これは、(1)の混合溶剤及び後述する(3)の混合溶剤においても同様に)、沸点が中間の溶剤の表面張力が最も高い場合があるが、このような場合は、最初の混合溶剤の表面張力より、乾燥過程での表面張力やSP値や接触角θs2が大きくなれば、本発明の目的にかなう。
上記(3)の混合溶剤としては、基板表面に吐出する前(乾燥前期)において、上記スペーサ粒子のゼータ電位が大きくなるような溶剤の組み合わせが用いられる。すなわち、同じスペーサ粒子でもゼータ電位は、溶剤の分極率や誘電率が高い場合、大きくなるので、混合溶剤としては、沸点が低い溶剤として、例えば、水やグリコール等の分極率や誘電率が高い溶剤を混合し、これに、これより沸点が高く、分極率や誘電率が低い溶剤を加えればよい。
ここで、ゼータ電位が高いとは、電位の絶対値が大きいということであり、溶剤混合物を0Vとしてそれに対し、正負いずれか高い電位をもつということである。
また、上記基板の表面に形成した液滴中のスペーサ粒子表面のゼータ電位を、液滴を基板の表面に吐出し形成した直後と該液滴の乾燥後期とで差を設ける方法としては、上述した溶剤を適宜組み合わせる方法のほか、後述するスペーサ粒子に帯電可能な処理を施す方法が挙げられる。このような基板の表面に形成した液滴中のスペーサ粒子表面のゼータ電位が、液滴を基板の表面に吐出し形成した直後と該液滴の乾燥後期とで差を有する本発明のスペーサ粒子分散液は、とりわけ、図1(b)に示したように、本発明のスペーサ粒子分散液の基板に対する後退接触角が高くなく、基板の表面に形成した液滴の着弾径自体は縮小しないような場合に好適である。
上記液滴の乾燥前期におけるスペーサ粒子のゼータ電位が上記液滴の乾燥後期におけるスペーサ粒子のゼータ電位よりも低い場合、スペーサ粒子が、液滴が乾燥するにつれ液滴中で凝集しにくくなる。
上記混合溶剤を構成する溶剤の配合比としては特に限定されず、上記液滴の乾燥後期においてその組成が変化するよう適宜決定される。
また、本発明のスペーサ粒子分散液に用いられる溶剤としては、本発明のスペーサ粒子分散液が後述するインクジェット装置のヘッドから吐出される温度で液体であるものが用いられ、なかでも、水溶性又は親水性の溶剤が好適に用いられる。なお、一部のインクジェット装置のヘッドは、水系媒体用にできているため、これらのヘッドを使用する際は、疎水性の強い溶剤は、ヘッドを構成する部材を侵したり、部材を接着する接着剤の一部を溶解したりすることがあるので好ましくない。
上記水溶性又は親水性の溶剤としては、上述した溶剤中、例えば、水の他、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類、プロピレングリコール、グリコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;モノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類、ジオール類のエーテル誘導体、ジオール類のアセテート誘導体、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
また、本発明のスペーサ粒子分散液において、上記溶剤(混合溶剤)は、インクジェット装置を用いて本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する基板に対する初期接触角が5度以上となるものが好ましい。上記基板に対する初期接触角が5度未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液を基板の表面に着弾させた初期段階、すなわち、液滴の乾燥前期において本発明のスペーサ粒子分散液が基板上で濡れ広がってしまい、スペーサ粒子上部が液滴から露出しまう等して液滴中でスペーサ粒子が移動しにくくなり、スペーサ粒子が凝集しないことがある。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、インクジェット装置により安定的に吐出できることが必要であり、そのため、上記溶剤(混合溶剤)は、所定の範囲の表面張力を有し、かつ、インクジェット装置から本発明のスペーサ粒子分散液を吐出させるときの粘度が所定の範囲であることが好ましい。
具体的には、上記溶剤(混合溶剤)の表面張力の好ましい下限は25mN/m、好ましい上限は50mN/mである。上記溶剤(混合溶剤)の20℃における表面張力が上記範囲を逸脱すると、得られるスペーサ粒子分散液の吐出性や吐出精度が不充分となることがある。特に、表面張力が25mN/m未満であると、インクジェット装置のヘッドのノズル面が濡れたりして吐出状態が不安定になることがあり、また、基板上で液滴が濡れ拡がり(着弾液滴径が大きくなり)、スペーサ粒子の寄り集まり性に悪影響を与えることがある。50mN/mを超えると、ヘッドにスペーサ粒子分散液を充填する際、ヘッド内のインク室(ピエゾに隣接するノズル直前のインクチャンバー)に、気泡が残存しやすく吐出しなくなる等の不具合が生じることがある。但し、インクジェット装置のヘッド内のインク室等の接液部分を親水性の高い材料(例えば、SUS、セラミック、ガラス等)で構成する場合、及び/又は、スペーサ粒子分散液を充填する前に2−プロパノール等の表面張力が低くインク室をよくぬらす溶剤で充填し、気泡を充分に除去した後、気泡を巻き込まないようにしてスペーサ粒子分散液で流路、ヘッド内を置換できる場合は、このように設備上・工程上手間がかかるものの、表面張力が50mN/mを超えるスペーサ粒子分散液でも吐出可能となる。なお、上記溶剤(混合溶剤)の粘度については後述する。
本発明のスペーサ粒子分散液は、上記溶剤として沸点の下限が100℃、上限が190℃の溶剤を含有することが好ましい。更に、沸点の下限が100℃、上限が190℃である溶剤として、表面張力が30mN/m以上である溶剤のみを用いることが好ましい。上記沸点の下限が100℃、上限が190℃である溶剤として、表面張力が38mN/m以上である溶剤のみを用いることで、上記溶剤の基板に対する初期接触角を5度以上とすることができ、後述する本発明のスペーサ粒子分散液の基板に対する後退接触角(θr)を高くすることができる。更に、本発明のスペーサ粒子分散液を基板表面に吐出した際に着弾液滴径が大きくならず、着弾液滴径が初期より拡がり難くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が移動しやすくなる。よって、基板に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することが可能となる。なお、本明細書において、沸点とは、1気圧の条件下での沸点を意味する。
上記沸点の下限が100℃、上限が190℃の溶剤としては、上述した溶剤中、例えば、水、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソペンチルアルコール)、2−メチル−2−ブタノール(tert−ペンチルアルコール)、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)、2−エチル−1−ブタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート(二酢酸エチレン)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ蟻酸エステル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールジアセテート、3−メトキシブタノール(1、3−ブタンジオールモノメチルエーテル)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、グリセリンモノアセタート(モノアセチン)、ジオキサン、トリオキサン、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、マロン酸ジメチル、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、フェノール、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、エチルベンゼン、DMF、DMSO等が挙げられる。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記溶剤は、沸点が100℃未満の溶剤と沸点が100℃以上の溶剤とを含有することが好ましい。このような溶剤を用いることで、本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力を30mN/m以上とすることができる。本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力が30mN/mより低いと、基板上に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴径が大きくなりすぎることがある。更に、上記沸点が100℃未満の溶剤として、沸点が70℃以上100℃未満の有機溶剤を含有させることが好ましい。
