図1に、3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73)の四つのプロドラッグのバイオアベイラビリティーをラット及びイヌで比較している薬物動態実験の結果を図示する。
図2に、3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−73a)の四つのプロドラッグのバイオアベイラビリティーをラット及びイヌで比較している薬物動態実験の結果を図示する。
図3に、5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−77)のプロドラッグI−2のバイオアベイラビリティーを比較している薬物動態実験の結果のグラフを示す。
式I[式中、R3は水素である]で示される化合物は、他の非ヌクレオシド系RT阻害剤に耐性の突然変異株に広域スペクトルの活性を有する、HIVRTの強力な阻害剤である。有効な抗ウイルス療法は、耐性株の出現を最小にするために血中に高レベルの活性成分を必要とする。あいにく、これらの化合物は、限られた消化管吸収を示す。次に、それらの化合物の最適とは言えない物理的性質は、活性成分のデリバリーを高めるために採用することができるであろう製剤化の選択肢を限定する。
Albertは、固有の生物学的活性を欠如するが、活性薬物への代謝的変換が可能な化合物を説明するためにプロドラッグという用語を導入した。(A. Albert, Selective Toxicity, Chapman and Hall, London, 1951)。プロドラッグは、最近になって総説された(P. Ettmayer et al, J. Med Chem. 2004 47(10):2393-2404; K. Beaumont et al, Curr. Drug Metab. 2003 4:461-485;H. Bundgaard, Design of Prodrugs: Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities in Design of Prodrugs, H. Bundgaard (ed) Elsevier Science Publishers, Amersterdam 1985;G. M. Pauletti et al Adv. Drug Deliv. Rev. 1997 27:235-256;R. J. Jones and N. Bischofberger, Antiviral Res. 1995 27; 1-15及びC. R. Wagner et al., Med. Res. Rev. 2000 20:417-45)。代謝変換は特定の酵素、多くの場合に加水分解酵素により触媒されうるが、活性化合物は、また、非特異的化学課程により再生されることがある。
薬学的に許容されうるプロドラッグは、多くの場合に、ホストにおいて本来の生物学的活性が限られているか、又は活性がないが、代謝、例えば加水分解又は酸化されて生物学的に活性な化合物を形成しうる化合物を表す。プロドラッグの典型例には、活性化合物の官能部分に結合した生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。親化合物のアルキル化、アシル化又は他の親油性改変は、親化合物に効率的に復帰する最適な物理的化合物を用いたプロドラッグの製造に利用されてきた。
経口バイオアベイラビリティーを制限する要因は、多くの場合に、消化管からの吸収並びに腸壁及び肝臓による初回通過排泄である。GI管を通した経細胞吸収の最適化は、ゼロよりも大きなD(7.4)を必要とする。しかし、分配係数の最適化は、成功を保証しない。プロドラッグは、腸細胞における能動排出トランスポーターを避けなければならないおそれがある。腸細胞における細胞内代謝は、腸管内腔への代謝物の受動輸送又は排出ポンプによる能動輸送を招くことがある。プロドラッグは、また、ターゲット細胞又はレセプターに達する前に、血中での望まれない生体内変換に抵抗しなければならない。
値D(7.4)は、水相がpH7.4に緩衝されている場合の分配係数を表す。分配係数は、二つの相のそれぞれにおける全ての形態の化合物(イオン化+非イオン化)の総濃度の比である。Log Dは、一方の溶媒中の溶質の各種形態の合計濃度の、もう一方の溶媒中のその形態の合計濃度に対する比の対数として定義される。
推定上のプロドラッグは、分子中に存在する化学官能基に基づき合理的に構想することができるときもあるが、プロドラッグの発見は、依然として経験的作業のままである。in vivo変換の速度及び生成に関する予測は、不確実性に満ちている。活性化合物の化学的改変は、親化合物には存在しない、望まれない物理的、化学的及び生物学的性質を示すおそれのある全く新しい分子的実体を生成する。代謝物の特定に関する規制上の要件は、多数の経路が複数の代謝物に導くならば難題をもたらすおそれがある。したがって、プロドラッグの特定は依然として不確実で、難しい作業である。そのうえ、潜在的プロドラッグの薬物動態的性質を評価することは、難しく、費用のかかる試みである。動物モデルからの薬物動態の結果をヒトに外挿することは困難なことがある。
本発明の目的は、HIV−1に感染したホストを処置するための新しい化合物、方法及び組成物を提供することである。
本明細書に使用するような語句「a」又は「an」実体は、一つ又は複数のその実態を表し、例えば、化合物は、一つ若しくは複数の化合物、又は少なくとも一つの化合物を表す。そのようなものとして、「a」(又は「an」)、「一つ又は複数」、及び「少なくとも一つ」という用語は、本明細書において互換可能に使用することができる。
「本明細書において上記と同義の」という語句は、発明の概要又は最も広いクレームに提供されたような、各基についての最も広い定義を表す。それに続く他の全ての態様では、各態様に存在しうる置換基であって、明白に定義されていない置換基は、発明の概要に提供された最も広い定義をもつ。
本明細書に使用するような「場合による」又は「場合により」という用語は、続いて記述される事象又は状況が起こりうるが、起こる必要はないこと、並びにその記述がその事象又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「場合により置換された」は、場合により置換された部分が水素又は置換基を組み入れてもよいことを意味する。
本明細書に使用する技術用語及び科学用語は、特に定義しない限り、本発明が属する分野の技術者によって通常理解される意味を有する。本明細書では当分野の技術者に公知の様々な方法及び材料について述べる。薬理学の一般原理を述べている標準的な参考文献には、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)が挙げられる。当業者に公知の任意の適切な材料及び/又は方法が、本発明を実施する上で利用することができる。しかし、好ましい材料及び方法は記載されている。以下の記載及び実施例で言及される材料、試薬などは、特に記載しない限り市販の入手源から得ることができる。
クレームの移行句であろうと本体であろうと、本明細書に使用するような「含む」及び「含んでいる」という用語は、非限定の意味を有すると解釈することができる。すなわち、これらの用語は、「少なくとも有する」又は「少なくとも含む」という語句と同義に解釈することができる。方法の状況で使用する場合に、「含んでいる」という用語は、その方法が引用された工程を少なくとも含むが、追加の工程を含みうることを意味する。化合物又は組成物の状況で使用する場合に、「含んでいる」という用語は、その化合物又は組成物が引用された特徴又は構成要素を少なくとも含むが、追加的な特徴又は構成要素もまた含みうることを意味する。
「約」という用語は、本明細書においておよそ、ほぼ、大体、又はほとんどを意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合に、その用語は、示された数値よりも上下の境界を拡張することによりその範囲を改変する。一般に、本明細書に使用するような「約」という用語は、述べられた値よりも上下の数値を20%の分散だけ改変するために使用される。
本明細書に使用されるような、変数についての数値範囲の詳述は、本発明がその範囲内の任意の値に等しい変数を用いて実施できることを伝えることを意図する。したがって、本質的な離散変数について、その変数は、数値範囲の終点を含めたその範囲の任意の整数値に等しくなりうる。同様に、本質的な連続変数について、その変数は、数値範囲の終点を含めたその範囲の任意の実数値に等しくなりうる。一例として、0〜2の値を有すると記載された変数は、本質的な離散変数については、0、1又は2のことがあり、本質的な連続変数については、0.0、0.1、0.01、0.001、又は他の任意の実数値でありうる。
本発明の化合物が投与される対象は、特定の外傷状態を患う必要はないことが理解されよう。実際に、本発明の化合物は、何らかの症状の発症前に予防的に投与することができる。「治療の」、「治療的に」という用語及びこれらの用語の並べ替えは、治療的、緩和的及び予防的使用を包含するために使用される。よって、本明細書に使用するような「症状を処置又は軽減する」により、本発明の化合物が投与された個体の症状を、当該投与を受けていない個体の症状に比べて低減、予防、及び/又は後退させることを意味する。
本発明に採用又は請求された化合物を表現及び説明している構成要素又は任意の式に、任意の変数(例えば、R1、R4a、Ar、X1又はHet)が1回を超えて出現する場合に、各場合におけるその定義は、他のすべての場合のその定義から独立している。また、当該化合物が、安定な化合物をもたらす場合にのみ、置換基及び/又は変数の組合せは許容されうる。
結合の末端の記号「*」又は結合にわたり描かれる「−−−−−−」という記号は、それぞれ、官能基又は他の化学的部分から、分子の一部であるその残りへの結合点を表す。したがって、例えば次式で示される:
本明細書に記載された定義は、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」などの化学的に関連する組合せを形成するように付加してもよいと考えられている。「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」、又は「ヒドロキシアルキル」のように別の用語に続く接尾語として使用される場合に、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基を表すことが意図される。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を表し、したがって、これには、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピルなどが含まれる。したがって、本明細書に使用するような「ヒドロキシアルキル」という用語は、下に定義されたヘテロアルキル基のサブセットを定義するために使用される。−(アル)アルキル(-(ar)alkyl)という用語は、非置換アルキル又はアラルキル基のいずれかを表す。(ヘテロ)アリール又は(ヘト)アリール((het)aryl)という用語は、アリール又はヘテロアリール基のいずれかを表す。
本発明の一態様では、式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容されうる塩が提供される。
本発明の第二の態様では、式I[式中、X1はNであり;X2はCHである]で示される化合物が提供される。この態様及び続く態様における置換基の定義は、その態様の記載で具体的に限定されないが、発明の概要に定義された最も広い範囲をもつ。さらに、全ての態様には、式Iで示される化合物の薬学的に許容されうる塩が含まれる。
本発明の第三の態様では、式I[式中、X1はNであり;X2はCHであり;Arは、各場合において、ハロゲン、シアノ及びC1−6ハロアルキルから成る群より独立して選択される2個の基で置換されたフェニルであり;R1は、フルオロであり;R3は、(i)CH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4(ここで、nは2〜5である)、(ii)CH2OCOR5、及び(iii)C(=O)R5から成る群より選択される]で示される化合物が提供される。
本発明の第四の態様では、式I[式中、X1はNであり;X2はCHであり;Arは、各場合において、ハロゲン、シアノ及びC1−6ハロアルキルから成る群より独立して選択される2個の基で置換されたフェニルであり;R1はフルオロであり;R3は、CH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4であり;nは2である]で示される化合物が提供される。
本発明の第五の態様では、式I[式中、X1はNであり;X2はCHであり;Arは、3,5−ジシアノ−フェニル、3−クロロ−5−シアノ−フェニル又は3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェニルであり;R1は、フルオロであり;R2は、ブロモ、クロロ又はC1−6アルキルであり;R3は、選択されたCH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4であり、そしてnは2〜5である]で示される化合物が提供される。
本発明の第六の態様では、式I[式中、X1及びX2はNである]で示される化合物が提供される。
本発明の第七の態様では、式I[式中、X1及びX2はNであり;Arは、各場合において、ハロゲン、シアノ及びC1−6ハロアルキルから成る群より独立して選択される2個の基で置換されたフェニルであり;R1はフルオロであり;そして、R3は、(i)CH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4(ここで、nは2〜5である)、(ii)CH2OCOR5、及び(iii)C(=O)R5から成る群より選択される]で示される化合物が提供される。
本発明の第八の態様では、式I[式中、X1及びX2はNであり;Arは、各場合において、ハロゲン、シアノ及びC1−6ハロアルキルから成る群より独立して選択される2個の基で置換されたフェニルであり;R1はフルオロであり;R3はCH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4であり;nは2である]で示される化合物が提供される。
本発明の第九の態様では、式I[式中、X1及びX2はNであり;Arは、3,5−ジシアノ−フェニル、3−クロロ−5−シアノ−フェニル又は3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェニルであり;R1はフルオロであり;R2は、クロロ、ブロモ又はC1−6アルキルであり;R3はCH2O−C(=O)(CH2)nCO2R4であり、nは2〜5である]で示される化合物が提供される。
本発明の第十の態様では、以下から成る群より選択される、式Iで示される化合物が提供される:
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イルメチル}エステル;
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イルメチル}エステル;
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
コハク酸 モノ−{3−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸メチルエステル;
ペンタン二酸モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
酢酸 3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチルエステル;
(S)−2−アミノ−3−メチル−酪酸 3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチルエステル;
{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメトキシカルボニルメトキシ}−酢酸;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸エチルエステル;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル;
コハク酸 モノ−{3−[4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸 2−ジメチルアミノ−1−メチル−エチルエステル;
ペンタン二酸 モノ−{3−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
ヘキサン二酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル;
3−[3−(1−アセチル−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−2−フルオロ−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル;
3−{6−ブロモ−2−フルオロ−3−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−5−クロロ−ベンゾニトリル;
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1−イソブチリル−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸(2−アミノ−エチル)−メチル−アミド;
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸(2−アミノ−エチル)−アミド;
リン酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イルメチル}エステル;及び、
リン酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル。
本発明の第十一の態様では、HIV−1感染を治療するための、又はHIV−1感染を予防するための、又はAIDS若しくはARCを処置するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストに式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物の治療有効量を投与することを含む。
本発明の第十二の態様では、HIV−1感染を治療するための、HIV−1感染を予防するための、又はAIDS若しくはARCを処置するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストにHIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト及びウイルス融合阻害剤から成る群より選択される少なくとも一つの化合物の治療有効量と式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物を同時投与することを含む。
