JP2001249314A - 可逆記録表示媒体、液晶/高分子複合型記録表示層及びその製法、並びにそれに用いられるウレタン含有樹脂 - Google Patents

可逆記録表示媒体、液晶/高分子複合型記録表示層及びその製法、並びにそれに用いられるウレタン含有樹脂

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JP2001249314A
JP2001249314A JP2000059486A JP2000059486A JP2001249314A JP 2001249314 A JP2001249314 A JP 2001249314A JP 2000059486 A JP2000059486 A JP 2000059486A JP 2000059486 A JP2000059486 A JP 2000059486A JP 2001249314 A JP2001249314 A JP 2001249314A
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resin
polymer composite
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polymer
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JP2000059486A
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Katsuhiko Sumida
克彦 隅田
Shin Takemoto
伸 竹本
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶/高分子複合型記録表示層の強度や耐熱性
に優れ、更には記録表示層の基板や保護層に対する密着
性、更には低温或は高温領域においてもコントラストの
低下や消失が少ない可逆記録表示媒体を提供する。 【解決手段】液晶が樹脂中に存在する液晶/高分子複合
型記録表示層の構成の高分子マトリックスに使用する樹
脂であって、該樹脂が、ウレタン樹脂(A)と重合性不
飽和単量体の重合体(B)とで構成された液晶/高分子
複合型記録表示層用樹脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界や熱に対して
応答性を有し、且つ、情報の表示や記録を行うことがで
きる液晶/高分子複合型記録表示層の構成に有用な樹
脂、該樹脂を用いた液晶/高分子複合型記録表示層、及
び該複合記録表示層を用いた記録表示媒体に関するもの
である。本発明のかかる記録表示媒体は、書き換え可能
なカード、ディスプレイ、その他の記録表示媒体等に幅
広く使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子は、液晶としてネマ
チック液晶を用いたものであって、低消費電力、軽量及
び薄型等の特徴を有しており、文字や画像の表示媒体と
して、腕時計、電卓、パソコン、テレビ等に幅広く用い
られている。一般的なものは、TN(twist nematic)
−及びSTN(super twist nematic)−液晶表示素子
とよばれるもので、透明電極を有する液晶セル中にネマ
チック液晶を封入し、両面に偏光板を設けたものから構
成されているが、偏光板を用いているため、視野角が狭
く、輝度が不足しているので、高消費電力のバックライ
トを必要とし、又、セル厚を均一にする必要から、大面
積化が困難であり、しかも構造が複雑で、製造コストが
高い等の問題がある。このような問題点を解決する記録
表示媒体として、スメクチック等の液晶を樹脂マトリッ
クス中に存在させた液晶/高分子複合型表示記録層の応
用が期待され、その研究開発が活発化してきた。
【0003】液晶/高分子複合記録表示層を用いた記録
表示媒体及びその製造方法が多数開示されているが、そ
の一つとして、液晶をポリビニルアルコール(PVA)
水溶液中に分散したエマルションから記録表示媒体を作
製する方法(特公平3−52843号公報)が挙げられ
るが、耐水性などに問題がある。耐水性改良のために、
PVAに架橋剤を添加する方法も検討されているが、架
橋による樹脂溶液粘度の経時変化など、保存安定性やハ
ンドリング性の問題、架橋塗膜が硬すぎてクラックや空
隙が生じるという問題がある。一方、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)等の非水溶性の樹脂を使用する方
法も検討されているが、耐熱性が悪いので、繰返し記録
をすると樹脂のミクロ・ブラウン運動が大きくなり、液
晶/高分子複合記録表示層の構造に乱れが生じて、コン
トラストなど記録表示特性が低下するという問題や、水
系ではなく溶剤系で樹脂材料と液晶を混合分散すると、
地かぶり現象が起き易かったり、均一な分散が難しいと
いう問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記従来技術の耐水性、繰り返し記録特性(耐熱
性、層強度、コントラスト劣化)の問題点を解決し、液
晶/高分子複合型記録表示層を使用する記録表示媒体に
おいて、優れたコントラスト、視認性、耐湿性及び耐熱
性を有し、カード等の如く情報の書き換え可能な表示や
記録を行うことができる記録表示媒体を提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の問題点を解決するため鋭意検討した結果、液晶/高分
子複合型表示記録層のマトリックス樹脂として、特定の
樹脂を使用することによって、かかる問題点を解決しう
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第1は、可逆記録表示媒
体の液晶/高分子複合型表示記録層(ここで、液晶は二
色性色素を含んでいてもよい)に用いられる樹脂であっ
て、該樹脂が、ウレタン樹脂(A)と重合性不飽和単量
体の重合体(B)とで構成されることを特徴とする液晶
/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明の
第2は、重合体(B)が、ウレタン樹脂(A)中に、粒
子状に分散されていることを特徴とする本発明の第1記
載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。
本発明の第3は、樹脂が、ウレタン樹脂(A)と重合体
(B)とで構成されたコア・シェル構造またはミクロド
メイン構造を有するポリマー粒子を含む水系エマルショ
ン状態になることを特徴とする本発明の第1または2記
載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。
本発明の第4は、重合体(B)が、加水分解性シリル基
を有する重合性不飽和単量体を少なくとも1種含有する
ことを特徴とする本発明の第1〜3の何れかに記載の液
晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明
の第5は、少なくとも1種類のカルボキシル基を有する
重合性不飽和単量体(b)及びその他重合性単量体
(c)からなる別の重合体が、更に添加されることを特
徴とする本発明の第1〜4の何れかに記載の液晶/高分
子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明の第6
は、樹脂が、液晶と実質的に非相溶性で相分離構造を形
成し、且つ、二色性色素によって実質的に染色されない
ことを特徴とする本発明の第1〜5の何れかに記載の液
晶/高分子複合型記録表示層用樹脂を提供する。本発明
の第7は、本発明の第1〜6の何れかに記載の液晶/高
分子複合型記録表示層用樹脂中に液晶を分散させてなる
液晶/高分子複合型記録表示層を提供する。本発明の第
8は、液晶が、スメクチック液晶であることを特徴とす
る本発明の第7に記載の液晶/高分子複合型記録表示層
を提供する。本発明の第9は、液晶/樹脂の配合比が、
10/90〜60/40wt%であることを特徴とする
本発明の第7〜8の何れかに記載の液晶/高分子複合型
記録表示層用樹脂を提供する。本発明の第10は、液晶
が、二色性色素を含むことを特徴とする本発明の第7〜
9の何れかに記載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹
脂を提供する。本発明の第11は、本発明の第7〜10
の何れかに記載の液晶/高分子複合型表示記録層を導電
性基板の上に設けてなる可逆記録表示媒体を提供する。
本発明の第12は、本発明の第1〜6の何れかに記載の
液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂の水エマルション
と、請求項8に記載の液晶と、必要に応じて本発明の第
10に記載の二色性色素とを水に分散させて得られた液
を導電性基板上に塗布した後、乾燥することによる液晶
/高分子複合型記録表示層の製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。図1は、本発明の可逆記
録表示媒体の構成図である。1は樹脂マトリックス、2
は液晶粒子、3は液晶に添加された二色性色素、4は電
極層、5は基材、6は基材5の上に電極層4が設けられ
た導電性基板を示す。
【0008】本発明の液晶/高分子複合型記録表示層
(記録表示層と略すこともある。)のマトリックスに使
用される樹脂は、ウレタン樹脂(A)と、重合性不飽和
単量体の重合体(B)とで構成された樹脂を使用するこ
とを特徴としている。また、本発明で使用される樹脂
は、水分散性樹脂であり、液晶と実質的に非相容で相分
離構造を形成し、且つ、二色性色素によって実質的に染
色されないことを特徴としている。
【0009】樹脂がウレタン樹脂(A)を有していれ
ば、水エマルション樹脂を塗布し、乾燥して記録表示層
を形成した時に適度な柔軟性があるので、耐熱性改良の
ために架橋を行っても、乾燥塗膜が硬くなりすぎず、ク
ラックや空隙を生じることはない。また、樹脂が加水分
解性シリル基を有していれば、水エマルション樹脂を塗
布し、乾燥して記録表示層を形成した時に、架橋によっ
て、機械的強度、耐熱性、耐湿性の高い層ができるの
で、通常の使用条件ではミクロ・ブラウン運動が非常に
小さいために、安定した記録表示特性が得られる。ま
た、水分散樹脂とすることで、液晶との混合分散性が良
くなったり、相溶性がないので地かぶり現象の低減がで
きるとともに、一液でも保存安定性がよく、ハンドリン
グ性もよい架橋性の樹脂とすることができる。上記樹脂
は、液晶及び二色性色素と相溶性がなく、透明性及び被
膜形成性に優れた樹脂である。又、該樹脂は、耐湿性及
び熱的安定性に優れ、液晶との混和性が少ないため、経
時安定性にも優れている。なお、本発明においては「ア
クリル系」単量体と「メタクリル系」単量体を「(メ
タ)アクリル系」単量体として、総称する。
【0010】ウレタン樹脂 ウレタン樹脂(A)としては、ポリイソシアネート成分
と、ポリオール成分と、必要により加えられる鎖伸長剤
としてのポリアミン成分の反応により得られる種々のウ
レタン樹脂が使用される。上記ウレタン樹脂(A)は、
単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0011】上記ポリイソシアネートとしては、芳香族
ポリイソシアネートや芳香脂肪族ポリイソシアネート等
の芳香族性ポリイソシアネートや、脂環式ポリイソシア
ネートや脂肪族ポリイソシアネート等の非芳香族性ポリ
イソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネー
トとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネートなどのフェニレン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネートなどのトリレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイ
ソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートな
どのジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネートなどのポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,
3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレン
ジイソシアネートなどのキシリレンジイソシアネート、
テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどのジイソ
シアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベ
ンゼンなどのポリイソシアネートなどが挙げられる。脂
環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロン
ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′
−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソ
シアネートなどのジイソシアネート、1,3,5−トリ
イソシアネートシクロヘキサンなどのポリイソシアネー
トなどが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとして
は、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシ
アネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ
ートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられ
る。これらのポリイソシアネートは、単独で又は二種以
上組合わせて使用できる。が含まれる。ポリイソシアネ
ートとしては、通常、ジイソシアネートが使用される。
なお、ポリイソシアネートは、多価アルコールにポリイ
ソシアネートを付加し、末端にイソシアネート基を有す
るアダクト体、ビウレット反応により生成したビウレッ
ト体、カルボジイミド体、二量体及びイソシアヌレート
構造の三量体などとして使用してもよい。
【0012】ポリオール成分としては、例えば、ポリエ
ステルポリオール;ポリエーテルポリオール(例えば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリオキシテトラメチレングリコールなどのオキシ−ア
ルキレン(=C2-4)単位を有するポリエーテルジオー
ルなど);ポリエステル−ポリエーテルポリオール;ポ
リカーボネートポリオール(例えば、ポリカーボネート
ジオールなど);アクリルポリオールなどが挙げられ
る。ポリエステルポリオールは、多価アルコールと、多
価カルボン酸又はその低級アルキルエステル若しくは酸
無水物との反応により得られるヒドロキシル基含有ポリ
エステル(特にポリエステルジオール)であり、ラクト
ンから誘導されたポリエステルであってもよい。ポリオ
ール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。ポリオール成分としては、ジオール成分(例えば、
ポリエステルジオールなど)を用いる場合が多い。
【0013】ポリエステルポリオールを調製するための
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族多価アルコー
ル(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレン(=C
2-10)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなど
のポリオキシ−アルキレン(=C2-4)グリコール、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポ
リオールなど)、脂環式多価アルコール(例えば、1,
4−シクロヘキサンジメチロール、水素化ビスフェノー
ルAなどの脂環式ジオールなど)、芳香族多価アルコー
ル[例えば、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチルフェ
ニル)プロパンなどの芳香族ジオールなど]などが挙げ
られる。多価アルコールは、単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。多価アルコールは、通常、脂肪族ジ
