JP5411923B2 - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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本発明は、左右の前輪および左右の後輪の車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニットと、前輪および後輪の接地路面の摩擦係数が左右で大きく異なるスプリット路であるか否かを判定するスプリット路判定手段と、アンチロックブレーキ制御時に前記スプリット路判定手段の判定結果がスプリット路である状態では左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧間の差圧が許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニットの作動を制御する差圧制御手段とを備える車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
左右の前輪および左右の後輪用の車輪ブレーキのアンチロックブレーキ制御を相互に独立して行うようにした車両用ブレーキ液圧制御装置が、特許文献1で知られており、このものでは、アンチロックブレーキ制御時に、前輪および後輪の接地路面の摩擦係数が左右で大きく異なるスプリット路では、左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧に所定値以上の差圧が生じないようにしている。
特開2007−55583号公報
このような車両用ブレーキ液圧制御装置において、図7で示すように、左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧間で許容される許容差圧を高摩擦係数側の車輪速の落ち込み量に応じて定めることで、アンチロックブレーキ制御が開始されてからの高摩擦係数側の車輪速の落ち込み量が所定値以上となったときには、差圧制御初期の差圧の抑制と、それ以降の差圧の拡大を実現しようとしたものがある。ところがブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操作速度が遅いときには、図8で示すように高摩擦係数(高μ)側の車輪速度が緩やかに低下するので、アンチロックブレーキ制御開始時から車輪速の落ち込み量が所定値に達するまでの時間ΔT1が比較的大きくなるのに対して、ブレーキ操作部材の操作速度が速いときには、図9で示すように、二点鎖線で示すブレーキ操作部材の操作速度が遅いときの車輪速度に比べて高摩擦係数(高μ)側の車輪速度の低下速度が大きくなり、アンチロックブレーキ制御開始時から車輪速の落ち込み量が所定値に達するまでの時間ΔT2が比較的小さくなり、差圧抑制から差圧拡大へと移行するタイミングに、時間のばらつき(ΔT1−ΔT2)が生じ、運転者が違和感を感じることがある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、差圧制御の実行時に差圧を拡大するタイミングをブレーキ操作部材の操作速度に依存させず、運転者が違和感を感じないようにした車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、左右の前輪および左右の後輪の車輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニットと、前輪および後輪の接地路面の摩擦係数が左右で大きく異なるスプリット路であるか否かを判定するスプリット路判定手段と、アンチロックブレーキ制御時に前記スプリット路判定手段の判定結果がスプリット路である状態では左右の車輪ブレーキのブレーキ液圧間の差圧が許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニットの作動を制御する差圧制御手段とを備える車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記差圧制御手段が、差圧制御を開始してから所定時間が経過するまでの前記許容差圧を前記所定時間が経過した後の前記許容差圧よりも小さくして前記液圧調整ユニットの作動を制御することを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、車体速度を取得する車体速度取得手段を含み、前記差圧制御手段が、前記差圧制御を開始してから所定時間が経過するまでは前記車体速度取得手段で得られた車体速度が低速となるのに応じて大きくなるように車体速度に応じて定めた許容差圧で、前記液圧調整ユニットの作動を制御することを第2の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記差圧制御手段が、前記車体速度に応じて前記許容差圧を予め定めたマップに基づいて、前記差圧制御を開始してから所定時間が経過するまでの許容差圧を検索することを第3の特徴とする。
