JP4446997B2 - 液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、特に大画面TFT−LCDを製造する際には、液晶パネルの製造工程時(基板搬送時、基板切断時など)および液晶パネルの輸送時等に、振動や衝撃が加わって液晶パネル内部のスペーサーが動き、1)配向膜の損傷に起因した液晶の配向乱れによる光抜けの増加、2)ギャップムラおよび色ムラの発生等の、液晶パネルの品質低下を生じさせる問題があった。そこで、スペーサーの移動防止を目的として、シード粒子表面を接着層で被覆した接着性スペーサーの開発や検討がなされてきた。
一方、湿式の製造法としては、反応溶媒中、シード粒子の存在下で、ラジカル重合性単量体を重合したときに析出してくる生成重合体を利用して該シード粒子を被覆させる方法(特許文献2など)が公知方法として知られている。確かに、一般的に、湿式法によれば乾式で問題になっていた異物等を、ろ過などの操作により容易に取り除くことができる上、比較的シード粒子表面の被覆効率も良いと言える。しかしながら、上記公知方法においては、析出した生成重合体がシード粒子表面に集まって被覆層となり得ても、その被覆層は、実質的には、溶媒中に安定に溶解した状態では存在できない重合体どうしが凝集した樹脂塊を含む層であり、そのような樹脂塊がシード粒子表面上にあると粒子自体の分散安定性などにも悪影響を及ぼすこととなるため、被覆後の粒子はコロイド的安定性に欠けたものとなり、粒子どうしの凝集が起こりやすいという問題がある。よって、反応初期段階から系全体の固形分濃度を極端に低くするなどの必要性が生じるため、被覆層の厚みは薄くなる。この様なことから、被覆効率や生産性の面で問題がある上、被覆層の厚みや量をコントロールすることが困難であるという問題がある。
その結果、湿式によりシード粒子の表面に被覆層を形成させる接着性スペーサー粒子の製法において、どのような形態や物性を有する被覆層をどういった手段で形成すればよいか、という点に着目すべきであると考え、種々の推測および実験を繰り返した。従来、湿式法によるスペーサー粒子の製法においては、上述のように、湿式法としてのメリットは有していても、結局、得られた被覆層においては膜厚等の形態などに起因したデメリットが生じ、また、被覆層の形態や物性については所望の効果を有するようなものとなっていてもその製法は非常に煩雑である等の問題があったからである。つまり、優れた物性や、被覆層の膜厚などにおいて適切な形態を有する被覆層を得ることのできる製法であって、かつ、該被覆層を容易に得ることのできる方法を見出すべきではないかと考えたのである。
この方法で重要となるのは、シード粒子の存在下、シード粒子表面の被覆にあずかる重合体を微粒子状となるように合成し且つ2次凝集しないようにする点である。
また、これら重合体粒子は、それぞれが独立に粒子として安定に存在するため、重合体粒子どうしの凝集や融合は起こることはなく、シード粒子表面に付着した重合体粒子上にさらに重合体粒子が付着するということや、シード粒子表面に付着した重合体粒子どうしの融合なども、ほぼ考えられない。
このように、シード粒子の表面は、表面に付着した重合体粒子により覆われることとなるため、被覆後の粒子の被覆層は、局所的には滑らかとはいえない場合があっても、全体的には厚みなどが平均として均一で非常にバランスの取れたものとなり、ひいては、得られるスペーサー粒子自体の分散安定性を高め、お互いの凝集を低減できる。また、このように、得られるスペーサー粒子の分散安定性が確保できることから、被覆層形成にかかる反応においては固形分濃度(シード粒子と原料単量体との合計濃度)を必要かつ十分に高めて行うことができるため、シード粒子の表面全体をくまなく一様に被覆することを可能とするとともに、生産効率も高めることができる。同時に、被覆層の原料となるラジカル重合性単量体とシード粒子との比率や、重合時間などの調整すれば、被覆層の大きさや量などを適宜所望のレベルに容易にコントロールすることもでき、所望の厚みを有する被覆層を容易に形成させることができる。
シード粒子の表面が、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体粒子からなる接着性微粒子に由来する接着層で被覆された液晶表示装置用の接着性スペーサーを得る方法であって、
前記ラジカル重合性単量体は溶解するがその重合体は溶解しない溶媒中に前記ラジカル重合性単量体を溶解させ、重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂およびシード粒子の存在下で、前記ラジカル重合性単量体を重合させて前記重合体粒子を生成させるとともに、前記シード粒子の表面を前記生成させた重合体粒子により被覆する、
ことを特徴とし、
前記シード粒子が有機質無機質複合体粒子であるか、または、前記樹脂が数平均分子量500以上のマクロモノマーもしくは数平均分子量500以上のマクロイニシエーターである。
本発明にかかる液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法(以下、本発明の製造方法と称することがある。)は、シード粒子の表面が、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体粒子からなる接着性微粒子に由来する接着層で被覆されてなる液晶表示装置用の接着性スペーサーを得る方法である。そして、(A)前記ラジカル重合性単量体は溶解するがその重合体は溶解しない溶媒中に前記ラジカル重合性単量体を溶解させ、重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂とシード粒子との存在下で、前記ラジカル重合性単量体のラジカル重合反応を開始して重合させてこの重合により、前記重合体粒子を生成させるとともに、前記シード粒子の表面に生成させた重合体粒子を付着させることによってこの表面を前記重合体粒子により被覆し、接着層を形成する、製造方法である。
上記(A)および(B)のいずれの方法においても、重合体粒子がシード粒子表面に付着し、かつ、付着後も定着して接着性の被覆層となり得る理由としては、およそ重合反応初期から中期にかけて合成された重合体粒子が、重合反応終了時点での重合体粒子に比べて重合体粒子内部に例えば重合未反応の単量体や低分子量重合体などを多く含んでいることに起因する重合体粒子の可塑性などが考えられる。
