JP2006201413A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大型化を進めた場合であっても、液晶層の厚み、すなわち液晶が充填されている領域における基板間の間隔を確実に一定とすることが可能とされている液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 第1,第2の基板11,12とが枠状のシール材22を介して接合されており、第1,第2の基板11,12及びシール材22に囲まれた空間に液晶24が充填されており、かつ第1,第2の基板11,12間の間隔を規制するためのスペーサ粒子23が第1,第2の基板11,12間に配置されている液晶表示装置10において、第1,第2の基板11,12が対向している領域を複数の区域に区分けした際に、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子23の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度の平均値と異なっている、液晶表示装置1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に、基板間の間隔を一定にするためにスペーサ粒子が基板間に配置されている液晶表示装置及びその製造方法に関する。
液晶表示装置はパソコンや携帯電子機器等の表示装置に広く用いられている。図16は、従来の液晶表示装置の一例を示す模式的正面断面図である。液晶表示装置200では、2枚の透明基板201,202が対向し合うように配置されている。
透明基板201の内表面には、カラーフィルタ203及びブラックマトリックス204が形成されている。カラーフィルタ203及びブラックマトリックス204上には、オーバーコート層205が形成されている。オーバーコート層205上には、透明電極206が形成されている。さらに、透明電極206を覆うように、配向膜207が形成されている。他方、透明基板202の内表面には、カラーフィルタ203と対向する位置において、透明電極208が形成されている。さらに、透明基板202の内表面と透明電極208とを覆うように、配向膜209が形成されている。一方、透明基板201,202の外表面には、それぞれ偏光板210,211が配置されている。透明電極206,208は、画素領域に配置された画素電極と、画素領域以外に配置された電極とを有する。
透明基板201と透明基板202とは、それぞれの外周縁近傍において、シール材212を介して接合されている。透明基板201,202とシール材202とで囲まれた空間に、液晶214が封入されている。さらに、該空間にスペーサ粒子213が配置されている。スペーサ粒子213は2枚の透明基板201,202の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み(セルギャップ)を維持するように機能している。
上記液晶表示装置200を得る際に、スペーサ粒子213を配置する方法としては、イソプロパノール等の溶剤を用いて散布する湿式散布法や溶剤を使用せず空気の圧力を利用してスペーサ粒子を散布する方法等が用いられていた。
しかしながら、上記散布方法では、スペーサ粒子は、散布機のノズルから突出されると、自由落下により基板上に配置される。従って、基板表面において部分的にスペーサ粒子の散布密度がばらつくことがあった。さらに、基板表面の散布密度の高い部分が、液晶表示装置ごとにも異なりがちであった。
他方、下記特許文献1には、スペーサ散布装置の壁面を帯電させてスペーサ粒子を散布する方法が開示されている。この方法を用いることで、スペーサ粒子を基板に効率よく付着させることができるとされている。
また、散布ノズルの形状を変更することにより散布密度のばらつきを低減することも試みられている。
他方、下記の特許文献2には、液晶が充填されている領域において、画素領域と周辺駆動回路が配置されている周辺駆動回路領域とを有する液晶表示装置において、画素領域におけるスペーサの散布密度を周辺駆動回路領域のスペーサの散布密度よりも小さくした構成が開示されている。ここでは、スペーサ粒子による周辺駆動回路の損傷を少なくするために、周辺駆動回路領域におけるスペーサ粒子の散布密度が小さくされている。特許文献2に記載の液晶表示装置の製造に際しては、周辺駆動回路領域と、画素領域とでスペーサ
粒子の散布密度を異ならせるために、複数枚のマスクを用いている。すなわち、周辺駆動回路領域にスペーサ粒子を散布するに際しては、該周辺駆動回路領域が開口しているマスクを用いていた。また、画素領域にスペーサ粒子を散布する場合には、画素領域が開口しているマスクを用いていた。そして、これらのマスクを順次用い、スペーサ粒子の散布が行われていた。
特開平7−68197号公報 特開平8−262454号公報
前述したように、従来のスペーサ粒子散布方法では、スペーサ散布機を用いており、散布機から吐出されたスペーサ粒子は自由落下により基板上に配置されていた。そのため、散布密度にばらつきが生じざるを得なかった。
他方、特許文献1に記載のように、スペーサ散布装置の壁面を帯電させたり、あるいは散布ノズルの形状を変更する方法も試みられているが、これらの方法を採用したとしても、散布密度を制御することは困難であった。特に、近年、液晶表示装置の大型化が進んできており、スペーサ粒子が配置される液晶充填領域が大きくなってきている。そのため、上記散布密度のばらつきがより一層生じがちとなってきている。
スペーサ粒子の散布密度にばらつきが生じると、液晶表示装置において、コントラストなどの表示品質が劣化することとなる。従って、スペーサ粒子の散布密度のばらつきが生じ難いことが求められる。
他方、スペーサ粒子は、基板間の間隔を一定にするために用いられていたが、従来、液晶表示装置の製造に際しての液晶の注入量や、一方の基板上に液晶を配置した後に他方の基板をプレスによりシール材に固定する際のプレス条件などの様々な条件により、基板間の間隔が一定にならないことがあった。
図17(a)及び(b)は、このような問題点を説明するための部分切欠拡大正面断面図である。ここでは、液晶表示装置の端部近傍が略図的に拡大して示されている。
図17(a)に示す液晶表示装置221では、一方の基板222上に、シール材223が固定されており、シール材223で囲まれた領域に液晶224が配置されている。そして、液晶224が設けられている領域中に複数のスペーサ粒子225が配置されている。この状態で、他方の基板226が上方から圧接され、シール材223に固定される。この場合、基板226を固定する際のプレス圧が高いと、基板226がシール材223の外側部分において基板222側に近づくように変形することがあった。その結果、この変形に伴う応力によって、シール材223の内側領域においては、基板226が基板222から遠ざかるように変形することがあった。そのため、図17(a)に示すように、シール材223から離れるに従って、基板222,226間の距離が大きくなることがあった。
他方、液晶224が充填される領域において、スペーサ粒子225の散布密度のばらつきにより、基板間の間隔が中央領域において相対的に小さくなることもあった。すなわち、図17(b)に示すように、シール材223の内側近傍において、スペーサ粒子225の散布密度が相対的に高い場合、シール材223の内側近傍においては、スペーサ粒子225の存在により、基板222と基板226との間の間隔がほぼ一定に保たれる。しかしながら、液晶224が充填されている中央側の領域において、スペーサ粒子225の散布密度が低いと、図17(b)に示すように、中央側の領域において基板222と基板226との間の間隔が相対的に小さくなることがあった。
他方、液晶表示装置は通常立てた状態で用いられる。この場合、重力により液晶224は下方に移動しようとする。その結果、図17(c)に示すように、下方部分において液晶層の厚みが厚くなり、上方部分において液晶層の厚みが相対的に薄くなることがあった。特に、液晶表示装置の大画面化が進行した場合、このような下方における液晶層の厚みが厚くなる現象が生じ易くなってきている。
上述したように、液晶表示装置において、基板間の間隔、すなわち液晶層の厚みが部分的にばらつくと、液晶表示装置のコントラストの低下等の表示品質等の致命的な劣化が生じるが、従来、このような問題を解決することは困難であった。
なお、前述した特許文献2には、画素領域の散布密度を周辺駆動領域におけるスペーサの散布密度よりも小さくした構成が開示されていた。この構成では、画素領域自体におけるスペーサ粒子の散布密度の制御については特に注意は払われていなかった。従って、特許文献2に記載の液晶表示装置においても、画素領域の大型化に伴い、液晶層の厚みを一定にすることは困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、大型化を進めた場合であっても、液晶層の厚み、すなわち液晶が充填されている領域における基板間の間隔を確実に一定とすることが可能とされている液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、第1,第2の基板とが枠状のシール材を介して接合されており、第1,第2の基板及びシール材に囲まれた空間に液晶が充填されており、かつ前記第1,第2の基板間の間隔を規制するためのスペーサ粒子が第1,第2の基板間に配置されている液晶表示装置において、前記第1,第2の基板が対向している領域を複数の区域に区分けした際に、少なくとも1つの区域における前記スペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異なっていることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
本発明に係る液晶表示装置のある特定の局面では、前記少なくとも1つの区域がシール材で囲まれた液晶充填領域の周辺部分であって、前記シール材の内面近傍部分である。
本発明に係る液晶表示装置の他の特定の局面では、前記少なくとも1つの区域が、前記シール材の内面から、前記シール材の内面と前記液晶充填領域の中心との間の距離の40%以下の距離までの領域である。
本発明に係る液晶表示装置のさらに別の特定の局面では、前記スペーサ粒子が、前記シール材の外側の領域にも配置されており、該シール材の外側近傍におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされている。
本発明に係る液晶表示装置のさらに他の特定の局面では、前記液晶表示装置が、第1,第2の基板が立設するように用いられた際の上方に相当する区域が前記少なくとも1つの区域を構成しており、該上方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、該上方の区域よりも下方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされている。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、本発明に従って構成された液晶表示装置の製造方法であって、少なくとも一方に前記シール材が配置された第1及び第2の基板を用意
する工程と、第1及び第2の基板の一方にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子が分散されたスペーサ分散液を吐出し、スペーサ粒子を、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異なるように配置する工程と、前記スペーサ粒子を配置した後に、第1,第2の基板間に液晶を介在させて第1,第2の基板を接合する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、第1,第2の基板が対向している領域を複数の区域に区分けした際に、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異ならされている。この異ならせ方を工夫することにより、基板間の間隔、すなわち液晶層の厚みが部分的に異なるのを防ぐことができ、液晶充填領域における間隔をほぼ一定に保つことができる。
少なくとも1つの区域がシール材で囲まれた液晶充填領域の周辺部分であって、シール材の内面近傍部分である場合には、第1,第2のシール材の内面近傍において第1,第2の基板間の距離を確実に一定に保つことができるので、基板の中央領域において第1,第2の基板間の距離が相対的に小さくなるのを防ぐことができる。