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、舵角を検出する舵角センサならびに車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサを含み、前記差圧制御手段は、差圧制御を開始してから所定時間が経過した後の許容差圧を前記舵角センサおよび前記ヨーレイトセンサの検出値に基づいて定めることを第4の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、差圧制御時に、差圧制御を開始してから所定時間が経過した時点で許容差圧が大きくなるので、ブレーキ操作部材の操作速度に依存することなく、許容差圧が大きくなるタイミングが差圧制御を介してからの時間によって定まるので、運転者が違和感を感じることがない安定した差圧制御が可能となる。
また本発明の第2の特徴によれば、差圧制御を開始してから所定時間が経過するまでは車体速度に応じて定まる許容差圧で差圧制御が実行されることになり、運転者の不安感を解消し、差圧制御初期の安定性を確保することができる。
本発明の第3の特徴によれば、車体速度に応じて許容差圧を予め定めたマップに基づいて許容差圧を検索するようにすることで、許容差圧の設定が容易となる。
さらに本発明の第4の特徴によれば、差圧制御を開始してから所定時間が経過した後では舵角およびヨーレイトに基づいて許容差圧を定めるので、車両挙動に応じた適切な差圧制御が可能となり、安定性の向上を図ることができる。
車両のブレーキ液圧制御系を示す図である。 液圧調整ユニットの構成を示す液圧回路図である。 車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を示すブロック図である。 ブレーキ操作部材の操作速度が遅いときの本発明での車輪速およびブレーキ液圧の経時変化を対比して示す図である。 ブレーキ操作部材の操作速度が速いときの本発明での車輪速およびブレーキ液圧の本発明での経時変化を対比して示す図である。 車体速度に応じた許容差圧のマップを示す図である。 許容差圧を車輪速の落ち込み量に応じて変化させるときの許容差圧および車輪速落ち込み量の関係を示す図である。 許容差圧を車輪速の落ち込み量に応じて変化させる場合にブレーキ操作部材の操作速度が遅いときの車輪速およびブレーキ液圧の経時変化を対比して示す図である。 許容差圧を車輪速の落ち込み量に応じて変化させる場合にブレーキ操作部材の操作速度が速いときの車輪速およびブレーキ液圧の経時変化を対比して示す図である。
本発明の実施の形態について、添付の図1〜図6を参照しながら説明すると、先ず図1において、この車両Vは、エンジンEの駆動力がトランスミッションTを介して伝達される左右の前輪WA,WBと、左右の後輪WC,WDとを備え、ドライバーによって操作されるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル11はマスタシリンダMに接続される。また前記前輪WA,WBおよび前記後輪WC,WDには、ブレーキ液圧の作用によって作動する車輪ブレーキBA,BB,BC,BDが設けられており、前記マスタシリンダMは液圧調整ユニット12を介して各車輪ブレーキBA〜BDに接続される。この液圧調整ユニット12は、制動時に車輪がロック状態に陥ることを防止すべく各車輪ブレーキBA〜BDに作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能である。
前記液圧調整ユニット12の作動は、液圧制御装置13によって制御されるものであり、この液圧制御装置13には、左右の前輪WA,WBおよび左右の後輪WC,WDに個別に付設される車輪速度センサSA,SB,SC,SDからの信号と、前記マスタシリンダMから出力されるブレーキ液圧を検出する圧力センサSPからの信号と、操向ハンドル10の操作による舵角を検出する舵角センサSAからの信号と、車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサSYからの信号とが入力され、前記液圧制御装置13は、前記各センサSA〜SD,SP,SA,SYからの信号に基づいて前記液圧調整ユニット12の作動を制御する。
図2において、前記液圧調整ユニット12は、左前輪WA用の車輪ブレーキBA、右前輪WB用の車輪ブレーキBB、左後輪WC用の車輪ブレーキBCおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDに個別に対応した常開型電磁弁15A〜15Dと、各常開型電磁弁15A〜15Dにそれぞれ並列に接続されるチェック弁16A〜16Dと、前記各車輪ブレーキBA〜BDに個別に対応した常閉型電磁弁17A〜17Dと、マスタシリンダMが備える第1および第2出力ポート23A,23Bのうち第1出力ポート23Aに連なる第1出力液圧路24Aに対応した第1リザーバ18Aと、前記マスタシリンダMの第2出力ポート23Bに連なる第2出力液圧路24Bに対応した第2リザーバ18Bと、第1および第2リザーバ18A,18Bに吸入側がそれぞれ接続されるとともに吐出側が第1および第2出力液圧路24A,24Bに接続される第1および第2ポンプ19A,19Bと、両ポンプ19A,19Bを駆動する共通1個の電動モータ20と、第1および第2ポンプ19A,19Bの吐出側およびマスタシリンダM間にそれぞれ設けられる第1および第2オリフィス22A,22Bとを備え、前記圧力センサSPは、第1および第2出力液圧路24A,24Bの一方、たとえば第2出力液圧路24Bに接続される。
