JPH11236568A - 記録表示媒体用高分子マトリックス、記録表示媒体及びその使用方法 - Google Patents

記録表示媒体用高分子マトリックス、記録表示媒体及びその使用方法

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JPH11236568A
JPH11236568A JP10054158A JP5415898A JPH11236568A JP H11236568 A JPH11236568 A JP H11236568A JP 10054158 A JP10054158 A JP 10054158A JP 5415898 A JP5415898 A JP 5415898A JP H11236568 A JPH11236568 A JP H11236568A
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JP
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liquid crystal
recording
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composite film
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JP10054158A
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English (en)
Inventor
Keiko Sekine
啓子 関根
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録表示のコントラストが高く、高温環境に
おいても、記録表示部に影響が少なく、さらに記録書き
込む時の加熱による記録表示媒体の性能劣化を防止でき
る記録表示媒体を提供することである。 【解決手段】 液晶/高分子複合膜を用いた記録表示媒
体を構成する高分子マトリックスとして、ゴムを用いる
ことにより、記録ユニットにより圧力をかけると高分子
マトリックス4中に分散している液晶3の配向が乱され
て、情報の記録が行われ、その圧力条件が無くなって
も、液晶の配向(記録)状態が維持される。そして上記
記録表示媒体に消去ユニットで電界を加えると、情報の
記録されたものは、消去され、その消去状態は、圧力を
かける前の初期状態と同じ状態であり、また繰り返し記
録、消去ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力、電界に対し
て応答性を有し、各種情報の表示や記録を行うことがで
きる液晶/高分子複合膜を用いた記録表示媒体を構成す
る高分子マトリックス、該高分子マトリックスを用いた
液晶/高分子複合膜からなる記録表示媒体及びその使用
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶は表示材料として種々の機器
で応用され、時計、電卓、小型テレビ等に実用化されて
いる。これらの液晶としてはネマティック液晶を用い、
TN型或はSTN型と呼ばれる表示方式のものが採用さ
れている。この種の表示素子は、透明電極を有する液晶
セル中に液晶を封入し、両面に偏光板を設けたものから
構成されているが、偏光板を用いているため、視野角が
狭く、輝度が不足しているので、高消費電力のバックラ
イトを必要とし、又、セル厚を均一にする必要から大面
積化が困難であり、しかも構造が複雑で、製造コストが
高い等の問題がある。
【0003】このような問題を解決する液晶表示媒体と
して、最近、液晶が高分子マトリックス中に分散、存在
する液晶/高分子複合膜を用いた表示素子が注目を浴び
ている。そして、その液晶として、スメクチック液晶、
あるいはネマチック液晶、コレステリック液晶、ディス
コティック液晶、高分子液晶、及びこれらの混合系等が
用いられている。このうち、スメクティック液晶を利用
するものは、液晶を配向させるための外部エネルギーが
除去された後も、液晶の配向状態が維持されるために表
示が長時間保存されるメモリー性を持ち、記録表示媒体
として非常に有用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような液晶/高
分子複合膜を用いた記録表示媒体は、情報の記録を熱に
