JP4599484B2 - 硬化性樹脂組成物及びそれを用いて形成したフォトスペーサを有するカラーフィルタ - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、重合開始剤(C)を含有してなり、かつ、硬化物とした際のtanδ値が0.1以下であることを特徴とするフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、上記カラーフィルタ上に形成されたフォトスペーサの、25℃における0.2から0.8mN/μm2の圧力に対する弾性復元率[弾性変形量(μm)/総変形量(μm)×100]が50%以上であり、かつ、総変形量が該フォトスペーサの高さの20%になるまで変形するように荷重した際の塑性変形量が該フォトスペーサの高さの10%以下であることを特徴とする上記カラーフィルタに関する。
本発明のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物は、多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、及び重合開始剤(C)を含有してなる組成物であり、かつ、硬化物とした際のtanδ値が0.1以下となる組成物である。
また、当該フォトスペーサ用硬化性樹脂組成物は、液晶表示装置を構成するカラーフィルタ側基板もしくはTFT側基板にフォトスペーサを形成する際に用いるものである。
(A)中の当該多環状骨格基の濃度は、0.1mmol/g以上、3mmol/g以下が好ましく、さらに好ましくは0.2mmol/g以上、2.5mmol以下、特に好ましくは0.3mmol/g以上、2mmol/g以下である。3mmol/gを超えると現像性が低下し易くなる傾向があり、0.1mmol/g未満であると弾性復元率向上の効果が発現しにくくなる傾向がある。
(A)のSP値は、好ましくは7以上、14以下、より好ましくは8以上、13以下、さらに好ましくは11以上、13以下である。SP値が7未満であると現像性が低下し易くなる傾向があり、14を超えると硬化物が吸水して樹脂強度が低下し易くなる傾向がある。
なお、SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
ただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の、原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計(ΔH)と、モル体積(△vi)の合計(V)を用いることができる。この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(分散性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
(A)の小田法によるHLB値は、好ましくは7〜19、より好ましくは8〜18、さらに好ましくは10〜18である。7未満では現像を行う際に現像性が低下し易くなる傾向があり、19を超えると硬化物が吸水して樹脂強度が低下し易くなる傾向がある。
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
感光性基とは、光ラジカル発生剤や、光酸発生剤により発生した活性種によって重合し得る反応性基を意味し、例えば、エポキシ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、ビニルオキシカルボニル基、(メタ)アリルオキシ基、(メタ)アリルオキシカルボニル基、アルキルイミノ基、プロペニルオキシ基、1−オキサ−2−オキソ−3−ブテニレン基及びプロペニルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらのうち、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、(メタ)アリルオキシ基及びプロペニルオキシ基が好ましく、さらに好ましくはエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基である。
(A)中の当該ウレタン基の濃度は、0.1mmol/g以上、5mmol/g以下が好ましく、さらに好ましくは0.2mmol/g以上、4.5mmol/g以下、特に好ましくは0.3mmol/g以上、4mmol/g以下である。5mmol/gより多くの導入は難しい傾向があり、0.1mmol/g未満であると充分な現像性が得られにくくなる傾向がある。
ビニル硫酸(AA4−1)としては、放射線重合性基及びスルホ基を含む炭素数2〜50(好ましくは2〜20)の化合物等が使用できる。例えば、ビニルスルホン酸(エチレンスルホン酸)、(メタ)アリルスルホン酸(2−プロペンスルホン酸又は2−メチル−2−プロペンスルホン酸)、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等が挙げられる。
アミド基含有ビニルモノマー(AA6−2)としては、アミド基とビニル基とを含有する炭素数3〜50(好ましくは3〜20)のモノマー等が使用できる。例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−i−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド等が挙げられる。
4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(AA6−4)としては、炭素数6〜50(好ましくは8〜20)の第3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(例えば、メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド及びジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの等)等が使用できる。例えば、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ニトロ基含有ビニルモノマー(AA6−5)としては、ニトロ基とビニル基とを含有する炭素数6〜50(好ましくは6〜20)のモノマー等が使用できる。例えば、ニトロスチレン、ジニトロスチレン等が挙げられる。