上記少なくとも1つの区域がシール材で囲まれた液晶充填領域の周辺部分である場合、より具体的には、上記少なくとも1つの区域は、シール材の内面から、シール材の内面と前記液晶充填領域の中心との間の距離の40%以下の距離までの領域とされる。基板間のギャップが小さくなる場合には、上記少なくとも1つの区域のスペーサ粒子の散布密度を増やすようにする。一方、基板間のギャップが大きくなる場合には、上記少なくとも1つの区域のスペーサ粒子の散布密度を減らすようにする。このようにすることで、第1の基板と第2の基板との間の間隔が異なるのを効果的に防ぐことができる。
スペーサ粒子が、シール材の外側の領域にも配置されており、このシール材の外側近傍におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされている場合には、シール材の外側部分においても、第1,第2の基板間の距離が一定に保たれる。従って、第1,第2の基板がシール材の外側部分で近接し、シール材の内側部分で離間する傾向がある場合には、このような傾向を抑制でき、第1,第2の基板の中央領域において、第1,第2の基板間の距離が大きくなるのを効果的に防止することができる。
液晶表示装置が第1,第2の基板が立設するように用いられた際に、上方に相当する区域が上記少なくとも1つの区域を構成しており、該上方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、上方の区域よりも下方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされている場合には、液晶表示装置が立てられたときに、上方の区域において、スペーサ粒子により第1,第2の基板間の距離が確実に一定に保たれる。内部の液晶が重力により下方に移動しようとするが、移動した場合には、それに伴って第1,第2の基板間が上方の区域において近づくことになる。しかしながら、上記のように、上方の区域においてスペーサ粒子の散布密度が高くされている場合には、上方の区域において第1,第2の基板が近づき難いため、液晶の重力による下方への移動を抑制することができる。よって、液晶充填領域における上方の区域と下方の区域とにおける間隔のばらつきを低減することができる。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、第1,第2の基板の一方にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子が分散された分散液が吐出され、スペーサ粒子が少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異なるように配置される。この場合、インクジェット装置を用いてい
るため、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値を、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と確実に、かつ容易に異ならせるようにスペーサ粒子を散布することができる。従って、スペーサ粒子を配置した後に、第1,第2の基板間に液晶を介在させて第1,第2の基板を接合することにより、あるいは第1,第2の基板間に液晶を充填することにより、本発明の液晶表示装置を容易に構成することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置を模式的に示す正面断面図であり、(b)及び(c)は、その要部を略図的に示す部分切欠拡大正面断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置10では、透明基板からなる第1,第2の基板11,12が対向されている。図16に示した従来の液晶表示装置200の場合と同様に、第1の基板11の内面には、カラーフィルタ13及びブラックマトリックス14が形成されている。カラーフィルタ13及びブラックマトリックス14を覆うようにオーバーコート層15が形成されている。オーバーコート層15上には、透明電極16が形成されている。また、透明電極16を覆うように配向膜17が形成されている。
他方、第2の基板12の内面には、カラーフィルタ13と対向する位置に、透明電極18が形成されている。透明電極18を覆うように配向膜19が形成されている。
なお、第1,第2の基板11,12の外面には、それぞれ、偏光板20,21が積層されている。
上記各種電極等が形成された第1,第2の基板11,12は、枠状のシール材22を介して接合されている。第1,第2の基板11,12と、シール材22とで囲まれた空間が、液晶24が注入される空間を構成している。そして、液晶24の厚み、言い換えれば第1,第2の基板11,12間の間隔を一定にするために、上記シール材22に加えて、複数のスペーサ粒子23が用いられている。スペーサ粒子23は、上記液晶24が注入されている空間に分散配置されている。
本実施形態の液晶表示装置10の特徴は、上記スペーサ粒子23の散布密度が、液晶表示装置24が充填されている表示領域において一定ではなく、該液晶24が封入されている領域を複数の区域に区分けしたときに、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子23の散布密度が、他の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度と異なっていることにある。より具体的には、本実施形態では、図1(b)に略図的に示すように、シール材22の内側近傍の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度に比べて、液晶24が封入されている領域の中央側の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度が相対的に高くされている。
図17(b)に示したように、従来、液晶224の注入量が少なかったり、あるいは基板226を液晶224を封入した後に接合する際のプレス圧によっては、基板226が液晶224が充填されている中央側において基板222側に湾曲することがあった。
これに対して、本実施形態では、図1(b)に示すように、液晶24が充填されている領域において、中央側の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度が相対的に高くされているため、基板11が基板12側に近づく方向の変形が確実に抑制される。すなわち、図1(b)に示すように、液晶24が充填されている領域において、中央の区域において、スペーサ粒子23の散布密度が高くなっているため、該中央の区域において、基板11が基板12側に変形しようとしても、スペーサ粒子23により、基板11,12間の間隔が
確実に一定に保たれる。
従って、本実施形態によれば、スペーサ粒子23の散布密度が、液晶24が充填されている領域において、上記中央側の区域において相対的に高くさているため、液晶24が充填されている領域における基板11,12間の間隔を確実に一定とすることができる。
なお、図17(a)及び(b)を参照して前述したように、液晶の注入量や基板接合時のプレス圧によっては、逆に図17(a)に示すように、液晶224が充填されている領域の中央側において透明基板222,226間の間隔が相対的に大きくなることもあった。このような場合には、逆に、図1(c)に示す変形例のように、シール材22の内側近傍における区域において、スペーサ粒子23の散布密度を相対的に高くし、液晶24が充填されている領域の中央側の区域におけるスペーサ粒子の散布密度を相対的に低くすればよい。例えば、シール材22近傍における基板12の変形を抑制することができ、従って液晶24が充填されている領域の中央の区域における基板11,12間の間隔の拡大をも抑制することができる。
上記のように、液晶24が充填されている領域を複数の区域に区分けしたときに、少なくとも1つの領域におけるスペーサ粒子23の散布密度を、残りの領域における散布密度と異ならせることにより、すなわち該異ならせ方を工夫することにより、基板11,12間の液晶充填領域における間隔をほぼ一定にすることができる。なお、液晶24が充填されている領域における基板11,12間の間隔が部分的に異なる態様は前述したように様々であるため、その各態様に応じて基板間の間隔が一定となるようにスペーサ粒子の散布密度が異なる領域を設定すればよい。
なお、図1(b)に示すように、シール材22の内側の区域と、液晶24が充填されている領域の中央の区域とを区別する際の、シール材22の内側の領域とは、シール材22の内面から、シール材の内面と液晶充填領域の中心との間の距離の40%以下の距離までの領域とすることが好ましい。40%を超える距離までの領域であると、液晶24が充填されている領域の中央の区域と散布密度を異ならせた効果が十分に得られないことがある。なお、シール材22の内側の領域は、シール材22の内面と接する位置にスペーサ粒子23を配置できる領域であればよい。すなわち、シール材22の内側の領域は、シール材22の内面から、シール材の内面と液晶充填領域の中心との間の距離の限りなく0%に近い距離までの領域とすることができる。
特に、液晶表示装置の大きさが8インチ以上の基板の場合、スペーサ粒子の散布密度にばらつきが生じ易くなり、液晶表示装置のコントラストなどの表示品質が悪化し易くなる。このため、シール材の内面から、1mm〜50mmまでの領域の散布密度の異ならせ方を工夫することがより好ましい。
シール材22の内側の領域が、シール材22の内面から1.0mm未満までの領域では区域を分割しない場合と同じ状態となることがあり、シール材22の内面から50mmまでの領域を超えると、液晶24が充填されている領域の中央の区域における液晶表示装置の表示状態が悪化することがある。すなわち内側の領域が液晶24が充填されている領域の中央にまで至り、上記のように散布密度を異ならせた効果が得られないことがあるからである。
また、上記シール材22の内側の領域と、液晶24が充填されている中央の区域とにおいてスペーサ粒子23の散布密度を異ならせる場合、スペーサ粒子の密度の異ならせ方は、基板11,12の湾曲度合、すなわち基板11,12間の間隔が部分的に異なっている度合に応じて適宜定めればよい。
なお、上記実施形態においては、基板11,12間において、シール材22で囲まれた領域、すなわち液晶24が充填される領域にスペーサ粒子23が上記のように配置されていたが、本発明においては、スペーサ粒子23は、シール材22により囲まれた領域の外側にスペーサ粒子を配置してもよい。このような変形例を、図2を参照して説明する。
図2は、本変形例の液晶表示装置を製造する工程を説明するための模式的部分切欠正面断面図である。図2では、本変形例の液晶表示装置31,32を得るためのマザーの液晶表示装置30が示されている。この種の液晶表示装置の製造に際しては、通常、第1,第2の基板としてマザーの第1,第2の基板を用意し、該マザーの第1,第2の基板を用いてマザーの液晶表示装置30が作製される。そして、マザーの液晶表示装置30を、例えば図2の破線Bで示すように厚み方向に切断し、個々の液晶表示装置31,32が得られている。
図2では、液晶表示装置31,32が隣り合っている部分が示されており、液晶表示装置31では、シール材22で囲まれた領域内に液晶24が充填されており、液晶表示装置32においても、シール材22で囲まれた領域に液晶24が充填されている。そして、液晶24が充填されている領域には、上記実施形態と同様にスペーサ粒子23が配置されている。
本変形例の特徴は、さらに、上記シール材22で囲まれた領域の外側にも、スペーサ粒子23Aが配置されていることにある。ここでは、隣り合っている液晶表示装置31,32間において、言い換えれば、液晶表示装置31のシール材22と、液晶表示装置32のシール材22との間の空間にも、スペーサ粒子23Aが配置されている。このように、スペーサ粒子23Aが、シール材22の外側にも配置されている場合には、液晶24の量が多くなり、図17(a)に示したように、シール材223の外側において一方の基板226が他方の透明基板222に近づくように変形しようとしても、上記スペーサ粒子23Aの存在により該変形が抑制される。
加えて、図2において、破線Bに沿って、上方の基板11側から切断しようとした場合、図17(a)に示したような変形が生じがちであるが、このような変形もスペーサ粒子23Aの存在により抑制される。
従って、図2に示すように、液晶表示装置31,32において、シール材22の外側の領域にもスペーサ粒子23Aを配置することが望ましい。
図3は、本発明の他の実施形態の液晶表示装置の模式的部分切欠正面断面図である。
本実施形態の液晶表示装置51では、通常の液晶表示装置と同様に、表示面が立てられた状態で使用される。従って、図3では、表示面を立設した向きに液晶表示装置51が図示されている。