オールが適当である。
【0014】多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族
多価カルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの
飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸などの不飽和脂肪
族ジカルボン酸など)、脂環族多価カルボン酸(例え
ば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族
ジカルボン酸など)、芳香族多価カルボン酸(例えば、
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、トリメ
リット酸などの芳香族多価カルボン酸など)などが例示
される。多価カルボン酸は、単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。ラクトンとしては、例えば、ブチロ
ラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどが挙げ
られ、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよ
い。
【0015】なお、鎖伸長剤としてのポリアミン成分と
しては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオク
タン、キシリレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘ
キサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミンなど
のジアミン類、トリアミノプロパンなどのポリアミン類
などが挙げられる。
【0016】本発明では、ウレタン樹脂(A)は、有機
溶媒溶液、水溶液、水系エマルションとして用いてもよ
い。このような水溶液又は水系エマルションは、ウレタ
ン樹脂(A)を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散さ
せて調製してもよく、ウレタン樹脂の分子内に遊離のカ
ルボキシル基、スルホン酸基や3級アミノ基などのイオ
ン性官能基を導入し、アルカリや酸を用いて、ウレタン
樹脂を溶解又は分散させることにより調製してもよい。
このような分子内に遊離のカルボキシル基、スルホン酸
基や3級アミノ基が導入されたウレタン樹脂は、ポリイ
ソシアネート成分と、遊離のカルボキシル基、スルホン
酸基又は3級アミノを有するジオール(特に高分子ジオ
ール)成分との反応により得られる。なお、前記遊離の
カルボキシル基、スルホン酸基を有するジオール(特に
高分子ジオール)は、例えば、ジオール成分と、3以上
のカルボキシル基を有する多価カルボン酸、スルホン酸
基を有する多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、
無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)との反
応、または開始剤としてジヒドロキシカルボン酸(例え
ば、ジメチロールプロピオン酸など)を用い、ラクトン
を開環重合する方法などにより得られる。また、3級ア
ミノ基を有するジオール(特に高分子ジオール)は、開
始剤としてN−アルキルジアルカノールアミン(例え
ば、N−メチルジエタノールアミンなど)を用い、アル
キレンオキサイドやラクトンを開環重合して得られる。
【0017】このようなウレタン樹脂(A)は、通常、
架橋成分を含んでおらず、非反応性である。そのため、
常温で硬化することなく、取り扱い性が高い。特に、エ
マルションなどの水系であっても安定性が高い。ウレタ
ン樹脂(A)としては、重量平均分子量が2,000〜
500,000、好ましくは5,000〜200,00
0のものが使用できる。
【0018】重合性不飽和単量体の重合体 重合性不飽和単量体の重合体(B)を形成するための重
合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル
系単量体、芳香族ビニル類、不飽和カルボン酸類、不飽
和スルホン酸類、ビニルエステル類、ハロゲン含有ビニ
ル類、ビニルエーテル類(例えば、ビニルエチルエーテ
ルなど)、ビニルケトン類(例えば、メチルビニルケト
ンなど)、ビニル複素環化合物(例えば、N−ビニルピ
ロリドン、N−ビニルイミダゾールなどのN−ビニル化
合物、ビニルピリジンなど)、オレフィン系単量体(例
えば、エチレン、プロピレンなど)、アリル化合物(例
えば、酢酸アリルなどのアリルエステルなど)、加水分
解性シリル基を有する単量体などが挙げられる。これら
の重合性不飽和単量体は、単独で又は二種以上組み合わ
せて使用できる。
【0019】上記(メタ)アクリル系単量体としては、
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類、
(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。(メタ)
アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート
[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イ
ソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
トなどのアルキル(=C1- 18)(メタ)アクリレートな
ど]、シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、
シクロヘキシル(メタ)アクリレートなど]、アリール
(メタ)アクリレート[例えば、フェニル(メタ)アク
リレートなど]、アラルキル(メタ)アクリレート[例
えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど]、ヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロ
キシエチル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ートなどのヒドロキシ−アルキル(=C2-4)(メタ)
アクリレートなど]、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、ジアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート
[例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アク
リレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アク
リレートなどのジアルキル(=C1-4)アミノ−アルキ
ル(=C2-4)(メタ)アクリレートなど]が例示され
る。
【0020】上記(メタ)アクリル系単量体の中の(メ
タ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミ
ド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド[例え
ば、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのN−
ヒドロキシ−アルキル(=C 1-4)(メタ)アクリルア
ミドなど]、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミ
ド[例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ドなどのN−アルコキシ(=C1-4)−アルキル(=C
1-4 )(メタ)アクリルアミドなど]、ジアセトン(メ
タ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0021】好ましい(メタ)アクリル系単量体は、
(メタ)アクリレート[例えば、アルキル(=C1-18
(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−アルキル(=C
