JP2008197474A - スペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents

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倫久 上田
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Abstract

【課題】インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を液晶表示装置の基板上に配置することができ、スペーサ粒子の分散安定性、スペーサ粒子の配置精度に優れるとともに、基板上に配置した液滴の乾燥効率に優れ、基板にダメージを与えることがなく、かつ、廃液の環境負荷が少ないスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板の上にスペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液であって、少なくとも、スペーサ粒子と媒体とを含有し、前記媒体は、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有するスペーサ粒子分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を液晶表示装置の基板上に配置することができ、スペーサ粒子の分散安定性、スペーサ粒子の配置精度に優れるとともに、基板上に配置した液滴の乾燥効率に優れ、基板にダメージを与えることがなく、かつ、廃液の環境負荷が少ないスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置に関する。
現在、液晶表示装置はパソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。一般的な液晶表示装置では、図9に示されているように、2枚の透明基板201、202が対向し合うように重ね合わせられた構造を有する。
透明基板201の内表面には、カラーフィルタ203及びカラーフィルタ203を画するブラックマトリックス204が形成されている。カラーフィルタ203及びブラックマトリックス204上には、オーバーコート層205が形成されている。オーバーコート層205上には、透明電極206が形成されている。更に、透明電極206を覆うように、配向膜207が形成されている。他方、透明基板202の内表面には、カラーフィルタ203と対向する位置において、透明電極208が形成されている。更に、透明基板202の内表面と透明電極208とを覆うように、配向膜209が形成されている。一方、透明基板201、202の外表面には、それぞれ偏光板210、211が配置されている。透明電極206、208は、画素領域に配置された画素電極と、画素領域以外に配置された電極とを有する。
透明基板201と透明基板202とは、それぞれの外周縁近傍において、シール剤212を介して接合されている。配向膜207と配向膜209との空隙には、スペーサ粒子213が配置されており、更に液晶214が封入されている。この液晶表示装置において、スペーサ粒子213は、2枚の透明基板201、202の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み(セルギャップ)を維持するように機能している。
液晶表示装置200を得る際に、スペーサ粒子213を配置する方法としては、従来、イソプロパノール等の溶剤を用いて散布する湿式散布法や、溶剤を使用せず空気の圧力を利用してスペーサ粒子を散布する乾式散布方法等が用いられていた。
この製造方法では、スペーサは、透明基板201の基板上に均一にランダムに散布されるため、図9に示されているように、画素電極上すなわち液晶表示装置200の表示部(画素領域)にもスペーサ粒子213が配置され易かった。スペーサ粒子は一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサ粒子が配置されると消偏作用によりスペーサ粒子部分が光漏れを起こす。また、スペーサ粒子表面での液晶の配向が乱れると光抜けが起こり、コントラストや色調が低下し、表示品質が悪化する。他方、TFT液晶表示装置においては、基板上にTFT素子が配置されている。スペーサ粒子がこのTFT素子上に配置されると、基板に圧力が加わったときに素子が破損することがあった。
このようなスペーサのランダム散布に伴う問題点を解決するために、スペーサを遮光層(非画素領域)下に配置する種々の試みがなされている。
スペーサを特定の位置にのみ配置する方法として、例えば、特許文献1には、開口部を有するマスクを配置させたい位置と合致させた後に、マスクを通してスペーサを散布する方法が開示されている。一方、特許文献2には、感光体に静電的にスペーサを吸着させた後、透明基板にスペーサを転写する方法が開示されている。また、特許文献3には、基板上の画素電極に電圧を印加し、帯電させたスペーサを散布することで、静電的斥力によって特定の位置にスペーサを配置させる液晶表示装置の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に記載の方法では、基板上にマスクや感光体が直接接触するために、基板上の配向膜が損傷を受けがちであった。そのため、液晶表示の画質が低下しがちであった。一方、特許文献3に記載の方法では、配置させるパターンに従った電極を必要とするため、任意の位置にスペーサを配置することが不可能であった。
他方、特許文献4には、インクジェット装置を用いてスペーサを配置する方法が開示されている。この方法では、基板そのものにマスクや感光体が直接接触することがなく、任意の位置に任意のパターンでスペーサを配置できる。
このようなインクジェット装置を用いてスペーサを配置する場合において、スペーサ粒子による光抜け等がなく優れた表示品質を有する液晶表示装置を得るには、スペーサ粒子分散液を基板の遮光領域を狙って吐出し、スペーサ粒子を遮光領域下に配置する必要があった。更に、液晶表示装置の表示品質を向上させるためには、液晶や配向膜の汚染を防ぐ必要があった。
しかしながら、従来のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子の分散性が悪く、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子分散液を安定的に吐出することが困難であり、スペーサ粒子の配置精度が低下し、スペーサ粒子が遮光領域下に配置されないことがあった。
このような問題に対し、例えば、特許文献5には、スペーサ粒子と媒体とを含有するスペーサ粒子分散液であって、該媒体がエチレングリコール及び水を所定の範囲内で含有するものが開示されている。特許文献5に開示のスペーサ粒子分散液によると、スペーサ粒子の分散安定性が向上し、スペーサ粒子の散布時の位置精度を向上させることができるものであった。
しかしながら、特許文献5に開示のスペーサ粒子分散液は、インクジェット装置による吐出が可能な程度の粘度を有するものとするためには媒体中のエチレングリコールの含有量を多くする必要があるため、基板上にインクジェット装置を用いて吐出した液滴の乾燥効率に劣るという問題があった。また、媒体中のエチレングリコール及びイソプロパノール等の有機成分濃度が高いため、液晶表示装置の基板がダメージを受けることがあり、更に、廃液の環境負荷が大きく廃液処理に手間がかかるという問題もあった。