常開型電磁弁15A,15Dは、第1出力液圧路24Aと、左前輪WA用の車輪ブレーキBAおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDとの間に設けられ、常開型電磁弁15B,15Cは、第2出力液圧路24Bと、右前輪WB用の車輪ブレーキBBおよび左後輪WC用の車輪ブレーキBCとの間に設けられる。
また各チェック弁16A〜16Dは、対応する車輪ブレーキBA〜BDからマスタシリンダMへのブレーキ液の流れを許容するようにして、各常開型電磁弁15A〜15Dに並列に接続される。
常閉型電磁弁17A,17Dは、左前輪WA用の車輪ブレーキBAおよび右後輪WD用の車輪ブレーキBDと、第1リザーバ18Aとの間に設けられ、常閉型電磁弁17B,17Cは、右前輪WB用の車輪ブレーキBBおよび左後輪WC用の車輪ブレーキBCと、第2リザーバ18Bとの間に設けられる。
このような液圧調整ユニット12は、各車輪がロックを生じる可能性のない通常制動時には、マスタシリンダMおよび車輪ブレーキBA〜BD間を連通するとともに、車輪ブレーキBA〜BDと、第1および第2リザーバ18A,18Bとの間を遮断する。すなわち各常開型電磁弁15A〜15Dが消磁、開弁状態とされるとともに各常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁状態とされ、マスタシリンダMの第1出力ポート23Aから出力されるブレーキ液圧は常開型電磁弁15Aを介して左前輪WA用の車輪ブレーキBAに作用するとともに、常開型電磁弁15Dを介して右後輪WD用の車輪ブレーキBDに作用する。またマスタシリンダMの第2出力ポート23Bから出力されるブレーキ液圧は、常開型電磁弁15Bを介して右前輪WB用の車輪ブレーキBBに作用するとともに常開型電磁弁15Cを介して左後輪WC用の車輪ブレーキBCに作用する。
上記制動中に車輪がロック状態に入りそうになったときに、前記液圧調整ユニット12は、ロック状態に入りそうになった車輪に対応する部分でマスタシリンダMおよび車輪ブレーキBA〜BD間を遮断するとともに車輪ブレーキBA〜BDおよびリザーバ18A,18B間を連通する。すなわち常開型電磁弁15A〜15Dのうちロック状態に入りそうになった車輪に対応する常開型電磁弁が励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁17A〜17Dのうち上記車輪に対応する常閉型電磁弁が励磁、開弁される。これにより、ロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧の一部が第1リザーバ18Aまたは第2リザーバ18Bに吸収され、ロック状態に入りそうになった車輪のブレーキ液圧が減圧されることになる。
またブレーキ液圧を一定に保持する際に、前記液圧調整ユニット12は、車輪ブレーキBA〜BDをマスタシリンダMおよびリザーバ18A,18Bから遮断する状態となる。すなわち常開型電磁弁15A〜15Dが励磁、閉弁されるとともに、常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁されることになる。さらにブレーキ液圧を増圧する際には、常開型電磁弁15A〜15Dが消磁、開弁状態とされるともに、常閉型電磁弁17A〜17Dが消磁、閉弁状態とされればよい。
このように各常開型電磁弁15A〜15Dおよび各常閉型電磁弁17A〜17Dの消磁・励磁を制御することにより、車輪をロックさせることなく、効率良く制動することができる。
ところで、上述のようなアンチロックブレーキ制御中に、電動モータ20は回転作動し、この電動モータ20の作動に伴って第1および第2ポンプ19A,19Bが駆動されるので、第1および第2リザーバ18A,18Bに吸収されたブレーキ液は、第1および第2ポンプ19A,19Bに吸入され、次いで第1および第2出力液圧路24A,24Bに還流される。このようなブレーキ液の還流によって、ブレーキ液をマスタシリンダM側に戻すことができる。しかも第1および第2ポンプ19A,19Bの吐出圧の脈動は第1および第2オリフィス22A,22Bの働きにより抑制され、上記還流によってブレーキペダル11の操作フィーリングが阻害されることはない。
図3において、前記液圧調整ユニット12の作動を制御する液圧制御装置13は、上記アンチロックブレーキ制御を実行するのに加えて、左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび左右の後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧差を許容差圧内に制御する差圧制御を実行可能であり、車体速度取得手段である推定車体速度算出手段26と、アンチロックブレーキ制御を実行するか否かの判断を行うとともにアンチロックブレーキ制御時の液圧制御量を算出するアンチロックブレーキ制御手段27と、左右の車輪WA,WB;WC,WDの接地路面の摩擦係数が大きく異なるスプリット路であるか否かを判定するスプリット路判定手段28と、同軸上にある左右の前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび左右の後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧差を制御する差圧制御を行うための液圧制御量を算出する差圧制御手段29と、前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧を取得する液圧取得手段30と、液圧調整ユニット12を作動せしめる液圧調整駆動手段31とを備える。