より行い、情報の消去を熱及び電界により行うことが多
く実施されている。ところが、記録媒体の放置される環
境において、温度が高くなる場合があり、その熱により
液晶の配向が乱れて、記録表示部全体が着色され、記録
表示部のコントラストの低下等が生じるという問題があ
る。また、情報の記録をサーマルヘッド等の熱により行
う時に、300〜400℃程度の高温の熱を加えなけれ
ば、記録書き込むことができない。しかし、その熱によ
り記録書き込む時、記録表示媒体への熱エネルギーが高
く、繰り返し使用すると、加熱により記録表示媒体の性
能劣化が大きいという問題がある。したがって、本発明
の目的は、記録表示のコントラストが高く、高温環境に
おいても、記録表示部に影響が少なく、さらに記録書き
込む時の加熱により記録表示媒体の性能劣化を防止でき
る記録表示媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、液晶が高分子マトリックス
中に分散してなる液晶/高分子複合膜を用いた記録表示
媒体を構成する高分子マトリックスが、ゴムであること
を特徴とする。また、液晶が高分子マトリックス中に分
散してなる液晶/高分子複合膜からなる記録表示媒体に
おいて、該高分子マトリックスがゴムであることを特徴
としている。さらに、記録表示媒体の使用方法におい
て、情報の記録方式を圧力、電界のいずれか一方で行
い、情報の消去を該情報の記録方式と他方の方式で行
い、かつ情報の記録及び消去が可逆的であることを特徴
とする。
【0006】
【作用】本発明は、液晶/高分子複合膜を用いた記録表
示媒体を構成する高分子マトリックスとして、ゴムを用
いることにより、図2のb)に示すように記録ユニット
により圧力をかけると高分子マトリックス4中に分散し
ている液晶3の配向が乱されて、情報の記録が行われ、
図2のc)に示すように、その圧力条件が無くなって
も、液晶のランダムな(記録)状態が維持される。そし
て図2のd)のように上記記録表示媒体に消去ユニット
で電界を加えると、情報の記録されたものは、消去され
る。そして、その消去状態は、圧力をかける前の初期状
態と同じ状態であり、また繰り返し記録、消去ができ
る。
【0007】したがって、本発明の記録表示媒体は、熱
による情報の記録、消去を行わないので、高温環境にお
いても、記録表示部に影響が少なく、記録表示のコント
ラストを高くすることができ、さらに、記録書き込む時
の加熱による記録表示媒体の性能劣化がなくなる。ま
た、本発明の液晶/高分子複合膜を用いた記録表示媒体
は、圧力で液晶の配向状態を乱して書き込みが行えるた
め、従来の感圧紙(ノーカーボン紙)の用途としても使
用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の記録表示媒体用
高分子マトリックス、記録表示媒体及びその使用方法に
関し、発明の実施の形態を詳述する。本発明の記録表示
媒体は、例えば、図1に示すように、基板1の上に電極
層2を設けた電極基板6上に、液晶3がゴムからなる高
分子マトリックス4中に分散してなる液晶/高分子複合
膜7が形成され、その液晶/高分子複合膜7の上に保護
層5を形成した構成が挙げられる。
【0009】(液晶)本発明で使用する液晶材料として
は、スメクチック液晶、あるいはネマチック液晶、コレ
ステリック液晶、ディスコティック液晶、高分子液晶、
及びこれらの混合系等が挙げられる。液晶を配向させる
ための外部エネルギーが除去された後も、液晶の配向状
態が維持されて表示が長時間保存されるメモリー性を有
するものとして、スメクチック液晶が好ましく用いられ
る。
【0010】スメクチック液晶は、従来公知のいずれの
スメクチック液晶でも使用することかできるが、表示画
像のコントラストが高く、低温或は高温領域においても
コントラストの低下や消失が少ない記録表示媒体を得る
には、下記一般式(I)〜(VII)の液晶を使用する
ことが好ましい。
【0011】
【化1】 (式中、R1 は炭素数8〜18のアルキル基又はアルコ
キシ基を示す)で表わされる化合物の少なくとも1種
と、下記一般式(II)〜(VII)
【0012】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】 (式中、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 及びR8 は、炭