(ラジカル重合性単量体)
本発明の製造方法でいうラジカル重合性単量体としては、その種類は、特に限定されるわけではなく、本発明でいう接着性スペーサーが所望の物性を発揮できるよう適宜選択すればよいが、具体的には、例えば、親水性を付与したい場合には、特に限定はされないが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;などを用いることが好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明でいう接着性スペーサーに、液晶の異常配向や光抜けを防止する物性を備えたい場合は、上記ラジカル重合性単量体として、下記一般式(1)
で表される、長鎖アルキル基を有するラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。上記一般式(1)において、R2の炭素数は、12〜50が好ましく、より好ましくは14〜30であり、さらにより好ましくは16〜28である。上記R2の炭素数が12未満であると、異常配向抑制の硬化が低くなり、多量の長鎖アルキル基を有するラジカル重合性単量体が必要となり、得られる重合体のガラス転移温度Tg(℃)が低くなりすぎるおそれがあり、Tgが50℃未満になった場合スペーサー粒子どうしの融着が生じることとなる。また、50を超える場合は、長鎖アルキル基が長すぎるため単量体としての反応性が低下するほか、一般的に市販されていないため入手が困難であり、自ら合成するとなると操作が煩雑になることや、疎水性が強くなりすぎて他のラジカル重合性単量体との共重合性が低下するなどのおそれがある。
上記一般式(1)でいう、長鎖アルキル基を有するラジカル重合性単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、パラステミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどを好ましく挙げることができる。上記長鎖アルキル基を有するラジカル重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよく、他のラジカル重合性単量体と併用してもよい。
上記ラジカル重合性単量体の重合に際しては、酸素等による重合抑制を防ぐ為に、反応系を窒素等の不活性ガスで置換しておくことが好ましい。
上記ラジカル重合性単量体の上記溶媒に対する仕込み方については、特に限定はなく、最初(反応開始前)に全量仕込んでもよいし、最初に一部を仕込んでおいてから残りを連続フィード添加しても、断続的にパルス添加しても、両者を組み合わせて添加してもよい。
上記架橋性単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ビニル基を有する単量体として、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体などが挙げられる。また、上記ビニル基を有する単量体以外に、エポキシ基やシラノール基などを有する単量体なども挙げることができ、例えば、グリシジルメタクリレート等が挙げ挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記架橋性単量体の溶媒に対する仕込み方については、上述のラジカル重合性単量体の仕込み方と同様であることが好ましく、特に限定はされない。
(溶媒)
本発明の製造方法でいう溶媒とは、前記ラジカル単量体は溶解するが、該単量体を重合してなる重合体および重合体微粒子は溶解しない特性を有する反応溶媒である必要がある。
(ラジカル重合開始剤)
本発明でいうラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、過可硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤類、および、これら過酸化物系開始剤類に還元剤としての亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウム等と組み合わせたレドックス系開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬(株)製、商品名:V−601)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(和光純薬(株)製、商品名:V−501)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕(和光純薬(株)製、商品名:VA−061)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬(株)製、商品名:V−50)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、商品名:V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(和光純薬(株)製、商品名:V−60)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド(和光純薬(株)製、商品名:V−30)等のアゾ系化合物類;などを好ましく挙げることができる。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の製造方法においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を開始するが、熱、紫外線、放射線および電子線等を利用して重合を開始させることもできる。
(シード粒子)
本発明の製造方法でいうシード粒子は、本発明の製造方法により得られる液晶表示装置用接着性スペーサー(以下、本発明でいう接着性スペーサーと称することがある。)を液晶表示装置に用いた場合に、液晶表示板に使用する場合に、液晶層をはさむ両電極板の隙間距離を決める主なものであって、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持するために必要であり、その平均粒子径は、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μmである。シード粒子の平均粒子径が上記範囲を外れる場合は、液晶表示装置用の接着性スペーサーとしては通常用いられない領域である。