図17(c)を参照して説明したように、このような使用形態において、従来の液晶表示装置では、大画面化が進行するとともに、内部の液晶が重力により下方に移動し、液晶充填領域の厚みが下方において厚くなるという問題があった。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置51では、このような問題がスペーサ粒子23の散布密度の異ならせ方により解消されている。
すなわち、液晶表示装置51においても、図1に示した液晶表示装置10と同様に、第
1,第2の基板11,12が枠状のシール材22で接合されている。そして、液晶24が、基板11,12及びシール材22で囲まれた空間に注入されている。また、液晶24が充填されている領域には、複数のスペーサ粒子23が配置されている。
本実施形態の特徴は、液晶表示装置51が図示のように立てられた状態において、液晶24が充填されている領域を複数の区域に分割した場合、上方の区域Xにおけるスペーサ粒子23の散布密度は、下方の区域Yにおけるスペーサ粒子23の散布密度に比べて高くされていることにある。
ここで、上方の区域とは、立設状態において、液晶が充填されている領域の上端から50%内の区域とし、下方の領域とは、液晶24が充填されている領域において、下端から50%程度の範囲とすればよい。もっとも、このような上方の区域及び下方の区域の大きさについては、液晶24が充填されている領域の上下方向寸法及び液晶の比重、基板11,12の柔軟性等によって異なるため、これらの値に応じて適宜定めればよい。
本実施形態では、相対的に上方の区域におけるスペーサ粒子23の散布密度が、下方におけるスペーサ粒子23の散布密度に比べて高くされているため、液晶24が重力により下方に移動しようとしても、上方の区域においては、スペーサ粒子23の存在により、基板11,12の間隔が一定に保たれる。すなわち、液晶24が下方に移動しようとした場合には、基板11,12間の間隔が、液晶の移動に伴って狭められるが、このスペーサ粒子23の存在により、基板11,12間の間隔が狭くなり難くされている。従って、それによって液晶24の下方への移動が抑制される。従って、液晶24の下方への移動が規制され、下方の区域における液晶24の厚みが厚くなる現象を効果的に抑制することができる。
前述した実施形態及び変形例では、液晶が充填されている領域を複数の区域に区分けした場合、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度を、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度と異ならせていたが、この異ならせ方は、各実施形態及び変形例からも明らかなように、液晶注入量、基板接合時のプレス圧、液晶の比重など様々な条件により変動するため、これらに応じて、結果として基板の間隔が一定となるように上記スペーサ粒子の散布密度が異なる領域の数、位置及びスペーサ粒子の散布密度の値とを適宜選択すればよい。
そして、上記のように、スペーサ粒子の散布密度を特定の区域において高めたり低めたりするようにスペーサ粒子を散布するには、後述するように、インクジェット装置を用いたスペーサ粒子の散布方法が好適に用いられる。インクジェット装置を用いてスペーサ粒子が分散液に分散された分散液を吐出した場合には、基板上にスペーサ粒子を高精度に特定の範囲の散布密度となるように散布することができる。
また、本発明においては、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度と異なっていたが、1つの区域内におけるスペーサ粒子の散布密度はばらつかないことが望ましい。従って、各区域内において、1mm2あたりのスペーサ粒子の散布密度の標準偏差は、散布密度の平均値の40%以内とする
ことが好ましい。散布密度の平均値の40%を超えると、基板表面にスペーサ粒子が過剰に配置されていることがあり、スペーサ粒子によって基板表面が損傷することがある。
本発明では、液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)は、表示品質を良好とするために、均一であることが好ましい。
以下、本発明に係る液晶表示装置の材料及び製造方法について説明する。
(スペーサ粒子)
本発明に使用されるスペーサ粒子の材料は特に限定されず、例えば、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等の有機系粒子であってもよい。中でも、有機系粒子は、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、さらにセル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないという長所を持つために好ましく使用される。
上記有機系粒子としては特に限定されないが、通常は、強度等が適切な範囲にあるので、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好ましく用いられる。この際、単官能単量体と多官能単量体との比率は特に限定されるものではなく、得られる有機系粒子に要求される強度や硬度により適宜調整される。
上記単官能単量体としては、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能または多官能単量体として、親水性基を有する単量体が用いられてもよい。親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基が挙げられる。
このような親水性基を有する系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−またはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン
酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記単量体を重合して粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒子径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合、分散重合は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する際に好適に用いられる。
上記懸濁重合法とは、単量体及び重合開始剤よりなる単量体組成物を、目的とする粒子径となるよう貧溶媒中に分散し重合する方法である。懸濁重合に使用する分散媒は、通常、水に分散安定剤を加えたものが使用される。分散安定剤としては媒体中に可溶の高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。またノニオン性またはイオン性の界面活性剤も適宜使用される。重合条件は上記重合開始剤や単量体の種類により異なるが、通常、重合温度は50〜80℃、重合時間は3〜24時間である。
上記シード重合法とは、ソープフリー重合や乳化重合にて合成された単分散の種粒子に、さらに単量体を吸収させることにより、狙いの粒子径にまで膨らませる重合方法である。種粒子に用いられる有機単量体としては特に限定されず、上記の単量体が用いられるが、種粒子の組成は、シード重合時の相分離を抑えるために、シード重合時の単量体成分と親和性のある単量体であることが好ましく、粒子系分布の単分散性の点等からスチレン及びその誘導体等が好ましい。
上記種粒子の粒子径分布は、シード重合後の粒子径分布にも反映されるのでできるだけ単分散であることが好ましく、Cv値として5%以下であることが好ましい。上述したようにシード重合時には種粒子との相分離が起きやすいため、シード重合時に吸収させる単量体は、できるだけ種粒子組成と近い組成が好ましく、種粒子がスチレン系であれば芳香族系ジビニル単量体、アクリル系であればアクリル系多官能ビニル単量体を吸収させて重合させるのが好ましい。
また、シード重合法においては、必要に応じて分散安定剤を用いることもできる。分散安定剤としては、媒体中に可溶の高分子であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。また、ノニオン性また
はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。
上記シード重合法においては、種粒子1重量部に対して、単量体を20〜100重量部加えることが好ましい。
上記シード重合に使用する媒体としては特に限定されず、使用する単量体によって適宜決定されるべきであるが、一般的に好適な有機溶媒としては、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類または炭化水素を挙げることができ、さらにこれらを単独、または、これらと互いに相溶しあう他の有機溶剤、水等との混合溶媒として用いることができる。具体的には、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、シメチルスルホキシド、酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2−ブタノン等のケトン類等を挙げることができる。
上記分散重合法とは、単量体は溶解するが、生成したポリマーは溶解しない貧溶媒系で重合を行い、この系に高分子系分散安定剤を添加することにより生成ポリマーを粒子形状で析出させる方法である。
また、一般に架橋成分を分散重合により重合すると、粒子の凝集が起こりやすく、安定的に単分散架橋粒子を得ることが難しいが、条件を選定することにより、架橋成分を含んだ単量体を重合することが可能となる。
上記重合に際しては、重合開始剤が用いられ、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が好適に用いられる。なお、重合開始剤の使用量は通常、重合に際して用いられる単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部の
範囲が好ましい。
本発明に使用されるスペーサ粒子の粒径は、液晶表示素子の種類により適宜選択可能なため特に限定されず、上記スペーサ粒子の粒径の好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示素子のスペーサとして充分機能しないことがあり、20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の遮光領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示素子の小型化等の要請に充分に応えられなくなる。
本発明で使用されるスペーサ粒子は、適正な液晶層の厚みを維持するためのギャップ材として用いられるため、一定の強度が必要とされる。粒子の圧縮強度を示す指標として、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)で表した場合、適正な液晶層の厚みを維持するためには、2000〜15000MPaが好適である。2000MPaより小さいと、表示素子を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが出にくい。15000MPaより大きいと表示素子に組み込んだ際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常が発生することがある。
上記スペーサ粒子の圧縮弾性率(10%K値)は、特表平6−503180号公報記載の方法に準拠して求められた値である。例えば微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、粒子を10%歪ませるための加重から求められる。
上記の方法により得られたスペーサ粒子は、表示素子のコントラスト向上のために着色されて用いられてもよい。着色された粒子としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等により処理された粒子、また、粒子の表面に有機物の膜が形成され高温で分解または炭化されて着色された粒子等が挙げられる。なお、粒子を形成する材質自体が色を有している場合には着色せずにそのまま用いられてもよい。
また、スペーサ粒子には帯電可能な処理が施されていても良い。帯電可能な処理とは、スペーサ粒子が、スペーサ粒子分散液中でも何らかの電位を持つように処理することであり、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等既存の方法によって測定できる。