本発明の第十三の態様では、HIV−1感染を治療するための、HIV−1感染を予防するための、又はAIDS若しくはARCを処置するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストに、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、エムトリシタビン(emtricibine)、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、エトラビリン、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、アタザナビル、ロピナビル、エンフビルチド、マラビロク及びラルテグラビル(raltegravin)から成る群より選択される少なくとも一つの化合物の治療有効量を、式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物と共に同時投与することを含む。
本発明の第十四の態様では、HIV−1に感染したホストにおけるHIVRTを阻害するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストに、式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物の治療有効量を投与することを含む。
本発明の第十五の態様では、HIV−1に感染したホストにおける、野生型HIVRTに比べて少なくとも一つの突然変異を有するHIVRTを阻害するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストに、式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物の治療有効量を投与することを含む。
本発明の第十六の態様では、HIV−1に感染したホストにおける、野生型HIVRTに比べて少なくとも一つの突然変異を有し、ネビラピン、デラビルジン(delaviradine)、エファビレンツ、及びエトラビリン対して低い感受性を示すHIVRTを阻害するための方法が提供され、その方法は、それを必要とするホストに、式I[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、Ar、X1、X2及びnは、本明細書において上記と同義である]で示される化合物の治療有効量を投与することを含む。
本発明の第十七の態様では、式Iで示される化合物及び少なくとも一つの薬学的に許容されうる担体、賦形剤又は希釈剤を含む薬学的組成物が提供される。
本明細書に使用する「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する非分岐又は分岐鎖飽和一価炭化水素残基を示す。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素残基を示す。本明細書に使用される「C1−10アルキル」は、1〜10個の炭素から構成されるアルキルを表す。アルキル基の例には、非限定的に、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルを含めた低級アルキル基が挙げられる。
「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように、「アルキル」という用語が別の用語の後の接尾語として使用される場合に、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている、上記と同義のアルキル基を表すことが意図される。したがって、例えば「フェニルアルキル」は、R’がフェニル基であり、R”が本明細書において同義のアルキレン基である基R’R”−を示し、フェニルアルキル部分の結合点は、アルキレン基にあることが了解されている。アリールアルキル基の例には、非限定的に、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルが挙げられる。「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、同様に解釈されるが、但しR’がアリール基である。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。したがって、本明細書に使用する「ヒドロキシアルキル」という用語は、下記に定義されたヘテロアルキル基のサブセットを定義するために使用される。
本明細書に使用するような「アルキレン」という用語は、特に示さない限り、1〜10個の炭素原子の2価飽和直鎖炭化水素基(例えば、(CH2)n)又は2〜10個の炭素原子の分岐飽和2価炭化水素基(例えば、−CHMe−又はCH2CH(i−Pr)CH2−)を示す。メチレン(−CH2−)の場合を除き、アルキレン基の空の結合の手(open valence)は同じ原子に結合していない。アルキレン基の例には、非限定的に、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが挙げられる。
本明細書に使用する「アルケニル」という用語は、1又は2個のオレフィン二重結合(好ましくは1個のオレフィン二重結合)を有する2〜10個の炭素原子を有する不飽和炭化水素鎖基を示す。本明細書に使用する「C2−10アルケニル」は、2〜10個の炭素から構成されるアルケニルを表す。例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)又は2−ブテニル(クロチル)である。
本明細書に使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有する飽和炭素環、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを意味する。本明細書に使用する「C3−7シクロアルキル」は、炭素環における3〜7個の炭素から構成されるシクロアルキルを表す。
本明細書に使用する「ハロアルキル」という用語は、1、2、3又はそれを超える水素原子がハロゲンにより置換されている、上記と同義の非分岐又は分岐鎖アルキル基を示す。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−ヨードエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピル又は2,2,2−トリフルオロエチルである。
本明細書に使用する「アルコキシ」という用語は、アルキルが上記と同義である−O−アルキル基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(それらの異性体を含む)が挙げられる。本明細書で使用される「低級アルコキシ」は、前記と同義の「低級アルキル」基を有するアルコキシ基を示す。本明細書に使用する「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1−10である−O−アルキルを表す。
本明細書に使用する「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、式−S(=O)2R[式中、Rは、それぞれアルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書において同義である]で示される基を示す。
本明細書に使用する「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
本明細書に使用する「シアノ」という用語は、三重結合により窒素に連結している炭素、すなわち−C≡Nを表す。本明細書に使用する「ニトロ」は、基−NO2を表す。
本明細書に使用する「アミノアルキル」、「アルキルアミノアルキル」及び「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、それぞれNH2(アルキレン)−、RHN(アルキレン)−、及びR2N(アルキレン)−を表し、ここで、Rはアルキルであり、アルキレン及びアルキルはどちらも本明細書と同義である。本明細書に使用する「C1−10アルキルアミノ」は、アルキルがC1−10であるアミノアルキルを表す。本明細書に使用する「C1−10アルキル−アミノ−C2−6アルキル」は、アルキルがC1−10であり、アルキレンが(CH2)2−6である、C1−10アルキルアミノ(アルキレン)2−6を表す。アルキレン基が三つ以上の炭素原子を有する場合に、そのアルキレンは、直鎖、例えば−(CH2)4−又は分岐、例えば−(CMe2CH2)−でありうる。
本明細書に使用する「天然アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸のL−異性体を意味する。天然アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン及びリシンである。具体的に示さない限り、本出願において言及される全てのアミノ酸は、L−形である。本明細書に使用する「疎水性アミノ酸」という用語は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びプロリンを表す。分子の残りへの結合点での立体化学的配置を含むことなく使用される天然アミノ酸の側鎖には、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH2OH、−CH(OH)CH3、−CH2SH、−CH2CH2SMe、−(CH2)pCOR(ここで、Rは−OH又はNH2であり、pは1又は2である)、−(CH2)q−NH2(ここで、qは3又は4である)、−(CH2)3−NHC(=NH)NH2、−CH2C6H5、−CH2−p−C6H4−OH、(3−インドリニル)メチレン、(4−イミダゾリル)メチレンが挙げられる。
A-M. Vandammeら(Antiviral Chemistry & Chemotherapy、1998 9:187-203)は、少なくとも三剤の組合せを含む、ヒトでのHIV−1感染の現行のHAART臨床処置を開示している。高活性抗レトロウイルス療法(HAART)は、伝統的にヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)及びプロテアーゼ阻害剤(PI)を用いた併用療法から成った。これらの化合物は、ウイルスの複製に必要な生化学過程を阻害する。HAARTは、HIV感染者の予後を劇的に変えたが、高度に複雑な投薬方式及び非常に重症になるおそれのある副作用を含め、現行の治療法に多数の欠点がまだ残る(A. Carr and D. A. Cooper, Lancet 2000 356(9239): 1423-1430)。そのうえ、これらの多剤療法は、HIV−1を排除せず、長期処置は通常は多剤耐性を招くことから、長期療法でのそれらの有用性は限られる。より良いHIV−1処置を提供するために、NRTI、NNRTI、PI及びウイルス融合阻害剤と共に使用することができる新しい治療法の開発は、依然として優先事項である。
典型的で適切なNRTIには、ジドブジン(AZT;RETROVIR(登録商標));ジダノシン(ddI;VIDEX(登録商標));ザルシタビン(ddC;HIVID(登録商標));スタブジン(d4T;ZERIT(登録商標));ラミブジン(3TC;EPIVIR(登録商標));アバカビル(ZIAGEN(登録商標));アデホビルジピボキシル[ビス−(POM)−PMEA;PREVON(登録商標)];ロブカビル(BMS−180194)、EP-0358154及びEP-0736533に開示されたヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤;BCH−10652、Biochem Pharmaにより開発中の逆転写酵素阻害剤(BCH−10618及びBCH−10619のラセミ混合物の形態);Triangle Pharmaceuticalsにより開発中のエムトリシタビン(emitricitabine)[(−)−FTC];Vion Pharmaceuticalsにライセンスされたβ−L−FD4(β−L−D4Cとも呼ばれβ−L−2’,3’−ジクレオキシ−5−フルオロ−シチデン(cytidene)と名付けられている);DAPD、プリンヌクレオシド、EP-0656778に開示され、Triangle Pharmaceuticalsにライセンスされた(−)−β−D−2,6−ジアミノ−プリンジオキソラン;及びロデノシン(FddA)、9−(2,3−ジデオキシ−2−フルオロ−β−D−トレオ−ペントフラノシル)アデニン、U.S. Bioscience Inc.により開発中の酸安定性プリン系逆転写酵素阻害剤が挙げられる。
典型的で適切なNNRTIには、ネビラピン(BI−RG−587;VIRAMUNE(登録商標));デラビルジン(delaviradine)(BHAP、U−90152;RESCRIPTOR(登録商標));エファビレンツ(DMP−266;SUSTIVA(登録商標));及びエトラビリン(TMC−125、INTELENCE(登録商標))が挙げられる。研究中の他のNNRTIには、非限定的に、PNU−142721、Pfizerにより開発中のフロピリジン−チオ−ピリミジン;AG−1549(以前はShionogi #S−1153);国際公開公報第96/10019号に開示された5−(3,5−ジクロロフェニル)−チオ−4−イソプロピル−1−(4−ピリジル)メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルカルボナート;MKC−442(1−(エトキシ−メチル)−5−(1−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(1H、3H)−ピリミジンジオン);並びに(+)−カラノリドA(NSC−675451)及びB、米国特許第5,489,697号に開示されたクマリン誘導体が挙げられる。
典型的で適切なPIには、サキナビル(Ro31−8959;INVIRASE(登録商標);FORTOVASE(登録商標));リトナビル(ABT−538;NORVIR(登録商標));インジナビル(MK−639;CRIXIVAN(登録商標));ネルフィナビル(AG−1343;VIRACEPT(登録商標));アンプレナビル(141W94;AGENERASE(登録商標));ラシナビル(BMS−234475);DMP−450、Triangle Pharmaceuticalsにより開発中の環状尿素;BMS−2322623、第二世代HIV−1 PIとしてBristol-Myers Squibbにより開発中のアザペプチド;Abbottにより開発中のABT−378;及びAG−1549、Agouron Pharmaceuticals, Incにより開発中のイミダゾールカルバメートが挙げられる。
他の抗ウイルス剤には、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシドが挙げられる。リボヌクレオシド三リン酸還元酵素阻害剤であるヒドロキシ尿素(Droxia)は、ジダノシンの活性に相乗的効果をもつことが示され、スタブジンと共に研究されてきた。IL−2(アルデスロイキン;PROLEUKIN(登録商標))は、味の素のEP-0142268、武田のEP-0176299、及びChironの米国特許RE第33,653号、第4,530,787号、第4,569,790号、第4,604,377号、第4,748,234号、第4,752,585号、及び第4,949,314号に開示されている。36アミノ酸の合成ペプチドであるペンタフシド(FUZEON(登録商標))は、ターゲットの膜とのHIV−1の融合を阻害する。ペンタフシド(3〜100mg/日)は、3剤併用療法に抗療性のHIV−1陽性患者に対してエファビレンツ及び二つのPIと一緒に連続sc注入又は注射として与えられ;100mg/日の使用が好ましい。リバビリンは1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドである。
「カルボキシC1−7アルキル」又は「C1−7カルボキシアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも一つの水素原子がカルボキシル基によって置き換えられている、上記と同義のC1−7アルキル基を意味する。
通例使用される略語には、アセチル(Ac)、気圧(Atm)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ジ−tert−ブチルピロカルボネート又はboc無水物(BOC2O)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、Chemical Abstracts登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)、水素化ジ−イソ−ブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(Et2O)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO2−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMe2Si(TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEt3N)、トリフラート又はCF3SO2−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMe3Si(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−C6H4SO2−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)が挙げられる。アルキル部分と共に使用する場合に、接頭語ノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)及びネオ−を含めた通例の命名は、慣例的な意味を有する。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
化合物及び調製
本発明により包含され、本発明の範囲に入る代表的な化合物の例を、以下の表に提供する。これらの例及びそれに続く調製は、当業者が本発明をより明確に理解し実施できるように提供される。それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、それを単に例示及び代表するものとして見なすべきである。
一般に、本出願に使用する命名法は、IUPACの系統的な用語を作製するためのBeilstein Instituteコンピューター化システムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づく。描かれた構造と、その構造に与えられた名の間に矛盾があるならば、描かれた構造をより重視されたい。加えて、構造又は構造の部分の立体化学性が、例えば太線又は点線で表示されていないならば、その構造又は構造の部分は、その全ての立体異性体を包含すると解釈されたい。