2-4)(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アク
リレート、ジアルキル(=C1-4)アミノ−アルキル
(=C2-4)(メタ)アクリレートなど]、(メタ)ア
クリルアミド類などであり、さらに好ましくはアルキル
(=C2-10)アクリレート、アルキル(=C1-6)メタ
クリレート、ヒドロキシ−アルキル(=C2-3)(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
ジアルキル(=C1-3)アミノ−アルキル(=C2-3
(メタ)アクリレート等である。
【0022】加水分解性シリル基を有する単量体として
は、(メタ)アクリル系単量体、ビニル基などのアルケ
ニル基を有する単量体などが挙げられる。加水分解性シ
リル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、具
体的には、2−(メタ)アクリロキシエチルトリクロロ
シラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロ
シラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジクロ
ロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジメチルク
ロロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメト
キシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエト
キシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルト
リス(2−メトキシエトキシ)シランなどが例示でき
る。
【0023】加水分解性シリル基とビニル基などのアル
ケニル基を有する単量体としては、具体的には、ビニル
トリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、イソ
プロペニルトリクロロシラン、イソプロペニルジメチル
クロロシランなど;ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、
ビニルジエトキシメチルシラン、イソプロペニルトリメ
トキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなど;アリ
ルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシランな
ど;アリルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメ
トキシシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシ
ランなど;3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェ
ニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、
3−[2−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)
フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラ
ンなど;3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメ
トキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピル
トリエトキシシランなど;3−[2−(N−ビニルフェ
ニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトシ
キシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメ
チルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラ
ンなど;2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラ
ン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラ
ン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、
2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラ
ンなど;3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシ
ラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメ
トキシシラン、3−(イソプロペニルメトキシ)プロピ
ルトリメトキシシランなど;3−[(メタ)アクリロキ
シエトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(メ
タ)アクリロキシエトキシ]プロピルジメトキシメチル
シランなど;ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエ
トキシシラン、ジビニルジ(β−メトキシエトキシ)シ
ランなどが例示できる。
【0024】不飽和カルボン酸類には、例えば、不飽和
モノカルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、クロト
ン酸などのエチレン系不飽和モノカルボン酸など]、不
飽和多価カルボン酸[例えば、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸などのエチレン系不飽和多価カルボン酸又は
その酸無水物(無水マレイン酸など)若しくはエステル
類(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブ
チルなどの2価カルボン酸のモノアルキルエステルな
ど)]などが含まれる。好ましい不飽和カルボン酸は、
例えば、(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸、マ
レイン酸などの多価カルボン酸又はその酸無水物若しく
はエステル類などが含まれる。不飽和スルホン酸類とし
ては、スチレンスルホン酸などのビニルスルホン酸など
が例示できる。
【0025】芳香族ビニル類としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げら
れ、スチレンを用いる場合が多い。ビニルエステル類に
は、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサ
チック酸ビニル(VeoVaなど)などが挙げられる。ハロ
ゲン含有ビニル類としては、例えば、塩化ビニル、塩化
ビニリデンなどが挙げられる。
【0026】好ましい重合性不飽和単量体の重合体
(B)としては、(メタ)アクリル系単量体[例えば、
(メタ)アクリル酸エステルなど]、芳香族ビニル類
(例えば、スチレンなど)、不飽和カルボン酸類[例え
ば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸など]、ビニルエ
ステル類(例えば、酢酸ビニルなど)、ハロゲン含有ビ
ニル類(例えば、塩化ビニルなど)、加水分解性シリル
基を有する単量体から選択された少なくとも一種の単量
体の単独又は共重合体が挙げられる。特に、重合性不飽
和単量体の重合体(B)としては、(メタ)アクリル系
単量体を用いたアクリル系樹脂[例えば、(メタ)アク
リル系単量体の単独又は共重合体]、芳香族ビニル類を
用いたスチレン系樹脂[例えば、スチレンと(メタ)ア
クリル系単量体との共重合体など]やこれらに加水分解
性シリル基を有する単量体を配合した重合性単量体組成
物から得られる重合体が好ましい。特に加水分解性シリ
ル基を有する単量体を配合した重合性単量体組成物から
得られる重合体を用いると、記録表示層の耐熱性、繰り
返し記録特性色濃度を高めるのに有用である。
【0027】上記重合体(B)の重量平均分子量は、例