本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置を製造する際に、本発明のスペーサ粒子分散液を後述するインクジェット装置を用いて基板の表面に吐出し形成した液滴を乾燥させる際に、溶剤が高温になると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうため、乾燥温度をあまり高くできない。このため、上記のような100℃未満の溶剤を使用することにより、乾燥温度を低くできるので配向膜を汚染することがない。
上記沸点が100℃未満の溶剤としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類、アセトン等が好ましく使用される。
上記沸点が100℃未満の溶剤の配合量としては、上記スペーサ粒子を除く本発明のスペーサ粒子分散液100重量%に対して好ましい下限が1.5重量%、好ましい上限が80重量%である。1.5重量%未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置を製造する際に、比較的低い温度で本発明のスペーサ粒子分散液の液滴を乾燥させると乾燥速度が遅くなり生産効率が低下する。80重量%を超えると、インクジェット装置のノズル付近の本発明のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすく、インクジェット吐出性を損ねることがある。更に、本発明のスペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥しやすく、その結果、スペーサ粒子が凝集した凝集粒子の発生する可能性が高くなることがある。
また、上記沸点が100℃未満の溶剤は、20℃における表面張力が30mN/m未満であることが好ましい。30mN/m以上であると、本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力が高くなりすぎ、インクジェットヘッドのインク室の接液部分の表面張力によっては、インクジェット装置による本発明のスペーサ粒子分散液の吐出性が悪くなることがある。本発明のスペーサ粒子分散液に、沸点100℃未満で表面張力が30mN/m未満の溶剤が含まれていることにより、後述するインクジェット装置に本発明のスペーサ粒子分散液を導入しやすくなり、吐出する際には吐出性を向上できる。更に好ましくは25mN/m以下である。
なお、沸点が100℃以上の溶剤の20℃における表面張力は、30mN/m以上であることが好ましい。
本発明のスペーサ粒子分散液では、沸点が100℃未満かつ表面張力が30mN/m未満である溶剤とともに、沸点が100℃以上、190℃以下の溶剤が含まれていることが好ましく、該沸点が100℃以上、190℃以下の溶剤は、表面張力が30mN/m以上であることが好ましい。沸点の下限が100℃、上限が190℃で表面張力が30mN/m以上の溶剤が混合されることにより、後述する本発明のスペーサ粒子分散液の後退接触角がより一層高くなる。すなわち、本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴が基板上に着弾後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散し、残された液滴の本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力が高くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子の凝集が起こりやすくなる。
上記沸点の下限が100℃、上限が190℃の溶剤の表面張力が30mN/m未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液からなる液滴が基板上に着弾した後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶剤が先に揮散するので、残された液滴の本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力が初期より低くなる。よって、着弾液滴径が小さくならず、着弾液滴径が初期より拡がりやすくなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が凝集し難くなる。
本発明のスペーサ粒子分散液に含有される上記スペーサ粒子の材料としては、液晶表示装置においてギャップ制御特性を有し、更に、後述するように、インクジェット装置を用いて基板の表面に着弾させた液滴を乾燥させたときに、該液滴に含有されるスペーサ粒子同士が凝集するようなものであれば特に限定されず、例えば、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等の有機系粒子であってもよい。なかでも、有機系粒子は、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、更に、セル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないという長所を持つため好適である。
上記有機系粒子としては特に限定されないが、通常は、強度等が適切な範囲にあるので、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好ましく用いられる。この際、単官能単量体と多官能単量体との比率は特に限定されず、得られる有機系粒子に要求される強度や硬度により適宜調整される。
上記単官能単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能又は多官能単量体として、後述する溶剤への分散性を上げるために親水性基を有する単量体が用いられてもよい。親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基が挙げられる。
このような親水性基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記単量体を重合して粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒子径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合、分散重合は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する際に好適に用いられる。
上記懸濁重合法とは、単量体及び重合開始剤よりなる単量体組成物を、目的とする粒子径となるよう貧溶媒中に分散し重合する方法である。懸濁重合に使用する分散媒は、通常、水に分散安定剤を加えたものが使用される。分散安定剤としては媒体中に可溶の高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。またノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。重合条件は上記重合開始剤や単量体の種類により異なるが、通常、重合温度は50〜80℃、重合時間は3〜24時間である。
上記懸濁重合法とは、単量体及び重合開始剤よりなる単量体組成物を、目的とする粒子径となるよう貧溶媒中に分散し重合する方法である。懸濁重合に使用する分散媒は、通常、水に分散安定剤を加えたものが使用される。分散安定剤としては媒体中に可溶の高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。またノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。重合条件は上記重合開始剤や単量体の種類により異なるが、通常、重合温度は50〜80℃、重合時間は3〜24時間である。
上記シード重合法とは、ソープフリー重合や乳化重合にて合成された単分散の種粒子に、更に単量体を吸収させることにより、狙いの粒子径にまで膨らませる重合方法である。種粒子に用いられる有機単量体としては特に限定されず、上記の単量体が用いられるが、種粒子の組成は、シード重合時の相分離を抑えるために、シード重合時の単量体成分と親和性のある単量体であることが好ましく、粒子系分布の単分散性の点等からスチレン及びその誘導体等が好ましい。
上記種粒子の粒子径分布は、シード重合後の粒子径分布にも反映されるのでできるだけ単分散であることが好ましく、Cv値として5%以下であることが好ましい。上述したようにシード重合時には種粒子との相分離が起きやすいため、シード重合時に吸収させる単量体は、できるだけ種粒子組成と近い組成が好ましく、種粒子がスチレン系であれば芳香族系ジビニル単量体、アクリル系であればアクリル系多官能ビニル単量体を吸収させて重合させるのが好ましい。
また、シード重合法においては、必要に応じて分散安定剤を用いることもできる。分散安定剤としては、媒体中に可溶の高分子であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。また、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。