本発明の化合物は、下に示され、説明される例示的な合成反応スキームに示される多様な方法により製造することができる。これらの化合物を調製するときに使用される出発物質及び試薬は、一般に、Aldrich Chemical Co.などの販売業者から入手することができるか、また、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21;R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11;及びOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40などの参考文献に示される手順に準じて、当業者に公知の方法により調製される。以下の合成反応スキームは、単に、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法の例示であり、様々な改変を、これらの合成反応スキームに加えることができ、本出願に含まれる開示を参照した当業者に示唆するであろう。
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望であれば、非限定的に、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含めた通例の技法を使用して単離及び精製することができる。そのような物質は、物理定数及びスペクトルのデータを含めた通例の手段を使用して特徴づけることができる。
別に明記しない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは大気圧の不活性雰囲気下で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、最も好ましくかつ好都合にはおよそ室温(又は外界温度)で、例えば約20℃で行われる。
以下のスキームにおけるいくつかの化合物を、一般化された置換基を用いて示すが、当業者は、本発明に考えられる様々な化合物を得るためにR基の性質を変更できることを直ちに認識するであろう。そのうえ、反応条件は具体例であり、代替条件は周知である。以下の実施例における反応系列は、特許請求の範囲に示される本発明の範囲を限定するつもりはない。
縮合ピラゾールをホルムアルデヒドで処理してアルコールA−2を形成させ、次にアシルハライド、無水物又は活性化カルボン酸誘導体でそれをアシル化して、A−3を得ることにより、式Iで示される化合物のN−アシルオキシメチル誘導体(A−3)[式中、R’は、カルボキシ−C2−5アルキル、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C1−10アミノアルキル、C1−3アルキルアミノ−C1−10アルキル、C1−3ジアルキルアミノ−C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−7シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−10アミノアルコキシ、C1−3アルキルアミノ−C1−10アルコキシル、C1−3ジアルキルアミノ−C1−10アルコキシ、NR7aR7b、場合により置換されたフェニル又は場合により置換若しくはピリジニルであるか、又はC(=O)R’はα−アミノ酸を構成する]を調製する。ホルムアルデヒドの処理を省略することを除き、ピラゾール性窒素をアシルハライド、無水物又は活性化カルボン酸誘導体を用いてアシル化し、N−アシル誘導体(A−4)を同様に調製する。ホスホリルオキシメチル誘導体(A−6)は、対応するクロロメチル化合物(A−5)から、ジアルキルリン酸ジエステルを用いる置換によりA−6[式中、Yはアルキルである]を得て、それをさらに脱アルキル化してA−6[式中、Yは水素、アルカリ又はアルカリカチオン塩である]を得ることにより調製した。前駆体である式A−1の必要なピラゾールは、J. Kennedy-Smithらによって2007年8月15日に出願された、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/893,349号に記載されている。式A−1で示される化合物を調製する手順は、本明細書に含まれる参考実施例に見出すことができる。
本発明の化合物を調製するために使用することのできる活性化カルボン酸は、ペプチドカップリング反応のために大規模に研究されており、任意の複数の代替法が適するであろう。ヒドロキシメチルホスフェート誘導体を、対応するクロロメチル誘導体を、ジアルキルホスフェートで処理して、対応するジアルキルホスフェートを得て、それを脱アルキル化して、本発明の化合物が製造することから調製される。
生物学的アッセイ
縮合ピラゾール(A−1)がin vivoで生成してHIVRTを阻害する能力は、実施例9に開示した酵素阻害アッセイにより決定することができる。解決すべき問題は、ウイルスの複製を遮断して耐性株の形成を抑制するために十分なHIV−1転写酵素阻害剤を送達することである。プロドラッグの経口服用後に全身循環中に形成するピラゾールのレベルを評価するために、実施例10及び11における薬物動態アッセイを使用する。
薬用量と投与
本発明の化合物は、多様な経口投与剤形及び担体に処方することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、液剤、乳剤、シロップ剤、又は懸濁剤の形態でありうる。本発明の化合物は、数ある投与経路の中で、連続(静脈内点滴)局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(透過促進剤を含みうる)、口腔内、鼻腔内、吸入及び坐剤投与を含めた、他の投与経路により投与した場合に有効である。好ましい投与方式は、一般に、苦痛の程度及び活性成分に対する患者の応答に応じて調整できる好都合な1日投薬方式を使用する経口である。
本発明の一つ又は複数の化合物と同様にそれらの薬学的に使用可能な塩は、一つ又は複数の慣用の賦形剤、担体又は希釈剤と一緒に、薬学的組成物の形態及び単位投薬の形態にすることができる。薬学的組成物及び単位投薬剤形は、追加的な活性化合物又は主薬の存在下又は不在下で、慣用の比率の慣用の成分から成ることがあり、単位投薬剤形は、採用しようとする1日投薬範囲と釣り合った活性成分の任意の適切な有効量を含有しうる。薬学的組成物は、経口使用のための錠剤若しくは充填済みカプセル剤などの固形剤、半固形剤、散剤、徐放製剤、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、若しくは充填済みカプセル剤などの液体;又は直腸又は膣投与用の坐剤の形態;又は非経口使用のための滅菌注射液の形態で使用することができる。典型的な調製物は、約5〜約95(w/w)%の一つ又は複数の活性化合物を含有するであろう。「調製物」又は「投薬剤形」という用語には、活性化合物の固形製剤と液体製剤の両方が含まれることが意図され、当業者は、ターゲットの器官又は組織に、そして所望の用量及び薬物動態パラメーターに応じて活性成分が異なる調製物に存在しうることを理解するであろう。
本明細書に使用する「賦形剤」という用語は、一般に安全で、無毒で、生物学的にも他の面でも有害ではない薬学的組成物を調製するうえで有用な化合物を表し、それには、ヒトの薬学的使用と同様に獣医学的使用に許容されうる賦形剤が含まれる。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、一般に、意図される投与経路及び標準的な薬学的慣例に関して選択された一つ又は複数の適切な薬学的賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与されるであろう。
活性成分の「薬学的に許容されうる塩」形態は、また、非塩形態に不在であった所望の薬物動態性質を活性成分に最初に付与することができ、身体におけるその治療活性に関する活性成分の薬力学にプラスの影響さえ与えることがある。化合物の「薬学的に許容されうる塩」という語句は、薬学的に許容されうる塩であって、親化合物の所望の薬理活性を保有する塩を意味する。そのような塩には:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成した酸付加塩、又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成した酸付加塩;或いは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンで置き換えられているか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基に配位するかのいずれかの場合に形成する塩が挙げられる。薬学的に許容されうる塩の全ての参照には、同じ酸付加塩の本明細書と同義の溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形態(多形)が含まれることを了解すべきである。
「薬学的に許容されうる」は、その部分が、一般に安全で、無毒で、生物学的にも他の面でも有害ではない薬学的組成物を調製するうえで有用なことを意味する。
固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒が挙げられる。固形担体は、また、希釈剤、着香剤、溶解補助剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料として作用しうる一つ又は複数の物質でありうる。散剤中の担体は、一般に、微粉化活性成分と混合された微粉化固体である。錠剤中の活性成分は、一般に、適切な比率で必要な結合能を有する担体と混合され、所望の形状及び大きさに圧縮される。適切な担体には、非限定的に炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂などが挙げられる。固形調製物は、活性成分に加えて、着色料、着香料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、粘稠化剤、溶解補助剤などを含有しうる。
経口投与に適した液体製剤には、また、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤などの液体製剤が挙げられる。これらには、使用直前に液体剤形調製物に変換することが意図された固形調製物が含まれる。乳剤は、溶液、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製することができるか、又はレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、若しくはアラビアゴムなどの乳化剤を含有しうる。水性液剤は、水に活性成分を溶解させ、並びに適切な着色料、着香料、安定化剤及び粘稠化剤を添加することによって調製することができる。水性懸濁剤は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁化剤などの粘性物質と共に、微粉化活性成分を水に分散させることによって調製することができる。
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注射又は連続注入)用に処方してもよく、アンプル、充填済みシリンジ、少量輸液中の単位投与形態で、又は保存料が添加された多回用容器中で提供してもよい。これらの組成物は、油性又は水性ビヒクルに入れた懸濁剤、液剤、又は乳剤の形態、例えば水性ポリエチレングリコール中の液剤の形態を採りうる。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられ、それらは、保存料、湿潤剤、乳化剤若しくは懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化用助剤を含有しうる。又は、活性成分は、使用前に適切なビヒクルで、例えば無菌で無発熱物質の水で構成するために、無菌固体の無菌的単離又は溶液からの凍結乾燥により得られた粉末形態であってもよい。
本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして表皮に局所投与するために処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば適切な粘稠化剤及び/又はゲル化剤を添加して水性又は油性基剤と共に処方することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に処方することができ、一般に一つ又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、又は着色料もまた含有するであろう。口内局所投与に適した製剤には、香味基剤、通常はスクロース及びアラビアゴム若しくはトラガカントに活性薬剤を含む口中錠;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;並びに適切な液体担体に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
本発明の化合物は、坐剤としての投与のために処方してもよい。脂肪酸グリセリド又はカカオ脂の混合物などの低融点ろうを最初に融解させ、例えば撹拌により活性成分を均一に分散させる。次に、融解した均一混合物を好適な大きさの型に流し込み、冷却及び固化させる。
本発明の化合物は、膣投与用に処方することができる。ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤又はスプレー剤は、活性成分に加えて、当技術分野において適切であることが公知の担体を含有する。
本発明の化合物は、鼻腔内投与のために処方することができる。液剤又は懸濁剤を慣用の手段により、例えばスポイト、ピペット又はスプレーを用いて鼻腔に直接適用する。これらの製剤は、単回又は多回投与形態で提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合、これは、患者が適切な所定容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより達成することができる。スプレー剤の場合、これは、例えば定量噴霧式スプレーポンプにより達成することができる。
本発明の化合物は、特に呼吸器への、鼻腔内投与を含めたエアロゾル投与のために処方することができる。それらの化合物は、一般に、例えば5ミクロン以下のオーダの小さな粒子サイズを有するであろう。そのような粒子サイズは、当技術分野で公知の手段により、例えば微粒子化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、若しくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素若しくは他の適切な気体などの適切な噴射剤と共に加圧パックの中に用意される。エアロゾルは、好都合にはまた、レシチンなどの界面活性剤を含有しうる。薬物の用量は、定量バルブによりコントロールすることができる。又は、活性成分は、乾燥粉末の形態、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えば吸入器により粉末を投与できるゼラチン又はブリスターパックの、例えばカプセル又はカートリッジに入れた単回投与形態で提供することができる。
所望であれば、製剤は、活性成分の持続性又は徐放投与に適合した腸溶性コーティングにより調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下薬物デリバリー装置に入れて処方することができる。これらのデリバリーシステムは、化合物の持続性放出が必要な場合、及び患者が治療計画に従うことが重要な場合に有利である。経皮デリバリーシステムにおける化合物を、多くの場合に皮膚接着性固体支持体に付着させる。関心が持たれる化合物を、透過促進剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組合せることもできる。持続性放出デリバリーシステムを外科手術又は注射により皮下の皮下層に挿入する。皮下インプラントは、液体可溶性の膜、例えばシリコーンゴムに、又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸に化合物を封入している。
適切な製剤は、薬学的担体、希釈剤及び賦形剤と一緒に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。熟練の製剤科学者は、本発明の組成物を不安定にすることなしに、また、それらの治療活性を損なうことなしに、特定の投与経路のために数多くの製剤を提供するために、本明細書の教示の範囲内で製剤を改変することができる。
本発明の化合物を水又は他のビヒクルにより可溶性にするためのそれらの改変は、例えば十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である小さな改変(塩形成、エステル化など)により容易に達成することができる。患者における有益効果を最大にするために本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路及び投薬方式を改変することもまた、十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である。
本明細書に使用する「治療有効量」という用語は、個体における疾患の症状を低減するために必要な量を意味する。その用量は、各特定の場合での個別の要件に適合されるであろう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢及び全身健康状態、患者が処置されている他の医薬、投与の経路及び形態、並びに担当医師の好み及び経験などの多数の要因に応じて広い範囲を変動しうる。経口投与では、約0.01〜約1000mg/kg体重/日の1日投薬量が単剤療法及び/又は併用療法に適切であろう。好ましい1日投薬量は、1日あたり約0.1〜約500mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与について、投薬範囲は1日あたり約7mg〜0.7gであろう。1日投薬量は、単回投薬又は分割投薬として、典型的には1日1〜5回投与することができる。一般に、化合物の最適用量未満の低い投薬量で処置を開始する。その後、個別の患者について最適効果に達するまで投薬量を少しずつ増加させる。本明細書に記載された疾患の処置において、当業者は、過度の実験なしに個人の知識、経験及び本出願の開示をよりどころに、所与の疾患及び患者について本発明の化合物の治療有効量を確かめることができるであろう。