シード粒子としては、特に限定されるわけではないが、種々のものがあり、例えば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機質無機質複合体粒子等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、有機架橋重合体粒子および/または有機質無機質複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラーフィルターの損傷防止や両電極基板間の隙間距離(ギャップ)の均一性を得やすいという点で好ましく、有機質無機質複合体粒子が最も好ましい。
シード粒子は、染料および/または顔料を含むことで好ましく着色されていてもよい。
上記有機架橋重合体粒子としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ベンゾグアナミン、メラミンおよび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のアミノ化合物とホルムアルデヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂の硬化粒子(特開昭62−068811号公報参照);ジビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル単量体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒子(特開平1−144429号公報参照)等を好ましく挙げることができる。
上記有機質無機質複合体粒子は、好ましくは、有機質部分と無機質部分とを含む複合粒子である。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定されるわけではないが、例えば、前記有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜85wt%、さらに好ましくは30〜80wt%である。前記無機酸化物換算とは、好ましくは、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率で示される。前記有機質無機質複合体粒子の前記無機質部分の割合が、無機酸化物換算で10wt%を下回ると、前記有機質無機質複合体粒子は軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えることになるので好ましくなく、また、90wt%を上回ると、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が生じやすくなるおそれがあるので好ましくない。
前記縮合工程とは、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水分解・縮合する工程であることが好ましく、この縮合工程では、触媒としてアンモニア等の塩基性触媒を好ましく用いても良い。
ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物は、次の一般式(2):
と、次の一般式(3):
と、次の一般式(4):
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表される化合物またはその誘導体であることが好ましい。
前記重合工程は、前記縮合工程中および/または前記縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させて粒子を得る工程であることが好ましい。
上記の縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれる少なくとも1つの工程中および/または後に、生成した前記シード粒子を着色する着色工程をさらに含んでいてもよく、詳しくは、前記シード粒子は染料および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つ等を含むことで着色されていてもよい。その色は、光が透過しにくいか、または、透過しない色が、接着性スペーサー自身の光抜けを防止でき画質のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過しにくいか、または、透過しない色としては、たとえば、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色を好ましく挙げることができるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。なお、染料および/または顔料は、単にシード粒子に含まれるものでもよく、あるいは、染料および/または顔料とシード粒子を構成するマトリックスとが化学結合によって結び付けられた構造を有するものでもよいが、特にこれらに限定されない。
シード粒子を染色する方法としては、従来公知の方法がとられる。たとえば、上記の「化学便覧応用化学編 日本化学会編」や「日本化薬染料便覧」に記載されている方法等で行うことができる。
上記縮合工程、重合工程および熱処理工程から選ばれた少なくとも1種の工程中および/または後に、生成した前記シード粒子を表面処理する表面処理工程をさらに含んでいても良い。
SiX4 (5)
R6SiX3 (6)
R7R8SiX2 (7)
(ここで、Xは塩素原子、水素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基および炭素数2〜5のアシロキシ基から選ばれた少なくとも1種;R6およびR7は、いずれも、炭素数1〜22のアルキル基および炭素数6〜22のアリール基から選ばれる少なくとも1種であり、その基の中の1つ以上の水素原子が、アミノ基、メルカプト基、アルキレンオキシド基、エポキシ基、シアノ基、塩素原子およびフッ素原子から選ばれる少なくとも1種で置換されていても良い;R8は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれる少なくとも1種の1価の基である。)
