JP5414698B2 - 横編機およびその目移し方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フックを開閉するスライダの先頭部がフック上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れる複合針を編針として備える横編機、およびその横編機での目移し方法に関する。
従来から、横編機の編針として、フックを開閉するスライダの先頭部がフック上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れる複合針を使用し、スライダを利用して目移しを行う技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。ブレードの先端部には、タングと呼ばれる段差が形成されている。特許文献1に記載されている横編機では、歯口を挟むように前後一対の針床を設け、針床上を往復走行するキャリッジに搭載するカムで複合針を選択的に駆動して、編成動作や目移し動作を行わせる。特許文献1の図12には、複合針の針本体とスライダとに設けられるバットを案内して目移し動作を行わせるカム配置がバットの通過軌跡とともに示されている。目移しの際には、目渡し側がフック上縁よりも歯口に進出させたタングで編目を保持する。保持する編目がタング先端から脱落することを防ぎ、かつスライダがタング先端でフック先端側の開口部を閉じている状態でのノックオーバを円滑に行わせるために、フックを閉じる際にタングの先端と針本体の針幹との間隔をいったん増加させてから減少させる技術も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
特許文献1の図13から図20までの各図では、図12の通過軌跡上での主要位置に対応する複合針の動作状態が針床の側面図として示されている。特に図16には、目渡し側のスライダをフックよりも歯口に進出させ、スライダの先頭部に形成するタングで編目を保持する状態が示されている。図6の6−bで示されるように、スライダの先端のブレードはフックの両側に分岐し、先端が拡がっている。図17および図18には、ブレード間に、目受け側のフックを侵入させる状態が示されている。図19には、目渡し側のスライダを引込み、編目を目受け側の針本体の針幹に掛ける状態が示されている。図20には、目受け側のフックを引込み、フック先端側の開口部内、すなわちフック内に編目を受入れている状態が示されている。
横編機での目移し動作は、組織柄を編成する場合や、編目の数を増減させる場合に行われる。前後の針床で編成する編地を編幅の両側で連結して筒状に編成する場合で、特に表目と裏目とを含むリブ編みなどを行う場合には、編目の形成と目移しとを交互に行うので、目移しの頻度が高まる。針抜き編成を行えば、前後一対の針床でも、リブ編みで筒状の編地を編成することができる。歯口の両側で上下二段に針床を備える四枚ベッドの横編機を使用する場合は、総針編成で筒状の編地をリブ編みで編成することができる。四枚ベッドの横編機では、各針床の下段側で表目を編成し、上段側で裏目を編成する。一方の針床の下段側には、表目を編成する編針と、対向する上段側の針床で編成する裏目を保持する編針とが交互に配置される。裏目の編成と保持との間に、目移しが行われる。
図3は、四枚ベッドの横編機で下段側から上段側へ目移しを行う状態を、部分的に簡略化して示す。図3では、図1で後述する本発明の実施形態と比較するために、特許文献1の図19に対応する動作を、(a)、(b)および(c)の三段階に分けて示す。横編機1は、歯口2を挟んで、前側に前下段針床3aおよび前上段針床3bと、後側に後下段針床4aおよび後上段針床4bとを有する。各針床は、歯口2側に近づくと高く、遠ざかると低くなるように、傾斜している。前下段針床3aおよび前上段針床3bと、後下段針床4aおよび後上段針床4bとは、歯口2の中心面2aに関して面対称となるように配置される。本明細書では、各針床で編針が移動する方向として、歯口2に進出する方向を上、針床に引込まれる方向を下として記載する。
