以下、本発明の詳細を説明する。
図1は、第1の発明の一実施形態に係る液晶表示装置の製造方法により構成される液晶表示装置を模式的に示す正面断面図である。
図1に示すように、液晶表示装置1では、第1,第2の基板2,3が対向されている。図19に示した従来の液晶表示装置200の場合と同様に、第2の基板3を構成している透明基板4の内面には、カラーフィルタ5及びブラックマトリックス6が形成されている。カラーフィルタ5及びブラックマトリックス6を覆うようにオーバーコート層7が形成されている。オーバーコート層7上には、透明電極8が形成されている。また、透明電極8を覆うように配向膜9が形成されている。
他方、第1の基板2を構成している透明基板11の内表面には、カラーフィルタ4と対向する位置において、複数の凸部12A〜16Aが形成されている。複数の凸部12A〜16A間の複数の凸部非形成部分17A〜20Aは、ブラックマトリックス6と対向する位置に形成されている。凸部13A〜15Aの表面には、透明電極21が形成されている。透明基板11の内表面と透明電極21とを覆うように、ほぼ一定の厚みの配向膜22が形成されている。よって、配向膜22が形成された後にも、第1の基板2の内面には、複数の凸部12〜16及び複数の凸部非形成部分17〜20が形成されている。凸部12〜16の高さは、スペーサ粒子の高さよりも低くされている。
なお、第1,第2の基板2,3の外面には、それぞれ偏向板23,24が積層されている。
第1の基板2と第2の基板3とは、それぞれの外周縁近傍によって、シール材25を介して接合されている。第1の基板2と第2の基板3とにより囲まれた空間に、液晶26が封入されている。さらに、凸部非形成部分17〜20とブラックマトリックス6との間、すなわち画素領域を画する領域に複数のスペーサ粒子27が配置されている。よって、スペーサ粒子27により第1,第2の基板2,3の間隔が規制されて、適正な液晶層の厚みが維持されている。
以下、上述した液晶表示装置1の製造方法をより詳細に説明する。
図2は、凸部非形成部分を隔てて凸部が形成されている第1の基板の表面に液滴を着弾させて、画素領域を画する領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置する工程を説明するための模式的平面図である。図2には、凸部13,14と該凸部13,14間の凸部非形成部分18とが拡大されて示されている。図2には、液滴31が吐出された直後の状態と、液滴31を乾燥させた後の状態とが示されている。
図2に示されているように、凸部13と凸部14とは、凸部非形成部分18を隔てて形成されている。凸部非形成部分18を挟んでいる凸部13,14間の距離は、液滴31の着弾径よりも短くされている。
第1の発明に係る製造方法では、凸部非形成部分18と、凸部13,14の凸部非形成部分18に臨んでいる部分13a,14aとを含むように、液滴31を着弾させる。液滴31が着弾すると、上記臨んでいる部分13a,14aに液滴31の固定力が最も強く働く。よって、この固定力により、液滴31は乾燥するにつれて凸部非形成部分18に集まることになる。よって、液滴31が乾燥した後は、凸部非形成部分18、すなわち画素領域を画する領域にスペーサ粒子27が配置されることになる。
図2に示されているように、凸部13,14の凸部非形成部分18に臨んでいる部分13a,14aの幅方向寸法は、液滴31の着弾径よりも短くされていることが好ましい。液滴31の着弾径よりも短くされていると、凸部非形成部分18をより一層狭い領域とすることができ、スペーサ粒子27をより一層高精度に配置することができる。
図2に示されているように、着弾したときの液滴31の外周縁は、凸部13,14の外表面を横切っていることが好ましい。液滴31の外周縁が凸部13,14の外表面を横切っている場合には、上記臨んでいる部分13a,14aに働く液滴31の固定力と、他の部分に働く液滴31の固定力との差が大きいため、スペーサ粒子27を凸部非形成部分18により一層確実に集めることができる。
図3(a),(b)に、第1の発明に係る製造方法に用いる基板上の凸部の形状の変形例を示す。上記実施形態では、凸部非形成部分18は2つの凸部13,14により形成されていたが、本変形例のように、凸部非形成部分38は複数の凸部35〜37により形成されていてもよい。図3(a),(b)に示されている変形例では、複数の凸部35〜37が凸部非形成部分38を隔てて形成されている。凸部35と凸部36,凸部36と凸部37、および凸部37と凸部35との間の距離はいずれも液滴31の着弾径よりも短くされている。
複数の凸部35〜37が凸部非形成部分38を隔てて形成されていると、複数の凸部35〜37の凸部非形成部分38に臨んでいる部分35a〜37aにおいて液滴31の固定力がより一層強く働くため、液滴31が乾燥するにつれて凸部非形成部分38により一層集まり易くなる。よって、凸部非形成部分38にスペーサ粒子27をより一層確実に配置することができる。
なお、図3(a),(b)に示されているように、凸部非形成部分38を隔てて複数の凸部35〜37に形成されている場合には、複数の凸部35〜37間のなす角度は、特に限定されず、図3(b)に示されているように各凸部35〜37間でほぼ一定とされていてもよく、図3(a)に示されているように各凸部35〜37間で異ならされていてもよい。
第1の発明に用いられる基板上の凸部の横断面形状は特に限定されず、図9(a),(b)に示されているように、凸部の段差部分が直角に連ねられていてもよく、図9(c),(d)に示されているように、凸部の段差部分が曲面状に連ねられていてもよい。さらに、図9(b)に示されているように、基板の高さは凸部の両側で異ならされていてもよい。
第1の発明に用いられる基板上の複数の凸部の縦断面形状は、特に限定されず、図9(e)に示されているように、凸部非形成部分に至る凸部の段差部分b1,b2が直角に連ねられていてもよく、図9(g)に示されているように、凸部非形成部分に至る凸部の段差部分b3,b4が曲面状に連ねられていてもよい。また、図9(f)に示されているよ
うに、複数の凸部の高さが異なっていてもよい。さらに、図9(h)に示されているように、凸部の凸部非形成部分に臨んでいる部分の高さを凸部の他の部分の高さよりも高くしてもよい。
次に、第2の発明の一実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。
本実施形態では、第1の基板上に屈曲部を有する凸部が形成されている。さらに、屈曲部の一方側の第1の凸部部分と、他方側の第2の凸部部分とのなす角度が180度よりも小さい狭角領域が形成されるように屈曲部が形成されている。
図4は、屈曲部を有する凸部が形成された第1の基板の表面に液滴を着弾させて、画素領域を画する領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置する工程を説明するための模式的平面図である。
図4に示されているように、凸部41は屈曲部41aを有している。屈曲部41aの一方側の第1の凸部部分41Aと、他方側の第2の凸部部分41Bとのなす角度が180度よりも小さい狭角領域42が形成されるように、屈曲部41aが形成されている。屈曲部41aは第1の基板の画素領域を画する領域に位置している。凸部41の高さは、スペーサ粒子27の粒子径よりも低くされている。
第2の発明に係る製造方法では、狭角領域42を含むように、液滴31を着弾させる。液滴31が着弾すると、凸部部分41A,41B間のなす角度が180度よりも小さい狭角領域42に液滴31の固定力が最も強く働く。よって、この固定力により、液滴31は乾燥するにつれて狭角領域42に集まることになる。液滴31が乾燥した後は、狭角領域42、すなわち画素領域を画する領域にスペーサ粒子27が配置される。よって、凸部41の両側部分にスペーサ粒子27が配置されることなく、狭角領域42にスペーサ粒子27を確実に配置することができる。
上述したように、凸部部分41A,41B間のなす角度が180度よりも小さい狭角領域42に液滴31の固定力が強く働く。この固定力を高めるためには、凸部部分41A,41B間のなす角度を20度〜160度の範囲とすることが好ましい。凸部部分41A,41B間のなす角度が160度を越えると、狭角領域42に働く液滴31の固定力と他の部分の固定力との差が小さくなるため、他の部分に液滴31が一旦固定され易くなる。凸部部分41A,41B間のなす角度が20度よりも小さいと、スペーサ粒子27の粒子径が大きいときなどに、狭角領域42にスペーサ粒子27が収まり難くなる。
なお、本実施形態においても凸部41の横断面形状は、特に限定されず、例えば図9(a)〜(d)に示されているような様々な形状とすることができる。
図5(a),(b)に、第2の発明に係る製造方法に用いる第1の基板の一例を斜視図で示す。図5(a)はスペーサ粒子27が配置される前の状態を示し、図5(b)はスペーサ粒子27が配置された後の状態を示す。ここでは、第1の基板の表面に、複数の屈曲部を形成するために、凸部がジグザク線状に形成されている。
図5(a)に示されているように、第1の基板43上に、複数の屈曲部44aを形成するために凸部44をジグザグ線状に形成してもよい。図5(a)では、1つの屈曲部44aにおいて、1つの屈曲部44aを介して一方側の凸部部分と他方側の凸部部分とのなす角度が180度よりも小さい1つの狭角領域45が形成されている。すなわち、各屈曲部44aに対してそれぞれ1つの狭角領域45が形成されている。この第1の基板43にスペーサ分散液を吐出する際には、着弾したときの1つの液滴内に、1つの狭角領域45を含むように液滴を着弾させる。このようにすることで、1つの液滴に対して固定力が最も強く働く部分が1つの箇所となる。よって、各狭角領域45にそれぞれ1つの液滴を吐出し乾燥させることで、図5(b)に示されているように、それぞれの狭角領域45にスペーサ粒子27を配置することができる。