前記シラン化合物のうち、一般式(4)で示されるシラン化合物や、R6やR7がアミノ基を置換基として有するものである一般式(5)または(6)で示されるシラン化合物で表面処理されると、特に乾式散布性に優れるため好ましい。
上記ビニル基を有機質無機質複合体粒子表面に導入するには、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体などを単量体成分として使用して有機質無機質複合体粒子を得ることが好ましい。これらは単独で導入されていても2種以上を併用されていてもよい。
本発明の製造方法においては、重合反応開始前に上記シード粒子を上記溶媒中に分散させておくことが好ましいが、分散させる方法としては、特に限定はされないが、超音波等により溶媒に分散させる方法や、ホモジナイザーなどの攪拌器機を用いて分散する方法などが挙げられる。また、本発明の製造方法においては、重合反応開始してから終了までの途中過程において上記シード粒子を上記溶媒中に分散させることが好ましいが、そのようにする方法としては、上述のように超音波や攪拌機を用いてシード粒子を何らかの溶媒に分散させておき、その分散液の状態で反応溶媒中に添加する方法で行うこともできる。上記何らかの溶媒とは、重合に用いている反応溶媒と同様であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、シード粒子を溶媒(反応溶媒)中に分散させる量は、上記溶媒100重量部に対して、150重量部以下であることが好ましく、より好ましくは120重量部以下、さらにより好ましくは100重量部以下である。上記使用量が150重量部を超える場合は、溶媒に対するシード粒子の濃度が高くなりすぎ、スラリー状となるため取り扱いが困難となるおそれがある。
(重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂)
本発明の製造方法でいう樹脂とは、重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂である。ここで、本発明においては、微粒子状態で安定化させる、とは、実質的には、下記(i)および(ii)で示す機能を表すとする。
これら各種ポリマーが、上記(i)および(ii)の作用効果を奏する機構としては、特に限定はされないが、具体的には、ラジカル重合性単量体の重合により重合体が合成されると、溶媒中に溶解させている上記各種ポリマーが、この重合体表面に結合または付着することにより重合体を粒子状で2次凝集すること無く安定化させる、という機構が好ましく挙げられる。
上記マクロモノマーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、スチレン−アクリロニトリル共重合体マクロモノマー、ポリブチルアクリレートマクロモノマー、ポリイソブチルメタクリレートマクロモノマー、メチルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体マクロモノマー、2−エチルヘキシルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体マクロモノマー、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコールメチルエーテルマクロモノマーなどであって、これらポリマーの片方の末端(片末端)に、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ビニル基、メルカプト基、メタクリロイル基などの重合性官能基から選ばれるいずれか1つを有するもの、あるいは、エポキシ基、ヒドロキシル基(水酸基)、ジヒドロキシル基(水酸基)、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基などの反応性官能基から選ばれるいずれか1つを有するもの、などを好ましく挙げることができる。
マクロモノマーとは、通常、重合反応可能な官能基を有する高分子量モノマーであり、他のモノマーと共重合することによりグラフトポリマーとなり得るものである。このマクロモノマーが、上記(i)および(ii)の作用効果を奏する機構としては、特に限定はされないが、具体的には、ラジカル重合性単量体の重合により重合体が合成されると同時に、溶媒中に溶解させているマクロモノマーがこの重合体表面に自身に由来するグラフト鎖を形成し、このグラフト鎖が重合体を粒子状で2次凝集すること無く安定化させる、という機構が好ましく挙げられる。
マクロイニシエーターとしては、上記列挙した中でも、重合開始官能基としてアゾ基およびパーオキサイド基のいずれかを有するマクロイニシエーターがより好ましい。
マクロイニシエーターとは、通常、重合開始を促進する官能基を有する高分子量モノマーであり、1分子中に数個のラジカル重合開始官能基を有しており、熱等により分解して重合を開始させることができる。このマクロイニシエーターが、上記(i)および(ii)の作用効果を奏する機構としては、特に限定はされないが、具体的には、原料となるラジカル重合性単量体の重合に重合開始剤として関与するとともに、ブロックポリマーとなり、得られる重合体の表面に、自身に由来するブロック共重合体鎖を形成することによって、このブロック共重合体鎖が重合体を粒子状で2次凝集すること無く安定化させる、という機構が好ましく挙げられる。
上記列挙した各種樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記列挙した各種樹脂のなかでも、特に、上記マクロモノマーおよびマクロイニシエーターを用いた場合は、それ以外の樹脂を用いた場合では見られない、重合体粒子の粒子径を小さくできること、重合体粒子にグラフト反応するため液晶パネル中での重合体の溶出が生じないこと、また、散布分散液中での安定性を効率良く付与できること等の優れた効果を発揮することができる。
