JP2005118380A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】縫い針の下降時に先端が糸寄せ部材に接触することを防止する。
【解決手段】縫い針(1)と、縫い糸のループを拾い取るルーパ(2)と、縫い針が下降する際にルーパと布地の間に掛け渡された2本の縫い糸の途中部分を寄せ集めて縫い針の上下動経路から退避させる糸寄せ部(32)と、縫い針が上昇する際に縫い針との間に2本の縫い糸の一方を挟み込む挟持部(34)とを有し、待機位置から所定の移動経路を経て糸寄せ位置に移動する糸寄せ部材(3)と、糸寄せ部材を所定の移動経路移動に移動させる駆動機構(4)と、を備えたミシン(100)であって、駆動機構は、糸寄せ部材を下降する縫い針の先端が糸寄せ部材に到達する前に糸寄せ位置に移動して、その後縫い針の先端が糸寄せ部材の側方を通過する前に縫い針の上下動経路から隔離させる隔離位置に移動させ、さらに縫い針が下死点から上昇する前に糸寄せ位置に復帰させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ミシンに関する。
従来、衣服の布地にボタンを単糸環縫いによって縫製する単糸環縫いミシンがある。この単糸環縫いミシンは、糸寄せ部材を備えており、例えば図10に示すものが知られている。ここで、図10(a)は平面図、図10(b)は正面図、図10(c)は側面図である。縫い針81が下死点に達する直前において、詳しくは縫い針81の先端が糸寄せ部材82の上面と略面一になったタイミングで、糸寄せ部材82がA方向に移動することにより、その先端の糸寄せ部82aで2本の縫い糸を引っ掛け、糸寄せ部82aの最深部の稜線82bに寄せ集める。このとき、寄せ集められた2本の縫い糸83a,83bは縫い針81の上下動経路に対して傾斜した姿勢で、その上下動経路の側方に退避することになる。したがって、2本の縫い糸83a,83bの上方部分が互いに寄せられた状態で、縫い針81の上下動経路の側方側に変位し、これによって、縫い針81が2本の縫い糸83a,83bの間に落ち込むのを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−19361号公報
ところで、糸寄せ部材82は、無駄な移動を無くすために、必要最小限の距離だけ動くようになっている。すなわち、糸寄せ部材82がA方向に移動する際においても、縫い針81の上下動経路をぎりぎりでかわす程度にしか移動しない。このため、縫い糸83a,83bの張力により縫い針81の先端が曲げられると、縫い針81が下降した場合に先端が糸寄せ部材82に接触し、縫い針81が折れるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、縫い針の下降時に先端が糸寄せ部材に接触することを防止するミシンを提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上下に往復動する縫い針と、前記縫い針が下死点から上昇する際に縫い糸のループを拾い取るルーパと、前記ルーパの上方に配置され、前記縫い針が下降する際に前記ルーパと布地の間に掛け渡された2本の縫い糸の途中部分を寄せ集めて前記縫い針の上下動経路から退避させる糸寄せ部と、前記縫い針が上昇する際に前記縫い針との間に前記2本の縫い糸の一方を挟み込む挟持部とを有し、待機位置から所定の移動経路を経て前記糸寄せ部による糸の寄せ集めと前記挟持部による糸の挟み込みが行われる糸寄せ位置に移動する糸寄せ部材と、前記糸寄せ部材を前記所定の移動経路に沿って移動させる駆動機構と、を備えたミシンであって、前記駆動機構は、前記糸寄せ部材を、下降する前記縫い針の先端が前記糸寄せ部材に