素数2〜18のアルキル基を、R7 、R9 及びR10は、
炭素数2〜18のアルキル基又はアルコキシ基を、又、
Xはハロゲン元素を示す。)
【0013】これらの液晶のうち、前記一般式(I)で
表される炭素数が8〜18の4−アルキル−4’−シア
ノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビフェ
ニルは、常温付近で安定なスメクチック液晶相を示し、
又、液晶/高分子複合膜型記録表示媒体とした場合のコ
ントラストも良好である。これらの化合物は、いずれか
1種を用いてもよいが、より広い温度範囲で、安定なス
メクチック液晶相を示すようにするためには、これらの
化合物から2種以上を適宜選択して組み合わせて用いる
とよい。
【0014】又、炭素数7以下の4−アルキル−4’−
シアノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビ
フェニル化合物は、夫々単独ではスメクチック液晶相は
示さないが、炭素数8〜18の前記化合物をこれらの化
合物に添加することによって、スメクチック液晶相を呈
する温度範囲に調整することかでき、又、より安定な、
スメクチック液晶相とすることができる。これらの化合
物は既知であり(例えば、艸林著「液晶材料」p22
9、講談社1991年発行)、例えば、4−アルキル−
4’ブロモビニルフェニル或は4−アルコキシ−4’−
ブロモビフェニルをシアン化銅と反応させることによ
り、対応する4−アルキル−4’−シアノビフェニル或
は4−アルコキシ−4’−シアノビフェニルを得ること
かできる。これらのある種のものは市販されている。
【0015】しかし、前記一般式(I)で表される化合
物として、スメクチック液晶相−ネマティック液晶相
間、或はスメクチック液晶相−アイソトロピック相間の
相転移温度が高いものを用いると融点も高くなり、記録
表示媒体を低温状態に置いた場合、液晶の配向が乱れて
記録表示部のコントラストの低下や消失等が生じる。従
って、融点を低く保ちながら、このスメクチック液晶相
−ネマティック液晶相間、或はスメクチック液晶相−ア
イソトロピック相間の相転移温度を高温化するために、
前記一般式(I)で表される化合物に前記一般式(I
I)〜(VII)で表される化合物のいずれか1種を添
加することが好ましい。
【0016】前記一般式(II)で表される4−アルキ
ルフェニル−4−アルコキシ安息香酸エステル化合物は
既知であり(例えば、艸林著「液晶材料」p226及び
p240、講談社1991年発行)、例えば、4−アル
キルフェノールと4−アルコキシ安息香酸とから、脱水
剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド等を用いたエ
ステル化反応により得ることができ、又、この化合物の
ある種のものは市販されている。
【0017】前記一般式(III)で表される4−アル
コキシビフェニル−4,−カルボン酸アルキルエステル
化合物は既知であり〔例えば、Mol.Cryst.L
iq.Cryst.,37,pp157−188(19
76)〕、例えば、アルカノールと4−アルコキシビフ
ェニル−4’−カルボン酸とから硫酸等の酸触媒を用い
たエステル化反応により簡便に得ることができる。
【0018】前記一般式(IV)で表される4−アルキ
ル−4”−シアノ−p−テルフェニル化合物は既知であ
り〔例えば、Mol.Cryst.Liq.Crys
t.,38,pp345−352(1977)〕、例え
ば、4−アルキル−p−テルフェニル−4”−カルボン
酸クロライドをアンモニア水で処理して、4−アルキル
−p−テルフェニル−4”−カルボン酸アミドとし、続
いて五酸化リンと反応させることにより得ることかで
き、又、この化合物のある種のものは市販されている。
【0019】前記一般式(V)で表される4’−シアノ
ビフェニル−4−アルキル安息香酸エステル又は4’−
シアノビフェニル−4−アルコキシ安息香酸エステル化
合物は既知であり(例えば、Fluessige Kr
istalle in Tabllen II,VED
Deutsscher Verlag fuerGr
undstoffindustrie Leipzi
g,p287−288,1984)、例えば、4−アル
キル安息香酸或は4−アルコキシ安息香酸と4−シアノ
−4’−ヒドロキシビフェニルとを脱水剤としてジシク
ロヘキシルカルボジイミド等を用いてエステル化させる