本発明の態様では、活性化合物又は塩は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、別の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤又はCCR5若しくはCXCR4アンタゴニストなどの別の抗ウイルス剤と組合せて投与することができる。加えて、CD4へのウイルスのドッキングを遮断し、本発明の化合物と共に使用できる化合物が同定された。活性化合物又はその誘導体若しくは塩を別の抗ウイルス剤と組合せて投与する場合に、活性は親化合物よりも増加することがある。処置が併用療法である場合に、そのような投与は、ヌクレオシド誘導体の投与と同時又は連続的でありうる。したがって、本明細書に使用する「同時投与」には、一緒に、又は別々に薬剤を投与することが含まれる。二つ以上の薬剤を一緒に投与することは、二つ以上の活性成分を含有する単一製剤により、又は単一の活性薬剤を有する二つ以上の投薬形態を実質的に同時に投与することにより達成することができる。さらに、本明細書に使用するHIV−1感染の処置には、また、HIV−1感染又はその臨床症状に関連する又は仲介される疾患又は状態の治療又は予防が含まれる。
実施例1
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イルメチル}エステル(I−1)
工程1 − R−54(1.6g)、37% ホルムアルデヒド水溶液及びMeOHの混合物を、不活性雰囲気下、60℃で一晩撹拌した。MeOHを蒸発させ、得られた溶液をH2Oで希釈し、得られた沈殿物を濾過し、H2Oで洗浄し、空気乾燥させて、10を1.63g得た。
工程2 − 10(0.488、1mmol)、無水コハク酸(0.15g、1.5mmol)、DMAP(6.1mg、0.05mmol)及びDCM(10mL)の懸濁液に、DIPEA(0.28mL、1.63mmol)を室温で加え、得られた混合物を室温で撹拌した。溶液は10分で均質になった。1時間後、反応物をさらなるDCM(20mL)で希釈し、10% HCl水溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。ガム状の残留物をEtOAcでトリチュレートし、超音波処理して白色の粉末を得、それを濾過し、EtOAcで洗浄し、乾燥させて、I−1を0.4g得た。さらなる0.1gを、母液から第2の収穫物で回収した: 分析:C25H17BrClFN4O5の計算値:C、51.09; H、2.92; N、9.53; 実測値:C、51.01; H、2.93; N、9.52。
工程1で、R−54の代わりに5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−58)を使用したこと以外は同様にして、I−2を調製した。
実施例2
コハク酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル(I−3)
工程1 − 3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73、1.32g、2.88mmol)、37% ホルムアルデヒド水溶液(100mL)及びMeOH(100mL)の懸濁液を、67℃で35時間撹拌した。揮発性溶媒を蒸発させ、残留物をH2Oで希釈し、得られた沈殿物を濾過し、H2Oで洗浄し、空気乾燥させて、3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1−ヒドロキシメチル−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(12)1.27gを得た。
工程2 − 12(1.28g、2.62mmol)、無水コハク酸(0.39g、3.93mmol)、DMAP(16mg、0.13mmol)、DIPEA(0.73mL、4.19mmol)及びDCM(65mL)の混合物を、不活性雰囲気下、室温で3時間撹拌した。揮発性溶媒を蒸発させ、粗残留物を、MeOH/DCMの勾配(1〜4% MeOH)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、I−3を0.75g褐色の固体として得、それを減圧下で110℃にて一晩乾燥させた:分析:C24H16BrClFN5O5の計算値:C、48.29; H、2.85; N、11.73; 実測値:C、48.31; H、2.68; N、11.57。
工程1で、R−73を5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−77)に代えたこと以外は同様にして、I−4を調製した。
工程1で、R−73を5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73a)に代えたこと以外は同様にして、I−5を調製した。
工程2で、無水コハク酸をジヒドロピラン−2,6−ジオン(グルタル酸無水物)に代えたこと以外は同様にして、I−7を調製した。
工程2で、コハク酸を1,4−ジオキサン−2,6−ジオン(CASRN 4480−83−5)に代えたこと以外は同様にして、I−10を調製した。
工程1で、R−73を5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−73b)に代えたこと以外は同様にして、I−12を調製した。
工程1で、R−73を3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73a)に代え、工程2で、無水コハク酸をグルタル酸無水物に代えたこと以外は同様にして、I−14を調製した。
工程2で、無水コハク酸を2,7−オキセパンジオン(アジピン酸無水物、CASRN 2035−75−8)に代えたこと以外は同様にして、I−15を調製した。
実施例3
酢酸 3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチルエステル(I−8)
12(0.1g、0.2mmol)及びDCM(3mL)の溶液に、ピリジン(0.08mL、1.0mmol)及び無水酢酸(612mg、6mmol)を加えた。得られた溶液を、不活性雰囲気下、室温で一晩撹拌した。出発物質が依然として認められ、ピリジン(0.08mL)及びAc2O(0.612g)のさらなるアリコートを加え、得られた混合物を55℃で約5時間撹拌した。揮発性成分を蒸発させ、残留物を、1% TEAを含有する60% EtOAc/ヘキサンで展開する分取SiO2 TLCプレート上の2つのバッチで精製した。生成物をプレートから溶離し、DCM/ヘキサンから結晶化して、I−8を0.076g得た:分析:C22H14BrClFN5O3の計算値:C、49.79; H、2.66; N、13.20; 実測値:C、49.87; H、2.63; N、12.92。
実施例4
(S)−2−アミノ−3−メチル−酪酸 3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチルエステル;塩酸塩(I−9)
工程1 − 12(0.200g、0.4mmol)及び無水DMF(5mL)の溶液に、TEA(0.2当量)及び(S)−バリン−N−カルボキシ無水物(0.117g、0.48mmol)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた溶液を同容量のEtOAcとH2Oに分配し、EtOAc相を分離した。水相をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、1% TEAを含有する3.5% MeOH/DCMで展開する分取TLCプレート上で精製して、250mgの13を粘性で黄色の油状物として得た。
工程2 − Ar流でフラッシュした、13(55mg、0.07mmol)、Et2O(1mL)及び撹拌子を含むバイアルに、1.0M HCl/Et2O(0.21mL)を加えた。Arラインを除去し、バイアルの蓋をして、3.5時間撹拌した。固体を遠心分離し、液体をデカントした。固体をEtOAc/ヘキサンに2回懸濁し、遠心分離して、液体をデカントした。サンプルは依然としていくらかの出発物質を含有し、HCl/ジオキサンのさらなるアリコート(2.5当量)を加えたこと以外は、そのプロセスを繰り返し、溶液を6時間撹拌した。第2の50mgバッチを同様に調製し、生成物を合わせた。粗生成物を真空オーブン中で乾燥させて、I−9を64mg得た。
実施例5
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸メチルエステル(I−6)
無水THF(10mL)中のR−73(0.200g、0.44mmol)の溶液に、Me3SiCN(0.19mL、1.54mmol)を加え、続いてクロロギ酸メチル(0.105g)0.95mL及びMeCN(2mL)の溶液を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物をH2OとEtOAcに分配し、水層を分離し、EtOAcで再び抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、EtOAc/ヘキサンを加えると、固体の沈殿物が得られたた。固体をEt2O/ヘキサンでトリチュレートを繰り返して、0.061のI−6を黄色の固体として得、それを真空オーブン中で一晩乾燥させた。
クロロギ酸メチルをそれぞれクロロギ酸エチル及びクロロギ酸イソ−プロピルに代えたこと以外は同様にして、I−9及びI−20を調製した。
実施例6
3−[3−(1−アセチル−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−6−ブロモ−2−フルオロ−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(I−16)
R−73(0.050g、0.11mmol)及び乾燥MeCN(3mL)の溶液に、Me3SiCN(0.1mL、7当量)及びアセチルクロリド(0.013g、AcClの27mgの溶液0.48mL及びMeCN 1.0mL)を加えた。室温で15分間撹拌した後、H2O(20mL)、EtOAc(30mL)及び5% NaHCO3水溶液(5mL)を順次加えた。EtOAc相を分離し、蒸発させた。残留物をDCMに取り、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、生成物をDCM/ヘキサン類から再結晶化により精製して、0.39gのI−16を明褐色の粉末として得た。
アセチルクロリドをニコチノイルクロリドに代えたこと以外は、3−{6−ブロモ−2−フルオロ−3−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−5−クロロ−ベンゾニトリルを同様にして調製して、I−17を得た:分析:C25H13BrClFN6O2の計算値:C、53.26; H、2.32; N、14.91; 実測値:C、53.31; H、2.22; N、14.72。
実施例7
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボン酸(2−アミノ−エチル)−メチル−アミド;塩酸塩(I−19)
工程1 − オーブン乾燥させたバイアルに、DIPEA(0.44mL、2.5mmol)、tert−ブチル−2−(メチルアミノ)エチルカルバメート(132.4mg、0.76mmol、CASRN 122734−32−1)及びDCM(2mL)を入れた。オーブン乾燥させたマイクロ波フラスコに、ビス−トリクロロメチルカルボナート(0.090g)及びDCM(4mL)を入れ、0℃に冷却した。前者の溶液を、シリンジを介して約2分かけて冷却した炭酸化溶液に加え、0°で5分間撹拌し、室温に温まるにまかせた。得られた溶液にR−54(0.350g)を加え、続いてピリジン(0.2mL)を加えた。得られた混合物を密閉管中で70℃にて約16時間加熱した。固体の物質を濾過した。固体及び濾液の両方とも出発物質及び所望の尿素を含んでいた。粗生成物を75% EtOAc/ヘキサンで展開する3つの分取TLCプレートを使用して精製した。プレートから回収された生成物を、別の分取TLCプレートに付し、45% EtOAc/ヘキサンで、次に50% EtOAc/ヘキサンで順次展開し、次にプレートから溶離した。得られた生成物をEt2O/ヘキサンでトリチュレートし、濾過して、対応するBocウレア(14)を0.018g得た。
工程2 − 14(0.035g、0.053mmol)、DCM(2mL)、EtOAc(6滴)及びMeOH(3滴)の溶液に1M HCl/Et2O(0.13mL)を加え、1時間撹拌し、その後1M HCl/Et2Oのさらなるアリコートを加えた。1時間後、ほとんど反応が認められず、1M HCl/ジオキサン(0.1mL)を加えた。1時間撹拌した後、揮発性溶媒を蒸発させ、残留物をEt2O/ヘキサン(1:1)でトリチュレートし、濾過し、真空オーブン中で乾燥させて、31mgのI−19を白色の粉末として得た。
実施例8
3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−カルボン酸 2−ジメチルアミノ−1−メチル−エチルエステル;塩酸塩(I−13)
工程1 − オーブン乾燥させたバイアル中で、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール(0.73mL、6mmol)、乾燥ピリジン(0.5mL、0.5当量)及びDCM(2.5mL)を混合した。第2のオーブン乾燥させたフラスコにホスゲン(0.6mL、1当量、トルエン中の20%溶液)及び乾燥DCM(10mL)を入れ、溶液をN2下で保持して、−40℃に冷却した。バイアルの内容物を滴下し、得られた溶液を−40℃で5分間撹拌し、次に室温に温まるにまかせた。得られた溶液にR−73(0.225g、0.49mmol)を加え、得られた混合物を3時間撹拌した。溶液をEt2Oで希釈し、液相を得られた沈殿物からデカントした。固体をEt2O(2×20mL)で2回洗浄し、上澄みの溶液を合わせて、蒸発させた。残留物をEtOAc(30mL)と2.5% NaHCO3(30mL)に分配した。EtOAc溶液を同量のブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過して、蒸発させた。エステルをDCM(2mL)に溶解し、HCl/Et2O溶液(1M)0.5mLを加えた。得られた溶液を10分間撹拌し、Et2O/DCMの上澄みをデカントし、残留物をEt2Oに取り、蒸発させ、真空オーブン中で乾燥させて、約12%のR−73を含有するI−13を0.118g得た。
実施例9
リン酸 モノ−{3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−1−イルメチル}エステル(I−18)
工程1 − 10(1.24g、2.54mmol)とDCM(100mL)の懸濁液に、塩化チオニル(2mL)を加えた。得られた溶液を1時間撹拌し、次に蒸発させ、ベンゼンに再懸濁し、再蒸発させて、3−[6−ブロモ−3−(1−クロロメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−2−フルオロ−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(16)1.32gを黄色の泡状物として得、それをさらに精製しないで次の工程に使用した。
工程2 − MeCN(70mL)中の16(1.28g、2.54mmol)、ジ−tert−ブチルホスファート(1.06g、5.08mmol)の混合物に、Ag2O(0.59g、2.54mmol)を加え、得られた混合物を室温で1日間撹拌した。得られた混合物を、セライト(登録商標)を通して濾過し、濾液を蒸発させ、粗生成物をMeOH/DCMの勾配(0〜1% MeOH)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、リン酸 3−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イルメチルエステル ジ−tert−ブチルエステル(18)1.1gを得た。
工程3 − DCM(2mL)中の18(0.179g)の溶液にTFA(1mL)を加え、得られた溶液を室温で1分間撹拌した。室温又はそれより低い温度で溶液を保持しながら溶媒をN2流で除去した。ベンゼン(10mL)を残留物に加え、室温又はそれより低い温度で浴を保持しながらベンゼンを減圧下で除去した。残留物を無水MeCN中で撹拌し、1.00N NaOH水溶液(0.53mL)を加えると、白色の固体が生成した。懸濁液を5分間撹拌し、次に濾過し、MeCNで洗浄し、固体を真空デシケーター中で乾燥させ、高真空下で一晩乾燥させて、0.129gのI−18を白色の固体として得た:nmr (D2O) δ 4.32 (2H, s, CH2), 5.95 (2H, d, CH2O), 7.07-7.41 (6H, m, Ar), 8.01 (1H, d, Ar), 8.47 (1H, d, Ar)。
実施例10
ヘテロポリマーHIV逆転写酵素アッセイ:阻害剤のIC50測定
96ウェルMillipore MultiScreen MADVNOB50プレート中で、精製リコンビナント酵素及びポリ(rA)/オリゴ(dT)16テンプレート−プライマーを合計容積50μLで用いてHIV−I RTアッセイを実施した。アッセイの構成要素は、終濃度10%DMSO中に、50mM Tris/HCl、50mM NaCl、1mM EDTA、6mMMgCl2、5μM dTTP、0.15μCi [3H]dTTP、2.5μg/mlオリゴ(dT)16と予備アニーリングした5μg/mlポリ(rA)及び一連の濃度の阻害剤であった。反応は、4nM HIV−I RTを添加することにより開始し、37℃で30分間インキュベーションした後に、50μlの氷冷20%TCAの添加により反応を停止させ、4℃で30分間沈殿させた。プレートに真空を適用することにより沈殿を収集し、200μlの10% TCAで3回及び200μlの70%エタノールで2回、連続的に洗浄した。最後に、プレートを乾燥させ、ウェル1個あたり25μlのシンチレーション液を添加後にPackard TopCounterで放射能を計数した。log10阻害剤濃度に対して阻害率(%)をプロットすることによりIC50を計算した。代表的なIC50のデータを表2に示す。
実施例11
ラットにおける薬物動態パラメーターの測定
体重200〜250gの非去勢雄性IGS Wistar Hanラット(Crl:WI(GLx/BRL/Han)IGS BR(Hanover-Wistar)ラット)を使用した。実験化合物の各用量レベルについてラット2匹の群を使用した。実験を通して動物に固形飼料及び水を通常通り摂取させた。被験物質を、5mgヒプロメロース2910、USP(50cps);4mgポリソルベート80、NF;9mgベンジルアルコール、NF;適量の注射用滅菌水、USP、2又は25mg/kgのR−73を含有する水性懸濁液として処方し、経管的に経口投与した。0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、及び8時間に頸静脈カニューレから、そして24時間に心穿刺により、処置されたラットから血液試料(0.3mL)を採取した。シュウ酸カリウム/NaFが入ったチューブに試料を採取し、試料採取手順の間は氷上で保存した。できるだけ早く試料を−4℃の冷却遠心機で回転させ、血漿試料を分析まで−80℃の冷凍庫で保存した。血漿のアリコート(0.05mL)を、200ng/mLの内部標準を含有する0.15mLのアセトニトリルと混合した。未処置ラットの血漿の0.05mLアリコートを、200ng/mLの内部標準を含有する0.15mLのアセトニトリルと混合することにより一組の較正用標準を調製した。各血漿試料及び較正用標準を徹底的にボルテックス撹拌し、次に3500rpmで20分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。遠心分離からの上清(各150μL)を96ウェルプレートに移し、LC/MS/MS分析に供した。