(AA8)としては、ビニル基とエステル結合とを含有する炭化水素(炭素数4〜50(好ましくは6〜20)等が使用できる。例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
(AA9)としては、炭素数3〜50(好ましくは6〜20)のエーテル結合を有するビニル基含有炭化水素等が使用できる。例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル等が挙げられる。
(AA10)としては、炭素数6〜50のビニルケトン等が使用できる。具体的には、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(AA12)としては、エポキシ基とビニル基とを含有する炭化水素(炭素数6〜50(好ましくは6〜20))等が使用できる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(AA13)としては、イソシアネート基とビニル基とを含有する炭化水素(炭素数4〜50(好ましくは4〜20))等が使用できる。具体的には、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラジカル共重合の方法としては、(a)及び(AA)を、必要により溶剤(D)で希釈した後、ラジカル重合開始剤(G)によって重合を行うものである。
溶剤(D)を使用する場合、その使用量は特に限定されないが、(a)及び(AA)の合計100重量部に対して、好ましくは1〜400重量部、さらに好ましくは5〜300重量部、特に好ましくは10〜200重量部である。
過酸化物としては、例えばt−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)及び2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものとしてはアゾ化合物である。
反応温度は、ラジカル重合開始剤の種類により適宜決定される。
(PS1)としては、(AA5)と同様のものが使用できる。(PS2)としては、(AA12)と同様のものが使用できる。(PS3)としては、(AA13)と同様のものが使用できる。
これらのうち好ましいものは(PS2)及び(PS3)、特に好ましいものは(PS3)である。具体的には、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
加熱する場合の温度としては、反応の進行しやすさに応じて適宜決定されるが、通常反応温度は50℃以上、90℃以下である。また、反応時間は1〜6時間である。
例えば、感光性基含有化合物(PS)が上記(PS1)、(PS2)及び(PS3)の場合、金属触媒、アミン系触媒等が使用できる。
(BB12)としては、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4〜6官能(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
(BB13)としては、例えば特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載のもの等が挙げられる。
市場から容易に入手できるエチレン性不飽和化合物(B)の具体例としては、例えば、アロニックスM−101、M−208、M−240、M−305、M−400(以上、東亞合成製)、DA−600(三洋化成製)等が挙げられる。
なお、当該SP値の求め方は前述のとおりである。
好ましくは、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等である。
好ましくは、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等である。
無機微粒子としては、金属酸化物(E1)及び金属塩(E2)が使用できる。
(E1)としては、公知のものが利用でき、具体的には例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。
(E2)としては、公知のものが利用でき、具体的には例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
これら無機微粒子の中で、耐熱性及び耐薬品性の観点から、金属酸化物が好ましく、さらに好ましいものとしては、酸化ケイ素及び酸化チタンが挙げられる。特に好ましいものとしては、酸化ケイ素が挙げられる。
増感剤としては、ニトロ化合物(例えば、アントラキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、ベンズアントロン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、クロラニル等のカルボニル化合物、ニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン及び2−ニトロフルオレン等)、芳香族炭化水素(例えば、アントラセン及びクリセン等)、硫黄化合物(例えば、ジフェニルジスルフィド等)及び窒素化合物(例えば、ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−ニトロ−2−アミノトルエン及びテトラシアノエチレン等)等が用いられる。
増感剤を使用する場合、増感剤の配合量は、重合開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜80重量部、特に好ましくは1〜70重量部である。
重合禁止剤を使用する場合、重合禁止剤の配合量は、硬化性樹脂組成物の(A)、(B)及び(C)の合計100重量部に対して、0.01〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜1.0重量部である。
溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、50〜1,000重量部が好ましく、さらに好ましくは70〜900重量部、特に好ましくは80〜800重量部である。
また、当該tanδは、好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.06以下、特に好ましくは0.04以下である。tanδが0.1を超えると弾性復元率が低下する。
ここで、損失弾性率及び貯蔵弾性率は、例えば動的粘弾性測定法によって測定することができる。
