JP5355879B2 - 液晶調光素子とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、視界選択機能を有する液晶調光素子に関する。
視界選択機能を有する液晶調光素子は「瞬間調光ガラス」として既に市販されている(日本板硝子製「UMU」(「UMU」は登録商標))。このガラスは、印加電圧に応じて、透視できる状態と透視できない状態との間を瞬間的かつ可逆的に変化する。後者の状態では、サンドブラスト等により表面を粗とした曇りガラスと同様、ガラスに入射する光が散乱して人の視界が遮られる。液晶調光素子は、会議室の間仕切り、店舗のショーウインドウ、車両の窓等に用いられている。
液晶調光素子は、液晶微小粒子を樹脂バインダー(樹脂マトリクス)に分散させてなる液晶−樹脂複合体が、2枚の導電膜付き基体の間に配置された構成を有する。液晶調光素子では、導電膜に印加される電圧に応じて液晶微小粒子を構成する液晶分子の配列が変化する。液晶分子の配列が変化すると、それに応じて素子に入射する光の散乱の程度も変化する。液晶分子は、電圧が印加されていない状態(電圧開放状態)では入射光に大きな散乱を与えるが、電圧印加状態では電界の方向に沿って配列して入射光の散乱の程度を低下させ、透視状態(透明状態)を実現する。
液晶−樹脂複合体を構成する樹脂マトリクスとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタン等が検討されてきた。これらの樹脂の中では、ポリウレタンが、加工性、耐熱性等の観点から優れている。樹脂マトリクスに液晶微小粒子を分散させるためには、相分離法またはエマルジョン法を用いることができるが、実用化されているのはエマルジョン法である。エマルジョン法では、液晶材料を含むエマルジョンを高速で攪拌することにより、液晶微小粒子が分散した状態、すなわち液晶が「カプセル化」した状態、が実現される。
なお、「カプセル化」とは、液晶がカプセルに封入されているかのように観察されるために用いられている慣用の表現に過ぎない。厳密に言うと、従来の製品においても以降記述する本発明の実施形態の液晶調光素子においても、液晶材料は、カプセルに封入されているのではなく、それ自体が微小粒子となって樹脂マトリクスに分散している。本明細書においても、以降、慣用に従って用語「カプセル化」および「液晶カプセル」を用いることがあるが、これは樹脂マトリクスおよび液晶材料とは別にカプセルが存在することを前提とする趣旨ではない。
特開昭60−252687号公報には、樹脂マトリクスとしてポリウレタンを用いた液晶調光素子が開示されている。この公報には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル等の重合体、さらにはメタクリレート/アクリロニトリル、ウレタン/アクリル、アクリレート/アクリロニトリル等の共重合体を樹脂マトリクスとして用いてもよいことが開示されている。特開昭60−252687号公報には、架橋剤を用いて樹脂マトリクスに架橋構造を導入してよいことも記載されている。
特表平11−500757号公報には、少なくとも2種の一官能性の(メタ)アクリルエステルと、少なくとも1種の多官能性の(メタ)アクリル官能性化合物と、光開始剤とを所定割合で含むエマルジョンを用いて、液晶−樹脂複合体を製造する方法が開示されている。この公報に記載されている発明は、動作場と呼ぶパラメータに注目して液晶調光素子を改良したものである。特表平11−500757号公報によると、動作場を低く保つためには、一官能性の(メタ)アクリルエステルは、鎖長が6未満のアルキル基を有するよりも鎖長が6である官能基を有することが望ましい(同公報図6参照)。
液晶調光素子を開示する先行技術としては、上記に加え、特表昭58−501631号公報、特開平5−66391号公報、特開平5−289068号公報、特開2004−302194号公報がある。
特開昭60−252687号公報 特表平11−500757号公報 特表昭58−501631号公報 特開平5−66391号公報 特開平5−289068号公報 特開2004−302192号公報
上述の用途においてしばしば問題となる液晶調光素子の特性は、電圧印加状態における透明性である。通常の透明のガラス板と比較すると、液晶調光素子は電圧印加状態においてもやや曇って見える場合がある。液晶−樹脂複合体を薄くすれば、電圧印加状態における液晶調光素子の透明性は向上する。しかし、液晶−樹脂複合体の厚みが十分でないと、電圧を印加していないときの遮蔽性が不足する。このように電圧印加状態における透明性と電圧開放時の遮蔽性はトレードオフの関係にあるため、液晶−樹脂複合体の厚みの調整のみによって上記問題を解決することはできない。
本発明は、電圧印加状態における透明性と電圧開放状態における遮蔽性とがともに高いレベルで両立した液晶調光素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、導電膜が対向するように配置された2枚の導電膜付き基体と、これら2枚の導電膜付き基体の間に挟持された液晶−樹脂複合体とを備え、液晶−樹脂複合体が、樹脂マトリクスと、この樹脂マトリクスに分散した液晶微小粒子とを有する液晶調光素子を製造する方法として、以下の工程a)〜工程d)を含む製造方法を提供する。
工程a):下記式(1)により示される単量体Aと、非イオン性親水基および炭素−炭素二重結合を有する単量体Bとを含み、単量体Aを主たる単量体とする単量体群を乳化重合して、ガラス転移温度が−50℃〜20℃の範囲にある共重合体を含むエマルジョンを得る工程、
工程b):上記エマルジョンおよび液晶材料を含む原材料から、上記共重合体を含み、液晶微小粒子が分散した液晶−樹脂複合材料を調製する工程、
工程c):上記液晶−樹脂複合材料を導電膜付き基体の導電膜上に塗布して、この導電膜上に、樹脂マトリクスに液晶微小粒子が分散した液晶−樹脂複合体を形成する工程、
工程d):上記導電膜付き基体とは別の導電膜付き基体を、上記液晶−樹脂複合体が2枚の導電膜付き基体の間に挟持され、かつその導電膜が上記液晶−樹脂複合体に接するように、上記液晶−樹脂複合体に接合する工程。
Figure 0005355879
ここで、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、直鎖もしくは分岐を有する炭素数1〜20の鎖状アルキル基、または炭素数5〜20の環状アルキル基である。
本発明によれば、導電膜が対向するように配置された2枚の導電膜付き基体と、これら2枚の導電膜付き基体の間に配置された液晶−樹脂複合体とを備え、この液晶−樹脂複合体が、樹脂マトリクスと、この樹脂マトリクスに分散した液晶微小粒子とを有する液晶調光素子であって、上記樹脂マトリクスが、上記単量体Aおよび上記単量体Bを含み、上記単量体Aを主たる単量体とする単量体群の共重合体であってガラス転移温度が−50℃〜20℃の範囲にある共重合体を含む、液晶調光素子が提供される。
本発明は、また別の側面から、樹脂マトリクスが、上記式(1)により示される単量体を主たる単量体とし、非イオン性親水基を有し、架橋構造が導入された共重合体を含む、液晶調光素子を提供する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」との表記は、「メタアクリルまたはアクリル」を意味し、同様に「(メタ)アクリロイル」との表記は、「メタアクリロイルまたはアクリロイル」を意味する。「主たる単量体」は、本明細書においては、単量体群の75質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、を占める単量体を意味するものとする。「主たる単量体」を構成する単量体Aは、1種の単量体から構成されていてもよく、2種以上の単量体から構成されていてもよい。単量体Bおよび後述する単量体C〜Dも、1種または2種以上の単量体から構成される。
液晶調光素子が電圧印加状態においてやや曇って見える原因の少なくとも一つは、液晶微小粒子を構成する液晶分子の配向の不完全性にある。本発明の製造方法では、樹脂マトリクスを構成するために、上記単量体Aおよび上記単量体Bを含む共重合体を用いることとした。この共重合体は、液晶調光素子の電圧印加状態における透明性の向上に適している。
かかる共重合体の使用を前提として、本発明では、共重合体のガラス転移温度(Tg)を適切な範囲とすることとした。Tgを20℃以下とすることにより、液晶−樹脂複合材料を導電膜付き基体上に塗布して液晶−樹脂複合体を形成することが容易になる。また、液晶−樹脂複合体にもう1枚の導電膜付き基体を接合することも容易となる。Tgが高すぎると、液晶−樹脂複合材料を塗布しても膜状の成形体にはなりにくいし、液晶−樹脂複合体の粘着性も低下するためである。他方、Tgが−50℃を下回る程度に低いと、樹脂マトリクスの接着力が却って低下する。液晶−樹脂複合体と導電膜との接合状態が良好でないと液晶分子の配向性は低下する。Tgの適切な制御は、液晶分子の配向性の向上を通じ、液晶調光素子の透明性の改善にも寄与しうるものである。