到達する前に前記糸寄せ位置に移動させて、その後前記縫い針の先端が前記糸寄せ部材の側方を通過する前に前記縫い針の上下動経路から隔離させる隔離位置に移動させ、さらに前記縫い針が下死点から上昇する前に前記糸寄せ位置に復帰させることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、駆動機構は、糸寄せ部材を、下降する縫い針の先端が糸寄せ部材に到達する前に糸寄せ位置に移動して、その後縫い針の先端が糸寄せ部材の側方を通過する前に縫い針の上下動経路から隔離させる隔離位置に移動させ、さらに、縫い針が下死点から上昇する前に糸寄せ位置に復帰させる。
請求項1に記載の発明によれば、駆動機構は、糸寄せ部材を下降する縫い針の先端が糸寄せ部材に到達する前に糸寄せ位置に移動して、その後縫い針の先端が糸寄せ部材の側方を通過する前に縫い針の上下動経路から隔離させる隔離位置に移動させ、さらに、縫い針が下死点から上昇する前に糸寄せ位置に復帰させる。
よって、駆動機構は、縫い針の下降時においては、縫い針の先端が糸寄せ部材の側方を通過する際に、縫い針の先端と糸寄せ部材との間には隙間が形成されることとなり、縫い糸の張力によって縫い針の先端が曲げられた状態で下降してもその先端はその隙間を通って布地を突き刺すこととなるので、縫い針の糸寄せ部材への接触を防止することができる。また、駆動機構は、縫い針の上昇時においては、縫い針の針穴に通された縫い糸の一部は縫い針と糸寄せ部材とに挟まれ、縫い針が上昇してもともに上昇することがなく、針穴付近の縫い糸が弛んだ状態となる。よって、縫い糸のループを形成しやすくなるので、目飛びによる縫い不良が減少し、作業性を大幅に向上させることができ、更には、製品の品質を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明であるミシンの最良の形態について詳細に説明する。なお、本形態においては、ミシンの一例として単糸環縫いを行うボタン付けミシンを例に挙げて説明する。
<ミシンの構成>
図1〜図4に示すように、ボタン付けミシン(以下ミシンという。)100は、上下に往復動する縫い針1と、縫い針1が下死点から上昇する際に縫い糸t1,t2のループを拾い取るルーパ2と、縫い針1が下降する際にルーパ2と布地の間に掛け渡された2本の縫い糸t1,t2の途中部分を寄せ集めて縫い針1の上下動経路から退避させる糸寄せ部32と、縫い針1が上昇する際に縫い針1との間に2本の縫い糸t1,t2の一方を挟み込む挟持部34とを有し、待機位置から、所定の移動経路を経て糸寄せ部32による糸の寄せ集めと挟持部34による糸の挟み込みが行われる糸寄せ位置に移動する糸寄せ部材3と、糸寄せ部材3を所定の移動経路に沿って移動させる駆動機構4等を備えている。
図1に示すように、縫い針1の先端には、針穴11が形成されており、この針穴11に縫い糸t1,t2を通すようになっている。
ルーパ2は、先端部が爪状に形成された第1糸掛け部2aと、外周面が曲面状に形成された第2糸掛け部2bと、軸部2cとを備えており、ミシンベッドの内部で、ルーパ軸の前端部に軸部2cを介して取り付けられ、ミシン100の作動時にルーパ軸の回転によって、反時計方向に回転運動し、縫い針1とともに作動して縫い目を形成するものである。
糸寄せ部材3は、ミシン100の針板(図示略)とルーパ2との間に介装されて、A−B方向への左進・右退運動を行うもので、縫い針1の下降時には、一旦D方向へ進んだ後、A方向へ進んで、先端部が布地とルーパ2との間に掛け渡しされた2本の縫い糸(ループ部)の途中部分を引っ掛けて縫い針1の下降位置の側方に寄せるように作用し、また、縫い針1の上昇時には、B方向とC方向の中間の斜め方向に退くように構成されている。また、図2に示すように、糸寄せ部材3の基端部には、幅方向、すなわち、A−B方向に長い長円状のガイド孔31が形成されている。
