JP6177177B2 - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低水素系被覆アーク溶接棒 Download PDF

Info

Publication number
JP6177177B2
JP6177177B2 JP2014076022A JP2014076022A JP6177177B2 JP 6177177 B2 JP6177177 B2 JP 6177177B2 JP 2014076022 A JP2014076022 A JP 2014076022A JP 2014076022 A JP2014076022 A JP 2014076022A JP 6177177 B2 JP6177177 B2 JP 6177177B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding rod
total
coating agent
welding
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014076022A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015196183A (ja
Inventor
佑介 齋藤
佑介 齋藤
水本 学
学 水本
高橋 将
将 高橋
真吾 大泉
真吾 大泉
Original Assignee
日鐵住金溶接工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日鐵住金溶接工業株式会社 filed Critical 日鐵住金溶接工業株式会社
Priority to JP2014076022A priority Critical patent/JP6177177B2/ja
Publication of JP2015196183A publication Critical patent/JP2015196183A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6177177B2 publication Critical patent/JP6177177B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Description

本発明は、低水素系被覆アーク溶接棒に関し、特に直流電源を用いて550MPa級以上の鋼管円周の多層盛溶接において、アークの安定性に優れ、溶接金属の強度及び低温での靱性が優れる低水素系被覆アーク溶接棒に関するものである。
金属炭酸塩及び金属弗化物を主成分とする低水素系被覆アーク溶接棒は、イルミナイト系やライムチタニヤ系被覆アーク溶接棒に比べて全姿勢における溶接が容易でかつ機械的性質が優れている。また、低水素系被覆アーク溶接棒は、立向下進溶接が可能な高セルロース系被覆アーク溶接棒に比べて拡散性水素量が少なく耐割れ性に優れることから鋼管の円周溶接などの溶接にも多く用いられている。
しかし、低水素系被覆アーク溶接棒は、一般的に交流電源を用いて溶接するように設計してあることが多いが、鋼管を屋外で円周溶接する場合には、直流電源が用いられることが多い。この直流電源を用いて低水素系被覆アーク溶接棒により溶接した場合は、磁気吹きや被覆剤の片溶けが生じてアークが不安定となり、健全なビードが得られないという問題がある。このため、直流電源を使用した場合においても、アークの安定性に優れ、溶接金属の機械的性能の良好な低水素系被覆アーク溶接棒の開発要望が高い。
鋼管の円周溶接などに用いられる被覆アーク溶接棒は、例えば特許文献1に、被覆剤中のチタン酸カリウムの平均粒径を限定してアーク切れを少なくして溶接ビードを連続して均一に得るとともに一般的な溶接作業性も良好にする技術が開示されている。
また、特許文献2には、被覆剤中のカリ長石、ルチール及びアルミナの含有量を調整することによって、裏波溶接から最終層の溶接までの全層を効率よく溶接することができ、良好なアーク安定性及びビード形状を得ることができるという技術の開示がある。
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、何れも交流電源を用いた場合に有効であるが、これらの低水素系被覆アーク溶接棒により直流電源を用いて溶接した場合に、磁気吹きやアーク切れが生じてアークが不安定となり健全なビードが得られない問題があった。
一方、特許文献3には、直流電源用の低水素系被覆アーク溶接棒に関する技術の開示がある。即ち、この特許文献3の開示技術では、直流電源用溶接棒として使用する鋼心線の炭素量が溶接金属の酸素量に大きく影響する点に着目し、その炭素量の適正化を図ったものである。しかし、特許文献3に記載の技術では、直流電源を用いて下向姿勢で溶接した溶接金属の低温破壊靭性値が得られるというものであって、鋼管の円周溶接などに適用した場合の多層盛溶接においては、良好なビードが得られるものではないという問題があった。