上記シード重合法においては、種粒子1重量部に対して、単量体を20〜100重量部加えることが好ましい。
上記シード重合に使用する媒体としては特に限定されず、使用する単量体によって適宜決定されるべきであるが、一般的に好適な有機溶媒としては、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類又は炭化水素を挙げることができ、更にこれらを単独、又は、これらと互いに相溶しあう他の有機溶剤、水等との混合溶媒として用いることができる。具体的には、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、シメチルスルホキシド、酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2−ブタノン等のケトン類等を挙げることができる。
上記分散重合法とは、単量体は溶解するが、生成したポリマーは溶解しない貧溶媒系で重合を行い、この系に高分子系分散安定剤を添加することにより生成ポリマーを粒子形状で析出させる方法である。
また、一般に架橋成分を分散重合により重合すると、粒子の凝集が起こりやすく、安定的に単分散架橋粒子を得ることが難しいが、条件を選定することにより、架橋成分を含んだ単量体を重合することが可能となる。
上記重合に際しては、重合開始剤が用いられ、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が好適に用いられる。なお、重合開始剤の使用量は通常、重合に際して用いられる単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
上記の方法により得られたスペーサ粒子は、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて製造する液晶表示装置のコントラスト向上のために着色されて用いられてもよい。着色されたスペーサ粒子としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等により処理されたスペーサ粒子、また、スペーサ粒子の表面に有機物の膜が形成され高温で分解又は炭化されて着色されたスペーサ粒子等が挙げられる。なお、スペーサ粒子を形成する材質自体が色を有している場合には着色せずにそのまま用いられてもよい。
本発明に使用されるスペーサ粒子の粒径は、製造する液晶表示素子の種類により適宜選択可能なため特に限定されないが、上記スペーサ粒子の粒径の好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示素子のスペーサとして充分機能しないことがある。20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の非画素領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示素子の小型化等の要請に充分に応えられなくなることがある。
本発明で使用されるスペーサ粒子は、適正な液晶層の厚みを維持するためのギャップ材として用いられるため、一定の強度が必要とされる。粒子の圧縮強度を示す指標として、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)で表した場合、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて製造した液晶表示装置の適正な液晶層の厚みを維持するためには、好ましい下限が2000MPa、好ましい上限が15000MPaである。2000MPaより小さいと、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示素子を製造する際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが出にくい。15000MPaより大きいと、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示素子を製造する際に、基板上の配向膜を傷つけて製造する液晶表示装置に表示異常が発生することがある。
上記スペーサ粒子の圧縮弾性率(10%K値)は、特表平6−503180号公報記載の方法に準拠して求められた値である。例えば、微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、スペーサ粒子を10%歪ませるための加重から求められる。
上記スペーサ粒子は、表面の溶解度パラメータ(SP値)δの下限が9.50であることが好ましい。9.50未満であると、溶解度パラメータが比較的低い溶剤混合物に対してしか分散できなくなり、そのような溶剤混合物に分散したスペーサ粒子分散液を基板上に吐出すると、基板上での初期接触角が小さくなり(すなわち、液滴径が大きくなり)スペーサの寄り集まりがよくなくなる。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記スペーサ粒子は、表面処理が施されていることが好ましい。スペーサ粒子に施す表面処理に合わせて上述した溶剤の組成等を適宜選択することにより、本発明のスペーサ粒子分散液をインクジェット装置で基板の表面に吐出し形成した液滴中で上記スペーサ粒子同士を好適に凝集させることができる。
例えば、上記スペーサ粒子の表面修飾により、上記混合溶剤のSP値とスペーサ粒子表面のSP値との差が5以内になるようにする。上記混合溶剤がグリコールや水を主成分とした親水性の混合溶剤(表面張力が30mN/m以上)の場合は、スペーサ表面に官能基として親水基を持つように表面処理を行えばよく、一方、疎水性の高い混合溶剤(表面張力が30mN/m未満)の場合は、スペーサ表面に官能基として疎水性を主に持つようにすればよい。
なお、上記スペーサ粒子表面を得るにあたっては、上記のように有機微粒子を製造し、その後その表面に修飾を行っても、有機微粒子を作る際にそのような表面ができるように配合、合成方法を工夫してもよい。
上記スペーサ粒子の表面処理としては、例えば、上記スペーサ粒子の表面を修飾する方法が挙げられ、具体的には、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特開2003−295198号公報に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法、特願2005−354832号、特願2005−354831号、特願2005−239162号に記載のようにスペーサ粒子にモノマーを膨潤や吸着させ重合を行うことで表面修飾を行う方法、特願2005−354832号に記載のようにコアシェル粒子のシェル部にモノマーを吸収させ重合する方法、特願2005−239162号に記載のように超臨界法により粒子表面にモノマーを吸収させ重合する方法、特願2005−354831号に記載のように粒子表面に吸着させた化合物にモノマーを吸収させ重合する方法、その他特願2005−216065号、特願2005−180312号等に記載の方法等が挙げられる。
上記スペーサ粒子の表面修飾方法としては、スペーサ粒子表面に化学的に結合した表面層を形成する方法が、液晶表示装置のセル中で表面層の剥離や液晶への溶出という問題が少ないので好ましい。なかでも、特開平11−223821号公報に記載の表面に還元性基を有する粒子に酸化剤を反応させ、粒子表面にラジカルを発生させて表面にグラフト重合を行う方法が、表面層の密度が高くでき、充分な厚みの表面層を形成できるために好ましい。
また、このように表面処理を施すことにより、スペーサ粒子の基板に対する接着性が高まったり、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示体での液晶の配向が乱されなくなるという効果もある。
上記スペーサ粒子は、グラフト処理により表面修飾されていることが好ましい。具体的には、上記スペーサ粒子の表面に親水性官能基及び/又は炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体をラジカル重合してなるビニル系熱可塑性樹脂がグラフト重合により結合されていることが好ましい。
上記親水性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基等が挙げられるが、なかでも、液晶との相互作用が少ないことから、水酸基、カルボキシル基及びエーテル基が好適に用いられる。これらの親水性官能基は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。特に、上記スペーサ粒子は、カルボキシル基が表面に存在するように表面修飾されていることが好ましい。この場合、カルボキシル基を含有するモノマーの表面の存在比の好ましい下限は10モル%である。10モル%未満であると、スペーサ粒子分散液中での分散性が低くなったり、液滴が乾燥するにつれ液滴内部で凝集しにくくなったりする。
