JP6051086B2 - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
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このように、低水素系被覆アーク溶接棒においては、溶接作業性が良好で、高強度化とともに低温での安定した靭性およびCTOD値を満足することは困難であった。
その結果、被覆剤の金属炭酸塩、金属弗化物、SiO2およびTiO2を適量とした上で、Alを少量添加することでスラグの凝固点が高くなり、下向溶接、水平すみ肉溶接でアークが安定して良好な溶接作業性が得られると共に、特に立向上進溶接においてメタルが垂れにくくビード形状が良好になることを知見した。さらに、Na化合物およびK化合物を多く含有させることによっても作業性向上に効果的であることも知見した。
以下、本発明における低水素系被覆アーク溶接棒について、被覆剤中の各組成の限定理由について説明する。なお、組成における質量%は、単に%と記載する。
金属炭酸塩は、CaCO3、MgCO3、BaCO3などを指し、アークの熱で分解してガスを発生し、アーク雰囲気を大気から保護する働きがある。金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が40%未満であると、シールド効果が不足して溶接金属中に大気中の窒素が多量に混入し靱性およびCTOD値が低下する。一方、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が58%を超えると、アークが不安定で凸ビードとなり、スラグ剥離性も悪くなる。したがって、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計は40〜58%とする。
金属弗化物は、CaF2、MgF2、AlF3等を指し、溶融スラグの流動性調整のため添加する。金属弗化物の1種または2種以上の合計が10%未満では、溶融スラグの流動が悪いためスラグの被包性が悪く、溶接の継続が困難になる。一方、金属弗化物の1種または2種以上の合計が20%を超えると、被覆筒の形状が不完全となりアークが不安定となる。したがって、金属弗化物の1種または2種以上の合計は10〜20%とする。
SiO2は、珪砂、長石、水ガラス等から添加され、溶融スラグの粘性を高め立向上進溶接時には適切な粘性のスラグを得ることができるので溶接作業性が良好となる。Si酸化物のSiO2換算値が4%未満であると、スラグの粘性が低くなって立向上進溶接でのビード形状が不良となる。一方、Si酸化物のSiO2換算が10%を超えると、スラグがガラス状になりスラグ剥離が劣化する。したがって、Si酸化物のSiO2換算値は4〜10%とする。
TiO2は、ルチール、酸化チタン、チタン酸ソーダ、チタンスラグ等からから添加され、アーク安定剤およびスラグの粘性を調整する。Ti酸化物のTiO2換算値が1%未満であると、アークが不安定となり良好なビードを得ることが困難となる。一方、Ti酸化物のTiO2換算値が5%を超えると、立向姿勢および上向姿勢の溶接時に溶融スラグの粘性が高くなりスラグの流れが悪くなるので、ビード形状が凸状となる。したがって、Ti酸化物のTiO2換算値は1〜5%とする。
Al2O3は、アルミナ、長石等から添加され、アークを安定させ、スラグの粘性を調整する。Al2O3が0.1%未満であると、アークが不安定でビード形状が不良となる。一方、Al2O3が2%を超えると、スラグがガラス状となりスラグ剥離が劣化する。したがって、Al2O3は0.1〜2%とする。
Siは、Fe−Si、金属Si、Fe−Si−Mn等から添加され、溶接金属の脱酸を目的として使用されるが、溶接作業性確保の上からも必要である。Siが1%未満では、脱酸不足で溶接金属中に気孔が発生し易く、アークが不安定で立向姿勢での溶接の継続が困難となる。一方、Siが4%を超えると、粒界に低融点酸化物を析出させ靱性およびCTOD値が低下する。したがって、Siは1〜4%とする。
Mnは、金属Mn、F−Mn、Fe−Si−Mn等から添加され、Siと同様に脱酸剤として重要であり、溶接金属組織を微細化させ靭性および強度を高める。Mnが0.7%未満であると、強度が低く、靭性およびCTOD値にばらつきが生じる。一方、Mnが3.0%を超えると、強度が高くなり靱性が低下する。したがって、Mnは0.7〜3.0%とする。
Niは、金属Niから添加され、強度および靭性とを高める元素である。Niが4.0%未満では、−80℃の高靭性および良好なCTOD値の溶接金属を得ることができない。一方、Niが8.0%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて、靭性およびCTOD値が低下する。したがって、Niは4〜8%とする。
Tiは、金属Ti、Fe−Ti等から添加され、Tiは、脱酸剤として有効であると同時にアークの電位傾度を低下させてアークを安定化させる作用があるため、交流電源を用いた溶接において最も重要な元素である。Tiが0.5%未満では、アークが不安定で、アーク長が伸びて大気中の酸素を取り込みやすく、また溶接金属中に酸素量が多くなって靭性およびCTOD値が低下する。一方、Tiが2.5%を超えると、Ti酸化物の析出が増加し、靱性およびCTOD値が低下する。したがって、Tiは0.5〜2.5%とする。
