JP2005258428A - 液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子において、ダブルドメイン等の配向欠陥が形成されることなく強誘電性液晶のモノドメイン配向を得ることができ、相転移温度以上に昇温しても配向の乱れが生じにくい配向安定性に優れた液晶表示素子を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、第1基板と、上記第1基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第1配向膜と、上記第1配向膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなる反応性液晶層とを有する反応性液晶側基板、および、第2基板と、上記第2基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第2配向膜とを有する対向基板を、上記反応性液晶側基板の反応性液晶層と上記対向基板の第2配向膜とが向かい合うように配置し、上記反応性液晶側基板および上記対向基板間に強誘電性液晶を挟持してなることを特徴とする液晶表示素子を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、強誘電性液晶の配向を制御した液晶表示素子に関するものである。
液晶表示素子は薄型で低消費電力などといった特徴から、大型ディスプレイから携帯情報端末までその用途を広げており、その開発が活発に行われている。これまで液晶表示素子は、TN方式、STNのマルチプレックス駆動、TNに薄層トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動等が開発され実用化されているが、これらはネマチック液晶を用いているために、液晶材料の応答速度が数ms〜数十msと遅く動画表示に充分対応しているとはいえない。
強誘電性液晶(FLC)は、応答速度がμsオーダーと極めて短く、高速デバイスに適した液晶である。強誘電性液晶はクラークおよびラガーウォルにより提唱された電圧非印加時に安定状態を二つ有する双安定性のものが広く知られているが(図3)、明、暗の2状態でのスイッチングに限られ、メモリー性を有するものの、階調表示ができないという問題を抱えている。
近年、電圧非印加時の液晶層の状態がひとつの状態で安定化している(以下、これを「単安定」と称する。)強誘電性液晶が、電圧変化により液晶のダイレクタ(分子軸の傾き)を連続的に変化させ透過光度をアナログ変調することで階調表示を可能とするものとして注目されている(非特許文献1、図3)。このような単安定性を示す液晶としては、通常コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)と相変化し、スメクチックA相(SmA)を経由しない強誘電性液晶が用いられる。
強誘電性液晶は、ネマチック液晶に比べて分子の秩序性が高いために配向が難しく、ジグザグ欠陥やヘアピン欠陥と呼ばれる欠陥が発生しやすく、このような欠陥は、光漏れによるコントラスト低下の原因になる。特に、SmA相を経由しない強誘電性液晶は、層法線方向の異なる二つの領域(以下、これを「ダブルドメイン」と称する。)が発生する(図4)。このようなダブルドメインは、駆動時に白黒反転した表示になり、大きな問題となる(図5)。ダブルドメインを改善する方法として、液晶セルをコレステリック相以上の温度に加熱し、直流電圧を印加したまま徐々に冷却する電界印加徐冷法が知られているが(非特許文献2)、この方法では、再度相転移点以上に温度が上がると配向乱れが生じてしまい、また、画素電極の間の電界が作用しない部分で配向乱れが発生する等の問題がある。
液晶の配向処理技術としては、配向膜を用いるものがあり、その方法としてはラビング法と光配向法とがある。ラビング法は、ポリイミド膜をコートした基板をラビング処理してポリイミド高分子鎖をラビング方向に配向させることによりその膜上の液晶分子を配向させるものである。ラビング法は、ネマチック液晶の配向制御に優れており、一般に工業的にも用いられている技術である。また、光配向法は、高分子または単分子に偏光を制御した光を照射し、光励起反応(分解、異性化、二量化)を生じさせて高分子膜に異方性を付与することによりその膜上の液晶分子を配向させるものである。しかしながら、どちらの方法を用いてもダブルドメインの発生を抑制することは困難であり、モノドメイン配向を得ることは難しい。
また、単安定性を有するものではないが、強誘電性液晶の配向欠陥を改善する方法として、特許文献1には、上下の配向膜に光配向処理を施した後、それぞれの配向膜上にネマチック液晶を塗布して配向させ固定化することによりネマチック液晶層を形成し、このネマチック液晶層を配向膜として作用させることにより、強誘電性液晶を配向させる方法が開示されている。しかしながら、この方法は単安定性を有する強誘電性液晶の配向欠陥の発生を抑制するものではなく、ダブルドメインを改善する方法については述べられていない。
一方、近年、フルカラーの液晶表示素子の開発が活発に行われている。カラー表示を実現する方法としては、一般にカラーフィルタ方式とフィールドシーケンシャルカラー方式がある。カラーフィルタ方式は、バックライトとして白色光源を用い、R・G・Bのマイクロカラーフィルタを各画素に付随させることによりカラー表示を実現させるものである。これに対し、フィールドシーケンシャルカラー方式は、バックライトをR・G・B・R・G・B…と時間的に切り替え、それに同期させて強誘電性液晶の白黒シャッターを開閉し、網膜の残像効果により色を時間的に混合させ、これによりカラー表示を実現させるものである。このフィールドシーケンシャルカラー方式は、1画素でカラー表示ができ、透過率の低いカラーフィルタを用いなくてすむので、カラー表示の高精細化が可能となり、低消費電力および低コストを実現することができる点で有用である。しかしながら、フィールドシーケンシャルカラー方式は1画素を時間分割するものであるので、良好な動画表示特性を得るためには白黒シャッターとしての液晶が高速応答性を有していることが必要である。強誘電性液晶を用いればこの課題は解決しうるが、上述のように強誘電性液晶は配向欠陥が生じやすいという問題があり、実用化には至っていない。
特表2002−532755号公報 NONAKA, T., LI, J., OGAWA, A., HORNUNG, B., SCHMIDT, W., WINGEN, R., and DUBAL, H., 1999, Liq. Cryst., 26, 1599. PATEL, J., and GOODBY, J. W., 1986, J. Appl. Phys., 59, 2355.
