JP7055731B2 - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低水素系被覆アーク溶接棒 Download PDF

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Description

本発明は、低水素系被覆アーク溶接棒に関し、交流電源及び直流電源の何れの電源を用いて鋼パイプの円周溶接等の全姿勢で裏波溶接をする場合においても、好適なアーク安定性を示し、良好な裏波ビードが得られ、溶接欠陥が無く、強度及び低温靭性に優れた溶接金属が得られる低水素系被覆アーク溶接棒に関する。
金属炭酸塩及び金属弗化物を主成分とする低水素系被覆アーク溶接棒は、イルミナイト系被覆アーク溶接棒やライムチタニヤ系被覆アーク溶接棒等の非低水素系被覆アーク溶接棒に比べて全姿勢における裏波溶接が容易で、かつガス発生剤による大気遮断により、機械的性質が優れ、溶着金属中の拡散性水素量が少なく、耐割れ性に優れることから鋼パイプの円周溶接等の全姿勢での裏波溶接に多く用いられている。
低水素系被覆アーク溶接棒は、一般的に交流電源を用いて溶接するように設計されている。しかし、鋼パイプなど屋外で円周溶接する場合には、直流電源を用いることが多く、磁気吹きが発生したり、アークが不安定となり、健全な裏波ビードが得られないという問題点がある。このため、交流電源及び直流電源の何れの電源にも適用できる低水素系被覆アーク溶接棒の開発要望が従前より高かった。
鋼パイプの円周溶接など、全姿勢での初層裏波溶接用の被覆アーク溶接棒は、特許文献1には、被覆剤中のカリ長石、ルチール及びアルミナの含有量を調整することによって、裏波溶接から最終層の溶接までの全層を効率よく溶接することができ、良好なアーク安定性及びビード形状を得ることができるという技術の開示がある。
また、特許文献2には、SiO2の成分を90質量%以上の割合で含む鉱物(硅石等)、金属炭酸塩、金属弗化物、ルチールを含有し、鉱物中の粒度53μm未満の粒子の含有率を規定することによって、アーク切れの発生を抑制させる技術の開示がある。
さらに、特許文献3には、被覆剤中のヘマタイトの添加量を調整することにより、アークを安定させる技術の開示がある。
しかし、特許文献1及び特許文献2は双方とも交流電源を用いた場合における低水素系被覆アーク溶接棒の技術であるが、これらの低水素系被覆アーク溶接棒で直流電源を用いて溶接した場合、磁気吹きやアークが不安定となり、健全な裏波ビード及び良好な低温靭性が得られないという問題点があった。また、特許文献3は直流電源を用いた場合における低水素系被覆アーク溶接棒の技術であるが、このような低水素系被覆アーク溶接棒で交流電源を用いて溶接した場合、直流電源と同等のアーク安定性及び良好な裏波ビードは得られないという問題点があった。
特開2000-117487号公報 特開2018-114512号公報 特開2015-85341号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、交流電源及び直流電源の何れを用いて鋼パイプの円周溶接等の全姿勢で裏波溶接をしても、好適なアーク安定性を有し、アーク切れが生じず、良好な裏波ビードが得られ、溶接欠陥が無く、強度及び低温靭性に優れた溶接金属が得られる低水素系被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素系被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は、当該被覆剤全質量に対する質量%で、C:0.01~0.15%、金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:35~55%、金属弗化物の1種又は2種以上の合計:4~12%、Ti酸化物のTiO2換算値の合計:3~9%、Si酸化物のSiO2換算値の合計:10~20%、Al酸化物のAl23換算値の合計:0.5~3.0%、Si:3~9%、Mn:1.0~5.0%、Ti:0.1~2.5%、Na化合物及びK化合物の1種又は2種以上のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:1.5~5.0%を含有し、残部は、塗布剤、鉄合金からのFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする。
また、被覆剤全質量に対する質量%で、Al及びMgの1種又は2種の合計:0.2~3.0%を含有することも特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒にある。
本発明の低水素系被覆アーク溶接棒によれば、交流電源及び直流電源の何れを用いて鋼パイプの円周溶接等の全姿勢で初層の裏波溶接した場合においても、好適なアーク安定性を有し、アーク切れが生じず、良好な裏波ビードが得られ、一般的な溶接作業性も良好であるので溶接能率が大幅に改善できるとともに、溶接欠陥が無く、強度及び低温靭性に優れた溶接金属が得られるので、溶接部の品質向上を図ることができる。
本発明者らは、低水素系被覆アーク溶接棒を用いて交流電源と直流電源を用いて溶接した場合の差異を詳細に調査した。
その結果、直流電源を用いて裏波溶接した場合は、交流電源を用いて溶接した場合に比べて、アークが弱くなることに起因して磁気吹きやアーク切れが発生してアークが不安定で健全な裏波ビードが得られないことが判明した。また、交流電源と比較して溶接金属のC、Si、Mnが減少し、溶接金属の強度及び低温靭性が低下することも判明した。
一方、直流電源用に設計された低水素系被覆アーク溶接棒を用いて交流電源で裏波溶接した場合は、アークが強すぎて表ビード及び裏波ビード共にビード形状が不良となることが判明した。また、溶接金属のC、Si、Mnが増加し、溶接金属の強度が過剰となり、低温靭性が低下することも判明した。
そこで、交流電源と直流電源のどちらを用いて裏波溶接をした場合においても好適なアーク安定性を有し、アーク切れが生じず、かつ良好な裏波ビードが得られ、強度及び低温靭性に優れた溶接金属を得るために、低水素系被覆アーク溶接棒の成分組成について種々検討した。
その結果、C、Ti酸化物、Si酸化物、Al酸化物、Ti、Na化合物及びK化合物の各含有量を適量とすることによって、これらの単独あるいは相乗効果で、交流電源及び直流電源のどちらの電源を用いて全姿勢で裏波溶接をした場合でもアークが安定して良好な裏波ビード及び表ビードの形状が得られ、金属炭酸塩及び金属弗化物の各含有量を適量とすることによって、拡散性水素量が低くなることを見出した。また、C、Si、Mn、Tiの各含有量を適量とすることによって、溶接金属の機械的性質を改善できることを見出した。また、Al又はMgを適量添加することにより、さらに低温靭性が向上することを見出した。
以下、本発明の低水素系被覆アーク溶接棒について、被覆剤全質量に対する各成分組成と、その含有量の限定理由について詳細に説明する。以下、各成分組成の含有量は、被覆剤全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときには単に%と記載する。
[C:0.01~0.15%]
Cは、被覆剤からの金属粉及び合金粉等から添加され、交流電源及び直流電源で溶接を行う場合においてアークの安定性を維持する効果がある。またCは、溶接金属の強度を確保するためにも極めて重要な成分である。Cの含有量が0.01%未満では、アークの吹付けが弱くなって、アークが不安定になり均一な裏波ビードが得られない。またCの含有量が0.01%未満では、溶接金属の強度が低くなる。一方、Cの含有量が0.15%を超えると、溶接金属の強度が過剰となり、低温靭性が低下する。したがって、Cは0.01~0.15%とする。
[金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:35~55%]
金属炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム等から添加され、アーク中で分解してCO2ガスを発生して溶融金属を大気から遮断して保護するアーク雰囲気中の水素分圧を下げる効果がある。金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が35%未満であると、シールド効果が不足してブローホールが発生しやすくなり、拡散性水素量が多くなって耐割れ性が劣化する。一方、金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が55%を超えると、特に交流電源を用いた場合にアークの吹き付けが弱くなって低電流域のアークが不安定になり、良好な裏波ビードが形成され難くなる。したがって、金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計は35~55%とする。
[金属弗化物の1種又は2種以上の合計:4~12%]
金属弗化物は、蛍石、弗化バリウム、弗化マグネシウム、弗化アルミニウム等から添加され、溶融スラグの粘性を下げてスラグの流動性を調整してビード形状を良好にするとともに、アーク雰囲気中の水素分圧を下げて耐割れ性を向上させる。金属弗化物の1種又は2種以上の合計が4%未満であると、適当な溶融スラグの粘性が得られず表ビードの形状が不良となる。また金属弗化物の1種又は2種以上の合計が4%未満であると、拡散性水素量が多くなって耐割れ性が劣化する。一方、金属弗化物の1種又は2種以上の合計が12%を超えると、スラグ剥離性が劣化する。したがって、金属弗化物の1種又は2種以上の合計は4~12%とする。