本発明の製造方法においては、上記シード粒子は、予め、上記ラジカル重合性単量体の重合を開始する前に全量分散させて仕込んでおくことが好ましく、また、上記ラジカル重合性単量体は、上述したように、適宜所望の仕込み方で上記溶媒中に溶解させればよいが、上記溶媒の量を100重量部とした場合、シード粒子およびラジカル重合性単量体はその合計量が、0.1〜150重量部となるように仕込むことが好ましく、より好ましくは5〜120重量部、さらにより好ましくは10〜100重量部である。シード粒子およびラジカル重合性単量体の仕込み量が上記範囲内であれば、重合により生成した重合体粒子が、効率良くシード粒子表面上に付着して、最終的に、シード粒子の表面全体を完全に被覆することが可能となる。
本発明の製造方法においては、上記ラジカル重合性単量体を重合させる際の反応温度は、使用する溶媒の沸点以下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記ラジカル重合性単量体の重合および熟成などを行った後、さらに、得られた接着性スペーサーの精製および分級を行うことが好ましい。つまり、溶媒中に含まれる目的の接着性スペーサー以外の不純物を除去する、すなわち、重合体粒子単独のものと生成した接着性スペーサーとを分離したり、接着性スペーサーの大きさを分級等により均一化したりすることが好ましい。本発明の製造方法においては、生成される接着性スペーサーとシード粒子表面の被覆にあずからない重合体微粒子などとの粒子径の差が大きいため、上記接着性スペーサーと未被覆の重合体粒子との粒子径は明確に区別できる。
上記精製により除かれた重合体粒子は、不純物として廃棄してもよいが、再利用として、ヘテロ重合や衝撃力によりシード粒子に重合体粒子を付着、被覆させて接着性スペーサーを得る場合に使用することもできる。
(液晶表示装置用接着性スペーサー)
本発明の製造方法により得られる液晶表示装置用接着性スペーサーについて、シード粒子表面の被覆層の厚さは、特に限定されるわけではないが、通常、シード粒子表面に付着して合成された重合体粒子の平均粒子径にほぼ等しくなり、0.01〜2μmとなるようにすることが好ましく、より好ましくは0.02〜1μm、さらにより好ましくは0.03〜0.5μm、特に好ましくは0.02〜0.3μmである。上記厚さが0.01μm未満の場合は、接着性スペーサーとして接着性を示さないおそれがあり、2μmを超える場合は、接着層の溶融時に、この接着層が電極基板、配向膜およびカラーフィルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示板の画質低下を招くおそれがある。
本発明の製造方法においては、得られる液晶表示装置用接着性スペーサー被覆層の厚みは、溶媒に対するシード粒子およびラジカル重合性単量体の仕込み量を適宜調整することによって、粒子間の均一性を確保しつつ、容易に制御することができる。
本発明の製造方法により得られる液晶表示装置用接着性スペーサーは、テレビ、モニター、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサー、カーナビゲーションシステム、DVD、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、PHS(携帯情報端末)などの種々の器機に搭載される液晶表示板用の接着性スペーサーとして好ましく用いることでき、いずれにおいても上述した各種優れた効果を発揮することができる。また、被覆効率(粒子表面積に対する接着層の被覆面積の割合)が高いため、電極基板上に効率的に接着・固定することができ、スペーサー自身の移動の防止や、液晶表示装置のコントラスト性等の画質面での向上を達成することができる。
−実施例1−
温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、ステアリルメタクリレート10部、スチレン85部、メタクリル酸メチル5部、ポリビニルピロリドン(和光純薬社製、商品名:K−30)15部、メタノール400部、イオン交換水80部、および、シード粒子としての有機質無機質複合体粒子(日本触媒社製、商品名:エポスターYW50、平均粒子径5.02μm)400部を仕込んだ。その後、フラスコ内部を攪拌しながら65℃まで昇温し、窒素雰囲気下で30分間シード粒子を溶媒に分散させた後、イオン交換水20部に過酸化アンモニウム1.5部を溶解させた反応開始剤水溶液を加えて、24時間攪拌下で重合を行うことで、重合体粒子を生成するとともに、これら重合体粒子がシード粒子表面に付着することにより被覆した、実施例1の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(1)と称す)を得た。
接着性スペーサー(1)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.25μmに増大していた。
なお、本実施例と同様の操作を繰り返し行っても同様の結果が得られ、良好な再現性が認められることが確認された。この良好な再現性については、以下すべての実施例においても同様であることが確認された。
−実施例2−
ポリビニルピロリドン15部をポリエチレングリコールマクロモノマー(数平均分子量:2080)15部にした
以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(2)と称す)を得た。
接着性スペーサー(2)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.19μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
ポリビニルピロリドン15部を、ポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA−6、数平均分子量:6000)15部とし、メタノール400部をイソプロピルアルコール400部にした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例3の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(3)と称す)を得た。