図6に、第2の発明に係る製造方法に用いる基板上の凸部の形状の変形例を示す。図4では、1つの屈曲部41aに狭角領域42が1つ形成されていたが、本変形例では、屈曲部46aに複数の狭角領域47A〜47Cが形成されている。
図6では、複数の狭角領域47A〜47Cが形成されるように、第3の凸部部分46Cが屈曲部46aにおいて、第1,第2の凸部部分46A,46Bに連結されて凸部46が形成されている。
第1の凸部部分46Aと第2の凸部部分46Bとのなす角度は180度よりも小さくされており、第1の凸部部分46Aと第2の凸部部分46Bとの間に狭角領域47Aが形成されている。第2の凸部部分46Bと第3の凸部部分46Cとのなす角度は180度よりも小さくされており、第2の凸部部分46Bと第3の凸部部分46Cとの間に狭角領域47Bが形成されている。第3の凸部部分46Cと第1の凸部部分46Aとのなす角度は180度よりも小さくされており、第3の凸部部分46Cと第1の凸部部分46Aとの間に狭角領域47Cが形成されている。
ここでは、第2の凸部部分46Bと第3の凸部部分46Cとのなす角度が他の凸部間の角度よりも小さくされている。狭角領域47A〜47Cを含むように液滴を着弾させると、狭角領域47A〜47Cに固定力が強く働くことになる。よって、スペーサ粒子27を狭角領域47A〜47Cに集めることができる。
さらに、図6に示す基板上の凸部の形状の他の変型例としては、凸部部分のなす狭角領域47A〜47Cの一つが180度以上の角度とされていてもよく、凸部の形状をT字形状あるいは↑のような矢印形状とすることも可能である。この場合、180度よりも小さい狭角領域を含むように液滴を着弾させると、上記180度以上となる角以外の2つの狭角領域にスペーサ粒子27を集めることができる。
図6に示されている変形例では、1つの第3の凸部部分46Cが屈曲部46aにおいて、第1,第2の凸部部分46A,46Bに連結されていたが、第1,第2の凸部部分46A,46Bに連結される第3の凸部部分は複数であってもよい。複数の第3の凸部部分が連結されている場合には、屈曲部においてさらに多くの狭角領域を形成することができる。
次に、第3の発明の一実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。
本実施形態では、第1の基板上にドット部分と突条部分とを有する凸部が形成されている。さらに、凸部の外縁がドット部分と突条部分との境界で屈曲されて、180度よりも小さい角度を有する狭角領域が凸部の外縁の外側に形成されている。
図7は、ドット部分と突条部分とを有する凸部が形成された第1の基板の表面に液滴を着弾させて、画素領域を画する領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置する工程を説明するための模式的平面図である。
図7に示されているように、凸部51は、ドット部分51aと突条部分51bとを有する。凸部51の外縁はドット部分51aと突条部分51bとの境界で屈曲されており、180度よりも小さい角度を有する狭角領域52,53が、凸部55の外縁の外側に形成されている。狭角領域52,53は、第1の基板の画素領域を画する領域に位置している。凸部51の高さは、スペーサ粒子27の粒子径よりも低くされている。
第3の発明に係る製造方法では、狭角領域52,53を含むように、液滴31を着弾させている。液滴31が着弾すると、180度よりも小さい角度を有する狭角領域52,53に液滴31の固定力が最も強く働くことになる。よって、この固定力により、液滴31が乾燥するにつれて狭角領域52,53のいずれかに液滴31が集まることになる。よって、液滴31が乾燥した後は、狭角領域52,53、すなわち画素領域を画する領域にスペーサ粒子27が配置される。よって、特定の位置にスペーサ粒子27を確実に配置することができる。
なお、ここでは狭角領域52,53は2つ形成されているが、着弾したときの液滴31中に含まれる狭角領域を1つとなるように凸部が形成されていることが好ましい。液滴31中に含まれる狭角領域を1つとすることで、該狭角領域にスペーサ粒子27を確実に配置することができる。
凸部51の形状は、ドット部分51aと突条部分51bとの境界で屈曲されており、180度よりも小さい角度を有する狭角領域が少なくとも1つ形成されていれば、特に限定されない。また、凸部51のドット部分51a及び突条部分51bのそれぞれの横断面形状は、特に限定されず、例えば図9(a)〜(d)に示されているような様々な形状とすることができる。
次に、第4の発明の一実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。
本実施形態では、基板上に液滴の着弾径よりも小さな凸部を形成し、平面視したときに着弾したときの液滴が凸部全体を覆うように液滴を着弾させている。
図8は、液滴の着弾径よりも小さな凸部が形成された第1の基板の表面に液滴を着弾させて、画素領域を画する領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置する工程を説明するための模式的平面図である。
図8に示されているように、着弾した液滴31は、凸部55全体を覆っている。すなわち、平面視したときに凸部55全体を覆うように液滴31を着弾させている。なお、凸部55は、第1の基板の画素領域を画する領域に形成されている。凸部55の高さは、スペーサ粒子27の粒子径よりも低くされている。
液滴31が着弾すると、凸部55の外周縁に液滴31の固定力が働くことになる。よって、この固定力により、液滴31が乾燥するにつれて凸部55の外周縁に液滴31が集まることになる。よって、液滴31が乾燥した後は、凸部55の外周縁、すなわち画素領域を画する領域にスペーサ粒子27が配置される。よって、第1の基板上の特定の位置にスペーサ粒子27を配置することができる。
平面視したときの凸部55の形状は、凸部55全体を覆うように形成されればよく、特に限定されない。また、凸部55の横断面形状は、特に限定されず、例えば図9(a)〜(d)に示されているような様々な形状とすることができる。
本実施形態において、より一層狭い領域にスペーサ粒子27を集めるためには、凸部55の大きさを小さくすればよい。すなわち、凸部の位置、大きさ等を変更することにより、スペーサ粒子27が配置される領域を適宜設定することができる。
本発明では、第1の基板上に配置されるスペーサ粒子27の配置個数(散布密度)は、通常50〜350個/mm2であることが好ましい。なお、1カ所の配置位置におけるスペーサ粒子27の個数は、配置箇所毎に違うが、一般的には0〜12個程度であって、平均個数として、2〜6個程度である。その平均個数は、スペーサ粒子27の粒子径及びスペーサ粒子分散液の濃度により調整される。
本発明では、凸部の高さは、スペーサ粒子27の粒子径よりも低くされている。凸部の高さは、例えば図9に示されているように、スペーサ粒子径をD(μm)、凸部の上面と基板表面との最大段差をB(μm)とすると、0.01μm<|B|<0.95Dの範囲とすることが好ましい。最大段差Bが0.01μmより小さいと、スペーサ粒子を特定の位置に集めることが困難になることがある。最大段差Bが0.95Dを超えるとスペーサ粒子による基板のギャップ調整効果が得にくくなることがある。
段差の作用に関しては、配線等の段差部分または配向膜等の薄膜を挟んでその近傍に金属があり、スペーサ粒子に表面修飾がされていたり、帯電制御剤が含有されている場合、静電的相互作用いわゆる静電的な「電気泳動」効果により液滴中でスペーサ粒子がその部分に移動、吸着されていくとも考えられる。この場合、金属種や、例えばイオン性の官能基を使用するなどして配線等の表面処理に使用される化合物の官能基等を変えたり、帯電制御剤の種類を調整しながら加えたり、あるいは、ソース配線やゲート配線等の配線や基板全面に回路が破損しない程度の正または負の電圧を印加したりする。このようにすると、スペーサ粒子の寄り集まりを制御することができる。
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法についてより詳細に説明する。
(スペーサ粒子)
本発明に使用されるスペーサ粒子の材料は特に限定されず、例えば、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等の有機系粒子であってもよい。中でも、有機系粒子は、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、更にセル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないという長所を持つために好ましく使用される。
上記有機系粒子としては特に限定されないが、通常は、強度等が適切な範囲にあるので、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好ましく用いられる。この際、単官能単量体と多官能単量体との比率は特に限定されるものではなく、得られる有機系粒子に要求される強度や硬度により適宜調整される。
上記単官能単量体としては、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能又は多官能単量体として、インクへの分散性を向上させるために親水性基を有する単量体が用いられてもよい。親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基が挙げられる。