方法により得ることかできる。
【0020】前記一般式(VI)で表される4−アルコ
キシビフェニル−4’−カルボン酸−4−ハロフェニル
エステル化合物は既知であり〔例えば、Mo1.Cry
st.Liq.Cryst.,37 pp157−18
8(1976)〕、例えば、4−アルコキシビフェニル
−4’−カルボン酸と4−ハロフェノールとを脱水剤と
してジシクロヘキシルカルボジイミド等を用いてエステ
ル化させることにより得ることができる。この化合物中
のハロゲン元素は、どの種類であっても特に支障はない
か、フッ素又は塩素が化学的安定性の面から好ましい。
【0021】前記一般式(VII)で表されるp−フェ
ニレン−ジ−4−アルキル安息香酸エステル化合物、p
−フェニレン−ジ−4−アルコキシ安息香酸エステル化
合物、又はp−フェニレン−4−アルキル安息香酸−4
−アルコキシ安息香酸エステル化合物は既知であり〔例
えば、J.0rg.Chem.,37(9),p142
5(1972)〕、p−アルキルベンゾイルクロライド
或はp−アルコキシベンゾイルクロライドを塩基性条件
下にヒドロキノンと反応させ、次いで、塩基性条件下
に、p−アルキルベンゾイルクロライド或はp−アルコ
キシベンゾイルクロライドと反応させることにより得る
ことができる。
【0022】また、記録表示のより高いコントラスト、
耐熱性を得るために、特開平9−40959に記載され
ているスメクチック液晶を用いることが好ましい。本発
明のスメクチック液晶/高分子複合膜を用いた記録表示
媒体を構成する高分子マトリックスが、特定の構造式の
ポリサルホン化合物で、ガラス転移点温度が高い特徴を
有しており、液晶/高分子複合膜中で配向した液晶が高
温或は低温下においても、その配向状態を維持して、液
晶/高分子複合膜に記録された情報が消失することを防
止できる。その際に、その高分子マトリックスと組み合
わされるスメクチック液晶は、上記のように特開平9−
40959に記載されているものを使用する、好ましく
は組み合わせて使用することにより、融点を低く維持し
ながら、スメクティック液晶相−ネマティック液晶相
間、或はスメクティック液晶相−アイソトロピック相間
の相転移温度を高くすることができ、液晶/高分子複合
膜中で配向した液晶が高温或は低温下においても、その
配向状態を維持して、液晶/高分子複合膜に記録された
情報が消失することを防止できる。
【0023】(高分子マトリックス)本発明の液晶/高
分子複合膜を用いた記録表示媒体を構成する高分子マト
リックスは、ゴムを使用する。上記のゴムとしては、例
えばブタジエンゴム、イソブテンゴム、イソプレンゴ
ム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、
シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、ブチル
ゴム、ピリジンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチ
レン−プロピレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エ
チレン−アクリルゴム、イソブチレン−イソプレンゴ
ム、ハイパロン、ヒドリンゴム、高飽和ニトリルゴム、
フッ素ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、多硫化ゴム等の
合成ゴムや天然ゴム等が挙げられる。高分子マトリック
スは液晶を固定するもので、液晶と相溶性が少なく、透
明性及び被膜形成能に優れた高分子材料であれば、上記
ゴムに混合して使用可能である。混合できる高分子材料
は具体的には、透明性及び被膜形成能に優れた、例え
ば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アクリル酸共重
合体、水溶性アルキド樹脂等の水溶性高分子材料が用い
られる。
【0024】上記のゴムは、ゴム状弾性の性質を有して
いて、ヤング率が1×106 〜1×109 dyne/c
2 の範囲であることが好ましい。ヤング率が1×10
6 dyne/cm2 未満であると、記録表示媒体の取扱
中でも液晶/高分子複合膜が簡単に圧力変形してしま
い、高分子マトリックス中に分散している液晶の配向が
簡単に乱されてしまう。一方、ヤング率が1×109
yne/cm2 を越えたゴムでは、高分子マトリックス