特開2012−143810号公報 特開2000−117487号公報 特開2010−227968号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、直流電源を用いて550MPa級以上の鋼管の円周溶接などの多層盛溶接を行う場合において、アークの安定性に優れて、高強度な溶接金属が得られるとともに低温靱性が優れる低水素系被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、軟鋼心線の外周に被覆剤を塗布した低水素系被覆アーク溶接棒において、上記被覆剤の被覆率が当該低水素系被覆アーク溶接棒全質量に対する質量%で45〜70%であり、上記被覆剤は、当該被覆剤全質量に対する質量%で、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:25〜45%、金属弗化物の1種または2種以上の合計:5〜15%、ルチール:2〜7%、アルミナ:0.2〜2.0%、ジルコンサンド:0.3〜1.5%、Si:1.5〜5.5%、Mn:2.0〜6.5%、Ni:0.8〜2.0%、Mo:0.1〜0.6%、Ti:0.5〜3.5%、B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計:0.03〜0.15%、鉄粉:15〜35%を含有し、残部が鉄合金のFe成分、スラグ形成剤としての珪砂と水ガラスの固質分との1種以上、脱酸剤としてのマグネシウムとアルミニウムとアルミマグネシウムとの1種以上、塗装剤としてのアルギン酸ソーダとマイカとの1種以上および不可避的不純物からなることを特徴とする。
また、上記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、酸化マグネシウム:0.1〜1.0%をさらに含有することも特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒にある。
本発明を適用した低水素系被覆アーク溶接棒によれば、直流電源を用いて550MPa級以上の鋼管の円周溶接の多層盛溶接などを行う場合において、磁気吹きや被覆剤の片溶けが生じず、アークの安定性に優れて良好なビード形状が得られ、一般的な溶接作業性も良好であるので溶接能率が大幅に改善できるとともに、溶接金属の機械的性能も良好であるので高品質な溶接部が得られる。
低水素系被覆アーク溶接棒を用いて交流電源と直流電源を用いて溶接した場合の差異を詳細に調査した結果、直流電源を用いて溶接した場合は、交流電源を用いて溶接した場合に比べて、アーク長が長くなり被覆剤が脆くなることに起因して磁気吹きや被覆剤の片溶けが生じ、アークが不安定で健全なビードが得られないことが判明した。
そこで、直流電源で低水素系被覆アーク溶接棒を用いて鋼管の円周溶接を行った場合においても磁気吹きや被覆剤の片溶けが生じず、かつ良好なビード形状を得るために、被覆剤成分について種々試作をして検討した。
その結果、適量の鉄粉の添加と被覆率にすることで、直流電源で多層盛溶接した場合でも磁気吹きや被覆剤の片溶けがなくなり、金属炭酸塩及びルチールの各含有量を適量とすることによってアークが安定化して良好なビード形状が得られ、金属弗化物の含有量を適量とすることによってビード形状及びスラグ剥離性が良好になることを知見した。また、ジルコンサンドの含有量を調整することにより、さらに被覆剤の片溶け防止に効果があることを見出した。
溶接金属の低温靭性を確保するためには、被覆剤成分のSi、Mn、Ni、Ti及びBの各含有量を適量とし、溶接金属の強度の確保は、Mn、Ni及びMoの各含有量を適量とすることで実現できることを知見した。
本発明を適用した低水素系被覆アーク溶接棒は、軟鋼心線の外周に被覆剤を塗布した低水素系被覆アーク溶接棒であって、被覆剤の被覆率が当該低水素系被覆アーク溶接棒全質量に対する質量%で45〜70%とされている。軟鋼心線への被覆率(低水素系被覆アーク溶接棒全質量に対する被覆率の質量%)は、被覆剤の片溶けや、スラグ状態に大きく影響する。被覆率が45%未満では、その効果がなく被覆が脆くなり片焼けが発生する。一方、被覆率が70%を超えると、スラグ量が多くなり立向上進や上向姿勢での溶接ができなくなる。
次に、軟鋼心線の外周に塗布する被覆剤の各成分組成の含有量の限定理由について詳細に説明する。以下、被覆剤の各成分組成における含有量は、被覆剤全質量に対する質量%で、単に%と記載する。
[金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:25〜45%]