[Ti酸化物のTiO2換算値の合計:3~9%]
Ti酸化物は、ルチール、酸化チタン、チタンスラグ、イルメナイト等から添加され、アークを安定にする。Ti酸化物のTiO2換算値の合計が3%未満であると、アークが不安定となり良好な裏波ビードを得ることが困難となる。一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が9%を超えると、スラグが緻密になりスラグ剥離性が劣化する。またTi酸化物のTiO2換算値の合計が9%を超えると、立向及び上向姿勢の溶接時に溶融スラグの粘性が高くなりスラグの流動性が低下するので、表ビードの形状が凸状となる。したがって、Ti酸化物のTiO2換算値の合計は3~9%とする。
[Si酸化物のSiO2換算値の合計:10~20%]
Si酸化物は、珪砂、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム、カリ長石、珪灰石等から添加され、アークの吹付けを強くしてアークを安定にする。Si酸化物のSiO2換算値の合計が10%未満であると、特に直流電源を用いた場合にアークが弱くなり裏波ビードの形状が不良となる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が20%を超えると、特に交流電源を用いた場合にアークが強くなりすぎて裏波ビード及び表ビードともに形状が不良となる。したがって、Si酸化物のSiO2換算値の合計は10~20%とする。
[Al酸化物のAl23換算値の合計:0.5~3.0%]
Al酸化物は、アルミナ、長石、珪砂、マイカ等から添加され、溶融スラグの粘性を調整する。Al酸化物のAl23換算値の合計が0.5%未満であると、溶融スラグの粘性が低下して立向及び上向姿勢での溶接が困難になる。一方、Al酸化物のAl23換算値の合計が3.0%を超えると、アークの吹付けが強くなりスパッタ発生量が多くなる。したがって、Al酸化物のAl23換算値の合計は0.5~3.0%とする。
[Si:3~9%]
Siは、Fe-Si、金属Si、Fe-Si-Mn等から添加され、溶接金属の脱酸を目的として添加されるが、溶接作業性確保のためにも必要である。Siの含有量が3%未満では、脱酸不足となって、溶接金属中にブローホールが発生しやすくなり、アークが不安定で表ビード及び裏波ビードともに形状が不良となる。一方、Siの含有量が9%を超えると、溶融金属中の粒界に低融点酸化物を析出させ低温靱性が低下する。したがって、Siの含有量は3~9%とする。
[Mn:1.0~5.0%]
Mnは、金属Mn、Fe-Mn、Fe-Si-Mn等から添加され、Siと同じく、脱酸剤として添加する他、溶接金属の強度及び低温靭性を向上させる効果がある。Mnの含有量が1.0%未満では、脱酸不足となって、溶接金属中にブローホールが発生しやすくなる。またMnの含有量が1.0%未満では、溶接金属の強度及び低温靭性が低下する。一方、Mnの含有量が5.0%を超えると、溶融スラグの粘性が低下し立向及び上向姿勢での溶接が困難となり、また溶接金属の強度が高くなり低温靭性が低下する。したがって、Mnの含有量は1.0~5.0%とする。
[Ti:0.1~2.5%]
Tiは、金属Ti、Fe-Ti等から添加され、アークの電離頻度を低下させてアークを安定化させる効果がある。また、脱酸剤として作用するだけでなく、溶接金属のミクロ組織を微細化して低温靭性を向上させる効果も有する。Tiの含有量が0.1%未満であると、特に交流電源を用いた場合にアークが不安定となり、良好な裏波ビードが得られない。またTiの含有量が0.1%未満であると、脱酸不足となって、溶接金属中にブローホールが発生しやすくなり、さらに、溶接金属の低温靭性を向上させる効果が得られない。一方、Tiが2.5%を超えると、靭性を阻害する上部ベイナイト組織を生成し、溶接金属の低温靭性が低下する。したがって、Tiは0.1~2.5%とする。
[Na化合物及びK化合物の1種又は2種以上のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:1.5~5.0%]
Na化合物及びK化合物は、水ガラス中の珪酸ナトリウムや珪酸カリウム、カリ長石、カリガラス、ソーダ長石等から添加され、アークを安定にする効果を有する。Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が1.5%未満では、アークが不安定となり、安定した裏波ビード形状が得られない。一方、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が5.0%を超えると、特に交流電源を用いた場合にアークが強くなりすぎて表ビード及び裏波ビードともにビード形状が不良となる。したがってNa化合物及びK化合物の1種又は2種以上のNa2O換算値及びK2O換算値の合計は1.5~5.0%とする。