特開平4−198919号公報 特開平6−258647号公報 特開平10−339878号公報 特開昭57−58124号公報 特開2006−113331号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を液晶表示装置の基板上に配置することができ、スペーサ粒子の分散安定性、スペーサ粒子の配置精度に優れるとともに、基板上に配置した液滴の乾燥効率に優れ、基板にダメージを与えることがなく、かつ、廃液の環境負荷が少ないスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板の上にスペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液であって、少なくとも、スペーサ粒子と媒体とを含有し、前記媒体は、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有するスペーサ粒子分散液である。
また、本発明は、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板又は第2の基板上に、インクジェット装置を用いて、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有する媒体中に、スペーサ粒子が分散されているスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置にスペーサ粒子を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを、液晶及び前記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有する液晶表示装置の製造方法である。
また、本発明は、本発明のスペーサ分散液又は本発明の液晶表示装置の製造方法を用いてなる液晶表示装置である。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子を分散させる媒体をプロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有するものとするため、スペーサ粒子の分散安定性が向上し、インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板上に吐出させた液滴中にスペーサ粒子が含まれないものの発生を抑制することができる。また、基板上に吐出した液滴の乾燥効率が優れたものとなるため、液晶表示装置の製造効率を向上させることができる。また、従来のスペーサ粒子分散液と比較して有機成分濃度を低くしても、インクジェット装置を用いて吐出するために必要な粘度を確保することができるため、液晶表示装置の基板にダメージを与えることがなく、更に、廃液中の環境負荷を小さくすることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明のスペーサ粒子分散液は、少なくとも、スペーサ粒子と媒体とを含有する。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記媒体は、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有するものである。このようなプロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有する媒体(以下、本発明に係る媒体ともいう)は、後述するスペーサ粒子の分散安定性が優れたものとなるため、インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板上に高精度でスペーサ粒子を配置することが可能となる。
また、本発明に係る媒体は、例えば、従来のエチレングリコールと水とを含有するスペーサ粒子分散液と比較して、液滴の乾燥効率が優れたものとなり、基板に対する影響を少なくすることができる。これは、プロピレングリコールは、エチレングリコールと比較して沸点が低くより低温で蒸発するからである。
例えば、本発明に係る媒体18ngの液滴を600×200μm間隔で基板に吐出した条件下で完全に乾燥させるのに要する時間は1分程度であるのに対し、エチレングリコールと水とを95/5〜60/40(重量比)で含有する媒体を、同条件で完全に乾燥させるのに要する時間は2分程度である。
更に、本発明に係る媒体は、プロピレングリコールの添加量を少なくしても粘度を上げることができる。例えば、従来のエチレングリコールと水とを含有するスペーサ粒子分散液と比較して、同じ粘度にするためのプロピレングリコールの配合量を少なくすることができる。従って、本発明のスペーサ粒子分散液は、有機成分濃度を低くしてもインクジェット装置による吐出が可能な粘度を充分に確保することができる。これは、プロピレングリコールは、エチレングリコールと比較して高粘度であるためであると考えられる。従って、本発明のスペーサ粒子分散液の液滴を液滴として液晶表示装置の基板上に吐出しても、該基板が本発明に係る媒体によりダメージを受けることを防止することができる。また、プロピレングリコールは、エチレングリコールに比べて人体に対する毒性が低い(環境負荷が小さい)。更に、詳細な理由はわからないが、プロピレングリコールを添加すると、水/エチレングリコールの系に比べ、イソプロパノールを添加することなく、配向膜に対する固着性を上げるための表面処理を行った後述するスペーサ粒子の媒体に対する分散性を高めることもできる。
プロピレングリコールと水とを含有する本発明に係る媒体において、水のプロピレングリコールに対する配合比としては特に限定されないが、水/プロピレングリコール(重量比)で、好ましい上限は99/1であり、より好ましい下限は10/90、より好ましい上限は80/20である。より好ましい範囲内で水の配合比が10/90未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液が高粘度になりすぎ、インクジェット装置のヘッド温度を上げる機能を持たないか、あるいはその機能に乏しいヘッドにおいては、インクジェット装置から安定的に吐出することができないことがある。また、より好ましい範囲内で水の配合比が80/20を超えると、スペーサ粒子の分散安定性が低下したり粘度が下がりすぎ吐出安定性が乏しくなったり、スペーサ粒子を高精度で配置できなくなることがある。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記本発明に係る媒体は、更にエチレングリコールを含有することも好ましい。
上記本発明に係る媒体中にプロピレングリコールが少量でも(好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上)添加されていれば、理由は明らかではないが、水/エチレングリコールの2成分系に比べ、配向膜に対する固着性を上げるための表面処理を行ったスペーサ粒子の本発明に係る媒体に対する分散性を高めることができる。上記エチレングリコールが更に添加されていると、本発明に係る媒体の表面張力が高くなり、基板に吐出されて着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴の液滴径を小さくできる等の利点がある。
ただし、上記エチレングリコールの添加量としては、多すぎると乾燥性の点でプロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水との系に対して劣るようになるため、95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記本発明に係る媒体は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の媒体を含有していてもよい。
