JP2003105214A - 透明複合シート及びそれを用いた液晶表示素子用基板 - Google Patents

透明複合シート及びそれを用いた液晶表示素子用基板

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JP2003105214A JP2002214307A JP2002214307A JP2003105214A JP 2003105214 A JP2003105214 A JP 2003105214A JP 2002214307 A JP2002214307 A JP 2002214307A JP 2002214307 A JP2002214307 A JP 2002214307A JP 2003105214 A JP2003105214 A JP 2003105214A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優
れ、且つ線膨張係数の小さい透明複合シートを提供し、
これを用いた液晶表示素子用基板、特に薄膜トランジス
タ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)を提供する。 【解決手段】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
子化合物(a)、平均粒子径が1〜100nmであるシ
リカ微粒子(b)を含有することを特徴とする透明複合
シート。電気陰性度χが13以下である金属を少なく
とも1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または
金属ジケトネート類(c)を含有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性に優れ、か
つ線膨張係数が低く、電子材料、光学材料、特に薄膜ト
ランジスタ表示素子用基板等の表示素子用基板に好適に
使用できる透明複合シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示素子用基板としてはガ
ラス板が多く用いられている。しかし、大面積化を考え
た場合、割れ易い、曲げられない、比重が大きく軽量化
に不向き等の問題から、近年、ガラス板の代わりにプラ
スチック素材を用いる試みが数多く行われるようになっ
てきた。例えば、特開平5−61226号、特開平7−
287123号公報には、吸水性が0.05重量%以下
の水添熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるシートを液
晶基板として用いることが提案されている。しかしなが
ら、プラスチック素材は、ガラス板に比べ、線膨張係数
が大きいため、液晶表示素子用基板の中でも、特に薄膜
トランジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)の
場合、その製造工程おいて、アルミ配線を施したときに
断線する等の不具合が生じる可能性がある。したがっ
て、液晶表示素子基板、特に薄膜トランジスタ表示素子
用基板(TFT液晶表示基板)として要求される、透明
性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性や、リタデーション値
が低いこと等を満足しつつ線膨張係数の小さいプラスチ
ック素材の開発が望まれている。また、このような樹脂
を用いたシートに、配向剤を塗布した場合、その中に含
まれているNMP等の溶剤に侵され、シートが浸食され
てしまう問題があった。さらに、液晶を封入した場合に
液晶により樹脂が溶けたり、膨潤することにより、液晶
が劣化したり、液晶表示素子自体が破壊してしまう問題
があった。
【0003】線膨張係数を低減する方法としては、一般
に、樹脂中に無機フィラーを添加する方法や基板に無機
膜を積層する等の方法がある。しかし、樹脂中に無機フ
ィラーを添加した場合、その透明性が著しく損なわれ
る、表面平滑性が失われる、分散性が悪いために基板内
に不均一性が生じ割れやすくなる等の問題があった。ま
た、無機膜を積層した場合には、樹脂との密着性が悪
い、線膨張係数の差が大きい等の理由から、剥離、割れ
等が発生する問題があった。
【0004】特開2001−14950号には、透明電
極用基板として熱可塑性プラスチックに粒径1〜300
nmの無機酸化物を10〜95重量%含有させたものを
用いること、またこの透明電極用基板を用いた液晶素子
に関する提案がある。しかしながら、熱可塑性樹脂に無
機酸化物を分散させるために、メカノフュージョン装置
や2軸混練機を使用し、高いせん断エネルギーをかける
必要があり、より容易に無機酸化物を分散でき、かつ透
明化できることが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透明性、耐
溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優れ、且つ線膨張係数の小
さい透明複合シートを提供し、これを用いた液晶表示素
子用基板、特に薄膜トランジスタ表示素子用基板(TF
T液晶表示基板)を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、 (1) アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合
物(a)、平均粒子径が1〜100nmであるシリカ微
粒子(b)を含有することを特徴とする透明複合シー
ト。 (2) アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合
物(a)、平均粒子径が1〜100nmであるシリカ微
粒子(b)、下式(1)より求められる電気陰性度χ
が13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金
属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類
(c)を含有することを特徴とする透明複合シート。
【0007】
【数2】 (式(1)中、χ:金属イオンの電気陰性度、z:価
数、χ:ポーリングの電気陰性度を示す。)
【0008】(3) 式(1)より求められる電気陰性
度χが13以下である金属を少なくとも1種以上含有
