JP7346328B2 - 水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
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Description
金属炭酸塩は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガンなどから添加され、アーク雰囲気中で分解して炭酸ガスを発生して溶融池に侵入しようとする酸素、窒素及び水素などのガス成分から保護するとともに、アークの吹付けを強くして溶融池の撹拌を高めることでピットなどの溶接欠陥の発生を防止する効果がある。金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が5%未満であると、シールド効果が不足及びアークの吹付けが弱くなり、ピットなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が15%を超えると、アークの吹付けが強くなりすぎてアンダーカットが発生しやすくなり、ビード形状が不良となる。したがって、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計は5~15%とする。
金属弗化物は、蛍石、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化アルミニウム、氷晶石、弗化ナトリウム、弗化リチウムなどから添加され、溶融スラグの流動性を調整するとともに、弗素の蒸気圧が高いので、酸素、窒素及び水素などのガス成分から溶融地を保護する効果がある。金属弗化物の1種または2種以上の合計が1%未満では、溶融地のシールド性が劣化し、ピットなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、金属弗化物の1種または2種以上の合計が10%を超えると、溶融スラグの融点が低下し、スラグ剥離性が不良となる。したがって、金属弗化物の1種または2種以上の合計は1~10%とする。
Ti酸化物は、ルチール、酸化チタン、チタン酸ナトリウム、チタンスラグ、イルミナイトなどから添加され、アーク安定剤及びスラグ粘性の調整剤として作用し、アークを安定にしてスパッタ発生量を少なくし、ビード形状を良好にする効果がある。Ti酸化物のTiO2換算値の合計が8%未満では、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなる。また、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が8%未満では、スラグの粘性が悪くなってビード形状が不良になる。一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が18%を超えると、スラグが緻密になりスラグ剥離性が不良となる。したがって、Ti酸化物のTiO2換算値の合計は8~18%とする。
Si酸化物は、珪砂、長石、水ガラスなどから添加され、スラグ粘性の調整剤及びスラグ被包性を良好にする効果がある。Si酸化物のSiO2換算値の合計が8%未満では、スラグ被包性が悪くなり、ビード形状が不良になる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が18%を超えると、スラグの粘性が高くなり、溶融池と溶融スラグの距離が近くなるので、スラグ被包性が不良となる。したがって、Si酸化物のSiO2換算値の合計は8~18%とする。
Al酸化物は、アルミナ、長石、マイカなどから添加され、溶融スラグの粘度を調整してビード形状を良好にする効果がある。Al酸化物のAl2O3換算値の合計が1%未満では、溶融スラグの粘度が低くなり、ビード形状が不良になる。一方、Al酸化物のAl2O3換算値の合計が6%を超えると、スラグの粘性が高くなることで、溶融池と溶融スラグの距離が近くなり、スラグ被包性が不良となる。したがって、Al酸化物のAl2O3換算値の合計は1~6%とする。
MgOは、マグネシアクリンカーなどから添加され、スラグ剥離性を良好にする効果がある。MgOが5%未満では、スラグの凝固温度が低く、スラグ剥離性が不良になる。一方、MgOが15%を超えると、スラグの凝固温度が過剰に高くなり、ビード形状が不良になる。したがって、MgOは5~15%とする。
Cは、黒鉛やFe-Mnなどの合金粉にCが付随している状態で添加され、溶接金属の強度を向上させ、アークの吹付けを強くして溶接金属の溶込みを深くしてビード形状を良好にする効果がある。C及びCを含む合金中のCの合計が0.1%未満では、アークの吹付けが弱くなり、十分な溶込み深さが得られず、ビード形状が不良となり、溶接金属の強度が低下する。一方、C及びCを含む合金中のCの合計が0.3%を超えると、溶接金属中にC量が増え、溶接金属の強度が高くなり、溶接金属の靭性が低下する。さらに、C及びCを含む合金中のCの合計が0.3%を超えると、溶融地のアーク温度が上昇し、ヒューム発生量が多くなるとともに、アークの吹付けが過剰に強くなり、スパッタ発生量も増加する。したがって、C及びCを含む合金中のC換算値の合計は0.1~0.3%とする。
Mnは、金属Mn、Fe-Mn、などの合金粉などから添加され、脱酸剤として作用し、溶接金属の強度及び靭性を向上させる効果がある。Mnが2%未満では、脱酸不足となって溶接金属の強度及び靭性が低下するとともに、ピットなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、Mnが8%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなる。したがって、Mnは2~8%とする。
Niは、金属Ni、Fe-Ni、Ni-Mg合金などの合金粉などから添加され、溶接金属の強度及び靭性を向上させる効果がある。Niが1%未満では、必要な溶接金属の靭性が得られない。一方、Niが5%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなる。したがって、Niは1~5%とする。
