JP2008122704A - 液晶スペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スペーサ粒子、接着成分及び溶剤を含有する液晶スペーサ粒子分散液であって、前記接着成分は、下記一般式(1)で表される構成単位を20モル%以上含有するブロック又はグラフト共重合体である液晶スペーサ粒子分散液。
[化1]
一般式(1)式中、R1は、H、CnH2n+1を表し、nは、3以下の整数であり、R2は、H、CnH2n+1を表し、n、m1は、3以下の整数を表す。
【選択図】なし
Description
スペーサ粒子は一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサ粒子が配置されると消偏作用によりスペーサ粒子部分が光漏れの原因となる。また、スペーサ粒子表面での液晶の配向が乱れると光抜けが起こり、コントラストや色調が低下し、表示品質が悪化するという問題も生じる。更に、TFT液晶表示装置においては、基板のTFT素子上にスペーサ粒子が配置されると、基板に圧力が加わったときに素子が破損してしまうこともあった。
スペーサ粒子を特定の位置にのみ配置する方法として、例えば、特許文献1には、開口部を有するマスクを配置させたい位置と合致させた後に、マスクを通してスペーサ粒子を散布する方法が開示されている。特許文献2には、感光体に静電的にスペーサ粒子を吸着させた後、透明基板にスペーサ粒子を転写する方法が開示されている。特許文献3には、基板上の画素電極に電圧を印加し、帯電させたスペーサ粒子を散布することで、静電的斥力によって特定の位置にスペーサ粒子を配置させる液晶表示装置の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された方法では、基板上にマスクや感光体が直接接触するために、基板上の配向膜が損傷を受けることがあり、液晶表示の画質が低下することがあるという問題があった。また、特許文献3に記載された方法では、配置させるパターンに従った電極を必要とするため、任意の位置にスペーサ粒子を配置することが不可能であるという問題があった。
更に、特許文献5及び6には、スペーサ粒子分散液中に接着剤を配合することにより、スペーサ粒子の基板への固着力を向上させる方法が開示されている。
特に近年の極めてファインピッチ化された液晶表示装置では、ブラックマトリックス等のスペーサ粒子を配置すべき位置が極めて小さく、このような液滴の飛行曲がりや、未吐出ノズルが生じると、スペーサ粒子を所定の位置に正確に配置することができず、製造する液晶表示装置に光抜け等の問題が発生することがあった。
このようなブロック又はグラフト共重合体からなる接着成分は、基板上に配置したスペーサ粒子を基板に対して強固に固着させる接着剤としての役割を果たすとともに、本発明1の液晶スペーサ粒子分散液中で分散剤として働くため、上記スペーサ粒子の溶剤に対する分散性を向上させる役割を果たす。
従って、上記接着成分を含有することで、本発明1の液晶スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の溶剤に対する分散性が向上し、インクジェット装置内に充填したときに、スペーサ粒子同士の合着や沈降等が生じにくく、インクジェット装置の流路やヘッド部へスペーサ粒子の凝集物が付着することで、吐出する液滴の飛行曲がりやノズルの閉塞等が生じることがなく、スペーサ粒子を目的とする位置に正確に配置することができ、表示品質に優れる液晶表示装置を製造することができる。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量であり、また、GPCによりポリスチレン換算重量平均分子量を測定する際のカラムとしてはSHOKO社製カラムLF−804等が挙げられる。
このようなブロック又はグラフト共重合体からなる接着成分は、基板上に配置したスペーサ粒子を基板に対して強固に固着させる接着剤としての役割を果たすとともに、本発明2の液晶スペーサ粒子分散液中で分散剤として働くため、上記スペーサ粒子の溶剤に対する分散性を向上させる役割を果たす。
従って、上記接着成分を含有することで、本発明2の液晶スペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の溶剤に対する分散性が向上し、インクジェット装置内に充填したときに、スペーサ粒子同士の合着や沈降等が生じにくく、インクジェット装置の流路やヘッド部へスペーサ粒子の凝集物が付着することで、吐出する液滴の飛行曲がりやノズルの閉塞等が生じることがなく、スペーサ粒子を目的とする位置に正確に配置することができ、表示品質に優れる液晶表示装置を製造することができる。
このような樹脂としては、例えば、溶剤が水系の場合には、ブロックイソシアネートを利用したアクリル接着剤等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。また、加熱により反応が開始するアルコキシメチルアクリルアミド等;予め架橋剤を混合しておき、加熱することにより架橋反応(ウレタン反応、エポキシ架橋反応等)が起こるような反応性官能基を有する樹脂;加熱により反応して架橋性高分子になるような単量体混合物(例えば、エポキシ基を側鎖に有するオリゴマーと、開始剤との混合物)等も用いることができる。