前記アンチロックブレーキ制御手段27は、前記車輪速度センサSA〜SDで得られる車輪速度ならびに前記推定車体速度算出手段26で算出された推定車体速度に基づいてアンチロックブレーキ制御を実行するか否かを判断するとともにアンチロックブレーキ制御時の液圧制御量を算出する。
前記スプリット路判定手段28は、前記アンチロックブレーキ制御手段27が、前記前輪WA,WBおよび前記後輪WC,WDのいずれかでアンチロックブレーキ制御を開始したときに、スプリット路であるか否かを判定するものであり、たとえば左右の前輪WA,WBのうち少なくとも一方のアンチロックブレーキ制御開始時もしくは左右の後輪WC,WDのうち少なくとも一方のアンチロックブレーキ制御開始時に、前輪WA,WBおよび後輪WC,WDの車輪減速度の最大値(最も減速度が出ていない値)が第1の所定値以上であって、アンチロックブレーキ制御状態にある左右の前輪WA,WBもしくは左右の後輪WC,WDの車輪減速度の差が第2の所定値以上であるときにスプリット路であると判定する。
前記液圧取得手段30は、マスタシリンダMの出力液圧と、前記液圧調整ユニット12の一部を構成する電磁弁すなわち常開型電磁弁15A〜15Dおよび常閉型電磁弁17A〜17Dの駆動電流とに基づいて、前輪WA,WB用の車輪ブレーキBA,BBおよび後輪WC,WD用の車輪ブレーキBC,BDのブレーキ液圧を取得するものであり、マスタシリンダMの出力液圧が圧力センサSPから液圧取得手段30に入力され、常開型電磁弁15A〜15Dおよび常閉型電磁弁17A〜17Dの駆動電流を代表する信号が前記液圧調整駆動手段31から液圧取得手段30に入力される。
前記差圧制御手段29は、前記スプリット路判定手段28がスプリット路であると判定したときに、前記液圧取得手段30で取得された各車輪ブレーキBA,BB,BC,BDのブレーキ液圧、前記推定車体速度算出手段26で算出された車体速度、ならびに前記舵角センサSAおよび前記ヨーレイトセンサSYの検出値に基づいて同軸上にある左右の車輪WA,WB;WC,WDの車輪ブレーキBA,BB;BC,BDのブレーキ液圧差が所定圧以内となるようにブレーキ液圧を定める。
前記液圧調整駆動手段31は、前記圧力センサSPで検出されるマスタシリンダMの出力液圧と、前記アンチロックブレーキ制御手段27および前記差圧制御手段29で定められた制御量とに基づいて液圧調整ユニット12を作動せしめる。
ところで前記差圧制御手段29は、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでの前記許容差圧を前記所定時間T3が経過した後の前記許容差圧よりも小さくして前記液圧調整ユニット12の作動を制御するものであり、ブレーキペダル11の操作量が遅いときには、高摩擦係数(高μ)側の車輪速度および低摩擦係数(低μ)側の車輪速度が図4(a)で示すように変化するのに対して、高摩擦係数(高μ)側のブレーキ液圧および低摩擦係数(低μ)側のブレーキ液圧が図4(b)で示すように変化するものであり、差圧制御の開始時刻t1から所定時間T3が経過してから差圧が拡大するように差圧制御が実行される。
またブレーキペダル11の操作量が速いときには、高摩擦係数(高μ)側の車輪速度および低摩擦係数(低μ)側の車輪速度が図5(a)で示すように変化するのに対して、高摩擦係数(高μ)側のブレーキ液圧および低摩擦係数(低μ)側のブレーキ液圧が図5(b)で示すように変化するものであり、差圧制御の開始時刻t1から所定時間T3が経過してから差圧が拡大するように差圧制御が実行される。
すなわちブレーキペダル11の操作量にかかわらず差圧が拡大するタイミングは、差圧制御開始時刻t1から所定時間T3が経過した時点であり、差圧拡大タイミングが同一となる。
しかも差圧制御手段29は、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでは前記推定車体速度算出手段26で得られた車体速度が低速となるのに応じて大きくなるように車体速度に応じて定めた許容差圧で、液圧調整ユニット12の作動を制御するものであり、図6で示すように、車体速度に応じて許容差圧を予め定めたマップが予め準備され、そのマップに基づいて、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでの許容差圧を検索する。
