JP5409132B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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本発明は、軟鋼および490N/mm2級高張力鋼をはじめとする各種鋼板の水平すみ肉溶接に使用するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに係わるものであり、特にCO2ガスおよびAr−CO2混合ガス(CO2:5〜25%)のいずれのシールドガスを用いた場合でも、1パス溶接で脚長8mm以上の大脚長のビードが得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
船舶、橋梁などの製造分野では、ロンジといわれる補強材の水平すみ肉溶接の比率が高い。水平すみ肉溶接としては、例えば、特許文献1で提案されている水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法が比較的簡便な装置で脚長4〜6mmの溶接が実施できることから広く実用化されている。
一方、厚鋼板の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接の1パス溶接で脚長8mm以上が得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが要望されており、例えば、特許文献2、特許文献3および特許文献4などにより提案されたフラックス入りワイヤを使用して、CO2ガスシールドアーク溶接で施工されている。しかし、脚長8mm以上の大脚長のビードを得るためには必然的に高電流で低速度の溶接条件が必要で、溶接ノズルやビード表面へのスパッタの付着が多くなり、スパッタ除去作業は溶接能率を著しく損なう。また、脚長が10mm以上になるとスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。
大脚長の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、スパッタ発生量を格段に低減するためには、Ar−CO2混合ガスを用いることが有効である。しかし、上記提案にあるような大脚長用のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを使用して、Ar−CO2混合ガスシールドアーク溶接を行うと下脚側ビード止端部の膨らみや上脚側にアンダーカットが目立つようになり、さらにスラグ巻き込み欠陥も発生しやすくなる。
図1は、大脚長の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、発生しやすい溶接欠陥例を説明するために示した模式図である。下板1と立板2とからなる水平すみ肉部を脚長8mm以上となるように1パス溶接した場合、ビード3の下脚側の止端部が膨らみ4、ビード3の上脚側にアンダーカット5、また下板1と立板2とのコーナ部にスラグ巻き込み6が発生しやすくなる。さらに、下板1、立板2およびビード3表面にはスパッタ7が付着するという問題がある。
特開昭63−235077号公報 特開平4−300091号公報 特開平7−328795号公報 特開2003−205387号公報
本発明は、軟鋼および490N/mm2級高張力鋼をはじめとする各種厚鋼板の脚長8mm以上の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接に使用して、1パス溶接でCO2ガスおよびAr−CO2混合ガスのいずれのシールドガスを用いた場合でも、鋼板およびビード表面へのスパッタの付着が少なく、下脚側止端部の膨らみや上脚側のアンダーカットおよびコーナ部のスラグ巻き込みなどの溶接欠陥がない良好な大脚長のビードが得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、
Ti酸化物TiO換算値3.0〜4.4%、
Fe酸化物FeO換算値1.1〜3.5%、
Mg:0.4〜1.0%およびMgO:1.0%以下の1種または2種
かつ、MgのMgO換算値およびMgOの合計:1.0〜2.5%、
Si酸化物SiO換算値0.7〜2.0%、
ZrおよびZr酸化物の1種または2種ZrO換算値0.3〜1.0%、
AlおよびAl酸化物の1種または2種Al換算値0.1〜0.5%、
弗素化合物F換算値0.03〜0.30%、
Naのアルカリ金属化合物およびKのアルカリ金属化合物の1種または2種:NaO換算値およびKO換算値の合計で0.06〜0.30%、
C:0.03〜0.12%、
Si:0.2〜1.5%、
Mn:1.5〜4.0%を含有し、