上記光硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、光により反応を開始する開始剤と、種々の単量体との混合物(例えば、光ラジカル開始剤と、アクリルモノマー−バインダー混合物;光酸発生開始剤とエポキシオリゴマー混合物等);光により架橋する反応基を有する高分子(けいひ酸系化合物等);アジド化合物等が挙げられる。
上記スペーサ粒子としては特に限定されず、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等からなる有機系粒子であってもよい。なかでも、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、かつ、セル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないことから、有機系粒子が好適である。
上記単官能単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記親水性基を有する単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記懸濁重合法は、得られる粒子の粒子径分布が比較的広く多分散の粒子が得られるため、スペーサ粒子として利用する場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有する多品種の粒子を得る際に好適に用いられる。一方、シード重合、分散重合は、分級工程を経ることなく単分散粒子が得られるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する際に好適である。
上記分散安定剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、グリコール系樹脂、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
上記グリコール系樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、なかでも、ポリビニルアルコール樹脂、グリコール系樹脂を用いた場合、スペーサ粒子分散液への分散性が良くなる点で好ましく用いられる。
また、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。
上記スペーサ粒子に表面処理層を設ける方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特願2002−102848号に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法等が挙げられる。
本明細書において帯電可能な処理とは、スペーサ粒子を本発明の液晶スペーサ粒子分散液中でも何らかの電位を持つように処理することを意味し、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等既存の方法によって測定できる。
上記荷電制御剤としては特に限定されないが、例えば、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が挙げられる。これら荷電制御剤は単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合せて用いられてもよい。
なお、上記10%K値は、例えば、微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、粒子を10%歪ませるための加重から求めることができる。
上記溶剤としては特に限定されず、例えば、水の他、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;グリコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;モノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類、ジオール類のエーテル誘導体、ジオール類のアセテート誘導体、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類又はそのエーテル誘導体、アセテート誘導体、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素、エステル化合物等が挙げられる。
これらは、基板にスペーサ粒子分散液が吐出された後、スペーサ粒子分散液を乾燥させるときにスペーサ粒子が寄り集まることが可能となることからも好ましい。
更に好ましくは、乾燥時に短時間で効果的にスペーサ粒子を寄せ集めることができるため、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びグリセリンが好ましく用いられる。乾燥時に短時間でより一層効果的にスペーサ粒子を寄せ集めることができるため、グリセリンがより好ましく用いられる。
上記不揮発成分には、例えば、大気中のゴミ、スペーサ粒子を分散させるのに用いた溶剤中に含まれていた不純物、スペーサ粒子の粉砕物、金属イオン等のイオン性化合物等が含まれ、液晶スペーサ粒子分散液中における保形性を有さない固形分や非球形の微粒子を含むものとする。