編針は、各針床に設けられる針溝に収容されて、先頭部が歯口2に進退する。本明細書では、各針溝内で、底面から離れる方向の変位を浮くと記載し、底面に近づく方向の変位を沈むと記載する。編針としては、特許文献1や特許文献2に開示されているような複合針5が使用される。複合針5は、針本体6とスライダ7とを含む。針本体6の先頭部には、フック6aが針幹6bの先端となるように形成される。フック6aは、鉤状に湾曲し、先端が針幹6b側に折返される。フック6aの先端と針幹6bとの間は開口する。フック6aが引込まれる際には、フック6aの先端は、下降軌跡6cを通る。
スライダ7は、針本体6の針幹6bに設ける溝に収容されて、針本体6に対して相対的に移動可能であり、先端部のブレード7aは二枚に分れ、それぞれ先頭部にタング7bが形成されている。タング7bは、フック6aの先端と針幹6bとの間の開口部を閉じることができる。前下段針床3aが目渡し側となり、後上段針床4bが目受け側となる場合、編目8は、目渡し側のタング7bで保持されて、歯口2にフック6aの上縁を超えて両側に拡がりながら進出する。歯口2の両側で、編針の間には、シンカ9も設けられている。目受け側のフック6aが目渡し側のブレード7a間に侵入すると、目渡し側のスライダ7は引込まれる。編目8は、スライダ7のタング7bから外れてシンカ9の上縁付近に留まる。目受け側のフック6aを引込むと、編目8をフック6a内に捕捉して受取ることができる。
特許第3085657号公報 特許第3886903号公報
従来からの複合針5を使用する目移しでは、目受け側のスライダ7は後上段針床4bから歯口2へ進出しない状態で待機している。針本体6のみがフック6aを開いた状態で引込まれる。目渡し側から目移しされる編目8は、目受け側のフック6aが引込まれる途中で捕捉される。目受け側のフック6aに捕捉される編目8は、目渡し側のタング7bの上縁から外れて、シンカ9の上縁付近に留まっている。編目8が目渡し側のタング7bの上縁で保持されている状態では、編目8を押し広げる力が編糸にかかっている。編目8が目渡し側のタング7の上縁から外れると、編目8には、編地を引下げる力などがかかる。編糸に充分な伸縮性や滑りがあれば、編目8の大きさは目渡し側のタング7bに掛っている状態よりも小さくなる。編目8が小さくなれば、目受け側のフック6aが後上段針床4bに引込まれる際に、フック6a内に捕捉しやすい。
編糸として滑りが悪い場合や、伸びの少ない場合、編地を引下げる力が効き難い場合などには、編目8が小さくならず、シンカ9の上縁付近で浮いている状態となる可能性がある。編地を引下げる力が効き難い場合としては、編目を増やして編幅を大きくする場合や、引返し編みを行う場合がある。後上段針床4bで裏目として編成する編目8を、前下段針床3aから後上段針床4bに目移しする場合は、編目8自体の性質として、目受け側のフック6aから離れる方向に浮きやすくなる。
編目8が浮いている状態となると、目受け側のフック6aの先端の下降軌跡6cにかかったり、下降軌跡6cよりもさらに浮いてしまうおそれがある。編目8がフック6aの先端の下降軌跡6cよりも浮いてしまうと、編目8をフック6a内に捕捉することができず、編目8は歯口2に離脱する目こぼれが生じてしまう。編目8が下降軌跡6cにかかると、編目8を形成する編糸をフック6aの先端で割ってしまうおそれがある。
本発明の目的は、目こぼれや編目を割るような目移し不良を無くし、安定した目移しを行うことができる横編機およびその目移し方法を提供することである。
本発明は、歯口を挟んで対向するように配設される針床を備え、各針床には先頭部にフックを有する針本体と、針本体に対して相対移動してフックの先端側の開口部を開閉するスライダとを有する複合針が編針として並設され、スライダの先頭部はフックを両側から挟むようにしてフックの上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れ、各ブレードの先頭部にはタングが形成され、目渡し側ではフックの上縁よりも歯口に進出して相互間が開くタング間に編目を保持して、目受け側では歯口に進出させる針本体のフックを目渡し側のタング間に侵入させてから引込み、目受け側のフックの開口部内に編目を受取らせて目移しを行うことが可能な横編機において、
目受け側のフックを歯口に進出させて目渡し側のタング間に侵入させるフック進出手段と、