さらに差圧制御手段29には、舵角を検出する舵角センサSAならびに車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサSYの検出値が入力されており、差圧制御手段29は、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過した後の許容差圧を舵角センサSAおよびヨーレイトセンサSYの検出値に基づいて定める。
次にこの実施の形態の作用について説明すると、差圧制御手段29が、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでの許容差圧を所定時間T3が経過した後の前記許容差圧よりも小さくして液圧調整ユニット12の作動を制御するので、差圧制御時に、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過した時点で許容差圧が大きくなることになり、ブレーキペダル11の操作速度に依存することなく、許容差圧が大きくなるタイミングが差圧制御を介してからの時間によって定まるので、運転者が違和感を感じることがない安定した差圧制御が可能となる。
また差圧制御手段29が、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでは推定車体速度算出手段26で得られた車体速度が低速となるのに応じて大きくなるように車体速度に応じて定めた許容差圧で、液圧調整ユニット12の作動を制御するので、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでの制御初期では車体速度に応じて定まる許容差圧で差圧制御が実行されることになり、運転者の不安感を解消し、差圧制御初期の安定性を確保することができる。
しかも差圧制御手段29が、車体速度に応じて前記許容差圧を予め定めたマップに基づいて、前記差圧制御を開始してから所定時間T3が経過するまでの許容差圧を検索するようにしているので、許容差圧の設定が容易となる。
さらに差圧制御手段29は、差圧制御を開始してから所定時間T3が経過した後の許容差圧を舵角センサSAおよびヨーレイトセンサSYの検出値に基づいて定めるので、車両挙動に応じた適切な差圧制御が可能となり、安定性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
12・・・液圧調整ユニット
26・・・車体速度取得手段である推定車体速度算出手段
28・・・スプリット路判定手段
29・・・差圧制御手段
BA,BB,BC,BD・・・車輪ブレーキ
SA・・・舵角センサ
SY・・・ヨーレイトセンサ
WA,WB・・・前輪
WC,WD・・・後輪

Claims (4)

  1. 左右の前輪(WA,WB)および左右の後輪(WC,WD)の車輪ブレーキ(BA,BB,BC,BD)に作用せしめるブレーキ液圧を個別に増減調整可能な液圧調整ユニット(12)と、前輪(WA,WB)および後輪(WC,WD)の接地路面の摩擦係数が左右で大きく異なるスプリット路であるか否かを判定するスプリット路判定手段(28)と、アンチロックブレーキ制御時に前記スプリット路判定手段(28)の判定結果がスプリット路である状態では左右の車輪ブレーキ(BA,BB;BC,BD)のブレーキ液圧間の差圧が許容差圧以下となるように前記液圧調整ユニット(12)の作動を制御する差圧制御手段(29)とを備える車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記差圧制御手段(29)が、差圧制御を開始してから所定時間(T3)が経過するまでの前記許容差圧を前記所定時間(T3)が経過した後の前記許容差圧よりも小さくして前記液圧調整ユニット(12)の作動を制御することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 車体速度を取得する車体速度取得手段(26)を含み、前記差圧制御手段(29)が、前記差圧制御を開始してから所定時間(T3)が経過するまでは前記車体速度取得手段(26)で得られた車体速度が低速となるのに応じて大きくなるように車体速度に応じて定めた許容差圧で、前記液圧調整ユニット(12)の作動を制御することを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記差圧制御手段(29)が、前記車体速度に応じて前記許容差圧を予め定めたマップに基づいて、前記差圧制御を開始してから所定時間(T3)が経過するまでの許容差圧を検索することを特徴とする請求項2記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  4. 舵角を検出する舵角センサ(SA)ならびに車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ(SY)を含み、前記差圧制御手段(29)は、差圧制御を開始してから所定時間(T3)が経過した後の許容差圧を前記舵角センサ(SA)および前記ヨーレイトセンサ(SY)の検出値に基づいて定めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
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