する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート
類(c)の配合量が、透明複合シートに含まれるシリカ
微粒子100重量部に対し0.01〜10重量部である
ことを特徴とする(2)記載の透明複合シート。 (4) 式(1)より求められる電気陰性度χが13
以下である金属がアルミニウムであることを特徴とする
(2)または(3)記載の透明複合シート。 (5) 式(1)より求められる電気陰性度χが13
以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アル
コサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)が、
下式(2)で示される化合物から選ばれた少なくとも1
種以上であることを特徴とする(2)〜(4)記載の透
明複合シート。
【0009】
【化2】 (式(2)中、R, R2, R3, R4は炭素数1〜3
0の炭化水素残基を表す。)
【0010】(6) アルコキシシリル基を含有する有
機高分子化合物(a)がアルコキシシリル基を含有する
脂環式ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする
(1)〜(5)記載の透明複合シート。 (7) アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合
物(a)が200℃以上のガラス転移点を有することを
特徴とする(1)〜(6)記載の透明複合シート。 (8) アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合
物(a)に含まれるアルコキシシリル基の含有量が、有
機高分子化合物(a)100gに対し5〜500mmo
lであることを特徴とする(1)〜(7)記載の透明複
合シート。 (9) シリカ微粒子の含有量が10〜90重量%であ
ることを特徴とする(1)〜(8)記載の透明複合シー
ト。 (10) シリカ微粒子としてコロイダルシリカを用い
ることを特徴とする(1)〜(9)記載の透明複合シー
ト。 (11) 30〜230℃の平均線膨張係数が70pp
m以下であることを特徴とする(1)〜(10)記載の
透明複合シート。 (12) 波長500nmの光線透過率が85%以上で
あることを特徴とする(1)〜(11)記載の透明複合
シート。 (13) シートの厚さが50〜2000μmであるこ
とを特徴とする(1)〜(12)記載の透明複合シー
ト。 (14) (1)〜(13)記載の透明複合シートを用
いることを特徴とする液晶表示素子用基板。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルコキシシリル基を含有する有機高分子化合
物(a)としては、有機高分子化合物(a)にアルコキ
シシリル基を含有し、シリカ微粒子と混合して透明化で
きるものであれば特に制限されるものではなく、アルコ
キシシリル基を含有するメタクリル樹脂、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミ
ド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、脂環式ポリ
オレフィン樹脂などが挙げられる。中でも、透明性や耐
熱性の面からポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ
エーテルスルホン、脂環式ポリオレフィン樹脂が好まし
く、さらに吸水率が低く、透明性に優れることから脂環
式ポリオレフィンが最も好ましい。脂環式ポリオレフィ
ン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、シクロヘキサジ
エン系ポリマー、オレフィンマレイミド交互共重合体な
どが挙げられ、ノルボルネン系樹脂としては、ノルボル
ネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボ
ルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体
とオレフィンとの付加型重合体などが挙げられ、TFT
液晶表示基板のように製造工程で高温にさらされる恐れ
のある用途では耐熱性のあるノルボルネン系単量体の付
加型重合体が好ましい。ノルボルネン系単量体として
は、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、芳香
族置換誘導体およびこれらオレフィンのハロゲン、水酸
基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、
イミド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノ
ルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−
ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボ
ルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−
ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メ
チル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5
−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メ
チル−2−ノルボルネン等;ノルボルネンに1つ以上の
シクロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様
の誘導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ
−1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シク
ロペンタジエノナフタレン、6−メチル−1,4:5,
8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−
トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,