このような親水性基を有する系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記単量体を重合して粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒子径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合、分散重合は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する際に好適に用いられる。
上記懸濁重合法とは、単量体及び重合開始剤よりなる単量体組成物を、目的とする粒子径となるよう貧溶媒中に分散し重合する方法である。懸濁重合に使用する分散媒は、通常、水に分散安定剤を加えたものが使用される。分散安定剤としては媒体中に可溶の高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。またノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。重合条件は上記重合開始剤や単量体の種類により異なるが、通常、重合温度は50〜80℃、重合時間は3〜24時間である。
上記シード重合法とは、ソープフリー重合や乳化重合にて合成された単分散の種粒子に、更に単量体を吸収させることにより、狙いの粒子径にまで膨らませる重合方法である。種粒子に用いられる有機単量体としては特に限定されず、上記の単量体が用いられるが、種粒子の組成は、シード重合時の相分離を抑えるために、シード重合時の単量体成分と親和性のある単量体であることが好ましく、粒子系分布の単分散性の点等からスチレン及びその誘導体等が好ましい。
上記種粒子の粒子径分布は、シード重合後の粒子径分布にも反映されるのでできるだけ単分散であることが好ましく、Cv値として5%以下であることが好ましい。上述したようにシード重合時には種粒子との相分離が起きやすいため、シード重合時に吸収させる単量体は、できるだけ種粒子組成と近い組成が好ましく、種粒子がスチレン系であれば芳香族系ジビニル単量体、アクリル系であればアクリル系多官能ビニル単量体を吸収させて重合させるのが好ましい。
また、シード重合法においては、必要に応じて分散安定剤を用いることもできる。分散安定剤としては、媒体中に可溶の高分子であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。また、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。
上記シード重合法においては、種粒子1重量部に対して、単量体を20〜100重量部加えることが好ましい。
上記シード重合に使用する媒体としては特に限定されず、使用する単量体によって適宜決定されるべきであるが、一般的に好適な有機溶媒としては、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類又は炭化水素を挙げることができ、更にこれらを単独、又は、これらと互いに相溶しあう他の有機溶剤、水等との混合溶媒として用いることができる。具体的には、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、シメチルスルホキシド、酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2−ブタノン等のケトン類等を挙げることができる。
上記分散重合法とは、単量体は溶解するが、生成したポリマーは溶解しない貧溶媒系で重合を行い、この系に高分子系分散安定剤を添加することにより生成ポリマーを粒子形状で析出させる方法である。
また、一般に架橋成分を分散重合により重合すると、粒子の凝集が起こりやすく、安定的に単分散架橋粒子を得ることが難しいが、条件を選定することにより、架橋成分を含んだ単量体を重合することが可能となる。
上記重合に際しては、重合開始剤が用いられ、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が好適に用いられる。なお、重合開始剤の使用量は通常、重合に際して用いられる単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
本発明に使用されるスペーサ粒子の粒径は、液晶表示素子の種類により適宜選択可能なため特に限定されず、上記スペーサ粒子の粒径の好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示素子のスペーサとして充分機能しないことがあり、20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の遮光領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示素子の小型化等の要請に充分に応えられなくなる。
本発明で使用されるスペーサ粒子は、適正な液晶層の厚みを維持するためのギャップ材として用いられるため、一定の強度が必要とされる。粒子の圧縮強度を示す指標として、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)で表した場合、適正な液晶層の厚みを維持するためには、2000〜15000MPaが好適である。2000MPaより小さいと、表示素子を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが出にくい。15000MPaより大きいと表示素子に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常が発生することがある。
上記スペーサ粒子の圧縮弾性率(10%K値)は、特表平6−503180号公報記載の方法に準拠して求められた値である。例えば微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、粒子を10%歪ませるための加重から求められる。
上記の方法により得られたスペーサ粒子は、表示素子のコントラスト向上のために着色されて用いられてもよい。着色された粒子としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等により処理された粒子、また、粒子の表面に有機物の膜が形成され高温で分解又は炭化されて着色された粒子等が挙げられる。なお、粒子を形成する材質自体が色を有している場合には着色せずにそのまま用いられてもよい。また、スペーサ粒子には帯電可能な処理が施されていても良い。帯電可能な処理とは、スペーサ粒子が、スペーサ粒子分散液中でも何らかの電位を持つように処理することであり、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等を用いる既存の方法によって測定できる。
帯電可能な処理を施す方法としては、例えば、スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法、帯電しやすい単量体を含む単量体からスペーサ粒子を製造する方法、スペーサ粒子に帯電可能な表面処理をする方法等が挙げられる。
なお、このようにスペーサ粒子が帯電可能であると、スペーサ粒子分散液中でのスペーサ粒子の分散性や分散安定性が高められ、散布時に電気泳動効果で配線部(段差)部近傍にスペーサ粒子が寄り集まりやすくなる。
上記荷電制御剤を含有させる方法としては、スペーサ粒子を重合させる際に荷電制御剤を共存させて重合を行いスペーサ粒子中に含有させる方法、スペーサ粒子を重合する際に、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合させてスペーサ粒子中に含有させる方法、後述するスペーサ粒子の表面修飾の際に、表面修飾に用いられるモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を共重合させて表面修飾層に含有させる方法、表面修飾層又はスペーサ粒子の表面官能基と反する官能基を有する荷電粒子を反応させて表面に含有させる方法等が挙げられる。
上記荷電制御剤としては、特に限定されないが、例えば特開2002−148865号に記載の化合物を用いることができる。具体的には、例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシルカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等が挙げられる。
また、荷電制御剤としては特に限定されないが、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が好ましく用いられる。
これら荷電制御剤は単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記荷電制御剤を含有するスペーサ粒子の極性は、上記耐電制御剤の中から適切な荷電制御剤を適宜選択することにより設定され得る。すなわち、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させることができる。
上記スペーサ粒子を製造する際、帯電しやすい単量体を含む単量体から適宜単量体を選択する方法としては、スペーサ粒子を製造する箇所で述べた単量体として、親水性官能基を有するものを組み合わせて用いる方法が挙げられる。これらの親水性官能基を有する単量体の中から適切な単量体を適宜選択することにより、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させることができる。
また、基板との接着性を向上させるために、スペーサ粒子に表面修飾を行うことが好ましい。このようなスペーサ粒子に表面修飾を行う方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号広報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特願2002−102848号に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法等が挙げられるが、これらを行う際、スペーサ粒子が帯電処理されるような方法が適宜選択される。