上記親水性官能基を有するビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸及びそれらのα−アルキル誘導体又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;上記不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有するビニル系単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスホニル基を有するビニル系単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基を有するビニル系単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有するビニル系単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基及びエーテル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有するビニル系単量体等が挙げられる。これらの親水性官能基を有するビニル系単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記炭素数1〜22のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ノナデシル基、エイコデシル基、ヘニコシル基、ドコシル基、イソボルニル基等が挙げられる。これらの炭素数3〜22のアルキル基は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸と上記炭素数1〜22のアルキル基とからなるエステル化合物;ビニルアルコールと上記炭素数1〜22のアルキル基とからなるエステル化合物;ビニル基と上記炭素数1〜22のアルキル基とからなるビニルエーテル化合物等が挙げられる。これらの炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記親水性官能基を有するビニル系単量体及び炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体は、それぞれ単独で用いられてもよく、両者が併用されてもよい。
また、上記ビニル系熱可塑性樹脂は、構成するビニル系単量体が上記親水性官能基を有するビニル系単量体を15〜80モル%含有し、上記炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体を5〜60モル%含有することが好ましい。なお、ここでのモル%はこれらのモノマーを使用して表面処理を行う際、重合時の仕込みのモル%ではなく、TOF−SIMS等の方法で測定した表面に存在する共重合体のモノマー単位(モノマーフラグメント)のモル%である。
上記ビニル系単量体中における親水性官能基を有するビニル系単量体の含有量が15モル%未満であると、得られるスペーサ粒子を、本発明のスペーサ粒子分散液中に充分に単粒子化した状態で分散させることが難しくなって、凝集粒子が発生しやすくなり、インクジェット装置での安定的な吐出が困難となったり、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて製造する液晶表示装置のセルギャップを正確に形成できなくなったりすることがある。上記ビニル系単量体中における親水性官能基を有するビニル系単量体の含有量が80モル%を超えると、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置のセルを形成した際に、表示画素中にはみ出したスペーサ粒子の表面において液晶の異常配向を来たしやすくなって、製造する液晶表示装置の表示品質の低下につながることがある。
また、上記ビニル系単量体中における炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体の含有量が5モル%未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置のセルを形成した際に、表示画素中にはみ出したスペーサの表面において液晶の異常配向を来たしやすくなって、製造する液晶表示装置の表示品質の低下につながることがあり、上記ビニル系単量体中における炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体の含有量が60モル%を超えると、得られるスペーサ粒子の溶剤中への分散安定性が低下することがある。
なお、上記スペーサ粒子の表面に上記親水性官能基及び/又は炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体をラジカル重合してなるビニル系熱可塑性樹脂をグラフト重合により結合させてスペーサ粒子の表面被覆層の厚みを厚くする等の目的で、複数の異なった組成のビニル系熱可塑性樹脂層を積層する場合、上記親水性官能基を有するビニル系単量体を15〜80モル%含有し、上記炭素数1〜22のアルキル基を有するビニル系単量体を5〜60モル%含有してなる好ましいビニル系単量体の使用は、表面被覆層の最外層となるビニル系熱可塑性樹脂についてのみ考慮すればよい。これは、スペーサ粒子分散液やインクジェットインクに用いられる媒体に対する分散性や液晶異常配向の抑制等の機能はスペーサの表面近傍の状態によって発現するからである。
このような表面処理を行うことにより、パネル作製後の衝撃テスト等でのスペーサ移動がなくなる。
また、上記スペーサ粒子は、帯電可能な処理が施されていてもよい。上記スペーサ粒子に帯電可能な処理が施されていることで、本発明のスペーサ粒子分散液を用いた液晶表示装置の製造する際の乾燥過程において、ゼータ電位等で示されるスペーサ粒子の表面電位を変化させることができる。上記スペーサ粒子の表面のゼータ電位が高いと、スペーサ粒子分散液中でスペーサ粒子同士が反発しやすく、凝集しにくいといえる。
なお、上記帯電可能な処理とは、スペーサ粒子が、本発明のスペーサ粒子分散液中でも何らかの電位を持つように処理することであり、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等既存の方法によって測定できる。
上記スペーサ粒子に帯電可能な処理を施す方法としては、例えば、スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法、帯電しやすい単量体を含む単量体からスペーサ粒子を製造する方法、上述した表面処理をする方法を利用してスペーサ粒子に帯電可能な表面処理をする方法等が挙げられる。
なお、このようにスペーサ粒子が帯電可能であると、本発明のスペーサ粒子分散液中でのスペーサ粒子の分散性や分散安定性が高められるだけでなく、散布時に電気泳動効果で配線部(段差)部近傍にスペーサ粒子が寄り集まりやすくなるという効果もある。
上記荷電制御剤を含有させる方法としては、スペーサ粒子を重合させる際に荷電制御剤を共存させて重合を行いスペーサ粒子中に含有させる方法、スペーサ粒子を重合する際に、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合させてスペーサ粒子中に含有させる方法、上述したスペーサ粒子の表面修飾の際に、表面修飾に用いられるモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を共重合させて表面修飾層に含有させる方法、表面修飾層又はスペーサ粒子の表面官能基と反応する官能基を有する荷電粒子を反応させて表面に含有させる方法等が挙げられる。
上記荷電制御剤としては特に限定されず、例えば、特開2002−148865号公報に記載の化合物を用いることができる。具体的には、例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシルカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等が挙げられる。
また、上記荷電制御剤としては特に限定されないが、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記荷電制御剤を含有するスペーサ粒子の極性は、上記荷電制御剤の中から適切なものを適宜選択することにより設定され得る。すなわち、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させたりすることができる。
上記スペーサ粒子を製造する際、帯電しやすい単量体を含む単量体から適宜単量体を選択する方法としては、上述したスペーサ粒子を製造する単量体として、親水性官能基を有するものを組み合わせて用いる方法が挙げられる。これらの親水性官能基を有する単量体の中から適切な単量体を適宜選択することにより、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させたりすることができる。
これら以外にも上記スペーサ粒子には、液滴中で、あるいは、基板表面に吐出した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴端が縮む場合、その際に基板上で動きやすく、上記液滴が乾燥した後は強固に固着するという要請のため、上述したようなスペーサ粒子の表面処理を行うだけでなく、スペーサ粒子の表面状態に気を付けたり、また、表面処理を行う際には際には、その厚みや得られた表面の形状にも注意を払ったりする必要がある。