上記他の媒体としては特に限定されず、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体、及び、これらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;モノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類等;、及び、これらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;ジオール類のエーテル誘導体等が挙げられる。これら他の媒体の配合量としては、好ましい上限が40重量%未満、より好ましい上限は5重量%未満である。
また、上記他の媒体としては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール等のジオール類;ジオール類のアセテート誘導体等の沸点が250℃以下のジオール系成分が挙げられる。これらの沸点が250℃以下のジオール系成分の配合量としては、本発明のスペーサ粒子分散液を基板上に吐出し着弾させた液滴1滴中において、好ましい上限が6ng未満、より好ましい上限が3ng未満となるように配合されていることが好ましい。
また、上記他の媒体としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;グリセリン;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類若しくはそのエーテル誘導体、アセテート誘導体等の沸点が250を超えるジオール系成分も挙げることができる。これらの沸点が250℃を超えるジオール系成分の配合量としては、本発明のスペーサ粒子分散液を基板上に吐出し着弾させた液滴1滴中において、好ましい上限が4ng未満、より好ましい上限が2ng未満となるように配合されていることが好ましい。
更に、上記他の媒体としては、例えば、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルフォラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−α−ヒドロキシエチルスルフォン、ビス−α−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等も挙げられる。
本発明では、上述した本発明に係る媒体を構成する各成分を組み合わせて、本発明のスペーサ粒子分散液の表面張力を33mN/m以上とすることが好ましい。表面張力が33mN/m以上であると、基板上に着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴径が小さくなる。
本発明のスペーサ粒子分散液では、沸点が150℃以上で表面張力が38mN/m以上の溶媒が混合されることにより、後退接触角を5度以上とすることが容易になる。すなわち、本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散し、残された分散液の表面張力が高くなり、着弾地点中心に向かってのスペーサ粒子の移動が起こりやすくなるため好ましい。
逆に、沸点が150℃以上の溶媒の表面張力が38mN/m未満であると、本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾後は、沸点100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散するので、残された分散液の表面張力が初期より低くなることがある。よって、着弾液滴径が小さくならず、着弾液滴径が初期より拡がり易くなり、着弾地点中心に向かってスペーサ粒子が移動し難くなることがある。
上記沸点が150℃以上の溶媒としては、例えば、具体的には、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール等の低級アルコールエーテル類が挙げられる。このような溶媒は、本発明のスペーサ粒子分散液がインクジェット装置のノズル付近で過剰に乾燥し、吐出精度が低下するのを防止する。更に、本発明のスペーサ粒子分散液の製造時やタンクで乾燥するため、凝集粒子の発生が抑制される。
本発明のスペーサ粒子分散液の媒体中における沸点が150℃以上の溶媒の比率は、上記プロピレングリコール(及びエチレングリコール)との合計で、0.1〜95重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜90重量%である。上記沸点が150℃以上の溶媒の比率が0.1重量%未満では上記のような本発明のスペーサ粒子分散液の乾燥による吐出精度低下やスペーサ粒子の凝集の発生が起こりやすくなるため好ましくない。上記沸点が150℃以上の溶媒の比率が95重量%を超えたり、沸点が200℃を超えると、乾燥時間が著しくかかり効率が低下するばかりでなく、配向膜の汚染による液晶表示装置の表示画質の低下が起こりやすくなる。
本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子を含有する。
本発明に使用されるスペーサ粒子の材料は特に限定されず、例えば、シリカ粒子等の無機系粒子であっても、有機高分子等の有機系粒子であってもよい。なかでも、有機系粒子は、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、更にセル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ないという長所を持つために好ましく使用される。
上記有機系粒子としては特に限定されないが、通常は、強度等が適切な範囲にあるので、単官能単量体と多官能単量体との共重合体が好ましく用いられる。この際、単官能単量体と多官能単量体との比率は特に限定されるものではなく、得られる有機系粒子に要求される強度や硬度により適宜調整される。
上記単官能単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記単官能又は多官能単量体として、インクへの分散性を上げるために、親水性基を有する単量体が用いられてもよい。親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホフォニル基、アミノ基、アミド基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基が挙げられる。
このような親水性基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスフォニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル基とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド基を有する単量体等が挙げられる。
上記単量体を重合して粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
本発明に使用されるスペーサ粒子の粒径は、液晶表示装置の種類により適宜選択可能なため特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると、対向する基板同士が接触して液晶表示装置のスペーサとして充分機能しないことがあり、20μmを超えると、スペーサ粒子を配置すべき基板上の遮光領域等からはみ出しやすくなり、また、対向する基板間の距離が大きくなって近年の液晶表示装置の小型化等の要請に充分に応えられなくなる。