金属炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガンなどを指し、アーク中で分解してCO2ガスを発生させて溶着金属を大気から遮蔽し保護する働きがある。金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が25%未満であると、シールド効果が不足してブローホールが発生しやすくなる。一方、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計が45%を超えると、アークが不安定でビード形状が凸状となり、スラグ剥離性も悪くなる。したがって、金属炭酸塩の1種または2種以上の合計は25〜45%とする。
[金属弗化物の1種または2種以上の合計:5〜15%]
金属弗化物は蛍石、弗化バリウム、弗化マグネシウム、弗化アルミニウムなどを指し、いずれも溶融スラグの粘性を下げて流動性のよいスラグを作り、優れたビード形状とする。また、金属弗化物は、アーク雰囲気中の水素分圧を下げて耐割れ性を向上させる。金属弗化物の1種または2種以上の合計が5%未満であると、適正な溶融スラグの粘性が得られずビードの形状が劣下する。一方、金属弗化物の1種または2種以上の合計が15%を超えると、スラグ剥離性が劣化する。したがって、金属弗化物の1種または2種以上の合計は5〜15%とする。
[ルチール:2〜7%]
ルチールはアーク安定剤として作用するとともにスラグの粘性を調整する。ルチールが2%未満であると、アークが不安定となり良好なビードを得ることが困難となる。一方、ルチールが7%を超えると、立向姿勢及び上向姿勢の溶接時に溶融スラグの粘性が高くなりスラグの流れが低下するので、ビードの形状が凸状となる。したがって、ルチールは2〜7%とする。
[アルミナ:0.2〜2.0%]
アルミナは、アークを安定させるとともにスラグの粘性を調整する。アルミナが0.2%未満であると、アークが不安定でビード形状が不良となる。一方、アルミナが2.0%を超えると、スラグがガラス状となりスラグ剥離が劣化する。したがって、アルミナは0.2〜2.0%とする。
[ジルコンサンド:0.3〜1.5%]
ジルコンサンドは、スラグの粘性を使用する他に融点が2700℃と高く、被覆剤及び心線が過熱した際も安定した耐火性を有し、被覆剤の片溶けを抑制する上で有効である。
さらにジルコンサンドは、他の酸化物よりも機械的強度に優れ、物理的な衝撃を受けても被覆剤の剥離が生じにくく、溶接中に開先に接触しても被覆欠けが生じにくいので上向などの不安定な溶接姿勢においても、被覆剤の保護筒の脱落が生じにくいので安定した溶接が可能となる。ジルコンサンドが0.3%未満では、被覆剤の片溶けが発生しやすくなる。一方、ジルコンサンドが1.5%を超えると、立向姿勢及び上向姿勢の溶接時に溶融スラグの粘性が高くなりスラグの流れが低下するので、ビード形状が凸状となる。したがって、ジルコンサンドは0.3〜1.5%とする。
[Si:1.5〜5.5%]
Siは、金属Si、Fe−Si、Fe−Si−Mn等のSi合金から添加され、溶接金属の脱酸を目的として使用されるが、溶接作業性確保の上からも必要である。Siが1.5%未満では、脱酸不足で溶接金属中にブローホールが発生し易く、アークが不安定で立向姿勢及び上向姿勢での溶接の継続が困難となる。一方、Siが5.5%を超えると、粒界に低融点酸化物を析出させ靱性が低下する。したがって、Siは1.5〜5.5%とする。
[Mn:2.0〜6.5%]
Mnは、金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mn等のMn合金から添加され、Siと同様に脱酸剤として添加する他、溶接金属の強度向上に有効である。Mnが2.0%未満では、溶接金属の強度が低下する。一方、Mnが6.5%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低くなる。したがって、Mnは2.0〜6.5%とする。
[Ni:0.8〜2.0%]
Niは、金属Niから添加され、溶接金属の強度及び低温における靭性を高める元素である。Niが0.8%未満では、低温での靭性を確保することができない。一方、Niが2.0%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎて、靭性が低下する。したがって、Niは0.8〜2.0%とする。
[Mo:0.1〜0.6%]
Moは、金属Mo、Fe−Mo等から添加され、溶接金属の焼入れ性増大元素として重要な成分である。Moが0.1%未満では、溶接金属の強度が低くなり靭性向上にも効果がない。一方、Moが0.6%を超えると、溶接金属の焼入れ性が過剰となって靭性が低下する。したがって、Moは0.1〜0.6%とする。
[Ti:0.5〜3.5%]
Tiは、金属Ti、Fe−Ti等から添加され、脱酸剤として有効であると同時にアークの電位傾度を低下させてアークを安定化させる作用もある。Tiが0.5%未満では、アークが不安定でアーク長が伸びて被覆剤の片溶けが発生する。一方、Tiが3.5%を超えると、溶接金属中のTi酸化物の析出が増加して靱性が低下する。したがって、Tiは0.5〜3.5%とする。