帯電可能な処理を施す方法としては、例えば、スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法、帯電しやすい単量体を含む単量体からスペーサ粒子を製造する方法、スペーサ粒子に帯電可能な表面処理をする方法等が挙げられる。
なお、このようにスペーサ粒子が帯電可能であると、スペーサ粒子分散液中でのスペーサ粒子の分散性や分散安定性が高められ、散布時に電気泳動効果で配線部(段差)部近傍にスペーサ粒子が寄り集まりやすくなる。
上記荷電制御剤を含有させる方法としては、スペーサ粒子を重合させる際に荷電制御剤を共存させて重合を行いスペーサ粒子中に含有させる方法、スペーサ粒子を重合する際に、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合させてスペーサ粒子中に含有させる方法、後述するスペーサ粒子の表面修飾の際に、表面修飾に用いられるモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を共重合させて表面修飾層に含有させる方法、表面修飾層またはスペーサ粒子の表面官能基と反する官能基を有する荷電粒子を反応させて表面に含有させる方法等が挙げられる。
上記荷電制御剤としては、特に限定されないが、例えば特開2002−148865号に記載の化合物を用いることができる。具体的には、例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシルカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等が挙げられる。
また、荷電制御剤としては特に限定されないが、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が好ましく用いられる。
これら荷電制御剤は単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記荷電制御剤を含有するスペーサ粒子の極性は、上記耐電制御剤の中から適切な荷電制御剤を適宜選択することにより設定され得る。すなわち、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させることができる。
上記スペーサ粒子を製造する際、帯電しやすい単量体を含む単量体から適宜単量体を選択する方法としては、スペーサ粒子を製造する箇所で述べた単量体として、親水性官能基を有するものを組み合わせて用いる方法が挙げられる。これらの親水性官能基を有する単量体の中から適切な単量体を適宜選択することにより、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させることができる。
上記スペーサ粒子の表面修飾をする方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特願2002−102848号に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法等が挙げられるが、これらを行う際、スペーサ粒子が帯電処理されるような方法が適宜選択される。
上記スペーサ粒子の表面修飾方法としては、スペーサ粒子表面に化学的に結合した表面層を形成する方法が、液晶表示装置のセル中で表面層の剥離や液晶への溶出という問題が少ないので好ましい。なかでも特開平9−113915号公報に記載の表面に還元性基を有する粒子に酸化剤を反応させ、粒子表面にラジカルを発生させて表面にグラフト重合を行う方法が、表面層の密度が高くでき、充分な厚みの表面層を形成できるために好ましい。この方法において帯電処理するには、グラフト重合を行う際、単量体として親水性官能基を有する単量体が組み合わせて用いられる。
また、このように表面処理を施すことにより、スペーサ粒子の基板に対する接着性が高まったり、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示体での液晶の配向が乱されなくなる効果もある。
(スペーサ粒子分散液)
本発明において、スペーサ粒子がインクジェット装置を用いて配置される場合には、スペーサ粒子分散液中に、上述したスペーサ粒子を分散させる。
スペーサ粒子分散液の媒体としては、例えば、ヘッドから吐出される温度で液体である各種溶媒が用いられる。なかでも水溶性または親水性の溶媒が好ましい。なお、一部のインクジェット装置のヘッドは水系媒体用にできているため、これらのヘッドを使用する際は、疎水性の強い溶媒は、ヘッドを構成する部材を溶媒が侵したり、部材を接着する接着剤の一部を溶かすことがあるので好ましくない。
上記水溶性または親水性の溶媒としては、水の他、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;グリコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、
ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;モノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類、ジオール類のエーテル誘導体、ジオール類のアセテート誘導体、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類またはそのエーテル誘導体、アセテート誘導体、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。
本発明では、上述した溶媒を組み合わせて、スペーサ粒子分散液の表面張力を33mN/m以上とすることが好ましい。表面張力が33mN/m以上であると、基板上に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴径が小さくなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液中に、沸点が100℃以上である溶媒を含有させるとよい。さらに好ましくは沸点が70℃以上100℃未満の有機溶媒を含ませる。
なお、本発明中でいう沸点とは1気圧の条件下での沸点をいう。
上記沸点が100℃未満の溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類、アセトンなどが好ましく使用される。
スペーサ粒子分散液を散布して溶媒を乾燥させる際に、配向膜に媒体が高温で接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうため、乾燥温度をあまり高くできない。しかしながら、上記のような100℃未満の溶媒を使用することにより、乾燥温度を低くできるので配向膜を汚染することがない。
スペーサ粒子を除くスペーサ粒子分散液100重量%に対し、沸点が100℃未満の溶媒は、5〜80重量%の範囲で含まれていることが好ましい。沸点が100℃未満の溶媒が5重量%未満では本発明で適用される比較的低い乾燥温度における分散液としての乾燥速度が遅くなり、生産効率が低下するので好ましくない。また、沸点が100℃未満の溶媒が80重量%を越えると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損ねることがある。さらに、スペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥しやすく、その結果凝集粒子の発生する可能性が高くなることがある。
また、上記沸点が100℃未満の溶媒は、20℃における表面張力が38mN/m未満、さらに好ましくは25mN/m以下であることが好ましい。溶媒の表面張力が38mN/m以上であると、スペーサ粒子分散液の表面張力が高くなりすぎるために、インクジェットヘッドのインク室の接液部分の表面張力によってはインクジェット装置による吐出性が悪くなることがある。なお、沸点が100℃以上の溶媒の20℃における表面張力は、38mN/m以上であることが好ましい。
スペーサ粒子分散液に、沸点100℃未満で表面張力が38mN/m未満の溶媒が含まれていることにより、後述するインクジェット装置にスペーサ粒子分散液を導入し易くなり、吐出する際には吐出性を向上できる。
なお、上述したように、スペーサ粒子分散液には、上記沸点が100℃未満の溶媒と、100℃以上の溶媒とを含有させるとよい。本発明では、沸点が100℃以上の溶媒として水が含まれている場合には、その配合量を10重量%以下にするとよい。スペーサ粒子分散液に含まれる水を10重量%以下にすることで、スペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が沈降し難くなる。逆に、スペーサ粒子分散液に含まれる水が10重量%以上であるとスペーサ粒子分散液の粘度が低下するためスペーサ粒子が沈降し易くなり、スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の分散状態にムラが生じる。よって、基板上に吐出されると、基板上でスペーサ粒子の散布密度に差が生じ易くなる。
本発明では、沸点が100℃未満かつ表面張力が38mN/m未満である溶媒とともに、沸点が150℃以上250℃以下の溶媒が含まれていることが好ましい。沸点が150℃以上250℃以下で表面張力が38mN/m以上の溶媒が混合されることにより、後退接触角がより一層高くなる。即ち、スペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散し、残された分散液の表面張力が高くなり、着弾地点中心に向かってのスペーサ粒子の移動が起こりやすくなるため好ましい。
逆に、沸点が150℃以上250℃以下の溶媒の表面張力が38mN/m未満であると、スペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾した後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散するので、残された分散液の表面張力が初期より低くなる。よって、着弾液滴径が小さくならず、着弾液滴径が初期より拡がり易くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が移動し難くなる。
上記沸点が150℃以上250℃以下の溶媒としては、例えば、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール等のブタンジオール類が挙げられる。このような溶媒は、スペーサ粒子分散液がインクジェット装置のノズル付近で過剰に乾燥し、吐出精度が低下するのを防止する。さらに、スペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥するため、凝集粒子の発生が抑制される。
スペーサ粒子分散液の媒体中における沸点が150℃以上250℃以下の溶媒の比率は、50〜98.5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、60〜95重量%である。50重量%未満では上記のような分散液の乾燥による吐出精度低下や凝集粒子の発生が起こりやすく、またこれらの溶媒の添加によりスペーサ粒子分散液の粘度や比重を上げることでスペーサ粒子の沈降を抑制する効果が小さくなるため好ましくない。98.5重量%を超えたり、沸点が250℃を超えると、乾燥時間が著しくかかり効率が低下するばかりでなく、配向膜の汚染による液晶表示装置の表示画質の低下が起こりやすくなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液の20℃における粘度が、10mPa・sより大きく、20mPa・s未満とされていることが好ましい。粘度が10mPa・s以下であると、スペーサ粒子分散液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降し易くなる。粘度が20mPa・s以上であると、インクジェット装置を用いて吐出する際に、吐出量を制御し難くなり、さらに吐出性を改善するためにスペーサ粒子分散液を過剰に加温しなければならないことがある。
本発明では、スペーサ粒子分散液の20℃における比重が、1.00g/cm3以上と
されていることが好ましい。比重が1.00g/cm3未満であると、スペーサ粒子分散
液中に分散されているスペーサ粒子が経時に沈降し易くなる。
本発明では、スペーサ粒子分散液に含有される溶媒の種類および配合量を適宜設定することにより、スペーサ粒子分散液の沈降速度を150分以上とすることが好ましい。なお、沈降速度とは、内径φ5mmの試験管にスペーサ粒子分散液を高さ10cmとなるように導入した後、静置した際に、目視にて試験管底にスペーサ粒子の堆積が確認されるまでの時間をいう。