その後、反応液を一晩放置し、上澄みを捨てた後、メタノールと細孔径3μmのフィルターとを利用して3回ろ過、洗浄を行い、残存していたフリーの重合体粒子を除去した。なお、実施例1と同様にフリーの重合体粒子の平均粒子径を測定したところ、0.31μmであった。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例4−
実施例1におけるポリビニルピロリドン15部と過酸化アンモニウム1.5部をイオン交換水20部に溶解させたものとを、マクロイニシエーター(和光純薬社製、商品名:VPE−201、数平均分子量15000〜30000)15部をメタノール100部に溶解したものとし、メタノール400部とイオン交換水80部とを、メタノール300部とイオン交換水100部とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例4の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(4)と称す)を得た。
接着性スペーサー(4)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.29μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例5−
スチレン85部を50部とし、ステアリルメタクリレート10部をラウリルメタクリレート45部とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例5の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(5)と称す)を得た。
接着性スペーサー(5)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.25μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例6−
スチレン85部を95部とし、ステアリルメタクリレート10部を用いず、ポリビニルピロリドン15部をポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA−6、数平均分子量:6000)15部とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例6の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(6)と称す)を得た。
接着性スペーサー(6)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.31μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例7−
シード粒子となるジビニルベンゼン粒子(DVB粒子)を調製した。まず、3%ポリビニルアルコール水溶液800部に、ジビニルベンゼン100部および過酸化ベンゾイル2部の混合液を加えて、ホモジナイザーで攪拌し、粒度調整を行った。その後、この混合液を反応容器に移し、攪拌しながら窒素雰囲気下にて85℃まで昇温して8時間反応を行った。反応後に得られた微粒子を、熱イオン交換水およびメタノールにて洗浄後、分級操作を行った。分級後に得られた粒子は、平均粒子径5.1μm、変動係数5.5%であった。
その後、反応液を一晩放置し、上澄みを捨てた後、メタノールと細孔径3μmのフィルターとを利用して3回ろ過、洗浄を行い、残存していたフリーの重合体粒子を除去した。
接着性スペーサー(7)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.31μmに増大していた。
−実施例8−
ステアリルメタクリレート10部をベヘニルメタクリレート10部とし、ポリビニルピロリドン15部をポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA−10、数平均分子量:10000)15部とし、メタノール400部をイソプロパノール400部とし、シード粒子として有機質無機質複合体粒子の代わりに実施例7のDVB粒子を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、実施例8の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(8)と称す)を得た。
接着性スペーサー(8)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.33μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子であるDVB粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例9−
ステアリルメタクリレート10部をベヘニルメタクリレート5部およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部とし、ポリビニルピロリドン15部をポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA−6、数平均分子量:6000)15部とし、メタノール400部をイソプロパノール400部とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例9の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(9)と称す)を得た。
接着性スペーサー(9)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.2μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例10−
ステアリルメタクリレート10部をベヘニルメタクリレート5部およびジビニルベンゼン5部とし、ポリビニルピロリドン15部をポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA−6、数平均分子量:6000)15部とし、メタノール400部をイソプロパノール400部とし、シード粒子として有機質無機質複合体粒子の代わりに実施例7のDVB粒子を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、実施例10の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(10)と称す)を得た。