上記スペーサ粒子の表面修飾方法としては、スペーサ粒子表面に化学的に結合した表面層を形成する方法が、液晶表示装置のセル中で表面層の剥離や液晶への溶出という問題が少ないので好ましい。なかでも特開平9−113915号公報に記載の表面に還元性基を有する粒子に酸化剤を反応させ、粒子表面にラジカルを発生させて表面にグラフト重合を行う方法が、表面層の密度が高くでき、充分な厚みの表面層を形成できるために好ましい。この方法において帯電処理するには、グラフト重合を行う際、単量体として親水性官能基を有する単量体が組み合わせて用いられる。
また、このように表面処理を施すことにより、スペーサ粒子の基板に対する接着性が高まったり、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示体での液晶の配向が乱されなくなる効果もある。
従って、帯電処理の有無にかかわらず、スペーサー粒子に表面修飾が行われていても良い。
(スペーサ粒子分散液)
本発明に用いられるスペーサ粒子分散液としては、スペーサ粒子を分散させうる媒体中に、上述のスペーサ粒子が分散されていれば、特に限定されるものではない。
スペーサ粒子分散液の媒体としては、例えば、ヘッドから吐出される温度で液体である各種溶媒が用いられる。なかでも水溶性又は親水性の溶媒が好ましい。なお、一部のインクジェット装置のヘッドは水系媒体用にできているため、これらのヘッドを使用する際は、疎水性の強い溶媒は、ヘッドを構成する部材を溶媒が侵したり、部材を接着する接着剤の一部を溶かすことがあるので好ましくない。
上記水溶性又は親水性の溶媒としては、水の他、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;グリコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;モノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類、ジオール類のエーテル誘導体、ジオール類のアセテート誘導体、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類又はそのエーテル誘導体、アセテート誘導体、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。
本発明では、上述した溶媒を組み合わせて、スペーサ粒子分散液の表面張力を33mN/m以上とすることが好ましい。表面張力が33mN/m以上であると、基板上に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴径が小さくなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液中に、沸点が100℃以上である溶媒を含有させるとよい。さらに、沸点が100℃以上である溶媒として、表面張力が38mN/m以上である溶媒のみを用いるとよい。沸点が100℃以上である溶媒として、表面張力が38mN/m以上である溶媒のみを用いることで、後述する後退接触角(θr)を高くすることができる。さらに、吐出した際に着弾液滴径が大きくならず、着弾液滴径が初期より拡がり難くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が移動し易くなる。よって、基板に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することが可能となる。
本発明では上述した溶媒を組み合わせて、スペーサ粒子分散液の表面張力を33mN/m以上とするとよい。スペーサ分散液の表面張力が33mN/mより低いと、基板上に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴径が大きくなりすぎることがある。
スペーサ粒子分散液の表面張力を33mN/m以上とする方法としては、スペーサ粒子分散液の媒体として、沸点が100℃未満の溶媒と、沸点が100℃以上の溶媒とを含有させるとよい。更に好ましくは、沸点が100℃未満の溶媒として沸点が70℃以上100℃未満の有機溶媒である。
なお、本発明中でいう沸点とは1気圧の条件下での沸点をいう。
上記沸点が100℃未満の溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類、アセトンなどが好ましく使用される。
スペーサ粒子分散液を散布して溶媒を乾燥させる際に、配向膜に媒体が高温で接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうため、乾燥温度をあまり高くできない。しかしながら、上記のような100℃未満の溶剤を使用することにより、乾燥温度を低くできるので配向膜を汚染することがない。
スペーサ粒子を除くスペーサ粒子分散液100重量%に対し、沸点が100℃未満の溶媒は、1.5〜50重量%の範囲で含まれていることが好ましい。沸点が100℃未満の溶媒が1.5重量%未満では本発明で適用される比較的低い乾燥温度における分散液としての乾燥速度が遅くなり、生産効率が低下するので好ましくない。また、沸点が100℃未満の溶媒が50重量%を越えると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損ねることがある。さらに、スペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥しやすく、その結果凝集粒子の発生する可能性が高くなることがある。
また、上記沸点が100℃未満の溶媒は、20℃における表面張力が38mN/m未満、さらに好ましくは25mN/m以下であることが好ましい。溶媒の表面張力が38mN/m以上であると、スペーサ粒子分散液の表面張力が高くなりすぎるために、インクジェットヘッドのインク室の接液部分の表面張力によってはインクジェット装置による吐出性が悪くなることがある。なお、沸点が100℃以上の溶媒の20℃における表面張力は、38mN/m以上であることが好ましい。
スペーサ粒子分散液に、沸点100℃未満で表面張力が38mN/m未満の溶媒が含まれていることにより、後述するインクジェット装置にスペーサ粒子分散液を導入し易くなり、吐出する際には吐出性を向上できる。
なお、上述したように、スペーサ粒子分散液には、上記沸点が100℃未満の溶媒と、100℃以上の溶媒とを含有させるとよい。本発明では、沸点が100℃以上の溶媒として水が含まれている場合には、その配合量を10重量%以下にすることもできる。スペーサ粒子分散液に含まれる水を10重量%以下にすることで、スペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が沈降し難くなる。逆に、スペーサ粒子分散液に含まれる水が10重量%以上であるとスペーサ粒子分散液の粘度が低下するためスペーサ粒子が沈降し易くなり、スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の分散状態にムラが生じる。よって、基板上に吐出されると、基板上でスペーサ粒子の散布密度に差が生じ易くなる。
本発明では、沸点が100℃未満かつ表面張力が38mN/m未満である溶媒とともに、沸点が150℃以上250℃以下の溶媒が含まれていることが好ましい。沸点が150℃以上250℃以下で表面張力が38mN/m以上の溶媒が混合されることにより、後退接触角がより一層高くなる。即ち、スペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散し、残された分散液の表面張力が高くなり、着弾地点中心に向かってのスペーサ粒子の移動が起こりやすくなるため好ましい。
逆に、沸点が150℃以上250℃以下の溶媒の表面張力が38mN/m未満であると、スペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾した後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散するので、残された分散液の表面張力が初期より低くなる。よって、着弾液滴径が小さくならず、着弾液滴径が初期より拡がり易くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が移動し難くなる。
上記沸点が150℃以上250℃以下の溶媒としては、例えば、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール等のブタンジオール類が挙げられる。このような溶媒は、スペーサ粒子分散液がインクジェット装置のノズル付近で過剰に乾燥し、吐出精度が低下するのを防止する。さらに、スペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥するのを防止する事ができるため、凝集粒子の発生が抑制される。
スペーサ粒子分散液の媒体中における沸点が150℃以上250℃以下の溶媒の比率は、50〜98.5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、60〜95重量%である。50重量%未満では上記のような分散液の乾燥による吐出精度低下や凝集粒子の発生が起こりやすく、またこれらの溶媒の添加によりスペーサ粒子分散液の粘度や比重を上げることでスペーサ粒子の沈降を抑制する効果が小さくなるため好ましくない。98.5重量%を超えたり、沸点が250℃を超えると、乾燥時間が著しくかかり効率が低下するばかりでなく、配向膜の汚染による液晶表示装置の表示画質の低下が起こりやすくなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液の20℃における粘度が、10mPa・sより大きく、20mPa・s未満とされていることが好ましい。粘度が10mPa・s以下であると、スペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降し易くなる。粘度が20mPa・s以上であると、インクジェット装置を用いて吐出する際に、吐出量を制御し難くなり、さらに吐出性を改善するためにスペーサ粒子分散液を過剰に加温しなければならないことがある。