残部は、Feおよび不可避不純物からなることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、特に厚鋼板の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接に使用して、CO2ガスおよびAr−CO2混合ガスのいずれのシールドガスを用いた場合においても、スパッタ発生量が少なくその除去作業を大幅に軽減でき、1パス溶接で脚長8mm以上の溶接欠陥のない良好な溶接ビードが得られるので、溶接能率の向上および溶接部の品質向上が図れる。
ガスシールドアーク溶接における水平すみ肉1パス大脚長ビードに発生しやすい溶接欠陥例を示した模式図である。 ガスシールドアーク溶接における水平すみ肉1パス大脚長ビードに発生した2段ビード形状例を示した模式図である。
本発明者らは、CO2ガスおよびAr−CO2混合ガスを兼用できる大脚長用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを種々試作して検討した。
その結果、CO2ガスを用いた場合に問題となる立板、下板およびビード表面へのスパッタ付着量低減には、スパッタ粒となる溶滴の細粒化とアーク状態の安定化を図り、特にFeO換算値含有量を多くし、さらにMgO換算値に占めるMgOの含有量を制限したことが有効であった。また、スラグ巻き込み防止にはTi酸化物(TiO2換算値)、MgOおよびその他のスラグ形成剤の含有量を少なく制限することによって良好な効果が得られた。
Ar−CO混合ガスを用いた場合に問題となる下脚側ビード止端部の膨らみは、Ar−CO混合ガスの特性により、溶接金属(ビード)の酸素量が過剰に低下して溶融金属の粘性が高くなるためであり、特にFe酸化物(FeO換算値)の含有量を多くすることにより溶融金属の粘性を調整し下板とのなじみのよい良好なビード形状が得られることが判明した。また、Fe酸化物の含有量を多くすることによってスラグ巻き込み防止にも有効であった。これはFe酸化物の含有量を多くしたことで溶融スラグの流動性が増し溶融プールに適度の広がりができたことでスラグの浮上が促進されたことによる。
さらに、上脚側のアンダーカットの防止にもFe酸化物の含有量を多くすることによって格段の効果が認められた。これはFeO、Fe23などの鉄酸化物がスラグ形成剤としてスラグ被包性の改善にも有効に作用したことによる。
その他のワイヤ成分としては、スラグ形成剤(Ti酸化物、Fe酸化物、MgO、Si酸化物、Zr酸化物およびAl23)、強脱酸剤およびスラグ形成剤として作用するMg、Al、Zr、ガス発生剤およびアーク安定剤として作用するF、アーク安定剤およびスラグ形成剤として作用するNaおよびKのアルカリ金属化合物(Na2O、K2の含有量を限定した。さらに各種鋼板毎に要求される溶着金属試験における機械的性質を満足するようにC、SiおよびMnなどの合金を適量含有させて、所期の目的を達成したものである。
以下に、本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの成分組成の限定理由を述べる。以下成分についての%は質量%を意味する。
(Ti酸化物TiO2換算値3.0〜4.4%)
ルチール、チタンスラグ、イルミナイトなどからのTi酸化物は、主要なスラグ形成剤としてスラグの粘性を高めて十分なスラグ被包性を与え、ビード形状およびビード外観を良好にする作用を有する。しかし、Ti酸化物TiO2換算値3.0%未満では、大脚長の溶接ではスラグ量が不足してスラグの焼き付きやビードが凸状になる。一方、Ti酸化物がTiO2換算値4.4%を超えると、下脚側ビード止端部の膨らみやスラグ巻き込みが発生しやすくなる。したがって、Ti酸化物TiO2換算値3.0〜4.4%とする。
(Fe酸化物FeO換算値1.1〜3.5%)
酸化鉄、ミルスケール、チタンスラグおよびイルミナイトなどからのFe酸化物は、溶融スラグの粘性を調整して、安定した溶融プール状態と均一なスラグ被包性をもたらし、溶接欠陥のない良好なビード形状にする作用を有する。さらに、CO2ガスを用いた場合はスパッタ粒となる溶滴を小さくし鋼板およびビード表面への付着量を低減する。
しかし、Fe酸化物FeO換算値1.1%未満では、CO2ガスを用いた場合のスパッタ粒となる溶滴が大きくなって鋼板およびビード表面への付着が多くなり、スラグ巻き込みも発生しやすくなる。また、Ar−CO2混合ガスを用いた場合には下脚側ビード止端部の膨らみ、上脚側のアンダーカットおよびスラグ巻き込みが発生しやすくなる。一方、Fe酸化物がFeO換算値3.5%を超えると、溶融スラグの過剰な粘性低下により上脚側にアンダーカットが生じるとともに、図2に示すような水平すみ肉1パス大脚長ビード3が2段ビード形状となる。したがって、Fe酸化物FeO換算値1.1〜3.5%とする。
(Mg:0.4〜1.0%およびMgO:1.0%以下の1種または2種で、かつ、MgのMgO換算値およびMgOの合1.0〜2.5%)