試料の分析 タンデム質量分析を備える高速液体クロマトグラフィー(HPLC/MS/MS)を使用してプロドラッグを分析した。分離に使用したACE C18(50×2.1mm)カラム(5mm)の前にBDS C18ガードカラムを配置した。エレクトロスプレーイオン化(ESI)をイオン化工程のために使用した。移動相Aは、0.1%ギ酸を有する5mM酢酸アンモニウム水溶液を含有し、移動相Bは、0.1%ギ酸を有する、50:50のMeOH:アセトニトリルを含有した。流速0.3mL/分で以下の勾配により溶出を行った。
本発明の化合物についての代表的なデータを表3に示す。
実施例12
イヌにおける薬物動態パラメーターの測定
体重8〜13kgの処女雌性Marshall Farmsビーグル犬を使用した。実験化合物の各用量レベルについてイヌ2匹の群を使用した。実験を通して動物に固形飼料及び水を通常通り摂取させた。被験物質を、5mgヒプロメロース2910、USP(50cps);4mgポリソルベート80、NF;9mgベンジルアルコール、NF;適量の注射用滅菌水、USP、2又は25mg/kgのR−73を含有する水性懸濁液として処方し、経管的に経口投与した。0.25、0.5、1、2、4、6、8及び248時間に処置されたイヌの頸静脈から血液試料(1.0mL)を採取した。シュウ酸カリウム/NaFが入ったチューブに試料を採取し、試料採取手順の間は氷上で保存した。できるだけ早く試料を−4℃の冷却遠心機で回転させ、分析まで血漿試料を−80℃の冷凍庫で保存した。血漿のアリコート(0.05mL)を、200ng/mLの内部標準を含有する0.15mLのアセトニトリルと混合した。未処置ラットの血漿の0.05mLアリコートを、200ng/mLの内部標準を含有する0.15mLのアセトニトリルと混合することにより一組の較正用標準を調製した。各血漿試料及び較正用標準を徹底的にボルテックス撹拌し、次に3500rpmで20分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。遠心分離からの上清(各150μL)を96ウェルプレートに移し、LC/MS/MS分析に供した。前実施例に記載したように試料の分析を実施した。
実施例13
各種経路による投与ための、主題化合物の薬学的組成物は、本実施例に記載したように調製した。
成分を混合し、カプセルにそれぞれ約100mg入れるように分配する、カプセル1個は合計1日投薬量に近い。
成分を混合し、メタノールなどの溶媒を使用して造粒する。次に、その製剤を乾燥させ、適切な打錠機を用いて錠剤(活性化合物約20mgを含有する)を形成させる。
成分を混合して、経口投与用の懸濁液を形成させる。
活性成分を部分量の注射用水に溶解する。次に、撹拌しながら十分量の塩化ナトリウムを添加して、その溶液を等張にする。その溶液を注射用水の残りを用いて重量まで調整し、0.2ミクロンのメンブランフィルターを通過させて濾過し、滅菌状態でパッケージする。
成分を一緒に融解させ、蒸気浴上で混合し、合計重量2.5gを入れるように型に流し込む。
水以外の全ての成分を混合し、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、激しく撹拌しながら60℃の水を十分量加えて、成分を乳化させ、次に水を約100gにする適量加える。
鼻スプレー製剤(G)
約0.025〜0.5%の活性化合物を含有するいくつかの水性懸濁液を鼻スプレー製剤として調製する。製剤は、場合により例えば微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどの不活性成分を含有する。pHを調整するために塩酸を加えてもよい。鼻スプレー製剤は、典型的には1回の動作で約50〜100μLの製剤を送達する鼻スプレー用定量ポンプにより送達してもよい。典型的な投薬スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回の噴霧である。
参考実施例A − 3−アリールオキシフェニル酢酸
[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸(R−1)及び[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−アセチルクロリド(R−2)
工程1 − 100mL丸底フラスコに、3,5−ジクロロベンゾニトリル(R−3a、7.0g、40.69mmol)及び無水DMF(75mL)を窒素流下で入れた。溶液に、ナトリウムメトキシド(2.26g、44.76mmol)を加え、得られた溶液を室温で24時間さらに撹拌した。反応が完了したら、10% HCl水溶液を反応器に滴下した。粗混合物をEtOAcで抽出し、酸の水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。EtOAc抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、粗固体を得、それをヘキサン/アセトンから再結晶化して、R−3bを5.9g(86%)得た。
工程2 − 250mLフラスコに、R−3b(7.0g、41.766mmol)及び2,4,6−コリジン(100mL)を入れた。混合物を170℃に加熱し、LiI(16.76g、125.298mmol)を加えて、反応混合物を4時間加熱した。R−3bを消費したら、反応物を室温に冷まし、10% HCl水溶液でクエンチした。得られた混合物をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。EtOAc抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、黄色の油状物を得、それをEtOAc/ヘキサン(10:90)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、R−3cを6.0g(94%)得た。
工程3 − 250mL丸底フラスコにR−3c(6.0g、39.070mmol)及び無水THF(100mL)を入れ、溶液を0℃に冷却した。冷却した溶液にナトリウムtert−ブトキシド(46.89g、4.51mmol)を加え、得られた溶液を1時間撹拌した。フェノールを完全に消費するまで0℃で反応を保持しながら、2,3,4−トリフルオロ−ニトロ−ベンゼン(6.92g、39.070mmol)を滴下した。混合物を、10% HCl水溶液を加えることによりクエンチし、得られた混合物をさらに1時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。EtOAcを乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、黄色の油状物を得、それをヘキサン/EtOAc(92:8)で溶離するSiO2カラムクロマトグラフィーにより精製して、R−4aを10g(82%)得た。
工程4 − マロン酸tert−ブチルエチル(10.31g、54.80mmol)及び無水NMP(200mL)の0℃に冷却した溶液を、窒素雰囲気下で撹拌した。この溶液に鉱油中のNaH 40%(1.84g、76.70mmol)を加えた。混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。次に、ビス−アリールエーテル R−4a(15.00g、49.80mmol)を反応器に加え、反応が完了するまで窒素下で室温にて撹拌した。混合物を、10% HCl水溶液を加えることにより室温でクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。EtOAcを乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、R−4bを明黄色の油状物として得、それをさらにいかなる精製もしないで次の工程に使用した。
工程5 − ジエステル R−4b(24.0g、50.117mmol)をジクロロエタン(300mL)及びTFA(6.29g、55.13mmol)に溶解し、75℃に24時間加熱した。混合物を室温に冷まし、溶媒及び過剰量のTFAを減圧下で除去した。粗油状物をDCMに再溶解し、0℃に冷却し、NaHCO3水溶液を加えた。混合物をDCMで抽出し、水及びブラインで洗浄した。DCMを乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、黄色の油状物を得た。粗油状物をヘキサン/EtOAc(90:10)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−4cを15.0g(80%)得た。
工程6 − 250mL丸底フラスコに、R−4c(8.0、21.12mmol)及び無水EtOHを入れた。反応器に、塩化アンモニウム(2.26g、42.244mmol)、水(30mL)及び鉄(1.17g、21.12mmol)を加えた。反応物を撹拌し、80℃に4時間加熱した。R−4cを消費したら、不均質な混合物をセライト(登録商標)パッドを通して濾過し、フィルターケーキをEtOAcで洗浄した。水性の濾液をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、淡色の油状物を得、それヘキサン/:EtOAc(85:15)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−5aを6.0g(87%)得た。
工程7 − 100mL丸底フラスコに、無水MeCN(15mL)を窒素の連続流下で入れた。この混合物に、Cu(II)Cl2(0.083g、0.624mmol)及び亜硝酸tert−ブチル(0.064g、0.624mmol)を加えた。混合物を70℃に30分間加熱した。この混合物にR−5a(0.100g、0.624mmol)を一度に加え、撹拌をさらに2時間続けた。出発物質を消費したらすぐに、混合物を室温に冷まし、反応混合物を10% HCl水溶液でクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄した。EtOAc抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、明褐色の油状物を得、それをヘキサン/EtOAc(96:4)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−5bを0.080g(76%)得た。
工程8 − 乾燥させた100mL丸底フラスコを窒素でパージし、R−5b(2.0g;5.43mmol)を入れ、THF(20mL)に溶解し、窒素流下で撹拌した。反応器にLiOH(0.46g;10.86mmol)を加え、続いて脱イオン化水5mLを加えた。反応物を、窒素の連続流下で1時間撹拌した。均質混合物を、10% HCl水溶液で0℃にてクエンチした。反応混合物をさらに15分間撹拌した。粗混合物をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去し、酸性の粗R−1をさらにいかなる精製もしないで使用した。
工程9 − 100mL丸底フラスコに、R−1(0.200g、0.520mmol)及びDCM 5mLを入れ、溶液を窒素下で室温にて撹拌した。溶液に塩化チオニル(0.061g、0.520mmol)を滴下し、続いてDMFを1滴滴下した。反応物を室温で1時間撹拌した。過剰量の溶媒及び塩化チオニルを減圧下で除去して、カルボン酸 R−2を黄色の粗油状物として得、それをさらにいかなる精製もしないで次の反応に使用した。
tert−ブチルフェニルアセタート類の調製に関する一般手順
THF中の置換されているフェニル酢酸のエチル又はメチルエステルの氷冷溶液に、LiOH・H2O水溶液(1.5当量)を加える。反応混合物を室温で撹拌し、加水分解の進展後にtlc又はhplcを続ける。反応が完了したら、1M HCl及びEtOAcを加え、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発させて、対応するカルボン酸を得る。
tert−ブタノール中のカルボン酸の不活性雰囲気下で保持した溶液に、DMAP(0.3当量)及び二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc無水物、2当量)を加えた。ガスの発生が停止するまで反応物を室温で撹拌すると、反応が完了する。溶媒を減圧下で除去し、生成物をSiO2クロマトグラフィーにより精製する。
4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸(R−7)及び4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−アセチルクロリド(R−8)
工程1及び2 − 2,3−ジフルオロ−4−ニトロフェニル酢酸エチル(R−9b)
NMP(300mL)中のマロン酸tert−ブチルエチル(Alfa Aesar)(31.2g、166mmole)の窒素雰囲気下で0℃に冷却した氷冷溶液に、温度を20℃未満に保持しながらNaH(60%油状分散、13.1g、218mmole)を加えた。添加が完了したあと、溶液を20分間熟成させた。この溶液に、温度を20°未満(高発熱性)に保持しながらNMP(50mL)中の2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(R−6、Oakwood Products Inc.)(26.6g、163mmole)を滴下した。添加が完了したらすぐに、反応物を室温で2時間熟成させた。溶液をNH4Cl水溶液(1.5L)に加え、EtOAc(3×200mL)で抽出し、水(400mL)で5回洗浄し、乾燥させて(MgSO4)、蒸発させた。粗置換マロン酸エステル R−9aをさらに精製しないで使用した。
エステル R−9aをDCM(400mL)に溶解し、TFA(100mL)を加え、この溶液を40℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、溶媒を蒸発させた。粗生成物をEtOAc(400mL)に溶解し、NaHCO3水溶液、水、及びブラインで順次洗浄し、乾燥させて(MgSO4)、蒸発させた。残留油状物を、5% EtOAc/ヘキサン類で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−9bを金色の油状物(11.9g)(30%)として得、それはそのまま結晶化した。
工程3 − 無水THF(100mL)及びR−10(10.00g、69.38mmol)の0℃に冷却した溶液を、ナトリウムtert−ブトキシド(7.34g、76.32mmol)で処理した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次にR−9b(17.01、69.38mmol)を加えて、3時間撹拌した。反応物を10% HCl水溶液でクエンチした。粗混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、粗油状物を得、それをヘキサン類/EtOAc(90:10)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−11aを20g(78%)得た。
クロロ置換基(工程4及び5)の導入を、R−1(前記)の調製の工程6及び7に記載のように実施した。エステルの加水分解及び酸クロリドの形成(工程7及び8)を、R−1の調製の工程8及び9に記載の手順により実施して、R−7及びR−8を得た。
[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R12)
工程1 − 無水酢酸(30mL、4当量)を、無水ピリジン(60mL)中のR−13a(10.36g、77mmol)の0℃に冷却した溶液に加え、窒素でブランケットした。反応物を室温に温め、16時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残留油状物をEtOAcに溶解し、水、5% HCl溶液、ブラインで洗浄して、乾燥させた(MgSO4)。揮発性物質を除去して、ジアセタートを14.5g(86%)得た。ジアセタート(14g、64mmol)をEtOH(100mL)とベンゼン(100mL)の混合物に溶解し、0℃に冷却した。EtOH中のKOH(3.6g、1当量)の溶液を滴下した。1時間後、溶液を飽和塩化アンモニウムの氷冷溶液に加え、エーテルで抽出し、ブラインで洗浄した。Et2O抽出物を濃縮し、ヘキサン/EtOAcの勾配(0%〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−13bを10g(88%)得た。
工程2 − (2−トリメチルシリル−エトキシ)−メチル−クロリド(2.2mL、1.1当量)を、DCM(50mL)中のR−13b(2.0g、11.3mmol)及びDIPEA(2.4mL、1.2当量)の0℃に冷却した溶液に加えた。溶液を室温に温め、16時間撹拌し、飽和NaHCO3溶液に注いだ。水溶液をDCMで抽出し、合わせた有機抽出物を水及びブラインで洗浄して、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を減圧下で除去し、アセチル化した生成物を水(8mL)とTHF(32mL)の混合物に溶解した。LiOH・H2O(0.71g、1.5当量)を加えた。混合物を2時間撹拌し、pH5に酸性化して、エーテルで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて、R13−cを2.5g(80%)得た。
工程3 − F2ClCCO2Na(2.84g、2.3当量)を、Cs2CO3(3.69g、1.4当量)、R−13c(2.26g、8.09mmol)、DMF(32mL)及び水(2mL)の溶液に加えた。溶液を100℃に2時間加熱し、室温に冷まし、飽和NH4Cl溶液に注いだ。溶液をEtOAcとヘキサン類の混合物で抽出し、有機層をブラインで洗浄して、乾燥させた(MgSO4)。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(0%〜10%)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−14aを1.83g(70%)得た。ジフルオロメチルエーテル R−14aをMeOH(30mL)に溶解し、1.0M HClの溶液5.6mLを加えた。溶液を50℃に5時間加熱し、室温で16時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、水性の残留物をDCMと水に分配した。水層をDCMで抽出し、合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄した。揮発性物質を減圧下で除去して、R−14bを780mg(73%)得た。