接着性スペーサー(10)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.18μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子であるDVB粒子の表面を被覆している様子が確認された。
−実施例11−
ポリビニルピロリドン15部をポリエチレングリコールマクロモノマー(数平均分子量:2080)15部とし、平均粒子径5.02μmの有機質無機質複合体粒子を平均粒子径2.5μmの有機質無機質複合体粒子(日本触媒社製、商品名:エポスターYW25)とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例11の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(11)と称す)を得た。
接着性スペーサー(11)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径2.73μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
ステアリルメタクリレート10部をベヘニルメタクリレート10部とし、ポリビニルピロリドン15部をポリエチレングリコールマクロモノマー(数平均分子量:2080)15部とし、さらに、シード粒子を分散させていない状態で重合を開始して、重合開始後、均一系で透明であった反応系が重合体の生成により白濁して不均一系となった後、反応液をサンプリングして光学顕微鏡で重合体粒子の生成を確認し、重合開始30分後にメタノール400部および水100部からなる溶媒(重合反応溶媒と同量、同一組成)にシード粒子400部を超音波により分散させた分散液を反応系に一括添加し、添加後12時間重合反応を行った、以外は実施例1と同様の操作により、実施例12の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(12)と称す)を得た。
接着性スペーサー(12)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.28μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
メタクリル酸メチル5部をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部とし、ステアリルメタクリレート10部をベヘニルメタクリレート10部とし、ポリビニルピロリドン15部をポリエチレングリコールモノエチルエーテル15部とし、さらに、シード粒子を分散させていない状態で重合を開始して、重合開始後、均一系で透明であった反応系が重合体の生成により白濁して不均一系となった後、反応液をサンプリングして光学顕微鏡で重合体粒子の生成を確認し、重合開始30分後にメタノール400部および水100部からなる溶媒(重合反応溶媒と同量、同一組成)にシード粒子400部を超音波により分散させた分散液を反応系に一括添加し、添加後12時間重合反応を行った、以外は実施例1と同様の操作により、実施例13の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(13)と称す)を得た。
接着性スペーサー(13)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.21μmに増大していた。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
24時間重合を行うところを、5時間とした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例14の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(14)と称す)を得た。
その後、反応液を一晩放置し、上澄みを捨てた後、メタノールと細孔径3μmのフィルターとを利用して3回ろ過、洗浄を行い、残存していたフリーの重合体粒子を除去した。
接着性スペーサー(14)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.12μmに増大していた。このように、重合時間を変化させることで被覆層の厚みを調整できることがわかった。
−実施例15−
実施例3において、原料モノマーおよび反応開始剤を2倍量使用して重合を行った、すなわち、実施例3において、ステアリルメタクリレートを20部、スチレンを170部、メタクリル酸メチルを10部とし、過酸化アンモニウム3部を溶解させた反応開始剤水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、実施例15の接着性スペーサー(以下、接着性スペーサー(15)と称す)を得た。
接着性スペーサー(15)の粒子径を、コールターカウンター(コールター社製、製品名:マルチタイザーII型)で測定したところ、平均粒子径5.67μmに増大していた。このように、原料モノマー量や反応開始剤量を変化させることで被覆層の厚みを調整できることがわかった。
また、上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体粒子がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認された。
ポリビニルピロリドン15部を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、比較例1の接着性スペーサー(以下、比較接着性スペーサー(1)と称す)を得た。
その後、反応液を一晩放置し、上澄みを捨てた後、メタノールで3回ろ過、洗浄を行い、残存していたフリーの重合体凝集物を除去した。