スペーサ粒子分散液の沈降速度が、150分以上であると、スペーサ粒子分散液をインクジェット装置に導入してから吐出するまでの間に、スペーサ粒子が沈降し難くなる。よって、インクジェット装置を用いて、ススペーサ粒子分散液を安定に吐出することができ、基板上に精度よく選択的にスペーサ粒子を配置することができる。
また、上記スペーサ粒子分散液は、吐出される基板に対する後退接触角(θr)が5度以上であることが好ましい。上記後退接触角が5度以上あれば、基板に着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しその中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる。その中心にあらかじめ、静電的に作用する力による荷電インクが着弾していたり、着弾液滴径内に段差があるとそこへのスペーサ粒子の移動がより起こりやすくなり、スペーサ粒子の配置精度がより向上する。
上記後退接触角(θr)が5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小することがなく、このためスペーサ粒子がその中心に集まり難くなる。
なお、ここで後退接触角とは、基板上に置かれたスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、または、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
上記後退接触角を5度以上にする方法としては、上述したスペーサ粒子分散液の分散媒の組成を調整する方法、または、基板の表面を調整する方法が挙げられる。
上記スペーサ粒子分散液の分散媒の組成を調整するには、後退接触角が5度以上の媒体を単独で用いてもよいし、または、2種以上の媒体を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いると、スペーサ粒子の分散性、スペーサ粒子分散液の作業性、乾燥速度等の調整が容易であるため好ましい。
上記スペーサ粒子分散液として2種以上の溶媒が混合して用いられる場合には、混合される溶媒の中で最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度以上となるように混合することが好ましい。最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度未満であると、乾燥後期で液滴径が大きくなり(基板上で液滴が濡れ拡がり)、スペーサ粒子が基板上で着弾中心に集まり難くなる。
なお、後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向がある。これは、初期の接触角は、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角はスペーサ粒子分散液を構成する溶剤に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。即ち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶剤によって配向膜が損傷を
受けていることを示しており、これらの溶剤を使用することが、配向膜汚染に対して、好ましくないことがあった。
また、スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角θが、10〜110度になるように調整されることが好ましい。スペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角が10度未満の場合、基板上に吐出されたスペーサ粒子分散液液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔が狭くならないことがあり、110度より大きいと、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易く、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなるという問題が発生する。
本発明におけるスペーサ粒子分散液の吐出時の粘度は、好ましくは、0.5〜15mPa・sの範囲であり、さらに好ましくは5〜10mPa・sの範囲である。吐出時の粘度が、15mPa・sより高いとインクジェット装置で吐出できないことがあり、0.5mPa・sより低いと、吐出できても吐出量をコントロールする事が困難になるなど安定的に吐出できなくなることがある。なお、スペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の固形分濃度は、0.01〜5重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。0.01重量%未満では吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まれない確率が高くなるため好ましくない。また、5重量%を超えるとインクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなることがあり、着弾した分散液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて、乾燥過程でスペーサ粒子の移動が起こりにくくなるので好ましくない。
また、スペーサ粒子分散液はスペーサ粒子が単粒子状に分散されていることが好ましい。分散液中に凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合があるので好ましくない。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、スペーサ粒子分散液中に接着性を付与するための接着成分、スペーサ粒子の分散を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤などが添加されていてもよい。
(インクジェット装置)
次に、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出するのに用いられるインクジェット装置について説明する。
本発明に用いられるインクジェット装置は、特に限定されず、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の通常の吐出方法によるインクジェット装置が用いられる。その中でも、スペーサ粒子分散液等吐出物に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適に用いられる。
インクジェット装置のスペーサ粒子分散液を収納しているインク室の接液部は、表面張力が31mN/m以上親水性の材料で構成されていることが好ましい。その材料として、親水性ポリイミド等の親水性の有機材料も用いることもできるが、耐久性の点で無機材料、すなわち、セラミックスやガラス、腐食性が少ないステンレス等の金属材料が好適に用いられる。
通常のヘッドではこの部分に電圧印加部品との絶縁等のために樹脂等が用いられているが、このような表面張力が31mN/mより低い材料では、スペーサ粒子分散液をヘッドに導入する際、スペーサ粒子分散液とのなじみが悪いので気泡が残存しやすく、気泡が残存すると気泡が残存したノズルは吐出できないことがあるので好ましくない。
また、上記インクジェット装置のノズル口径はスペーサ粒子径に対して7倍以上が好ましい。7倍未満であると粒子径に比較しノズル径が小さすぎて吐出精度が低下したり、著しい場合はノズルが閉塞し吐出ができなくなるので好ましくない。
吐出精度が低下する理由は、以下のように考えられる。ピエゾ方式ではピエゾ素子の振動によりピエゾ素子に近接したインク室に、インクを吸引、またはインク室からインクをノズルの先端を通過させて吐出させている。液滴の吐出法として、吐出の直前にノズル先端のメニスカス(インクと気体との界面)を引き込んでから、液を押し出す引き打ち法とメニスカスが待機停止している位置から直接液を押し出す押し打ち法があるが、一般のインクジェット装置においては前者の引き打ち法が主流であり、これの特徴として小さな液滴が吐出できる。本発明のスペーサ粒子吐出においてはノズルの径がある程度大きく、かつ小液滴の吐出が要求されるため、この引き打ち法が有効である。
しかしながら、引き打ち法の場合吐出直前にメニスカスを引き込むため、例えばノズル口径が粒子径の7倍未満のようなノズル径が小さい場合、図4(a)に示されているように、引き込んだメニスカス62近傍にスペーサ粒子61があるとメニスカス62が軸対称に引き込まれない。よって、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液63の液滴は直進せず曲がってしまい、吐出精度が低下すると考えられる。例えばノズル口径が粒子径の7倍以上のようなノズル径が大きい場合、図4(b)に示されているように、引き込んだメニスカス62近傍にスペーサ粒子61があっても、スペーサ粒子61の影響を受けない。よって、メニスカス62は軸対称に引き込まれ、引き込みの後の押し出しの際、スペーサ粒子分散液63の液滴は直進し、吐出精度が良くなると考えられる。しかしながら、吐出の際の液滴の曲がりをなくすために、不必要にノズル径を大きくすると、吐出される液滴が大きくなり着弾径も大きくなるので、荷電インクやスペーサ粒子61を配置する精度が粗くなり好ましくない。
ノズルから吐出される液滴量としては、スペーサ粒子分散液の場合、10〜80pLの範囲が好ましい。液滴量を制御する方法としては、ノズルの口径を最適化する方法やインクジェットヘッドを制御する電気信号を最適化する方法がある。後者はピエゾ方式のインクジェット装置を用いた時に特に重要である。
インクジェット装置において、インクジェットヘッドには、上述した様なノズルが、複数個、一定の配置方式により設けられている。例えば、ヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で64個や128個設けられている。なお、これらが2列等複数列設けられている場合もある。
ノズルの間隔は、ピエゾ素子等の構造やノズル径等の制約を受ける。従って、スペーサ粒子分散液を上記のノズルが配置されている間隔以外の間隔で基板に吐出する場合には、その吐出間隔それぞれにヘッドを準備するのは難しい。よって、ヘッドの間隔より小さい場合は、通常はヘッドのスキャン方向に直角に配置されているヘッドを基板と平行を保ったまま基板と平行な面内で傾けてあるいは回転させて吐出する。ヘッドの間隔より大きい場合は、全てのノズルで吐出するのではなく一定のノズルのみで吐出したり、加えてヘッドを傾けるなどして吐出する。
また、生産性を上げる等のために、この様なヘッドを複数個、インクジェット装置に取
り付けることも可能であるが、取り付ける数を増やすと制御の点で複雑になるので注意を要する。
図15(a),(b)に、本発明で用いられるインクジェット装置のヘッドの一例を模式的に示す。図15(a)は、インクジェットヘッドの一例の構造を模式的に示す部分切欠斜視図、図15(b)はノズル孔部分における断面を示す部分切欠斜視図である。図15(a),(b)に示されているように、ヘッド100は吸引等によって予めインクが充填されるインク室101、及びインク室101からインクが送り込まれるインク室102を備えている。ヘッド100には、インク室102から吐出面103に至るノズル孔104が形成されている。吐出面103は、インクによる汚染を防止するため、予め撥水処理がされている。ヘッド100には、インクの粘度を調整するための温度制御手段105が設けられている。ヘッド100は、インク室101からインク室102にインクを送り込むように機能し、さらにインクをノズル孔104から吐出するように機能するピエゾ素子106を備えている。
ヘッド100では、上記温度制御手段105が設けられているため、粘度が高すぎる場合にはヒーターによりインクを加熱してインクの粘度を低下させることができ、粘度が低すぎる場合には、ペルチェによりインクを冷却してインクの粘度を上昇させることが可能とされている。
(液晶表示装置用の基板)
本発明に用いられる液晶表示装置用の第1,第2の基板としては、ガラスや樹脂板など通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。また一方の基板としては、画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが、画素領域を画する領域を構成することになる。
(スペーサ粒子の配置方法)
本発明に係る液晶表示装置を得る際に、基板にスペーサ粒子を配置する方法としては、区域ごとにスペーサ粒子の散布密度を適宜設定できれば、特に限定されるものではない。
