JP2001247634A - 可逆記録表示媒体、液晶/高分子複合型記録表示層及びその製法、並びにそれに用いられる樹脂 - Google Patents

可逆記録表示媒体、液晶/高分子複合型記録表示層及びその製法、並びにそれに用いられる樹脂

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JP2001247634A
JP2001247634A JP2000059437A JP2000059437A JP2001247634A JP 2001247634 A JP2001247634 A JP 2001247634A JP 2000059437 A JP2000059437 A JP 2000059437A JP 2000059437 A JP2000059437 A JP 2000059437A JP 2001247634 A JP2001247634 A JP 2001247634A
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liquid crystal
resin
polymer composite
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JP2000059437A
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Katsuhiko Sumida
克彦 隅田
Kiyotaka Ikami
清隆 井神
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶/高分子複合型記録表示層の強度や耐熱
性に優れ、更には記録表示層の基板や保護層に対する密
着性、更には低温或は高温領域においてもコントラスト
の低下や消失が少ない可逆記録表示用樹脂を提供する。 【解決手段】 可逆記録表示媒体用の液晶/高分子複合
型表示記録層に用いられる樹脂に、加水分解性シリル基
を有する重合性不飽和単量体(A)と、少なくとも1種
類のカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体(B)
と、その他重合性単量体(C)とを重合して得られる樹
脂を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界や熱に対して
応答性を有し、且つ、情報の表示や記録を行うことがで
きる液晶/高分子複合型記録表示層の構成に有用な樹
脂、該樹脂を用いた液晶/高分子複合型記録表示層、該
記録表示層の製造方法、及び該記録表示層を用いた記録
表示媒体に関するものである。本発明のかかる記録表示
媒体は、書き換え可能なカード、ディスプレイ、その他
の記録表示媒体等に幅広く使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子は、液晶としてネマ
チック液晶を用いたものであって、低消費電力、軽量及
び薄型等の特徴を有しており、文字や画像の表示媒体と
して、腕時計、電卓、パソコン、テレビ等に幅広く用い
られている。一般的なものは、TN(twist nematic)
−及びSTN(super twist nematic)−液晶表示素子
とよばれるもので、透明電極を有する液晶セル中にネマ
チック液晶を封入し、両面に偏光板を設けたものから構
成されているが、偏光板を用いているため、視野角が狭
く、輝度が不足しているので、高消費電力のバックライ
トを必要とし、又、セル厚を均一にする必要から、大面
積化が困難であり、しかも構造が複雑で、製造コストが
高い等の問題がある。このような問題点を解決する記録
表示媒体として、スメクチック等の液晶を樹脂マトリッ
クス中に存在させた液晶/高分子複合型表示記録層の応
用が期待され、その研究開発が活発化してきた。
【0003】液晶/高分子複合記録表示層を用いた記録
表示媒体及びその製造方法が多数開示されているが、そ
の一つとして、液晶をポリビニルアルコール(PVA)
水溶液中に分散したエマルションから記録表示媒体を作
製する方法(特公平3−52843号公報)が挙げられ
るが、耐水性などに問題がある。耐水性改良のために、
PVAに架橋剤を添加する方法も検討されているが、架
橋による樹脂溶液粘度の経時変化など、保存安定性やハ
ンドリング性に問題がある。一方、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)等の非水溶性の樹脂を使用する方法
も検討されているが、耐熱性が悪いので、繰返し記録を
すると樹脂のミクロ・ブラウン運動が大きくなり、液晶
/高分子複合記録表示層の構造に乱れが生じて、コント
ラストなど記録表示特性が低下するという問題や、水系
ではなく溶剤系で樹脂材料と液晶を混合分散すると、地
かぶり現象が起き易かったり、均一な分散が難しいとい
う問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記従来技術の耐水性、繰り返し記録特性(耐熱
性、層強度、コントラスト劣化)の問題点を解決し、液
晶/高分子複合型記録表示層を使用する記録表示媒体に
おいて、優れたコントラスト、視認性、耐湿性及び耐熱
性を有し、カード等の如く情報の書き換え可能な表示や
記録を行うことができる記録表示媒体を提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の問題点を解決するため鋭意検討した結果、液晶/高分
子複合型表示記録層のマトリックス樹脂として、特定の
樹脂を使用することによって、かかる問題点を解決しう
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第1は、可逆記録表示媒
体用の液晶/高分子複合型表示記録層(ここで、液晶は
二色性色素を含んでいてもよい)に用いられる樹脂であ
って、該樹脂が、加水分解性シリル基を有する重合性不