また、糸寄せ部材3は、布地とルーパ2との間に掛け渡しされた2本の縫い糸(ループ部)t1,t2の途中部分を引っ掛けて縫い針1の下降位置の側方に寄せるように作用するが、2本の縫い糸t1,t2の途中部分を引っ掛けて寄せ集めた際に、糸寄せ部材3より上方に位置する2本の縫い糸t1,t2を、上下に密接させるように構成されている。すなわち、糸寄せ部材3の先端部には、縫い糸t1,t2を寄せ集める方向にくぼみが形成された糸寄せ部32が形成されている。
また、糸寄せ部材3は、縫い針1が下降する際に縫い針1の下降をガイドするとともに、縫い針1の上昇の際に糸のループが確実に形成されるように縫い針1との間に縫い糸t1を挟み込む挟持部34を備えている。
また、糸寄せ部材3の両側端面および下面は、ガイド板7によって支持されている。このガイド板7は、糸寄せ部材3の長手方向、すなわち、C−D方向には固定であり、A−B方向には移動可能となっている。また、糸寄せ部材3はガイド板7にA−B方向に摺動自在に取り付けられている。
さらに、図2〜図4に示すように、糸寄せ部材3の下方には、回転軸22がC−D方向と平行にかつ軸回りに回転自在に配設されており、この回転軸22は図示しない駆動源によって縫い針1の上下動と連動して回転するようになっている。また、図4に示すように、回転軸22の先端部には、三角カム9が偏心状態で取り付けられている。したがって、回転軸22によって三角カム9が回転すると、ガイド板7がA−B方向に移動するようになっている。
図3及び図4に示すように、駆動機構4は、糸寄せ部材3の基端部に形成されたガイド孔31と、回転軸22に軸支されて回転する回転部材5と、ガイド孔31と回転部材5とに係合するピン部材6等を備えている。
回転部材5は、円柱状に形成され、回転方向に沿った外周面には波状の溝部51が形成されている。溝部51の一部には、糸寄せ部材3の基端部先端側に僅かに膨らんだ湾曲部52が形成されている。詳細は後述するが、この湾曲部52によって縫い針1の下降時に糸寄せ部材3が縫い針1の上下動経路から隔離するように移動する。
ピン部材6は、ミシン本体に一端部が回動自在に固定された板材8の他端部に、板材8の上下面からそれぞれ板材8の上下面に対して垂直に突出するように設けられている。板材8の下面側のピン部材6は、回転部材5の溝部51に係合されており、板材8の上面側のピン部材6は、糸寄せ部材3のガイド孔31に係合されており、ガイド孔31内を自由に移動できるようになっている。
<単糸環縫いの方法>
ここで、図5を用いて、単糸環縫いによって布地にボタンを縫い付ける方法について説明する。まず、ボタンの一方の穴に入っていた縫い針1が、その下死点位置よりわずかに上昇運動を始めたときに、縫い針1の先端部の裏側に縫い糸t1,t2のループ部が作られ、このループ部にルーパ2の第1糸掛け部2aの先端が進入する。このとき、第1糸掛け部2aと第2糸掛け部2bとの間に前工程での縫い糸t1,t2のループ部を掛けた状態となっており、また、糸寄せ部材3は、前工程のループ部を寄せるように左進している。
次いで、縫い針1がボタンの一方の穴から上昇していくときに、ルーパ2は第1糸掛け部2aで縫い糸t1,t2のループ部を広げながら前工程でのループ部を第1糸掛け部2aの後側から外していく。このとき、糸寄せ部材3は縫い針1の上昇に伴って右退していく。