本発明で使用されるスペーサ粒子は、適正な液晶層の厚みを維持するためのギャップ材として用いられるため、一定の強度が必要とされる。粒子の圧縮強度を示す指標として、粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)で表した場合、適正な液晶層の厚みを維持するためには、好ましい下限は2000MPa、好ましい上限は15000MPaである。2000MPa未満であると、液晶表示装置を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが出にくい。15000MPaを超えると、液晶表示装置に組み込んだ際に基板上の配向膜を傷つけ、製造する液晶表示装置に表示異常が発生することがある。
上記スペーサ粒子の圧縮弾性率(10%K値)は、特表平6−503180号公報に記載の方法に準拠して求められた値である。例えば、微小圧縮試験器(PCT−200、島津製作所社製)を用い、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、スペーサ粒子を10%歪ませるための加重から求められる。
上記の方法により得られたスペーサ粒子は、製造する液晶表示装置のコントラスト向上のために着色されて用いられてもよい。着色されたスペーサ粒子としては、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等により処理されたスペーサ粒子、また、表面に有機物の膜が形成され高温で分解又は炭化されて着色されたスペーサ粒子等が挙げられる。なお、スペーサ粒子を形成する材質自体が色を有している場合には着色せずにそのまま用いられてもよい。
また、スペーサ粒子には帯電可能な処理が施されていてもよい。
上記スペーサ粒子は、本発明のスペーサ粒子分散液に対する分散性を向上させたり、接着成分との親和性を向上させたり、スペーサ粒子自身に接着性を付与する目的で表面処理層が設けられていてもよい。例えば、スペーサ粒子の表面に熱可塑性樹脂層を物理的に付着及び/又は化学的に結合することが考えられる。
上記表面処理層は、スペーサ粒子を均一に被覆するものであってもよいし、部分的に被覆するものであってもよい。
上記スペーサ粒子に表面処理層を設ける方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて修飾する方法、特開平11−223821号公報、特願2002−102848号に記載のようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾を行う方法等が挙げられる。
なかでも、液晶表示装置のセル中で表面処理層が剥離して液晶へ溶出するという問題が少ないことから、スペーサ粒子表面に化学的に結合した表面層を形成する方法が好適であり、例えば、特開平9−113915号公報に記載のグラフト重合を行う方法が好適である。
上記グラフト重合を行う方法では、スペーサ粒子の表面に還元性基を有する粒子に酸化剤を反応させ、スペーサ粒子の表面にラジカルを発生させて表面にグラフト重合させる。グラフト重合させると、スペーサ粒子の表面層の密度を高くでき、充分な厚みの表面層を形成できる。よって、グラフト重合されたスペーサ粒子は、本発明のスペーサ粒子分散液中での分散性に優れている。更に、本発明のスペーサ粒子分散液が基板に吐出された際に、スペーサ粒子の基板に対する固着性に優れている。この方法においてグラフト重合を行う際に、単量体として、スペーサ粒子を製造する際に使用される単量体として前述した単量体と同じ単量体を使用することが好ましく、より好ましくは、親水性官能基を有する単量体を組み合わせて用いることが好ましい。また、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示体での液晶の配向が乱されなくなるという効果もある。
上記スペーサ粒子は、帯電可能な処理が施されていていてもよい。上記スペーサ粒子が帯電可能であると、本発明のスペーサ粒子分散液中でのスペーサ粒子の分散性や分散安定性が高められたり、散布時に電気泳動効果で配線部(段差)部近傍にスペーサ粒子が寄り集まりやすくなったり、適切な電位設定にすれば接液部材に付着しにくくなったりする等の効果が得られる。
なお、本明細書において帯電可能な処理とは、スペーサ粒子を本発明のスペーサ粒子分散液中でも何らかの電位を持つように処理することを意味し、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等既存の方法によって測定できる。
上記スペーサ粒子に帯電可能な処理を施す方法としては特に限定されず、例えば、スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法;スペーサ粒子に帯電可能な表面処理をする方法;スペーサ粒子が有機系粒子からなる場合には、帯電しやすい単量体を含む単量体を原料としてスペーサ粒子を製造する方法等が挙げられる。
上記スペーサ粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、スペーサ粒子を重合させる際に荷電制御剤を共存させて重合を行いスペーサ粒子中に含有させる方法;スペーサ粒子を重合する際に、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を、スペーサ粒子を構成するモノマーと共重合させてスペーサ粒子中に含有させる方法;スペーサ粒子の表面修飾の際に、表面修飾に用いられるモノマーと共重合可能な官能基を有する荷電制御剤を共重合させて表面修飾層に含有させる方法;表面修飾層又はスペーサ粒子の表面官能基と反する官能基を有する荷電粒子を反応させて表面に含有させる方法等が挙げられる。
上記荷電制御剤としては特に限定されないが、例えば、特開2002−148865号公報に記載の荷電制御剤や、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシルカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及び、これらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が挙げられる。これら荷電制御剤は単独で用いられてもよく、2種類以上が組合せて用いられてもよい。
上記荷電制御剤を含有するスペーサ粒子の極性は、上記耐電制御剤の中から適切な荷電制御剤を適宜選択することにより設定され得る。すなわち、スペーサ粒子を周りの環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させたりすることができる。
上記帯電しやすい単量体を含む単量体を原料としてスペーサ粒子を製造する方法において、上記帯電しやすい単量体としては、例えば、上述の単量体のうち親水性官能基を有する単量体が挙げられる。
本発明において、使用されるスペーサ粒子は、そのスペーサ粒子を分散した分散液を吐出するインクジェット装置の接液部材が持つ表面電位と、実質的に反対電荷でない表面電位も持つことが好ましい。異なる電位であると、スペーサ粒子がインクジェット装置の接液部材に付着し、吐出が不安定になる問題が発生する。
上記スペーサ粒子の表面電位を制御する方法としては、上述したようにスペーサ粒子を作る際に使用する材料を適宜選択する方法や、上述したようにスペーサに表面処理を行う際、使用する単量体の官能基等を調整する方法が挙げられる。また、上述したように積極的に荷電制御材を使用する方法も挙げられる。