すなわち、スペーサ粒子の表面があまりにも凸凹であったり、表面処理層が液滴中で膨潤したような状態であまりにも厚みが厚かったりすると、液滴中をスペーサ粒子が動きにくく、また、液滴中でのスペーサ粒子の表面組成が、基板の表面組成と近い等、化学的な相互作用があったり、液滴中でスペーサ粒子と基板との間で強力な静電的な相互作用があったりすると、同様にスペーサ粒子が動きにくく、結果として後述する液滴中でのスペーサ粒子の凝集が起こりにくくなる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、上述した溶剤(混合溶剤)に、上記スペーサ粒子を分散させてなるものであるが、なかでも、スペーサ粒子が表面にカルボキシル基を有し、かつ、基板表面に吐出し形成した液滴の重量を5重量%以上減少させたときに(乾燥後期)、溶剤として水と沸点が190℃以下の溶剤とを10重量%以上含有するものであることが好ましい。スペーサ粒子が表面にカルボキシル基を有することで上記水と沸点が190℃以下の溶剤との混合溶剤中での分散性に優れるとともに、上記液滴の乾燥後期における凝集性に優れ、上記溶剤として水と沸点が190℃以下の溶剤との混合溶剤を用いることで、形成直後に液滴が濡れ広がることを防止できる。また、乾燥後期における水と沸点が190℃以下の溶剤との混合溶剤が10重量%未満であると、スペーサ粒子が充分に凝集する前に上記混合溶剤が減少してしまい、スペーサ粒子が所定の位置に凝集できないことがある。
このような溶剤とスペーサ粒子とからなる本発明のスペーサ粒子分散液は、基板の表面に吐出された直後の液滴の着弾径D1と、上記基板の表面に吐出された液滴の重量が5重量%以上減少したときのスペーサ粒子の凝集径D2とが、下記式(1)の関係を有することが好ましい。
D2<(D1×0.5) (1)
なお、上記スペーサ粒子の凝集径D2とは、本発明のスペーサ粒子分散液の液滴中で凝集したスペーサ粒子を平面視したときに、凝集したスペーサ粒子に内接する円の直径を意味する。
上記式(1)は、上記スペーサ粒子の凝集径D2が、上記液滴の着弾径D1の1/2未満であることを意味する。上記式(1)の関係を有さない場合、すなわち、上記スペーサ粒子の凝集径D2が、上記液滴の着弾径D1の1/2以上であると、本発明のスペーサ粒子分散液に含有されるスペーサ粒子の量が多すぎるか、又は、上記液滴の乾燥後期においてスペーサ粒子が充分に凝集していないこととなり、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置を製造した場合、上記スペーサ粒子が基板上の非画素領域に配置されることがあり、得られる液晶表示装置の表示画質に劣ることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液は、保存時(20℃)における粘度が、3mPa・sより大きく、20mPa・s未満であることが好ましい。3mPa・s以下であると、本発明のスペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降しやすくなるし、低粘度で吐出しにくいヘッドでは、冷却機構をつけて粘度を上げようとしても吐出可能な粘度にならない等の問題が発生する。20mPa・s以上であると、インクジェット装置を用いて吐出する際に、ヘッドを加温し、粘度を下げることのできない種類のヘッドでは吐出できなくなったり、吐出量を制御し難くなったりすることが起こるし、更に吐出性を改善するためにスペーサ粒子分散液を過剰に加温しなければならないことがある。
なお、加温できるヘッドを使用する場合、上記粘度の好ましい上限は100mPa・sである。これは加温できるにせよ、粘度を下げようとあまりに高温にしすぎると、スペーサ粒子分散液やヘッドが劣化するため、60℃程度までしか加温できないためである。なお、より好ましくは、60℃程度の加温で20mPa・s未満である。
また、本発明のスペーサ粒子分散液の吐出時の粘度の好ましい下限が0.5mPa・s、好ましい上限が20mPa・sである。0.5mPa・s未満であると、吐出できても吐出量をコントロールすることが困難になる等安定的に吐出できなくなることがあり、20mPa・sを超えると、インクジェット装置で吐出できないことがある。より好ましい下限は5mPa・s、より好ましい上限は15mPa・sである。
なお、ここで吐出時の粘度とは、本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整した粘度のことである。もちろん、冷却、加温機構のないヘッドでは周囲温度のことである。
すなわちスペーサ粒子分散液の保管時の粘度は、加温冷却等による吐出時の粘度制御をするしないのいずれの場合もヘッドで吐出できる粘度の範囲で、できるだけ高い方が、沈降防止の観点から好ましい。
なお、これらの粘度はE型粘度計やB型粘度計のような通常の粘度計で、それぞれの温度(測定温度、使用温度)で測定されたものである。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤混合物の20℃における比重が、1.00g/cm3以上であることが好ましい。1.00g/cm3未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降しやすくなる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の沈降速度が30分以上であることが好ましい。上記スペーサ粒子の沈降速度は、本発明のスペーサ粒子分散液に含有される溶剤の種類及び配合量を適宜設定することにより調整することができ、上記沈降速度が150分以上であると、本発明のスペーサ粒子分散液をインクジェット装置に導入してから吐出するまでの間に、スペーサ粒子が沈降し難くなる。よって、インクジェット装置を用いて、本発明のスペーサ粒子分散液を安定に吐出することができ、基板上に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することができる。なお、本明細書において、「沈降速度」とは、内径φ5mmの試験管に本発明のスペーサ粒子分散液を高さ10cmとなるように導入した後、静置した際に、目視にて試験管底にスペーサ粒子の堆積が確認されるまでの時間をいう。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、吐出される基板に対する後退接触角(θr)が5度以上であるとなお好ましい。上記後退接触角が5度以上あれば、基板に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥し、その中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる(図1(a)参照)。また、その中心にあらかじめ、静電的に作用する力による荷電インクが着弾していたり、着弾液滴径内に段差があるとそこへのスペーサ粒子の移動がより起こりやすくなり、スペーサ粒子の配置精度がより向上する。
なお、上記「後退接触角」とは、基板上に置かれた本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分のうち80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
上記後退接触角を5度以上にする方法としては、本発明のスペーサ粒子分散液の混合溶剤の組成を調整する方法、又は、基板の表面を調整する方法等が挙げられる。
本発明のスペーサ粒子分散液の後退接触角(θr)を5度以上とするには、上記混合溶剤の混合される溶剤の中で最も沸点の高い溶剤の後退接触角(θr)が5度以上となるように混合する。最も沸点の高い溶剤の後退接触角(θr)が5度以上であると、乾燥後期で液滴径が小さくなり(基板上で液滴が縮み)、スペーサ粒子が基板上で着弾中心になお一層寄り集まりやすくなる。