飽和単量体(A)、少なくとも1種類のカルボキシル基
を有する重合性不飽和単量体(B)及びその他重合性単
量体(C)とを重合して得られることを特徴とする液晶
/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明の
第2は、樹脂が、アクリル共重合体であることを特徴と
する本発明の第1に記載の液晶/高分子複合型記録表示
層用樹脂を提供する。本発明の第3は、樹脂のガラス転
移点(Tg)が、−40〜85℃であることを特徴とす
る本発明の第1又は2の何れかに記載の液晶/高分子複
合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明の第4は、樹
脂が、少なくとも1種類のカルボキシル基を有する重合
性不飽和単量体(B)及びその他重合性単量体(C)か
らなる別の樹脂を、更に含むことを特徴とする本発明の
第1〜3の何れかに記載の液晶/高分子複合型記録表示
層用樹脂を提供する。本発明の第5は、樹脂が、アニオ
ン性又はカチオン性であって水系エマルション状態にな
ることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかに記載
の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本
発明の第6は、樹脂が、液晶と実質的に非相溶性で相分
離構造を形成し、且つ、二色性色素によって実質的に染
色されないことを特徴とする本発明の第1〜5の何れか
に記載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供す
る。本発明の第7は、本発明の第1〜6の何れかに記載
の樹脂中に、液晶を分散させてなる液晶/高分子複合型
記録表示層を提供する。本発明の第8は、液晶が、スメ
クチック液晶であることを特徴とする本発明の第7に記
載の液晶/高分子複合型記録表示層を提供する。本発明
の第9は、液晶/樹脂の配合比が、10/90〜60/
40wt%であることを特徴とする本発明の第7〜8の
何れかに記載の液晶/高分子複合型記録表示層を提供す
る。本発明の第10は、液晶が、二色性色素を含むこと
を特徴とする本発明の第7〜9の何れかに記載の液晶/
高分子複合型記録表示層を提供する。本発明の第11
は、本発明の第10記載の液晶/高分子複合型表示記録
層を導電性基板の上に設けてなる可逆記録表示媒体を提
供する。本発明の第12は、本発明の第1〜6に記載の
樹脂の水エマルションと、本発明の第8に記載の液晶
と、必要に応じて本発明の第10に記載の二色性色素と
を水に分散させて得られた液を導電性基板上に塗布した
後、乾燥することによる液晶/高分子複合型記録表示層
の製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。図1は、本発明の可逆記録
表示媒体の構成図である。1は樹脂マトリックス、2は
液晶粒子、3は液晶に添加された二色性色素、4は電極
層、5は基材、6は基材5の上に電極層4が設けられた
導電性基板を示す。
【0008】本発明の液晶/高分子複合型記録表示層
(記録表示層と略すこともある。)のマトリックスに使
用される樹脂は、加水分解性シリル基を有する重合性不
飽和単量体(A)と、少なくとも1種類のカルボキシル
基を有する重合性不飽和単量体(B)と、その他重合性
単量体(C)とを重合して得られることを特徴としてい
る。また、本発明で使用される樹脂は、水分散性樹脂で
あり、液晶と実質的に非相容で相分離構造を形成し、且
つ、二色性色素によって実質的に染色されないことを特
徴としている。
【0009】樹脂が加水分解性シリル基を有していれ
ば、水エマルション樹脂を塗布し、乾燥して記録表示層
を形成した時に、架橋によって、機械的強度、耐熱性、
耐湿性の高い層ができるので、通常の使用条件ではミク
ロ・ブラウン運動が非常に小さいために、安定した記録
表示特性が得られる。また、水分散樹脂とすることで、
液晶との混合分散性が良くなったり、相溶性がないので
地かぶり現象の低減ができるとともに、一液でも保存安
定性がよく、ハンドリング性もよい架橋性の樹脂とする
ことができる。上記樹脂は、液晶及び二色性色素と相溶
性がなく、透明性及び被膜形成性に優れた樹脂である。
又、該樹脂は、耐湿性及び熱的安定性に優れ、液晶との
相溶性がないため、経時安定性にも優れている。なお、
本発明においては「アクリル系」単量体と「メタクリル
系」単量体を「(メタ)アクリル系」単量体と総称す
る。
【0010】加水分解性シリル基を有する重合性不飽和
単量体 加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体(A)
としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキ
シジメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン、ビ
ニルイソブトキシジメチルシラン、ビニルジメトキシメ
チルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルジフェニ
ルエトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、γ−
(ビニルフェニルアミノプロピル)トリメトキシシラ
ン、γ−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキ
シシラン、γ−(ビニルフェニルアミノプロピル)トリ
エトキシシラン、γ−(ビニルベンジルアミノプロピ
ル)トリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、
ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(β−メトキシ
エトキシ)シラン、ビニルジアセトキシメチルシラン、