本発明は、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子において、ダブルドメイン等の配向欠陥が形成されることなく強誘電性液晶のモノドメイン配向を得ることができ、相転移温度以上に昇温しても配向の乱れが生じにくい配向安定性に優れた液晶表示素子を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、第1基板と、上記第1基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第1配向膜と、上記第1配向膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなる反応性液晶層とを有する反応性液晶側基板、および、第2基板と、上記第2基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第2配向膜とを有する対向基板を、上記反応性液晶側基板の反応性液晶層と上記対向基板の第2配向膜とが向かい合うように配置し、上記反応性液晶側基板および上記対向基板間に強誘電性液晶を挟持してなることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
本発明によれば、反応性液晶層は、第1配向膜により配向した反応性液晶を固定化してなるものであるので、強誘電性液晶を配向させるための配向膜として機能することができる。また、反応性液晶は、強誘電性液晶と構造が比較的類似していることから、強誘電性液晶との相互作用が強くなり、配向膜のみを用いた場合よりも効果的に強誘電性液晶の配向を制御することができる。したがって、第1配向膜上に反応性液晶層を形成することにより、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制し、強誘電性液晶のモノドメイン配向を得ることができる。また、電圧印加徐冷方式によらずに、配向膜および反応性液晶層を用いて配向処理を行うものであるので、相転移温度以上に昇温してもその配向を維持し、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制することができるという利点を有する。
また本発明においては、上記第2配向膜上に、反応性液晶を固定化してなる第2反応性液晶層が形成されていてもよく、この場合、上記反応性液晶層を構成する反応性液晶および上記第2反応性液晶層を構成する反応性液晶は、異なる組成であることが好ましい。反応性液晶は、上述したように配向膜のみを用いた場合よりも効果的に強誘電性液晶の配向を制御することができるからである。また、上記反応性液晶層を構成する反応性液晶および上記第2反応性液晶層を構成する反応性液晶が異なる組成であることにより、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制し、強誘電性液晶のモノドメイン配向を得ることができるからである。
上記発明においては、上記反応性液晶層は、ネマチック相を発現するものであることが好ましい。ネマチック相は、液晶相の中でも配向制御が比較的容易であるからである。
また上記発明においては、上記反応性液晶は、重合性液晶モノマーを有することが好ましい。重合性液晶モノマーは、他の重合性液晶材料、すなわち重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度も高く、容易に配向させることができるからである。
さらに上記発明においては、上記重合性液晶モノマーは、モノアクリレートモノマーまたはジアクリレートモノマーであることが好ましい。モノアクリレートモノマーまたはジアクリレートモノマーは、配向状態を良好に維持したまま容易に重合させることができるからである。
さらにまた上記発明においては、上記ジアクリレートモノマーは、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2005258428
ここで、式中のXは、水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、ホルミル、炭素数1〜20のアルキルカルボニル、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロを表し、mは2〜20の範囲内の整数を表す。
また上記発明においては、上記ジアクリレートモノマーは、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2005258428
ここで、式中のZ21およびZ22は、各々独立して直接結合している−COO−、−OCO−、−O−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−を表し、mは0または1を表し、nは2〜8の範囲内の整数を表す。
また本発明においては、上記第1配向膜および上記第2配向膜が、光配向膜であることが好ましい。光配向膜を形成する際の光配向処理は、非接触配向処理であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用であるからである。
さらに本発明においては、上記強誘電性液晶は、単安定性を示すものであることが好ましい。強誘電性液晶として単安定性を示すものを用いることにより、種々の用途に効果的に用いることができるからである。
また本発明においては、上記強誘電性液晶は、相系列にスメクチックA相を持たないものであることが好ましい。上述したように、相系列にスメクチックA相を持たない強誘電性液晶は、ダブルドメイン等の配向欠陥を生じやすいが、反応性液晶層と第2配向膜との間に強誘電性液晶を挟むことにより、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制することができ、本発明に用いることにより顕著な効果を奏するからである。
さらに本発明においては、上記強誘電性液晶は、単一相を構成するものであることが好ましい。本発明の液晶表示素子は、単一相の強誘電性液晶を用いても良好な配向を得ることができ、配向を制御するために、高分子安定化法などの手法を用いる必要がなく、製造プロセスが容易となり、駆動電圧を低くすることができるという利点を有するからである。
また、本発明の液晶表示素子は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式により駆動させることが好ましい。TFT素子を用いたアクティブマトリックス方式を採用することにより、目的の画素を確実に点灯、消灯できるため高品質なディスプレイが可能となるからである。さらに、一方の基板上にTFT素子をマトリックス状に配置してなるTFT基板と、他方の基板上の表示部全域に共通電極を形成してなる共通電極基板とを組み合わせ、上記共通電極基板の共通電極と基板との間にTFT素子のマトリックス配置させたマイクロカラーフィルタを形成し、カラーの液晶表示素子として用いることもできる。
さらに、本発明の液晶表示素子は、フィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させることが好ましい。上記液晶表示素子は、応答速度が速く、配向欠陥を生じることなく強誘電性液晶を配向させることができるので、フィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させることにより、視野角が広く、高精細なフルカラーの動画表示を実現することができるからである。
本発明の液晶表示素子は、ジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥やダブルドメイン等の配向欠陥が形成されることなく強誘電性液晶を配向させることができ、相転移温度以上に昇温しても配向の乱れが生じにくい配向安定性に優れた液晶表示素子を得ることができるといった効果を奏する。
以下、本発明の液晶表示素子について詳細に説明する。
本発明の液晶表示素子は、第1基板と、上記第1基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第1配向膜と、上記第1配向膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなる反応性液晶層とを有する反応性液晶側基板、および、第2基板と、上記第2基板上に形成された電極層と、上記電極層上に形成された第2配向膜とを有する対向基板を、上記反応性液晶側基板の反応性液晶層と上記対向基板の第2配向膜とが向かい合うように配置し、上記反応性液晶側基板および上記対向基板間に強誘電性液晶を挟持してなることを特徴とするものである。