該目受け側のフックが引込まれて、フックの先端が目渡し側のタング間で保持される編目に達する前に、フック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に、タング先端の底部で該編目を沈めるまで、目受け側のスライダを歯口に進出させるタング進出手段とを、
含むことを特徴とする横編機である。
また本発明で、前記目受け側のスライダは、前記フックの先端側の開口部を閉じるように、前記針本体に対して前記タング先端が相対移動する際に、目受け側の針本体の針幹とタング先端との間隔がいったん増加してから減少することを特徴とする。
また本発明で、前記複合針は、各針床に沿って往復走行するキャリッジに搭載されるカムによって駆動され、
該カムは、前記フック進出手段および前記タング進出手段を、駆動の経路としてそれぞれ有していることを特徴とする。
また本発明で、前記針床は、前記歯口の少なくとも一方側では上下に二段設けられ、
前記フック進出手段および前記タング進出手段は、上段の針床に並設される複合針を、対向する針床の下段側から目移しされる編目を受取る目受け側として動作させることを特徴とする。
さらに本発明は、歯口を挟んで対向するように配設される針床を備え、各針床には先頭部にフックを有する針本体と、針本体に対して相対移動してフックの先端側の開口部を開閉するスライダとを有する複合針が編針として並設され、スライダの先頭部はフックを両側から挟むようにしてフックの上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れ、各ブレードの先頭部にはタングが形成され、目渡し側ではフックの上縁よりも歯口に進出して相互間が開く目渡し側のタング間に編目を保持して、目受け側では歯口に進出させる針本体のフックをタング間に侵入させてから引込み、目受け側のフックの開口部内に編目を受取らせて目移しを行うことが可能な横編機の目移し方法において、
目受け側のフックを歯口に進出させて目渡し側のタング間に侵入させてから、該フックの先端が該タング間で保持される編目に達するまで引込まれる前に、
目受け側のスライダを歯口に進出させて、フック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に、タング先端の底部で該編目を沈める、
ことを特徴とする横編機の目移し方法である。
本発明によれば、目渡し側では針本体の先頭部のフック上縁よりも歯口に進出して相互間が開くスライダの先頭部のタング間に編目を保持する。目受け側では、フック進出手段によって、針本体のフックを目渡し側のタング間に侵入させる。タング進出手段は、目受け側のフックが引込まれて、フックの先端が目渡し側のタング間で保持される編目に達する前に、タング先端の底部で編目を沈める。編目は、少なくともフック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に、沈めることができるので、フックを目渡し側のタング間に侵入させた状態では編目が浮いていても、フックを引込む際の目こぼれや編目を割るような目移し不良を無くし、安定した目移しを行うことができる。
また本発明によれば、目受け側のスライダは、フックの先端側の開口部を閉じるように、針本体に対してタング先端が相対移動する際に、針本体の針幹とタング先端との間隔がいったん増加してから減少する。タング先端の底部が針幹に対して浮沈するので、針幹から浮いている状態の編目を針幹側に押下げることができる。編目の浮きを解消させることができるので、フックを目受け側の針床に引込む際に、確実にフック先端側の開口部内に捕捉することができる。
また本発明によれば、キャリッジに搭載するカムに設ける駆動の経路で、フック進出手段およびタング進出手段として動作させ、目移しの安定性を向上させることができる。
また本発明によれば、裏目を編成する上段の針床に、歯口を挟んで対向する下段の針床で係止する裏目を目移しする際に、浮きやすい裏目をタングの先端で押込み、目受け側のフック内に捕捉して、安定した目移しを行うことができる。
さらに本発明によれば、目受け側のスライダのタング先端の底部で目渡し側のタング間に保持されている編目を目受け側のフック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に沈める。編目が針幹から浮いていても、下降するフック先端の開口部内に確実に捕捉し、安定した目移しを行うことができる。