なお、本発明に至る過程において、後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向があることがわかった。これは、初期の接触角は、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角はスペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。すなわち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶剤によって配向膜が損傷を受けていることを示しており、これらの溶剤を使用することが、配向膜汚染に対して、好ましくないこともわかった。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、基板面との初期接触角θが、5度以上であることが好ましい。5度未満であると、基板上に吐出された本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔が狭くならないことがある。本発明のスペーサ粒子分散液の基板面との初期接触角は、10〜110度になるように調整されることがより好ましい。110度より大きいと、少しの振動で液滴が基板上を動き回りやすく、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなったりすることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の固形分濃度の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10重量%である。0.01重量%未満であると、吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まない確率が高くなり、10重量%を超えると、インクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなることがあり、また、着弾した分散液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて、乾燥過程でスペーサ粒子の移動が起こりにくくなる。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3重量%である。
また、スペーサ粒子分散液中のスペーサは、基板のギャップ安定性のために必要な場合は、粒子径が異なる2種以上の粒子を混合して用いてもよい。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子が単粒子状に分散されていることが好ましい。本発明のスペーサ粒子分散液中にスペーサ粒子の凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合がある。
本発明のスペーサ粒子分散液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、接着性を付与するための接着成分、スペーサ粒子の分散を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤などが添加されていてもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液を基板の表面に吐出するインクジェット装置としては特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の通常の吐出方法によるインクジェット装置が用いられる。なかでも、本発明のスペーサ粒子分散液に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適に用いられる。
上記インクジェット装置の本発明のスペーサ粒子分散液を収納しているインク室の接液部は、表面張力が31mN/m以上親水性の材料で構成されていることが好ましい。その材料としては、親水性ポリイミド等の親水性の有機材料を用いたり、通常のインク室の接液部の材料からなるヘッドに親水化処理剤で処理を行ったり(接液部の材料により酸化処理や親水性有機薄膜のコーティング処理を行ったり)することもできるが、耐久性の点で無機材料が用いられる。
通常のヘッドではこの部分に電圧印加部品との絶縁等のために樹脂等が用いられているが、このような表面張力が31mN/mより低い材料では、本発明のスペーサ粒子分散液をヘッドに導入する際、スペーサ粒子分散液とのなじみが悪いので気泡が残存しやすく、気泡が残存すると気泡が残存したノズルは吐出できないことがあるので好ましくない。
また、上記インクジェット装置のノズル口径は、スペーサ粒子径に対して5倍以上が好ましい。5倍未満であると粒子径に比較しノズル径が小さすぎて吐出精度が低下したり、著しい場合はノズルが閉塞し吐出ができなくなるので好ましくない。更に好ましくは7倍以上である。なお、上記吐出精度が低下する理由は、以下のように考えられる。
すなわち、ピエゾ方式では、ピエゾ素子の振動によりピエゾ素子に近接したインク室に、インクを吸引、又は、インク室からインクをノズルの先端を通過させて吐出させている。液滴の吐出法として、吐出の直前にノズル先端のメニスカス(インクと気体との界面)を引き込んでから、液を押し出す引き打ち法とメニスカスが待機停止している位置から直接液を押し出す押し打ち法があるが、一般のインクジェット装置においては前者の引き打ち法が主流であり、これの特徴として小さな液滴が吐出できる。本発明のスペーサ粒子分散液の吐出においてはノズルの径がある程度大きく、かつ小液滴の吐出が要求されるため、この引き打ち法が有効である。
しかしながら、引き打ち法の場合、吐出直前にメニスカスを引き込むため、例えば、ノズル口径が、スペーサ粒子径の5倍未満のようなノズル径が小さい場合、図2(a)に示すように、引き込んだメニスカス2近傍にスペーサ粒子1があると、メニスカス2が軸対称に引き込まれない。よって、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液3の液滴は直進せず曲がってしまい、吐出精度が低下すると考えられる。例えば、ノズル口径がスペーサ粒子径の7倍以上のようなノズル径が大きい場合、図2(b)に示すように、引き込んだメニスカス2近傍にスペーサ粒子1があっても、スペーサ粒子1の影響を受けない。よって、メニスカス2は軸対称に引き込まれ、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液3の液滴は直進し、吐出精度がよくなると考えられる。しかしながら、吐出の際の液滴の曲がりをなくすために、不必要にノズル径を大きくすると、吐出される液滴が大きくなり着弾径も大きくなるので、荷電インクやスペーサ粒子1を配置する精度が粗くなり好ましくない。
上記ノズルから吐出される本発明のスペーサ粒子分散液の液滴量としては、10〜80pLの範囲が好ましい。液滴量を制御する方法としては、ノズルの口径を最適化する方法やインクジェットヘッドを制御する電気信号を最適化する方法がある。後者はピエゾ方式のインクジェット装置を用いた時に特に重要である。
上記インクジェット装置において、インクジェットヘッドには、上述した様なノズルが、複数個、一定の配置方式により設けられている。例えば、ヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で64個や128個設けられている。なお、これらが2列等複数列設けられている場合もある。
上記ノズルの間隔は、ピエゾ素子等の構造やノズル径等の制約を受ける。従って、本発明のスペーサ粒子分散液を、上記ノズルが配置されている間隔以外の間隔で基板に吐出する場合には、その吐出間隔それぞれにヘッドを準備するのは難しい。よって、ヘッドの間隔より小さい場合は、通常はヘッドのスキャン方向に直角に配置されているヘッドを基板と平行を保ったまま基板と平行な面内で傾けてあるいは回転させて吐出する。ヘッドの間隔より大きい場合は、全てのノズルで吐出するのではなく一定のノズルのみで吐出したり、加えてヘッドを傾ける等して吐出する。
また、生産性を上げる等のために、このようなヘッドを複数個、インクジェット装置に取り付けることも可能であるが、取り付ける数を増やすと制御の点で複雑になるので注意を要する。
図8(a)、(b)に、本発明で用いられるインクジェット装置のヘッドの一例を模式的に示す。図8(a)、(b)に示すように、ヘッド100は吸引等によって予めインクが充填されるインク室101、及びインク室101からインクが送り込まれるインク室102を備えている。ヘッド100には、インク室102から吐出面103に至るノズル孔104が形成されている。吐出面103は、インクによる汚染を防止するため、予め撥水処理がされている。ヘッド100には、インクの粘度を調整するための温度制御手段105が設けられている。ヘッド100は、インク室101からインク室102にインクを送り込むように機能し、更にインクをノズル孔104から吐出するように機能するピエゾ素子106を備えている。
ヘッド100では、温度制御手段105が設けられているため、本発明のスペーサ粒子分散液の粘度が高すぎる場合に、本発明のスペーサ粒子分散液を加熱して粘度を低下させることができ、粘度が低すぎる場合には、ペルチェにより本発明のスペーサ粒子分散液を冷却して粘度を上昇させることが可能とされている。
上記インクジェット装置を用いて本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する基板としては特に限定されず、例えば、ガラスや樹脂板等通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。
また、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて液晶表示装置を製造する場合、2枚の基板を用いるが、一方の基板としては、画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが、非画素領域を構成することになる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、基板の表面に吐出し形成した液滴を乾燥する工程において、上記液滴が完全に乾燥する前に、好ましくは、上記液滴の重量を5重量%以上減少させたときに、上記液滴中のスペーサ粒子が凝集するものであるため、インクジェット装置を用いて、基板上の目的とする位置に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することができる。