スペーサ粒子を配置する方法としては、湿式散布法、乾式散布法、マスクを使用してスペーサ粒子を散布する方法、インクジェット装置を用いる方法等の各種散布方法が挙げられる。これらの中で、液晶表示装置の画素領域を画する領域(遮光領域)に選択的にスペーサ粒子を配置できるため、インクジェット装置を用いる方法が好ましく用いられる。
以下、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を配置する方法について説明する。インクジェット装置を用いて、第1の基板または第2の基板の表面に、上記スペーサ粒子分散液が吐出される。基板表面のスペーサ粒子分散液の液滴が吐出され着弾する箇所は、スペーサ粒子分散液の後退接触角(θr)が5度以上となるように調整されることが好ましい。荷電インクの場合は、上記のように後退接触角が5度以上となるように調整する必要はないが、後退接触角が5度以上に調整されていてもよい。
上記後退接触角を5℃以上とする方法としては、基板の表面を低エネルギー表面とする方法も挙げられる。
上記基板の表面を低エネルギー表面とする方法としては、フッ素膜やシリコーン膜等の低エネルギー表面を有する樹脂を塗設する方法でもよいが、該基板の表面には液晶分子の配向を規制する必要があるため配向膜と呼ばれる樹脂薄膜(通常は0.1μm以下)を設ける方法が一般に行われる。これらの配向膜には通常ポリイミド樹脂膜が用いられる。ポ
リイミド樹脂膜は、溶剤に可溶なポリアミック酸を塗設後熱重合させたり、可溶性ポリイミド樹脂を塗設後乾燥させることにより得られる。これらのポリイミド樹脂としては、長鎖の側鎖、主鎖を有するものが、低エネルギー表面を得るのにより好ましい。上記配向膜は、液晶の配向を制御するため、塗設後、表面がラビング処理される。なお、上述のスペーサ粒子分散液の媒体はこの配向膜中に浸透したり溶解したりして配向膜汚染性が無いものを選ぶ必要がある。
なお、本発明においては、スペーサ粒子分散液が吐出される第1の基板または第2の基板には、画素領域を画する領域に対応する領域中で、低エネルギー表面を有する箇所があり、着弾後の液滴が低エネルギー表面を有する箇所に存在するように、スペーサ粒子分散液の液滴を着弾させることが好ましい。ここで、画素領域を画する領域に対応する領域とは、画素領域を画する領域(カラーフィルタ基板であれば上述のブラックマトリックス)、あるいは、もう一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)上で、その基板を画素領域を画する領域を有する基板と重ね合わせた際、その画素領域を有する領域に対応する領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のいずれかを指す。
低エネルギー表面を有する箇所の表面エネルギーは45mN/m以下である事が好ましく、より好ましくは40mN/m以下である。45mN/mを超えると、インクジェット装置で吐出できる程度の表面張力を有するスペーサ粒子分散液を使用する限り、その液滴が基板上で濡れ拡がりスペーサ粒子が画素領域を画する領域からはみ出すことになる。
配向膜を塗るなどして得られる低エネルギー表面は、スペーサ粒子が着弾する箇所だけでも良いし、基板全面でも良い。パターニングなどの工程を考えると通常は全面が低エネルギー表面とされる。
また、本発明において、スペーサ粒子分散液が吐出される第1の基板または第2の基板には、画素領域を画する領域に対応する領域中で、低エネルギー表面を有する箇所があり、着弾後の液滴が、低エネルギー表面を有する箇所に存在するようにスペーサ粒子分散液の液滴を着弾させているが、そこには、周囲と段差を有する箇所が含まれていてもよい。また、段差を有する箇所のみに荷電インクが吐出乾燥させられているとなお好ましい。なお、ここでいう段差とは、基板上に設けられた配線等によって生じる非意図的な凹凸(周囲との高低差)、あるいは、本発明のようにスペーサ粒子を集めるために意図的に設けられた凹凸をいい、凸凹表面下の構造は問わない。従ってここでいう段差は、表面凹凸形状における凹部または凸部と平坦部(基準面)との段差をいう。
具体的には、例えば、TFT液晶パネルでのアレイ基板では、図5(a)〜(c)に示されているようなゲート電極やソース電極による段差(0.2μm程度)、図5(g)に示されているようなアレイによる段差(1.0μm程度)等が挙げられる。さらに、カラーフィルタ基板では、図5(d)〜(f)、(h)に示されているようなブラックマトリックス上での画色カラーフィルタ間の凹部段差(1.0μm程度)等が挙げられる。
本発明では、スペーサ粒子径をD(μm)、段差をB(μm)とすると、段差は0.01μm<|B|<0.95Dの関係があるような段差であることが好ましい。0.01μmより小さいと、段差周辺にスペーサ粒子を集めることが困難になることがあり、0.95Dを超えるとスペーサ粒子による基板のギャップ調整効果が得にくくなることがある。
なお、段差の作用については、段差が有る場合、乾燥の最終段階で液滴乾燥中心が段差部に擬似的に固定されるので、着弾したスペーサ粒子分散液液滴が乾燥した後、スペーサ粒子を画素領域を画する領域に対応する領域中にある段差周辺のごく限られた位置に集めることができると説明される。
この場合、図6に示されているように、スペーサ粒子65が乾燥後、最終的に残留する位置は、凸部ならば角で、凹部であればそのくぼみの中であることが多い。
また、段差の作用に関しては、配線等の段差部分または配向膜等の薄膜を挟んでその近傍に金属があり、スペーサ粒子に表面修飾がされていたり、帯電制御剤が含有されている場合、静電的相互作用いわゆる静電的な「電気泳動」効果により液滴中で粒子がその部分に移動、吸着されていくとも考えられる。この場合、金属種や、例えばイオン性の官能基を使用する等して配線等の表面処理に使用される化合物の官能基等を変えたり、帯電制御剤の種類を調整しながら加えたり、あるいは、ソース配線やゲート配線等の配線や基板全面に回路が破損しない程度の正または負の電圧を印加したりする。このようにすると、スペーサ粒子の寄り集まりを制御することができる。
本発明では、インクジェット装置を用いてで上述した基板の画素領域を画する領域に対応する特定の位置を含むような位置に、スペーサ粒子分散液を吐出するとよい。
本発明において、スペーサ粒子分散液は下記式(1)以上の間隔をもって基板に対して吐出することが好ましい。なお、この間隔は、着弾したスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥しない間に次の液滴が吐出される場合の、それら液滴間の最低間隔である。
上記式(1)中、Dはスペーサ粒子の粒子径(μm)を表し、θはスペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角を表す。
上記式(1)よりも小さな間隔で吐出しようとすると、液滴径が大きいままなので着弾径も大きくなり液滴の合着が起き、乾燥過程でスペーサ粒子の凝集方向が一カ所に向かって起こらなくなる。結果として、乾燥後のスペーサ粒子の配置精度が悪くなる問題が発生する。また、吐出液滴量を小さくしようとしてノズル径を小さくすると、相対的にスペーサ粒子径がノズル径に対して大きくなるため、上述したようにインクジェットヘッドノズルより安定的に、例えば常に同一方向に直線的にスペーサ粒子を吐出できず、飛行曲がりにより着弾位置精度が低下する。また、スペーサ粒子によってノズルが閉塞する場合がある。
上記式(1)のようにして吐出されて基板上に配置されるスペーサ粒子の配置個数(散布密度)は、通常50〜350個/mm2であることが好ましい。この粒子密度を満たす
範囲であれば、ブラックマットリックス等の画素領域を画する領域や配線等の画素領域を画する領域に対応する領域のどのような部分にどのようなパターンで配置しても構わない。しかしながら、表示部(画素領域)へのはみ出しを防止するため、格子状の遮光領域(画素領域を画する領域)からなるカラーフィルタに対しては、一方の基板上のその格子状の遮光領域の格子点に対応する箇所を狙って配置することがより好ましい。
なお、1カ所の配置位置におけるスペーサ粒子の個数は、配置箇所毎に違うが、一般的
には0〜12個程度であって、平均個数として、2〜6個程度である。その平均個数は、スペーサ粒子の粒子径及びスペーサ粒子分散液の濃度により調整される。
また、このように、スペーサ粒子分散液を吐出し液滴を基板上に着弾させるには、インクジェットヘッドのスキャンを1回で行うことも、複数回に分けて行うこともできる。特に、スペーサ粒子を配置しようとする間隔が上記(1)式よりも狭い場合は、その間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させてから、その間隔分だけずらして、再度吐出するなどしてもよい。移動(スキャン)方向に関しても、1回毎に交互に変えて(往復吐出)吐出することもでき、片方向に移動時のみ吐出(単方向吐出)することもできる。
さらに、このような配置方法として、特願2000−194956号にあるように、ヘッドを基板面に対する垂線と角度を持つように傾け、液滴の吐出方向を変え(通常は基板面に対する垂線と平行)、さらにヘッドと基板との相対速度をコントロールする。このようにすることで、着弾する液滴径を小さくし、より一層画素領域を画する領域またはそれに対応する領域中にスペーサ粒子を配置し易くすることも可能である。
(スペーサ粒子分散液の乾燥方法)
次に、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾してから、分散液中の媒体(溶剤、溶媒)を乾燥させる工程について説明する。
スペーサ粒子分散液を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、基板を加熱したり、熱風を吹き付ける方法が挙げられる。しかしながら、スペーサ粒子を乾燥過程で着弾液滴の中央付近に寄せ集めるためには、媒体の沸点、乾燥温度、乾燥時間、媒体の表面張力、媒体の配向膜に対する接触角、及びスペーサ粒子の濃度等を適当な条件に設定することが好ましい。
スペーサ粒子を乾燥過程で着弾液滴の中で寄せ集めるためには、スペーサ粒子が基板上を移動する間に液体がなくならないように、ある程度の時間幅をもって乾燥する。このため媒体が急激に乾燥する条件は好ましくない。また、媒体は高温で長時間配向膜と接触すると、配向膜を汚染して液晶表示装置としての表示画質を損なうことがあるため好ましくない。
媒体として室温で著しく揮発しやすいものや、激しく揮発するような条件下でそれらの媒体を使用すると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損なうので好ましくない。また、分散液の製造時やタンクで乾燥によって凝集粒子が生成する可能性があるので好ましくない。
基板温度が比較的低い条件であっても乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産効率が低下するので好ましくない。
本発明においては、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した時の基板表面温度は、分散液に含まれる最も低沸点の溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。最も低沸点の溶媒の沸点より20℃低い温度より高くなると、最も低沸点の溶媒が急激に揮散し、スペーサ粒子が移動できないばかりでなく、著しい場合は溶媒の急激な沸騰で液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下するので好ましくない。
また、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した後に、基板温度を徐々に上昇させながら媒体を乾燥させる際には、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下が好ましく、さらに好ましくは70℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
なお、本発明中でいう乾燥完了とは基板上の液滴が消失した時点をいう。
この後、スペーサ粒子の基板に対する固着性を高めたり、残留溶剤を除去するため、より高い温度(120〜230℃程度)に基板を加熱してもよい。
(液晶表示装置の組立)
本発明の製造方法に従ってスペーサ粒子を配置した基板は、スペーサ粒子が配置されていない基板と周辺シール剤を用いて加熱圧着され、形成された基板間の空隙に液晶が充填されて液晶表示装置が作製される(真空注入法)。あるいは、片方の基板に周辺シール剤を塗布し、それに囲まれた範囲内に液晶を滴下し、もう一方の基板と貼り合わせて、シール剤を硬化させて液晶表示装置が作製される(液晶滴下工法)。この場合、いずれの基板にスペーサ粒子が配置されてもよい。