ビニルトリアセトキシシラン、ビニルビス(ジメチルア
ミノ)メチルシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビ
ニルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、
ビニルメチルフェニルクロロシラン、アリルトリエトキ
シシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラ
ン、アリルジアセトキシメチルシラン、アリルトリアセ
トキシシラン、アリルビス(ジメチルアミノ)メチルシ
ラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルク
ロロシラン、アリルトリクロロシラン、メタリルフェニ
ルジクロロシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルト
リメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルト
リエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
などが例示できる。好ましい加水分解性シリル基を有す
る重合性不飽和単量体(A)としては、アルコキシシリ
ル基(例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基な
どのアルコキシ(=C1−4)シリル基など)を有する
ものである。このような加水分解性シリル基を有する重
合性不飽和単量体(A)は単独または2種以上組合せて
用いることができる。
【0011】カルボキシル基を有する単量体 カルボキシル基を有する単量体(B)としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などの遊離のカル
ボキシル基又は酸無水物基を有する単量体、およびこれ
らの塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩、アミン塩など);不飽和多価カル
ボン酸又はその酸無水物と炭素数1〜20程度の直鎖又
は分岐鎖アルコールとのハーフエステル(例えば、マレ
イン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸
モノブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ
2−エチルヘキシルなど);水酸基含有単量体(例え
ば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4
−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シアルキル(=C2−6)エステルなど)が挙げられ
る。好ましいものとしては、アクリル酸、メタクリル酸
等が挙げられる。このようなカルボキシル基を有する単
量体は、単独または2種以上組合せて用いることができ
る。
【0012】その他重合性単量体 その他重合性単量体(C)としては、例えば、(メタ)
アクリル酸の、アルキルエステル[例えば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルな
どの(メタ)アクリル酸アルキル(=C1−18)エス
テルなど]、シクロアルキルエステル[例えば、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシルなど]、アリールエステ
ル[例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラ
ルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル
など];芳香族ビニル類[例えば、スチレン、ビニルト
ルエン、α−メチルスチレンなど];ビニルエステル類
[例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチ
ック酸ビニルなど];アリルエステル類[例えば、酢酸
アリルなど];ハロゲン含有単量体[例えば、塩化ビニ
リデン、塩化ビニルなど];シアン化ビニル[例えば、
(メタ)アクリロニトリルなど];オレフィン類[例え
ば、エチレン、プロピレンなど]などが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。好ましいものとして
は、(メタ)アクリル酸アルキル(=C1−18)エス
テル[特にアクリル酸アルキル(=C2−10)エステ
ルやメタクリル酸アルキル(=C1−6)エステル]、
芳香族ビニル類[特にスチレン]、ビニルエステル類
[特に酢酸ビニル]が挙げられる。その他重合性単量体
(C)も単独で又は二種以上を組み合わせて使用でき
る。
【0013】カチオン性単量体 通常、重合性単量体(A)、(B)及び(C)を重合し
て得られる樹脂のイオン性は、カルボキシル基を有する
ためにアニオン性であるが、カチオン性にする場合に
は、その他重合性単量体(C)として、カチオン性の重
合性単量体を併用することもできる。例えば、第3級ア
ミノ基又はその塩基を有する種々の単量体のほか、第4
級アンモニウム塩基を有する又は第4級アンモニウム塩
基を形成可能な種々の単量体が使用できる。
【0014】カチオン性単量体としては、例えば、ジア
ルキル(=C1−4)アミノ−アルキル(=C2−3
(メタ)アクリルアミド又はその塩[例えば、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド又はこれらの塩など]、ジアル
キル(=C1−4)アミノ−アルキル(=C2−3
(メタ)アクリレート又はその塩[例えば、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)ア