このような本発明のスペーサ粒子分散液は、本発明の液晶表示装置の製造方法に好適に用いることができる。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板又は第2の基板の表面に、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置に前記スペーサ粒子分散液の液滴を配置する工程1、前記スペーサ粒子分散液の液滴中でスペーサ粒子を凝集させる工程2、及び、前記第1の基板と前記第2の基板とを、液晶及び凝集させた前記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程3を有する。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置を製造するものである。
上記画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置としては、図9を用いて説明した構造の液晶表示装置が挙げられ、上記画素領域としては、例えば、カラーフィルタが形成された領域が挙げられ、上記非画素領域としては、例えば、ブラックマトリクスが形成された領域が挙げられる。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、第1の基板又は第2の基板の表面に、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置に前記スペーサ粒子分散液の液滴を配置する工程1を有する。
上記第1の基板又は第2の基板としては特に限定されず、液晶表示装置を構成する従来公知の、カラーフィルタ基板やTFTアレイ基板等が挙げられる。
本工程1では、上記第1の基板又は第2の基板の表面にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を吐出する。この際、基板上、特に、スペーサ粒子分散液の液滴が吐出され着弾する箇所は、スペーサ粒子分散液の初期接触角が5度以上となるように調整されるとより好ましい。
上記基板上の初期接触角を高める方法としては、基板の表面を低エネルギー表面とする方法が挙げられる。
上記基板の表面を低エネルギー表面とする方法としては、フッ素膜やシリコーン膜等の低エネルギー表面を有する樹脂を塗設する方法であってもよいが、上記基板の表面には液晶分子の配向を規制する必要があるため配向膜と呼ばれる樹脂薄膜(通常は0.1μm以下)を設ける方法が一般に行われる。
上記配向膜には、通常、ポリイミド樹脂膜が用いられ、該ポリイミド樹脂膜は、溶剤に可溶なポリアミック酸を塗設後熱重合させたり、可溶性ポリイミド樹脂を塗設後乾燥させることにより得られる。
これらのポリイミド樹脂としては、長鎖の側鎖、主鎖を有するものが、低エネルギー表面を得るのにより好ましい。
また、上記配向膜は、液晶の配向を制御するため、塗設後、表面がラビング処理される場合がある。なお、上述のスペーサ粒子分散液の媒体は、この配向膜中に浸透したり溶解したりして配向膜汚染性が無いものを選ぶ必要がある。
なお、本発明においては、スペーサ粒子分散液が吐出される第1の基板又は第2の基板には、非画素領域に対応する領域中で、低エネルギー表面を有する箇所があり、着弾後の液滴が低エネルギー表面を有する箇所に存在するように、スペーサ粒子分散液の液滴を着弾させる。ここで、非画素領域に対応する領域とは、非画素領域(カラーフィルタ基板であれば上述のブラックマトリックス)、あるいは、もう一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)上で、その基板を非画素領域を有する基板と重ね合わせた際、その非画素領域を有する領域に対応する領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のいずれかを指す。
上記低エネルギー表面を有する箇所の表面エネルギーは、45mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは40mN/m以下である。45mN/mを超えると、インクジェット装置で吐出できる程度の表面張力を有するスペーサ粒子分散液を使用する限り、その液滴が基板上で濡れ拡がりスペーサ粒子が非画素領域からはみ出すことになる。
上記配向膜を塗る等して得られる低エネルギー表面は、スペーサ粒子が着弾する箇所だけであってもよいし、基板全面であってもよい。パターニング等の工程を考えると通常は全面が低エネルギー表面とされる。
また、本発明において、スペーサ粒子分散液が吐出される第1の基板又は第2の基板には、非画素領域に対応する領域中で、低エネルギー表面を有する箇所があり、着弾後の液滴が、低エネルギー表面を有する箇所に存在するようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させているが、そこには、周囲と段差を有する箇所が含まれていてもよい。また、段差を有する箇所のみに荷電インクが吐出乾燥させられているとなお好ましい。
なお、ここでいう段差とは、基板上に設けられた配線等によって生じる非意図的な凹凸(周囲との高低差)、あるいは、本発明のようにスペーサ粒子を集めるために意図的に設けられた凹凸をいい、凸凹表面下の構造は問わない。従ってここでいう段差は、表面凹凸形状における凹部又は凸部と平坦部(基準面)との段差をいう。
具体的には、例えば、TFT液晶パネルでのアレイ基板では、図3(a)〜(c)に示されているようなゲート電極やソース電極による段差(0.2μm程度)、図3(g)に示されているようなアレイによる段差(1.0μm程度)等が挙げられる。更に、カラーフィルタ基板では。図3(d)〜(f)、(h)に示されているようなブラックマトリックス上での画色カラーフィルタ間の凹部段差(1.0μm程度)等が挙げられる。
本発明では、スペーサ粒子径をD(μm)、段差をB(μm)とすると、段差は0.01μm<|B|<0.95Dの関係があるような段差であることが好ましい。0.01μmより小さいと、段差周辺にスペーサ粒子を集めることが困難になることがあり、0.95Dを超えるとスペーサ粒子による基板のギャップ調整効果が得にくくなることがある。
なお、段差の作用については、段差が有る場合、乾燥の最終段階で液滴乾燥中心が段差部に擬似的に固定されるので、着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥した後、スペーサ粒子を非画素領域に対応する領域中にある段差周辺のごく限られた位置に集めることができると説明される。
この場合、図4に示されているように、スペーサ粒子11が乾燥後、最終的に残留する位置は、凸部ならば角で、凹部であればそのくぼみの中であることが多い。
また、段差の作用に関しては、配線等の段差部分又は配向膜等の薄膜を挟んでその近傍に金属があり、スペーサ粒子に表面修飾がされていたり、帯電制御剤が含有されている場合、静電的相互作用いわゆる静電的な「電気泳動」効果により液滴中で粒子がその部分に移動、吸着されていくとも考えられる。この場合、金属種や、例えば、イオン性の官能基を使用する等して配線等の表面処理に使用される化合物の官能基等を変えたり、帯電制御剤の種類を調整しながら加えたり、あるいは、ソース配線やゲート配線等の配線や基板全面に回路が破損しない程度の正又は負の電圧を印加したりする。このようにすると、スペーサ粒子の寄り集まりを制御することができる。
本工程1では、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を上述した基板の非画素領域に対応する特定の位置に吐出する。具体的には、上記スペーサ粒子分散液を基板の表面の非画素領域を含むような位置に吐出する。
本工程1では、上記スペーサ粒子分散液は下記式(1)以上の間隔をもって基板に対して吐出することが好ましい。なお、この間隔は、着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しない間に次の液滴が吐出される場合のそれら液滴間の最低間隔である。
上記式(1)中、Dはスペーサ粒子の粒子径(μm)を表し、θはスペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角を表す。
上記式(1)よりも小さな間隔で吐出しようとすると、液滴径が大きいままなので着弾径も大きくなり液滴の合着が起き、乾燥過程でスペーサ粒子の凝集方向が一カ所に向かって起こらなくなる。結果として、乾燥後のスペーサ粒子の配置精度が悪くなる問題が発生する。また、吐出液滴量を小さくしようとしてノズル径を小さくすると、相対的にスペーサ粒子径がノズル径に対して大きくなるため、本発明のスペーサ粒子において説明したように、インクジェットヘッドノズルより安定的に、例えば、常に同一方向に直線的にスペーサ粒子を吐出できず、飛行曲がりにより着弾位置精度が低下する。また、スペーサ粒子によってノズルが閉塞する場合がある。なお、図11は、上記方法によりスペーサ粒子分散液を基板に吐出し、後述する乾燥を経て配置する様子を示す模式図である。