[Al及びMgの1種又は2種の合計:0.2~3.0%]
Alは、金属Al、Fe-Al、Al-Mg等から、Mgは、金属Mg、Al-Mg等から添加され、これらは強脱酸剤として作用し、溶接金属の酸素量を低減する効果を有する。Al及びMgの1種又は2種の合計が0.2%未満であると、溶接金属の低温靭性を向上効果及びブローホール発生を抑制する効果が得られない。一方、Al及びMgの1種又は2種の合計が3.0%を超えると、アークが不安定になり表ビード及び裏波ビードの形状が不良となり、またスパッタ発生量が多くなる。したがって、Al及びMgの1種又は2種の合計は0.2~3.0%とする。
なお、本発明を適用した低水素系被覆アーク溶接棒の被覆剤の残部は、塗布剤として、マイカ、アルギン酸ソーダ等の1種以上を合計で被覆剤全質量に対する質量%で4%以下を含み、その他は鉄合金からのFe分及び不可避不純物である。
また、使用する軟鋼心線は、JIS G3523 SWY11を用いることが好ましい。さらに、被覆剤の軟鋼心線への被覆率は、溶接棒全質量に対する被覆剤の質量%で25~40%であることが好ましい。
本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
JIS G3523 SWY11に規定される外径3.2mm、長さ400mmの軟鋼心線(軟鋼心線全質量に対して、C:0.06質量%、Si:0.02質量%、Mn:0.51質量%、P:0.008質量%、S:0.003質量%)に、表1に示す各種被覆剤を用いて、被覆率20~35%で鋼心線に塗布して低水素系被覆アーク溶接棒を試作した。
Figure 0007055731000001
表1に示す低水素系被覆アーク溶接棒を用いて、JIS Z3118に準じて拡散性水素量を測定した。
また、板厚9mmのJIS G3106 SM490A鋼を開先角度45°、ギャップ2mm、ルートフェイス1.5mmの開先形状とし、全姿勢溶接で溶接作業性が最も問題となる立向上進姿勢で、溶接電源を交流電源(以下、ACという。)と直流電源(以下、DCという。)を用い、溶接電流85Aで溶接長500mmを裏波溶接し、アークの安定性、裏波ビード形状、表ビード形状及びスラグ剥離性を目視で調査した。次いでJIS Z3104に準じてX線透過試験を実施して溶接欠陥の有無を調査した。
さらに、板厚12mmのJIS G3106 SM490A鋼を用いて、JIS Z3211に準じてACで溶着金属試験を行い、引張試験(A2号)と衝撃試験片を採取して機械的性能を調査した。
拡散性水素量は8ml/100g以下を良好とした。引張試験の引張強さは520~620MPaを良好とし、衝撃試験は試験温度-40℃で繰り返し5本シャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーの平均値が30J以上を良好とした。これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 0007055731000002
表1及び表2中の溶接棒No.1~12が本発明例、溶接棒No.13~25は比較例である。本発明例である溶接棒No.1~12は、被覆剤中のC、金属炭酸塩の合計、金属弗化物の合計、Ti酸化物のTiO2換算値の合計、Si酸化物のSiO2換算値の合計、Al酸化物のAl23換算値の合計、Si、Mn、Ti、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が適正であるので、拡散性水素量が低く、AC及びDCともにアークが安定してスパッタ発生量が少なく、裏波ビード形状、表ビード形状及びスラグ剥離性が良好で、ブローホール等の溶接欠陥も無いなど極めて満足な結果であった。また、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーも良好な値であった。
なお、溶接棒No.1、No.2、No.5、No.7、No.8、No.9及びNo.10は、Al及びMgの1種又は2種を適量含むので、溶着金属の吸収エネルギーが50J以上と極めて満足な値であった。
比較例中溶接棒No.13は、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が少ないので、アークがAC、DCともに不安定で、裏波ビード形状がAC、DCともに不良であった。また、Mnが少ないので、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーが低く、ブローホールも発生した。さらに、AlとMgの合計が少ないので、溶着金属の吸収エネルギー向上効果及びブローホール抑制効果が得られなかった。