続いて、縫い針1が上死点位置から下降するときに、ボタンと布地Cが、ミシン内部に備えられている送り機構によって送られて、ボタンの他方の穴が縫い針1の直下部に位置することになる。このとき、ルーパ2は反時計方向に回転して縫い糸t1,t2のループ部を第1糸掛け部2aから第2糸掛け部2b側へ移動させる。このとき、先に外した前工程のループ部は上方に引き上げられて締められていく。また、これと同時に、糸寄せ部材3は、ループ部の途中部分を引っ掛けて縫い針1の下降に支障とならない位置に寄せるように左進する。
次に、縫い針1が下降してボタンの他方の穴に進入するにしたがって、前工程での縫い糸t1,t2のループが締められて結び目(縫い目)が形成される。また、これと同時に、縫い糸t1,t2のループ部が、ルーパ2の第1糸掛け部2aから第2糸掛け部2b側へ移動していき、布地Cの下面から糸寄せ部材3にかけて斜めに張られた状態となっている。次いで、ボタンの他方の穴に入っていた縫い針1が、その下死点よりわずかに上昇運動を始めたときに、縫い針1の先端部の裏側に新たに次のループ部が形成され、これ以降は、上記と同様にして縫い付けを行う。
<糸寄せ部材の動作>
次に、駆動機構4による糸寄せ部材3の動作について、図6及び図7に基づいて説明する。図6は、回転部材5の溝部51と三角カム9の外周面との形状に基づいて合成される糸寄せ部材3の糸寄せ部32の移動軌跡を模式的に表した図である。また、図7は、図6における糸寄せ部材3の糸寄せ部32の移動軌跡に対応する縫い針1の先端の糸寄せ部材3からの高さ位置を模式的に表した図である。なお、図6においては、理解を容易にするために、P5とP2(P4)の位置における糸寄せ部材3の位置を一点鎖線で示している。また、縫い針1は、図6に示すように、P6の位置を上下動するようになっている。
まず、縫い針1が上死点に位置するとき、糸寄せ部材3の糸寄せ部32は図6のP5に位置し、縫い針1は図7のP5の上死点に位置している。上死点から縫い針1の下降に伴って回転軸22が回転すると、板材8の下面側のピン部材6が溝部51に係合してD方向に移動し、これによって板材8の上面側のピン部材6がガイド孔31を摺動しながら糸寄せ部材3をD方向に移動させ、糸寄せ部材3の糸寄せ部32をP1に移動させる。P1の位置は、その後、糸寄せ部材3がA方向に移動するとき糸寄せ部材3の先端33が縫い針1の上下動経路を横切ることが可能な位置である。この糸寄せ部32のP5からP1への移動において、三角カム9は、その外周面から回転軸22の軸心までの距離が一定となるように形成されており、糸寄せ部32のP5からP1への移動の際には、三角カム9によるA−B方向への移動は行われない。
さらに、縫い針1の下降に伴って回転軸22が回転すると、三角カム9の偏心によりガイド部材7がA方向に移動し、この移動により糸寄せ部材3がA方向に移動する。そして、糸寄せ部材3の先端33は、この移動の際にP6で示される縫い針1の下を横切って、布地とルーパ2との間に掛け渡された2本の縫い糸t1,t2を引っ掛けて寄せ集める。さらに、糸寄せ部材3のA方向への移動は、糸寄せ部32がP2(糸寄せ位置)に到るまで継続される。このP1からP2に到る糸寄せ部32の移動によって布地とルーパ2との間に掛け渡された2本の縫い糸t1,t2は、途中部分が糸寄せ部32に寄せ集められ、P2の位置に移動される。この糸寄せ部32のP1からP2への移動によって、縫い針1の上下動経路から退避されて、これらの縫い糸t1,t2の間に縫い針1が侵入することが防止され、ボタンを縫い不良なく確実に布地に縫いつけることができる。
この糸寄せ部32のP1からP2への移動は、回転部材5の溝部51による板材8のC−D方向への移動は行われず、三角カム9の回転によってのみが行われる。
なお、糸寄せ部32がP2に位置した瞬間には、図7に示すように、縫い針1は未だ下降途中の位置にあり、縫い針1の先端は糸寄せ部材3の上方位置(例えば、約1cmの上方位置)にある。その後、縫い針1は、さらに下降して糸寄せ部材3の上面と略面一となる位置(図7に示すP3の位置)に移動する。縫い針1がP2の位置からP3の位置に下降する間に糸寄せ部材3はC方向に後退する。