本発明では、スペーサ粒子分散液の20℃における比重が、1.00g/cm3以上とされていることが好ましい。比重が1.00g/cm3未満であると、スペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降し易くなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液に含有される溶媒の種類および配合量を適宜設定することにより、スペーサ粒子分散液の沈降速度を150分以上とすることが好ましい。なお、沈降速度とは、内径φ5mmの試験管にスペーサ粒子分散液を高さ10cmとなるように導入した後、静置した際に、目視にて試験管底にスペーサ粒子の堆積が確認されるまでの時間をいう。
スペーサ粒子分散液の沈降速度が、150分以上であると、スペーサ粒子分散液をインクジェット装置に導入してから吐出するまでの間に、スペーサ粒子が沈降し難くなる。よって、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を安定に吐出することができ、基板上に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することができる。
また、上記スペーサ粒子分散液は、吐出される基板に対する後退接触角(θr)が5度以上であることが好ましい。上記後退接触角が5度以上あれば、基板に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しその中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる。その中心にあらかじめ、静電的に作用する力による荷電インクが着弾していたり、着弾液滴径内に段差があるとそこへのスペーサ粒子の移動がより起こりやすくなり、スペーサ粒子の配置精度がより向上する。
上記後退接触角(θr)が5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小することがなく、このため、スペーサ粒子がその中心に集まり難くなる。
なお、ここで後退接触角とは、基板上に置かれたスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、置かれた際の最初の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)の接触角をいう。
すなわち、後退接触角とは、基板上にスペーサ粒子分散液の液滴が着弾した直後に示す基板との接触角(初期接触角)と異なり、液滴が一度付着した基板表面上において、液滴が乾燥し、液滴体積が減少していく過程における液滴の基板との接触角を指す。
上記後退接触角を5度以上にする方法としては、上述したスペーサ粒子分散液の分散媒の組成を調整する方法、又は、基板の表面を調整する方法が挙げられる。
上記スペーサ粒子分散液の分散媒の組成を調整するには、後退接触角が5度以上の媒体を単独で用いてもよいし、又は、2種以上の媒体を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いると、スペーサ粒子の分散性、スペーサ粒子分散液の作業性、乾燥速度等の調整が容易であるため好ましい。
上記スペーサ粒子分散液として2種以上の溶媒が混合して用いられる場合には、混合される溶媒の中で最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度以上となるように混合することが好ましい。最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度未満であると、乾燥後期で液滴径が大きくなり(基板上で液滴が濡れ拡がり)、スペーサ粒子が基板上で着弾中心に集まり難くなる。
なお、後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向があることがある。これは、初期の接触角は、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角はスペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。即ち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶剤によって配向膜が損傷を受けていることを示しており、これらの溶剤を使用することが、配向膜汚染に対して、好ましくないことがあった。ただし、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤の組成によっては、乾燥過程で、後退接触角が初期接触角より高くなることもある。液滴に表面張力が低い溶剤が多く含まれていた場合、乾燥過程でその溶剤が揮発すれば、その過程、すなわち、液滴が縮みだしてから、いわゆる液滴端が後退する際の接触角が、初期より高くなることもあり得るというわけである。
また、上記後退接触角は70度以下であることが好ましく、50度以下であることがより好ましい。後退接触角が、70度を超えると、本発明で提示している基板形状に対してスペーサ粒子が寄り集まる効果がそがれる場合がある。
上記後退接触角を70度以下にする方法としては、上記後退接触角を5度以上にする方法と同様に、上述したスペーサ粒子分散液の分散媒の組成を調整する方法、又は、基板の表面を調整する方法が挙げられる。スペーサ粒子分散液の分散媒の配合物中に後退接触角が70度以上である溶剤の含有量が過剰であると、乾燥過程で後退接触角が高くなりすぎるので、後退接触角が高い溶剤の配合量を適宜調整することが好ましい。また、表面張力が低い基板(例えば、垂直配向モード用の配向膜が塗設された基板等)を使用する場合、初期接触角だけでなく、後退接触角も高くなる傾向があるので、後退接触角の高い溶剤の配合量が制限されることがある。
また、スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θが、10〜110度になるように調整されることが好ましい。スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角が10度未満の場合、基板上に吐出されたスペーサ粒子分散液液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔が狭くならないことがあり、110度より大きいと、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易く、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなるという問題が発生する。
本発明におけるスペーサ粒子分散液の吐出時の粘度は、好ましくは、0.5〜15mPa・sの範囲であり、更に好ましくは5〜10mPa・sの範囲である。吐出時の粘度が、15mPa・sより高いとインクジェット装置で吐出できないことがあり、0.5mPa・sより低いと、吐出できても吐出量をコントロールする事が困難になるなど安定的に吐出できなくなることがある。なお、スペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の固形分濃度は、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。0.01重量%未満では吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まない確率が高くなるため好ましくない。また、10重量%を超えるとインクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなることがあり、着弾した分散液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて、乾燥過程でスペーサ粒子の移動が起こりにくくなるので好ましくない。
また、スペーサ粒子分散液はスペーサ粒子が単粒子状に分散されていることが好ましい。分散液中に凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合があるので好ましくない。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、スペーサ粒子分散液中に接着性を付与するための接着成分、スペーサ粒子の分散を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤などが添加されていてもよい。
(インクジェット装置)
次に、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出するのに用いられるインクジェット装置について説明する。
本発明に用いられるインクジェット装置は、特に限定されず、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の通常の吐出方法によるインクジェット装置が用いられる。その中でも、スペーサ粒子分散液等吐出物に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適に用いられる。