図1は、本発明の実施の一形態として、四枚ベッドの横編機10で、下段側の針床から上段側の針床への目移しを行う途中の特徴的な動作を示す簡略化した側面断面図である。 図2は、図1の横編機10に使用する目移しカム11のカム配置図である。 図3は、従来からの四枚ベッドの横編機1で下段側から上段側へ目移しを行う状態を簡略化して示す側面断面図である。
図1は、本発明の実施の一形態として、四枚ベッドの横編機10で、下段側の針床から上段側の針床への目移しを行う途中の特徴的な動作を示す。図1の(a)、(b)および(c)は、図3の(a)、(b)および(c)にそれぞれ対応する。以下の説明で、横編機10について、横編機1と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。
横編機10では、目受け側の後上段針床4bの複合針5のスライダ7を、フック6aを引込む前に歯口2に進出させる。図1(a)でタング7bの進出を開始し、図1(b)ではタング7bの先端の底部が編目8の位置まで達する。タング7bの先端は、底部から離れる方向に湾曲している。タング7bをさらに進出させれば、図1(c)に示すように、編目8に沿ってタング7bの先端の底部がそり上がる。編目8は、シンカー9の上縁に留まるシンカーループが揺動支点となって、シンカー9間のニードルループの部分がフック6a内への方向、すなわちフック6aの先端の下降軌跡6cよりも針幹6b側に沈むように押込まれる。
図1(c)では、フック6aも後上段針床4bの方向に引込まれ、タング7bの先端でフック6aが閉じられる。このようにフック6aを閉じてから後上段針床4bに引込めば、フック6a内に捕捉した編目8を確実に受取ることができる。フック6aをタング7bの先端で閉じる際に、特許文献2に示すように、タングの先端と針本体の針幹との間隔をいったん増加させてから減少させることもできる。タング7bの先端底部で編目8を押込む際に、タング7bの先端を針幹6bからいったん浮かせてから沈めるので、編目8が浮いていても確実に沈めてフック6a内に捕捉することができる。
図2は、図1の横編機10で各針床に設けるキャリッジに搭載される目移しカム11の概略的なカム配置を示す。前下段針床3aの複合針5は、前下段カム13で駆動し、後上段針床4bの複合針5は、後上段カム14で駆動する。後下段針床4aおよび前上段針床3bの編針5を駆動するカムは、前下段カム13および後上段カム14とそれぞれ同等である。目移しカム11は、キャリッジの走行方向が反転しても同等の動作を行うように、中心線11aに関して対称となっている。以下の説明では、走行方向に対して、中心線11aよりも先行側を前半、後行側を後半として示す。
図2には、キャリッジの左行で、前下段針床3aの編針5から後上段針床4bの編針5に編目を移す場合に、編針5の針本体6およびスライダ7のバットが案内される経路16,17をそれぞれ示す。このように、前下段針床3aが目渡し側となり、後上段針床4bが目受け側となるのは、経路18で示すセレクトジャックへの選針結果に基づく。セレクトジャックは、各編針で針本体よりも歯口2から遠ざかる側に接続され、針溝から浮く方向に突出するバットがプレッサ群19で押圧されると、針本体6のバットを針溝内に沈める。
前下段カム13には、ニードル操作カム20およびスライダ操作カム21が含まれる。ニードル操作カム20には、目渡し側フック進出経路20aと、目受け側フック進出経路20bとが設けられる。スライダ操作カム21には、目渡し側タング進出経路21aと目受け側タング進出経路21bとが設けられる。目渡し側と目受け側との切換えは、編針毎の選針結果に基づくセレクトジャックのバットの経路18の選択で行われる。図のように目渡し側となる場合は、Hポジションの選針が行われ、セレクトジャックのバットは、プレッサ22a,22bが設けられる経路を通る。前半のプレッサ22aを不作用、後半のプレッサ22bを作用に設定しておくと、針本体6のバットは前半の目渡し側フック進出経路20aで案内されて、フック6aを歯口2に進出させる。前半では、スライダ7は針本体6の歯口2への進出に付随して歯口2側に少し進出する。さらに、スライダ7のバットは後半の目受け側タング進出経路21aに案内され、タング7bは歯口2に進出する。針本体6のバットは、目渡し側フック進出経路20aの頂部を過ぎて下降し、フック6aは前下段針床3aに引込まれる。セレクトジャックのバットは後半のプレッサ22bの作用を受けて沈むので、針本体6のバットは後半は歯口2に進出しない。