このような本発明の液晶表示素子について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の液晶表示素子は、第1基板1aと、この第1基板1a上に形成された電極層2aと、この電極層2a上に形成された第1配向膜3aと、この第1配向膜3a上に形成された反応性液晶層4とを有する反応性液晶側基板11、および、第2基板1bと、この第2基板1b上に形成された電極層2bと、この電極層2b上に形成された第2配向膜3bとを有する対向基板12を有している。さらに、反応性液晶側基板11の反応性液晶層4と対向基板12の第2配向膜3bとの間には強誘電性液晶が挟持され、液晶層5が構成されている。
また、反応性液晶層4は第1配向膜3a上に形成されることから、反応性液晶層4を構成する反応性液晶は上記第1配向膜3aにより配向しており、この反応性液晶を例えば紫外線により重合させて反応性液晶の配向状態を固定化することにより反応性液晶層4が形成されている。このように、反応性液晶層4は反応性液晶の配向状態が固定化されているものであるので、液晶層5を構成する強誘電性液晶を配向させる配向膜としての作用を有することとなる。さらに、反応性液晶層を構成する反応性液晶は、強誘電性液晶と構造が比較的類似していることから、強誘電性液晶との相互作用が強くなるため、配向膜のみを用いた場合よりも効果的に配向を制御することができる。
本発明の液晶表示素子は、このように上下の配向膜の一方に反応性液晶層を形成することにより、ダブルドメイン等の配向欠陥が形成されることなく強誘電性液晶を配向させることができるという効果を奏する。また、電圧印加徐冷方式によらずに、配向膜および反応性液晶層を用いて配向処理を行うものであるので、相転移温度以上に昇温してもその配向を維持し、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制することができるという利点を有する。
また、本発明の液晶表示素子は、例えば図1に示すように、第1基板1aおよび第2基板1bの外側には偏光板6a、6bが設けられていてもよく、これにより入射光が直線偏光となり液晶分子の配向方向に偏光した光のみを透過させることができる。上記偏光板6aおよび6bは、偏光方向が90°ねじれて配置されている。これにより、電圧非印加状態と印加状態における液晶分子の光軸の方向や複屈折率の大きさを制御し、強誘電性液晶分子を白黒シャッターとして用いることにより、明状態と暗状態をつくることができる。例えば、電圧非印加状態では、偏光板6aを液晶分子の配向と揃うように設置することにより、偏光板6aを透過した光は、偏光方向を90°回転することができず、偏光板6bにより遮断され、暗状態となる。これに対し、電圧印加状態では、液晶分子の配向を偏光板6a、6bに対し角度θ(望ましくはθ=45°)を持つように設置することにより、液晶分子により光の偏光方向が90°ねじれて偏光板6bを透過し、明状態となる。このように本発明の液晶表示素子は、強誘電性液晶を白黒シャッターとして用いるものであるので、応答速度を速くすることができるという利点を有する。
また、本発明の液晶表示素子は、例えば図2に示すように、対向基板12を薄膜トランジスタ(TFT)7がマトリックス状に配置されたTFT基板とし、反応性液晶側基板11を共通電極8aが全域に形成された共通電極基板として、この2つの基板を組み合わせたものであることが好ましい。このようなTFTを用いたアクティブマトリックス方式の液晶表示素子について以下に説明する。
図2においては、反応性液晶側基板11は電極層が共通電極8aであり、共通電極基板となっており、一方、対向基板12は電極層がx電極8b、y電極8cおよび画素電極8dから構成され、TFT基板となっている。このような液晶表示素子において、x電極8bおよびy電極8cはそれぞれ縦横に配列しているものであり、これらの電極に信号を加えることによりTFT素子7を作動させ、強誘電性液晶を駆動させることができる。x電極8bおよびy電極8cが交差した部分は、図示しないが絶縁層で絶縁されており、x電極8bの信号とy電極8cの信号とは独立に動作することができる。x電極8bおよびy電極8cにより囲まれた部分は、本発明の液晶表示素子を駆動する最小単位である画素であり、各画素には少なくとも1つ以上のTFT素子7および画素電極8dが形成されている。本発明の液晶表示素子では、x電極8bおよびy電極8cに順次信号電圧を加えることにより、各画素のTFT素子7を動作させることができる。なお、図2においては液晶層および第2配向膜を省略している。
さらに、本発明の液晶表示素子は、上記共通電極8aと第1基板1aとの間にTFT素子をマトリックス状に配置させたマイクロカラーフィルタを形成し、カラーディスプレイとして用いることもできる。
図2においては共通電極8aが形成されている側を反応性液晶側基板11、TFT素子7や画素電極8d等が形成されている側を対向基板12としているが、本発明の液晶表示素子はこのような構成に限定されるものではなく、共通電極が形成されている側を対向基板とし、TFT素子や画素電極等が形成されている側を反応性液晶側基板としてもよい。
このような本発明の液晶表示素子の各構成部材について以下に詳細に説明する。
1.液晶表示素子の構成部材
(1)反応性液晶側基板
まず、反応性液晶側基板について説明する。本発明における反応性液晶側基板は、第1基板と、この第1基板上に形成された電極層と、この電極層上に形成された第1配向膜と、この第1配向膜上に形成された反応性液晶層とを有するものである。以下、このような反応性液晶側基板の各構成について説明する。
(i)反応性液晶層
本発明に用いられる反応性液晶層は、第1配向膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなるものである。反応性液晶は、第1配向膜により配向しており、例えば紫外線を照射して反応性液晶を重合させ、その配向状態を固定化することにより反応性液晶層が形成される。このように本発明において、反応性液晶層は反応性液晶の配向状態を固定化してなるものであるので、強誘電性液晶を配向させるための配向膜として機能することができる。また、反応性液晶は固定化されているため、温度等の影響を受けないという利点を有する。さらに、反応性液晶は、強誘電性液晶と構造が比較的類似しており、強誘電性液晶との相互作用が強くなるため、配向膜のみを用いた場合よりも効果的に強誘電性液晶の配向を制御することができる。
このような反応性液晶としては、ネマチック相を発現するものであることが好ましい。ネマチック相は、液晶相の中でも配向制御が比較的容易であるからである。
また、反応性液晶は、重合性液晶材料を有することが好ましい。これにより、反応性液晶の配向状態を固定化することが可能になるからである。重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、および重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができるが、本発明においては、重合性液晶モノマーが好適に用いられる。重合性液晶モノマーは、他の重合性液晶材料、すなわち重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度も高く、容易に配向させることができるからである。
上記重合性液晶モノマーとしては、重合性官能基を有する液晶モノマーであれば特に限定はされなく、例えばモノアクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー等が挙げられる。また、これらの重合性液晶モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
モノアクリレートモノマーとしては、例えば下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2005258428