Alは、金属Al、Fe−Al、Al−Mg等から添加され、立向上進の溶接作業性向上に有効である。Alが0.3%未満では、立向上進溶接でメタルが垂れやすくビード形状が不良となる。一方、Alが1.8%を超えると、脱酸生成物のAl2O3が溶接金属中に残存して酸素量を増加させるので靭性およびCTOD値が低下する。したがって、Alは0.3〜1.8%とする。
Mgは、金属Mg、Al−Mg等から添加され、他の合金成分よりも脱酸効果が高く、溶接金属中の酸素量を低減させることができる。Mgが2.5%未満であると、溶接金属の酸素量が多くなって靱性およびCTOD値が低下する。一方、Mgが4.5%を超えると、アークの拡がりが劣化してビード形状が不良になる。したがって、Mgは2.5〜4.5%とする。
Bは、金属B、Fe−B、Mn−Bや硼砂、硼酸ナトリウム等から添加され、極微量で焼き入れ性を与え、粒界フェライトの生成抑制に有効な元素で、低温における靭性およびCTOD値の向上に有効な成分である。BおよびB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計が0.20%未満では、Bによる粒界フェライトの抑制効果が働かず、フェライト粒が粗大になりやすく、溶接金属の金属組織が粗くなって靭性およびCTOD値にばらつきが生じる。一方、BおよびB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計が0.45%を超えると、溶接金属が粗大なラス状組織になり靭性およびCTOD値が低下する。したがって、BおよびB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計は0.20〜0.45%とする。
Na2OおよびK2Oは、珪酸ソーダや珪酸カリウム等の水ガラスから主に添加され溶接棒製造時の塗装性向上する。また、カリ長石、弗化ソーダ、硼酸ナトリウム等からも添加され、溶接作業性確保の上からも必要である。Na化合物のNa2OとK化合物のK2O換算値の合計が2%未満では、塗装性が劣化し、溶接棒の乾燥工程において被覆剤が表面に割れを生じやすくなり溶接棒の生産性が低下する。また、アークが不安定になる。一方、Na化合物のNa2O換算値とK化合物のK2O換算値の合計が5%を超えると、アークの吹き付けが強くなりスパッタの発生量が多くなる。したがって、Na化合物のNa2O換算値とK化合物のK2O換算値の合計は2〜5%とする。
溶接棒No.16は、金属炭酸塩が多いので、アークが不安定で凸ビードになりスラグ剥離も不良であった。また、Siが多いので、溶接金属の吸収エネルギーおよびCTOD値が低値であった。
溶接棒No.18は、金属弗化物が多いので、アークが不安定であった。また、Mnが少ないので、溶接金属の引張強さが低く、吸収エネルギーおよびCTOD値のばらつきが大きかった。
溶接棒No.20は、Siが少ないので、アークが不安定で溶接の継続困難であったので溶接を中止した。
溶接棒No.22は、Niが多いので、溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーおよびCTOD値が低値であった。また、Na2O換算値とK2O換算値の合計が少ないので、溶接棒の製造段階での乾燥割れが生じ、溶接時にはアークが不安定であった。
溶接棒No.24は、Tiが多いので、溶接金属の吸収エネルギーおよびCTOD値が低値であった。また、Na2O換算値とK2O換算値の合計が多いので、アークの吹き付けが強くなりスパッタの発生量が多かった。
溶接棒No.26は、TiO2換算値が多いので、溶融スラグの流れが悪く凸ビードとなった。また、Mgが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーおよびCTOD値が低値であった。
溶接棒No.28は、Al2O3が少ないので、アークが不安定でビード形状が不良であった。また、BおよびB換算値の合計が多いので、溶接金属の吸収エネルギーおよびCTOD値が低値であった。
Claims (1)
- 軟鋼心線に被覆剤が塗装されている低水素系被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、
金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:40〜58%、
金属弗化物の1種または2種以上の合計:10〜20%、
Si酸化物のSiO2換算値:4〜10%、
Ti酸化物のTiO2換算値:1〜5%、
Al2O3:0.1〜2%、
Si:1〜4%、
Mn:0.7〜3.0%、
Ni:4〜8%、
Ti:0.5〜2.5%、
Al:0.3〜1.8%、
Mg:2.5〜4.5%、
BおよびB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計:0.20〜0.45%、
Na化合物のNa2O換算値とK化合物のK2O換算値の合計:2〜5%
を含有し、残部は塗装剤、鉄合金からのFe成分および不可避不純物からなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。
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