動的粘弾性測定法とは、試験片の機械的物性を知るために、試験片に負荷として振動を加える方法である。試験片は、加振の動きに対して、やや遅れて動き、このずれが試験片のひずみとして得られる。また、加振の際に応力が算出される。応力とひずみから、弾性率が計算でき、振動運動であるため、応力は三角関数で表され、ひずみは複素数で表される。複素数で得られた式を分解、計算を行うことで、試験片の損失弾性率及び貯蔵弾性率を求めることができる。
ここでいう本発明における「弾性復元率」とは、硬化樹脂の荷重による変形が、どの程度元に戻るかについての指標である。
硬化樹脂の試験片の表面に、一定形状の圧子を用いて荷重をかけ、その試験片の膜厚の20%に相当する距離(x)まで一定の増圧速度で圧子を押し込み、1秒間保持した後、今度は一定の減圧速度で荷重を除き、30秒間待った時点で、初期位置からこの荷重を除いて30秒間後の圧子の位置までの距離(y)から、次式により当該弾性復元率を求める。
弾性復元率(%)=((x)−(y))/(x)×100
また必要に応じて、任意のパターンで露光後、現像して用いることもできる。
活性光線としては、可視光線、紫外線、レーザー光線等が挙げられる。光線源としては、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、半導体レーザー等が挙げられる。
有機高分子フィルムとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等からなる、合成樹脂フィルムが挙げられる。
塗布装置としては、公知の塗布装置が使用でき、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
乾燥時間は、30秒以上が好ましく、さらに好ましくは1分以上、特に好ましくは2分以上であり、また10分以下が好ましく、さらに好ましくは8分以下、特に好ましくは5分以下である。
乾燥は、減圧、常圧どちらで行ってもよいが、減圧で行う方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中で行う方が好ましい。
現像液としては、前述の溶剤(D)、PH4〜11の水等が挙げられる。PH4〜11の水としては、水を主成分として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸等や、界面活性剤、水溶性有機溶剤等を含有したものが挙げられる。
界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が使用できる。
水溶性有機溶剤としては、前述の溶剤(D)のうち水溶性のものを用いることができる。
現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式が好ましい。現像液の温度は、通常25〜40℃である。現像時間は、膜厚や、レジストの溶解性に応じて適宜決定される。
ベークは、減圧、常圧どちらで行ってもよいが、減圧で行う方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中で行う方が好ましい。
特に、フォトスペーサ、感光性レジストフィルム、フォトレジスト、感光性樹脂凸版、スクリーン版、光接着剤、ハードコート剤の感光層等として好適である。
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に所定のパターンで形成された複数の着色層と、その上にパネル作製時に一定のセルギャップを保持する為に形成されたフォトスペーサを有し、かつ、当該フォトスペーサが上述のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物で形成されてなるものである。
図1において、本発明のフォトスペーサ付きカラーフィルタ1は、透明基板2と、この基板2上に形成されたブラックマトリックス3、及び、赤色画素(4−1)、緑色画素(4−2)及び青色画素(4−3)からなる着色層4を備え、その上に透明共通電極となる酸化インジウム−スズ(ITO)が蒸着されている。さらに、ブラックマトリックス3の所定の位置に、本発明の硬化性樹脂組成物によりフォトスペーサ5が形成されている。
着色層に用いられる顔料としては、例えば、赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」);緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」);青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)、C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタにおいては、上述の本発明のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いて、フォトスペーサを形成するものである。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩の水溶液、ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、ヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機塩の水溶液を用いることができる。これらを単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、当該弾性復元率の測定は、25℃において、0.2から0.8mN/μm2の圧力をそれぞれかけて、その弾性復元率[(弾性変形量(μm)/総変形量(μm))×100]を求めることにより行うことができる。具体的には、実施例に記載のとおりである。
ここで「塑性変形量」とは、荷重により変形し、荷重を除いても元に戻らない変形量を意味する。
なお、当該塑性変形量の測定は、前述した弾性復元率の測定において、荷重を除き、30秒待った時点のフォトスペーサの高さを測定することにより行うことができる。
荷重前のフォトスペーサの高さを(y0)、荷重除去30秒後の高さを(y)とすると、塑性変形量は(y0)−(y)である。また、次式により、塑性変形量が、荷重前のフォトスペーサの高さの何%であるかを求めることができる。
((y0)−(y))/(y0)×100
なお、以下において、「部」は重量部を意味する。
<製造例1>