こうして、本発明によれば、液晶−樹脂複合体の厚みを保ちながら電圧印加状態における透明性を向上することが可能となり、したがって電圧印加状態における透明性と電圧開放状態における遮蔽性とが高いレベルで両立した液晶調光素子を工業的に製造することが可能となる。
本発明の液晶調光素子の製造方法では、まず、工程a)において、共重合体を含むエマルジョン(高分子エマルジョン)が調製される。共重合体を構成する単量体群は、単量体A,Bを必須の単量体として含み、単量体Aを主たる単量体とする。
単量体Aは、上記式(1)により示される、(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたは(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸iso−オクチル、(メタ)アクリル酸iso−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸iso−ドデシル、(メタ)アクリル酸iso−トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸iso−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明では、単量体AのR2基(式(1)参照)を、所定の鎖状アルキル基または環状アルキル基、好ましくは鎖状アルキル基、として、共重合体と液晶分子との相互作用を低下させた。単量体Aは、液晶−樹脂複合体において樹脂マトリクスと液晶微小粒子を構成する液晶分子との相互作用を低下させる。この相互作用の低下が、電圧印加状態における液晶分子の配向性の改善に寄与していると考えられる。また、液晶分子と樹脂マトリクスとの相互作用の低下により、エマルジョン法によって形成される液晶微小粒子の形状および大きさの均一化も促進される。この均一化は、液晶微小粒子の粒子径を透明性の改善に好ましい範囲とすることを容易とする。
界面活性剤の当業者にとって、良好な乳化を実現するために、被乳化物と似た構造の疎水基を有する界面活性剤を乳化剤として使用すべきことは自明である。この知見を液晶調光素子の樹脂マトリクスにそのまま転用すると、液晶分子の良好な分散のためにはスチレンのような芳香族化合物を樹脂マトリクスの主成分として検討すべきことになる。しかし、芳香族化合物を主成分とする樹脂マトリクスでは、樹脂マトリクスと液晶分子との相互作用が大きくなりすぎて液晶の「カプセル化」が阻害される。本発明の液晶調光素子では、芳香族単量体の併用を完全に排除するわけではないが、共重合体を構成する主たる単量体としては芳香族以外の単量体である単量体Aを用いることとした。
後述するように、単量体Aを主たる単量体とする単量体群の共重合体を液晶調光素子に用いる場合には、共重合体のガラス転移温度(Tg)に留意すべきである。Tgは、単量体Aのみにより定まるわけではないが、単量体Aの適切な選択はTgの好ましい範囲への調整にとって最も重要である。Tg、およびこれとともに考慮すべき他の特性(例えば樹脂マトリクスの強度)を調整するため、単量体Aとして、式(1)におけるR2が互いに相違する2種以上の単量体を用いてもよい。
液晶分子の配向性を顕著に改善するためには、単量体Aとして、式(1)におけるR2が直鎖または分岐を有する炭素数1〜20の鎖状アルキル基である単量体A1のみを用いることが好ましい。単量体A1とともに、R2が炭素数5〜20の環状アルキル基である単量体A2を用いる場合には、単量体A2の含有量が単量体A1の含有量よりも少ない範囲とするとよい。
式(1)におけるR2は、直鎖または分岐を有する炭素数1〜8の鎖状アルキル基が好ましく、直鎖または分岐を有する炭素数1〜4の鎖状アルキル基がさらに好ましい。これらの条件を満たす単量体が単量体Aの過半(50質量%超)または全部を占める共重合体は、後述する実施例で示すように好ましい結果をもたらす。
単量体Bは、非イオン性親水基を有する単量体である。非イオン性親水基は、好ましくはアミド基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはアミド基および/またはヒドロキシル基である。なお、本明細書では、「アミド基」を、第1級アミドに限ることなく、いわゆるアミド結合を有する官能基すべてを含意味で用いる。単量体Bは、単量体Aと共重合可能なものであればその種類に制限はないが、非イオン性親水基とともに、(メタ)アクリロイル基、ビニル基に含まれるような炭素−炭素二重結合を有するものから選択する。単量体Bおよび後述する単量体Cに含まれる炭素−炭素二重結合ならびに後述する単量体Dに含まれていてもよい炭素−炭素二重結合は、ラジカル重合性を有することが好ましい。
単量体Aとともに用いる場合、単量体Bにより供給される非イオン性親水基は、液晶−樹脂複合体における液晶分子の良好な「カプセル化」を助ける作用を奏する。後述する比較例で示されるように、単量体Bの欠如は、液晶分子が「カプセル化」しない結果をもたらす場合さえある。また、単量体Bに含まれる非イオン性親水基は、単量体Aを最も多く含む単量体群の乳化重合を安定化する作用も奏する。単量体Bによる樹脂マトリクスへの非イオン性親水基の導入は、樹脂マトリクスにおける親水性部分と疎水性部分とのバランスを液晶調光素子の特性改善に好ましい範囲としている可能性がある。
アミド基含有単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これに加え、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等を用いてもよい。アミド基含有単量体として上記に例示した単量体のうち、ヒドロキシル基を有する単量体を用いてもよい。
ポリオキシアルキレン基含有単量体としては、アルキレン基が炭素数2〜4であるポリオキシアルキレン基を有する単量体が適している。この単量体は、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレートのように、同時にヒドロキシル基含有単量体であってもよい。ポリオキシアルキレン基含有単量体は、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等であってもよい。
単量体Bは、芳香族以外の単量体が好ましい。好ましい単量体Bとしては、(メタ)アクリルアミド、その誘導体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを例示できる。
単量体Cは、カルボキシル基および/またはアミノ基を有する単量体である。単量体Cは、単量体A,Bと共重合可能なものであればその種類に制限はないが、炭素−炭素二重結合を有するものから選択される。炭素−炭素二重結合は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基に含まれるものであってよく、不飽和脂肪酸に含まれるものであってもよい。カルボキシル基およびアミノ基は、反応性が高く、共重合体における架橋剤との反応点の導入に有用である。架橋構造の導入は、液晶−樹脂複合体への必要な強度の付与を容易とする。反応性が高い官能基を導入すべきであるため、本明細書では、「アミノ基」を、活性水素を有するアミノ基、即ち第1級アミノ基または第2級アミノ基を意味する用語として用いる。
単量体Cは、架橋構造の導入のための任意の単量体であるが、架橋構造を導入する場合においても必須でないことには留意すべきである。反応性の点でカルボキシル基およびアミノ基に劣るが、単量体Bに含まれうるヒドロキシル基も架橋構造の導入に利用できる。ヒドロキシル基を用いて架橋構造を導入する場合は、ヒドロキシル基と反応する官能基、例えばグリシジル基、エポキシ基、を有する架橋剤を用いるとよい。
なお、本明細書では、カルボキシル基および/またはアミノ基とともに非イオン性親水基を有する単量体は、単量体Bとして取り扱うこととする。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、セネシオ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノデシル、マレイン酸モノドデシル、マレイン酸モノテトラデシル、マレイン酸モノヘキサデシル、マレイン酸モノステアリル、マレイン酸モノオレイル、マレイン酸モノメトキシエチル、マレイン酸モノエトキシエチル、マレイン酸モノブトキシエチル、マレイン酸モノメチルカルビトール、マレイン酸モノエチルカルビトール、マレイン酸モノブチルカルビトール、マレイン酸モノベンジル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノデシル、フマル酸モノドデシル、フマル酸モノテトラデシル、フマル酸モノヘキサデシル、フマル酸モノステアリル、フマル酸モノオレイル、フマル酸モノメトキシエチル、フマル酸モノエトキシエチル、フマル酸モノブトキシエチル、フマル酸モノメチルカルビトール、フマル酸モノエチルカルビトール、フマル酸モノブチルカルビトール、フマル酸モノベンジル、アクリル酸ダイマー、カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アリルアミン、メチルアリルアミン、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、4−アミノスチレン等が挙げられる。