また上記液晶スペーサ粒子分散液は、液晶スペーサ粒子分散液の表面張力の値から基板の表面張力の値を減じた値が−2〜40mN/mであることが好ましい。−2mN/m未満であると、液晶スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した際の着弾径が非常に大きくなってしまうことがあり、40mN/mを超えると、着弾したスペーサ粒子が容易に移動してしまい、正確にスペーサを配置できないことがある。
上記液晶スペーサ粒子分散液においては、例えば、表面張力について上記要件を満たすように低沸点低表面張力の溶剤と高沸点高表面張力の溶剤とを混合することが好ましい。このような組み合わせを選択することにより、着弾した液晶スペーサ粒子分散液の液滴が乾燥するにつれ表面張力が高くなるので、液滴が乾燥するに従って液滴の径が小さくなるような力が働き、最終的なスペーサ粒子が固着する範囲を限定することができる。
このような液晶スペーサ粒子分散液を調製するためには、比重の軽い接着成分を用いたり、比重の重い溶剤として揮発性が高いものを用いたりすることが考えられる。
本明細書において後退接触角とは、基板上に置かれた液晶スペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
なお、液晶スペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、液晶スペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
上記配向膜溶剤溶解度は、例えば、以下の方法により測定することができる。即ち、固形分で100mg相当の液晶スペーサ粒子分散液を90℃で5時間、150℃で5時間真空で乾燥させることで、乾固させたあと、220℃で1時間ベークする(接着成分として光硬化樹脂を含有する場合は、紫外線を2500mJ照射する)。硬化物の重量(Wa)を測定した後、10gのN−メチル2−ピロリドンに入れ振とうさせながら5時間放置し、固形分を濾別し、150℃で5時間真空で乾燥させ乾固させた重量(Wb)を測定する。配向膜溶剤溶解度は、下記式により求めることができる。
配向膜溶剤溶解度=(Wa−Wb)/Wa
上記インクジェット装置は特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の従来公知の吐出方法によるインクジェット装置が挙げられる。なかでも、吐出する液晶スペーサ粒子分散液に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適である。
上記撥水処理は、常圧プラズマ法、CDV法等の乾式法;シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の撥水剤を基板の表面に塗布する湿式法のいずれも用いることができるが、なかでも、常圧プラズマ法が好適である。
なお、基板にこのような撥水処理を施した場合には、スペーサ粒子配置後に脱撥水処理を施すことが好ましい。撥水処理を施したままであると、配向膜溶液等を塗工することが困難となり、配向膜を設けられないことがある。上記脱撥水処理としては、常圧プラズマ法、コロナ処理等の乾式法;表面を酸化処理する湿式法;溶剤により撥水膜を除去する方法等が挙げられる。
上記非画素領域に対応する位置とは、非画素領域(カラーフィルタ基板であれば上述のブラックマトリックス)、又は、もう一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)上で、その基板を非画素領域を有する基板と重ね合わせた際の非画素領域に対応する領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のいずれかを意味する。
上記非画素領域に対応する位置には、周囲と段差を有する箇所が含まれてもよい。ここでいう段差とは、基板上に設けられた配線等によって生じる非意図的な凹凸(周囲との高低差)、スペーサ粒子を集めるために意図的に設けられた凹凸をいい、凸凹表面下の構造は問わない。従ってここでいう段差は、表面凹凸形状における凹部又は凸部と平坦部(基準面)との段差をいう。
また、液晶スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した後に、基板温度を徐々に上昇させながら媒体を乾燥させる際には、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下が好ましく、更に好ましくは70℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
スペーサ粒子の固定の態様としては特に限定されず、例えば、スペーサ粒子の下部と基板との隙間に接着成分がある場合;基板上の接着成分中にスペーサ粒子が半ば埋もれて固定されている態様;接着成分中にスペーサ粒子が完全に埋もれて固定されている態様等が挙げられる。スペーサ粒子の固定の態様を示す模式図を図1に示した。
このような観点から、スペーサ粒子は上部に接着成分が付着していても構わない。
上記スペーサ粒子が配置された基板においては、スペーサ粒子の上部に付着した接着剤の最上部(基板からもっとも離れた箇所)と基板との間隔のばらつき(標準偏差)が10%以下であることが好ましい。10%を超えると、正確にセルギャップを実現できないことがある。
なお、本明細書においてスペーサ粒子の固着力は、例えば、ナノスクラッチ試験機(ナノテック製)を用いて、基板に触針子を接触させ一定の微小加重をかけながら、基板上を走査させ、凝集し接着剤で固定されたスペーサ粒子に接触子をあてたときに、スペーサ粒子が移動した際の力をスペーサ粒子個数で割ることにより求めることができる。