コルベンに、イソボルニルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部、メタクリル酸20部、シクロヘキサノン150部を仕込み、80℃まで加熱した。あらかじめ作成しておいたアゾビスイソブチロニトリル(V−60:和光純薬製、以下AIBNと称す)5部をシクロヘキサノン50部に溶解した溶液55部を10分間で滴下し、3時間反応させた。その後、シクロヘキサノンで樹脂濃度が25重量%となるように希釈し、60℃に温度調節した。このポリマー溶液に、イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、以下MOIと称す)22.5部、ジブチルスズジラウレート1.1部、ヒドロキノン1.1部を仕込み、2時間反応させ、目的の親水性ポリマー(A−1)のシクロヘキサノン溶液を得た。
イソボルニルメタクリレート30部の代わりに、イソボルニルメタクリレート10部及びブチルメタクリレート20部を用いた以外は、製造例1と同様にして、目的の親水性ポリマー(A−2)のシクロヘキサノン溶液を得た。
イソボルニルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部の代わりに、イソボルニルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部を用いた以外は、製造例1と同様にして、目的の親水性ポリマー(A−3)のシクロヘキサノン溶液を得た。
イソボルニルメタクリレートをブチルメタクリレートに置き換えた以外は、製造例1と同様にして、比較のための親水性ポリマー(A′−1)のシクロヘキサノン溶液を得た。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、GPC法により測定されるポリスチレン換算の値として求めた。
SP値、HLB値は、前述のようにして求めた。
酸価は、JIS K 6901;1999(5.3酸価)に準拠して測定して求めた。
サンプル形状:長さ15mm×幅2mm×厚さ0.040mm
測定条件:荷重は49mN(引張)
温度は30℃〜230℃まで10℃/分で昇温
振動数は0.02Hz
ガラス製の容器に、上記で製造した実施例のためのポリマー(A−1)〜(A−3)、比較例のためのポリマー(A′−1)をそれぞれ160部、エチレン性不飽和化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DA−600、三洋化成製)40部、重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバガイギー社製)10部、固形分濃度が25重量%のシリカのナノフィラー(体積平均一次粒子経:40nm)シクロヘキサノン分散液40部を加え、均一になるまで撹拌し、さらに、適当な粘度になるように溶剤(シクロヘキサノン)を加え、実施例1〜3の硬化性樹脂組成物、及び比較例1の硬化性樹脂組成物を得た。
また、得られた各硬化性樹脂組成物を硬化させたもののtanδについて、上記と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
カラーフィルタ作製に用いる着色材料を着色する着色剤としては、以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、及びC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、及びC.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)、及びC.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
それぞれの上記顔料を用いて、赤色・緑色・青色の着色材料を作製した。
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 18重量部
赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 2重量部
アクリルワニス(固形分20重量%) 108重量部
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色材料を得た。
上記分散体 150重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 13重量部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤 3重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 1重量部
シクロヘキサノン 253重量部
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色材料と同様の方法で作製した。
緑色顔料:C.I.Pigment Green 36 16重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 150 8重量部
アクリルワニス(固形分20重量%) 102重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 14重量部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤 4重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
組成がそれぞれ下記組成となるように、赤色着色材料と同様の方法で作製した。
青色顔料:C.I.Pigment Blue 15 50重量部
紫色顔料:C.I.Pigment Violet 23 2重量部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 6重量部
アクリルワニス(固形分20重量%) 200重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19重量部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤 4重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 214重量部
得られた着色材料を用いて、以下のようにして着色層を形成した。