R−14b及びR−9bの縮合を、R−7の調製の工程3に記載の手順により実施した。ニトロ基の還元(工程5)、アミンのジアゾ化及びクロリドによる置換(工程6)、エステルの加水分解及び酸の酸クロリドへの変換を、R−2の調製の工程6〜9に記載の手順により実施した。
[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステルは、工程4で、3−シアノ−5−メトキシ−フェノール(CAS Reg. No. 124993−53−9)をR−14bの代わりに使用したこと以外は、同様の方法で調製した。
[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−16a)
工程1 − BBr3の溶液(DCM中の1.0M溶液29.1mL、29.1mmol)を、N2下、−78℃で保持した無水DCM(25mL)中のR−17a(2.5g、11.62mmol、CASRN 262450−65−7)の溶液にゆっくり加えた。橙色の溶液を室温に温め、2時間撹拌して、氷に注いだ。混合物をDCM(100mL)で抽出し、有機層をH2O(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、残留油状物をEtOAc/ヘキサン類の勾配(0%〜20% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、所望のフェノールを得た。ピリジン(10mL)中のこのフェノールの溶液に、無水酢酸(0.6mL、6.33mmol)をアルゴン下でゆっくり加えた。2時間後、揮発性物質を除去して、3−ブロモ−5−ホルミル−フェニルアセタート(R−17b、1.02g、40%)を得た。
工程2 − DAST(1.02mL、7.69mmol)を、DCM(5mL)中の3−ブロモ−5−ホルミル−フェニルアセタート(R−17b、1.1g、4.52mmol)の溶液にNALGENE(登録商標)ボトル中に含有された窒素下で加えた。EtOH(0.013mL、0.23mmol)を加え、混合物を16時間撹拌した。次に、反応混合物を飽和NaHCO3水溶液にゆっくり加えた。バブリングを停止したあと、DCM(50mL)を加え、層を分離した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去して、黄色の油状物を得、それをTHF(15mL)とH2O(4mL)の混合物中に置いた。LiOH一水和物(474mg、11.3mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次に、溶液を5% HCl水溶液(50mL)に滴下し、混合物をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機画分をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。揮発性物質を蒸発させて、油状物を得、それをEtOAc/ヘキサン類の勾配(0%〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−18を800mg(79%)得た。
R−9bとフェノール R−18の縮合(工程3)を、R−7の調製の工程3に記載の手順により実施した。ニトロ基の還元(工程4)、アミンのジアゾ化及びクロリドによる置換(工程5)を、R−2の調製の工程6及び7に記載の手順により実施して、R−19cを得た。
工程6 − DMF(8mL)中のR−19c(757mg、1.73mmol)、Pd[P(Ph)3]4(0)(300mg、0.26mmol)、及びシアン化亜鉛(122mg、1.04mmol)の溶液を、窒素下、80℃に4時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、2M NH4OH水溶液に加えた。溶液を1:1 EtOAc/ヘキサン類(3×30mL)で抽出し、合わせた有機画分をH2O(3×20mL)で洗浄して、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を蒸発させ、残留油状物をEtOAc/ヘキサン類の勾配(0%〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−16を580mg(87%)得た。
エチルエステルの加水分解及び酸クロリドへの変換は、R−2の調製の工程8〜9に記載のように実施することができる。
[3−(3−ブロモ−5−シアノ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−20c)
工程1 − n−BuLi(1.6M溶液2.6mL、1.1当量)を、Et2O(20mL)中のR−21a(1.0g、3.8mmol、CAS Reg. No. 74137−36−3)の−78℃に冷却した溶液にN2雰囲気下でゆっくり加えた。溶液を45分間撹拌し、シリンジを介してDMFを加えた。溶液を室温にゆっくり温め、飽和塩化アンモニウムに加えて、エーテルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、濾過し、蒸発させて、R−21bを0.80g(98%)得た。
工程2 − アルデヒド R−21b(12.0g、56mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(19.4g、5当量)、EtOH(100mL)及びピリジン(10mL)の溶液を、65℃に16時間加熱した。混合物を室温に冷まし、50% EtOAc/ヘキサン類と水に分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。揮発性物質を蒸発させて、オキシムの12.4g(97%)を得た。この物質を無水ジオキサン(100mL)及びピリジン(26mL、6当量)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、TFAA(15mL、2当量)を加えて、混合物を室温に温まるにまかせた。溶液を2日間撹拌し、60℃に1時間温めた。混合物を室温に冷まし、氷水に注意深く加えた。混合物をDCMで抽出し、合わせた有機層を水、1M HCl、及びブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて、R−21cを10.4g(90%)得た。
工程3 − 無水コリジン(100mL)を、R−21c(10.4g、49mmol)及びLiI(19.6g、3当量)を含有する乾燥フラスコに加えた。溶液を窒素下、150℃に一晩加熱し、室温に冷まし、氷冷1M HCl溶液に注いだ。混合物を1:1 EtOAc/ヘキサン類溶液で抽出し、水で洗浄して、乾燥させた(MgSO4)。減圧下で濃縮して、R−22を8.7g(89%)得た。
R−9bとフェノール R−22の縮合(工程4)を、R−7の調製の工程3に記載の手順により実施した。ニトロ基の還元(工程5)、アミンのジアゾ化及びクロリドによる置換(工程6)を、R−2の調製の工程6及び7に記載の手順により実施して、R−20cを得た。
[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−エチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−20d)は、R−31(前記)の調製に記載の手順を利用して、R−20cのTHF溶液を、Pd(dppf)Cl2、DIBAL−H(トルエン中の1M)、ジエチル亜鉛により処理することにより調製した。
[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−23a)及び[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸(R−23b)
150mL三口丸底フラスコに、MeCN(50mL)、CuBr2(2.8g、12.61mmol)及び亜硝酸t−ブチル(1.4g、13.76mmol)を入れ、脱ガスし、Ar雰囲気下で保持して、70℃に加熱した。混合物に、MeCN(20mL)に溶解したR−5a(4.0g、11.47mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を70℃で4時間撹拌し、次に0℃に冷却した。反応物を、10% HCl(30mL)を加えることによりクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を10% HCl及びブラインで順次洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、揮発性溶媒を減圧下で除去して、黒色の油状物を得、それをヘキサン類/EtOAc(95:5)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−23aを2.5g(52.8%)得た。実施例1の工程8に記載の手順によりエチルエステルを加水分解して、カルボン酸 R−23bを得た。
[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−24)は、R−5aの調製の工程6に記載のようにニトロを還元し、アミンをジアゾ化し、R−23に関する記載のように臭素で置換することにより、R−11bから調製した。
[4−ブロモ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−25)
工程1 − R−27a(CASRN 1435−51−4)、MeONa(1当量)及びDMFの溶液を、N2雰囲気下、室温で一晩撹拌した。揮発性溶媒を減圧下で除去し、残留物をEt2Oと水に分配した。有機相を5% NaOH、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、R−27bを得た。
工程2 − R−27b(60g、0.2256mol)及び無水Et2O(1L)の−78℃に冷却し、かつAr雰囲気下で保持した溶液に、n−BuLi(100mL、0.2482mol、ヘキサン中の2.5M)を30分かけて滴下した。黄色の溶液を−78℃で20分間撹拌した。反応混合物に乾燥DMF(19mL、248.2mmol)を15分かけて滴下し、反応物を−78℃で10分間撹拌し、その後冷却浴を取り外し、反応物を−30℃に30分かけて温まるにまかせた。反応器を氷水浴中に置き、−10℃に温めた。混合物を氷冷飽和NH4Cl水溶液(400mL)にゆっくり加えた。有機層を分離し、水相をEt2Oで3回抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、油状物を得、それをそのまま凝固させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAcの勾配(3〜5% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−28を得た。
工程3 − R−16(前記)の調製の工程6に記載のようにZn(CN)2、Pd(PPh3)4(0)及びDMFを用いてR−28のシアン化を実施して、R−29aを得た。
工程4 − DAST(21.04mL、519mmol)を、窒素下でNALGENE(登録商標)ボトル中に含有されたR−29a(15.1g、94mmol)及びDCM(100mL)の溶液に加えた。EtOH(0.013mL、0.23mmol)を加え、混合物を16時間撹拌した。次に、反応混合物を飽和NaHCO3水溶液にゆっくり加えた。バブリングが停止したあと、DCM(50mL)を加え、層を分離した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去し、粗生成物を、EtOAc/ヘキサン類の勾配(0%〜10% EtOAc)で溶離する2つのフラッシュSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−59bを白色の固体として得た。
工程5 − メチルエーテル R−59bを48% HBr水溶液及び氷酢酸中で脱メチル化し、脱メチル化が完了するまで120℃に加熱した。揮発物を除去し、水とDCMに分配して、R−26を得た。
R−26及びR−9bの縮合を、R−7の調製の工程3に記載の手順により実施した。ニトロ基の還元を、R−2の調製の工程6に記載のように実施した。ジアゾ化及び臭素によるジアゾールの置換を、R−23に関する記載のように実施して、R−25を得た。
[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−31)
THF(15mL)、Pd(dppf)Cl2(0.09g、0.121mmol)の脱ガスした氷冷溶液に、DIBAL−H(0.012mmol、トルエン中の1M溶液)を加えた。反応混合物を室温に温まるにまかせた。R−23(1.0g、2.42mmol)の溶液を加え、続いてジメチル亜鉛(THF中の1M、4.240mmol)を加えた。反応物を65℃に4時間加熱し、室温に冷まして、NH4Cl水溶液でクエンチした。得られた混合物をEtOAcで抽出し、NH4Cl及びブラインで順次洗浄した。EtOAc抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、揮発性溶媒を減圧下で除去して暗褐色の油状物を得、それをヘキサン/EtOAc(95:5)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−31を0.50g(59%)得た。
[3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−33)は、R−31に関する上述の手順を使用して、R−25から調製した。
[3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−34)は、R−31に関する上述の手順を使用して、R−24から調製した。
[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−32)は、ジエチル亜鉛をジメチル亜鉛に代えて使用したこと以外は、R−31に関する記載の手順を使用して、R−23から調製した。
[3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−36)は、ジエチル亜鉛をジメチル亜鉛に代えて使用したこと以外は、R−31に関する記載の手順を使用して、R−24から調製した。
[3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ −フェニル]−酢酸エチルエステル(R−37)は、ジエチル亜鉛をジメチル亜鉛の代わりに使用したこと以外は、R−31に関する記載の手順を使用して、R−25から調製した。
[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−38)
工程1 − R−24(0.80g、1.99mmol)、Pd(PPh3)4(0.23g、0.10当量)及びトルエン(10mL)の溶液に、シリンジを介してトリブチルビニルスズ(0.635mL、1.1当量)を加え、溶液を5時間還流した。反応物を室温に冷まし、飽和NH4Cl水溶液に注いで、EtOAcで抽出した。有機層をH2O及びブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO4)、蒸発させた。得られた灰色を帯びた褐色の固体を、EtOAc/ヘキサンの勾配(0〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−40の0.60g(85%)を得た。
工程2 − ジエチルエーテル(18mL)、H2O(10mL)及び固体のKOH(3g)をエルレンマイヤーフラスコ中で合わせ、0℃に冷却した。ニトロソ尿素(1.17g、10当量)を少量ずつ加え、1時間撹拌した。エーテル層をKOHのベッド上にデカントし、0℃で保持した。別のフラスコ中で、エステル R−40(0.4g、1.14mmol)及びPd(OAc)2(0.01g、0.05当量)をEt2O(10mL)及びDCM(5mL)に溶解し、0℃に冷却した。ジアゾメタンのデカントしたエーテル溶液をこの混合物に加え、3時間撹拌した。溶液を、セライト(登録商標)及びSiO2を通して濾過し、濃縮して、R−41を0.40g(95%)得た。
[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−41a)は、[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−23a)をR−24に代えて使用したこと以外は、同様にして調製した。
[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル]−酢酸(R−42b)
工程1 − THF(500mL)中のジ−イソ−プロピルアミン(150mL、108.3g、1.07mol)の−78℃に冷却し、かつN2雰囲気下で保持した溶液に、n−BuLi(100mL、1.00mol、ヘキサン類中の10M)を15分かけて加えた。得られた混合物を−78℃で30分間撹拌した。R−43a(45mL、52.110g、0.457mol)及びクロロトリメチルシラン(130.0mL、111.28g、1.024mol)の混合物を、内部反応温度を−50℃未満に保持する速度で加えた。溶液を−78℃で1時間撹拌した。反応物を1M H2SO4を加えることにより−78℃でクエンチし、MTBEで希釈し、混合物を固体のNaClで飽和した。相を分離し、水相をMTBE(300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させて、118g(100%)のR−43bを白色の固体として得た。
工程2 − 氷浴中で0℃に冷却した無溶媒のBr2(76.9mL、1.50mol)に、内部温度を20〜45℃に保持しながら固体のR−43b(126.23g、0.500mol)を少量ずつ加えた(注意:発熱性!)。反応混合物を58℃で2時間撹拌した。この間が経過した1時間後、さらなる臭素(45.48g)を加え、添加漏斗をシクロヘキサン(10mL)ですすいだ。反応混合物を0℃に冷却し、氷冷飽和NaHSO3溶液にゆっくり注いだ。添加後、得られた混合物を固体のNaClで飽和し、MTBE(500mL及び200mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、R−43cを191g得た。反応混合物を約60mbarで蒸留して、無色の液体161.53gを得、それを110℃で沸騰させ、約11%モノブロモ誘導体を含有した。生成物を、バブルボールカラムを通して約50mbarで再蒸留させて、93〜94℃の沸点を有するR−43cを141.3(78.5%)得たが、それは純度>99.6であった。
工程3 − イソ−PrMgCl・LiClの調製 − LiCl(4.56g、107.6mmol)のサンプルを、高真空下、ヒートガンで10分間乾燥させた。乾燥した固体に、イソ−PrMgCl(53.8mL、107.6mmol、THF中の2M溶液)をN2雰囲気下、23℃で加え、得られた混合物を23℃で3日間撹拌した。