単量体Cも、単量体Bと同様、芳香族以外の単量体が好ましい。単量体Cは、アミノ基を有する単量体C2であってもよいが、カルボキシル基を有する単量体C1、特に(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびそのモノアルキルエステル、ならびにフマル酸およびそのモノアルキルエステルから選ばれる少なくとも1種が好適である。
単量体群は、以下の単量体から構成されていてもよい。
単量体A:75〜99質量%、
単量体B:0.1〜15質量%、
単量体C:0〜15質量%、好ましくは0.1〜15質量%、
単量体D:0〜10質量%
ここで、単量体Dは、単量体A〜Cのいずれにも該当しない単量体である。単量体Dも、炭素−炭素二重結合を有する単量体から選択するとよいが、単量体Aその他の単量体と共重合可能な単量体であれば、炭素−炭素二重結合を有していなくてもよい。単量体Dは、単量体群に含まれていてもよい任意の単量体であるが、その上限は、上記のとおり好ましくは10質量%である。
単量体Aの含有率が低すぎると、液晶調光素子が電圧印加状態において十分に透明にならなかったり共重合体のガラス転移温度が高くなりすぎたりすることがある。単量体Aの含有率は、質量%で表示して(以下、この段落における「%」はすべて質量%)、80%以上、特に85%以上が好ましく、場合によっては90%以上としてもよい。他方、単量体Aの含有率が高すぎると、液晶材料が「カプセル化」しなかったり導入すべき架橋構造が十分に形成されなかったりすることがある。これを考慮すると、単量体Aの含有率は、98%以下、さらには97%以下にまで制限してもよい。単量体Bの含有率は、非イオン性親水基による上述の効果を十分に得るためには、0.3%以上、さらには0.5%以上が好ましい。他方、単量体Bの含有率は、13%以下、さらには10%以下、場合によっては8%以下にまで制限してもよい。単量体Cの含有率は、架橋構造を十分に形成するためには0.3%以上、さらには0.5%以上が好ましい。他方、単量体Cの含有率が高すぎると、共重合体の水溶性が高くなりすぎることがある。このため、単量体Cの含有率は、13%以下、さらには10%以下、特に7%以下、場合によっては6%以下に制限することが好ましい。単量体Dの含有率は、本発明の目的が阻害されないように定めるとよいが、通常は、例えば8%以下、さらには5%以下、特に3%以下が好適である。
単量体Dも、単量体A,Bと共重合可能なものであればその種類に制限はないが、例えばビニル基含有単量体、(メタ)アクリロイル基含有単量体を用いるとよい。単量体Dは、基材との密着性の向上等のために添加するとよい。単量体Dとしてスチレン等の芳香族単量体を用いてもよいが、単量体Dは、上記と同様の理由により、芳香族ではない単量体が好ましい。単量体Dの種類を以下に例示する。
グリシジル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、カルボジイミドエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルカルボジイミドエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル、4−アセトアセトキシブチルビニルエーテル、アジリジン基含有単量体、オキサゾリン基含有単量体、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、アリルジメチルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニル、アルキルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン。
単量体Dは、これを添加するのであれば、グリシジル基含有単量体、エポキシ基含有単量体等のエポキシ系単量体、シリル基含有単量体、第3級アミノ基含有単量体が好適である。
上述したとおり、単量体Aを含む共重合体を液晶調光素子に用いる場合には、共重合体のガラス転移温度(Tg)に注意する必要がある。共重合体の高すぎるTgは樹脂マトリクスの粘着性を低下させ、その結果、液晶−樹脂複合材料を導電膜付き基体の間に配置する作業が困難となるためである。共重合体のTgが高い液晶−樹脂複合材料を用いると、導電膜付き基体と貼り合わせることができたとしても、時間の経過とともに複合体が劣化し、極端な場合は膜剥がれが生じるおそれもある。膜剥がれが生じなくても、導電膜と液晶−樹脂複合体との接合が部分的に不良となると、その部分において液晶の配向性が低下するおそれがある。他方、共重合体の低すぎるTgは、樹脂マトリクスの接着力を却って低下させ、樹脂マトリクスが有するべき液晶微小粒子のバインダーとしての機能が損なうことがある。
なお、共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くても、それを補う程度に可塑剤を添加すれば液晶−樹脂複合体の形成は可能である。しかし、可塑剤の多量の添加により、液晶の「カプセル化」を困難になることがあるし、液晶−樹脂複合体と導電膜付き基体との界面にブリードアウトして液晶調光素子の品質が損なわれるおそれも生じる。共重合体のTgが好ましい範囲に調整されていれば、可塑剤の添加はそれを必要とすることがあったとしても微量にとどめることができるし、Tgの調整が適切であれば可塑剤を使用する必要自体がなくなる。本発明によれば、可塑剤を含まない樹脂マトリックスにより特性が良好な液晶調光素子を構成することも可能である。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃〜20℃が好適であるが、上述の理由により、15℃以下、さらには5℃以下、特に0℃以下が好ましい。−10℃以下としてもよい。低すぎるTgを避けるべき場合には、Tgを−40℃以上、さらには−35℃以上に設定してもよい。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、相対的に多量に添加される単量体に強く影響されるから、本発明では単量体Aの選択を適切に行うべきことになる。式(1)で示される単量体AのTgは、R2基による影響を大きく受ける。例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸ヘキシルのTgを比較すると、この順に低くなり、ポリアクリル酸プロピルで−44℃、ポリアクリル酸ヘキシルで−57℃となる。しかし、R2基が長くなりすぎるとアクリル酸エステルポリマーのTgは高くなる。また、R2基が同じであれば、アクリル酸エステルポリマーはメタクリル酸エステルポリマーよりも低いTgを示す傾向にある。このような傾向を考慮すると、Tgを好ましい範囲に設定するためには、単量体Aの少なくとも一部を、式(1)において、R1基が水素原子であり、R2が直鎖または分岐を有する炭素数2〜8、好ましくは3〜8、の鎖状アルキル基である単量体A11とするとよい。
しかし、低すぎるTgは、上述のような問題をもたらすし、そのような問題が生じなくても、Tgを低く設定すると液晶−樹脂複合体の強度が低下する場合がある。強度低下を補うためには、メタクリル酸メチルに代表されるようなアルキル鎖が短いメタクリル酸アルキルエステルを単量体の一部とするとよい。これを考慮すると、単量体A11との併用が好ましい単量体Aは、式(1)において、R1基がメチル基であり、R2が直鎖または分岐を有する炭素数1〜4の鎖状アルキル基である単量体A12である。
単量体Aは、単量体群に対し、40〜75質量%、好ましくは50〜75質量%の単量体A11と、20〜55質量%、好ましくは20〜45質量%の単量体A12とを含んでいてもよい。
実験により確認されたところによると、単量体A11および単量体A12を含む単量体Aを、非イオン性親水基としてアミド基および/またはヒドロキシル基を有する単量体Bと併用すると、特に好ましい結果が得られる。
工程a)における乳化重合は、従来から知られている方法により行えばよいが、以下、その概要を説明する。