本発明のスペーサ粒子分散液において、上記スペーサ粒子の固形分濃度としては、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10重量%である。0.01重量%未満であると、吐出された液滴中にスペーサ粒子を含まない確率が高くなるため好ましくない。10重量%を超えると、インクジェット装置のノズルが閉塞することがあり、着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴中に含まれるスペーサ粒子の数が多くなりすぎて、乾燥過程でスペーサ粒子の移動が起こりにくくなるので好ましくない。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3重量%である。
本発明のスペーサ粒子分散液は、上記スペーサ粒子を除く不揮発成分が少ないことが好ましい。具体的な不揮発分としては、大気中のゴミ、スペーサ粒子を分散させるのに用いた溶剤中に含まれていた不純物、スペーサ粒子の粉砕物及びイオン性の不揮発物質等の不揮発成分が挙げられる。なお、上記不揮発成分は、本発明のスペーサ粒子分散液中における保形性を有さない固形分や非球形の微粒子及び球形であってもギャップ間を保持することに寄与しない極微小粒子等も含むものとする。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、吐出される基板に対する後退接触角(θr)が5度以上になることが好ましい。上記後退接触角が5度以上あれば、基板に着弾した本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が乾燥し、その中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子がその液滴中心に寄り集まることが可能となる。更にそこに荷電インクが吐出されると静電的に作用する力による荷電インクの着弾点へのスペーサ粒子の移動がより起こりやすくなり、スペーサ粒子の配置精度がより向上する。
上記後退接触角(θr)が5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小するとともに、スペーサ粒子がその中心に集まり難くなる。
なお、ここで後退接触角とは、基板上に置かれた本発明のスペーサ粒子分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
上記後退接触角が5度以上となるようにする方法としては、本発明のスペーサ粒子分散液の媒体の組成を調整する方法、又は、基板の表面を調整する方法が挙げられる。
本発明のスペーサ粒子分散液の媒体の組成を調整するには、後退接触角が5度以上の媒体を単独で用いてもよいし、又は、2種以上の媒体を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いると、スペーサ粒子の分散性、本発明のスペーサ粒子分散液の作業性、乾燥速度等の調整が容易なので好ましい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、混合される媒体の中で最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度以上となるように混合することが好ましい。最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度未満であると、乾燥後期で液滴径が大きくなり(基板上で液滴が濡れ拡がり)、スペーサ粒子が基板上で着弾中心に集まり難くなる。
なお、後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で通常はこれを接触角と呼ぶことがほとんどである)に比べ小さくなる傾向がある。これは、初期の接触角は、本発明のスペーサ粒子分散液を構成する媒体に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角は、本発明のスペーサ粒子分散液を構成する媒体に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるためと考えられる。すなわち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの媒体によって配向膜が損傷を受けていることを示しており、これらの媒体を使用することが、配向膜汚染に対して、好ましくないことがあった。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、基板面との初期接触角θが、10〜110度になるように調整されることが好ましい。本発明のスペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角が10度未満の場合、基板上に吐出された本発明のスペーサ粒子分散液液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となり、スペーサ粒子の配置間隔を狭くできないことがある。本発明のスペーサ粒子分散液と基板面との初期接触角が110度より大きいと、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易く、結果として配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなるという問題が発生する。
本発明のスペーサ粒子分散液は、後述するインクジェット装置からの吐出時の粘度は、好ましくは0.5〜15mPa・sの範囲であり、更に好ましくは5〜10mPa・sの範囲である。吐出時の粘度が、15mPa・sより高いと、インクジェット装置で吐出できないことがあり、0.5mPa・sより低いと、吐出できても吐出量をコントロールすることが困難になる等、安定的に吐出できなくなることがある。なお、本発明のスペーサ粒子分散液を吐出する際に、インクジェット装置のヘッド温度をペルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等で加温したりして、本発明のスペーサ粒子分散液の吐出時の液温を−5℃から50℃の間に調整してもよい。
本発明のスペーサ粒子分散液は、製造する液晶表示装置の液晶の体積抵抗値やネマチック・等方相転移温度の変化を起こさない不揮発物も、セルギャップや光学特性の点から含有しないことが好ましい。このような不揮発物の含有割合は、本発明のスペーサ粒子分散液100重量部に対して、0.001重量部未満であることが好ましい。不揮発物の含有割合が0.001重量部以上であると、製造する液晶表示装置の液晶や配向膜が汚染されて、液晶表示装置のコントラスト等の表示品質が劣ることがある。
また、本発明のスペーサ粒子分散液は、スペーサ粒子が単粒子状に分散されていることが好ましい。本発明のスペーサ粒子分散液中に凝集物が存在すると、吐出精度が低下するばかりでなく、著しい場合はインクジェット装置のノズルに閉塞を起こす場合があるので好ましくない。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、スペーサ粒子分散液中に接着性を付与するための接着成分、スペーサ粒子の分散を改良したり、表面張力や粘度等の物理特性を制御して吐出精度を改良したり、スペーサ粒子の移動性を改良する目的で各種の界面活性剤、粘性調整剤等が添加されてもよい。
上述した本発明のスペーサ粒子分散液は、インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板の上にスペーサ粒子を配置する際に用いられるものである。