THF(5mL)中のR−43c(1.29mL、10mmol)の溶液に、反応温度を−30℃未満に保持する速度でイソ−PrMgCl・LiCl溶液(5.5mL、11mmol、THF中の2.0M)を−40℃で加えた。撹拌を−35〜−30℃で1時間続け、次に−7℃にさらに1時間温めた。反応混合物を−30℃に冷却し、DMF(1.00mL、13mmol)を一度に加え(温度は−23℃に上昇した)、撹拌を−25〜+15℃で3.5時間続けた。反応混合物を1M H2SO4及び氷に注ぎ、得られた混合物を固体のNaClで飽和し、MTBEで2回抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、2.17g(98%)のR−43dを白色の固体として得た。
工程4 − 3−クロロ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(3.84g)、K2CO3粉末(4.2g)及びn−ブチルニトリルの溶液に、R−43d(5.57g)を加えた。反応がgc/msにより完了を示したとき、反応混合物を4.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、水に注いで、次にEtOAcを加えた。層が分離するまで得られた混合物を放置した。一部の結晶が、界面に、及び上層の壁に沿って存在し、それを濾過し、水及びヘキサン類で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、残留物をIPAに取って、再蒸発させた。固体をヘキサンでトリチュレートし、濾過した。母液を蒸発させ、残留物をヘキサン/EtOAc(80:20)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製した。生成物をIPAでトリチュレートし、濾過し、ヘキサン類で洗浄し、生成物の画分を合わせて、R−44aを1.45g(83%)得た。
工程5 − トリフルオロ酢酸無水物(8.88、4.231mmol)を100mL丸底に加え、0℃で撹拌した。次に、30% 過酸化水素(0.290、8.46mmol)を反応器に滴下し、0で2時間撹拌して、トリフルオロ過酢酸(TFPA)を得た。
DCM(20mL)中のR−44a(2.0、5.64mmol)の0℃で撹拌した溶液に、KH2PO4(15.35g、112.82mmol)を加えた。この懸濁液に0℃でTFPAを滴下した。反応物を48時間撹拌した。出発物質を消費したらすぐに、反応混合物を0℃に冷却し、ブラインで希釈して、10% 重亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。得られた混合物をDCMで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧下で除去して黄色の固体を得、それをヘキサン/EtOAc(92:8)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−44bを1.8g(94%)得た。
工程6 − DMF(15mL)中のR−44b(1.8g、5.26mmol)の溶液に、Cs2CO3(3.43,10.52mmol)及びヨードメタン(0.74g、5.26mmol)を加えた。反応混合物を85℃で12時間撹拌した。R−44bを消費したら、反応混合物を室温に冷まし、硬化した混合物をEtOAcで抽出して、合わせた抽出物を水及びブラインで洗浄した。EtOAcを乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、R−44cを黄色の油状物として得、それをさらに精製しないで次の工程に使用した。
工程7 − 乾燥100mL丸底を窒素でパージし、R−44c(1.6g、4.50mmol)及び無水THF(20mL)を入れた。混合物を−20℃に冷却し、イソ−PrMgCl.LiCl(5.40mL、5.40mol、THF中の2M、工程3参照)の溶液を滴下した。反応物を−20℃で2時間撹拌し、CuCN LiClの溶液(0.100mL、0.100mol THF中の1M)を加え、撹拌を−20℃で続けた。この混合物に臭化アリル(1.08g、9.0mmol)を加え、混合物をさらに2時間撹拌した。反応物を、NH4Cl水溶液を加えることによりクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し、水及びブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、黄色の油状物を得た。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(95:5)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−42aを1g(70%)得た。
工程8 − R−42a(0.100g、0.315mmol)、EtOAc(2mL)、MeCN(2mL)及び水(3mL)の溶液に、NaIO4(0.437g、2.050mmol)及びRuCl3(0.001g、0.006mmol)を加えた。R−42aを消費したら、粗混合物をセライト(登録商標)パッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄し、合わせたEtOAc洗浄液をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で蒸発させて、0.090g(85%)のR−42bを黄色の固体として得た。酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄した。酢酸エチルを硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、R−42bを黄色の固体(0.090g、85%)として得た。
[3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル]−酢酸(R−45)及び[3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル]−酢酸(R−46)は、R−10及びR−26それぞれを3−クロロ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリルに代えて使用した以外は、同様に調製することができる。
参考実施例B
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−インダゾール−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−52)
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(2−オキソ−エチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−50)は、ジボランによりR−5bを還元することにより調製し、得られたアルコールをCrO3−ピリジンによりR−50に再酸化させることができる。
工程1 − i−PrMgCl(2M溶液の1.7mL、1.1当量)を、THF(2mL)中の2−フルオロ−ブロモベンゼン(0.33mL、1当量)の0℃に冷却した溶液に加えた。溶液を0℃で1.25時間撹拌し、次に−78℃に冷却し、THF(2mL)中のR−50(0.99g、3mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を0℃にゆっくり温め、冷NH4Cl水溶液に加えた。溶液をエーテルで抽出し、合わせた有機物を洗浄し、乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。粗残留物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(0%〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、o−フルオロ−フェニル付加物を0.57g(44%)得た。付加物(0.26g、0.62mmol)の一部をDCM(3mL)に溶解し、Dess-Martinペルヨージナン(0.32g、1.2当量)を一度に加えた。4時間後、反応物を飽和Na2S2O4水溶液に加えた。混合物をDCMで抽出し、洗浄し、乾燥させて、濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(0%〜20% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−51を0.23g(87%)得た。
工程2 − ヒドラジン(0.24mL、10当量)を、ジオキサン(3.6mL)とEtOH(0.4mL)の混合物中のR−51(0.32g、0.77mmol)の溶液に加えた。2時間後、揮発性物質を除去し、残留物をHPLCにより精製して、R−52を0.04g(13%)得た。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−インダゾール−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−53)は、Claisen縮合/ヒドラジン環化シーケンスを利用して、R−25及び2−フルオロ安息香酸から同様にして調製した。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−54)
工程1 − DMF(63mL)中の2−クロロニコチン酸(1.96g、12.5mmol)の溶液に、CDI(2.02g、12.5mmol)を加え、溶液を50℃に加熱した。2時間後、反応混合物を−10℃に冷却し、これにDMF(46mL)中のR−55(4.51g、11.3mmol)の溶液及び固体のNaH(1.45g、36.2mmol)を順次加えた。(メチルエステル R−55は、マロン酸メチル t−ブチルをマロン酸エチル t−ブチルに代えて使用したこと以外は、R−23aに関する記載の手順により調製した。)反応混合物を−10℃で15分間撹拌し、次に室温に温め、14時間撹拌した。反応混合物をNH4ClとEtOAcに分配した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して、減圧下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(25〜30% EtOAc)で溶離するSiO2のカラムクロマトグラフィーにより精製して、R−56aを3.25g(53%)得た。
工程2 − DMSO(35mL)及びH2O(1.7mL)中のR−56a(3.25g、6.04mmol)の溶液を、予備加熱した150℃の油浴中で30分間撹拌した。反応混合物をEtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配した。水相をEtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)させ、濾過し、減圧下で濃縮して、2.45g(85%)のR−56bを黄色の油状物として得た。
工程3 − ジオキサン(41mL)及びEtOH(6mL)中のR−56b(2.3g、4.8mmol)の溶液に、ヒドラジン(1.50mL、10当量)を加え、反応混合物を100℃に加熱した。2時間後、反応混合物を室温に冷まし、溶媒を除去した。残留物を10% MeOH/DCMと飽和NaHCO3水溶液に分配した。水層を10% MeOH/DCMで逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して黄色の固体を得、それを30% EtOAc/ヘキサン類でトリチュレートして、R−54の1.91g(87%)を白色の固体として得た。
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−57)を、[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−酢酸エチルエステル(R−5b)から同様にして調製した。
5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−58)を、[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−24)から同様にして調製した。
3−クロロ−5−[2−フルオロ−6−メチル−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−59)を、[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−31)から同様にして調製した。
5−[6−シクロプロピル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−60)を、[4−シクロプロピル−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−41)から同様にして調製した。
3−クロロ−5−[6−エチル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−61)を、[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−32)から同様にして調製した。
3−クロロ−5−[6−シクロプロピル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−62)を、3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−41)から同様にして調製した。
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−63)を、[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−16)から同様にして調製した。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−64)を、[4−ブロモ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−25)から同様にして調製した。
3−ジフルオロメチル−5−[2−フルオロ−6−メチル−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−65)を、[3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−33)から同様にして調製した。
5−[6−エチル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−66)を、[3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−36)から同様にして調製した。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−67)
3−クロロ−5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(2−オキソ−エチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−68)は、ジボランによりR−23aを還元することにより調製し、得られたアルコールをCrO3−ピリジンによりR−68に再酸化させる。
工程1 − i−PrMgClのTHF溶液(2M溶液の1当量)を、THF中の4−クロロ−3−フルオロ−ピリジン(1当量)の−40℃に冷却し、N2下で保持した溶液に滴下した。溶液を30分間撹拌し、THF中のR−68(1当量)の溶液を滴下した。反応混合物を0℃に温め、1時間熟成させ、pH7の緩衝された水溶液に滴下した。水性の混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−69aを0.21g(45%)得た。
工程2 − DCM中のR−69aの0℃に冷却した溶液に、Dess-Martinペルヨージナン(1.2当量)を加えた。混合物を4時間撹拌し、NaHCO3でクエンチし、有機相を分離し、蒸発させた。残留物を、EtOAc/ヘキサンの勾配で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−69bを得た。
工程3 − ヒドラジン(0.288mL、5当量)を、ジオキサン(9mL)及びEtOH(0.5mL)中のR−69b(0.85g、1.8mmol)の溶液に加えた。溶液を80℃に3時間加熱した。溶液をEtOAcと水に分配した。有機層を分離し、残留物を蒸発させて油状物を得、それをMeOH/DCMの勾配(0%〜5% MeOH)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−67の0.24g(29%)を得た。
5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−70)を、[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−24)から出発して同様にして調製した。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−71)を、[4−ブロモ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−25)から出発して同様にして調製した。
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−72)を、[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル(R−16)から同様にして調製した。
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73)
工程1 − DCM(30mL)及びMeOH(10mL)中の3,6−ジクロロ−4−カルボキシ−ピリダジン(R−74a、7.5g、38.9mmol、Aldrich)の0℃に冷却した溶液に、持続的な黄色を観察するまでピペットを介して、(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘキサン中の2.0M)の溶液をゆっくり加えた。添加が完了した後、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(10〜25% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、3.89g(86%)のR−74bを褐色の油状物として得、それはそのまま凝固した。