上記式において、A、B、D、EおよびFはベンゼン、シクロヘキサンまたはピリミジンを表し、これらはハロゲン等の置換基を有していてもよい。また、AおよびB、あるいはDおよびEは、アセチレン基、メチレン基、エステル基等の結合基を介して結合していてもよい。MおよびMは、水素原子、炭素数3〜9のアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニル基、またはシアノ基のいずれであってもよい。さらに、分子鎖末端のアクリロイルオキシ基とAまたはDとは、炭素数3〜6のアルキレン基等のスペーサーを介して結合していてもよい。
また、ジアクリレートモノマーとしては、例えば下記式に示すような化合物を挙げることができる。
Figure 2005258428
Figure 2005258428
上記式において、XおよびYは、水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、ホルミル、炭素数1〜20のアルキルカルボニル、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロを表す。また、mは2〜20の範囲内の整数を表す。
さらに、ジアクリレートモノマーとしては、例えば下記式に示すような化合物を挙げることもできる。
Figure 2005258428
上記式において、Z21およびZ22は、各々独立して直接結合している−COO−、−OCO−、−O−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−を表す。また、mは0または1を表し、nは2〜8の範囲内の整数を表す。
本発明においては、中でも上記式(1)および上記式(2)で表される化合物が好適に用いられる。また、上記式(1)に示す化合物の場合、Xとしては、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、メチルまたは塩素であることが好ましく、中でも炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、特にCH(CHOCOであることが好ましい。
本発明に用いられる重合性液晶モノマーは、上記の中でもジアクリレートモノマーであることが好ましい。ジアクリレートモノマーは、配向状態を良好に維持したまま容易に重合させることができるからである。
上述した重合性液晶モノマーはそれ自体がネマチック相を発現するものでなくてもよい。本発明において、これらの重合性液晶モノマーは上述したように2種以上を混合して用いてもよいものであり、これらを混合した組成物すなわち反応性液晶が、ネマチック相を発現するものであればよいからである。
さらに本発明においては、必要に応じて上記反応性液晶に光重合開始剤や重合禁止剤を添加してもよい。例えば、電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合はあるが、一般的に用いられている例えば紫外線照射による重合の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられるからである。
本発明に用いることができる光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
このような光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲で上記反応性液晶に添加することができる。
本発明に用いられる反応性液晶層の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3nm〜100nmの範囲内である。反応性液晶層が上記範囲を超えて厚くなると必要以上の異方性が生じてしまい、また上記範囲より薄いと所定の異方性が得られない場合があるからである。したがって、反応性液晶層の厚みは、必要な異方性に準じて決定すればよい。
次に、反応性液晶層の形成方法について説明する。反応性液晶層は、第1配向膜上に上記反応性液晶を含む反応性液晶層用塗工液を塗布し、配向処理を行い、上記反応性液晶の配向状態を固定化することにより形成することができる。
また、反応性液晶層用塗工液を塗布するのではなく、ドライフィルム等を予め形成し、これを第1配向膜上に積層する方法も用いることができるが、本発明においては、反応性液晶を溶媒に溶解させて反応性液晶層用塗工液を調製し、これを第1配向膜上に塗布し、溶媒を除去する方法を用いることが好ましい。この方法は、工程上比較的簡便であるからである。
上記反応性液晶層用塗工液に用いる溶媒としては、上記反応性液晶等を溶解することができ、かつ第1配向膜の配向能を阻害しないものであれば特に限定はされない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ類等の1種または2種以上が使用可能である。
また、単一種の溶媒を使用しただけでは、上記反応性液晶等の溶解性が不十分であったり、上述したように第1配向膜が侵食されたりする場合がある。しかしながら、2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記の溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素類とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール系溶媒との混合系である。反応性液晶層用塗工液の濃度は、反応性液晶の溶解性や、形成しようとする反応性液晶層の厚みに依存するため一概には規定できないが、通常は0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲で調整される。反応性液晶層用塗工液の濃度が上記範囲より低いと、反応性液晶が配向しにくくなる可能性があり、逆に反応性液晶層用塗工液の濃度が上記範囲より高いと、反応性液晶層用塗工液の粘度が高くなるので均一な塗膜を形成しにくくなる場合があるからである。
さらに、上記反応性液晶層用塗工液には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。上記反応性液晶に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択される。これらの化合物の添加により、反応性液晶の硬化性が向上し、得られる反応性液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
このような反応性液晶層用塗工液を塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップコート法、カーテンコート法(ダイコート法)、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、押し出しコート法等が挙げられる。
また、上記反応性液晶層用塗工液を塗布した後は、溶媒を除去するのであるが、この溶媒の除去は、例えば、減圧除去もしくは加熱除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。
本発明においては、上述したように塗布された反応性液晶を、第1配向膜により配向させて液晶規則性を有する状態とする。すなわち、反応性液晶にネマチック相を発現させる。これは、通常はN−I転移点以下で熱処理する方法等の方法により行われる。ここで、N−I転移点とは、液晶相から等方相へ転移する温度を示すものである。
上述したように、反応性液晶は重合性液晶材料を有するものであり、このような重合性液晶材料の配向状態を固定化するには、重合を活性化する活性放射線を照射する方法が用いられる。ここでいう活性放射線とは、重合性液晶材料に対して重合を起こさせる能力がある放射線をいい、必要であれば重合性液晶材料内に光重合開始剤が含まれていてもよい。
このような活性放射線としては、重合性液晶材料を重合させることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nm、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照射光が用いられる。
本発明においては、光重合開始剤が紫外線でラジカルを発生し、重合性液晶材料がラジカル重合するような重合性液晶材料に対して、紫外線を活性放射線として照射する方法が好ましい方法であるといえる。活性放射線として紫外線を用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる光重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易であるからである。