次に、スペーサ粒子分散液を基板上に吐出するのに用いられるインクジェット装置について説明する。
本発明に用いられるインクジェット装置としては特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体を吐出させるサーマル方式等の通常の吐出方法によるインクジェット装置が用いられる。なかでも、本発明のスペーサ粒子分散液等吐出物に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適に用いられる。
上記インクジェット装置を用いて本発明のスペーサ粒子分散液を液晶表示装置の基板上に吐出し、スペーサ粒子を該基板上に配置することで、液晶表示装置を製造することができる。
図1は、本発明のスペーサ粒子分散液を用いて得られた液晶表示装置の一例を模式的に示す正面断面図である。
図1に示すように、液晶表示装置1では、透明基板からなる第1、第2の基板2、3が対向されている。図9に示した従来の液晶表示装置200の場合と同様に、第1の基板1の内面には、カラーフィルタ4及びブラックマトリックス5が形成されている。カラーフィルタ4及びブラックマトリックス5を覆うようにオーバーコート層6が形成されている。オーバーコート層6上には、透明電極7が形成されている。また、透明電極7を覆うように配向膜8が形成されている。
他方、第2の基板3の内面には、カラーフィルタ4と対向する位置に、透明電極9が形成されている。透明電極9を覆うように配向膜10が形成されている。
なお、第1、第2の基板2、3の外面には、それぞれ、偏光板11、12が積層されている。
第1の基板2と第2の基板3とは、それぞれの外周縁近傍によって、シール材13を介して接合されている。第1の基板2と第2の基板3とにより囲まれた空間に、液晶15が封入されている。ブラックマトリックス5に対応する位置、すなわち、非画素領域に複数のスペーサ粒子14が配置されている。よって、スペーサ粒子14により第1、第2の基板2、3の間隔が規制されて、適正な液晶層の厚みが維持されている。
上記液晶表示装置に用いられる第1、第2の基板としては、ガラスや樹脂等通常液晶表示装置のパネル基板として使用されるものを用いることができる。また一方の基板としては、画素領域にカラーフィルタが設けられた基板を用いることができる。この場合、画素領域は、実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等のブラックマトリックスで画されている。このブラックマトリックスが、非画素領域を構成することになる。
このような液晶表示装置の製造方法としては、例えば、画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、第1の基板又は第2の基板上に、インクジェット装置を用いて、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコール及び水を含有する媒体中に、スペーサ粒子が分散されているスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置にスペーサ粒子を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを、液晶及び前記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有する方法が挙げられる。このような液晶表示装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示装置の製造方法では、第1の基板又は第2の基板上に、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子分散液を吐出し、上述した非画素領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置する工程を有する。
上記スペーサ粒子分散液は、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコール及び水を含有する媒体中に、スペーサ粒子が分散されたものである。このようなスペーサ粒子分散液としては、例えば、上述した本発明のスペーサ粒子分散液と同様のものが挙げられる。
本工程において、基板上、特に、スペーサ粒子分散液の液滴が吐出され着弾する箇所は、スペーサ粒子分散液の後退接触角(θr)が5度以上となるように調整されるか、又は、スペーサ粒子分散液の媒体の中で最も沸点の高い溶剤の後退接触角(θr)が5度以上となるように調整されることが好ましい。荷電インクの場合は、上記のように後退接触角が5度以上になるように調整する必要はない。但し、後退接触角が5度以上に調整されていても何ら問題はない。
上記後退接触角を5度以上する方法としては、上述した本発明のスペーサ粒子分散液の媒体を選ぶ方法、基板の表面を低エネルギー表面とする方法が挙げられる。
本発明では、インクジェット装置を用いて上述した基板の非画素領域に対応する位置を含むような位置に、スペーサ粒子分散液を吐出する。
上記基板上に配置されるスペーサ粒子の配置個数(散布密度)は、通常50〜350個/mmであることが好ましい。この粒子密度を満たす範囲であれば、ブラックマットリックス等の非画素領域や配線等の非画素領域に対応する領域のどのような部分にどのようなパターンで配置しても構わない。しかしながら、表示部(画素領域)へのはみ出しを防止するため、格子状の遮光領域(非画素領域)からなるカラーフィルタに対しては、一方の基板上のその格子状の遮光領域の格子点に対応する箇所を狙って配置することがより好ましい。
なお、1カ所の配置位置におけるスペーサ粒子の個数は、配置箇所毎に違うが、一般的には0〜12個程度であって、平均個数として、2〜6個程度である。その平均個数は、スペーサ粒子の粒子径及びスペーサ粒子分散液の濃度により調整される。
このように、散布密度を調整する方法としては、例えばスペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の濃度を変える方法や、スペーサ粒子分散液の吐出間隔を変える方法、1回で吐出される液滴量を変える方法等が挙げられる。
上記一つの箇所に着弾される液滴量を変える方法としては、インクジェットヘッドの電圧等の波形を調整する方法や、一つの箇所に複数回液滴を吐出する方法等が挙げられる。
上記スペーサ粒子分散液中のスペーサ粒子の濃度を変える方法により散布密度を変化させる場合、スペーサ分散液中に含まれるスペーサ粒子の種類を変更することもできる。よって、基板の特定の範囲ごとに、用いるスペーサ粒子の例えば粒子径硬さや回復率等の諸物性を変化させることも可能になる。
スペーサ粒子の散布密度に関しては、基板上の特定の範囲内において、1mmあたりのスペーサ粒子の散布密度の標準偏差が、その特定の範囲内での散布密度の平均値の40%以内であることが好ましい。上述したようなインクジェット装置を用いる場合、通常の状態、すなわちスペーサ粒子の沈降による濃度のばらつきやそれによるノズルの詰まり、またノズル内への気泡の残存による未吐出ノズルの発生等が起こっていない正常な吐出状態であれば、標準偏差を容易に上記範囲とすることができる。標準偏差が、散布密度の平均値の40%より大きいと、基板間でセルギャップが異なる等して、表示状態に悪影響を及ぼすことがある。
なお、1カ所の配置位置におけるスペーサ粒子の個数は、配置箇所毎に違うが、一般的には0〜12個程度であって、平均個数として、2〜6個程度である。その平均個数は、スペーサ粒子の粒子径及びスペーサ粒子分散液の濃度により調整される。
本工程では、次に、スペーサ粒子分散液の液滴が基板上に着弾した後、液滴中の媒体(溶剤、溶媒)を乾燥させて、非画素領域に対応する位置にスペーサ粒子を配置させる。