[実施例及び比較例]
以下実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(スペーサ粒子の調製)
セパラブルフラスコにて、ジビニルベンゼン15重量部と、イソオクチルアクリレート5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重量部とを均一に混合した。次に、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールGL−03」、クラレ社製)の3%水溶液20重量部と、ドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部とを投入しよく攪拌した。しかる後、イオン交換水140重量部を添加した。この溶液を攪拌しながら窒素気流下80℃で15時間反応を行った。得られた粒子を熱水及びアセトンにて洗浄後、分級操作を行い、平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%のスペーサ粒子を得た。
(スペーサ粒子の表面修飾)
得られた平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%のスペーサ粒子5重量部をジメチルスルホキシド(DMSO)20重量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部と、N−エチルアクリルアミド18重量部との中に投入し、ソニケータによって均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し、30℃にて2時間撹拌を続けた。次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液10重量部を添加し、5時間反応を続けた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。この粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、スペーサ粒子SAを得た。
(スペーサ粒子分散液の調製)
上述した方法で得られたスペーサ粒子SA0.20gをとり、2−プロパノール10gと、水20gと、エチレングリコール70gとからなる溶媒にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。しかる後、10μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去し、スペーサ粒子分散液S1を得た。
得られたスペーサ粒子分散液の表面張力は白金版を使用するウイムヘルミー法で測定したところ50mN/mであった。
上述した方法で得られたスペーサ粒子SA0.25gをとり、2−プロパノール10gと、水20gと、エチレングリコール70gとからなる溶媒にゆっくり添加し、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた。しかる後10μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去し、スペーサ粒子分散液S2を得た。
(基板の作製)
液晶テストパネル用の第1の基板としてカラーフィルタ基板、及びの第2の基板としてTFTアレイ基板にある段差を模したTFTアレイモデル基板を用いた。
(カラーフィルタ基板)
図7(a)に、カラーフィルタ基板に用いるガラス基板に、ブラックマトリックスが設けられた状態の一部を拡大して部分切欠平面図で示す。図7(b)に、カラーフィルタ基板の一部を拡大して部分切欠正面断面図で示す。
実施例及び比較例に用いた表面が平滑なカラーフィルタ基板71は、以下のように作製した。
図7(a),(b)に示されているように、縦300mm×横360mmガラス基板72の上に通常の方法により、金属クロムからなるブラックマトリックス73(幅25μm、縦間隔150μm、横間隔75μm、厚み0.2μm)を設けた。ブラックマトリックス73上及びその間に、赤,緑,青の3色からなるカラーフィルタ74画素(厚み1.5μm)を表面が平坦となるように形成した。その上にほぼ一定の厚みのオーバーコート層75及びITO透明電極76設けた。
さらにその上に、スピンコート法によってポリイミドを含有する溶液(商品名「サンエバーSE7492、表面張力γ(38mN/m)を塗布した。塗布後、80℃で乾燥した後に200℃で1時間焼成し、硬化させてほぼ一定の厚みの配向膜77を形成した。その後45度の角度でラビングを施し、水洗浄を行い105℃で120分間乾燥させた。
(TFTアレイモデル基板)
図8(a)に、TFTアレイモデル基板に用いるガラス基板に、段差が設けられた状態の一部を拡大して部分切欠平面図で示す。図8(b)に、TFTアレイモデル基板の一部を拡大して部分切欠正面図で示す。
段差が設けられたTFTアレイモデル基板81は、以下のように作製した。
図8(a),(b)に示されているように、TFTアレイモデル基板81は、上記カラーフィルタ基板71のブラックマトリックス73に相対する位置において、縦300mm×横360mmガラス基板82上に、従来公知の方法により銅からなるよる段差83(幅8μm、高低差0.2μm)を設けた。その上に、ほぼ一定の厚みのITO透明電極84を設け、さらに上述した方法でほぼ一定の厚みの配向膜85を形成した。
(インクジェット装置)
ピエゾ方式の口径50μmのヘッドを搭載したインクジェット装置を用意した。このヘッドのインク室の接液部は、セラミック材料により構成し、ノズル面は、フッ素系撥水加工が施されたものを用いた。
(スペーサ粒子の配置)
本実施例及び比較例では、上述したスペーサ粒子分散液、及びTFTアレイモデル基板81を用いて下記の方法でスペーサ粒子を配置した。
ヒーターで45℃に加熱されたステージ上に、段差83を有するTFTアレイモデル基板81を載せた。この基板上に、上述したインクジェット装置を用いて、ブラックマトリックス73に対応する段差83を狙って、縦のライン1列おきに、縦のラインの上に、1
10μm間隔で、スペーサ粒子分散液の液滴を縦110μm×横150μmピッチで吐出し、乾燥させた。吐出の際のノズル(ヘッド面)と基板の間隔は0.5mmとし、ダブルパルス方式を用いた。
ステージ上のTFTアレイモデル基板81に吐出されたスペーサ粒子分散液が、目視で完全に乾燥したのを確認した後、さらに残留している溶媒を除去した。除去後、150℃に加熱されたホットプレート上に移して加熱し、15分間放置し、スペーサ粒子を基板に固着させた。固着後、スペーサ粒子の配置状態を確認した。
(評価用液晶表示装置の作製)
上述のようにしてスペーサ粒子が配置されたTFTアレイモデル基板81と、対向基板となるカラーフィルタ基板71とを、周辺シール材を用いて貼り合わせた。貼り合わせる位置は、カラーフィルタ基板71の端面71aとTFTアレイモデル基板81の端面81aからそれぞれ20mm内側の部分とした。
貼り合わせた後、シール材を150℃で1時間加熱して硬化させてセルギャップがスペーサ粒子の粒子径となるような空セルを作製し、次に真空法で液晶を充填し、封口剤で注入口封止して液晶表示装置を作製した。なお、基板同士はラビングの向きが直交するように重ね合わせた。
得られた液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)をセルギャップ測定装置(大塚電子社製)により評価した。さらに、得られた液晶表示装置を偏向フィルムで挟み、電圧を印加することで、表示状態を確認した。
(実施例1)
・スペーサ粒子の配置
実施例1の液晶表示装置のスペーサ粒子の散布密度を異ならせた2つの区域を、図9を用いて説明する。図9に、縦300mm×横360mmのTFTアレイモデル基板81の要部を拡大して略図的平面図で示す。
図9に示されているように、TFTアレイモデル基板81の端面81aから20mm内側の実線で示す部分が、シール材91が設けられる部分である。
上述したインクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を吐出し、シール材91で囲まれた液晶充填領域の基板81上の段差83部分にスペーサ粒子を配置した。このとき、斜線を付して示すシール材91の内面から20mmまでの領域A1よりも、シール材91の内面から20mmまでの領域A1のさらに内側の領域A2のスペーサ粒子の散布密度を高くした。
上記領域A1に対して、上記スペーサ粒子分散液S1を用いてスペーサ粒子を配置した。一方、上記領域A2に対して、上記スペーサ粒子分散液S2を用いてスペーサ粒子を配置した。
・スペーサ粒子の散布密度の測定位置
次に、実施例1の液晶表示装置のスペーサ粒子の散布密度の測定位置を、図10を用いて説明する。図10に、縦300mm×横360mmのTFTアレイモデル基板81の要部を拡大して略図的平面図で示す。
図10に丸印を付して示す測定位置Pは、シール材91が設けられている位置から10mm内側の縦240mm×横300mmの領域内に位置する。縦240mm×横300m
mの領域内において、測定位置Pは、それぞれ縦幅60mmの間隔を隔てられた位置とし、かつそれぞれ横幅50mmの間隔を隔てられた位置である35箇所とした。すなわち、図10に示されているように、縦240mm×横300mmの領域内において、縦幅60mm間隔で5本の横点線を、横幅50mm間隔で7本の縦点線をそれぞれ引いたときに、縦点線と横点線との交点部分である35箇所を測定位置Pとした。この測定位置Pを中心とした1mm2の範囲内のスペーサ粒子の個数を計測した。
・測定結果
上記領域A1における20箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は144個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4%であった。
他方、上記領域A2における15箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は182個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4%であっ
た。
液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.3μmであった。
次に、実施例1の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示状態を確認した。図11(a)に表示領域における白の表示画像を示し、図11(b)に表示領域における黒の表示画像を示す。
図11(a),(b)に示されているように、実施例1の液晶表示装置では、表示領域全体で均一な白黒の変化を示した。
(実施例2)
・スペーサ粒子の配置
実施例2の液晶表示装置のスペーサ粒子の散布密度を異ならせた2つの区域を、図12を用いて説明する。図12に、縦300mm×横360mmのTFTアレイモデル基板81の要部を拡大して略図的平面図で示す。
図12に示されているように、TFTアレイモデル基板81の端面81aから20mm内側の実線で示す部分が、シール材91が設けられる部分である。
上述したインクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を吐出し、上記領域A3,A4の基板81上の段差83部分にスペーサ粒子を配置した。このとき、シール材91で囲まれた液晶充填領域A3よりも、斜線を付して示す周辺シール材91の外面から10mmまでの領域A4のスペーサ粒子の散布密度を高くした。
上記領域A3に対して上記スペーサ粒子分散液S2を用いてスペーサ粒子を配置した。一方、上記領域A4に対して上記スペーサ粒子分散液S2を用いて、インクジェット装置の吐出電圧をあげて、スペーサ粒子を配置した。
・スペーサ粒子の散布密度の測定位置
上記領域A3の測定位置は、図10に丸印を付して示す35箇所の測定位置Pとした。この測定位置Pを中心とした1mm2の範囲内のスペーサ粒子の個数を計測した。
他方、上記領域A4の測定位置は、シール材91が設けられている位置から5mm外側の縦270mm×横330mmの枠上に位置する。図10に示す上記5本の横点線及び上記7本の縦点線を、上記縦270mm×横330mmの枠上まで延長したときに、縦点線及び横点線と枠との交点である24箇所を測定位置P´とした。この測定位置P´を中心とした1mm2の範囲内のスペーサ粒子の個数を計測した。
・測定結果