この照射光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ等の使用が推奨される。また、照射強度は、反応性液晶の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜調整されて照射される。
このような活性照射線の照射は、上記重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。一旦液晶相となった重合性液晶材料は、その後温度を低下させても、配向状態が急に乱れることはないからである。
なお、重合性液晶材料の配向状態を固定化する方法としては、上記の活性放射線を照射する方法以外にも、加熱して重合性液晶材料を重合させる方法も用いることができる。この場合に用いられる反応性液晶としては、反応性液晶のN−I転移点以下で、反応性液晶に含有される重合性液晶モノマーが熱重合するものであることが好ましい。
(ii)第1配向膜
次に、本発明に用いられる第1配向膜について説明する。本発明に用いられる第1配向膜としては、上記反応性液晶を配向させることができ、さらに上記反応性液晶の配向状態を固定化する際に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定はされない。例えばラビング処理、光配向処理等を施したものを用いることができるが、本発明においては光配向処理を施した光配向膜を用いることが好ましい。光配向処理は非接触配向処理であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用であるからである。
なお、光配向膜の構成材料、および光配向処理方法等に関しては、後述する対向基板の第2配向膜の欄に記載するため、ここでの説明は省略する。
(iii)第1基板
次に、本発明に用いられる第1基板について説明する。本発明に用いる第1基板は、一般に液晶表示素子の基板として用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えばガラス板、プラスチック板などが好ましく挙げられる。上記第1基板の表面粗さ(RSM値)は、10nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以下、さらに好ましくは1nm以下の範囲内である。なお、本発明において上記表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM:ATOMIC FORCE MICROSCOPE)により測定することができる。
(iv)電極層
次に、本発明に用いられる電極層について説明する。本発明に用いる電極層は、一般に液晶表示素子の電極として用いられているものであれば特に限定されるものではないが、反応性液晶側基板および対向基板の電極層のうち少なくとも一方が透明導電体で形成されることが好ましい。透明導電体材料としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等が好ましく挙げられる。本発明の液晶表示素子を、TFTを用いたアクティブマトリックス方式の液晶表示素子とする場合には、反応性液晶側基板および対向基板の電極層のうち、一方を上記透明導電体で形成される全面共通電極とし、他方にはx電極とy電極をマトリックス状に配列し、x電極とy電極で囲まれた部分にTFT素子および画素電極を配置する。この場合に、画素電極、TFT素子、x電極およびy電極により形成される電極層の凹凸部の差は、0.2μm以下であることが好ましい。電極層の凹凸部の差が0.2μmを超えると、配向乱れを生じやすいからである。
上記電極層は、上記第1基板上にCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着方法により透明導電膜を形成することができ、これをマトリックス状にパターニングすることによりx電極およびy電極を形成することができる。
(2)対向基板
次に、本発明に用いられる対向基板について説明する。本発明における対向基板は、第2基板と、この第2基板上に形成された電極層と、この電極層上に形成された第2配向膜とを有するものである。以下、このような対向基板の各構成について説明する。なお、第2基板に関しては上記反応性液晶側基板の第1基板の欄に記載したものと同様であり、電極層に関しては上記反応性液晶側基板の電極層の欄に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(i)第2配向膜
本発明に用いられる第2配向膜としては、強誘電性液晶を配向させることができるものであれば特に限定はされなく、例えばラビング処理、光配向処理等を施したものを用いることができるが、本発明においては光配向処理を施した光配向膜を用いることが好ましい。光配向処理は非接触配向処理であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用であるからである。以下、このような光配向膜について説明する。
(光配向膜)
光配向膜は、後述する光配向膜の構成材料を塗布した基板に偏光を制御した光を照射し、光励起反応(分解、異性化、二量化)を生じさせて得られた膜に異方性を付与することによりその膜上の液晶分子を配向させるものである。
本発明に用いられる光配向膜の構成材料は、光を照射して光励起反応を生じることにより、強誘電性液晶を配向させる効果(光配列性:photoaligning)を有するものであれば特に限定されるものではなく、このような材料としては、大きく、分子の形状のみが変化し可逆的な配向変化が可能な光異性化型と、分子そのものが変化する光反応型とに分けることができる。
ここで、光異性化反応とは、光照射により単一の化合物が他の異性体に変化する現象をいう。このような光異性化型材料を用いることにより、光照射により、複数の異性体のうち安定な異性体が増加し、それにより光配向膜に容易に異方性を付与することができる。
また、上記光反応は、光照射により分子そのものが変化し、光配向膜の光配列性に異方性を付与することができるものであればよいが、光配向膜への異方性の付与がより容易となることから、光二量化反応または光分解反応であることが好ましい。ここで、光二量化反応とは、光照射により偏光方向に配向した反応部位がラジカル重合して分子2個が重合する反応をいう。この反応により偏光方向の配向を安定化し、光配向膜に異方性を付与することができる。一方、光分解反応とは、光照射により偏光方向に配向したポリイミドなどの分子鎖を分解する反応をいう。この反応により偏光方向に垂直な方向に配向した分子鎖を残し、光配向膜に異方性を付与することができる。
本発明においては、光配向膜の構成材料として、上記のなかでも、光二量化反応または光分解反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光反応型の材料を用いることが好ましい。
上記光配向膜の構成材料が光励起反応を生じる光の波長領域は、紫外光域の範囲内、すなわち10nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、250nm〜380nmの範囲内であることがより好ましい。
光異性化型材料としては、光異性化反応により光配向膜に異方性を付与することができる材料であれば特に限定されるものではないが、偏光方向により吸収を異にする二色性を有し、かつ、光照射により異性化反応を生じる光異性化反応性化合物を含むことが好ましい。このような特性を有する光異性化反応性化合物の偏光方向に配向した反応部位の異性化を生じさせることにより、上記光配向膜に容易に異方性を付与することができる。
上記光異性化反応性化合物において、上記異性化反応は、シス−トランス異性化反応であることが好ましい。光照射によりシス体またはトランス体のいずれかの異性体が増加し、それにより光配向膜に異方性を付与することができるからである。
本発明に用いられる光異性化反応性化合物としては、単分子化合物、または、光もしくは熱により重合する重合性モノマーを挙げることができる。これらは、用いられる強誘電性液晶の種類に応じて適宜選択すればよいが、光照射により光配向膜に異方性を付与した後、ポリマー化することにより、その異方性を安定化することができることから、重合性モノマーを用いることが好ましい。このような重合性モノマーのなかでも、光配向膜に異方性を付与した後、その異方性を良好な状態に維持したまま容易にポリマー化できることから、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーであることが好ましい。