中に分散している液晶の配向を乱すための圧力が大きな
ものが必要となり、圧力付与手段が大がかりな装置とな
り、実用しにくくなる。上記ヤング率の範囲のゴムを高
分子マトリックスに使用した記録表示媒体への情報の記
録時及び消去時の圧力については、0.2〜10kgf
/cm2 の範囲であることが好ましい。圧力が低すぎる
と、情報の記録または消去が不十分であり、一方圧力が
高すぎると、液晶/高分子複合膜に損傷が生じやすくな
る。
【0025】複合膜の形成方法において、前記液晶と上
記高分子マトリックスの使用量としては、高分子マトリ
ックス/液晶の混合比(重量比)が5/95〜80/2
0であり、好ましくは35/65〜65/35である。
液晶の使用量が少な過ぎると、電界印加時の透明性が不
足するだけでなく、膜を透明状態にするために多大の電
界を必要とする等の点で不利であり、一方、液晶の使用
量が多過ぎると、加熱時の散乱(濁度)が不足するだけ
でなく、膜の強度が低下したりするので好ましくない。
【0026】液晶組成物を高分子マトリックス中に分散
する方法としては、相分離方法やエマルジョン法等の従
来公知の方法がいずれも使用可能であるか、本発明にお
いて有用な方法は相分離方法である。相分離方法では、
高分子マトリックス及び液晶組成物、その他の添加剤を
溶解することができる有機溶剤を使用して上記成分を含
む溶液を調製し、該溶液を適当な基板面に塗布した後、
溶剤を蒸発させることによって、目的とする液晶/高分
子複合膜を形成することができる。この方法によれば、
形成された膜中に液晶粒子が均一に分散されたPDLC
(Polymer Dispersed Liquid
Crystall)膜、すなわち液晶/高分子複合膜
が形成される。
【0027】好適な溶剤としては、例えば、アセトン、
メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒド
ロフラン、クロロホルム等か挙げられ、これらの溶剤か
らなる溶液の固形分濃度は約5〜30重量%の範囲とす
ることが好ましい。以上の溶液を用いて、基板上に液晶
/高分子複合膜を形成する方法としては、例えば、スク
リーン印刷、メタルマスクを用いたステンシル印刷、刷
毛塗り、スプレーコーティング、ブレードコーティン
グ、ナイフコーティング、スライドコーティング、イン
ストルージョンコーティング、ファウンコーティング、
電着法等が挙げられる。液晶/高分子複合膜の膜厚は、
3〜23μmの範囲であることが好ましい。その膜厚が
3μm未満であると液晶の配向を乱すことによる光散乱
(濁度)が不足して、表示のコントラストが低くなり、
また23μmを越えると駆動電界が高くなるので好まし
くない。
【0028】(二色性色素)本発明の記録表示媒体で
は、液晶相を破壊しない限度において、他の液晶や添加
剤を添加することができる。特には、コントラスト比の
向上や着色等を目的として、二色性色素を、例えば、液
晶100重量部あたり1〜10重量部の割合で混入させ
ると好適である。その二色性色素は、特に限定されるも
のではなく、アゾ系、ペリレン系、アントラキノン系等
いずれも用いることができ、記録表示媒体に要求される
色調に適した二色性色素が使用される。
【0029】(導電性基板)本発明の記録表示媒体は、
電極基板6上に液晶/高分子複合膜が形成されるもの
で、電極基板6として導電性基板が用いられる。使用さ
れる導電性基板は、従来公知の記録表示媒体に一般的に
使用されているものであって、本発明では、従来公知の
導電性基板はいずれも使用可能であり、具体的には、例
えば、ITO、SnO2 系、ZnO系のような透明導電
性材料をガラスや高分子フィルム等のような透明基板1
に電極層2として付着させた一方が電極である。この
時、他の一方に不透明導電性基板を用いる場合には、そ
の電極が反射板としての機能も要求されるため、例え
ば、アルミニウム反射電極を設けた基板が好ましい。そ
の基板自体はガラス、高分子フィルム或いはその他のも
のであってもよい。
【0030】また、ITO、SnO2 系、ZnO系のよ
うな透明導電性材料を白PETフィルム等のような反射
板に付着させてもよい。また、透明導電性基板の液晶/
高分子複合膜の形成面とは反対面にAl2 3 、TiO
2 、ZnO等からなる反射層を高分子フィルムに形成し
てなる反射板を貼り合わせてもよい。本発明の記録表示
媒体は、液晶/高分子複合膜の両面を電極で挟持しても