乳化重合のための界面活性剤は、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤、特にこの2種の界面活性剤の併用、が好適である。乳化重合の際のエマルジョンの安定性を保つためには、アニオン性界面活性剤の使用が好ましい。しかし、アニオン性界面活性剤のみを使用すると、液晶−樹脂複合体の絶縁性が不足する。伝導性を付与する界面活性剤を多量に使用すると、電圧印加時にショートによる動作不良を引き起こすおそれが生じる。このため、非イオン性界面活性剤をアニオン界面活性剤とともに用いることが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩等を例示できる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアラルキルエーテル、ポリオキシエチレンアラルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を例示できる。非イオン性界面活性剤のHLB(親水親油バランス)は、6〜20が好ましく、8〜19がより好ましい。HLB8〜12の界面活性剤とHLB16〜19の界面活性剤とを併用してもよい。
界面活性剤としては、アルキル基、アルケニル基等により構成される疎水基部分に分岐を有するものが好ましい。液晶材料の「カプセル化」に良好な影響を及ぼしうるからである。
もっとも、界面活性剤は上記に限定されるわけでなく、例えば上記に例示した界面活性剤とともに、カチオン性界面活性剤や両性界面活性剤を用いてもかまわない。
界面活性剤の使用量は、通常、単量体群100質量部に対し、0.1〜15質量部とするとよい。
乳化重合に際しては、界面活性剤に加え、高分子系保護コロイド剤を用いてもよい。高分子系保護コロイド剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、デンプン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)を例示できる。
なお、界面活性剤や高分子系保護コロイド剤は、その一部を、乳化重合後にエマルジョンに添加してもよい。
重合開始剤についても特に限定はない。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の無機系の過酸化物系化合物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機系化合物;2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物を例示できる。過酸化物系化合物を使用する場合は、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリム等の還元剤を併用することにより、レドックス重合を行ってもよい。
重合開始剤の使用量は、通常、単量体群100質量部に対し、0.01〜5.0質量部とするとよい。
必要に応じ、共重合体の分子量を制御するために連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、低級アルコール、α−メチルスチレンダイマー、ハロゲン化炭素類、ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
さらに、必要に応じ、pH調整剤、pH緩衝剤、消泡剤、造膜助剤、可塑剤、粘性調整剤、凍結防止剤、防腐剤、タッキファイヤー、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を使用してもよい。
乳化重合の重合温度は、例えば30〜100℃、好ましくは60〜85℃である。
工程a)により得られるエマルジョンは、水系の高分子エマルジョンとなる。ここでいう水系は少量の有機溶媒を許容する趣旨である。水系の高分子エマルジョンは、取り扱い性も良好で環境への悪影響もない。高分子エマルジョンの濃度、粘度、粒子径は、特に限定されないが、例えば、それぞれ20〜70%、10〜1000mPa・s、0.01〜5μmとするとよい。
次に、工程b)について説明する。工程b)では、上記で得た高分子エマルジョンに、液晶材料およびその他必要な材料を添加して得た原材料から、共重合体を含み、液晶微小粒子が分散した液晶−樹脂複合材料(液晶エマルジョン)を調製する。
液晶材料としては、ネマティック液晶、コレステリック液晶、スメクティック液晶等の公知の液晶を使用できるが、好ましくはネマティック液晶である。液晶材料の複屈折率Δnは0.08〜0.14の範囲にあることが好ましい。複屈折率Δnが0.08未満であると電圧開放時の遮蔽性が低下することがあり、複屈折率Δnが0.14を超えると電圧印加時の透明性が低下することがある。
液晶微小粒子を形成するためには、予め液晶材料を水中で攪拌して液晶微小粒子を形成し、これと工程a)で得たエマルジョンとを混合するとよい。これに代えて、液晶材料を高分子エマルジョンに直接投入し、攪拌して液晶微小粒子を形成してもかまわない。液晶微小粒子の形状および粒子径の均一化のため、乳化剤として界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、HLB8〜18、特にHLB10〜16の非イオン性界面活性剤がより好ましい。
上記における混合や攪拌は、ホモジナイザー、ホモミキサー、ディスパーサー、高圧乳化機、ブレンダー、コロイドミル、超音波乳化機等を用いて行えばよい。
こうして、液晶微小粒子が分散したエマルジョン(液晶エマルジョン)が調製される。
液晶微小粒子のメジアンD50は、1.5〜4.5μmの範囲とすることが好ましい。メジアンD50が4.5μmを超えると液晶微小粒子の単位質量当り表面積が低下して電圧開放時の遮蔽性が低下する。他方、メジアンD50が1.5μm未満であると液晶微小粒子の単位質量当り表面積は大きくなるが、これによる光の散乱の増加よりも可視域長波長側における透過および回折による効果が上回る。このため、結果として、やはり電圧開放時の遮蔽性が低下する。
所望の光学性能を得るためには液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアンだけでなく、粒子径分布も適切な範囲に調整することが望ましい。粒子径が大きな粒子の割合が増加すると可視域での散乱がほとんどなくなり、電圧開放状態における遮蔽性が低下する。したがって、液晶カプセル径の加積曲線における加積透過率が10%になる液晶カプセル径D10と、加積透過率が90%になる液晶カプセル径D90との比(D90/D10)が、D90/D10≦3×D50の範囲であることが好ましい。より好ましくは、D90/D10≦2.5×D50である。
液晶微小粒子のメジアンD50および粒子径分布は、攪拌の速度、時間を調整して制御することができる。なお、本明細書では、レーザー回折法により測定した値を液晶微小粒子の粒子径として採用する。
液晶エマルジョンに含まれる液晶材料の質量比率(液晶比率V1)は0.4〜0.9が好ましい。液晶比率V1は、エマルジョンの水分を除く、液晶材料、共重合体および(必要に応じて添加される)架橋剤等その他成分の合計質量に対する液晶材料の質量比率である。液晶比率V1は、液晶−樹脂複合体の光学特性および液晶微小粒子の機械的強度に影響する。液晶比率V1が0.4未満であると、液晶調光素子を作製したときに液晶微小粒子の量が不足して電圧開放時の遮蔽性が低下する。他方、液晶比率V1が0.9を超えると液晶材料に対する共重合体の比率が低下し、液晶微小粒子の形状の保持が困難となる。かかる観点から、液晶比率V1は、0.5以上がより好ましく、0.8以下としてもよい。