ただし、ある一方向のみ液滴を重ねて配置することは、表面状態次第では可能である。すなわち、好ましくは接触角や後退接触角があまり高くない基板表面上では、液滴が、円上に合着していくのではなくその方向のみにしか合着せず、棒状に合着するので、乾燥後、その方向のみにスペーサを、線状あるいは破線状に配置することが可能となる。図12は、このような方法によりスペーサ粒子分散液を基板に吐出し、後述する乾燥を経て配置する様子を示す模式図である。
上記式(2)のようにして吐出されて基板上に配置されるスペーサ粒子の配置個数(散布密度)は、通常50〜1000個/mm2であることが好ましい。より好ましくはは50〜350個/mm2である。また、散布密度は、配置する基板や、得ようとするギャップと使用するスペーサの粒子径の差等により適宜調整される。一般的にスペーサの変形量(得ようとするギャップと使用するスペーサの粒子径の差)をできるだけ小さくしたいと考える場合は、散布密度の適正値は150〜1000個/mm2であることが好ましい。これらの粒子密度を満たす範囲であれば、ブラックマットリックス等の非画素領域や配線等の非画素領域に対応する領域のどのような部分にどのようなパターンで配置しても構わない。しかしながら、表示部(画素領域)へのはみ出しを防止するため、格子状の遮光領域(非画素領域)からなるカラーフィルタに対しては、一方の基板上のその格子状の遮光領域の格子点に対応する箇所を狙って配置することがより好ましい。
なお、1カ所の配置位置におけるスペーサ粒子の個数は、配置箇所毎に違うが、一般的には0〜20個程度であって、平均個数として、2〜6個程度である。その平均個数は、スペーサ粒子の粒子径及びスペーサ粒子分散液の濃度により調整される。
また、このように、スペーサ粒子分散液を吐出し液滴を基板上に着弾させるには、インクジェットヘッドのスキャンを1回で行うことも、複数回に分けて行うこともできる。特に、スペーサ粒子を配置しようとする間隔が上記式(2)よりも狭い場合は、その間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させてから、その間隔分だけずらして、再度吐出するなどしてもよい。移動(スキャン)方向に関しても、1回毎に交互に変えて(往復吐出)吐出することもでき、片方向に移動時のみ吐出(単方向吐出)することもできる。
更に、このような配置方法として、特願2000−194956号にあるように、ヘッドを基板面に対する垂線と角度を持つように傾け、液滴の吐出方向を変え(通常は基板面に対する垂線と平行)、更にヘッドと基板との相対速度をコントロールする。このようにすることで、着弾する液滴径を小さくし、より一層非画素領域又はそれに対応する領域中にスペーサ粒子を配置しやすくすることも可能である。
本工程1においては、スペーサ粒子分散液を基板上に着弾させた時の基板表面温度は、スペーサ粒子分散液に含まれる最も低沸点の溶剤の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。最も低沸点の溶媒の沸点より20℃低い温度より高くなると、最も低沸点の溶媒が急激に揮散し、スペーサ粒子が移動できないばかりでなく、著しい場合は溶剤の急激な沸騰で液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下することがある。より好ましくは、室温付近(15〜35℃)である。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記スペーサ粒子分散液の液滴中でスペーサ粒子を凝集させる工程2を有する。
本工程2は、工程1で基板上の非画素領域に対応する特定の位置に配置したスペーサ粒子分散液の液滴中でスペーサ粒子を凝集させる。具体的には、上記液滴中の溶剤を乾燥させる。スペーサ粒子分散液として、上述した本発明のスペーサ粒子分散液を用いることにより、このような液滴の乾燥によりスペーサ粒子を凝集させることができる。
上記液滴を乾燥させる方法としては特に限定されず、例えば、上記基板を加熱したり、熱風や冷風を吹き付けたり減圧乾燥する方法が挙げられる。しかしながら、スペーサ粒子を本工程2で液滴の着弾中心付近に寄せ集めるためには、溶剤の沸点、乾燥温度、乾燥時間、溶剤の表面張力、溶剤の配向膜に対する接触角、スペーサ粒子の濃度等を適当な条件に設定することが好ましい。
上記スペーサ粒子を本工程2で液滴の中で凝集させるためには、スペーサ粒子が基板上を移動する間に溶剤がなくならないように、ある程度の時間幅をもって乾燥する。このため、溶剤が急激に乾燥する条件は好ましくない。
また、溶剤は、高温で配向膜と接触すると、配向膜を汚染して液晶表示装置としての表示画質を損なうことがあるため好ましくない。従って、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは60℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を損傷して液晶表示装置の表示画質を損なうことがある。
上記溶剤として室温で著しく揮発しやすいものや、激しく揮発するような条件下でそれらの溶剤を使用すると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損なうので好ましくない。また、分散液の製造時やタンクで乾燥によってスペーサ粒子の凝集が生成する可能性があるので好ましくない。
また、上記基板温度が比較的低い条件であっても、乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産効率が低下するだけでなく、スペーサ粒子分散液の溶剤が長時間、配向膜と接触することによる配向膜の汚染や損傷が発生するので好ましくない。
また、本工程2で、基板温度を徐々に上昇させながら液滴を乾燥させる際には、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下が好ましく、更に好ましくは60℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を損傷して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
このように、配向膜の損傷を防止するための乾燥方法としては、できるだけ低温で、短時間に乾燥完了させることが好ましい。具体的には、基板の表面温度を60℃以下にし、液滴が接触してから5秒から4分以内(更に好ましくは5秒から2分以内)に液滴を乾燥させてしまうことが好ましい。あまりに短時間で乾燥させてしまうと上述したようにスペーサ粒子の凝集が悪化するし、長時間かかると配向膜が損傷することがある。
これを達成する手段としては、液滴近傍の溶剤蒸気を速やかに取り除く、すなわち、風を当てたり、減圧下で乾燥を行ったりする方法が挙げられる。ただし、その風量は、あまり強すぎるとスペーサ粒子が液滴内を動き回り、結果としてスペーサ粒子の凝集が阻害されるので、風量は適宜調整する必要がある。
また、配向膜の種類によっては、スペーサ粒子の凝集をよくするために、90℃を超える高温で短時間で乾燥してもよい。具体的には、100〜150℃で5〜20秒程度の乾燥を行うことが好ましい。
なお、本発明中でいう乾燥完了とは基板上の液滴の溶剤が消失した時点をいう。
本工程2では、上記液滴の乾燥完了後、スペーサ粒子の基板に対する固着性を高めたり、残留溶剤を除去したりするため、より高い温度(120〜230℃程度)に基板を加熱してもよい。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記第1の基板と上記第2の基板とを、液晶及び凝集させた上記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程3を有する。
本工程3は、具体的には、上記工程2でスペーサ粒子を配置した基板を、スペーサ粒子が配置されていない基板と周辺シール剤とを用いて加熱圧着し、形成された基板間の空隙に液晶を充填し、液晶表示装置を製造する(真空注入法)。あるいは、片方の基板に周辺シール剤を塗布し、それに囲まれた範囲内に液晶を滴下し、もう一方の基板と貼り合わせて、シール剤を硬化させ、液晶表示装置を製造する(液晶滴下工法)。この場合、いずれの基板にスペーサ粒子が配置されてもよい。
本発明の液晶表示装置の製造方法によると、スペーサ粒子分散液を基板の表面に吐出し形成した液滴中のスペーサ粒子を凝集させる工程2により、スペーサ粒子を目的とする液晶表示装置の非画素領域に好適に配置することができる。特に上記スペーサ粒子分散液として、本発明のスペーサ粒子分散液を用いることで、製造する液晶表示装置は、画素領域にスペーサ粒子が配置されることがなく、表示品質に優れたものとなる。
このような本発明のスペーサ粒子分散液又は本発明の液晶表示装置の製造方法を用いてなる液晶装置も、本発明の1つである。