上記10%変形応力は、以下の方法により測定することができる。即ち、10の配置位置において、微小硬度計(例えば、島津社製)にて100μmの蝕針子で10%変位した時の応力を測定する。1配置位置毎に、応力を測定し、それをその配置位置に存在するスペーサ粒子の個数で除した値を求め、その平均値を、10%変形応力とする。
上記回復率は、以下の方法により測定することができる。即ち、10の配置位置において、それぞれの配置毎に、9.8(mN)にその配置位置に存在するスペーサ粒子の個数を乗じた加重を1秒かけ、基板とスペーサ粒子の最上部(スペーサ粒子の基板からもっとも離れた箇所)との距離の変化を、加重の前後で測定する。加重後の距離を加重前の距離で除した値の、10の配置位置での平均値を回復率とする。
なお、液晶の体積抵抗値変化比率は、以下の方法により測定することができる。即ち、100×100mmの大きさのガラス基板上に液晶スペーサ粒子分散液を吐出しスペーサ粒子を配置し、220℃で1時間ベークし(接着成分として光硬化樹脂を含有する場合は、紫外線を2500mJ照射する)、配向膜(日産化学社製SE−7492)を塗設、220℃2時間焼成する。その後、水にて洗浄を行い105℃で30分乾燥させた後、液晶(chisso Lixon JC5007LA)0.5gを接触させる。東陽テクニカ社比抵抗測定装置を用いて、5V、25℃の条件で体積抵抗値を測定したとき、体積抵抗値変化比率は下記式にて求められる。体積抵抗値変化比率が100%に近いほど、汚染性が少ないといえる。
体積抵抗値変化比率=試験後の液晶の体積抵抗値/試験前の液晶の体積抵抗値×100
NI点の変化=試験前のNI点−試験後のNI点
酢酸ビニル80モル%、2−ヒドロキシアクリレート20モル%からなる混合単量体57.7重量部を、ジメチルスルホキシド352.9重量部に溶解させ、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤(商品名「V−65」、和光純薬工業社製)の30重量%ジメチルスルホキシド溶液13.2重量部を添加し、2時間重合反応を行った。重合液を多量の水に注ぎ、析出ポリマーを更に多量の水で処理精製、乾燥することにより共重合体(a)を得た。
なお、得られた共重合体(A)の1分子中における、一般式(1)で表される構成単位の含有量は61モル%であった。
得られた共重合体(A)20重量部をエチレングリコール80重量部に溶解させたのち、10μmの目開きのステンレスメッシュを用いて濾過して共重合体溶液(A)を得た。
得られた共重合体溶液(A)を用いてインク溶剤成分中の共重合体の濃度が0.5重量%、インク溶剤成分がエチレングリコール85重量%、イソプロピルアルコール15重量%となるように、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを添加、攪拌しインク溶液を調製した。
得られたインク溶液にスペーサ粒子(商品名「ミクロパール」、積水化学工業社製)が、0.5重量%となるように必要量をとり、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた後、10μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去し、液晶スペーサ粒子分散液(A)を得た。
(1)カラーフィルタモデル基板の準備
ガラス基板上に通常の方法により、金属クロムからなるブラックマトリックス(幅25μm、縦間隔150μm、横間隔75μm、厚み0.2μm)を設けた。ブラックマトリックス上及びその間に赤、緑、青の3色からなるカラーフィルタ画素(厚み1.5μm)を表面が平坦となるように形成した。その上にほぼ一定の厚みのオーバーコート層及びITO透明電極を設けた。更に、積水化学社製の「常圧プラズマ表面処理装置」により、CF4/N2混合ガスで撥水処理を行い、カラーフィルタモデル基板を準備した。
なお、得られたカラーフィルタモデル基板の表面張力は27.4mN/mであった。
ガラス基板上に通常の方法により、金属クロムからなるブラックマトリックス(幅25μm、縦間隔600μm、横間隔200μm、厚み0.2μm)を設けた。ブラックマトリックス上及びその間に赤、緑、青の3色からなるカラーフィルタ画素(厚み1.5μm)を表面が平坦となるように形成した。次いで、ブラックマトリックスに相対する位置において、ガラス基板上に、従来公知の方法により銅からなるよる段差(幅8μm、高低差5nm)を設けた。その上に、ほぼ一定の厚みのITO透明電極を設けた。
次いで、更にその上に、スピンコート法によってポリイミド樹脂溶液(日産化学社製、サンエバーSE1211)を均一に塗布した。塗布後、80℃で乾燥した後、210℃で1時間焼成して硬化させ、ほぼ一定の厚さを有する配向膜を形成して、TFTアレイモデル基板を準備した。
なお、形成された配向膜の表面張力は30.2mN/mであった。
ピエゾ方式の口径50μmのヘッドを搭載したインクジェット装置を用意した。このヘッドのインク室の接液部は、ガラスセラミック材料により構成した。ノズル面には、フッ素系撥水加工を施した。
得られた液晶スペーサ粒子分散液(A)を用いて、インクジエット装置によりカラーフィルタモデル基板上に、以下の方法でスペーサ粒子を配置した。なお、スペーサ粒子を配置する際には、インクジェット装置のノズルから吐出される初期の液晶スペーサ粒子分散液0.5mLを捨てた後に、配置を開始した。