クリレート又はこれらの塩など]、ジアルキル(=C
1−4)アミノ−アルキル(=C2−3)基置換芳香族
ビニル又はその塩[例えば、4-(2-ジメチルアミノエチ
ル)スチレン、4-(2-ジメチルアミノプロピル)スチレ
ンなどやこれらの塩など]、窒素含有複素環式単量体又
はその塩[例えば、ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルピロリドン又はこれらの塩など]などが含ま
れる。
【0015】上記カチオン性単量体の塩としては、ハロ
ゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩な
ど)、硫酸塩、アルキル硫酸塩(例えば、メチル硫酸
塩、エチル硫酸塩など)、アルキルスルホン酸塩、アリ
ールスルホン酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩な
ど)などが例示できる。なお、第3級アミノ基にアルキ
ル化剤(例えば、エピクロルヒドリンや塩化メチル、ベ
ンジルクロライドなど)を反応させることにより第4級
アンモニウム塩基を生成させてもよい。
【0016】本発明では、前記記録表示層用樹脂には、
必要に応じて、上記重合性不飽和単量体(B)、その他
重合性単量体(C)及び任意成分としてのカチオン性単
量体からなる別の樹脂を、更に配合することもできる。
別の樹脂の重量平均分子量は、後述する記録表示層用樹
脂の分子量の範囲である。前記樹脂に対する別の樹脂の
重量配合比率は、前記樹脂100に対して40以下、好
ましくは30以下である。
【0017】記録表示層用樹脂の調製 本発明の液晶/高分子複合型記録表示層に用いられる樹
脂は、前記の重合性単量体類で構成された共重合体であ
り、その重合様式については特に制限されない。例え
ば、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共
重合体などであってもよい。共重合体の重量平均分子量
は、例えば、0.2×104〜100×104、好ましく
は1×104〜50×104程度の範囲である。重量平均
分子量が、0.2×104未満では樹脂強度が低くマト
リックス樹脂として好ましくなく、100×104を超
えると粘度が高くなりすぎて生産性が悪くなる。
【0018】共重合体のガラス転移点は、成膜性などを
損なわない範囲で選択でき、例えば、−40〜85℃、
好ましくは−15〜45℃、さらに好ましくは0〜30
℃程度である。ガラス転移点が、−40℃未満ではべた
つきが大きくなりすぎ、85℃を超えると造膜性が悪く
なる。このようなガラス転移点の重合体は、加水分解性
シリル基含有重合性単量体(A)、カルボキシル基含有
重合性単量体(B)およびその他の単量体(C)を適当
に組み合わせることにより調製できる。
【0019】前記単量体は、通常、ハードモノマー[例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、スチレンなどのガラ
ス転移点が80〜120℃(特に90〜105℃)程度
の単独重合体を形成する単量体]とソフトモノマー[例
えば、アクリル酸アルキル(=C2−10)エステルな
どのガラス転移点が−85〜−10℃(特に−85〜−
20℃)程度の単独重合体を形成する単量体]を組み合
わせて共重合体のガラス転移点が上記範囲になるように
構成するのが好ましい。
【0020】共重合体(100wt%として)に対す
る、加水分解性シリル基を有する単量体(A)の含有量
は、0.2〜40wt%、好ましくは0.4〜20wt
%、さらに好ましくは0.6〜10wt%である。カル
ボキシル基を有する単量体(B)の含有量は、2〜30
wt%、好ましくは3〜15wt%、さらに好ましくは
4〜10wt%である。その他単量体(C)は残部を占
める。
【0021】加水分解性シリル基を有する単量体(A)
の含有量が0.2wt%未満の場合には、形成塗膜の耐
水性、耐熱性、強度が低下し、40wt%を超えると水
分散樹脂の重合安定性、保存安定性が低下してしまう場
合がある。カルボキシル基を有する単量体(B)の含有
量が3wt%未満であるとエマルション化する時に凝集
が生じ、30wt%を超えると形成塗膜の耐水性が悪く
なる場合がある。得られた共重合体の形態は、有機溶媒
溶液、水溶液などの溶液であってもよいが、通常、エマ
ルション(特に水性エマルション)の形態である。水性
エマルションは、慣用の方法により容易に得ることがで
きる。
【0022】液晶 次に、本発明で使用する液晶としては、従来公知のいず
れのスメクチック液晶でも使用することができるが、表
示画像のコントラストが高く、低温或は高温領域におい
てもコントラストの低下や消失が少ない記録表示媒体を
得るには、下記一般式(I)〜(VII)の液晶を使用す
ることが好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】(式中、R7は炭素数8〜18のアルキル
基又はアルコキシ基を示す。R8〜R16は、炭素数2〜
18のアルキル基またはアルコキシ基を、又、Xはハロ
ゲン原子を示す。)
【0025】一般式(I)で表わされる化合物の少なく
とも1種と、上記一般式(II)〜(VII)で表わされる
化合物の少なくとも1種を含有するスメクチック液晶が
挙げられる。これらの液晶のうち、前記一般式(I)で
表される炭素数が8〜18の4−アルキル−4’−シア
ノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビフェ
ニルは、常温付近で安定なスメクチック液晶相を示し、
又、記録表示媒体とした場合のコントラストも良好であ
る。これらの化合物は、いずれか1種を用いてもよい
が、より広い温度範囲で、安定なスメクチック液晶相を
示すようにするためには、これらの化合物から2種以上
を適宜選択して組み合わせて用いるとよい。
【0026】又、炭素数7以下の4−アルキル−4’−
シアノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビ
フェニル化合物は、夫々単独ではスメクチック液晶相は
示さないが、一般式(I)で表される炭素数8〜18の
化合物をこれらの化合物に添加することによって、スメ
クチック液晶相を呈する温度範囲に調整することがで
き、又、より安定なスメクチック液晶相とすることがで
きる。これらの化合物は既知であり(例えば、艸林著
「液晶材料」p229、講談社1991年発行)、例え
ば、4−アルキル−4’ブロモビニルフェニル或は4−
アルコキシ−4’−ブロモビフェニルをシアン化銅と反
応させることにより、対応する4−アルキル−4’−シ
アノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビフ
ェニルを得ることができる。これらのある種のものは市
販されている。
【0027】しかし、前記一般式(I)で表される化合
物として、スメクチック液晶相−ネマティック液晶相
間、或はスメクチック液晶相−アイソトロピック相間の
相転移温度が高いものを用いると融点も高くなり、記録
表示媒体を低温状態に置いた場合、液晶の配向が乱れて
記録表示部のコントラストの低下や消失等が生じる。従
って、本発明者らは、融点を低く保ちながら、このスメ
クチック液晶相−ネマティック液晶相間、或はスメクチ
ック液晶相−アイソトロピック相間の相転移温度を高温
化するための研究を鋭意進めた結果、前記一般式(I)
で表される化合物に、前記一般式(II)〜(VII)で表
される化合物のいずれか1種を添加すると良いことを見
出した。
【0028】これらの一般式(II)〜(VII)で表され
る化合物は、スメクチック液晶相−ネマティック液晶
相、或はスメクチック液晶相−アイソトロピック相間の
相転移温度を高温化するものであり、この相転移温度が
高いほど高温での記録保存性がよく、60℃以上、特に
60〜130℃が好ましい。これを満たすように前記の
各々の化合物のなかから、炭素数2〜18のいずれか1
種、或は2種以上を適宜選択して組み合わせて用いると
よい。
【0029】前記一般式(II)〜(VII)で表される化
合物は、前記一般式(I)で表される化合物100重量
部に対して10〜300重量部含有させることが好まし
く、特には20〜240重量部とすることが好ましい。
一般式(II)〜(VII)で表される化合物が、10重量
部未満ではコントラストが低く、300重量部を超える
と低温特性が悪くなる。又、特には、前記一般式(I)
で表される化合物と一般式(II)で表される化合物と
を、重量比で80:20〜30:70、特に好ましくは
60:40〜40:60で混合したもの100重量部に
対して、一般式(IV)〜(VII)で表される化合物から
選択される1種又は2種以上を1〜200重量部、好ま
しくは5〜100重量部含有させると、コントラストが
高く、しかも高温のみならず、−40℃というかなりな
低温域においてもコントラストの低下や消失がない液晶
となるために特に好ましい。
【0030】二色性色素等の添加剤 尚、これらの液晶には、スメクチック液晶相を破壊しな
い限度において、他の液晶や添加剤を添加することがで
きる。他の液晶としては、通常のネマチック液晶、コレ
ステリック液晶等が挙げられる。添加剤としては、熱安
定剤、耐候安定剤等が挙げられる。二色性色素として
は、アゾ系二色性色素、アントラキノン系二色性色素等
が挙げられる。二色性色素は、コントラスト比の向上や
着色等を目的として、例えば、液晶100重量部あたり
1〜10重量部の割合で混入させると好適である。二色
性色素が、1重量部未満ではコントラスト比の向上や着
色の効果が無く、10重量部を超えるとスメクチック液
晶相を破壊して好ましくない。
【0031】液晶/高分子複合型記録表示層 前記の液晶を樹脂マトリクス中に分散させ、これを例え
ば溶液状態で導電性基板上に塗布、乾燥して、膜状に液
晶/高分子複合型記録表示層を導電性基板上に形成する
ことによって、本発明の書換可能な記録表示媒体が得ら
れる。これらの好ましい例を具体的に示すが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0032】上記液晶と前記樹脂の使用量としては、液
晶/樹脂の混合比(重量比)が10/90〜60/4
0、好ましくは20/80〜50/50の範囲である。
液晶の使用量が、10/90未満では、膜を透明状態に
するために多大の電圧を必要とするだけでなく、電圧オ
ン時の透明性が不足する等の点で不十分であり、一方、
液晶の使用量が60/40を超えると、電圧オフ時の散
乱(濁度)が不足するだけでなく、膜の強度が低下した
りするので好ましくない。ディスプレイ用途の場合、液
晶と樹脂の使用割合は、上記と同じである。カード用途
の場合、後述するように、液晶と樹脂の使用割合は、デ
ィスプレイの場合とは適性範囲が異なり、液晶/樹脂の
割合(重量比)は30/70〜60/40の範囲が好ま
しい。液晶/樹脂の割合が、30/70未満ではコント
ラストが悪くなり、60/40を超えると耐久性が悪く
なる。
【0033】液晶を樹脂マトリックス中に分散する方法
としては、相分離方法等の従来公知の方法がいずれも使
用可能である。相分離方法では、樹脂または樹脂エマル
ション、液晶、及びその他の添加剤を溶解または分散す
ることができる水または有機溶剤を溶媒として使用し、
上記成分を含む溶液又は分散液(両者を塗液という。)
を調製し、該塗液を適当な基板面に塗布した後、溶媒を
蒸発させることによって、目的とする液晶/高分子複合
型記録表示層を形成することができる。前記樹脂、液
晶、及びその他の添加剤を水等に分散させる場合に、ホ
モジナイザー等の装置が使用できる。
【0034】溶媒としては、水、有機溶剤及びこれらの
混合物が挙げられる。有機溶剤を使用する場合の好適な
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケト
ン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロ
ホルム等が挙げられる。溶媒としては、有機溶剤より水
を使用することが好ましい。本発明では水を使用して、
樹脂、液晶及びその他の添加剤を分散させることが挙げ
られる。これらの溶媒からなる溶液の固形分(樹脂、液
晶及びその他の添加剤)濃度は約5〜40重量%の範囲
とすることが好ましい。固形分濃度が、5重量%未満で
は、生産性が悪く、40重量%を超えると液の安定性が
悪くなる。
【0035】導電性基板 使用される導電性基板は、従来公知の記録表示媒体に一
般的に使用されているものであって、本発明では、従来
公知の導電性基板はいずれも使用可能であり、具体的に
は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO
2系、ZnO系のような透明導電性材料を、ガラスや樹
脂フイルム等のような透明基材に付着させた導電性基板
である。一方に不透明導電性基板を用いる場合には、そ
の電極が反射板としての機能も要求されるため、例え
ば、アルミニウム反射電極を設けた基板が好ましい。そ
の導電性基板の基材自体はガラス、樹脂フイルム或いは
その他のものであってもよい。
【0036】記録表示層の形成 導電性基板上に液晶/高分子複合型記録表示層を形成す
るために、上記の溶液を塗布する方法としては、例え
ば、スクリーン印刷、メタルマスクを用いたステンシル
印刷、刷毛塗り、スプレーコーティング、ブレードコー
ティング、ドクターコーティング等が挙げられる。
【0037】上記のように、導電性基板上に溶液を塗布
した後、室温又は液晶粒子に影響を与えない程度の温度
で乾燥させることによって、記録表示層が形成される。
上記においては、記録表示層の厚みは、一般的に3〜3
0μm程度とされ、3μm未満であると表示のコントラ
ストが低くなり、又、30μmを超えると駆動電圧が高
くなるので好ましくない。
【0038】一対の導電性基板間に記録表示層を設けた
記録表時媒体(1) 本発明の記録表示媒体の好ましい1実施態様として、記
録表示層を、少なくとも一方が透明である一対の導電性
基板間に形成してなる記録表示媒体が挙げられる。この
記録表示媒体の駆動は、透明導電性基板側からの電圧の
印加によって情報の消去を行い、加熱によって情報の書
き込みが行われる。
【0039】一の導電性基板上に設けられた記録表示層
上に中間層及び保護層を設けた記録表時媒体(2) 記録表示媒体の他の好ましい実施態様として、導電性基
板上に形成した前記記録表示層上に、必要に応じて中間
層を介して保護層を形成した記録表時媒体が挙げられ
る。この種の書換可能な記録表示媒体は、保護層側から
の電圧印加により液晶が配向して光が透過して情報が消
去され、加熱によって液晶の配向が乱れて情報の書き込
みが行われる。
【0040】中間層に用いられる樹脂としては、上記マ
トリクス樹脂と同じような樹脂が使用できる。保護層に
用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性
樹脂或は電子線硬化樹脂が挙げられ、具体的には、ポリ
エン−チオール類、ウレタンアクリレート、エポキシア
クリレート、シリコンアクリレート等の分子中に(メ
タ)アクリロイル基を有する重合性アクリレートポリマ
ー類、メチルメタクリレート等の単官能又は多官能のモ
ノマー類等からなる公知の硬化性樹脂が挙げられる。
【0041】記録表時媒体(2)を情報の書き換え可能
なカードを例として説明する。カード用途の場合、用い
る導電性基板は1枚とすることができる。導電性基板用
基材としては、樹脂フイルムが特に好適である。フイル
ムとしては白色のポリエチレンテレフタレート(PE
T)フイルムが望ましい。導電性基板には、ITO等の
透明導電性材料の他に、アルミ等の金属を用いることが
できる。
【0042】記録表示層を保護するために、記録表示層
上に保護膜を設けることが好ましい。保護層としては、
特に限定されないが、機械的強度や耐水性等を有する硬
化樹脂が好ましい。例えば、UV或は電子線硬化型のポ
リ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリ
レート等が用いられる。記録表示層上に直接前記保護層
を形成することができない場合には、該記録表示層と保
護層の間に、中間層としてポリビニルアルコール等の水
溶性ポリマーの薄膜を形成させてもよい。又、別のシー
ト上に形成した前記の保護層材料を該記録表示層上に転
写やラミネートして硬化させて形成してもよい。カード
用途の場合、液晶と樹脂の使用割合は、ディスプレイの
場合とは適性範囲が異なり、前述の通りである。又、表
示のコントラストを上げるために二色性色素を液晶に含
有させることが好ましい。
【0043】記録及び消去 次に、上記の構成のカードへの情報の記録及び消去につ
いて説明する。情報の消去は、記録表示層を加熱した
後、必要な電界を印加し、液晶分子を電界方向に配向さ
せることによって行う。電界を印加する方法としては、
コロナ帯電法が特に有効である。情報の記録は、記録表
示層へ必要な熱を加え、熱が加えられた部分の液晶分子
の配向を乱すことによって行う。熱を加える方法として
は、サーマルヘッド等を用いる方法が好ましい。本発明
の液晶/高分子複合型記録表示層は、強度や耐熱性に優
れ、更には記録表示層の導電性基板や保護層に対する密
着性、更には低温或は高温領域においてもコントラスト
の低下や消失が少ない。
【0044】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、部は重量部を示す。
【0045】(液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂の
調製) [合成例1]撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入