よいが、任意の部分に電界を印加する点等から、裏面の
みを電極とし、表面側は外部電極等を用いることもでき
る。
【0031】(保護層)導電性基板上に形成した前記液
晶/高分子複合膜上に、必要に応じて中間層を介して保
護層を形成することができる。中間層の形成について
は、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の樹脂か
らなる中間層及び熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂或は
電子線硬化樹脂、例えば、ポリエン・チオール類、ウレ
タンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコ−ン
アクリレート等の分子中に(メタ)アクリロイル基を有
する重合性アクリレートポリマー類、メチルメタクリレ
ート等の単官能又は多官能のモノマー類等からなる公知
の硬化性樹脂等からなる保護層を設けることによって書
換可能な記録表示媒体を形成することができる。
【0032】保護層は、記録表示媒体の機械的強度や耐
熱性や耐久性等を向上させるものであり、また透明性を
有するものである。また、保護層は表面が平滑で、かつ
該保護層の屈折率と、液晶/高分子複合膜の高分子マト
リックスの屈折率との差が0.05以下であることが望
ましい。その差が、0.05を越えると、液晶/高分子
複合膜の屈折率と保護層の屈折率との差が大きくなるた
め、光の散乱が大きくなり、液晶/高分子複合膜全体が
濁ってくる。上記屈折率の差は0.03以下がさらに好
ましい。また、保護層の平均表面粗さ(Ra)は、0.
1μm未満であることが好ましい。平均表面粗さが0.
1μm以上であると、光が保護層表面で散乱してしま
い、表示のコントラストが低下してしまう。以上のよう
な機能と物性を有する樹脂であれば特に限定はされない
が、加工性及び得られる塗膜の性能から、電離放射線硬
化型樹脂が保護層に好適に使用できる。
【0033】これらは、分子中に重合性不飽和結合また
はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び
/または、モノマーを適宜混合した組成物であり、例え
ば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、エポキシアクリレート等の各種アクリレート樹脂、
シロキサンなどの珪素樹脂、そして、ポリエステル、エ
ポキシ系樹脂などの組成物があげられる。特に、カチオ
ン重合型エポキシ系樹脂、ポリエン・チオール系樹脂や
2官能以下の柔軟なウレタンアクリレート系樹脂が好ま
しい。
【0034】電離放射線硬化型樹脂の硬化方法について
は、UV(紫外線)硬化、EB(電子線)硬化のいずれ
の方式も利用できる。UV硬化方式を採る場合には、光
重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシ
ムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、
チオキサントン類より適宜選択し、さらに、必要に応じ
て、光増感剤として、n−ブチルアミン、トリエチルア
ミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどを混合して用い
ることができる。
【0035】このような保護層は、UVないしEB照射
により硬化させて塗膜を形成するものであるが、従来公
知のロールコーティングや印刷方式で塗布する場合、塗
布液の粘度調整のために、必要に応じて種々の有機溶剤
を添加することは可能である。このようにして形成する
保護層の厚さは、乾燥状態で2〜10μm程度が望まし
い。保護層の厚さが、2μm未満では耐擦傷性や耐熱性
が不足し、10μmを越えると圧力による液晶の配向の
変更が行われにくくなるため好ましくない。また、スメ
クチック液晶/高分子複合膜に対して、保護層の接着性
が不十分な場合に、スメクチック液晶/高分子複合膜の
上に、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーの薄膜
を形成させてもよい。又、別のシート上に形成した前記
の保護層材料を転写やラミネートして硬化させて形成し
てもよい。
【0036】(記録表示媒体の使用方法)本発明の記録
表示媒体の使用方法、すなわち記録表示媒体への情報の