Mg、Al−Mg、などからのMgのMgO換算値(脱酸生成物)およびマグネシアクリンカー、天然マグネシアなどからのMgOの1種または2種を合計1.0%以上含有させることによりスラグ被包性を良好にして、上脚側のアンダーカットおよび下脚側のビード止端部の膨らみがない良好な大脚長のビードが得られる。一方、MgおよびMg酸化物の1種または2種の合計が、MgのMgO換算値およびMgOの合2.5%を超えるとスラグ巻き込みが発生しやすくなる。したがって、MgおよびMg酸化物の1種または2種は、MgのMgO換算値およびMgOの合1.0〜2.5%とする。
但し、Mgは上記スラグ形成剤および強脱酸剤として溶接金属の良好な靭性を得るために0.4%以上含有させるが、1.0%を超えるとAr−CO2混合ガスを用いた場合の下脚側ビード止端部の膨らみが改善できない。
また、MgO(酸化物原料)は、CO2ガスを用いた場合のアーク状態を粗雑にしてスパッタ発生量を増加させるので、少ないほうが好ましいが1.0%以下を許容できる。
(Si酸化物SiO2換算値0.7〜2.0%)
珪砂やジルコンサンドなどからのSiO2は、スラグ被包性をよくしてビード形状を良好にする作用を有する。しかし、Si酸化物SiO2換算値0.7%未満では、スラグ被包性が不十分となり上脚側にアンダーカットが生じ、またビードが2段ビード形状となる。一方、Si酸化物がSiO2換算値2.0%を超えると、下脚側のビード止端部が膨らんだビード形状となる。したがって、Si酸化物SiO2換算値0.7〜2.0%とする。
(ZrおよびZr酸化物の1種または2種ZrO2換算値0.3〜1.0%)
Zrによる脱酸生成物であるZrO2、ジルコンサンド、酸化ジルコニウムなどのZr酸化物は、共にスラグ被包性をよくしてビード形状を良好にする作用を有するので、ZrおよびZr酸化物の一方または双方を用いることができる。なお、Zr酸化物は酸化物形態の異なるものを複合して用いても良い。しかし、ZrおよびZr酸化物の1種または2種ZrO2換算値0.3%未満では、なめらかなビード表面とならない。一方、ZrおよびZr酸化物の1種または2種ZrO2換算値1.0%を超えると、ビード形状は丸く凸状になる。したがって、ZrおよびZr酸化物の1種または2種は、ZrO2換算値0.3〜1.0%とする。
(AlおよびAl酸化物の1種または2種Al23換算値0.1〜0.5%)
Al、Fe−Al、Al−MgなどからのAlおよびAl酸化物(アルミナ)は、両者共に溶融スラグ成分としてスラグ被包性を良好にして上脚側のアンダーカットを防止する作用をする。しかし、AlおよびAl酸化物の1種または2種Al23換算値0.1%未満では、上脚側にアンダーカットが生じやすくなる。一方、AlおよびAl酸化物の1種または2種Al23換算値0.5%を超えると下脚側のビード止端部が膨らんだビード形状となる。したがって、AlおよびAl酸化物の1種または2種Al23換算値0.1〜0.5%とする。
(弗素化合物F換算値0.03〜0.30%)
弗化ソーダや珪弗化カリなどの弗素化合物からのFは、アーク状態の安定化および耐気孔性を向上させる作用を有する。しかし、弗素化合物F換算値0.03%未満ではアーク状態および耐気孔性が劣化する。一方、弗素化合物がF換算値0.30%を超えると、スパッタ付着量の増加とともにスラグ被包性が不良となって上脚側にアンダーカットが発生する。したがって、弗素化合物F換算値0.03〜0.30%とする。
Naのアルカリ金属化合物およびKのアルカリ金属化合物の1種または2種:Na2O換算値およびK2O換算値の合計0.06〜0.30%)
珪酸ソーダや珪酸カリなどの水ガラス、氷晶石、カリ長石などからのNaおよびKのアルカリ金属化合物は、アーク状態を安定に保ちスパッタの発生量を少なくする作用を有する。しかし、アルカリ金属化合物Na2O換算値およびK2O換算値の合0.06%未満では、アークが不安定でスパッタの付着が多くなる。一方、アルカリ金属化合物がNa2O換算値およびK2O換算値の合0.30%を超えると、スラグ被包性が不良となり上脚側の脚長不足となる。したがって、NaおよびKのアルカリ金属化合物の1種または2種は、Na2O換算値およびK2O換算値の合0.06〜0.30%とする。
(C:0.03〜0.12%)
Cは、鋼製外皮およびフラックスの合計で0.03〜0.12%とする。Cが0.03%未満では強度や靭性が低くなる。一方、Cが0.12%を超えると強度が高くなり靭性が低下する。
(Si:0.2〜1.5%)
Siは、鋼製外皮およびフラックスの合計で0.2〜1.5%とする。Siが0.2%未満では、溶接金属の強度および靭性が低くなる。一方、Siが1.5%を超えると強度が高くなり靭性が低下する。
(Mn:1.5〜4.0%)
Mnは、1.5〜4.0%とする。Mnが鋼製外皮およびフラックスの合計で1.5%未満では、溶接金属の強度および靭性が低くなる。一方、Mnが4.0%を超えると強度が高くなり靭性が低下する。
以上、本発明のフラックス入りワイヤの構成要件の限定理由を述べたが、残部はFeおよび不可避不純物からなる。ここで、Feは、鉄合金(フェロアロイ)、鋼製外皮および鉄粉等からのFeである。