えば、0.2×104〜100×104、好ましくは1×
104〜50×104程度の範囲である。重量平均分子量
が、0.2×104未満では樹脂強度が低くバインダー
として好ましくなく、100×104を超えると粘度が
高くなりすぎて生産性が悪くなる。
【0028】重合体(B)のガラス転移点は、成膜性な
どを損なわない範囲で選択でき、例えば、−40〜85
℃、好ましくは−15〜45℃、さらに好ましくは0〜
30℃程度である。ガラス転移点が、−40℃未満では
べたつきが大きくなりすぎ、85℃を超えると造膜性が
悪くなる。このようなガラス転移点の重合体(B)は、
上記各種の単量体を適当に組み合わせることにより調製
できる。前記単量体は、通常、ハードモノマー[例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル,スチレンなどのガラス
転移点が80〜120℃(特に90〜105℃)程度の
単独重合体を形成する単量体]、ソフトモノマー[例え
ば、アクリル酸アルキル(=C2-10)エステルなどのガ
ラス転移点が−85〜−10℃(特に−85〜−20
℃)程度の単独重合体を形成する単量体]と組み合わせ
て共重合体を構成するのが好ましい。カルボキシル基を
有する単量体の含有量が3wt%未満であるとエマルシ
ョン化する時に凝集が生じ、30wt%を超えると形成
塗膜の耐水性が悪くなる場合がある。
【0029】記録表示層用樹脂の調製 本発明の記録表示層に用いられる樹脂は、ウレタン樹脂
(A)と重合性不飽和単量体の重合体(B)とで構成さ
れ、混合物であってもよいが、ウレタン樹脂(A)およ
び重合体(B)のいずれか一方の成分がマトリックスを
構成し、他方の成分がマトリックス中に粒子状に分散し
た形態であってもよい。塗膜の柔軟性を優先する場合に
は、マトリックスとしてのウレタン樹脂(A)中に、重
合体(B)が粒子状に分散している形態を有するのが好
ましい。
【0030】記録表示層用樹脂中のウレタン樹脂(A)
の割合(A/B)は、記録特性や耐水性などその他性能
を損なわない範囲で、A/B=95/5〜20/80
(wt%)[例えば、95/5〜30/70(wt
%)]程度の範囲から選択でき、A/B=90/10〜
40/60(wt%)、特に85/15〜50/50
(wt%)程度であってもよい。ウレタン樹脂(A)の
割合(A/B)が、95/5wt%を超えると、記録特
性や耐水性などその他性能を損なつてしまい好ましくな
く、40/60wt%未満では、塗膜が堅くなりすぎ柔
軟性が失われて好ましくない。
【0031】記録表示層に用いられる樹脂は、特に、塗
布可能な有機溶媒溶液又は分散液として使用できる。有
機溶媒としては、コーティング剤として一般に使用され
る溶媒、例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン
など)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロヘキサンな
ど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン
など)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタ
ンなど)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプ
ロパノールなど)、エステル類(例えば、酢酸エチルな
ど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケト
ンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランなど)、セロソルブ類(例えば、エチ
ルセロソルブなど)、又はこれらの混合溶媒が例示でき
る。
【0032】分散粒子[例えば、重合性不飽和単量体の
重合体(B)など]の平均粒子径は、例えば、0.00
1〜5μm、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ま
しくは0.01〜1μm程度の範囲から選択できる。平
均粒子径が、0.001μm未満では。粘度上がりすぎ
て好ましくなく、5μmを超えると、粒子の安定性が悪
くなる。
【0033】一方の成分[例えば、重合体(B)]が粒
子状に分散した樹脂は、一方の成分[例えば、重合体
(B)]を粒子状の形態を保持しつつ、他方の成分[例
えば、ウレタン樹脂(A)]と混合して調製してもよ
い。好ましい調製方法としては、例えば、ウレタン樹脂
(A)のエマルションと、重合体(B)のエマルション
とを混合する方法、ウレタン樹脂(A)で構成されたポ
リマー粒子を含むエマルションの存在下、重合性不飽和
単量体(B)を乳化重合する方法などが例示できる。こ
の乳化重合は、前記ウレタン樹脂(A)を含むポリマー
粒子をシード(種)とするシード重合であってもよい。
また、重合体(B)を含むポリマー粒子は、重合体
(B)単独のみならず、ウレタン樹脂(A)と重合体
(B)とで構成してもよい。
【0034】乳化重合は、慣用の乳化重合法に準じて行
うことができる。乳化重合は、例えば、(a)ウレタン
樹脂(A)及び重合性不飽和単量体の混合溶液を乳化重
合する方法、(b)ウレタン樹脂(A)で構成されたポ
リマー粒子の存在下で、重合性不飽和単量体単独、また
は重合性不飽和単量体とウレタン樹脂(A)との混合溶
液を乳化重合する方法などにより行うことができる。ウ
レタン樹脂(A)及び重合性不飽和単量体の混合溶液や
重合性不飽和単量体は、予め乳化したプレエマルション
として用いてもよい。前記混合溶液や重合性不飽和単量
体は、一括して仕込んで重合してもよく、又は一部を仕
込み、残部を添加して重合してもよい。上記混合溶液や
重合性不飽和単量体は、乳化重合系に、滴下などによ
り、連続的に添加してもよく、間欠的に添加してもよ
い。また、乳化重合では、これらの方法を組み合わせた
方法を採用してもよい。
【0035】また、乳化重合においては、多段重合法な
どの慣用の方法も採用できる。多段重合は、例えば、少
なくともウレタン樹脂(A)を含むポリマー粒子、また
はウレタン樹脂(A)と重合性不飽和単量体との混合溶
液の乳化重合により生成したポリマー粒子の存在下、連
続的に又は間欠的に、重合性不飽和単量体、またはウレ
タン樹脂(A)と重合性不飽和単量体との混合溶液を多
段に添加して乳化重合する方法により行うことができ
る。この方法では、添加する重合性不飽和単量体又は混
合溶液の組成は、乳化重合工程の初期と後期とで異なっ
ていてもよい。例えば、初期よりも後期の段階で、添加
する混合溶液中の重合性不飽和単量体の割合を多くし、
後期には重合性不飽和単量体のみを用いてもよい。
【0036】乳化重合は、重合開始剤として、過硫酸カ
リウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの
過硫酸塩、過酸化水素などの水溶性重合開始剤を用いて
行うことができ、また水溶性のレドックス型重合開始剤
系を構成してもよい。また、重合体(B)の分子量を調
整するために、連鎖移動剤、例えば、カテコールなどの
アルコール類、チオール類、メルカプタン類などを用い
てもよい。重合温度は、重合開始剤の種類に応じて、通
常、30〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに
好ましくは60〜80℃程度である。重合温度が、30
℃未満では、生産性が悪く、100℃を超えると残留モ
ノマーが多くなりすぎる。
【0037】エマルション(例えば、ウレタン樹脂
(A)のエマルションなど)の調製や乳化重合に際して
は、乳化剤を用いることができる。乳化剤としては、例
えば、アニオン系界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン
酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジア
ルキルスルホコハク酸ナトリウムなど)、ノニオン系界
面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチ
レン・オキシプロピレンブロックコポリマーなど)など
の界面活性剤、ポリビニルアルコールや水溶性ポリマー
などの保護コロイドが挙げられる。乳化剤の使用量は、