しかしながら、上記洗浄後の比較接着性スペーサー(1)は、メタノールに分散せず、凝集していたため、実施例1と同様のコールターカウンターによる粒子径測定は不可能であった。
−比較例2−
ポリビニルピロリドン15部をポリエチレングリコールマクロモノマー(数平均分子量:476(低分子量マクロモノマー))15部にした以外は、実施例1と同様の操作により、比較例2の接着性スペーサー(以下、比較接着性スペーサー(2)と称す)を得た。
しかしながら、上記洗浄後の比較接着性スペーサー(2)は、メタノールに分散せず、凝集していたため、実施例1と同様のコールターカウンターによる粒子径測定は不可能であった。
上記洗浄後の粒子を40℃で減圧乾燥を一晩行った後、さらにSEMで観察したところ、重合体凝集物がシード粒子である有機質無機質複合体粒子の表面を被覆している様子が確認されたが、接着性スペーサーどうしの凝集が激しく、単独で存在する粒子はごくわずかしか存在していなかった。また、重合過程で生成した数ミクロンから100ミクロン程度の重合体凝集物が多数存在し、それらをろ過・洗浄してスペーサー粒子と分離することは不可能であった。
このようにして得られた接着性スペーサー(1)〜(15)および比較接着性スペーサー(1)および(2)について、以下の測定および評価を行った。その結果を表1〜4に示す。
(シード粒子表面の被覆状態、異物粒子の観察および評価)
走査型電子顕微鏡(SEM)により、倍率3000倍での任意の10視野を観察し、総粒子数500個以上のスペーサー粒子を確認すると同時に、それらスペーサー粒子の周りにある、シード粒子の被覆にあずからない重合体粒子の粒子数を測定した。
(固着力試験)
テープ剥離法およびエアブロー法にて接着性スペーサーの固着力を評価した。どちらの方法においても、
「残存率(%)=(残存個数/散布個数)×100」
とし、散布個数に関しては500個以上のスペーサーを計測し、残存率を算出した。
エアブロー法:スペーサー粒子を散布したポリイミド塗布ガラス基板を、150℃で30分加熱した後、該ガラス基板から5mm上部にエアーガン(先端口径4mm)を設置して、空気圧1kgf/cm2で10秒間エアブローを行い、ブロー前後のスペーサー粒子の残存個数をスペーサーカウンターで計測した。
(光抜け抑制能)
ポリイミド樹脂で表面コートされている基板ガラス(30mm×40mm)を、ラビング機を用いてアンチパラレルにラビングし、合成した接着性スペーサーを用いて水平配向セルを作製した。用いた液晶はメルク社製の製品(製品名:ZLI 4792)であり、電圧は無印加状態、20℃で、偏光顕微鏡を用いて観察した。また、振動による液晶配向異常の程度を評価するために、液晶セルにミクロ形電磁泳動ふるい器で1分間振動を加えて、その後の光抜け変化を偏光顕微鏡で観察した。
A:スペーサー周囲の光抜け無し。
B:若干光抜けが見られる。
C:1/3程度の光抜けが見られる。
D:1/2程度の光抜けが見られる。
E:1/1異常の光抜けが見られる。
Claims (6)
- シード粒子の表面が、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体粒子からなる接着性微粒子に由来する接着層で被覆された液晶表示装置用の接着性スペーサーを得る方法であって、
前記シード粒子が、有機質無機質複合体粒子であり、
前記ラジカル重合性単量体は溶解するがその重合体は溶解しない溶媒中に前記ラジカル重合性単量体を溶解させ、重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂およびシード粒子の存在下で、前記ラジカル重合性単量体を重合させて前記重合体粒子を生成させるとともに、前記シード粒子の表面を前記生成させた重合体粒子により被覆する、
ことを特徴とする、液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。 - シード粒子の表面が、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体粒子からなる接着性微粒子に由来する接着層で被覆された液晶表示装置用の接着性スペーサーを得る方法であって、
前記ラジカル重合性単量体は溶解するがその重合体は溶解しない溶媒中に前記ラジカル重合性単量体を溶解させ、重合により生成した重合体を微粒子状態で安定化させる樹脂およびシード粒子の存在下で、前記ラジカル重合性単量体を重合させて前記重合体粒子を生成させるとともに、前記シード粒子の表面を前記生成させた重合体粒子により被覆することとし、かつ、
前記樹脂が、数平均分子量が500以上のマクロモノマーまたは数平均分子量が500以上のマクロイニシエーターである、
ことを特徴とする、液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。 - 前記有機質無機質複合体粒子が、その粒子表面に前記ラジカル重合性単量体と反応可能なビニル基および/またはシラノール基を有する、請求項1に記載の液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。
- 前記樹脂が、片末端に重合性官能基としてビニル基およびメルカプト基のいずれかを有し、かつ、数平均分子量が500以上のマクロモノマーである、請求項1から3までのいずれかに記載の液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。
- 前記樹脂が、片末端に反応性官能基としてエポキシ基、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群より選ばれるいずれか1つを有し、かつ、数平均分子量が500以上のマクロモノマーである、請求項1から4までのいずれかに記載の液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。
- 前記樹脂が、重合開始官能基としてアゾ基およびパーオキサイド基のいずれかを有し、かつ、数平均分子量が500以上のマクロイニシエーターである、請求項1から5までのいずれかに記載の液晶表示装置用接着性スペーサーの製造方法。
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