単量体Cおよびこれと反応しうる架橋剤の使用による共重合体への架橋構造の導入は、非イオン性親水基の導入とともに、単量体Aを主たる単量体とする共重合体を、液晶調光素子の樹脂マトリクスに適したものとするための有用な手段である。共重合体に架橋構造を導入すべき場合には、次の工程で導電膜付き基体上へと液晶エマルジョンを塗布等により配置する前に、液晶エマルジョンに架橋剤を添加するとよい。架橋剤としては、共重合体に含まれる官能基、特に単量体Cにより導入されたカルボキシル基および/またはアミノ基、と反応するものを選択すべきである。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等のエポキシ系化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシメチルシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシシラン系化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン系化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン系化合物;カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジド系化合物;セミカルバジド樹脂;ポリカルボジイミド系樹脂;テトラメチロールメタン−トリス(β−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス(β−アジリジニルプロピオナート)、メチレンビス[N−(1−アジリジニルカルボニル)−4−アニリン]、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−アジリジンカルボアミド)、N,N’−ヘキサアミノエチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系(エチレンイミノ基含有)化合物;アセトアセトキシ基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;ポリエチレンポリアミン;ポリエチレンイミン;ポリアミドポリアミン;ポリアミドポリ尿素;アルキル化ポリメチロールメラミン;グリオキザール;ブロックドイソシアネート等が挙げられる。
架橋剤の添加量は特に限定されないが、通常、単量体群100質量部に対し、20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
カルボキシル基と架橋剤との反応により形成される特徴的な構造を以下に例示する。ただし、以下はあくまでも例示であって架橋構造の種類を制限する趣旨ではない。カルボキシル基とエチレンイミノ基を有する架橋剤との反応により、下記式(2)に示す構造が形成される。
[化2]
−C(=O)−O−CH2CH2−NH− (2)
カルボキシル基とカルボジイミド基を有する架橋剤との反応により、下記式(3)に示す構造が形成される。
Figure 0005355879
カルボキシル基とエポキシ基を有する架橋剤との反応により、下記式(4)に示す構造が形成される。
[化4]
−C(=O)−O−CH2CH(−OH)− (4)
共重合体は、上記構造から選択される少なくとも1種の構造を含む架橋構造を有していてもよい。
工程c)では、液晶−樹脂複合材料となったエマルジョン(液晶エマルジョン)が導電膜付き基体の導電膜上に配置される。
導電膜付き基体の導電膜は、ITO(インジウム錫酸化物)、酸化錫に代表される透明導電膜とするとよい。表面に導電膜を形成する基体は、樹脂フィルム、ガラス板等の透明基体、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが好適である。導電膜の形成は、スパッタリング法、CVD(化学蒸着)法、印刷法等公知の方法により行うとよい。
液晶エマルジョンの導電膜上への配置は、ブレードナイフコーター、バーコーター、エアナイフコーター、マイクログラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、カーテンコーター、スピンコーター、スプレーコーター等の公知の装置を用いて塗布することにより行うことができる。
塗布された液晶エマルジョンは、余分の水分を除去するために、乾燥させるとよい。架橋剤を添加した場合には、乾燥とともに架橋構造が共重合体に導入される。エマルジョンの乾燥は、常温で行ってもよいし、加熱して促進してもかまわない。
架橋構造を導入すべき場合は、上記のように工程c)において液晶エマルジョン(液晶−樹脂複合材料)を架橋剤を含む状態で導電膜上に塗布し、工程c)以降において、架橋剤により共重合体に架橋構造を導入するとよい。この場合は、単量体群にカルボキシル基および/またはアミノ基である官能基を有する単量体Cをさらに含ませ、架橋剤として単量体Cに含まれる上記官能基と反応して架橋構造を形成しうるものを用いるとよい。
液晶エマルジョンを塗布して形成した液晶−樹脂複合体の膜厚は、液晶調光素子の透明性と遮蔽性とのバランスを考慮すると、10〜35μm、特に15〜25μmが好ましい。
工程d)では、導電膜上に形成された液晶−樹脂複合体上に、もう1枚の導電膜付き基板が配置される。こうして、液晶−樹脂複合体が2枚の導電膜付き基体の間にこれら導電膜に接した状態で挟持された液晶調光素子が製造される。
この工程で用いる導電膜付き基体も、工程c)で説明したものを用いるとよい。この基体は、液晶−樹脂複合体に貼り合わされ、もう1枚の導電膜付き基体および液晶−樹脂複合体と一体化する。導電膜付き基体と液晶−樹脂複合体とは、直接貼り合わせる、言い換えれば他の材料を介在させずに貼り合わせることが好ましい。
本発明では、共重合体のガラス転移温度を高すぎない範囲に設定するため、工程c)および工程d)を、常温近傍の温度、例えば20〜30℃の雰囲気下で実施することができる。
液晶調光素子の断面を図1に例示する。
図1に示した液晶調光素子30は、樹脂マトリクス3に液晶微小粒子2が分散してなる液晶−樹脂複合体10を備えている。この素子30では、2枚の導電膜付き基体6が液晶−樹脂複合体10を挟持している。導電膜付き基体6,6の導電膜5,5は、ともに液晶−樹脂複合体10に接するように配置されている。図示した状態では、導電膜5,5の間に電圧が印加されておらず、液晶微小粒子2を構成する液晶分子1が、ランダムに配向している。この電圧開放状態では、液晶調光素子30に入射する光は大きく散乱され、素子30を通して反対側を視認することができない。図示を省略する電源から導電膜5,5の間に電圧が供給されると、液晶分子1は電圧が印加されている方向に沿って配列する。この電圧印加状態では、液晶調光素子30に入射する光が受ける散乱が減少する。こうして、素子30を通して反対側が視認できるようになる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、以降、部および%はすべて質量基準である。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水55部、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテルサルフェートナトリウム塩(30%水溶液)1部を仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温した。次に、窒素雰囲気下にて過硫酸アンモニウムの10%水溶液2部を添加し、5分後よりアクリル酸ブチル60部、メタクリル酸ブチル35部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4部、アクリル酸1部、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル3部、イオン交換水40部の単量体等の混合物を滴下漏斗から4時間かけて滴下した。また、この混合物の添加開始と同時に、過硫酸アンモニウムの3%水溶液6部を4時間かけて滴下した。さらに85℃まで昇温して2時間攪拌した後、30℃まで冷却した。最後にアンモニア水とイオン交換水を添加してpHと濃度の調整を行なった。このようにして得られた高分子エマルジョンは不揮発分49.2%、粘度970mPa・s、pH8.2、粒子径0.19μmであった。
なお、高分子エマルジョンの不揮発分は恒温槽にて105℃で1時間後の蒸発残分を測定して算出、粘度はブルックフィールド型回転粘度計(BM型:東機産業製)にて23℃で0.5回転/秒(30rpm)の条件で測定、pHはpHメーター(F−22:堀場製作所製)にて室温で測定、粒子径は動的光散乱式粒度分布測定装置(FPAR−1000:大塚電子製)にて測定し、キュムラント法による解析結果の平均粒子径を用いた。
[重合例2]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分47.1%、粘度410mPa・s、pH7.8、粒子径0.17μmの高分子エマルジョンを得た。
[重合例3]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分48.0%、粘度520mPa・s、pH7.5、粒子径0.30μmの高分子エマルジョンを得た。
[重合例4]