セレクトジャックがAポジションとなるように選針すると、セレクトジャックのバットは、プレッサ23a,23b,23c,23dが設けられる経路を通る。前半のプレッサ23a,23bを作用、後半のプレッサ23c,23dを不作用に設定しておくと、針本体6のバットは前半の目渡し側フック進出経路20aを通らず、後半の目受け側フック進出経路20bを通る。スライダ7のバットは、後半の目受け側タング進出経路21bで少しだけ歯口2側に進出するだけである。
セレクトジャックがBポジションとなるように選針すると、セレクトジャックのバットは、プレッサ24が設けられる経路を通る。プレッサ24は常に突出しており、針本体6およびスライダ7は、歯口2に進出しないで、目移しに関する動作は行わない。なお、図1(a)、(b)および(c)に対応する針本体6のバットの位置を26a,26b,26cでそれぞれ示し、スライダ7のバットの位置を27a,27b,27cでそれぞれ示す。
後上段カム14には、ニードル操作カム30およびスライダ操作カム31が含まれる。ニードル操作カム30には、目受け側フック進出経路30aと、目渡し側フック進出経路30bとが設けられる。スライダ操作カム31には、目受け側タング進出経路31aと目渡し側タング進出経路31bとが設けられる。目受け側と目渡し側との切換えは、編針毎の選針結果に基づくセレクトジャックのバットの経路18の選択で行われる。図のように目受け側となる場合は、Hポジションの選針が行われ、セレクトジャックのバットは、プレッサ32a,32bが設けられる経路を通る。前半のプレッサ32aを作用、後半のプレッサ32bを不作用に設定しておくと、針本体6のバットは後半の目受け側フック進出経路30aで案内されて、フック6aを歯口2に進出させる。スライダ7のバットは後半の目受け側タング進出経路31aに案内され、タング7bは歯口2に進出するので、図1(a)、(b)および(c)に示すような動作を行わせることができる。
セレクトジャックがAポジションとなるように選針すると、セレクトジャックのバットは、プレッサ33a,33bが設けられる経路を通る。前半のプレッサ33aを不作用、後半のプレッサ33bを作用に設定しておくと、針本体6のバットは前半の目渡し側フック進出経路30bを通って歯口2に進出し、後半は歯口2に進出しない。スライダ7のバットは、前半は針本体6に付随して目渡し側タング進出経路31bを通って歯口2に進出し、後半は目受け側タング進出経路31aを通って、歯口2に進出する。目渡し側では、タング7bを歯口2に進出させる必要はないけれども、経路を共用している。経路を切換えて、目渡し側ではタング7bが歯口2に進出しないようにすることもできる。ただし、スライダ操作カム31としては、切換えを行わない方が構成の簡易化を図ることができる。
セレクトジャックがBポジションとなるように選針すると、セレクトジャックのバットは、プレッサ34が設けられる経路を通る。プレッサ34は常に突出しており、針本体6およびスライダ7は、歯口2に進出しないで、目移しに関する動作は行わない。なお、図1(a)、(b)および(c)に対応する針本体6のバットの位置を36a,36b,36cでそれぞれ示し、スライダ7のバットの位置を37a,37b,37cでそれぞれ示す。
本発明を適用する目移しでは、目受け側のフック6aを少し引込み、歯口2に進出するタング7bで閉じてから後上段針床4bに引込むようにしているけれども、閉じるまでフック6aの引込みは行わず、タング7bのみを進出させてもよい。また、タング7bは、編目8を押し下げるまで進出せるて留めておき、フック6aのみを引下げるようにしてもよい。
図1の横編機10は、四枚ベッド機であり、下段側の針床から歯口2を挟んで対向する上段側の針床への目移しに本発明を適用している。しかしながら、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、他の場合でも実施可能である。たとえば、四枚ベッド機で上段側の針床から下段側の針床への目移しや下段側の針床間での目移しに、本発明を適用することができる。さらに、二枚ベッド機でも、針床間の目移しに、本発明を適用することができる。編針の駆動は、目移しカム11で行っているけれども、目移しと編成との両方の機能を備える複合カムでも、経路の切換えを行えば、同様に本発明を適用することができる。また、目移しカム11では、キャリッジの往復走行の両方向で同様な目移しを可能にしているけれども、特定の方向のみで目移しを行うようにしてもよいことはもちろんである。さらに、編針の駆動は、カムに限らず、たとえば針本体6やスライダ7に、個別の駆動用アクチュエータなどを設けるようにしてもよい。