インクジェット装置のスペーサ粒子分散液を収納しているインク室の接液部は、表面張力が31mN/m以上親水性の材料で構成されていることが好ましい。その材料として、親水性ポリイミド等の親水性の有機材料も用いることもできるが、耐久性の点で無機材料、すなわち、セラミックスやガラス、腐食性が少ないステンレス等の金属材料が好適に用いられる。
通常のヘッドではこの部分に電圧印加部品との絶縁等のために樹脂等が用いられているが、このような表面張力が31mN/mより低い材料では、スペーサ粒子分散液をヘッドに導入する際、スペーサ粒子分散液とのなじみが悪いので気泡が残存しやすく、気泡が残存すると気泡が残存したノズルは吐出できないことがあるので好ましくない。
また、上記インクジェット装置のノズル口径はスペーサ粒子径に対して5倍以上が好ましい。5倍未満であると粒子径に比較しノズル径が小さすぎて吐出精度が低下したり、著しい場合はノズルが閉塞し吐出ができなくなるので好ましくない。更に好ましくは7倍以上である。
吐出精度が低下する理由は、以下のように考えられる。ピエゾ方式ではピエゾ素子の振動によりピエゾ素子に近接したインク室に、インクを吸引、またはインク室からインクをノズルの先端を通過させて吐出させている。液滴の吐出法として、吐出の直前にノズル先端のメニスカス(インクと気体との界面)を引き込んでから、液を押し出す引き打ち法とメニスカスが待機停止している位置から直接液を押し出す押し打ち法があるが、一般のインクジェット装置においては前者の引き打ち法が主流であり、これの特徴として小さな液滴が吐出できる。本発明のスペーサ粒子吐出においてはノズルの径がある程度大きく、かつ小液滴の吐出が要求されるため、この引き打ち法が有効である。
しかしながら、引き打ち法の場合吐出直前にメニスカスを引き込むため、例えばノズル口径が粒子径の5倍未満のようなノズル径が小さい場合、図10(a)に示されているように、引き込んだメニスカス62近傍にスペーサ粒子61があるとメニスカス62が軸対称に引き込まれない。よって、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液63の液滴は直進せず曲がってしまい、吐出精度が低下すると考えられる。例えばノズル口径が粒子径の5倍以上のようなノズル径が大きい場合、図10(b)に示されているように、引き込んだメニスカス62近傍にスペーサ粒子61があっても、スペーサ粒子61の影響を受けない。よって、メニスカス62は軸対称に引き込まれ、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液63の液滴は直進し、吐出精度が良くなると考えられる。しかしながら、吐出の際の液滴の曲がりをなくすために、不必要にノズル径を大きくすると、吐出される液滴が大きくなり着弾径も大きくなるので、荷電インクやスペーサ粒子61を配置する精度が粗くなり好ましくない。
ノズルから吐出される液滴量としては、スペーサ粒子分散液の場合、10〜80pLの範囲が好ましい。液滴量を制御する方法としては、ノズルの口径を最適化する方法やインクジェットヘッドを制御する電気信号を最適化する方法がある。後者はピエゾ方式のインクジェット装置を用いた時に特に重要である。
インクジェット装置において、インクジェットヘッドには、上述した様なノズルが、複数個、一定の配置方式により設けられている。例えば、ヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で64個や128個設けられている。なお、これらが2列等複数列設けられている場合もある。
ノズルの間隔は、ピエゾ素子等の構造やノズル径等の制約を受ける。従って、スペーサ粒子分散液を上記のノズルが配置されている間隔以外の間隔で基板に吐出する場合には、その吐出間隔それぞれにヘッドを準備するのは難しい。よって、ヘッドの間隔より小さい場合は、通常はヘッドのスキャン方向に直角に配置されているヘッドを基板と平行を保ったまま基板と平行な面内で傾けてあるいは回転させて吐出する。ヘッドの間隔より大きい場合は、全てのノズルで吐出するのではなく一定のノズルのみで吐出したり、加えてヘッドを傾けるなどして吐出する。
また、生産性を上げる等のために、この様なヘッドを複数個、インクジェット装置に取り付けることも可能であるが、取り付ける数を増やすと制御の点で複雑になるので注意を要する。
図11(a),(b)に、本発明で用いられるインクジェット装置のヘッドの一例を模式的に示す。図11(a)は、インクジェットヘッドの一例の構造を模式的に示す部分切欠斜視図、図11(b)はノズル孔部分における断面を示す部分切欠斜視図である。図11(a),(b)に示されているように、ヘッド100は吸引等によって予めインクが充填されるインク室101、及びインク室101からインクが送り込まれるインク室102を備えている。ヘッド100には、インク室102から吐出面103に至るノズル孔104が形成されている。吐出面103は、インクによる汚染を防止するため、予め撥水処理がされている。ヘッド100には、インクの粘度を調整するための温度制御手段105が設けられている。ヘッド100は、インク室101からインク室102にインクを送り込むように機能し、さらにインクをノズル孔104から吐出するように機能するピエゾ素子106を備えている。
ヘッド100では、上記温度制御手段105が設けられているため、粘度が高すぎる場
合にはヒーターによりインクを加熱してインクの粘度を低下させることができ、粘度が低すぎる場合には、ペルチェによりインクを冷却してインクの粘度を上昇させることが可能とされている。
(液晶表示装置用の基板)
本発明では、第1の基板表面に上述した凸部が形成されている。
本発明に用いられる液晶表示装置用の第1,第2の基板としては、ガラスや樹脂板など通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。また一方の基板としては、画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが、画素領域を画する領域を構成することになる。
(スペーサ粒子の配置方法)
インクジェット装置を用いて、第1の基板の表面に、上記スペーサ粒子分散液が吐出される。
本発明においては、第1の基板のスペーサ粒子分散液が吐出され着弾する箇所は、低エネルギー表面とされていることが好ましい。ここで、画素領域を画する領域に対応する領域とは、画素領域を画する領域(カラーフィルタ基板であれば上述のブラックマトリックス)、あるいは、もう一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)上で、その基板を画素領域を画する領域を有する基板と重ね合わせた際、その画素領域を有する領域に対応する領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のいずれかを指す。
低エネルギー表面を有する箇所の表面エネルギーは45mN/m以下である事が好ましく、より好ましくは40mN/m以下である。45mN/mを超えると、インクジェット装置で吐出できる程度の表面張力を有するスペーサ粒子分散液を使用する限り、その液滴が基板上で濡れ拡がり易くなる。
配向膜を塗るなどして得られる低エネルギー表面は、スペーサ粒子が着弾する箇所だけでも良いし、基板全面でも良い。パターニングなどの工程を考えると通常は全面が低エネルギー表面とされる。
本発明において、スペーサ粒子分散液は下記式(1)以上の間隔をもって基板に対して吐出することが好ましい。なお、この間隔は、着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しない間に次の液滴が吐出される場合の、それら液滴間の最低間隔である。
上記式(1)中、Dはスペーサ粒子の粒子径(μm)を表し、θはスペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角を表す。
上記式(1)よりも小さな間隔で吐出しようとすると、液滴径が大きいままなので着弾径も大きくなり液滴の合着が起き、乾燥過程でスペーサ粒子の凝集方向が一カ所に向かい難くなくなることがある。結果として、乾燥後のスペーサ粒子の配置精度が悪くなる問題が発生することがある。また、吐出液滴量を小さくしようとしてノズル径を小さくすると、相対的にスペーサ粒子径がノズル径に対して大きくなるため、上述したようにインクジェットヘッドノズルより安定的に、例えば常に同一方向に直線的にスペーサ粒子を吐出できず、飛行曲がりにより着弾位置精度が低下する。また、スペーサ粒子によってノズルが閉塞する場合がある。
また、このように、スペーサ粒子分散液を吐出し液滴を基板上に着弾させるには、インクジェットヘッドのスキャンを1回で行うことも、複数回に分けて行うこともできる。特に、スペーサ粒子を配置しようとする間隔が上記(1)式よりも狭い場合は、その間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させてから、その間隔分だけずらして、再度吐出するなどしてもよい。移動(スキャン)方向に関しても、1回毎に交互に変えて(往復吐出)吐出することもでき、片方向に移動時のみ吐出(単方向吐出)することもできる。
さらに、このような配置方法として、特願2000−194956号にあるように、ヘッドを基板面に対する垂線と角度を持つように傾け、液滴の吐出方向を変え(通常は基板面に対する垂線と平行)、さらにヘッドと基板との相対速度をコントロールする。このようにすることで、着弾する液滴径が小さくなり、より一層画素領域を画する領域中にスペーサ粒子を配置し易くなる。
(スペーサ粒子分散液の乾燥方法)
次に、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾してから、分散液中の媒体(溶剤、溶媒)を乾燥させる工程について説明する。