まず、ヒーターで45℃に加熱されたステージ上に、基板を載せた。この基板上に、上述したインクジェット装置を用いて、ブラックマトリックスに対応する位置を狙って、縦のライン1列おきに、縦のラインの上に、110μm間隔で、液晶スペーサ粒子分散液の液滴を縦110μm×横150μmピッチで吐出し、配置し、乾燥させた。吐出の際のノズル先端と基板の間隔は0.5mmとし、ダブルパルス方式で吐出した。
吐出後、90℃で液滴を乾燥し溶剤を蒸発させ、その後、220℃で1時間ベークし接着成分を硬化させた。
スペーサ粒子が配置されたカラーフィルタモデル基板と対向基板となるTFTアレイモデル基板とを、周辺シール剤を用いて貼り合わせた。貼り合わせた後、シール剤を150℃で1時間加熱して硬化させてセルギャップがスペーサ粒子の粒子径と等しくされている空セルを作製し、次いで真空法で液晶を充填し、封口剤で注入口封止して液晶表示装置を作製した。
下記の項目について評価を行った。結果を下記表1に示す。
液晶スペーサ粒子分散液を、それを構成する同じ組成の混合溶剤にて0.1wt%になるように希釈する。これをスライドガラス上に滴下し直ちにカバーグラスをかけ、透過型顕微鏡にて400倍の倍率でスペーサ粒子の分散状態を5視野に付き観察し、分散性の度合いを下記の基準で判定した。
また、同様にして0.05wt%に希釈した液晶スペーサ粒子分散液1g程度を、45℃にて真空乾燥機を利用し減圧乾燥することで約50%の重量にまで濃縮する。濃縮した液晶スペーサ粒子分散液に超音波を1分程度照射し、照射後1分程度放置した後の、スペーサ粒子の分散状態を同様にして観察し、分散性の度合いを下記の基準で判定した。なお、この濃縮したスペーサ粒子分散液の分散性にて、乾燥過程で最後まで残存する溶剤に対する分散性とした。
○:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個以内、かつ、4個以上の凝集塊がない
△:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個〜10個、かつ、4個以上の凝集塊がない
×:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で10個を超える、あるいは4個以上の凝集塊がある
液晶スペーサ粒子分散液をインクジェットヘッドから基板に吐出する前に、別途、ヘッドから液晶スペーサ粒子分散液の液滴が吐出されている状態を観察し、飛行軌跡の直進性や、未吐出ノズルの有無などを調べることで吐出の安定性の評価を行った。飛翔状態の観察は、ヘッドの駆動周波数に同期した周波数で(あるいは分周された周波数(駆動周波数/整数)で)、若干の遅延時間(例60μ秒)を付加した時間に同期させ、発光し、閃光時間の短いストロボを光源として、液晶スペーサ粒子分散液がヘッドから吐出されている状態を、焦点距離の長い拡大カメラ(テレセントリックレンズをつけたCCDカメラ)で撮影することによって行った。吐出の安定性は下記の基準で判定した。
◎:未吐出ノズル、ならびに飛行曲がりが起こっているノズルが無い。
○:未吐出ノズルはないが、飛行曲がりが起こっているノズルが5%以下。
△:未吐出ノズルが5%以下、飛行曲がりが起こっているノズルが10%以下。
×:未吐出ノズルが5%を超える。
スペーサ粒子を基板に固着させた後に、スペーサ粒子が配置されている部分において、1mm2あたりに散布されているスペーサ粒子の個数を観測し、散布密度とした。
1配置箇所あたりに凝集しているスペーサ粒子の個数の平均値を、1mm2の範囲内で計測し、平均スペーサ粒子数とした。
液滴が乾燥した後のスペーサ粒子の配置状態を下記の基準で判定した。
○:スペーサ粒子の大部分が非画素領域に対応する領域にあった。
△:スペーサ粒子の一部が非画素領域に対応する領域からはみだしていた。
×:スペーサ粒子の多くが非画素領域に対応する領域からはみだしていた。
液晶表示装置の表示画質を観察し、下記の基準で判定した。
○:表示領域中にスペーサ粒子が殆ど認められず、スペーサ粒子に起因する光抜けがなかった。また、スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)がなかった。
△:スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)はないものの、表示領域中にスペーサ粒子がわずかに認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがわずかにあった。
×:スペーサが配置されていない列があることによる帯状のギャップ不良によるムラ(スジムラ)があり、また表示領域中にスペーサ粒子が認められ、スペーサ粒子に起因する光抜けがあった。
実施例1で調製した共重合体溶液(A)を用いて、インク溶剤成分中の共重合体の濃度が0.5重量%、インク溶剤成分がエチレングリコール75重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水10重量%となるように、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを添加、攪拌しインク溶液を調製した。