なお、スラグ剥離性に有効なBiおよびBi酸化物、硫化鉄などを0.005%以上含有させること、耐低温割れ性を高めるためにワイヤの全水素量を0.004%以下にすること、靭性向上のためにBを0.003〜0.012%程度、あるいはTiを0.3%以下含有させることは本発明のフラックス入りワイヤの実用性を高めるものである。
鋼製外皮は、フラックス充填後の伸線加工性が良好な軟鋼でよいが、Cが0.03%以下のものを用いることは溶接時のスパッタ低減に有効である。
フラックス充填率は、溶接時の高溶着性、生産時の伸線性などを考慮して10〜20%程度のものが好ましい。鉄粉は、溶接時の溶着速度の向上とともにアーク安定性剤としても作用するので、1〜12%含有させることが好ましい。
ワイヤ径は1.2〜1.6mm、ワイヤ断面構造は市販のフラックス入りワイヤと同様にシーム有無のいずれでもよい。表面に隙間のないシーム無しワイヤは水分の吸湿がなく耐気孔性に有利である。また、Cuなどのめっきを施してワイヤ表面の防錆効果や溶接金属の靭性を高めることも可能である。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
軟鋼外皮(C:0.02%、Si:0.01%、Mn:0.40%)に、フラックスを充填後、縮径して、フラックス充填率16%でワイヤ径1.4mmのフラックス入りワイヤを各種試作した。表1および表2にそれぞれの試作ワイヤを示す。
Figure 0005409132
Figure 0005409132
これら試作ワイヤを用いて、T字すみ肉試験体を用いて、表3に示す溶接条件で目標脚長10mmの水平すみ肉ガスシールドアーク溶接試験を行った。また、JIS Z3313に準じて、板厚20mmの鋼板(490N/mm2級高張力鋼)を用いて表4に示す溶接条件で溶着金属試験を行い、衝撃試験片を採取した。
なお、シールドガスはCO2ガスおよびAr−20%CO2ガスで流量は毎分25リットル/分である。
Figure 0005409132
Figure 0005409132
水平すみ肉ガスシールドアーク溶接試験の試験体は、板厚20mm、板幅150mm、長さ500mm(490N/mm2級高張力鋼)の無機ジンクプライマ塗装鋼板(立板端面はガスカットのまま)を用いた。ワイヤの狙い位置は、立板と下板のコーナ部から3mm離れた下板上とした。
各試作ワイヤについて、アーク安定性、スパッタ付着、ビード形状、アンダーカットの有無およびマクロ断面を10断面採取してスラグ巻き込み欠陥の有無を調べて評価した。
溶着金属試験の衝撃試験は、試験温度0℃における吸収エネルギーの3本の平均値が47J以上を良好とした。それらの結果を表5にまとめて示す。
Figure 0005409132
表1、表2および表5中ワイヤ記号W1〜W10が本発明例、ワイヤ記号W11〜W23は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号W1〜W10は、Ti酸化物、Fe酸化物、Mgおよび/またはMg酸化物、Si酸化物、Zrおよび/またはZr酸化物、Alおよび/またはAl酸化物、弗素化合物、アルカリ金属化合物、C、SiおよびMnを適量含んでいるので、COおよびAr−COガスのいずれのシールドガスを使用して水平すみ肉ガスシールドアーク溶接した場合においてもアークが安定し、スパッタの付着量が少なく、アンダーカットおよびスラグ巻き込みもなく、スラグ剥離性が良好で気孔の発生もなく、目標の脚長が得られた。また、溶着金属試験においても高い吸収エネルギーが得られるなど極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤ記号W11は、Ti酸化物がTiO2換算値少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても凸ビードでスラグが焼き付いた。また、アルカリ金属化合物Na2O換算値少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもアークが不安定でスパッタの付着が多かった。
ワイヤ記号W12は、Ti酸化物がTiO2換算値多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても下脚側のビード止端部が膨らんでスラグ巻き込みも生じた。また、弗素化合物F換算値多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもスパッタ付着量が多く上脚側にアンダーカットも生じた。