2 歯口
3a 前下段針床
3b 前上段針床
4a 後下段針床
4b 後上段針床
5 複合針
6 針本体
6a フック
6b 針幹
7 スライダ
7a ブレード
7b タング
8 編目
10 横編機
11 目移しカム
20,30 ニードル操作カム
21,31 スライダ操作カム
30a 目受け側フック進出経路
31a 目受け側タング進出経路

Claims (5)

  1. 歯口を挟んで対向するように配設される針床を備え、各針床には先頭部にフックを有する針本体と、針本体に対して相対移動してフックの先端側の開口部を開閉するスライダとを有する複合針が編針として並設され、スライダの先頭部はフックを両側から挟むようにしてフックの上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れ、各ブレードの先頭部にはタングが形成され、目渡し側ではフックの上縁よりも歯口に進出して相互間が開くタング間に編目を保持して、目受け側では歯口に進出させる針本体のフックを目渡し側のタング間に侵入させてから引込み、目受け側のフックの開口部内に編目を受取らせて目移しを行うことが可能な横編機において、
    目受け側のフックを歯口に進出させて目渡し側のタング間に侵入させるフック進出手段と、
    該目受け側のフックが引込まれて、フックの先端が目渡し側のタング間で保持される編目に達する前に、フック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に、タング先端の底部で該編目を沈めるまで、目受け側のスライダを歯口に進出させるタング進出手段とを、
    含むことを特徴とする横編機。
  2. 前記目受け側のスライダは、前記フックの先端側の開口部を閉じるように、前記針本体に対して前記タング先端が相対移動する際に、目受け側の針本体の針幹とタング先端との間隔がいったん増加してから減少することを特徴とする請求項1記載の横編機。
  3. 前記複合針は、各針床に沿って往復走行するキャリッジに搭載されるカムによって駆動され、
    該カムは、前記フック進出手段および前記タング進出手段を、駆動の経路としてそれぞれ有していることを特徴とする請求項1または2記載の横編機。
  4. 前記針床は、前記歯口の少なくとも一方側では上下に二段設けられ、
    前記フック進出手段および前記タング進出手段は、上段の針床に並設される複合針を、対向する針床の下段側から目渡しされる編目を受取る目受け側として動作させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の横編機。
  5. 歯口を挟んで対向するように配設される針床を備え、各針床には先頭部にフックを有する針本体と、針本体に対して相対移動してフックの先端側の開口部を開閉するスライダとを有する複合針が編針として並設され、スライダの先頭部はフックを両側から挟むようにしてフックの上縁よりも歯口に進出可能な二枚のブレードに別れ、各ブレードの先頭部にはタングが形成され、目渡し側ではフックの上縁よりも歯口に進出して相互間が開くタング間に編目を保持して、目受け側では歯口に進出させる針本体のフックを目渡し側のタング間に侵入させてから引込み、目受け側のフックの開口部内に編目を受取らせて目移しを行うことが可能な横編機の目移し方法において、
    目受け側のフックを歯口に進出させて目渡し側のタング間に侵入させてから、該フックの先端が該タング間で保持される編目に達するまで引込まれる前に、
    目受け側のスライダを歯口に進出させて、フック先端の下降軌跡よりも針本体の針幹側に、タング先端の底部で該編目を沈める、
    ことを特徴とする横編機の目移し方法。
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