9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シク
ロペンタジエノアントラセン等;シクロペンタジエンの
多量体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導
体や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−
ジヒドロジシクロペンタジエン等;シクロペンタジエン
とテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様
の誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,
4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオ
レン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノ
ナフタレン等;等が挙げられる。アルコキシシリル基を
含有する有機高分子化合物(a)は、アルコキシシリル
基を含有するモノマーを共重合させる方法、有機高分子
化合物にアルコキシシリル基をグラフトさせる方法など
により製造できる。例えば、ノルボルネン系樹脂では、
ノルボルネン系単量体とアルコキシシリル基を含有する
モノマーとの共重合で、アルコキシシリル基を含有する
ノルボルネン系樹脂が製造できる。アルコキシシリル基
としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル
基、トリプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル
基、モノメトキシジメチルシリル基など、アルコキシが
1つ以上付いた各種のアルコキシシリル基を用いること
ができる。
【0012】アルコキシシリル基の含有量としては、有
機高分子化合物(a)100g中に5〜500mmol
が好ましく、さらに好ましくは10〜200mmol
、最も好ましくは20〜100mmolである。この
範囲内であれば、適度な柔軟性を持ち、且つ十分な透明
性を持つ複合シートが得られる。
【0013】本発明で用いられるアルコキシシリル基を
含有する有機高分子化合物(a)は、柔軟性を付与す
る、耐溶剤性を向上させる等の目的で、アルコキシシリ
ル基を含有しないオリゴマーや熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂等を併用して用いても良い。
【0014】本発明で用いられる平均粒子径が1〜10
0nmであるシリカ微粒子(b)とは、ケイ素を含有す
る金属酸化物でかつ平均粒径が1〜100nmの範囲の
ものであれば、特に制限されるものではないが、線膨張
係数の点において、平均粒径が1〜100nmのシリカ
微粒子が好ましい。シリカ微粒子としては、乾燥された
粉末状のシリカ微粒子、有機溶媒に分散されたコロイダ
ルシリカ(シリカゾル)等を使用することができるが、
分散性の点で、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ
(シリカゾル)を用いることが好ましい。有機溶媒に分
散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)を用いる場合
の有機溶媒としては、特に限定はしないが、複合体組成
物中に使用する有機成分が溶解するものを用いることが
好ましく、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル
類、グリコールエーテル類が挙げられる。これらの有機
溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)、シ
リカ微粒子は、液晶表示素子用基板に要求される、透明
性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性等の特性を極端に損な
うことのない範囲で、シランカップリング剤、チタネー
ト系カップリング剤等のカップリング剤や疎水処理剤で
表面処理されたものであっても良く、有機溶媒に分散さ
せるために、界面活性剤等の分散剤を使用しているもの
であっても良い。
【0015】シリカ微粒子の平均粒径は1〜100nm
が好ましく、さらに好ましくは1〜50nm、最も好ま
しくは5〜40nmである。1nm未満であれば、シリ
カ微粒子の充填量が制限されるとともに分散性が悪化
し、十分な透明性、線膨張係数を得ることができない。
また、100nmを超えると超える透明性が著しく悪化
する。
【0016】波長400〜500nmの光線透過率を低
下させないために、1次粒径が200nm以上のシリカ
微粒子が5%以下の割合で存在するシリカ微粒子を用い
ることが好ましく、さらに好ましくは、0%である。ま
た、シリカ微粒子の充填量を上げるために、平均粒径が
異なるシリカ微粒子を混合して用いても良い。さらに、
シリカ微粒子として、特開平7−48117に示される
ような多孔質シリカゾルや、アルミニウム、マグネシウ
ム、亜鉛等とケイ素の複合金属酸化物を用いても良い。
透明複合シート中のシリカ微粒子の含有量は10〜90
重量%が好ましく、線膨張係数と軽量化、透明性、靱性
のバランスの点で、さらに好ましくは、10〜80重量
%、最も好ましくは、10〜70重量%である。
【0017】式(1)より求められる電気陰性度χ
13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属
アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)
は、複合シートの透明性を向上させるために用いること
が好ましい。ここでいう金属とは、金属、亜(半)金属
を含む非金属以外の元素のことを表す。
【0018】
【数3】 (式(1)中、χ:金属イオンの電気陰性度、z:価
数、χ:ポーリングの電気陰性度を示す。)
【0019】式(1)より求められる電気陰性度χ
13以下である金属には、マグネシウム、亜鉛、アルミ
ニウム、カルシウム、亜鉛、スカンジウム、ガリウム、
ストロンチウム、イットリウム、カドミウム、インジウ
ム、タリウム、ハフニウム、ジルコニウム、バリウム、