例えば、ウレタン樹脂(A)および重合性不飽和単量体
の総量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5
〜8重量%。さらに好ましくは1〜8重量%程度であ
る。乳化剤の使用量が、0.1重量%未満では、乳化が
困難となり、10重量%を超えると得られた樹脂物性に
乳化剤の影響が出て好ましくない。
【0038】記録表示層用樹脂のガラス転移点(Tg)
は、例えば、−20℃〜50℃、好ましくは−10℃〜
40℃程度である。樹脂のガラス転移点(Tg)が、−
20℃未満では、べたつきが大きくなって好ましくな
く、50℃を超えると造膜性が悪くなる。また、水系エ
マルションの最低成膜温度(MFT)は、例えば、0〜
40℃、好ましくは0〜35℃程度である。水系エマル
ションの最低成膜温度(MFT)が、0℃未満では、べ
たつきが大きくなって好ましくなく、40℃を超えると
造膜性が悪くなる。なお、エマルションはpH調整して
もよく、例えば、5以上(例えば、5〜10)、好まし
くは6〜9程度の中性〜弱アルカリ性領域であってもよ
い。
【0039】乳化重合により得られた樹脂(樹脂水系エ
マルション)における樹脂粒子は、均質構造であっても
よく、異相構造(例えば、コア・シェル構造、ミクロド
メイン構造など)であってもよい。コア・シェル構造に
おいて、コア層はウレタン樹脂(A)又は重合性不飽和
単量体の重合体(B)、シェル層は重合性不飽和単量体
の重合体(B)又はウレタン樹脂(A)で構成してもよ
い。
【0040】樹脂粒子の平均粒子径は、分散安定性、密
着性などを損なわない範囲、例えば、0.01〜5μ
m、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは
0.01〜1μm程度の範囲から選択できる。樹脂粒子
の平均粒子径が、0.01μm未満では、粘度が上がり
すぎて好ましくなく、5μmを超えると、粒子の安定性
が悪くなる。
【0041】液晶/高分子複合型記録表示層に用いられ
る樹脂には、表示記録やその他特性を向上させるため、
例えば、フッ素樹脂、シリコン樹脂、有機スルホン酸塩
化合物、有機リン酸塩化合物、有機カルボン酸塩化合物
などの滑性物質、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤
などの安定剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、帯電防止剤、
可塑剤、増粘剤、消泡剤などの添加剤を添加してもよ
い。
【0042】液晶 次に、本発明で使用する液晶としては、従来公知のいず
れのスメクチック液晶でも使用することができるが、表
示画像のコントラストが高く、低温或は高温領域におい
てもコントラストの低下や消失が少ない記録表示媒体を
得るには、下記一般式(I)〜(VII)の液晶を使用す
ることが好ましい。
【0043】
【化1】 (式中、R7は炭素数8〜18のアルキル基又はアルコ
キシ基を示す。R8〜R16は、炭素数2〜18のアルキ
ル基またはアルコキシ基を、又、Xはハロゲン原子を示
す。)
【0044】一般式(I)で表わされる化合物の少なく
とも1種と、下記一般式(II)〜(VII)で表わされる
化合物の少なくとも1種とを含有するスメクチック液晶
が挙げられる。これらの液晶のうち、前記一般式(I)
で表される炭素数が8〜18の4−アルキル−4’−シ
アノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビフ
ェニルは、常温付近で安定なスメクチック液晶相を示
し、又、記録表示媒体とした場合のコントラストも良好
である。これらの化合物は、いずれか1種を用いてもよ
いが、より広い温度範囲で、安定なスメクチック液晶相
を示すようにするためには、これらの化合物から2種以
上を適宜選択して組み合わせて用いるとよい。
【0045】又、炭素数7以下の4−アルキル−4’−
シアノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビ
フェニル化合物は、夫々単独ではスメクチック液晶相は
示さないが、一般式(I)で表される炭素数8〜18の
化合物をこれらの化合物に添加することによって、スメ
クチック液晶相を呈する温度範囲に調整することがで
き、又、より安定なスメクチック液晶相とすることがで
きる。これらの化合物は既知であり(例えば、艸林著
「液晶材料」p229、講談社1991年発行)、例え
ば、4−アルキル−4’ブロモビニルフェニル或は4−
アルコキシ−4’−ブロモビフェニルをシアン化銅と反
応させることにより、対応する4−アルキル−4’−シ
アノビフェニル或は4−アルコキシ−4’−シアノビフ
ェニルを得ることができる。これらのある種のものは市
販されている。
【0046】しかし、前記一般式(I)で表される化合
物として、スメクチック液晶相−ネマティック液晶相
間、或はスメクチック液晶相−アイソトロピック相間の
相転移温度が高いものを用いると融点も高くなり、記録
表示媒体を低温状態に置いた場合、液晶の配向が乱れて
記録表示部のコントラストの低下や消失等が生じる。従
って、本発明者らは、融点を低く保ちながら、このスメ
クチック液晶相−ネマティック液晶相間、或はスメクチ
ック液晶相−アイソトロピック相間の相転移温度を高温
化するための研究を鋭意進めた結果、前記一般式(I)
で表される化合物に、前記一般式(II)〜(VII)で表
される化合物のいずれか1種を添加すると良いことを見
出した。
【0047】これらの一般式(II)〜(VII)で表され
る化合物は、スメクチック液晶相−ネマティック液晶
相、或はスメクチック液晶相−アイソトロピック相間の
相転移温度を高温化するものであり、この相転移温度が
高いほど高温での記録保存性がよく、60℃以上、特に
60〜130℃が好ましい。これを満たすように前記の
各々の化合物のなかから、炭素数2〜18のいずれか1
種、或は2種以上を適宜選択して組み合わせて用いると
よい。
【0048】前記一般式(II)〜(VII)で表される化
合物は、前記一般式(I)で表される化合物100重量
部に対して10〜300重量部含有させることが好まし
く、特には20〜240重量部とすることが好ましい。
一般式(II)〜(VII)で表される化合物が、10重量
部未満ではコントラストが低く、300重量部を超える
と低温特性が悪くなる。又、特には、前記一般式(I)
で表される化合物と一般式(II)で表される化合物と
を、重量部で80:20〜30:70、特に好ましくは
60:40〜40:60の比で混合したもの100重量
部に対して、一般式(IV)〜(VII)で表される化合物
から選択される1種又は2種以上を1〜200重量部、
好ましくは、5〜100重量部含有させると、コントラ
ストが高く、しかも高温のみならず、−40℃というか
なりな低温域においてもコントラストの低下や消失がな
い液晶となるために特に好ましい。
【0049】二色性色素等の添加剤 尚、これらの液晶には、スメクチック液晶相を破壊しな
い限度において、他の液晶や添加剤を添加することがで
きる。他の液晶としては、通常のネマチック液晶、コレ
ステリック液晶等が挙げられる。添加剤としては、熱安
定剤、耐候安定剤等が挙げられる。二色性色素として
は、アゾ系二色性色素、アントラキノン系二色性色素等
が挙げられる。二色性色素は、コントラスト比の向上や
着色等を目的として、例えば、液晶100重量部あたり
1〜10重量部の割合で混入させると好適である。二色
性色素が、1重量部未満ではコントラスト比の向上や着
色の効果が無く、10重量部を超えるとスメクチック液
晶相を破壊して好ましくない。
【0050】液晶/高分子複合型記録表示層 前記の液晶を樹脂マトリクス中に分散させ、これを例え
ば溶液状態で導電性基板上に塗布、乾燥して、膜状に液
晶/高分子複合膜を導電性基板上に形成することによっ
て、本発明の書換可能な記録表示媒体が得られる。これ
らの好ましい例を具体的に示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0051】上記液晶と前記樹脂の使用量としては、液
晶/樹脂の混合比(重量比)が10/90〜60/4
0、好ましくは20/80〜50/50の範囲である。
液晶の使用量が、10/90未満では、膜を透明状態に
するために多大の電圧を必要とするだけでなく、電圧オ