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水55部、炭酸水素ナトリウム0.3部、リン酸水素二ナトリウム0.1部を仕込み、攪拌しながら75℃まで昇温した。次に、窒素雰囲気下にて過硫酸カリウムの10%水溶液2部を添加し、5分後よりメタクリル酸メチル30部、アクリル酸シクロヘキシル40部、アクリル酸2−エチルヘキシル27.5部、N−メチロールアクリルアミド2部、アクリル酸0.5部、ポリオキシエチレン分岐アルキル(C11〜13)エーテル(70%水溶液)2.9部、ビス(2‐エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩(75%水溶液)0.29部、イオン交換水40部の単量体等の混合物を滴下漏斗から4時間かけて滴下した。また、この混合物の添加開始と同時に、過硫酸アンモニウムの3%水溶液6部を4時間かけて滴下した。さらに80℃まで昇温して2時間攪拌した後、30℃まで冷却した。最後にアンモニア水とイオン交換水を添加してpHと濃度の調整を行なった。このようにして得られた高分子エマルジョンは不揮発分50.1%、粘度1650mPa・s、pH8.5、粒子径0.27μmであった。
[重合例5]
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、滴下漏斗を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水55部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル1部、炭酸水素ナトリウム0.5部を仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温した。次に、窒素雰囲気下にて2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドの10%水溶液2部を添加し、15分後よりアクリル酸ブチル53部、ジシクロペンタニルメタクリレート43部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、メタクリル酸1部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート1部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル3部、イオン交換水40部の単量体等の混合物を滴下漏斗から4時間かけて滴下した。また、この混合物の添加開始と同時に、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドの3%水溶液6部を5時間かけて滴下した。さらに75℃まで昇温して3時間攪拌した後、30℃まで冷却した。最後にアンモニア水とイオン交換水を添加してpHと濃度の調整を行なった。このようにして得られた高分子エマルジョンは不揮発分49.9%、粘度330mPa・s、pH7.6、粒子径1.20μmであった。
[重合例6]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分46.2%、粘度1100mPa・s、pH7.2、粒子径0.22μmの高分子エマルジョンを得た。
[比較重合例1]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分49.8%、粘度210mPa・s、pH8.5、粒子径0.31μmの高分子エマルジョンを得た。
[比較重合例2]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分50.0%、粘度120mPa・s、pH7.4、粒子径1.80μmの高分子エマルジョンを得た。
[比較重合例3]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分40.0%、粘度290mPa・s、pH5.2、粒子径0.19μmの高分子エマルジョンを得た。
[比較重合例4]
表1に示す単量体および界面活性剤に変更した以外は重合例1と同様に乳化重合を行ない、不揮発分46.9%、粘度630mPa・s、pH8.0、粒子径0.20μmの高分子エマルジョンを得た。
重合例1〜6、比較重合例1〜4および比較用ウレタンエマルジョンのガラス転移温度(Tg)の測定は、まず、約3gの高分子エマルジョンを直径5cmのテフロン(登録商標)製シャーレに入れ105℃で3時間乾燥させてフィルム状の試料とし、これを厚さ約0.05mm、内径約5mm、高さ約5mmの円筒形のアルミパンに約10mg秤量して測定用試料とし、示差走査熱量計(DSC6220:エスエスアイ・ナノテクノロジー製)にて昇温速度10℃/分で−110℃から+250℃の温度で測定した。測定結果は表1に示した。
次に、上記重合例1〜6で得られた高分子エマルジョン、比較重合例1〜4で得られた高分子エマルジョンおよび比較用ウレタンエマルジョンを用い、液晶エマルジョン(液晶−樹脂複合材料)および液晶調光素子を作製した。
[実施例1]
上記重合例1で得られた高分子エマルジョンを水で不揮発分40%に希釈し、この希釈した高分子エマルジョン100部に対して、ネマティック液晶(JM1000XX(複屈折率Δn=0.132):チッソ製)64部を添加した。このエマルジョンをエクセルオートホモジナイザー(日本精機製)にて回転数133.3回転/秒(8000rpm)で10分間攪拌し、液晶エマルジョンを得た。この液晶エマルジョンについて、液晶微小粒子(液晶カプセル)の粒子径をレーザー回折式粒度分布測定器(SALD−1100:島津製作所製)で測定した結果、液晶カプセルのメジアン径D50は2.5μmであった。
なお、SALD−1100を用いた粒度分布の測定は、測定範囲:0.1〜45μm(A1)、対応屈折率:1.6〜0.1、サンプリング回数:5回、計算方法:D(Direct)として実施した。
続いて架橋剤のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。上記で得た液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに上記の架橋剤水溶液を添加した。架橋剤水溶液の添加割合は、液晶エマルジョンに含まれる高分子エマルジョン100部(水で希釈した状態の高分子エマルジョン100部)に対して架橋剤水溶液4.8部とした。こうして得た膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。
次に、液晶エマルジョンをドクターブレードコーターにてITO膜付きPETフィルム上に塗布し、乾燥して、PETフィルム上に液晶−樹脂複合体を形成した。この液晶−樹脂複合体が形成されたPETフィルムと、もう一枚のITO付きPETフィルムとを貼り合わせて液晶調光素子を得た。液晶エマルジョンの塗布、および液晶−樹脂複合体へのPETフィルムの貼り付けはすべて22℃程度の雰囲気下で実施した。
液晶−樹脂複合体の厚みは液晶調光素子の厚みをマイクロメータ(ミツトヨ製)で測定し、この測定値から2枚のPETフィルムの厚みを差し引いて求めた。液晶−樹脂複合体の厚みは20μmであった。液晶微小粒子(液晶カプセル)の形成状態は、リアルサーフレスビュー顕微鏡(VE−7800:キーエンス製)にて観察した。その結果、液晶カプセルは良好な球状であることが確認された。
こうして得た液晶調光素子について、電圧開放状態および電圧印加状態におけるヘイズ率を、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機社製)を用いて測定した。ここで、印加電圧は電圧が100V、周波数が50Hzのサイン波形の電圧である。このヘイズ率が大きいほど遮蔽性が高く(透明性が低く)、ヘイズ率が小さいほど透過性が高い(遮蔽性が低い)。この液晶調光素子の電圧開放状態のヘイズ率は93.8%で、電圧印加状態のヘイズ率は6.5%であった。
[実施例2]
実施例1で用いた架橋剤の代わりに表2に示した架橋剤を用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.3μmであった。架橋剤のN,N’−ヘキサアミノエチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)を水に溶解して、10%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で撹拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を32部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は94.2%、電圧印加状態におけるヘイズ率は7.0%であった。
[実施例3]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに重合例2の高分子エマルジョンを用い、表2に示した架橋剤を下記のとおり用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.7μmであった。架橋剤のアジリジン系化合物を水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を3.2部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は94.1%、電圧印加状態におけるヘイズ率は6.8%であった。