上記スペーサ粒子分散液を乾燥させる方法としては特に限定されず、例えば、基板を加熱したり、熱風や冷風を吹き付けたり減圧乾燥する方法が挙げられる。しかしながら、スペーサ粒子を乾燥過程で着弾液滴の中央付近に寄せ集めるためには、媒体の沸点、乾燥温度、乾燥時間、媒体の表面張力、媒体の配向膜に対する接触角、スペーサ粒子の濃度等を適当な条件に設定することが好ましい。
上記スペーサ粒子を乾燥過程で着弾液滴の中で寄せ集めるためには、スペーサ粒子が基板上を移動する間に液体がなくならないように、ある程度の時間幅をもって乾燥する。このため媒体が急激に乾燥する条件は好ましくない。また、媒体は高温で配向膜と接触すると、配向膜を汚染して液晶表示装置としての表示画質を損なうことがあるため好ましくない。従って、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは60℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を損傷して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
媒体として室温で著しく揮発しやすいものや、激しく揮発するような条件下でそれらの媒体を使用すると、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ粒子分散液が乾燥しやすくインクジェット吐出性を損なうので好ましくない。また、分散液の製造時やタンクで乾燥によって凝集粒子が生成する可能性があるので好ましくない。
上記基板温度が比較的低い条件であっても乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産効率が低下するだけでなく、スペーサ粒子分散液の媒体が長時間、配向膜と接触することによる配向膜の汚染や損傷が発生するので好ましくない。
本発明においては、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した時の基板表面温度は、分散液に含まれる最も低沸点の溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。更に好ましくは室温付近(15〜35℃)である。最も低沸点の溶媒の沸点より20℃低い温度より高くなると、最も低沸点の溶媒が急激に揮散し、スペーサ粒子が移動できないばかりでなく、著しい場合は溶媒の急激な沸騰で液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下するので好ましくない。
また、スペーサ粒子分散液が基板上に着弾した後に、基板温度を徐々に上昇させながら媒体を乾燥させる際には、乾燥が完了するまでの間の基板表面温度は90℃以下が好ましく、更に好ましくは70℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板温度が90℃を超えると、配向膜を汚染して液晶表示装置の表示画質を損なうので好ましくない。
このように、配向膜の損傷を防止するための乾燥方法としては、できるだけ低温で、短時間に乾燥させることが好ましい。具体的には、基板の表面温度を60℃以下にし、液滴が接触してから5秒から4分以内(更に好ましくは5秒から2分以内)に液滴を乾燥させてしまうことが好ましい。あまりに短時間で乾燥させてしまうと上述したようにスペーサ粒子の寄り集まりが悪化するし、長時間かかると配向膜が損傷する。
これを達成する手段としては、液滴近傍の媒体蒸気を速やかに取り除く、すなわち、風を当てたり、減圧下で乾燥を行ったりすることである。ただし、その風量はあまり強すぎると粒子が液滴内を動き回り結果として、スペーサ粒子の寄り集まりが阻害されるので、風量は適宜調整する必要がある。
ただし、配向膜の種類によっては、スペーサ粒子寄り集まりをよくするために、90℃を超える高温で短時間で乾燥してもよい。具体的には、100〜150℃で5〜20秒程度の乾燥を行うことが好ましい。
なお、本発明中でいう乾燥完了とは基板上の液滴が消失した時点をいう。
この後、スペーサ粒子の基板に対する固着性を高めたり、残留溶剤を除去したりするため、120〜230℃程度のより高い温度に基板を加熱してもよい。
本発明の液晶表示装置の製造方法は、上記第1の基板と第2の基板とを、液晶及びスペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有する。本工程を行うことで、例えば、図1に示したような構造の液晶表示装置を製造するこができる。
本発明の液晶表示装置の製造方法では、本工程において、スペーサ粒子を配置した基板を、スペーサ粒子が配置されていない基板と周辺シール剤を用いて加熱圧着し、形成した基板間の空隙に液晶を充填することで液晶表示装置を製造してもよい(真空注入法)。あるいは、片方の基板に周辺シール剤を塗布し、それに囲まれた範囲内に液晶を滴下しもう一方の基板を貼り合わせシール剤を硬化させることで液晶表示装置を製造してもよい(液晶敵下工法)。この場合、いずれの基板にスペーサ粒子が配置されてもよい。
上述した本発明のスペーサ粒子分散液、又は、本発明の液晶表示装置の製造方法を用いてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
(スペーサ粒子の調製)
ジビニルベンゼン15重量部と、イソオクチルアクリレート5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重量部とを、セパラブルフラスコ中で均一に混合した。
次に、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールGL−03」、クラレ社製)の3%水溶液20重量部と、ドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部とを、セパラブルフラスコ中に投入し充分攪拌した。しかる後、イオン交換水140重量部を更に添加した。この溶液を攪拌しながら窒素気流下、80℃で15時間反応させた。
得られた粒子を熱水及びアセトンを用いて洗浄した後、分級操作を行い、平均粒子径が4μm、CV値が3.0%であるスペーサ粒子を得た。
(スペーサ粒子の表面修飾)
疎水性配向膜に対する固着性(乾燥後のスペーサ粒子と配向膜との接着力)を高めるため、かつ、スペーサ粒子分散液を構成する溶剤混合物に対する分散性を高めるために、スペーサに下記の表面処理を行った。
ジメチルスルホキシド(DMSO)200重量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート120重量部と、メタクリル酸60重量部と、イソブチルメタアクリレート20重量部との混合物中に、得られたスペーサ粒子50重量部を投入し、超音波分散機を用いて均一に分散させた。しかる後、反応系に窒素ガスを導入し、30℃で2時間撹拌を続けた。次に、1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム溶液50重量部を添加し、5時間反応させた。反応終了後、2μmのメンブランフィルタを用いて、スペーサ粒子と反応液とを濾別した。このスペーサ粒子をエタノール及びアセトンにて充分洗浄し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行い、表面処理されたスペーサ粒子を得た。
(スペーサ粒子分散液の調製)