管及び温度計を備えた2,000mlの反応容器に、イ
ソプロピルアルコール(IPA)219部と、アゾイソ
ブチロニトリル(AIBN)0.62部を入れて撹拌し
て溶解し、80℃に加温した。共重合成分として、メチ
ルメタアクリレート(MMA)148部、n−ブチルア
クリレート(BA)86.3部、アクリル酸(AA)
7.39部及びトリメトキシシランプロピルメタアクリ
レート(日本ユニカー(株)製、A−174)4.93
部を混合し、フラスコ中へ約4時間かけて滴下した。滴
下終了後、追加触媒としてAIBN0.25部とIPA
25部との溶液を滴下し、さらに2時間反応を継続して
重合を完結させた。重合終了後、撹拌を続けながら、2
5%アンモニア水6.95部をフラスコ内に加え、引き
続き水705部を約2時間かけて滴下してエマルション
化した。エマルション化した後、ロータリーエバポレー
タでIPAを蒸発させ、アニオン性アクリル系共重合体
エマルションを得た(固形分濃度40%)。樹脂の重量
平均分子量は約50,000、ガラス転移点は29℃で
あった。
【0046】[合成例2]合成例1と同様の反応容器に、
イソプロピルアルコール(IPA)219部と、アゾイ
ソブチロニトリル(AIBN)1.23部を入れて撹拌
して溶解し、80℃に加温した。共重合成分として、メ
チルメタアクリレート(MMA)93.7部、n−ブチ
ルアクリレート(BA)98.7部、ジエチルアミノエ
チルメタアクリレート(DEAEMA)49.3部及び
トリメトキシシランプロピルメタアクリレート(日本ユ
ニカー(株)製,A−174)4.93部を混合し、フ
ラスコ中へ約4時間かけて滴下した。滴下終了後、追加
触媒としてAIBN0.25部とIPA25部との溶液
を滴下し、さらに2時間反応を継続して重合を完結させ
た。重合終了後、撹拌を続けながら、酢酸16部をフラ
スコ内に加え、引き続き水705部を約2時間かけて滴
下してエマルション化した。エマルション化した後、ロ
ータリーエバポレータでIPAを蒸発させ、カチオン性
アクリル系共重合体エマルションを得た(固形分濃度3
5%)。樹脂の重量平均分子量は約30,000、ガラ
ス転移点は30℃であった。
【0047】[合成例3]合成例1と同様の反応容器に、
イソプロピルアルコール(IPA)219部と、アゾイ
ソブチロニトリル(AIBN)0.62部を入れて撹拌
して溶解し、80℃に加温した。共重合成分として、メ
チルメタアクリレート(MMA)151部、n−ブチル
アクリレート(BA)88.3部、アクリル酸(AA)
7.39部を混合し、フラスコ中へ約4時間かけて滴下
した。滴下終了後、追加触媒としてAIBN0.25部
とIPA25部との溶液を滴下し、さらに2時間反応を
継続して重合を完結させた。重合終了後、撹拌を続けな
がら、25%アンモニア水6.95部をフラスコ内に加
え、引き続き水705部を約2時間かけて滴下してエマ
ルション化した。エマルション化した後、ロータリーエ
バポレータでIPAを蒸発させ、アニオン性アクリル系
共重合体エマルションを得た(固形分濃度40%)。樹
脂の重量平均分子量は約50,000、ガラス転移点は
26℃であった。
【0048】(スメクチック液晶の調製) [液晶調製例1]表1のような配合比で混合して液晶を調
製した。
【0049】
【表1】
【0050】[塗布液実施例1]前記液晶調製例1のスメ
クチック液晶1重量部に二色性色素(S−428、三井
化学製)0.02部を添加した。この混合溶液に合成例
1のアクリル系共重合体エマルション(固形分:40
%)2.5部を添加し、水2.5部をさらに加えて機械
分散により混合分散させた。
【0051】[塗布液実施例2]前記スメクチック液晶1
部に二色性色素(S−428、三井化学製)0.02部
を添加した。この混合溶液に合成例2のアクリル系共重
合体エマルション(固形分:35%)2部を添加し、水
2.5部をさらに加えて機械分散により混合分散させ
た。
【0052】[塗布液比較例1]前記スメクチック液晶1
部に二色性色素(S−428、三井化学製)0.02部
を添加した。この混合溶液に合成例3のアクリル系共重
合体エマルション(固形分:40%)2.5部を添加
し、水2.5部をさらに加えて機械分散により混合分散
させた。
【0053】[塗布液比較例2]前記スメクチック液晶1
部に二色性色素(S−428、三井化学製)0.02部
を添加した。この混合溶液にPVAの水溶液(固形分:
20%、クラレ(株)PVA−405)5部を添加して
機械分散により混合分散させた。
【0054】(液晶/高分子複合型記録表示層及び記録
表示媒体) [実施例1〜2及び比較例1〜2]上記で得られた塗布液
を用い、ITO蒸着白色ポリエチレンテレフタレートフ
イルム基板上に、ドクターブレードを用いて塗布乾燥し
て液晶/高分子複合型の記録表示層の形成を行なった。
次いで、該表示記録層上の全面に、紫外線硬化性樹脂
(アロニクスM8030(東亜合成化学工業(株)社
製)と硬化剤イルガキュア500(日本チバガイギー社
製)を20/1でトルエンに溶解したもの)をドクター
ブレードを用いて塗布後、高圧水銀灯(出力120W/
cm)で紫外線を照射して硬化させて保護層とし、本発
明の記録表示媒体を得た。このようにして作成した記録
表示媒体は、コロナ放電(コロナ電圧6kV)により消
去状態が得られ、サーマルヘッドによる感熱記録によっ
て書き込み状態が得られた。
【0055】上記書き込み状態の記録表示媒体の書込部
分の反射濃度と消去部分の反射濃度を、色濃度計(RD
914−S、マクベス社製)を用いて室温で測定し、次
いでこれらを、60℃及び−40℃の恒温槽(50%R
H)中で100時間保存し、消去部分の反射濃度を測定
して、次式により消去状態の反射濃度変化率を算出し、
この結果を保存性として表2に示した。同様に耐湿性を
調べるため、40℃、90%RHの恒温槽中で保存した
結果も示した。 変化率(%)={{(保存後消去部−初期消去部)}/