ここで、本発明の特徴部分である糸寄せ部32がP2からP3、P3(隔離位置)からP4(糸寄せ位置)の軌跡を描くときの糸寄せ部材3の動作を説明する。
図8に示すように、ミシン100に備えられた駆動機構により、縫い針1を上述した下降途中の位置からさらに下降させていくと、回転軸22も回転し、縫い針1の先端が糸寄せ部材3の側方を通過する際(図7に示すP3の位置)、すなわち、先端と糸寄せ部材3の上面が略面一となる直前に板材8の下面側のピン部材6が回転部材5の湾曲部52を通過して、糸寄せ部材3がC方向に後退を開始して、縫い針1が糸寄せ部材3の側方を通過する際には、縫い針1の移動経路と糸寄せ部材3の間隔が広がる。そして、糸寄せ部材3の糸寄せ部32がP3の位置に後退した直後に縫い針1は下死点(図7に示すP4の位置)に到達する。
その後、図7及び図8に示すように、縫い針1が糸寄せ部材3の側方から下死点に到達する間に、板材8の下面側のピン部材6は、回転軸22の回転により回転部材5の湾曲部52の頂点52a付近を通過してD方向に移動して湾曲部52を通過し終わる。従って、板材8の上面側のピン部材6は、糸寄せ部材3をD方向に前進させ、縫い針1が下死点から上昇する前に、糸寄せ部32を再びP2(P4)の糸寄せ位置に復帰させ、縫い針1と糸寄せ部材3の挟持部34とで縫い糸を挟み込むように糸寄せ部材3を近接させる。そして、この移動により、糸寄せ部32は、再びP2(P4)の位置に到達する。このように縫い針1と糸寄せ部材3の挟持部34とを接近させ、縫い針1と挟持部34とで糸を挟み込むようにすることで、縫い針1の下降をガイドすることができるとともに、縫い針1の上昇の際に糸のループが確実に形成されるようにすることができる。
なお、糸寄せ部32がP2からP4に到る糸寄せ部材3のC−D方向の移動中は、三角カム9によるA−B方向への移動は行われず、糸寄せ部材3の移動は、回転部材5の回転によってのみ行われる。
また、糸寄せ部材3は、糸寄せ部32がP2(P4)とする位置へ到着後、縫い針1の上昇に伴う回転軸22の回転により、B方向とC方向とに移動し、縫い針1が上死点に到達する際に再び糸寄せ部32がP5とする位置に到着する。この糸寄せ部32のP2(P4)からP5への移動は、三角カム9によるB方向への移動と回転部材5の溝部51によるC方向への移動とが合成されて行われる。
本発明に係るミシン100によれば、縫い針1の下降時に、回転部材5が回転することにより、板材8の下面側のピン部材6は、波状の溝部51に案内されて糸寄せ部材3の長手方向に上下動する。ここで、溝部51には、縫い針1の下降時において回転部材5の回転時に板材8の下面側のピン部材6を糸寄せ部材3の基端部先端側に移動させる湾曲部52が形成されているので、回転部材5の回転中に板材8の下面側のピン部材6は湾曲部52を通過することとなる。そして、板材8の下面側のピン部材6が湾曲部52を通過すると、板材8の上面側のピン部材6は糸寄せ部材3の長手方向に沿って後退し、糸寄せ部材3のガイド孔31に係合された板材8の上面側のピン部材6が糸寄せ部材3をその長手方向に後退させることになる。一方、湾曲部52の頂点52aを板材8の下面側のピン部材6が通過し終わると、板材8の上面側のピン部材6は糸寄せ部材3の長手方向に沿って前進し、糸寄せ部材3のガイド孔31に係合された板材8の上面側のピン部材6が糸寄せ部材3をその長手方向に前進させることになる。