上記領域A3における35箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は180個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4%であった。
他方、上記領域A4における24箇所の測定位置P´のスペーサ粒子の散布密度の平均値は202個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4%であ
った。
液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.3μmであった。また、液晶表示装置の表示状態を確認したところ、実施例1の液晶表示装置と同様に、表示領域全体で均一な白黒の変化を示した。
(実施例3)
・スペーサ粒子の配置
上述したインクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を吐出し、シール材91で囲まれた液晶充填領域の段差83部分にスペーサ粒子を配置した。このとき、液晶表示装置が、カラーフィルタ基板71とTFTアレイモデル基板81が立設するように用いられた際の上方3分の1の区域に対して、上記スペーサ粒子分散液S2を用いてスペーサ粒子を配置した。一方、上方3分の1の区域よりも下方の区域に対して、上記スペーサ粒子分散液S2を用いてスペーサ粒子を配置した。なお、上方3分の1の区域よりも下方の区域に対して、上方3分の1の区域の方のインクジェット装置の吐出電圧を高くした。
・スペーサ粒子の散布密度の測定位置
実施例1の液晶表示装置と同様に、図10に丸印を付して示す35箇所の測定位置Pを中心とした1mm2の範囲のスペーサ粒子の個数を計測した。
・測定結果
上方3分の1の区域における14箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は200個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4%であ
った。他方、上方3分の1の区域よりも下方の区域における21箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は180個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は
散布密度の平均値の4.0%であった。
この液晶表示装置を立設状態としたときの、液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.3μmであった。また、液晶表示装置の表示状態を確認したところ、実施例1の液晶表示装置と同様に、表示領域全体で均一な白黒の変化を示した。
(比較例1)
・スペーサ粒子の配置
上述したインクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を吐出し、シール91で囲まれた液晶充填領域の段差83部分にスペーサ粒子を配置した。上記スペーサ粒子分散液S2を用いてスペーサ粒子を配置した。
・スペーサ粒子の散布密度の測定位置
実施例1の液晶表示装置と同様に、図10に丸印を付して示す35箇所の測定位置Pを中心とした1mm2の範囲のスペーサ粒子の個数を計測した。
・測定結果
シール材91で囲まれた領域における35箇所の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は180個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の
4%であった。
液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.5μmであった。
次に、比較例1の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示状態を確認した。図13(a)に表示領域における白の表示画像を示し、図13(b)に表示領域における黒の表示画像を示す。
図13(a)に示されているように、白を表示した際には、表示領域全体で均一な白の表示状態であった。一方、図13(b)に示されているように、黒を表示した際には、シール材85の内面から20mmの領域が、わずかに明度が高く濃灰色の表示状態であったが、それ以外の表示領域では均一な黒の表示状態であった。
この液晶表示装置を立設状態としたときの、液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.6μmであった。また、立設状態としたときの液晶表示装置の表示領域における白黒の表示状態を確認したところ、液晶表示装置の上下で表示状態が異なり、表示領域全体で不均一な白黒ムラを示した。
(比較例2)
・スペーサ粒子の配置
湿式散布方式でスペーサ粒子を散布し、シール材91で囲まれた液晶充填領域にスペーサ粒子を配置した。平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%の上記スペーサ粒子1gを2−プロパノール100gに分散させた溶液を用いてスペーサ粒子を配置した。
シール材91で囲まれた領域における35個の測定位置Pのスペーサ粒子の散布密度の平均値は162個/mm2、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差は散布密度の平均値の4
2%であった。
・測定結果
この液晶表示装置の基板間の間隔(セルギャップ)の差は最大で0.5μmであった。
次に、比較例2の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示状態を確認した。図14(a)に表示領域における白の表示画像を示し、図14(b)に表示領域における黒の表示画像を示す。
図14(a)に示されているように、白を表示した際には、表示領域全体で均一な白の表示状態であった。一方、図14(b)に示されているように、黒を表示した際には、シール材85の内面から20mmの部分が、わずかに明度が高く濃灰色の表示状態であり、さらに、シール材85の内面から20mmの領域のさらに内側の部分でも、明度が高く濃灰色の表示状態である部分が数箇所あり、表示状態にムラが見られた。
(a)は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置を模式的に示す正面断面図。(b)は、その要部を略図的に示す部分切欠拡大正面断面図。(c)は、変形例の液晶表示装置の要部を示す正面断面図。 本発明の変形例に係る液晶表示装置を製造する工程を説明するための模式的部分切欠正面断面図。 本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の模式的部分切欠正面断面図。 インクジェットノズルからの液滴吐出状態を表す模式図であり、(a)はメニスカスが軸対象でない場合を示し、(b)はメニスカスが軸対象の場合を示す。 (a)〜(h)は、基板の表面に設けられた段差部分の横断面方向に沿う切断部端面図。 スペーサ粒子の残留する位置を表す模式図。 (a)は、実施例および比較例で使用するカラーフィルタ基板に用いるガラス基板に、ブラックマトリックスが設けられた状態の一部を拡大して模式的に示す部分切欠平面図。(b)は、実施例および比較例で使用するカラーフィルタ基板の一部を拡大して模式的に示す部分切欠正面断面図。 (a)は、実施例および比較例で使用するTFTアレイモデル基板に用いるガラス基板に、段差が設けられた状態の一部を拡大して模式的に示す部分切欠平面図。(b)は、実施例および比較例で使用するTFTアレイモデル基板の一部を拡大して模式的に示す部分切欠正面図。 スペーサ粒子の散布密度を異ならせた2つの区域を説明するために、TFTアレイモデル基板の要部を拡大して示す略図的平面図。 液晶表示装置のスペーサ粒子の散布密度の測定位置を説明するために、TFTアレイモデル基板の要部を拡大して略図的平面図。 実施例の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示画像であり、(a)は白の表示画像、(b)は黒の表示画像。 スペーサ粒子の散布密度を異ならせた2つの区域を説明するために、TFTアレイモデル基板の要部を拡大して示す略図的平面図。 比較例の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示画像であり、(a)は白の表示画像であり、(b)は黒の表示画像である。 比較例の液晶表示装置の表示領域における白黒の表示画像であり、(a)は白の表示画像であり、(b)は黒の表示画像である。 (a),(b)は、インクジェットヘッドの一例の構造を模式的に示す部分切欠斜視図、及びノズル孔部分における断面を示す部分切欠斜視図。 従来の液晶表示装置の一例を示す模式的正面断面図。 (a)〜(c)は、従来の液晶表示装置の問題点を説明するための部分切欠正面断面図。
符号の説明
10…液晶表示装置
11,12…第1,第2の基板
13…カラーフィルタ
14…ブラックマトリックス
15…オーバーコート層
16…透明電極
17…配向膜
18…透明電極
19…配向膜
20,21…偏向板
22…シール材
23,23A…スペーサ粒子
24…液晶
30…マザーの液晶表示装置
31…液晶表示装置
32…液晶表示装置
51…液晶表示装置
61…スペーサ粒子
62…メニスカス
63…スペーサ粒子分散液
65…スペーサ粒子
71…カラーフィルタ基板
71a…端面
72…ガラス基板
73…ブラックマトリックス
74…カラーフィルタ
75…オーバーコート層
76…透明電極
77…配向膜
81…TFTアレイモデル基板
81a…端面
82…ガラス基板
83…段差
84…透明電極
85…配向膜
91…シール材
100…ヘッド
101…インク室1(共通インク室)
102…インク室2(圧力インク室)
103…吐出面(ノズル面)
104…ノズル孔
105…温度制御手段
106…ピエゾ素子

Claims (6)

  1. 第1,第2の基板とが枠状のシール材を介して接合されており、第1,第2の基板及びシール材に囲まれた空間に液晶が充填されており、かつ前記第1,第2の基板間の間隔を規制するためのスペーサ粒子が第1,第2の基板間に配置されている液晶表示装置において、
    前記第1,第2の基板が対向している領域を複数の区域に区分けした際に、少なくとも1つの区域における前記スペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異なっていることを特徴とする、液晶表示装置。
  2. 前記少なくとも1つの区域がシール材で囲まれた液晶充填領域の周辺部分であって、前記シール材の内面近傍部分である、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記少なくとも1つの区域が、前記シール材の内面から、前記シール材の内面と前記液晶充填領域の中心との間の距離の40%以下の距離までの領域である、請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記スペーサ粒子が、前記シール材の外側の領域にも配置されており、該シール材の外側近傍におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされている、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  5. 前記液晶表示装置が第1,第2の基板が立設するように用いられた際の上方に相当する区域が前記少なくとも1つの区域を構成しており、該上方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、該上方の区域よりも下方の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値よりも高くされていることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
    少なくとも一方に前記シール材が配置された第1及び第2の基板を用意する工程と、
    第1及び第2の基板の一方にインクジェット装置を用いてスペーサ粒子が分散されたスペーサ分散液を吐出し、スペーサ粒子を、少なくとも1つの区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値が、他の区域におけるスペーサ粒子の散布密度の平均値と異なるように配置する工程と、
    前記スペーサ粒子を配置した後に、第1,第2の基板間に液晶を介在させて第1,第2の基板を接合、または第1,第2の基板内に液晶を充填する工程とを備える、液晶表示装置の製造方法。
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