[実施例4]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに重合例3の高分子エマルジョンを用い、表2に示した架橋剤を下記のとおり用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.5μmであった。架橋剤のアジピン酸ジヒドラジドを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を0.8部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は94.4%、電圧印加状態におけるヘイズ率は7.5%であった。
[実施例5]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに重合例4の高分子エマルジョンを用い、架橋剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.8μmであった。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は93.4%、電圧印加状態におけるヘイズ率は8.1%であった。
[実施例6]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに重合例5の高分子エマルジョンを用い、架橋剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は3.0μmであった。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は93.1%、電圧印加状態におけるヘイズ率は8.3%であった。
[実施例7]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに重合例6の高分子エマルジョンを用い、表2に示した架橋剤を下記のとおり用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.5μmであった。架橋剤のポリカルボジイミド系樹脂を水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を2.4部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶カプセルの形成状態は良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は94.0%、電圧印加状態におけるヘイズ率は8.5%であった。
[比較例1]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに比較重合例1の高分子エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして液晶エマルジョンを作製したが、液晶微小粒子(液晶カプセル)の形成状態が不良のため粒子径の測定は不能であった。架橋剤のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を4.8部の割合で添加した。得られた膜形成液の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmであったが、液晶カプセルの状態は著しく不良で、球状の液晶カプセルを全く形成していなかった。このため、液晶調光素子として適用できなかった。
[比較例2]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに比較重合例2の高分子エマルジョンを用い、架橋剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして液晶エマルジョンを作製したが、液晶微小粒子(液晶カプセル)の形成状態が不良のため粒子径の測定は不能であった。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製したが、PETフィルム上に塗布し乾燥した段階で、均一な被膜が形成されず、液晶−樹脂複合体自体が得られなかった。具体的には、液晶カプセルが樹脂マトリクスに保持されず、被膜表面に析出する状態となった。これは、樹脂マトリクス中の共重合体のガラス転移温度が高すぎるためであると考えられる。
[比較例3]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに比較重合例3の高分子エマルジョンを用い、表2に示した架橋剤を下記のとおり用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は4.6μmであった。架橋剤のアジリジン系化合物を水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して、架橋剤水溶液を3.2部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製したが、PETフィルム上に塗布し乾燥した段階で、比較例2と同様、均一な被膜が形成されず、液晶−樹脂複合体自体が得られなかった。
[比較例4]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりに比較重合例4の高分子エマルジョンを用い、表2に示した架橋剤を下記のとおり用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶−樹脂複合体および液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は6.5μmであった。架橋剤のアジリジン系化合物を水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。不揮発分40%となるように希釈した高分子エマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を3.2部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmであった。ただし、液晶カプセルの状態は良好ではなく、球状の液晶カプセルが十分に形成されてはいなかった。得られた液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は60.1%、電圧印加状態におけるヘイズ率は21.0%であった。
[比較例5]
実施例1で用いた重合例1の高分子エマルジョンの代わりにポリウレタンエマルジョンを用いた以外は実施例1と同様の方法により、液晶−樹脂複合体および液晶調光素子を作製した。
実施例1と同様にして作製した液晶エマルジョンにおける液晶微小粒子(液晶カプセル)のメジアン径D50は2.7μmであった。架橋剤のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。40%のポリウレタンエマルジョン100部を含む液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、この液晶エマルジョンに対して架橋剤水溶液を4.8部の割合で添加した。得られた膜形成用の液晶エマルジョンにおける液晶比率V1は0.60であった。その後、実施例1と同様に液晶調光素子を作製した。得られた液晶−樹脂複合体の厚みは20μmで、液晶微小粒子の形成状態は比較的良好な球状であることが確認された。液晶調光素子の電圧開放状態におけるヘイズ率は92.7%、電圧印加状態におけるヘイズ率は13.9%であった。
Figure 0005355879
Figure 0005355879
Figure 0005355879
表1〜3における略号の意味は以下のとおりである。
[単量体A]
BA:アクリル酸ブチル、2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、MMA:メタクリル酸メチル、BMA:メタクリル酸ブチル、CHA:シクロヘキシルアクリレート、DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート、IBA:イソボロニルアクリレート
[単量体B]
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、AAm:アクリルアミド、DAAM:ダイアセトンアクリルアミド、N-MAM:N−メチロールアクリルアミド
[単量体C]
AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、MaA:マレイン酸
[単量体D]