水銀、鉄、クロム、ゲルマニウム、ニッケル、銅、コバ
ルト、ランタン、ジスプロシウム、ツリウム、ネオジ
ム、ユウロピウム等が挙げられる。中でも、コスト、安
全性の点で、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、カル
シウム、ジルコニウムが好ましく、最も好ましくは、ア
ルミニウムである。
【0020】アルミニウムを含有する金属アルコサイド
および/または金属ジケトネート類(c)としては、ア
ルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミ
ニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレー
ト、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレ
ート類、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプ
ロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテ
ート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソ
プロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネート
ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス
(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプ
ロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート等のア
ルミニウムキレート類などが上げられる。中でも、複合
シートの透明性の点で、下式(2)で示される化合物か
ら選ばれた少なくとも1種以上を用いることが好まし
く、さらに好ましくは、アルキルアセトアセテートアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウム=モノイソ
プロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテートであ
り、最も好ましくは、アルキルアセトアセテートアルミ
ニウムジイソプロピレートである。
【0021】
【化3】 (式(2)中、R, R2, R3, R4は炭素数1〜3
0の炭化水素残基を表す。)
【0022】式(1)より求められる電気陰性度χ
13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属
アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)
の配合量としては、透明複合シートに含まれるシリカ微
粒子100重量部に対し0.01〜10重量部配合する
ことが好ましく、透明性、吸水率のバランスから、さら
に好ましくは0.1〜5重量部であり、最も好ましくは
0.1〜3重量部である。
【0023】なお、電気陰性度がχが13を超える金
属として、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、バナジウ
ム、モリブデン等が挙げられ、これらの金属を含有する
金属アルコキサイドおよび/または金属ジケトネート類
としては、例えばケイ素のみを含有するシランカップリ
ング剤等が挙げられるが、これらの金属アルコキサイド
および/または金属ジケトネート類を用いた場合、これ
らの金属が有機高分子化合物中に含まれるアルコキシシ
リル基中のケイ素に近い電気陰性度を有するため、有機
高分子化合物中に含まれるアルコキシシリル基との反応
性が不十分で、複合シートの透明性を向上させる効果が
十分でない。
【0024】また、本発明で作製される透明複合シート
中には、透明性等の特性を損なわない範囲で、少量の酸
化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、他の無機フィラー等
の充填剤等を含んでいても良い。また、吸水率を低減さ
せる目的で、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチル
ジシラザン、トリメチルクロロシラン、オクタメチルシ
クロテトラシロキサン等の疎水化処理剤を含有させても
良い。
【0025】透明複合シートを製造する方法としては、
例えば、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリ
カゾル)とその他の配合物を混合し、必要に応じて、脱
溶媒した後、キャストし、さらに脱溶媒させる方法、乾
燥した粉末状のシリカ微粒子とその他の配合物、必要に
応じて有機溶媒を分散能力の高い混合装置を用いて混合
し、分散させる方法などが挙げられる。分散能力が高い
装置としては、例えば、特殊機化工業(株)製のフィル
ミックスや種々のビーズミル、アジホミクサー等が挙げ
られる。分散能力が高い装置を使用するときは、混合又
は混練中に、反応が急速に進まないように、温度が上昇
しすぎないよう注意する必要がある。シリカ微粒子を分
散させ複合シートを透明化するために必要な攪拌エネル
ギーは、アルコキシシリル基を含有しない有機高分子化
合物を用いた場合よりもアルコキシシリル基を含有する
有機高分子化合物を用いた場合のほうが小さく、さらに
アルコキシシリル基を含有する有機高分子化合物
(a)、式(1)より求められる電気陰性度χが13
以下である金属を少なくとも1種以上含有する金属アル
コサイドおよび/または金属ジケトネート類(c)を併
用した場合のほうが小さくて済む。式(1)より求めら
れる電気陰性度χが13以下である金属を少なくとも
1種以上含有する金属アルコサイドおよび/または金属
ジケトネート類(c)を併用した場合は、攪拌子で数時
間〜1日攪拌するだけで比較的透明な溶液を作製でき、
それを用いて透明複合シートを得ることができる。ま
た、式(1)より求められる電気陰性度χが13以下
である金属を少なくとも1種以上含有する金属アルコサ
イドおよび/または金属ジケトネート類(c)を併用し
た場合に、T.K.アジホミクサー(特殊機化工業(株)
製)のような比較的攪拌エネルギーの高い攪拌装置を使