工程2 − 水素化ナトリウム(1.53g、38.27mmol)を、N2雰囲気下で乾燥THF(70mL)に懸濁し、0℃に冷却して、2,4−ジフルオロフェノール(3.31mL、34.94mmol)を、シリンジを介して滴下した。添加が完了した後、混合物を15分間撹拌し、次に冷却浴を30分間取り外し、最後に溶液を0℃に再び冷却した。乾燥THF(20mL)中のR−74b(6.89g、33.28mmol)の溶液を、カニューレを通して加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次に50℃に3時間加熱した。反応物を室温に冷まし、飽和NH4Cl(40mL)を加え、続いて水(60mL)を加えた。混合物をEtOAcで3回抽出し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(10〜20% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、8.15g(82%)のR−74cを明黄色の油状物として得た。
工程3 − MeOH(40mL)中のR−74c(8.15g、127.11mmol)の溶液にギ酸アンモニウム(8.55g、1.1当量)を加え、続いて10% Pd−C(500mg)を加えた。混合物を50℃に20分間加熱し、次に60℃に35分間加熱した。混合物を室温に冷まし、CELITE(登録商標)の2cmプラグを通して濾過し、それをMeOHで十分にすすいだ。揮発性溶媒を蒸発させ、残留物質をDCM(80mL)とH2Oに分配した。DCM層を分離し、水層をDCMで2回、及び水(80mL)抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(10〜50% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、5.5g(76%)のR−75aを半粘性で黄色の油状物として得た。
工程4 − THF(40mL)及びMeOH(10mL)中のR−75a(5g、18.78mmol)の溶液に、LiOH水溶液(21.6mL、1M溶液)を加えた。TLC分析により確認して反応が完了したときに混合物を15分間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をH2O(25mL)及びTHF(20mL)で希釈し、次に10% HClでpH2〜3に調整した。得られた固体を濾過により回収し、水(50mL)及びEtOAc(30mL)で洗浄して、4.08g(86%)のR−75bを白色の粉末として得た。
工程5 − DMF(10mL)中のR−75b(605mg、2.4mmol)の溶液に、CDI(410mg、2.5mmol)を加えた。混合物をAr雰囲気下で1.5時間50℃に加熱した。溶液を−10℃に冷却し、DMF(5mL)中のR−55(1g、2.5mmol)の溶液を、シリンジを介して加えた。激しく撹拌しながら、NaH(336mg、8.4mmol)を20分かけて3回に分けて加えた。橙色の溶液をさらに10分間撹拌し、次に冷却浴を取り外した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液(20mL)、水(30mL)及びEtOAc(50mL)で希釈し、撹拌した。EtOAc相をブライン(50mL)で洗浄し、ブライン溶液をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(40〜100% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、685mg(45%)のR−76aを橙色の泡状物として得た。
工程6 − DMSO(8mL)中のR−76a(670mg、1.06mmol)の溶液に、水(0.4mL)及びブライン(10滴)を加えた。混合物をAr雰囲気下で145℃(油浴温度)に10分間加熱した。溶液を室温に冷まし、水(60mL)、EtOAc(30mL)及びEt2O(30mL)を加えた。混合物を撹拌し、NaCl(2gm)を加えた。混合物を再び撹拌し、有機相を回収し、ブライン溶液(50%)で洗浄し、ブライン溶液をEtOAc/Et2O(1:1、2×50mL)で逆抽出した。合わせた有機相を乾燥(MgSO4)させ、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、40% EtOAc/ヘキサン類で展開する分取TLCにより精製して、380mg(62%)のR−76bを明黄色の泡状物として得た。
工程7 − MeOH(2mL)中のR−76b(100mg、0.17mmol)の溶液に、カルバジン酸 tert−ブチル(45mg、2当量)を加え、続いて氷酢酸(0.03mL)を加えた。混合物を60℃で5時間加熱し、次に室温で一晩撹拌した。混合物をDCM(20mL)と5% NaHCO3(20mL)に分配した。水相をDCM(2×20mL)で逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。この残留物をマイクロ波バイアル中でTHF(4mL)に溶解し、DBU(0.04mL、1.5当量)を加え、得られた溶液をマイクロ波中で150℃にて10〜12分間加熱した。混合物をEtOAc(40mL)、水(30mL)及び飽和NH4Cl水溶液(5mL)に分配した。有機相を分離し、水相をEtOAc(2×30mL)で逆抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、6% MeOH/DCMで展開する分取TLCにより精製して、R−73の生成物45mg(58%)をオフホワイトの粉末として得た。
5−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル;トリフルオロ酢酸塩(R−77)を、工程5で、R−55をR−24に代えたこと以外は、同様にして調製した。
5−[6−エチル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−78)を、工程5で、R−55をR−36に代えたこと以外は、同様にして調製した。
3−クロロ−5−[6−エチル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−79)を、工程5で、R−55をにR−32に代えたこと以外は、同様にして調製した。
3−クロロ−5−[6−シクロプロピル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−80)を、工程5で、R−55をR−38に代えたこと以外は、同様にして調製した。
5−[6−シクロプロピル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(R−81)を、工程5で、R−55をR−41に代えたこと以外は、同様にして調製した。
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル(R−73a)を、工程5で、R−55をR−5bに代えること以外は、同様にして調製した。
5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル;トリフルオロ酢酸塩(R−73b)を、工程5で、R−55をR−11cに代えること以外は、同様にして調製した。
3−クロロ−5−[6−ジフルオロメチル−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−82)
工程1 − DCM(12mL)中のR−44a(3.2g、9.04mmol)の溶液に、DAST(3.2g、2.2当量)及びEtOH(0.02g、0.05当量)を順次加え、反応混合物を16時間撹拌した。反応混合物をNaHCO3水溶液とDCMに分配した。有機層を水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、R−83aを1.9g(56%)得た。
工程2 − ジオキサン(30mL)中のR−83a(1.9g、5.045mmol)及びPd(0)[P(tert−Bu)3]2(0.39g、0.15当量)の溶液に、2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル亜鉛クロリド(25mL;エーテル中の0.5M溶液)を室温で加え、得られた溶液を室温で6時間撹拌した。反応物をHCl水溶液とEtOAcに分配した。有機層を水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(2〜12% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−83bを0.65g(30%)得た。
工程3 − R−75b(0.088g、1.1当量)及びDMF(1mL)の溶液に、CDI(0.06g、1.15当量)を加え、溶液を50℃に1時間加熱した。反応混合物を−25℃に冷却し、R−83b(0.13g、0.316mmol)とDMF(1mL)の溶液及びNaH(0.04g、3.2当量)を加えた。反応混合物を室温にゆっくり温め、6時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液とEtOAc/ヘキサン類(1:1)に分配した。有機層をH2O及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、R−84aを0.200g(98%)得た。
工程4 − トルエン(2.5mL)中のR−84a(0.2g、0.31mmol)及びp−TsOH(0.015g、0.25当量)の溶液を130℃で2時間加熱した。反応物を冷却し、重炭酸ナトリウムに注いで、EtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(15〜50% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−84bを0.15g(89%)得た。
工程5 − IPA(2mL)中のR−84b(0.15g、0.274mmol)、p−TsOH(0.10g、2当量)及びヒドラジン(0.03mL、2当量)の溶液を、80℃に16時間加熱した。反応物を0℃に冷却し、H2O(2.6mL)を加えた。得られた溶液のpHを、20% Na2CO3で約9に調整した。次いで、さらにH2O(5mL)で希釈し、室温まで1時間温めた。濁った混合物をEtOAcに注ぎ、有機層を水及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、MeOH/DCMの勾配(2.5〜10% MeOH)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製した。回収した物質をEtOAc/ヘキサン類でトリチュレートして、R−82を0.040g(34%)得た。
3−クロロ−5−[2−フルオロ−6−メタンスルホニル−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(R−85)
工程1 − m−キシレン(60mL)中のR−86a(4.03g、9.15mmol)の溶液に、K2CO3(846mg、6.12mmol)、Pd2(dba)3(840mg、0.92mmol)、Xantphos(600mg、1.04mmol、CASRN 161265−03−8)及びNaSMe(810mg、11.56mmol)を加えた。混合物を脱ガスし、次にアルゴンバルーン下で135℃に20時間加熱した。反応物を室温に冷まし、ブライン(80mL)を加えた。混合物をEtOAc(80mL)で抽出した。水相をEtOAc(2×70mL)で逆抽出し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して、減圧下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(5〜20% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、2.3のR−86bを黄色の油状物として得た。
工程2 − MeOH(60mL)及びTHF(8mL)中のR−86b(2.4g、5.88mmol)の0℃(氷浴)に冷却した溶液に、水(22mL)に溶解したOXONE(登録商標)(7.35g、11.96mmol)の溶液を滴下した。添加が完了した後、混合物を15分間撹拌し、次に冷却浴を取り外した。得られた混合物を一晩撹拌し、次に50℃に4時間加熱した。反応物を室温に冷まし、さらなる発泡が観察されなくなるまで、飽和NaHCO3水溶液を滴下した。水(20mL)を加え、混合物をEtOAc(40mL)で抽出した。抽出物をブライン(40mL)で洗浄し、ブラインをEtOAc(2×30mL)で逆抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、2.5gのR−86cを明白黄色の固体として得た。
工程3 − 乾燥DMF(8mL)中のR−75b(274mg、1.1mmol)の溶液に、CDI(188mg、1.2mmol)を加えた。混合物を50℃に2時間加熱し、次に−10℃に冷却した。DMF(5mL)中のR−86c(500mg、1.14mmol)の溶液を、シリンジを介して加えた。冷却した混合物に、NaH(152mg、3.81mmol、鉱油中の60%)を3回に分けて同量を20分かけて加えた。添加が完了した後、混合物を15分間撹拌し、次に冷却浴を取り外して、撹拌を1時間続けた。溶液に、飽和NH4Cl水溶液(5mL)を注意深く加え、続いて水(30mL)及びEtOAc(40mL)を加えた。混合物を撹拌し、EtOAc相を分離した。水相をEtOAc(2×30mL)で逆抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンの勾配(50〜100% EtOAc)で溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、0.256gのR−87aを黄色で泡状の固体として得た。
工程4 − アニソール(5mL)中のR−87a(256mg、0.38mmol)の溶液に、粉末のホウ酸無水物(133mg)を加えた。混合物を140℃に1時間加熱し、次に室温に冷ました。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を冷却(氷浴)し、水(25mL)とEtOAc(25mL)に分配した。混合物を室温で1時間撹拌し、次に撹拌した。EtOAc相をブライン(25mL)で洗浄し、水溶液をEtOAc(2×20mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮して、0.215gのR−87bを明橙黄色の固体として得た。
工程5 − IPA(2mL)中のR−87b(215mg、0.38mmol)の溶液に、p−TsOH(144mg)及びヒドラジン水和物(0.04mL、85%)を加えた。混合物を、N2雰囲気下で80℃に18時間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、水(3.5mL)、20% Na2CO3水溶液(0.5mL)、次にさらなる水(1.5mL)を順次加えた。混合物を5分間撹拌し、次に1.5時間放置した。得られた沈殿物(65mg)を濾過により回収した。第2の収穫物(130mg)を濾液から回収した。これらの半純粋な収穫物を合わせ、SiO2分取TLCプレートで吸着し、EtOAcで展開して、0.055gのR−85を明白橙色の固体として得た。
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(R−90)
工程1 − R−16を、室温で3時間撹拌することにより、THF水溶液中のLiOHを用いて、対応するカルボン酸に加水分解した。通常の処理により酸を得、それを、酸、Boc−無水物及びDMAPのtert−BuOH溶液を2時間撹拌することにより、tert−ブチルエステルに変換した。粗生成物を、5% EtOAc/ヘキサンで溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−88を得た。
工程2 − フレーム乾燥フラスコ中のR−75b(0.485g、1.92mmol)及びDMF(9mL)の溶液に、CDI(0.326g、2.01mmol)を加え、溶液を50℃に65分間温めて、次に0℃に冷却した。少量のDMF中のR−88(0.720g、1.75mmol)の溶液を加え、続いてNaH(0.189g 4.72mmol、50%鉱油分散)を加えた。反応物を1時間撹拌し、次に冷飽和NH4Cl水溶液に加えた。固体の沈殿物を回収し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、0.978gのR−89aを褐色の固体として得た。
工程3 − アニソール(7.5mL)中のR−89a(0.978g、1.51mmol)の溶液に、ホウ酸無水物(0.527g、7.57mmol)を加え、得られた溶液を140℃に2時間加熱した。反応混合物を氷浴中で冷却し、溶液をEtOAcとH2Oに分配した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。粗生成物を、1% MeOH/DCMで溶離するSiO2クロマトグラフィーにより精製して、R−89bを0.580g得た。
工程4 − IPA(5mL)中のR−89b(0.580g、1.06mmol)及びトシル酸(0.404g、2.13mmol)の懸濁液を、室温で20分間撹拌した。反応が完了するまで溶液を80℃で撹拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、次にH2O(10.6mL)、20% Na2CO3水溶液(2mL)及びH2O(5.3mL)を順次加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。得られた沈殿物を回収し、H2Oで洗浄し、減圧下で乾燥させて、R−90を89mg得た。
前記の記載、又は下記の特許請求項において開示された特徴であって、特定の形態で、又は開示された機能を実行する手段により、又は適切であれば、開示された結果を達成する方法若しくは手順に関して表わされた特徴は、別個に、又は、このような特徴の任意の組み合わせにおいても、それらの多様な形態において本発明を実現することのために利用することができる。
前記の発明を、明瞭さ及び理解の目的のために、説明及び例として詳細に記載した。変更及び変形を添付の請求項の範囲内で実施してもよいことが、当業者には明白であろう。したがって、上記の記載は、例示的であり制限的ではないことを意図していることが理解される。したがって、本発明の範囲は、上記の記載に関して決定されるべきではなく、下記添付の特許請求項に関して、そのような特許請求が享有できる権利の同等物の包括的範囲と共に決定されるべきである。
本明細書で参照された特許、公開された出願、及び科学文献は当業者の知見を確定し、それぞれが具体的かつ個別に示されて、参照により組み込まれるのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で引用された任意の参考文献とこの明細書の具体的な教示との間のいかなる不一致も、後者を支持するように決定される。同様に、技術的に理解される言葉又は語句の定義とこの明細書中で具体的に教示した言葉又は語句の定義との間のいかなる不一致も、後者を支持するように決定される。