スペーサ粒子分散液を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、基板を加熱したり、熱風を吹き付けたり、あるいは減圧下で乾燥する方法が挙げられる。しかしながら、スペーサ粒子を乾燥過程で画素領域を画する領域に対応する位置に寄せ集めるためには、媒体の沸点、乾燥温度、乾燥時間、媒体の表面張力、媒体の配向膜に対する接触角、及びスペーサ粒子の濃度等を適当な条件に設定することが好ましい。
スペーサ粒子が基板上を移動する間に液体がなくならないように、ある程度の時間幅をもって乾燥することが好ましい。すなわち、媒体が急激に乾燥する条件は好ましくない。また、媒体は高温で長時間配向膜と接触すると、配向膜を汚染して液晶表示装置としての表示画質を損なうことがあるため好ましくない。
媒体として室温で著しく揮発しやすいものや、激しく揮発するような条件下でそれらの媒体を使用すると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損なうので好ましくない。また、分散液の製造時やタンクで乾燥によって凝集粒子が生成する可能性があるので好ましくない。
基板温度が比較的低い条件であっても乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産効率が低下するので好ましくない。
本発明においては、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した時の基板表面温度は、分散液に含まれる最も低沸点の溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。更に好ましくは、室温付近(15〜35℃)である。最も低沸点の溶媒の沸点より20℃低い温度より高くなると、最も低沸点の溶媒が急激に揮散し、スペーサ粒子が移動できないばかりでなく、著しい場合は溶媒の急激な沸騰で液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下するので好ましくない。
また、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した後に、基板温度を徐々に上昇させながら媒体を乾燥させる際には、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下が好ましく、さらに好ましくは70℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
このような配向膜の損傷を防止するための乾燥方法としては、できるだけ低温で、短時間に乾燥させることが好ましい。具体的には、基板の表面温度を70℃以下にし、液滴が接触してから5秒以上、4分以内に液滴を乾燥させることが好ましい。更に好ましくは5秒以上、2分以内である。あまりに短時間で乾燥させると上述したようにスペーサ粒子が寄り集まり難くなり、長時間乾燥すると配向膜が損傷する。
この問題を解決するために、液滴近傍の媒体蒸気を速やかに取り除く、すなわち、風を当てたり、減圧下で乾燥を行ったりすることが好ましい。ただし、その風量はあまり強すぎるとスペーサ粒子が液滴内を動き回り、結果として、スペーサ粒子の寄り集まりが阻害されるので、風量は適宜調整する必要がある。
但し、90℃を超える温度で乾燥しても配向膜が汚染され難く、液晶表示装置の表示画質が損なわれない場合には、スペーサ粒子の寄り集まりをよくするために、90℃を超える温度で短時間で乾燥してもよい。具体的には、100〜150℃で、5〜20秒程度乾燥を行うことが好ましい。
なお、本発明中でいう乾燥完了とは基板上の液滴が消失した時点をいう。
この後、スペーサ粒子の基板に対する固着性を高めたり、残留溶剤を除去するため、より高い温度(120〜230℃程度)に基板を加熱してもよい。
(液晶表示装置の組立)
本発明の製造方法に従ってスペーサ粒子が配置された第1の基板は、スペーサ粒子が配置されていない第2の基板とスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせられる。さらに、外周縁近傍において周辺シール材を用いて加熱圧着される。加熱圧着した後、形成された基板間の空隙に液晶が注入されて、液晶表示装置が作製される。なお、液晶は、第1,第2の基板を対向させる前に第1または第2の基板上に液晶を配置されていてもよい。
以下実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(スペーサ粒子の調製)
ジビニルベンゼン15重量部と、イソオクチルアクリレート5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重量部とを、セパラブルフラスコ中で均一に混合した。次に、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールGL−03」、クラレ社製)の3%水溶液20重量部と、ドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部とを、セパラブルフラスコ中に投入し十分攪拌した。しかる後、イオン交換水140重量部をさらに添加した。この溶液を攪拌しながら窒素気流下、80℃で15時間反応させた。得られた粒子を熱水及びアセトンを用いて洗浄した後、分級操作を行い、平均粒子径が3、4または5μm、CV値が3.0%である3種のスペーサ粒子を得た。
(スペーサ粒子の表面修飾)
・スペーサ粒子SA
ジメチルスルホキシド(DMSO)20重量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部と、N−エチルアクリルアミド18重量部との混合物中に、得られた平均粒子径が3、4または5μm、CV値が3.0%であるスペーサ粒子5重量部を投入し、ソニケータを用いて均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し、30℃で2時間撹拌を続けた。次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液10重量部を添加し、5時間反応させた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタを用いて、スペーサ粒子と反応液とを濾別した。このスペーサ粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、平均粒子径が3、4または5μmである3種のスペーサ粒子SAを得た。
・スペーサ粒子SB
上記スペーサ粒子の調製により得られた平均粒子径が4μm、CV値が3.0%のスペーサ粒子5重量部を、ジメチルスルホキシド(DMSO)20重量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部と、メタクリル酸16重量部と、ラウリルアクリレート2重量部との混合物中に投入し、超音波機を用いて均一に分散させた。しかる後、上記スペーサ粒子SAと同様にして、平均粒子径が4μmであるスペーサ粒子SBを得た。
・スペーサ粒子SC
上記スペーサ粒子の調製により得られた平均粒子径が4μm、CV値が3.0%のスペーサ粒子5重量部を、ジメチルスルホキシド(DMSO)20重量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部と、ポリエチレングリコールメタクリレート(分子量800)18重量部との混合中に投入し、超音波機を用いて均一に分散させた。しかる後、上記スペーサ粒子SAと同様にして、平均粒子径が4μmであるスペーサ粒子SCを得た。
(スペーサ粒子分散液の調製)
得られたスペーサ粒子を所定の粒子濃度になるように必要量をとり、下記表1〜3に示す組成の溶媒中にゆっくり添加し、超音波機を用いて十分撹拌し分散させた。しかる後、10μmの目開きのステンレスメッシュを用いて濾過し、凝集物を除去することによりスペーサ粒子分散液を得た。
得られたスペーサ粒子分散液の20℃における表面張力を、白金板を使用するウイルヘルミー法で測定した。また、内径φ5mmの試験管にスペーサ粒子分散液を高さ10cmまで導入した後、静置した際に、目視にて試験管底にスペーサ粒子の堆積が確認されるまでの時間を測定し、スペーサ粒子分散液の沈降速度を評価した。測定した結果を下記表1〜3に示した。
(基板の作製)
液晶テストパネル用の基板であるカラーフィルタモデル基板71と、カラーフィルタモデル基板71の対向基板である2種類のTFTアレイモデル基板81A,81Bとを用意した。
(カラーフィルタ基板)
図12(a)に、カラーフィルタ基板71に用いるブラックマトリックスが設けられたガラス基板を拡大して部分切欠平面図で示す。図12(b)に、カラーフィルタ基板71の一部を拡大して部分切欠正面断面図で示す。
実施例に用いた表面が平滑なカラーフィルタ基板71は以下のように作製した。
図12(a),(b)に示すように、300mm×360mmのガラス基板72の上に通常の方法により、金属クロムからなるブラックマトリックス73(幅25μm、縦間隔150μm、横間隔75μm、厚み0.2μm)を設けた。ブラックマトリックス73上およびその間に、RGBの3色からなるカラーフィルタ74画素(厚み1.5μm)を表面が平坦となるように形成した。その上にほぼ一定の厚みのオーバーコート層75及びITO透明電極76を設けた。
更にITO透明電極76上に、スピンコート法によってポリイミドを含有する溶液を均一に塗布した。塗布後、80℃で乾燥した後に190℃で1時間焼成し、硬化させてほぼ一定の厚みの配向膜77を形成した。
上記配向膜77は、下記PI1、PI2またはPI3の3種類のいずれかの配向膜からなる。PI1、PI2またはPI3の配向膜を構成するために、下記ポリイミド樹脂溶液を用いた。形成された配向膜の表面張力(γ)は以下の通りであった。