ワイヤ記号W13は、Fe酸化物がFeO換算値少ないのでCO2ガスを用いた場合スパッタ付着量が多くスラグ巻き込みも生じた。また、Ar−CO2ガスを用いた場合に下脚側のビード止端部が膨らんで上脚側にアンダーカットおよびスラグ巻き込みも生じた。さらに、Cが少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W14は、Fe酸化物がFeO換算値多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても上脚側にアンダーカットが生じビード形状が2段ビードとなった。また、MgのMgO換算値およびMgOの合計が多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもスラグ巻き込みが生じた。
ワイヤ記号W15は、Mgが少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。また、Si酸化物SiO2換算値少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても上脚側にアンダーカットが生じビード形状が2段ビードとなった。
ワイヤ記号W16は、Mgが多いのでAr−CO2ガスを用いた場合に下脚側のビード止端部が膨らんだ。また、Cが多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W17は、Mg酸化物のMgOが多いのでCO2ガスを用いた場合アークが不安定でスパッタの付着量が多かった。また、アルカリ金属化合物Na2O換算値とK2O換算値の合計多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもスラグの被包性が不良となり上脚側の脚長が不足した。
ワイヤ記号W18は、MgのMgO換算値およびMg酸化物のMgOの合計が少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても下脚側のビード止端部が膨らんで上脚側にアンダーカットも生じた。また、Siが少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W19は、Si酸化物SiO2換算値多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても下脚側のビード止端部が膨らんだ。
ワイヤ記号W20は、Zr酸化物ZrO2換算値少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもビード表面が粗かった。また、弗素化合物F換算値少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもビード形状が凸となった。
ワイヤ記号W21は、ZrおよびZr酸化物ZrO2換算値の合計多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用してもビード形状が凸となった。また、Siが多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W22は、Al酸化物のAl23が少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても上脚側にアンダーカットが生じた。また、Mnが少ないのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W23は、AlおよびAl酸化物がAl23換算値の合計多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても下脚側のビード止端部が膨らんだ。また、Mnが多いのでCO2およびAr−CO2ガスのいずれのシールドガスを使用しても吸収エネルギーが低値であった。
1 下板
2 立板
3 ビード
4 下脚側止端部の膨らみ
5 アンダーカット
6 スラグ巻き込み
7 スパッタ

Claims (1)

  1. 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、
    Ti酸化物TiO換算値3.0〜4.4%、
    Fe酸化物FeO換算値1.1〜3.5%、
    Mg:0.4〜1.0%およびMgO:1.0%以下の1種または2種
    かつ、MgのMgO換算値およびMgOの合計:1.0〜2.5%、
    Si酸化物SiO換算値0.7〜2.0%、
    ZrおよびZr酸化物の1種または2種ZrO換算値0.3〜1.0%、
    AlおよびAl酸化物の1種または2種Al換算値0.1〜0.5%、
    弗素化合物F換算値0.03〜0.30%、
    Naのアルカリ金属化合物およびKのアルカリ金属化合物の1種または2種:NaO換算値およびKO換算値の合計で0.06〜0.30%、
    C:0.03〜0.12%、
    Si:0.2〜1.5%、
    Mn:1.5〜4.0%を含有し、
    残部は、Feおよび不可避不純物からなることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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