得られた表面処理されたスペーサ粒子を、粒子濃度で1.5wt%になるように必要量をとり、下記表1に示す組成の溶媒中にゆっくり添加し、超音波機を用いて充分撹拌し分散させた。しかる後、10μmの目開きのステンレスメッシュを用いて濾過し、凝集物を除去することにより、実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液を得た。
Figure 2008197474
(実施例1〜20及び比較例1〜10の評価)
下記の項目について評価を行った。結果を表2に示す。
(粘度及び表面張力の測定)
得られた実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液の粘度は、E型粘度計で測定し、表面張力は、白金板を使用するウイルヘルミー法で測定した。表面張力及び粘度の測定結果を下記表2に示した。
(吐出安定性の評価)
実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液をインクジェット装置から吐出させ、吐出安定性を以下のようにして評価した。なお、インクジェットヘッドは、高表面張力のインクも吐出可能なように材質、流路を工夫したヘッドを使用した。
実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液をインクジェットヘッドから基板に吐出する前に、別途、ヘッドからスペーサ粒子分散液の液滴が吐出されている状態を観察し、飛行軌跡の直進性や、未吐出ノズルの有無などを調べることで吐出の安定性の評価を行った。飛翔状態の観察は、ヘッドの駆動周波数に同期した周波数で(あるいは分周された周波数(駆動周波数/整数)で)、若干の遅延時間(例60μ秒)を付加した時間に同期させ、発光し、閃光時間の短いストロボを光源として、スペーサ分散液がヘッドから吐出されている状態を、焦点距離の長い拡大カメラ(テレセントリックレンズをつけたCCDカメラ)で撮影することによって行った。吐出の条件は下記の基準とした。
吐出安定性(室温):室温1kHzで吐出テスト
吐出安定性(加温):粘度が15mPa・s位になるような温度にヘッドを加温して1k Hzで吐出テスト
吐出安定性(5kHz):粘度が15mPa・s位になるような温度に加温して、又は、 室温で、高周波数(5kHz)で吐出テスト
上述の条件で吐出し、液滴飛翔状態観察を行い、下記の判断基準で吐出安定性を判断した。なお、比較例6〜9は、スペーサ粒子の分散が悪く凝集したので、スペーサ粒子濃度を半分に落とし、濾過した上で評価を行った。
○:連続で吐出して、20分以上飛行曲がり、未吐出ノズルの発生が無い
△:連続で吐出して、5分以内は飛行曲がり、未吐出ノズルの発生が無い
×:吐出開始時より飛行曲がり、未吐出ノズルの発生がある
(分散性評価)
実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液のスペーサ粒子濃度を1wt%にして、スライドガラス上に滴下、光学顕微鏡にて400倍でスペーサ粒子の分散性を5視野観察し、以下の基準に従って評価した。また、サンプル数n=3とした。
○:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個以内、かつ、4個以上の凝集塊がない
△:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で1個〜10個、かつ、4個以上の凝集塊がない
×:1視野内に2個以上が凝集したスペーサ凝集塊が平均で10個を超える、あるいは4個以上の凝集塊がある
(乾燥性評価)
実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液の液滴の吐出量を、1周期1ノズルあたり18ngとし、(600×200μm)間隔で吐出し、吐出後、45℃で乾燥して乾燥時間をチェックした。乾燥状態は、基板上の液滴が目視で実質上無くなった時間とした。また、サンプル数n=3とした。
−×:室温で既に乾燥している
○:0.5分〜1.0分で乾燥
△:1.0〜2.0分で乾燥
×:2分以上かかる
(経時安定性(インクの長期保管安定性)評価)
100mLのポリエチレン製の容器に80gの実施例1〜20及び比較例1〜10に係るスペーサ粒子分散液を入れて密閉し、55℃で2週間放置した。インクの溶剤組成(スペーサ粒子分を除く)を経時前後で、ガスクロマトグラフを用いて測定した。組成変化の多少を評価以下の基準により評価した。
○:それぞれの成分の組成率の変化が0.5wt%以下
×:いずれかの成分の組成率の変化が0.5wt%を超える
Figure 2008197474
本発明によれば、インクジェット装置を用いて、スペーサ粒子を液晶表示装置の基板上に配置することができ、スペーサ粒子の分散安定性、スペーサ粒子の配置精度に優れるとともに、基板上に配置した液滴の乾燥効率に優れ、基板にダメージを与えることがなく、かつ、廃液の環境負荷が少ないスペーサ粒子分散液、液晶表示装置の製造方法、及び、液晶表示装置を提供することができる。
本発明のスペーサ粒子分散液を用いて得られた液晶表示装置の一例を模式的に示す正面断面図。 従来の液晶表示装置を模式的に示す正面断面図。
符号の説明
1…液晶表示装置
2…第1の基板
3…第2の基板
4…カラーフィルタ
5…ブラックマトリックス
6…オーバーコート層
7…透明電極
8…配向膜
9…透明電極
10…配向膜
11、12…偏向板
13…シール材
14…スペーサ粒子
15…液晶
200…液晶表示装置
201、202…透明基板
203…カラーフィルタ
204…ブラックマトリックス
205…オーバーコート層
206、208…透明電極
207、209…配向膜
210、211…偏光板
212…シール剤
213…スペーサ粒子
214…液晶

Claims (4)

  1. インクジェット装置を用いて液晶表示装置の基板の上にスペーサ粒子を配置する際に用いられるスペーサ粒子分散液であって、少なくとも、スペーサ粒子と媒体とを含有し、前記媒体は、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有することを特徴とするスペーサ粒子分散液。
  2. 媒体は、更にエチレングリコールを含有することを特徴とする請求項1記載のスペーサ粒子分散液。
  3. 画素領域と非画素領域とを有する液晶表示装置の製造方法であって、
    第1の基板又は第2の基板上に、インクジェット装置を用いて、プロピレングリコール、又は、プロピレングリコールと水とを含有する媒体中に、スペーサ粒子が分散されているスペーサ粒子分散液を吐出することにより、前記非画素領域に対応する特定の位置にスペーサ粒子を配置する工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板とを、液晶及び前記スペーサ粒子を介して対向するように重ね合わせる工程を有する
    ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  4. 請求項1若しくは2記載のスペーサ粒子分散液、又は、請求項3記載の液晶表示装置の製造方法を用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11316380A (ja) * 1998-05-06 1999-11-16 Asahi Glass Co Ltd スペーサ散布方法及びそれを用いて製造した液晶表示素子
JP2006209105A (ja) * 2004-12-27 2006-08-10 Sekisui Chem Co Ltd 液晶表示装置の製造方法、スペーサ粒子分散液及び液晶表示装置

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