GMA:グリシジルメタクリレート、DMAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、TMSMA:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
[非イオン性界面活性剤]
DE:ポリオキシエチレンイソデシルエーテル(ノイゲンSD-300(HLB=17.9):第一工業製薬製)、TDE:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(ノイゲンTDS-500F(HLB=18.3):第一工業製薬製)、AE:ポリオキシエチレン分岐アルキル(C11〜C13)エーテル(エマルゲン1118S-70(HLB=16.4、70%水溶液):花王製))、ER:反応性非イオン界面活性剤(アデカリアソープER-20:ADEKA製)、LE:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ノイゲンNL-80(HLB=16.1):第一工業製薬製)
[アニオン性界面活性剤]
DASS:ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(ペレックスOT−P(75%水溶液):花王製))、DES:ポリオキシアルキレンイソデシルエーテルサルフェートナトリウム(ハイテノールXJ−630S(30%水溶液):第一工業製薬製))、TDES:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルサルフェートアンモニウム(ハイテノールTM−07:第一工業製薬製)、KH:反応性アニオン界面活性剤(アクアロンKH−10:第一工業製薬製)
[架橋剤]
PGDG:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX-920:ナガセケムテックス製)、HDU:N,N’−ヘキサアミノエチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)(相互薬工社製)、PAC:アジリジン系化合物(CX-100:DSM NeoResins社製)、ADH:アジピン酸ジヒドラジド(ADH:日本ファインケム製)、CDI:ポリカルボジイミド系樹脂(カルボジライトV-02:日清紡製)
[カプセルの状態および外観]
◎:優、○:良、△:不可、×:評価に値せず
実施例1〜7、特に実施例1〜4の液晶調光素子は、電圧開放状態におけるヘイズ率が高く遮蔽性に優れているとともに、電圧印加状態におけるヘイズ率が低く透明性に優れていた。
液晶調光素子の一例を示す部分断面図である。
符号の説明
1 液晶分子
2 液晶微小粒子
3 樹脂マトリクス
5 導電膜
6 導電膜付き基体
10 液晶−樹脂複合体
30 液晶調光素子

Claims (11)

  1. 導電膜が対向するように配置された2枚の導電膜付き基体と、前記2枚の導電膜付き基体の間に挟持された液晶−樹脂複合体とを備え、前記液晶−樹脂複合体が、樹脂マトリクスと、前記樹脂マトリクスに分散した液晶微小粒子とを有する液晶調光素子の製造方法であって、
    下記式(1)により示される単量体Aと、非イオン性親水基および炭素−炭素二重結合を有する単量体Bとを含み、前記単量体Aを主たる単量体とする単量体群を乳化重合して、ガラス転移温度が−50℃〜20℃の範囲にある共重合体を含むエマルジョンを得る工程a)と、
    前記エマルジョンおよび液晶材料を含む原材料から、前記共重合体を含み、液晶微小粒子が分散した液晶−樹脂複合材料を調製する工程b)と、
    前記液晶−樹脂複合材料を導電膜付き基体の導電膜上に塗布して、前記導電膜上に、樹脂マトリクスに液晶微小粒子が分散した液晶−樹脂複合体を形成する工程c)と、
    前記導電膜付き基体とは別の導電膜付き基体を、前記液晶−樹脂複合体が2枚の導電膜付き基体の間に挟持され、かつその導電膜が前記液晶−樹脂複合体に接するように、前記液晶−樹脂複合体に接合する工程d)と、
    を含む液晶調光素子の製造方法。
    Figure 0005355879
    ここで、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、直鎖もしくは分岐を有する炭素数1〜20の鎖状アルキル基、または炭素数5〜20の環状アルキル基である。
  2. 前記単量体群が、カルボキシル基および/またはアミノ基と、炭素−炭素二重結合と、を有する単量体Cをさらに含む請求項1に記載の液晶調光素子の製造方法。
    ただし、前記アミノ基は、第1級アミノ基または第2級アミノ基である。
  3. 前記単量体群が、
    単量体A:75〜99質量%、
    単量体B:0.1〜15質量%、
    単量体C:0.1〜15質量%、および
    単量体D:0〜10質量%、
    からなる請求項2に記載の液晶調光素子の製造方法。
    ただし、単量体Dは、単量体A〜Cのいずれにも該当しない単量体である。
  4. 前記単量体Bにおける前記非イオン性親水基が、アミド基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の液晶調光素子の製造方法。
  5. 前記単量体群が、前記単量体Aとして、
    前記R1が水素原子であり、前記R2が直鎖または分岐を有する炭素数2〜8の鎖状アルキル基である単量体A11、および
    前記R1がメチル基であり、前記R2が直鎖または分岐を有する炭素数1〜4の鎖状アルキル基である単量体A12
    を含む請求項1に記載の液晶調光素子の製造方法。
  6. 前記工程c)において前記液晶−樹脂複合材料を前記導電膜上に架橋剤を含む状態で塗布し、
    前記工程c)以降において、前記架橋剤により前記共重合体に架橋構造を導入する、
    請求項1に記載の液晶調光素子の製造方法。
  7. 前記単量体群がカルボキシル基および/またはアミノ基である官能基と、炭素−炭素二重結合と、を有する単量体Cをさらに含み、
    前記架橋剤が前記単量体Cに含まれる前記官能基と反応して架橋構造を形成しうるものである、
    請求項6に記載の液晶調光素子の製造方法。
    ただし、前記アミノ基は、第1級アミノ基または第2級アミノ基である。
  8. 導電膜が対向するように配置された2枚の導電膜付き基体と、前記2枚の導電膜付き基体の間に配置された液晶−樹脂複合体とを備え、前記液晶−樹脂複合体が、樹脂マトリクスと、前記樹脂マトリクスに分散した液晶微小粒子と、界面活性剤とを有する液晶調光素子であって、
    前記樹脂マトリクスが、下記式(1)により示される単量体Aと、非イオン性親水基および炭素−炭素二重結合を有する単量体Bとを含み、前記単量体Aを主たる単量体とする単量体群の共重合体であってガラス転移温度が−50℃〜20℃の範囲にある共重合体を含む、
    液晶調光素子。
    Figure 0005355879
    ここで、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、直鎖もしくは分岐を有する炭素数1〜20の鎖状アルキル基、または炭素数5〜20の環状アルキル基である。
  9. 導電膜が対向するように配置された2枚の導電膜付き基体と、前記2枚の導電膜付き基体の間に配置された液晶−樹脂複合体とを備え、前記液晶−樹脂複合体が、樹脂マトリクスと、前記樹脂マトリクスに分散した液晶微小粒子と、界面活性剤とを有する液晶調光素子であって、
    前記樹脂マトリクスが、
    1)下記式(1)により示される単量体を主たる単量体とし、
    2)非イオン性親水基を有し、
    3)ガラス転移温度が−50℃〜20℃の範囲にある共重合体に架橋構造が導入されてなる
    共重合体を含む、液晶調光素子。
    Figure 0005355879
    ここで、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、直鎖もしくは分岐を有する炭素数1〜20の鎖状アルキル基、または炭素数5〜20の環状アルキル基である。
  10. 前記非イオン性親水基が、アミド基および/またはヒドロキシル基であり、
    前記式(1)により示される前記単量体が、
    前記R1が水素原子であり、前記R2が直鎖または分岐を有する炭素数2〜8の鎖状アルキル基である単量体A11、および
    前記R1がメチル基であり、前記R2が直鎖または分岐を有する炭素数1〜4の鎖状アルキル基である単量体A12、を含む、
    請求項9に記載の液晶調光素子。
  11. 前記架橋構造が、カルボキシル基、アミノ基およびヒドロキシル基である官能基と架橋剤とが反応して形成されたものである、請求項9に記載の液晶調光素子。
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