このような光異性化反応性化合物としては、具体的には、アゾベンゼン骨格やスチルベン骨格などのシス−トランス異性化反応性骨格を有する化合物を挙げることができる。
上述したような単分子化合物または重合性モノマーの光異性化反応性化合物のなかでも、本発明に用いられる光異性化反応性化合物としては、分子内にアゾベンゼン骨格を有する化合物であることが好ましい。アゾベンゼン骨格は、π電子を多く含むため、液晶分子との相互作用が高く、強誘電性液晶の配向制御に特に適しているからである。
また、光二量化反応を利用した光反応型の材料としては、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与することができる材料であれば特に限定されるものではないが、ラジカル重合性の官能基を有し、かつ、偏光方向により吸収を異にする二色性を有する光二量化反応性化合物を含むことが好ましい。偏光方向に配向した反応部位をラジカル重合することにより、光二量化反応性化合物の配向が安定化し、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
このような特性を有する光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基およびシンナモイル基から選ばれる少なくとも1種の反応部位を有する二量化反応性ポリマーを挙げることができる。これらのなかでも光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリンまたはキノリンのいずれかを含む二量化反応性ポリマーであることが好ましい。偏光方向に配向したα、β不飽和ケトンの二重結合が反応部位となってラジカル重合することにより、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
上記二量化反応性ポリマーの主鎖としては、ポリマー主鎖として一般に知られているものであれば特に限定されるものではないが、芳香族炭化水素基などの、上記側鎖の反応部位同士の相互作用を妨げるようなπ電子を多く含む置換基を有していないものであることが好ましい。
さらに、光分解反応を利用した光反応型の材料としては、例えば日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」などを挙げることができる。
また、本発明に用いられる光配向膜の構成材料は、光配向膜の光配列性を妨げない範囲内で添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。
次に、光配向処理方法について説明する。まず、電極層が設けられた第2基板の液晶層と対向する面上に、上述の光配向膜の構成材料を有機溶剤で希釈した塗工液を塗布し、乾燥させる。この場合に、塗工液中の光二量化反応性化合物または光異性化反応性化合物の含有量は、0.05重量%〜10重量%の範囲内であることが好ましく、0.2重量%〜2重量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が上記範囲より小さいと、配向膜に適度な異方性を付与することが困難となり、逆に含有量が上記範囲より大きいと、塗工液の粘度が高くなるので均一な塗膜を形成しにくくなるからである。
塗布法としては、スピンコート法、ロールコート法、ロッドバーコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、スロットダイコート法、ワイヤーバーコート法などを用いることができる。
上記構成材料を塗布することにより得られる膜の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3nm〜100nmの範囲内である。膜の厚みが上記範囲より薄いと十分な光配列性を得ることができない可能性があり、逆に厚みが上記範囲より厚いとコスト的に不利になる場合があるからである。
得られた膜は、偏光を制御した光を照射することにより、光励起反応を生じさせて異方性を付与することができる。照射する光の波長領域は、用いられる光配向膜の構成材料に応じて適宜選択すればよいが、紫外光域の範囲内、すなわち100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは250nm〜380nmの範囲内である。
偏光方向は、上記光励起反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではないが、強誘電性液晶の配向状態を良好なものとすることができることから第1配向膜および第2配向膜共に基板面に対して斜め0°〜45°の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは20°〜45°の範囲内とする。
さらに、光配向膜の構成材料として、上記の光異性化反応性化合物の中でも重合性モノマーを用いた場合には、光配向処理を行った後、加熱することにより、ポリマー化し、光配向膜に付与された異方性を安定化することができる。
(ii)第2反応性液晶層
本発明においては、上記第2配向膜上に、反応性液晶を固定化してなる第2反応性液晶層が形成されていてもよい。この場合、上記反応性液晶側基板の反応性液晶層を構成する反応性液晶と、対向基板の第2反応性液晶層を構成する反応性液晶とは、異なる組成であることが好ましい。反応性液晶は、上述したように、配向膜のみを用いた場合よりも効果的に強誘電性液晶の配向を制御することができるからである。また、上記反応性液晶層を構成する反応性液晶および上記第2反応性液晶層を構成する反応性液晶が異なる組成であることにより、ダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制し、強誘電性液晶のモノドメイン配向を得ることができるからである。
なお、第2反応性液晶層に用いられる反応性液晶、および第2反応性液晶層の形成方法等については、上述した「(1)反応性液晶側基板 (i)反応性液晶層」の欄に記載したものと同様である。
本発明においては、上述した重合性モノマーの重合性官能基や置換基を種々選択することにより、上記反応性液晶層を構成する反応性液晶および上記第2反応性液晶層を構成する反応性液晶の組成を異なるものとすることができる。この場合に、上記2つの反応性液晶に用いられる重合性モノマーの重合性官能基は同じであっても異なっていてもよい。また本発明においては、重合性モノマーを2種以上組み合わせて用いることもでき、それらの組み合わせを変えることによっても、組成を変化させることが可能である。さらに、同一の組み合わせを用いる場合でも、それぞれの重合性モノマーの含有量を変化させることにより、組成を異なるものとすることができる。
(3)液晶層
次に、本発明に用いられる液晶層について説明する。本発明における液晶層は、強誘電性液晶を上記反応性液晶層および上記第2配向膜により挟持させることにより構成されている。上記液晶層に用いる強誘電性液晶は、カイラルスメクチックC相(SmC)を発現するものであれば特に限定されるものではないが、強誘電性液晶の相系列が、ネマチック相(N)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、またはネマチック相(N)−カイラルスメクチックC相(SmC)と相変化し、スメクチックA相(SmA)を経由しない材料であることが好ましい。
本発明の液晶表示素子をフィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させる場合には、スメクチックA相を経由しない、単安定性を有する液晶材料を用いることが好ましい。ここで、単安定性とは、上述したように電圧非印加時に1つの安定状態のみを有する性質をいい、特に、正負いずれかの電圧を印加したときにのみ液晶分子が動作するハーフV字駆動するものが、白黒シャッターの開口時間を長くとることができ、明るいフルカラー表示を実現することができる点で好ましい。