得られたインク溶液にスペーサ粒子(商品名「ミクロパール」、積水化学工業社製)が、0.5重量%となるように必要量をとり、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた後、10μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、液晶スペーサ粒子分散液(B)を得た。
実施例1で得られた共重合体溶液(A)を用いてインク溶剤成分中の共重合体の濃度が0.5重量%、インク溶剤成分がエチレングリコール60重量%、イソプロピルアルコール15重量%、水25重量%となるように、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを添加、攪拌しインク溶液を調製した。
得られたインク溶液にスペーサ粒子(商品名「ミクロパール」、積水化学工業社製)が、0.5重量%となるように必要量をとり、ソニケータを使用しながら充分撹拌することによって分散させた後、10μmの目開きのステンレスメッシュで濾過して凝集物を除去して、液晶スペーサ粒子分散液(C)を得た。
p−メトキシベンジルクロリド32.6重量部と、p−シアノピリジン20.9重量部とをアセトニトリル300mLに溶解し、室温で4日攪拌した。アセトニトリルを留去し、残査をエーテル1000mLと水300mLで抽出した。ナトリウムヘキサフルオロアンチモナート52.0重量部を水層に加え、出てきた沈殿を回収、エタノールにより再結晶し、開始剤を得た。得られた開始剤2.8重量部とグリシジルメチルエーテル15重量部とをセパラブルフラスコ内に仕込み、冷却しながら窒素置換した後、100℃の油浴中で2時間重合した。冷却後、反応混合液を100mLのジクロロメタンに溶解させ、メタノール5000mLに注いで重合体を沈殿させ、回収後乾燥することにより、1分子中に一般式(2)で表される構成単位として、ポリエチレングリコール構造を有する重合体(b)を得た。
なお、得られた共重合体(b)の1分子中における、一般式(2)で表される構成単位の含有量は48モル%であった。
得られた共重合体(b)5重量部をエチレングリコール20重量部に溶解させたのち、10μmの目開きのステンレスメッシュを用いて濾過して共重合体溶液(B)を得た。
エチレングリコール、イソプロピルアルコール、水を添加して所定の濃度に希釈された実施例4で調製した共重合体溶液(B)(0.5重量%)を用い、実施例2と同様にして液晶スペーサ粒子分散液(E)を調製し、該液晶スペーサ粒子分散液(E)を用いて液晶表示装置を製造した。また、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
エチレングリコール、イソプロピルアルコール、水を添加して所定の濃度に希釈された実施例4で調製した共重合体溶液(B)(0.5重量%)を用い、実施例3と同様にして液晶スペーサ粒子分散液(F)を調製し、該液晶スペーサ粒子分散液(F)を用いて液晶表示装置を製造した。また、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる単一単量体117.7重量部を、ジエチレングリコールジメチルエーテル352.9重量部に溶解させ、セパラブルフラスコ内に仕込み、窒素置換した後、油溶性アゾ系重合開始剤(商品名「V−65」、和光純薬工業社製)の10重量%ジエチレングリコールジメチルエーテル溶液11.8重量部を2時間かけて滴下しながら重合反応を行い、共重合体(c)を得た。
Claims (4)
- 請求項1又は2記載の液晶スペーサ粒子分散液を、インクジェット装置を用いてパネル基板上の所定の位置へ配置する工程、前記液晶スペーサ粒子分散液を乾燥させる工程、及び、前記液晶スペーサ粒子分散液中の接着成分を硬化させる工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
- 請求項3記載の液晶表示装置の製造方法を用いて製造された液晶表示装置であって、液晶スペーサと接着成分とにより形成されたギャップ材が、カラーフィルタと配向膜の間、かつ、ブラックマトリックス上又はTFTアレイに隠される部分に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
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JP2011197481A (ja) * | 2010-03-19 | 2011-10-06 | Toshiba Corp | 表示装置とその製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06179703A (ja) * | 1992-12-11 | 1994-06-28 | Hayakawa Rubber Co Ltd | 微粒子、その製造方法および電気光学パネル |
JP2001083524A (ja) * | 1999-09-09 | 2001-03-30 | Canon Inc | スペーサー付カラーフィルタとその製造方法、該製造方法に用いるビーズ入りスペーサー形成材、該カラーフィルタを用いた液晶素子 |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006306956A patent/JP2008122704A/ja active Pending
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