用すると、数分で比較的透明な溶液を作製でき、それを
用いて透明複合シートを得ることができる。
【0026】本発明の液晶表示素子用基板を、薄膜トラ
ンジスタ表示素子用基板(TFT液晶表示基板)として
用いる場合は、30〜230℃の平均線膨張係数が70
ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、
60ppm以下であり、最も好ましくは、50ppm以
下である。70ppmを超えると、その製造工程おい
て、アルミ配線を施したときに断線する等の不具合が生
じる可能性が極端に増大する。また、吸水率、ガス透過
性等を低減させるため、無機膜を積層した場合には、線
膨張係数の差が大きいため、剥離、割れ等が発生する可
能性が増大する。
【0027】本発明の透明複合シートは、波長500n
mの光線透過率が85%以上であり、さらに好ましく
は、90%以上である。波長500nmの光線透過率が
85%を下回ると、液晶表示素子用基板として液晶表示
装置に組み込んだ時、文字又は色等の表示性が悪化す
る。本発明の透明複合シートは、例えば、液晶表示素子
用基板として用いる場合等、軽量化を要求される用途に
用いる場合等には、シートの厚さが50〜2000μm
であることが好ましく、さらに好ましくは100〜10
00μmであり、最も好ましくは、100〜500μm
である。シートの厚さがこの範囲内にあれば、平坦性に
優れ、ガラス基板と比較して、基板の軽量化を図ること
ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例により詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例
に限定されるものではない。まず、表1に示す実施例及
び比較例で得られた液晶表示素子用基板の作製手順につ
いて説明する。
【0029】(実施例1)メチルエチルケトン(ME
K)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、
平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK
−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン20
0重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コ
ロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基
含有脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと
5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合
体(共重合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基
の含有量:樹脂100g中50mmol)]100重量
部に混合し、常温で約1日撹拌し比較的透明な溶液を作
製した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2
時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35℃
の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さ
らに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほ
ぼ除去した透明複合シートを得た。 (実施例2)メチルエチルケトン(MEK)分散型コロ
イダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10
〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化
学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合
し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカ
を作製した。これをアルコキシシリル基含有脂環式ポリ
オレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキ
シシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モ
ル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂
100g中50mmol)]100重量部に混合し、さ
らにアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレート[商品名プレンアクトAL−M;味の素(株)
製]0.6重量部を混合し、常温で約1日撹拌しほぼ透
明な溶液を作製した。さらに、フェノール系酸化防止剤
を添加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し
込み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程
度除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱
し、溶剤をほぼ除去した透明複合シートを得た。 (実施例3)メチルエチルケトン(MEK)分散型コロ
イダルシリカ[シリカ含量30重量%、平均粒子径10
〜20nm、商品名スノーテックMEK−ST;日産化
学(株)製]100重量部とトルエン200重量部を混合
し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コロイダルシリカ
を作製した。これをアルコキシシリル基含有脂環式ポリ
オレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリエトキ
シシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重合体モ
ル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有量:樹脂
100g中50mmol)]60重量部に混合し、さら
にアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピ
レート[商品名プレンアクトAL−M;味の素(株)製]
0.6重量部を混合し、常温で約1日撹拌しほぼ透明な
溶液を作製した。さらに、フェノール系酸化防止剤を添
加し約2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込
み、35℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度
除去し、さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱
し、溶剤をほぼ除去した透明複合シートを得た。
【0030】(比較例1)メチルエチルケトン(ME
K)分散型コロイダルシリカ[シリカ含量30重量%、
平均粒子径10〜20nm、商品名スノーテックMEK
−ST;日産化学(株)製]100重量部とトルエン20
0重量部を混合し、トルエン・MEK混合溶媒分散型コ
ロイダルシリカを作製した。これをアルコキシシリル基
を含有しない脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボ
ルネンと5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンとの共重
合体(共重合体モル比:85/15)]100重量部に
混合し、常温で約1日撹拌した(このとき溶液は白濁し
ていた)。さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約
2時間攪拌した後、これを、シャーレに流し込み、35
℃の熱板上に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、
さらに250℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤を
ほぼ除去した複合シートを得た。
【0031】(比較例2)アルコキシシリル基含有脂環
式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと5−トリ
エトキシシリル−2−ノルボルネンとの共重合体(共重
合体モル比:95/5)、アルコキシシリル基の含有
量:樹脂100g中50mmol)]100重量部にト
ルエン200重量部を混合し、常温で約1日撹拌した。
さらに、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌
した後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上
に約1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに25
0℃の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去し
た透明シートを得た。
【0032】(比較例3)アルコキシシリル基を含有し
ない脂環式ポリオレフィン樹脂[ 2−ノルボルネンと
5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンとの共重合体(共
重合体モル比:85/15)]100重量部にトルエン
200重量部を混合し、常温で約1日撹拌した。さら
に、フェノール系酸化防止剤を添加し約2時間攪拌した
後、これを、シャーレに流し込み、35℃の熱板上に約
1日間放置し、溶剤をある程度除去し、さらに250℃
の窒素オーブンで3時間加熱し、溶剤をほぼ除去した透
明シートを得た。
【0033】以上のようにして作製した複合シートにつ
いて、下記に示す評価方法により、各種特性を測定し
た。 平均線膨張係数 セイコー電子(株)製TMA/SS120C型熱応力歪
測定装置を用いて、窒素の存在下、1分間に5℃の割合
で温度を30℃から400℃まで上昇させて20分間保
持し、30℃〜230℃の時の値を測定して求めた。荷
重を5gにし、引張モードで測定を行った。引張りチャ
ックには独自に設計した石英引張チャック(材質:石
英,線膨張係数0.5ppm)を用いた。セイコー電子
(株)製の純正引張チャックは、それ自体の線膨張が高
いことやサンプルの支持形態に不具合があり、100μ
mを超える厚いシートに適用すると線膨張係数が圧縮モ
ードで測定した結果よりも大きめに出たり、測定ばらつ
きが大きくなる問題があった。したがって、石英引張チ
ャックを独自に設計し、それを用いて線膨張係数を測定
することにした。この引張チャックを用いることによ
り、圧縮モードで測定した場合とほぼ同様の値で測定で
きることを確認している。 耐溶剤性 40℃のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に試料
を浸漬して60分間放置。試料を取り出した後、目視に
て外観を観察した。完全に変形、変色を伴わず、浸食さ
れない浸食もののみ○、他は×とした。なお、この評価
において、温度、浸漬時間等の試験条件が多少変化して
も、評価結果に変化がないことを確認している。 耐配向剤性 スピンコーター上に試料を設置。その表面にCRD−8
201(住友ベークライト製)を滴下した後 2500
rpmでスピンコートを実施。180℃60分乾燥処理
後、目視にて外観を観察した。完全に変形、変色を伴わ
ず、浸食されない浸食もののみ○、他は×とした。な
お、この評価において、温度、時間等の試験条件が多少
変化しても、評価結果に変化がないことを確認してい
る。
【0034】耐液晶性 基板の表面にメルク社製ZIL−4792を1滴滴下す
る。120℃のオーブン内に投入して60分放置する。
試料を取り出した後、目視にて外観を観察した。完全に
変形、変色を伴わず、浸食されない浸食もののみ○、他
は×とした。なお、この評価において、温度、時間等の
試験条件が多少変化しても、評価結果に変化がないこと
を確認している。 貯蔵弾性率、tanδ 粘弾性測定装置 DMS-210(セイコーインスツルメンツ製)を用い、
周波数1Hzで測定した。30℃、250℃での貯蔵弾
性率を求め、また、30℃〜250℃における損失正接
tanδの最大値と最小値を求め、その差の絶対値を損