よって、駆動機構4は、縫い針1の下降時においては、縫い針1の先端が糸寄せ部材3の側方を通過する前に糸寄せ部材3を縫い針1の上下動経路から離隔させる。これにより、縫い針1の先端と糸寄せ部材3との間には隙間が形成され、縫い糸の張力によって先端が曲げられた状態で下降しても先端はその隙間を通って布地を突き刺すこととなるので、縫い針1の糸寄せ部材3への接触を防止することができる。また、駆動機構4は、縫い針1の上昇時において、縫い針1と糸寄せ部材3の挟持部34とで縫い糸の一部を挟み込むように糸寄せ部材3を縫い針1の上下動経路に近接させる。これにより、縫い針1の針穴に通された縫い糸の一部は縫い針1と糸寄せ部材3とに挟まれ、縫い針1が上昇しても共に上昇することがなく、針穴11付近の縫い糸が弛んだ状態となる。よって、縫い糸のループを形成しやすくなるので、目飛びによる縫い不良が減少し、作業性を大幅に向上させることができ、更には、製品の品質を向上させることができる。
また、駆動機構4は縫い針1の下降時に糸寄せ部材3をその長手方向に沿って後退させ、縫い針1の上昇時に糸寄せ部材3をその長手方向に沿って前進させる。すなわち、駆動機構4は糸寄せ部材3を前後方向に動かすように構成されていればよいので、その構造を簡単なものとすることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、駆動機構4を構成する回転部材5に代えて、ステッピングモータ等、他のアクチュエータを用いて糸寄せ部材3の後退あるいは前進を行ってもよい。その他、本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で自由に変更、改良が可能である。
本発明に係るミシンの要部を示す斜視図である。 図1に示すミシンの要部を示す平面図である。 図1において、回転部材を透視した図である。 駆動機構を示す斜視図である。 縫製時における糸寄せ部材を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 糸寄せ部材の糸寄せ部の移動軌跡を示す平面図である。 縫い針の移動軌跡を示す平面図である。 縫い針の下降時における、縫い針と糸寄せ部材の位置関係を示す図である。 縫い針の上昇時における、縫い針と糸寄せ部材の位置関係を示す図である。 従来技術におけるミシンの一例であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
符号の説明
1 縫い針
2 ルーパ
3 糸寄せ部材
31 ガイド孔
32 糸寄せ部
34 挟持部
4 駆動機構
5 回転部材
51 溝部
52 湾曲部
6 ピン部材
100 ミシン

Claims (1)

  1. 上下に往復動する縫い針と、
    前記縫い針が下死点から上昇する際に縫い糸のループを拾い取るルーパと、
    前記ルーパの上方に配置され、前記縫い針が下降する際に前記ルーパと布地の間に掛け渡された2本の縫い糸の途中部分を寄せ集めて前記縫い針の上下動経路から退避させる糸寄せ部と、前記縫い針が上昇する際に前記縫い針との間に前記2本の縫い糸の一方を挟み込む挟持部とを有し、待機位置から所定の移動経路を経て前記糸寄せ部による糸の寄せ集めと前記挟持部による糸の挟み込みが行われる糸寄せ位置に移動する糸寄せ部材と、
    前記糸寄せ部材を前記所定の移動経路に沿って移動させる駆動機構と、を備えたミシンであって、
    前記駆動機構は、前記糸寄せ部材を、下降する前記縫い針の先端が前記糸寄せ部材に到達する前に前記糸寄せ位置に移動させて、その後前記縫い針の先端が前記糸寄せ部材の側方を通過する前に前記縫い針の上下動経路から隔離させる隔離位置に移動させ、さらに前記縫い針が下死点から上昇する前に前記糸寄せ位置に復帰させることを特徴とするミシン。
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