溶接棒No.14は、Tiが少ないので、ACでアークが不安定で、裏波ビード形状が不良であった。また、ブローホールも発生し、溶着金属の吸収エネルギーも低かった。さらに、AlとMgの合計が少ないので、溶着金属の吸収エネルギー向上効果及びブローホール抑制効果が得られなかった。
溶接棒No.15は、Cが多いので、溶着金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低かった。また、金属炭酸塩の合計が多いので、ACでアークが弱く裏波ビード形状が不良であった。
溶接棒No.16は、Cが少ないので、AC、DCともにアークが弱く裏波ビード形状が不良で、溶着金属の引張強さも低かった。また、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が多いので、AC、DCともに表ビード形状が凸状となり、スラグ剥離性も不良であった。
溶接棒No.17は、金属炭酸塩の合計が少ないので、拡散性水素量が多くブローホールも発生した。また、Si酸化物のSiO2換算値の合計が少ないので、DCでアークが弱くなり裏波ビード形状が不良であった。
溶接棒No.18は、金属弗化物の合計が多いので、スラグ剥離性が不良であった。また、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が少ないので、AC、DCともにアークが不安定で裏波ビード形状が不良であった。
溶接棒No.19は、Al酸化物のAl23換算値の合計が少ないので、スラグの粘性が低下しスラグ流動性が過剰となり立向上進姿勢溶接では持続困難となった。また、Siが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低下した。
溶接棒No.20は、Mnが多いので、スラグの粘性が低下しスラグ流動性が過剰となり立向上進姿勢溶接では持続困難となった。また、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低かった。
溶接棒No.21は、金属弗化物の合計が少ないので、拡散性水素量が多く、AC、DCともに表ビード形状が不良であった。また、Al酸化物のAl23換算値の合計が多いので、AC、DCともにアークが強くスパッタ発生量が多かった。
溶接棒No.22は、Si酸化物のSiO2換算値の合計が多いので、ACでアークが強く裏波ビード形状及び表ビード形状が不良であった。
溶接棒No.23は、Siが少ないので、AC、DCともにアークが不安定で裏波ビード形状及び表ビード形状が不良であり、またブローホールも発生した。
溶接棒No.24は、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が多いので、ACでアークが強く裏波ビード及び表ビード形状が不良であった。
溶接棒No.25は、Tiが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低かった。また、AlとMgの合計が多いので、AC、DCともにアークが不安定でスパッタ発生量が多く、裏波ビード形状及び表ビード形状が不良であった。

Claims (2)

  1. 鋼心線に被覆剤が塗布されている低水素系被覆アーク溶接棒において、
    前記被覆剤は、当該被覆剤全質量に対する質量%で、
    C:0.01~0.15%、
    金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:35~55%、
    金属弗化物の1種又は2種以上の合計:4~12%、
    Ti酸化物のTiO2換算値の合計:3~9%、
    Si酸化物のSiO2換算値の合計:10~20%、
    Al酸化物のAl23換算値の合計:0.5~3.0%、
    Si:3~9%、
    Mn:1.0~5.0%、
    Ti:0.1~2.5%、
    Na化合物及びK化合物の1種又は2種以上のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:1.5~5.0%を含有し、
    残部は、塗布剤、鉄合金からのFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。
  2. 被覆剤全質量に対する質量%で、Al及びMgの1種又は2種の合計:0.2~3.0%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。
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