{(保存後書込部−初期書込部)}}×100 また、書き込み状態時の反射濃度を1.00とした場合
に、これに対する消去状態時の反射濃度を求め、書き込
み状態時の反射濃度から消去状態時の反射濃度を差し引
いた値をコントラストとして求め、この結果も表2に合
わせて示した。
【0056】
【表2】
【0057】この結果から明らかなように、本発明の記
録表示媒体は、比較例の記録表示媒体に比べて高温保存
性、低温保存性、耐湿性が向上していることが分かる。
【0058】
【発明の効果】本発明の液晶/高分子複合型記録表示層
は、高温保存性、低温保存性、耐湿性に優れ、更に低温
或は高温領域においてもコントラストの低下や消失が少
なく、良好な可逆記録表示媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可逆記録表示媒体の構成図である。
【符号の説明】
1 樹脂マトリックス 2 液晶粒子 3 二色性色素 4 電極層 5 基材 6 導電性基板
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08F 246/00 (C08F 246/00 230:08 230:08 222:00) 222:00) (C08F 220/00 (C08F 220/00 230:08 230:08 222:00) 222:00) Fターム(参考) 2H088 EA62 FA09 GA04 GA10 GA13 KA22 MA20 2H089 HA04 JA01 JA04 JA05 KA07 QA06 QA07 SA17 UA09 4J002 BG012 BG041 BG051 BG071 BG072 BG131 BG132 BH022 BQ001 4J100 AB02R AB03R AB04R AG02R AG04R AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK02Q AK07Q AK19Q AK20Q AL03R AL04R AL05R AL08P AL08S AL09Q AL36Q AM15S AM19S AP16P AP17P BA04P BA12P BA29P BA29S BA31P BA71P BA77P BB01P BC43P CA05 DA01 DA25 JA32

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆記録表示媒体用の液晶/高分子複合
    型表示記録層(ここで、液晶は二色性色素を含んでいて
    もよい)に用いられる樹脂であって、該樹脂が、加水分
    解性シリル基を有する重合性不飽和単量体(A)、少な
    くとも1種類のカルボキシル基を有する重合性不飽和単
    量体(B)及びその他重合性単量体(C)とを重合して
    得られることを特徴とする液晶/高分子複合型記録表示
    層用樹脂。
  2. 【請求項2】 樹脂が、アクリル共重合体であることを
    特徴とする請求項1に記載の液晶/高分子複合型記録表
    示層用樹脂。
  3. 【請求項3】 樹脂のガラス転移点(Tg)が、−40
    〜85℃であることを特徴とする請求項1又は2の何れ
    かに記載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  4. 【請求項4】 樹脂が、少なくとも1種類のカルボキシ
    ル基を有する重合性不飽和単量体(B)及びその他重合
    性単量体(C)からなる別の樹脂を、更に含むことを特
    徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液晶/高分子複
    合型記録表示層用樹脂。
  5. 【請求項5】 樹脂が、アニオン性又はカチオン性であ
    って水系エマルション状態になることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の液晶/高分子複合型記録表
    示層用樹脂。
  6. 【請求項6】 樹脂が、液晶と実質的に非相溶性で相分
    離構造を形成し、且つ、二色性色素によって実質的に染
    色されないことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記
    載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の液晶/高
    分子複合型記録表示層用樹脂中に、液晶を分散させてな
    る液晶/高分子複合型記録表示層。
  8. 【請求項8】 液晶が、スメクチック液晶であることを
    特徴とする請求項7に記載の液晶/高分子複合型記録表
    示層。
  9. 【請求項9】 液晶/樹脂の配合比が、10/90〜6
    0/40wt%であることを特徴とする請求項7〜8の
    何れかに記載の液晶/高分子複合型記録表示層。
  10. 【請求項10】 液晶が、二色性色素を含むことを特徴
    とする請求項7〜9の何れかに記載の液晶/高分子複合
    型記録表示層。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10の何れかに記載の液晶
    /高分子複合型表示記録層を導電性基板の上に設けてな
    る可逆記録表示媒体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6の何れかに記載の液晶/
    高分子複合型記録表示層用樹脂の水エマルションと、請
    求項8に記載の液晶と、必要に応じて請求項10に記載
    の二色性色素とを水に分散させて得られた液を導電性基
    板上に塗布した後、乾燥することによる液晶/高分子複
    合型記録表示層の製造方法。
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