また、本発明においては、このようなスメクチックA相を経由しない、単安定性を有する液晶材料を用いることにより、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式による駆動が可能になり、また、電圧変調により階調制御が可能になり、高精細で高品位の表示を実現することができる。
また、本発明に用いられる強誘電性液晶としては、単一相を構成するものであることが好ましい。ここで単一相を構成するとは、高分子安定化法やポリマー安定化法などのように、ポリマーネットワークが形成されていないことをいう。このように、単一相の強誘電性液晶を用いることにより、製造プロセスが容易となり、駆動電圧を低くすることができるという利点がある。
上記強誘電性液晶で構成される液晶層の厚みは、1.2μm〜3.0μmの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは1.3μm〜2.5μm、さらに好ましくは1.4μm〜2.0μmの範囲内である。液晶層の厚みが薄すぎるとコントラストが低下するおそれがあり、逆に液晶層の厚みが厚すぎると強誘電性液晶が配向しにくくなる可能性があるからである。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができる。例えば、あらかじめ反応性液晶側基板および対向基板を作成した液晶セルに、上記強誘電性液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。上記液晶層の厚みは、ビーズなどのスペーサーにより調整することができる。
(4)偏光板
次に、本発明に用いられる偏光板について説明する。本発明における偏光板は、光の波動のうち特定方向のみを透過させるものであれば特に限定されるものではなく、一般に液晶表示素子の偏光板として用いられているものを使用することができる。
2.液晶表示素子の製造方法
次に、本発明の液晶表示素子の製造方法について説明する。本発明の液晶表示素子は、液晶表示素子の製造方法として一般に用いられる方法により製造することができる。以下、本発明の液晶表示素子の製造方法の一例として、TFT素子を用いたアクティブマトリックス方式の液晶表示素子の製造方法について説明する。
まず、第1基板上に上述した蒸着方法により透明導電膜を形成し、全面共通電極とする。さらに、共通電極上に光配向膜材料を塗布し、光配向処理を施して第1配向膜を形成する。この第1配向膜上に反応性液晶層用塗工液を塗布し、反応性液晶を配向させて固定化することにより反応性液晶層を形成し、反応性液晶側基板とする。また、第2基板上には、透明導電膜をマトリックス上にパターニングすることによりx電極、y電極を形成し、スイッチング素子および画素電極を設置する。さらに、x電極、y電極、スイッチング素子および画素電極上に光配向膜材料を塗布し、光配向処理を施して第2配向膜を形成し、対向基板とする。このようにして形成した対向基板の第2配向膜上にスペーサーとしてビーズを分散させ、周囲にシール剤を塗布して反応性液晶側基板の反応性液晶層と対向基板の光配向膜とが対向するように貼り合わせ、熱圧着させる。そして、注入口からキャピラリー効果を利用して強誘電性液晶を等方性液体の状態で注入し、注入口を紫外線硬化樹脂等により封鎖する。その後、強誘電性液晶は徐冷することにより配向させることができる。このようにして得られた液晶セルの上下に偏光板を貼り付けることにより本発明の液晶表示素子を得ることができる。
3.液晶表示素子の用途
次に、本発明の液晶表示素子の用途について説明する。本発明の液晶表示素子は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式により駆動させることが好ましく、さらにカラーフィルタ方式またはフィールドシーケンシャルカラー方式を採用することによりカラーの液晶表示素子とすることができる。本発明においては、TFT基板側または共通電極基板側にマイクロカラーフィルタを配置することにより、カラー表示が可能であるが、強誘電性液晶の高速応答性を利用することにより、マイクロカラーフィルタを用いることなく、LED光源と組み合わせてフィールドシーケンシャルカラー方式によるカラー表示が可能になる。また、本発明の液晶表示素子を用いたカラーの液晶表示素子は、配向欠陥を生じることなく強誘電性液晶を配向させることができるので、視野角が広く、高速応答性を有し、高精細なカラー表示を実現することができる。
これらのなかでも、本発明の液晶表示素子は、フィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させることが好ましい。上述したように、フィールドシーケンシャルカラー方式は、1画素を時間分割するものであり、良好な動画表示特性を得るためには高速応答性を特に必要とするからである。
この場合に、強誘電性液晶としては、コレステリック相からスメクチックA相を経由しないでカイラルスメクチックC相を発現する単安定特性を有する材料を用いることが好ましい。このような材料は、正の電圧印加時と負の電圧印加時における液晶分子の長軸方向の傾きが同じ方向であり、印加電圧に対する光透過率が非対称な電気光学特性を示すものである。この特性を、本明細書においては、half−V shaped switching(HV字型スイッチング)と称する。このようなHV字型スイッチング特性を示す材料を用いることにより、白黒シャッターとしての開口時間を十分に長くとることができる。それにより時間的に切り替えられる各色をより明るく表示することができ、明るいフルカラーの液晶表示素子を実現することができる。
上記強誘電性液晶が単安定性を示す場合、本発明の液晶表示素子は、基本的にはTFTを用いたアクティブマトリックス方式により駆動させるが、セグメント方式による駆動も可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
配向膜の材料としては、下記式Iで表される化合物Aを用い、反応性液晶層の液晶材料としては、下記式IIで表される化合物Bを用いた。
Figure 2005258428
シクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Aの溶液をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で基板面に対して30°の角度より100mJ/cm露光した。さらに、片方の基板にシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Bの溶液を回転数4000rpmで30秒スピンコーティングして積層し、55℃で3分間乾燥させた後、無偏光紫外線を55℃で1000mJ/cm露光した。その後、片方の基板に1.5μmのスペーサーを散布し、もう片方の基板にシール材をシールディスペンサーで塗布した。基板を偏光UV照射方向と平行で、かつアンチパラレルの状態に組み立て、熱圧着を行った。液晶は「R2301」(クラリアント社製)を用い、注入口上部に液晶を付着し、オーブンを用いて、ネマチック相−等方相転移温度より10℃〜20℃高い温度で注入を行いゆっくりと常温に戻したところ、配向欠陥のないモノドメイン配向が得られた。
[実施例2]
反応性液晶層の液晶材料としては、上記式IIで表される化合物Bを用いた。
日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で100J/cm露光した。さらに、片方の基板にシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Bの溶液を回転数4000rpmで30秒スピンコーティングして積層し、55℃で3分間乾燥させた後、無偏光紫外線を55℃で1000mJ/cm露光した。その後、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、配向欠陥のないモノドメイン配向が得られた。
[実施例3]
配向膜の材料としては、上記式Iで表される化合物Aを用い、反応性液晶層の液晶材料としては、下記式IIIで表される化合物Cを用いた。
Figure 2005258428
シクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Aの溶液をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で基板面に対して30°の角度より100mJ/cm露光した。さらに、片方の基板にシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Cの溶液を回転数4000rpmで30秒スピンコーティングして積層し、55℃で3分間乾燥させた後、無偏光紫外線を55℃で1000mJ/cm露光した。その後、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、配向欠陥のないモノドメイン配向が得られた。