失正接tanδの変化量として求めた。 500nmの光線透過率 分光光度計U3200(日立製作所製)で測定した。 基板の厚さ マイクロメータにより、フィルム中央部を測定した。評
価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の透明複合シートは、線膨張係数
が低く、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優れ、
電子材料、光学材料、特に薄膜トランジスタ表示素子用
基板等の液晶表示素子用基板に好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 65/00 C08L 65/00 G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 Fターム(参考) 2H090 JB01 JB02 JB03 JC06 JD15 JD18 4F071 AA39 AB26 AC07 AE17 AF02 AF30 AF35 AF36 AF62 AH12 BA02 BB02 BC01 BC12 4J002 BC041 BG051 BK001 CE001 CF061 CF161 CG001 CH071 CM041 CN031 DJ016 EE047 FB096 FB166 FD016 GP00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
    子化合物(a)、平均粒子径が1〜100nmであるシ
    リカ微粒子(b)を含有することを特徴とする透明複合
    シート。
  2. 【請求項2】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
    子化合物(a)、平均粒子径が1〜100nmであるシ
    リカ微粒子(b)、下式(1)より求められる電気陰性
    度χが13以下である金属を少なくとも1種以上含有
    する金属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート
    類(c)を含有することを特徴とする透明複合シート。 【数1】 (式(1)中、χ:金属イオンの電気陰性度、z:価
    数、χ:ポーリングの電気陰性度を示す。)
  3. 【請求項3】 式(1)より求められる電気陰性度χ
    が13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金
    属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類
    (c)の配合量が、透明複合シートに含まれるシリカ微
    粒子100重量部に対し0.01〜10重量部であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の透明複合シート。
  4. 【請求項4】 式(1)より求められる電気陰性度χ
    が13以下である金属がアルミニウムであることを特徴
    とする請求項2または3記載の透明複合シート。
  5. 【請求項5】 式(1)より求められる電気陰性度χ
    が13以下である金属を少なくとも1種以上含有する金
    属アルコサイドおよび/または金属ジケトネート類
    (c)が、下式(2)で示される化合物から選ばれた少
    なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2〜4
    いずれか1項に記載の透明複合シート。 【化1】 (式(2)中、R, R2, R3, R4は炭素数1〜3
    0の炭化水素残基を表す。)
  6. 【請求項6】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
    子化合物(a)がアルコキシシリル基を含有する脂環式
    ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の透明複合シート。
  7. 【請求項7】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
    子化合物(a)が150℃以上のガラス転移点を有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    透明複合シート。
  8. 【請求項8】 アルコキシシリル基を含有する有機高分
    子化合物(a)に含まれるアルコキシシリル基の含有量
    が、有機高分子化合物(a)100gに対し5〜500
    mmolであることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の透明複合シート。
  9. 【請求項9】 シリカ微粒子の含有量が10〜90重量
    %であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項
    に記載の透明複合シート。
  10. 【請求項10】 シリカ微粒子としてコロイダルシリカ
    を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項
    に記載の透明複合シート。
  11. 【請求項11】 30〜230℃の平均線膨張係数が7
    0ppm以下であることを特徴とする請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の透明複合シート。
  12. 【請求項12】 波長500nmの光線透過率が85%
    以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか
    1項に記載の透明複合シート。
  13. 【請求項13】 シートの厚さが50〜2000μmで
    あることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に
    記載の透明複合シート。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1項に記載
    の透明複合シートを用いることを特徴とする液晶表示素
    子用基板。
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