記録及び消去について説明する。情報の記録は、液晶/
高分子複合膜に圧力を印加し、複合膜全面に電界を加え
て情報を消去する。これを繰り返し、情報の書き換えを
行なう。すなわち、情報の記録及び消去が可逆的であ
る。または、情報の記録は、液晶/高分子複合膜に電界
を印加し、複合膜に圧力を加えて情報を消去する。これ
を繰り返し、情報の書き換えを行ない、情報の記録及び
消去を可逆的に行える。
【0037】記録表示媒体への情報の記録及び消去は、
例えば記録ユニットと消去ユニットとを有する装置を用
いて行う。本発明では、例えばスポット的に加圧可能な
印字手段が設置された記録ユニットと、例えば電界印加
手段が設置された消去ユニットとを有する装置を用いて
記録及び消去が行われる。液晶/高分子複合膜で構成さ
れる記録表示媒体への情報の記録と消去の原理は、液晶
分子の一方向への配向状態とランダムな配向状態におけ
る光透過と光散乱を利用するものである。
【0038】したがって、記録された情報を光散乱によ
る白濁光(二色性色素を用いた場合は該色素による着色
光)で表示し、消去を光透過による透明化によって行う
場合には、例えば印字(記録)はスポット的に加圧によ
って行い、消去は液晶/高分子複合膜を電極で挟持して
液晶配向のしきい値以上の電界を印加することによって
行うことができる。圧力を加える方法としては、従来公
知のいずれのものでもよく、ハンマー方式やドット方式
のインパクトプリンターを用いる方法が好ましい。その
圧力条件は、0.2〜10kgf/cm2 の範囲である
ことが好ましい。圧力が低すぎると、情報の記録または
消去が不十分であり、一方圧力が高すぎると、液晶/高
分子複合膜に損傷が生じやすくなる。電界を印加する方
法としては、コロナ放電やライン電極等により行うこと
が出来る。
【0039】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に
断りの無い限り重量基準である。また、本発明はこれら
に限定されるものではない。 (実施例)スメクチック液晶(ジャパンエナジー(株)
製、M90054、S−N転移点100℃)2部に二色
性色素(日本感光色素(株)製、G241/G206/
G472、重量比4/4/3)0.04部を添加した。
液晶/高分子複合膜の高分子マトリックスとしてスチレ
ン−ブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製、NIPO
L、ヤング率2×106 dyne/cm2 )3.0部と
溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/酢酸エチル)2
7部とからなる溶液30部に、上記液晶組成物を加え、
常温で10時間攪拌して溶液を得た。
【0040】この溶液を用い、ITO蒸着白PET基板
上にドクターブレードを用いて塗布し乾燥させて膜厚4
μmの液晶/高分子複合膜の成膜を行なった。さらに、
液晶/高分子複合膜上の全面に紫外線硬化性樹脂(ウレ
タンアクリレ−ト)をドクターブレードを用いて塗布
後、高圧水銀灯(出力120W/cm2)で紫外線を照
射して硬化させ膜厚2μmの保護層を形成し、本発明の
実施例の記録表示媒体を用意した。
【0041】上記の記録表示媒体に、図2に示すような
記録ユニットを、また消去ユニットとしてコロナ帯電器
を設置した装置を使用した。但し、記録ユニットの圧力
条件は0.4kgf/cm2 であり、消去ユニットのコ
ロナ放電条件はコロナ電圧6.0kvである。パーソナ
ルコンピューターに記録ユニットを接続し、パーソナル
コンピューターにインプットした文字情報を上記装置を
通過する記録表示媒体に出力した結果、黒色の鮮明な文
字が表示された。次に、文字が表示された記録表示媒体
を上記装置に通し、消去ユニットのコロナ帯電器によっ
て電界を印加すると、液晶/高分子複合膜が透明とな
り、消去ユニットを通過した記録表示媒体は再び乳白色
不透明となり、表示された文字は完全に消去された。再
度、記録と消去を繰り返したが、上記と同様の結果が再
現された。
【0042】(比較例)実施例で使用した高分子マトリ
ックスをポリスチレン(ヤング率3.4×1010dyn
e/cm2 )に変更した以外は、実施例と同様にして比
較例の記録表示媒体を用意作製した。上記の記録表示媒
体は、実施例の同条件の圧力による記録方式では、文字
が表示されなかった。