ン時の透明性が不足する等の点で不十分であり、一方、
液晶の使用量が60/40を超えると、電圧オフ時の散
乱(濁度)が不足するだけでなく、膜の強度が低下した
りするので好ましくない。ディスプレイ用途の場合、液
晶と樹脂の使用割合は、上記と同じである。カード用途
の場合、後述するように、液晶と樹脂の使用割合は、デ
ィスプレイの場合とは適性範囲が異なり、液晶/樹脂の
割合(重量比)は30/70〜60/40の範囲が好ま
しい。液晶/樹脂の割合が、30/70未満ではコント
ラストが悪くなり、60/40を超えると耐久性が悪く
なる。
【0052】液晶を樹脂マトリックス中に分散する方法
としては、相分離方法等の従来公知の方法がいずれも使
用可能である。相分離方法では、樹脂または樹脂エマル
ション、液晶、及びその他の添加剤を溶解または分散す
ることができる水または有機溶剤を溶媒として使用し、
上記成分を含む溶液又は分散液(両者を塗液という。)
を調製し、該塗液を適当な基板面に塗布した後、溶媒を
蒸発させることによって、目的とする液晶/高分子複合
型記録表示層を形成することができる。前記樹脂、液
晶、及びその他の添加剤を水等に分散させる場合に、ホ
モジナイザー等の装置が使用できる。
【0053】溶媒としては、水、有機溶剤及びこれらの
混合物が挙げられる。有機溶剤を使用する場合の好適な
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケト
ン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロ
ホルム等が挙げられる。溶媒としては、有機溶剤より水
を使用することが好ましい。本発明では水を使用して、
樹脂、液晶及びその他の添加剤を分散させることが挙げ
られる。これらの溶媒からなる溶液の固形分(樹脂、液
晶及びその他の添加剤)濃度は約5〜40重量%の範囲
とすることが好ましい。固形分濃度が、5重量%未満で
は、生産性が悪く、40重量%を超えると液の安定性が
悪くなる。
【0054】導電性基板 使用される導電性基板は、従来公知の記録表示媒体に一
般的に使用されているものであって、本発明では、従来
公知の導電性基板はいずれも使用可能であり、具体的に
は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO
2系、ZnO系のような透明導電性材料を、ガラスや樹
脂フイルム等のような透明基材に付着させた導電性基板
である。一方に不透明導電性基板を用いる場合には、そ
の電極が反射板としての機能も要求されるため、例え
ば、アルミニウム反射電極を設けた基板が好ましい。そ
の導電性基板の基材自体はガラス、樹脂フイルム或いは
その他のものであってもよい。
【0055】記録表示層の形成 導電性基板上に液晶/高分子複合型記録表示層を形成す
るために、上記の液を塗布する方法としては、例えば、
スクリーン印刷、メタルマスクを用いたステンシル印
刷、刷毛塗り、スプレーコーティング、ブレードコーテ
ィング、ドクターコーティング等が挙げられる。
【0056】上記のように、導電性基板上に液を塗布し
た後、室温又は液晶粒子に影響を与えない程度の温度で
乾燥させることによって、記録表示層が形成される。上
記においては、記録表示層の厚みは、一般的に3〜30
μm程度とされ、3μm未満であると表示のコントラス
トが低くなり、又、30μmを超えると駆動電圧が高く
なるので好ましくない。
【0057】一対の導電性基板間に記録表示層を設けた
記録表時媒体(1) 本発明の記録表示媒体の好ましい1実施態様として、記
録表示層を、少なくとも一方が透明である一対の導電性
基板間に形成してなる記録表示媒体が挙げられる。この
記録表示媒体の駆動は、透明導電性基板側からの電圧の
印加によって情報の消去を行い、加熱によって情報の書
き込みが行われる。
【0058】一の導電性基板上に設けられた記録表示層
上に中間層及び保護層を設けた記録表時媒体(2) 記録表示媒体の他の好ましい実施態様として、導電性基
板上に形成した前記記録表示層上に、必要に応じて中間
層を介して保護層を形成した記録表時媒体が挙げられ
る。この種の書換可能な記録表示媒体は、保護層側から
の電圧印加により液晶が配向して光が透過して情報が消
去され、加熱によって液晶の配向が乱れて情報の書き込
みが行われる。
【0059】中間層に用いられる樹脂としては、上記マ
トリクス樹脂と同じような樹脂が使用できる。保護層に
用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性
樹脂或は電子線硬化樹脂が挙げられ、具体的には、ポリ
エン−チオール類、ウレタンアクリレート、エポキシア
クリレート、シリコンアクリレート等の分子中に(メ
タ)アクリロイル基を有する重合性アクリレートポリマ
ー類、メチルメタクリレート等の単官能又は多官能のモ
ノマー類等からなる公知の硬化性樹脂が挙げられる。
【0060】記録表時媒体(2)を情報の書き換え可能
なカードを例として説明する。カード用途の場合、用い
る電極基板は1枚とすることができる。導電性基板用基
材としては、樹脂フイルムが特に好適である。フイルム
としては白色のポリエチレンテレフタレート(PET)
フイルムが望ましい。導電性基板には、ITO等の透明
導電性材料の他に、アルミ等の金属を用いることができ
る。
【0061】記録表示層を保護するために、記録表示層
上に保護膜を設けることが好ましい。保護層としては、
特に限定されないが、機械的強度や耐水性等を有する硬
化樹脂が好ましい。例えば、UV或は電子線硬化型のポ
リ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリ
レート等が用いられる。記録表示層上に直接前記保護層
を形成することができない場合には、該記録表示層と保
護層の間に、中間層としてポリビニルアルコール等の水
溶性ポリマーの薄膜を形成させてもよい。又、別のシー
ト上に形成した前記の保護層材料を該記録表示層上に転
写やラミネートして硬化させて形成してもよい。カード
用途の場合、液晶と樹脂の使用割合は、ディスプレイの
場合とは適性範囲が異なり、前述の通りである。又、表
示のコントラストを上げるために二色性色素を液晶に含
有させることが好ましい。
【0062】記録及び消去 次に、上記の構成のカードへの情報の記録及び消去につ
いて説明する。情報の消去は、記録表示層を加熱した
後、必要な電界を印加し、液晶分子を電界方向に配向さ
せることによって行う。電界を印加する方法としては、
コロナ帯電法が特に有効である。情報の記録は、記録表
示層へ必要な熱を加え、熱が加えられた部分の液晶分子
の配向を乱すことによって行う。熱を加える方法として
は、サーマルヘッド等を用いる方法が好ましい。本発明
の液晶/高分子複合型記録表示層は、機械的強度や耐熱
性に優れ、更には記録表示層の導電性基板や保護層に対
する密着性、更には低温或は高温領域においてもコント
ラストの低下や消失が少ない。
【0063】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、部は重量部を示す。使用したポリウレタン
樹脂は以下のものである。 NeoRez R−960:ゼネカ(株)製、固形分濃
度33wt%のウレタン樹脂エマルション。 ユニコートUWS−145:三洋化成(株)製、固形分
濃度35wt%のウレタン樹脂エマルション。
【0064】(液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂の
調製) [合成例1]攪拌装置、還流冷却管、窒素ガス導入管およ
び温度計を備えた反応容器に、ウレタン樹脂エマルショ
ンとしてNeoRez R−960を303gおよびイ
オン交換水15gを仕込み撹拌し、75℃に加温した。
メチルメタクリレート73g、ブチルアクリレート24
g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキトシラン
(日本ユニカー(株)製、A−174)4g、界面活性
剤(日本乳化剤社製、商品名ニューコール707SF)
5gおよびイオン交換水60gを予め乳化させた乳化液
と、触媒水溶液(過硫酸カリウム0.5gおよびイオン
交換水16.5gの水溶液)とを2時間かけて反応容器
に滴下した。さらに1時間反応した後、室温に冷却し、
水系エマルション(固形分濃度43重量%、pH7.