予めブラックマトリックスを形成したガラス基板に、赤色着色材料をスピンコートにより、仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃で5分間乾燥後、着色層形成用のストライプ状フォトマスクを通して、高圧水銀灯の光を300mJ/cm2照射し、アルカリ現像液にて60秒間現像して、ストライプ形状の赤色の着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
次に、緑色着色材料も同様にスピンコートにより、仕上り膜厚が1.8μmとなるように塗布した。90℃で5分間乾燥した後、前述の赤色着色層と隣接した位置にパターンが形成されるように、フォトマスクを通して露光し現像することで、緑色着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
さらに、青色着色材料についても、赤色、緑色と全く同様にして、仕上り膜厚が1.8μmで、赤色、緑色の着色層と隣接した青色着色層を得た。その後、230℃で30分間焼成した。
これにより、透明基板上に赤、緑、青3色のストライプ状の着色層を持つカラーフィルタが得られた。
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤(花王・ペリレックスNBL) 8.0重量%
水 90重量%
上記実施例1〜3、比較例1で得られた、フォトスペーサ用硬化性樹脂組成物を、上述のITO付きカラーフィルタ上に、仕上り膜厚が5μmになるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥した。フォトスペーサ形成用のフォトマスクを通して、高圧水銀灯の光を150mJ/cm2照射した。なお、フォトマスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後、カラーフィルタの作製と同様の現像液を用いて、現像をした。水洗を施した後、230℃で30分間ポストベークして、フォトスペーサをカラーフィルタにおけるブラックマトリックス上に形成した。フォトスペーサの上底面積は150μm2、下底面積は400μm2、高さは5μmであった。
上記のようにして得られたフォトスペーサの弾性特性を、フィッシャースコープH−100(フィッシャーインストルメンツ製)、断面が正方形の平面圧子(50μm×50μm)を用いて評価を行った。
弾性特性は、図2に示すように、上記平面圧子を用い、1μmまで変形するように一定の速度で圧力を掛け、1秒間保持した後、一定の速度で圧力を開放し、30秒間経った場合の、荷重と変形量とのヒステリシス曲線から、総変形量T0、塑性変形量T1、弾性変形量T2をまず求めた。次いで、0.2〜0.8mN/μm2の圧力範囲での弾性復元率[T2/T0×100]、及び、総変形量がフォトスペーサの高さtの20%になったときの塑性変形量が、圧力を掛ける前のフォトスペーサの高さの何%であるかを示す値[T1/t×100]を算出した。その結果を表2に示す。
2: 透明基板
3: ブラックマトリックス
4: 着色層
4−1: 赤色画素
4−2: 緑色画素
4−3: 青色画素
5: フォトスペーサ
Claims (8)
- 多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、重合開始剤(C)を含有してなり、かつ、硬化物とした際のtanδ値が0.1以下であり、
前記親水性ポリマー(A)は、多環環状骨格とエチレン性不飽和基とを含むモノマー(a)及びエチレン性不飽和基を含むモノマー(AA)としての(メタ)アクリル酸エステル(AA2)のみからなる共重合体であり、
(a)はイソボルニルメタクリレートであり、
(AA2)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又はブチルメタクリレートであることを特徴とするフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。 - 多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)中の多環環状骨格の濃度が、0.1mmol/g以上、3mmol/g以下である請求項1記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。
- 多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)が、さらに感光性基を有することを特徴とする請求項1又は2記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。
- 多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)中の感光性基の濃度が、0.1mmol/g以上、4mmol/g以下である請求項3記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。
- 多環環状骨格を有する親水性ポリマー(A)のSP値が7以上、14以下であり、かつ、HLB値が7以上、19以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。
- エチレン性不飽和化合物(B)のSP値が7以上、14以下である請求項1〜5のいずれかに記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物。
- 透明基板上に所定のパターンで形成された複数の着色層と、その上にパネル作製時に一定のセルギャップを保持する為に形成されたフォトスペーサを有するカラーフィルタにおいて、該フォトスペーサが請求項1〜6のいずれかに記載のフォトスペーサ用硬化性樹脂組成物で形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ。
- カラーフィルタ上に形成されたフォトスペーサの、25℃における0.2から0.8mN/μm2の圧力に対する弾性復元率[弾性変形量(μm)/総変形量(μm)×100]が50%以上であり、かつ、総変形量が該フォトスペーサの高さの20%になるまで変形するように荷重した際の塑性変形量が該フォトスペーサの高さの10%以下であることを特徴とする請求項7記載のカラーフィルタ。
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