・PI1:商品名「サンエバーSE130」,日産化学社製、表面張力(γ):46mN/m)
・PI2:商品名「サンエバーSE150」,日産化学社製、表面張力(γ):39mN/m)
・PI3:商品名「サンエバーSE1211」,日産化学社製、表面張力(γ):26mN/m)
(TFTアレイモデル基板)
図13に、TFTアレイモデル基板に用いる格子状の段差が設けられたガラス基板を拡大して部分切欠平面図で示す。図14(a),図14(b)に、TFTアレイモデル基板81Aの一部を拡大して部分切欠平面図及び部分切欠正面図で示す。
実施例及び比較例に用いた段差が設けられたTFTアレイモデル基板81Aは以下のように作製した。
図13に示すように、上記カラーフィルタ基板71のブラックマトリックス73に相対する位置において、300mm×360mmのガラス基板82上に、従来公知の方法により銅からなる段差83(幅8μm、厚み5nm)を設けた。
次に、図14(a),(b)に示すように、格子状の段差83が設けられたガラス基板82上に、ジグザグ線形状を有し、かつ感光性アクリル樹脂により構成された透明な段差84(厚み1μm)をさらに設けた。さらに、段差83,84が設けられたガラス基板82上に、ほぼ一定の厚みのITO透明電極85を設け、更に上述した方法でほぼ一定の厚みの配向膜86を形成した。配向膜86を構成するに際して、対向基板となるカラーフィルタ基板71の配向膜77と同様のポリイミド樹脂溶液を用いた。
TFTアレイモデル基板81Aの表面には、段差83よりも厚みのある段差84の形成部分において、配向膜が隆起しており、ジグザグ線形状の凸部87が形成されている。その凸部87の高さ、すなわち基板表面の段差は1μmであった。また、ジグザグ線形状の凸部87の屈曲部87aの狭角領域は1つおきに、銅からなる格子状の段差83の格子点、すなわちカラーフィルタ71のブラックマトリックス73に相対する領域に位置している。
別途、TFTアレイモデル基板81Bを作製した。TFTアレイモデル基板81Bは、上述したTFTアレイモデル基板81Aと段差83の形状及びその高さが異なり、かつ段差84が設けられていないのみの差異である。ガラス基板81上に形成された銅からなる段差の厚みは、0.5μmとした。銅からなる段差の形状としては、図13に示す格子状の段差83とほぼ類似の形状を有するが、その格子点を中心位置として20μm×20μmの大きさで段差を切欠いたものである。
TFTアレイモデル基板81Bの表面には、段差形成部分において、配向膜が隆起しており、凸部が形成されている。よって、この段差が設けられたTFTアレイモデル基板81Bでは、図3(a)に示す凸部の構成と同様に、4つの凸部が凸部非形成部分を隔てて形成されている。その凸部の高さ、すなわち基板表面の段差は0.5μmであった。また、凸部非形成部分は、カラーフィルタ71のブラックマトリックス73に相対する領域に位置している。
(インクジェット装置)
ノズルの口径が40μmであるヘッドを搭載したピエゾ方式のインクジェット装置を用意した。このヘッドのインク室の接液部を、ガラスセラミック材料により構成した。ノズルは、ノズル面がフッ素系の撥水加工が施されたものを用いた。
(スペーサ粒子の配置)
表1〜3に示すスペーサ粒子分散液をTFTアレイモデル基板81A,81Bにスペーサ粒子を配置する工程に移行した。なお、インクジェット装置のノズルから吐出される初期のスペーサ粒子分散液0.5mLを捨てた後に、スペーサ粒子の配置を開始した。
ヒーターで45℃に加熱されたステージ上に、TFTアレイモデル基板81A,81Bを載せた。しかる後、上述したインクジェット装置を用いて、ブラックマトリックス73に対応しているTFTアレイモデル基板81Aの屈曲部87aの狭角領域、及びTFTアレイモデル基板81Bの凸部非形成部分を狙って、スペーサ粒子分散液を吐出した。
なお、上記TFTアレイモデル基板81Aでは、格子状の段差83の複数の格子点が縦間隔150μm、横間隔75μmでマトリックス状に位置している。よって、この格子点上に位置する複数の上記屈曲部87aは、縦間隔150μm、横間隔75μmで配置されている。吐出ピッチは、格子点上に横方向に配置された複数の屈曲部87aをひとつおきの間隔、すなわち吐出ピッチは縦間隔150μm、横間隔150μmとした。
一方、上記TFTアレイモデル基板81Bでは、複数の上記凸部非形成部分は、縦間隔150μm、横間隔75μmでマトリックス状に位置している。吐出ピッチは、その横方向に配置された複数の凸部非形成部分をひとつおきの間隔、すなわち吐出ピッチは縦間隔150μm、横間隔150μmとした。
インクジェット装置のインク室にスペーサ粒子分散液を導入した後、吐出するまでの時間を変化させた。すなわち、スペーサ粒子分散液を導入後すぐに吐出した場合(初期)と、導入後に1時間静置して吐出した場合(1時間後)とを評価した。
吐出の際のノズルの先端面と基板表面との間隔は0.5mmとした。インクジェット装置は、ダブルパルス方式とした。粘度15mPa・sを超えるスペーサ粒子分散液については、粘度が3〜15mPa・sの範囲となるようにヘッドの温度を調整(加熱)しながら吐出した。
なお、吐出後のスペーサ粒子分散液の液滴の基板に対する初期接触角(θ)並びに後退接触角(θr)を調べるために、別途同一の基板を用いた。液滴を滴下した後、側面から拡大カメラで観察することにより、接触角を求める方式の一般的な接触角計により、それらの接触角を測定した。なお、ここでの後退接触角は、基板上に置かれたスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、置かれた際の最初の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)の接触角を測定したものである。結果を表1〜3に示した。
スペーサ粒子分散液を吐出した後、TFTアレイモデル基板81A,81Bに着弾したスペーサ粒子分散液を乾燥させた。
実施例1〜28では、ヒーターで45℃に加熱されたステージ上で、基板に吐出されたスペーサ粒子分散液を乾燥し、スペーサ粒子分散液が完全に乾燥したことを目視で確認した。しかる後、残留している溶媒を除去し、スペーサを基板に充分に固着させるために150℃に加熱されたホットプレート上に基板を載置して15分間加熱した。
実施例29、30では、スペーサ粒子分散液を吐出した基板を減圧装置に入れて、スペーサ粒子分散液を乾燥させた。減圧乾燥時の温度は45℃、減圧度は10mmHgとした。
図15〜17に、上述した図14(a)に示すTFTアレイモデル基板81A上にスペーサ粒子分散液の液滴を吐出し、液滴が乾燥される過程を段階的に部分切欠平面図で示す。
図15に示すように、銅からなる格子状の段差83の格子点に位置する凸部87の屈曲部87aの狭角領域に、スペーサ粒子91を含むスペーサ粒子分散液の液滴92を吐出し、着弾させた。図16には、液滴92が乾燥される過程において、液滴92が着弾した直後に対してその着弾径が半分の大きさになったときの状態を示している。このとき、液滴92の後退接触角を測定した。そして、図17に示すように、液滴92をさらに乾燥させることにより、スペーサ粒子91を凸部87の屈曲部87aの狭角領域に配置した。
(評価用液晶表示装置の作製)
カラーフィルタ基板71と、スペーサ粒子が配置されたTFTアレイモデル基板81AまたはTFTアレイモデル基板81Bとを、周辺シール剤を用いて貼り合わせた。貼り合わせた後、シール剤を150℃で1時間加熱し、硬化させてセルギャップがスペーサ粒子の粒子径となるように空セルを作製した。しかる後、貼り合わされた2枚の基板間に真空注入法により液晶を充填し、封口剤で注入口封止して液晶表示装置を作製した。
(実施例の評価)
下記の項目について評価を行った。
(スペーサ粒子散布密度)
スペーサ粒子を基板に固着させた後に、スペーサ粒子が配置されている部分において、1mm2あたりに散布されているスペーサ粒子の個数を観測し、散布密度とした。
(平均スペーサ粒子数)
1配置箇所あたりに凝集しているスペーサ粒子の個数の平均値を、1mm2の範囲内で
計測し、平均スペーサ粒子数とした。
(1時間後の吐出状態)
インクジェット装置のインク室にスペーサ粒子分散液を導入した後に1時間静置して吐出した場合の吐出状態を下記の基準で判定した。
○:全ノズルで吐出された。
△:未吐出ノズルが3%未満であった。
×:未吐出ノズルが3%以上であった。
(スペーサ粒子配置精度)
液滴が乾燥した後のスペーサ粒子の配置状態を下記の基準で判定した。
○:スペーサ粒子の大部分が非画素領域に対応する領域にあった。
△:スペーサ粒子の一部が非画素領域に対応する領域からはみだしていた。
×:スペーサ粒子の多くが非画素領域に対応する領域からはみだしていた。
(スペーサ粒子存在範囲)
図18に示すように、ブラックマトリックスまたはこれに対応する部分の中心から両側に等間隔に平行線を引き、この2本の平行線間に個数で95%以上のスペーサ粒子が存在する平行線間の距離をスペーサ粒子存在範囲とした。
(表示画質)
液晶表示装置の表示画質を観察し、下記の基準で判定した。
○:表示領域中にスペーサ粒子が殆ど認められず、スペーサ粒子に起因する光抜けがなかった。
△:表示領域中にスペーサ粒子がわずかに認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがあった。
×:スペーサ粒子が認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがあった。
結果を下記表1〜3に示す。
実施例で使用した溶媒の沸点、表面張力、粘度、比重、及び配向膜に対する各溶媒の後退接触角を下記表4,5に示す。
表1〜3に示すように、実施例の液晶表示装置では、スペーサ粒子は非画素領域に精度よく配置され、表示画質に優れていた。