[実施例4]
反応性液晶層の液晶材料としては、上記式IIIで表される化合物Cを用いた。
日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で100J/cm露光した。さらに、片方の基板にシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Cの溶液を回転数4000rpmで30秒スピンコーティングして積層し、55℃で3分間乾燥させた後、無偏光紫外線を55℃で1000mJ/cm露光した。その後、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、配向欠陥のないモノドメイン配向が得られた。
[実施例5]
配向膜の材料としては、上記式Iで表される化合物Aを用い、反応性液晶層の液晶材料としては、上記式IIで表される化合物B、および上記式IIIで表される化合物Cを用いた。
シクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Aの溶液をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で基板面に対して30°の角度より100mJ/cm露光した。さらに、片方の基板にシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Bの溶液を、もう片方の基板にはシクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Cの溶液を回転数4000rpmで30秒スピンコーティングして積層し、55℃で3分間乾燥させた後、無偏光紫外線を55℃で1000mJ/cm露光した。その後、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、配向欠陥のないモノドメイン配向が得られた。
[比較例1]
配向膜の材料としては、上記式Iで表される化合物Aを用いた。
シクロペンタノンに溶解した2重量%の化合物Aの溶液をITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。さらに、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、モノドメイン配向は得られず、ダブルドメインやジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥などの配向欠陥が発生した。
[比較例2]
配向膜の材料としては、日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」を用い、ITOでコーティングされた2枚のガラス基板に回転数4000rpmで30秒スピンコーティングした。オーブンで180℃、10分間乾燥させた後、偏光紫外線を25℃で100J/cm露光した。その後、上記に示した方法でセルを組み、液晶を注入したところ、モノドメイン配向は得られず、ダブルドメインやジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥などの配向欠陥が発生した。
本発明の液晶表示素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の液晶表示素子の一例を示す概略斜視図である。 強誘電性液晶の印加電圧に対する透過率の変化を示したグラフである。 強誘電性液晶の有する相系列の相違による配向欠陥の違いを示した図である。 強誘電性液晶の配向欠陥であるダブルドメインを示した写真である。
符号の説明
1a … 第1基板
1b … 第2基板
2a、2b … 電極層
3a … 第1配向膜
3b … 第2配向膜
4 … 反応性液晶層
5 … 液晶層
6a、6b … 偏光板
11 … 反応性液晶側基板
12 … 対向基板

Claims (13)

  1. 第1基板と、前記第1基板上に形成された電極層と、前記電極層上に形成された第1配向膜と、前記第1配向膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなる反応性液晶層とを有する反応性液晶側基板、および、第2基板と、前記第2基板上に形成された電極層と、前記電極層上に形成された第2配向膜とを有する対向基板を、前記反応性液晶側基板の反応性液晶層と前記対向基板の第2配向膜とが向かい合うように配置し、前記反応性液晶側基板および前記対向基板間に強誘電性液晶を挟持してなることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記第2配向膜上に、反応性液晶を固定化してなる第2反応性液晶層が形成されており、前記反応性液晶層を構成する反応性液晶および前記第2反応性液晶層を構成する反応性液晶は、異なる組成であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 前記反応性液晶は、ネマチック相を発現するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示素子。
  4. 前記反応性液晶は、重合性液晶モノマーを有することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示素子。
  5. 前記重合性液晶モノマーは、モノアクリレートモノマーまたはジアクリレートモノマーであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
  6. 前記ジアクリレートモノマーは、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
    Figure 2005258428
    (ここで、式中のXは、水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、ホルミル、炭素数1〜20のアルキルカルボニル、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロを表し、mは2〜20の範囲内の整数を表す。)
  7. 前記ジアクリレートモノマーは、下記式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
    Figure 2005258428
    (ここで、式中のZ21およびZ22は、各々独立して直接結合している−COO−、−OCO−、−O−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−を表し、mは0または1を表し、nは2〜8の範囲内の整数を表す。)
  8. 前記第1配向膜および前記第2配向膜が、光配向膜であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
  9. 前記強誘電性液晶は、単安定性を示すものであることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
  10. 前記強誘電性液晶は、相系列にスメクチックA相を持たないものであることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
  11. 前記強誘電性液晶は、単一相を構成するものであることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
  12. 薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリックス方式により駆動させることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
  13. フィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子。
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