Mgは、金属Mg、Al-Mg、Ni-Mg合金などの合金粉などから添加され、強脱酸剤として作用し、ピットなどの溶接欠陥を防止し、溶接金属の靭性を向上する効果がある。Mgが0.1%未満では、脱酸不足となり、溶接金属の靭性が低下する。また、Mgが0.1%未満では、ピットなどの溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、Mgが2.0%を超えると、溶接金属の靭性は向上するものの、溶接棒生産の乾燥時に被覆割れが発生しやすくなり、製品歩留りが低下し、生産性が悪くなる。したがって、Mgは0.1~2.0%とする。
前述の金属Ni及び金属Mgを含むNi-Mg合金は、生産性を向上させるとともに、ビード形状を良好にする効果がある。前述のNi及びMgを含むNi-Mg合金が1%未満では、被覆剤中のMgやAl-Mgが相対的に多くなり、乾燥時の被覆割れが発生しやすくなる。また、Ni及びMgを含むNi-Mg合金が1%未満では、溶接時に保護筒の溶融が不均一となり、アンダーカットが発生しやすくなり、ビード形状が不良になる。一方、前述のNi及びMgを含むNi-Mg合金が5%を超えると、スラグ剥離性が不良となる。したがって、前述のNi及びMgを含むNi-Mg合金は1~5%とする。なお、Ni-Mg合金は、Niが70~90%、Mgが10~30%の割合とする。
鉄粉は、アークを安定にする効果がある。鉄粉が20%未満では、アークが不安定になってスパッタ発生量が多くなる。一方、鉄粉が40%を超えると、被覆剤に電流が流れやすくなり、棒焼けを発生しやすくなる。したがって、鉄粉は20~40%とする。
Na酸化物及びK酸化物は、水ガラス中の珪酸ナトリウム及び珪酸カリウム、カリ長石、カリガラス及びソーダ長石などから添加され、アークを安定にしてスパッタ発生量を低減する効果がある。Na酸化物及びK酸化物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が1%未満では、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなる。一方、Na酸化物及びK酸化物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計が6%を超えると、アークの吹付けが過剰に強くなり、アンダーカットが発生しやすくなり、ビード形状が不良となる。したがって、Na酸化物及びK酸化物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計は1~6%とする。
Alは、金属Al、Fe-Al、Al-Mgなどの合金粉などから添加され、強脱酸剤として作用し、ピットなどの溶接欠陥を防止し、溶接金属の靭性をさらに向上する効果がある。Alが0.1%未満では、ピットなどの溶接欠陥の発生を抑制する効果が十分に得られず、溶接金属の靭性の向上効果も十分に得られない。一方、Alが0.6%を超えると、Al2O3が溶接金属中に過剰に留まってしまい、溶接金属中の酸素量が高くなり、溶接金属の靭性が低下する。したがって、Alは0.1~0.6%とする。
MnO2は、アーク雰囲気中で吸熱反応により分解され、アークの吹付けをさらに強くする効果を有する。MnO2が0.1%未満では、アークの吹付けを強くする効果が十分に得られない。一方、MnO2が3.0%を超えると、アークの吹付けが過剰に強くなり、アンダーカットが発生しやすくなり、ビード形状が不良となる。したがって、MnO2は0.1~3.0%とする。
Claims (3)
- 鋼心線に被覆剤が塗布されている水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒において、
被覆剤全質量に対する質量%で、
金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:5~15%、
金属弗化物の1種または2種以上の合計:1~10%、
Ti酸化物のTiO2換算値の合計:8~18%、
Si酸化物のSiO2換算値の合計:8~18%、
Al酸化物のAl2O3換算値の合計:1~6%、
MgO:5~15%、
C及びCを含む合金中のCの合計:0.1~0.3%、
Mn:2~8%、
Ni:1~5%、
Mg:0.1~2.0%、
前記Ni及びMgはNi-Mg合金:1~5%を含み、
鉄粉:20~40%、
Na酸化物及びK酸化物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:1~6%を含有し、
その他は塗布剤、鉄合金からのFe分及び不可避不純物からなる被覆剤を前記鋼心線に35~55%の被覆率で塗布してなることを特徴とする水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒。 - 被覆剤全質量に対する質量%で、Al:0.1~0.6%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒。
- 被覆剤全質量に対する質量%で、MnO2:0.1~3.0%をさらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒。
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JP2020033164A JP7346328B2 (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | 水平すみ肉溶接用低水素系被覆アーク溶接棒 |
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JP2021133412A JP2021133412A (ja) | 2021-09-13 |
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