【0043】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、液晶/高
分子複合膜を用いた記録表示媒体を構成する高分子マト
リックスとして、ゴムを用いることにより、圧力をかけ
ると高分子マトリックス中に分散している液晶の配向が
乱されて、情報の記録または消去が行われる。そして、
その圧力条件が無くなっても、液晶のランダムな状態が
維持される。そして上記記録表示媒体に電界を加える
と、情報の記録されたものは、消去され、一方情報が記
録されていない(消去状態)ものは、情報の記録が行わ
れる。したがって、本発明の記録表示媒体は、熱による
情報の記録、消去を行わないので、高温環境において
も、記録表示部に影響が少なく、記録表示のコントラス
トを高くすることができ、また、記録書き込む時の加熱
による記録表示媒体の性能劣化がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録表示媒体の一つの実施形態を示す
概略断面図である。
【図2】本発明の記録表示媒体の使用方法の一つの実施
形態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電極層 3 液晶 4 高分子マトリックス 5 保護層 6 電極基板 7 液晶/高分子複合膜
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶が高分子マトリックス中に分散して
    なる液晶/高分子複合膜を用いた記録表示媒体を構成す
    る高分子マトリックスが、ゴムであることを特徴とする
    記録表示媒体用高分子マトリックス。
  2. 【請求項2】 高分子マトリックスのゴムのヤング率が
    1×106 〜1×109 dyne/cm2 の範囲である
    ことを特徴とする請求項1に記載する記録表示媒体用高
    分子マトリックス。
  3. 【請求項3】 液晶が高分子マトリックス中に分散して
    なる液晶/高分子複合膜からなる記録表示媒体におい
    て、該高分子マトリックスが請求項1または2に記載す
    るゴムであることを特徴とする記録表示媒体。
  4. 【請求項4】 情報の記録方式を圧力、電界のいずれか
    一方で行い、情報の消去を該情報の記録方式と他方の方
    式で行い、かつ情報の記録及び消去が可逆的である前記
    の液晶/高分子複合膜からなることを特徴とする請求項
    3に記載する記録表示媒体。
  5. 【請求項5】 情報の記録時及び消去時の圧力が、0.
    2〜10kgf/cm2 の範囲であることを特徴とする
    請求項3または4に記載する記録表示媒体。
  6. 【請求項6】 液晶がスメクチック液晶であることを特
    徴とする請求項3〜5のいずれかに記載する記録表示媒
    体。
  7. 【請求項7】 液晶が二色性色素を含有することを特徴
    とする請求項3〜6のいずれかに記載する記録表示媒
    体。
  8. 【請求項8】 液晶/高分子材料の重量比が、35/6
    5〜65/35であることを特徴とする請求項3〜7に
    記載する記録表示媒体。
  9. 【請求項9】 液晶/高分子複合膜の膜厚が、3〜23
    μmであることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに
    記載する記録表示媒体。
  10. 【請求項10】 液晶/高分子複合膜を導電性基板上に
    設けることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載
    する記録表示媒体。
  11. 【請求項11】 液晶/高分子複合膜上に、保護層を設
    けることを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載
    する記録表示媒体。
  12. 【請求項12】 情報の記録方式を圧力、電界のいずれ
    か一方で行い、情報の消去を該情報の記録方式と他方の
    方式で行い、かつ情報の記録及び消去が可逆的であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載する記録表示媒体の使用
    方法。
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