6、粘度70cps(30℃))を得た。樹脂のガラス
転移点は50℃であり、エマルションの粒径は50nm
であった。
【0065】[合成例2]攪拌装置、還流冷却管、窒素ガ
ス導入管および温度計を備えた反応容器に、ウレタン樹
脂エマルションとしてユニコートUWS−145を28
6gおよびイオン交換水32gを仕込み撹拌し、75℃
に加温した。メチルメタクリレート76g、ブチルアク
リレート23g、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キトシラン(日本ユニカー(株)製、A−174)4
g、界面活性剤(日本乳化剤社製、商品名ニューコール
707SF)5gおよびイオン交換水60gを予め乳化
させた乳化液と、触媒水溶液(過硫酸カリウム0.5g
およびイオン交換水16.5gの水溶液)とを2時間か
けて反応容器に滴下した。さらに1時間反応した後、室
温に冷却し、水系エマルション(固形分濃度41重量
%、pH7.5、粘度80cps(30℃))を得た。
樹脂のガラス転移点は50℃であり、エマルションの粒
径は40nmであった。
【0066】(スメクチック液晶の調製) [液晶調製例1]表1のような配合比で混合して液晶を調
製した。
【0067】
【表1】
【0068】[塗布液実施例1]前記液晶調製例1のスメ
クチック液晶1重量部に二色性色素(S−428、三井
化学製)0.02部を添加した。この混合溶液に合成例
1の水分散樹脂(固形分:43%)3部を添加し、水3
部をさらに加えて機械分散により混合分散させた。
【0069】[塗布液実施例2]前記液晶調製例1のスメ
クチック液晶1重量部に二色性色素(S−428、三井
化学製)0.02部を添加した。この混合溶液に合成例
2の水分散樹脂(固形分:41%)3部を添加し、水3
部をさらに加えて機械分散により混合分散させた。
【0070】[塗布液比較例1]前記液晶調製例1のスメ
クチック液晶1重量部に二色性色素(S−428、三井
化学製)0.02部を添加した。この混合溶液にウレタ
ン樹脂エマルション(ゼネカ(株)製、商品名NeoR
ez R−960、固形分濃度33wt%)4部を添加
し、水3部をさらに加えて機械分散により混合分散させ
た。
【0071】[塗布液比較例2]前記液晶調製例1のスメ
クチック液晶1重量部に二色性色素(S−428、三井
化学製)0.02部を添加した。この混合溶液にPVA
の水溶液(固形分:20%、クラレ(株)PVA−40
5)5部を添加して機械分散により混合分散させた。
【0072】(液晶/高分子複合型記録表示層及び記録
表示媒体) [実施例1〜2及び比較例1〜2]これらの混合分散液を
用い、ITO蒸着白色ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム基板上に、ドクターブレードを用いて塗布乾燥して
液晶/高分子複合型の記録表示層の形成を行なった。次
いで、該表示記録層上の全面に、紫外線硬化性樹脂(ア
ロニクスM8030、東亜合成化学工業(株)社製)と
硬化剤イルガキュア500(日本チバガイギー社製)を
20/1でトルエンに溶解したものをドクターブレード
を用いて塗布後、高圧水銀灯(出力120W/cm)で
紫外線を照射して硬化させて保護層とし、本発明の記録
表示媒体を得た。このようにして作成した記録表示媒体
は、コロナ放電(コロナ電圧6kV)により消去状態が
得られ、サーマルヘッドによる感熱記録によって書き込
み状態が得られた。
【0073】上記書き込み状態の記録表示媒体の書込部
分の反射濃度と消去部分の反射濃度を、色濃度計(RD
914−S、マクベス社製)を用いて室温で測定し、次
いでこれらを、60℃及び−40℃の恒温槽(50%R
H)中で100時間保存し、消去部分の反射濃度を測定
して、次式により消去状態の反射濃度変化率を算出し、
この結果を保存性として表2に示した。同様に耐湿性を
調べるため、40℃、90%RHの恒温槽中で保存した
結果も示した。 変化率(%)={{(保存後消去部−初期消去部)}/
{(保存後書込部−初期書込部)}}×100 また、書き込み状態時の反射濃度を1.00とした場合
に、これに対する消去状態時の反射濃度を求め、書き込
み状態時の反射濃度から消去状態時の反射濃度を差し引
いた値をコントラストとして求め、この結果も表2に合
わせて示した。
【0074】
【表2】
【0075】この結果から明らかなように、本発明の記
録表示媒体は、比較例の記録表示媒体に比べて高温保存
性、低温保存性、耐湿性が向上していることが分かる。
【0076】
【発明の効果】本発明の液晶/高分子複合型記録表示層
は、高温保存性、低温保存性、耐湿性に優れ、更に低温
或は高温領域においてもコントラストの低下や消失が少
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可逆記録表示媒体の構成図である。
【符号の説明】
1 樹脂マトリックス 2 液晶粒子 3 二色性色素 4 電極層 5 基材 6 導電性基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/10 C08L 101/10 G02F 1/1334 G02F 1/1334 Fターム(参考) 2H088 EA62 GA02 GA04 GA10 GA13 MA02 MA20 2H089 HA04 JA04 KA07 QA06 QA07 QA16 4J002 BC022 BC082 BC092 BD052 BD102 BF012 BF022 BG012 BG022 BG102 BG132 BH022 CK021 EH146 ET006 FD097 GS00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆記録表示媒体の液晶/高分子複合型
    表示記録層(ここで、液晶は二色性色素を含んでいても
    よい)に用いられる樹脂であって、該樹脂が、ウレタン
    樹脂(A)と重合性不飽和単量体の重合体(B)とで構
    成されることを特徴とする液晶/高分子複合型記録表示
    層用樹脂。
  2. 【請求項2】 重合体(B)が、ウレタン樹脂(A)中
    に、粒子状に分散されていることを特徴とする請求項1
    記載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  3. 【請求項3】 樹脂が、ウレタン樹脂(A)と重合体
    (B)とで構成されたコア・シェル構造またはミクロド
    メイン構造を有するポリマー粒子を含む水系エマルショ
    ン状態になることを特徴とする請求項1または2記載の
    液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  4. 【請求項4】 重合体(B)が、加水分解性シリル基を
    有する重合性不飽和単量体を少なくとも1種含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液晶/高
    分子複合型記録表示層用樹脂。
  5. 【請求項5】 少なくとも1種類のカルボキシル基を有
    する重合性不飽和単量体(b)及びその他重合性単量体
    (c)からなる別の重合体が、更に添加されることを特
    徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液晶/高分子複
    合型記録表示層用樹脂。
  6. 【請求項6】 樹脂が、液晶と実質的に非相溶性で相分
    離構造を形成し、且つ、二色性色素によって実質的に染
    色されないことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記
    載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の液晶/高
    分子複合型記録表示層用樹脂中に液晶を分散させてなる
    液晶/高分子複合型記録表示層。
  8. 【請求項8】 液晶が、スメクチック液晶であることを
    特徴とする請求項7に記載の液晶/高分子複合型記録表
    示層。
  9. 【請求項9】 液晶/樹脂の配合比が、10/90〜6
    0/40wt%であることを特徴とする請求項7〜8の
    何れかに記載の液晶/高分子複合型記録表示層用樹脂。
  10. 【請求項10】 液晶が、二色性色素を含むことを特徴
    とする請求項7〜9の何れかに記載の液晶/高分子複合
    型記録表示層用樹脂。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10の何れかに記載の液晶
    /高分子複合型表示記録層を導電性基板の上に設けてな
    る可逆記録表示媒体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6の何れかに記載の液晶/
    高分子複合型記録表示層用樹脂の水エマルションと、請
    求項8に記載の液晶と、必要に応じて請求項10に記載
    の二色性色素とを水に分散させて得られた液を導電性基
    板上に塗布した後、乾燥することによる液晶/高分子複
    合型記録表示層の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006337891A (ja) * 2005-06-06 2006-12-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 記録表示媒体及びその製造方法
JP2008517306A (ja) * 2004-09-29 2008-05-22 インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート 電気的変調型ディスプレイのための静電防止層
JP2009133921A (ja) * 2007-11-28 2009-06-18 Nippon Sheet Glass Co Ltd 液晶調光素子とその製造方法
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