[B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計:0.03〜0.15%]
Bは、Fe−B、Fe−Mn−Bや硼砂、硼酸ナトリウム、硼酸カルシウム等のB合金、B化合物から添加され、溶接金属の焼き入れ性を高くし、粒界フェライトの生成抑制に有効な元素で、低温における靭性の向上に有効な成分ある。B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計が0.03%未満では、Bによる粒界フェライトの抑制効果が働かず、フェライト粒が粗大になりやすく、溶接金属の金属組織が粗くなって靭性にばらつきが生じる。一方、B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計が0.15%を超えると、溶接金属が粗大なラス状組織になり靭性が低下する。したがって、B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計は0.03〜0.15%とする。
[鉄粉:15〜35%]
鉄粉はアークの電位傾度を低下させてアーク長を短くさせて、被覆剤の片溶けを防止させる作用があるため、直流電源を用いた溶接において最も重要な原料である。鉄粉が15%未満では、アーク長が長くなり被覆剤の片溶けが発生する。一方、鉄粉が35%を超えると、溶接時後半において溶接棒が赤熱(以下、棒焼けという。)し、最後まで溶接することが困難となる。したがって、鉄粉は15〜35%とする。
[酸化マグネシウム:0.1〜1.0%]
酸化マグネシウムは、耐熱性に優れているため、被覆剤の片溶けをさらに抑制する。酸化マグネシウムが0.1%未満では、被覆剤の片溶けが発生しやすくなる。一方、酸化マグネシウムが1.0%を超えると、立向姿勢及び上向姿勢の溶接時に溶融スラグの粘性が高くなりスラグの流れが低下するので、ビード形状が凸状となる。したがって、酸化マグネシウムは0.1〜1.0%とする。なお、この酸化マグネシウムは、必須の成分ではなく、被覆剤においてこれを含まないものであっても、同様の効果を奏するものである。
なお、上述した被覆剤の成分組成以外の残部は、スラグ生成剤、脱酸剤、塗装剤、水ガラスの固質分および不可避的不純物からなる。かかる場合には、スラグ形成剤として珪砂、水ガラスからの珪酸ソーダ及び珪酸カリウムの固質成分等の1種以上を合計で15%以下、脱酸剤としてマグネシウム、アルミニウム、アルミマグネシウム等の1種以上を合計で3%以下、塗装剤としてアルギン酸ソーダ、マイカ等の1種以上を合計で4%以下を含むようにしてもよい。
また、使用する軟鋼心線は、JIS G3523 SWY11を用いることが好ましい。以下、軟鋼心線の各成分組成における含有量は、質量%で、単に%と記載する。
Cは、軟鋼心線全質量に対し0.05〜0.08%が好ましく、強度を調整するために被覆剤からもCを適正に調整できる。但し、このCは、軟鋼心線と被覆剤の合計の全質量に対して、0.06〜0.20%であることが好ましい。また軟鋼心線全質量に対し、軟鋼心線のPは靭性を劣化するので0.010%以下、Sはスラグの流動性を悪化させるので0.010%以下、NはBとの結合力が強く焼き入れ性を劣化させるので0.005%以下であることが好ましい。
本発明を適用した低水素系被覆アーク溶接棒の実施例について具体的に説明する。各種成分組成の被覆剤との組合せにより直径4.0mm、長さ400mmのJIS G3523 SWY11の軟鋼心線(C:0.06質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.48質量%、P:0.009質量%、S:0.005質量%、N:0.0023質量%)に被覆剤を塗装後乾燥させて表1に示す各種低水素系被覆アーク溶接棒を試作した。
Figure 0006177177
表1に示す各種溶接棒を用い、490MPa級鋼管(板厚;9mm、内径;150mm、開先角度;60°、ギャップ;1.0mm、ルートフェイス;1.0mm)を水平固定管とし、直流溶接機を用い、溶接電流123Aで各試作溶接棒6本を使用して上向姿勢から順次全姿勢の溶接を実施し、ビード形状及びアークの安定性、スラグ剥離性等の溶接作業性を調査した後、JIS Z 3104に準じてX線透過試験を行った。
さらに、490MPa級鋼(板厚20mm)を用いて、JIZ Z3111に準じて直流溶接機で溶着金属を行い、引張試験片(A0号)と衝撃試験片(Vノッチ試験片)を採取して機械的性能を調査した。
引張試験の引張強さは550〜700MPaを良好、衝撃試験は試験温度−40℃で繰り返し5本シャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーの最低値が90J以上を良好とした。これらの試験結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006177177
表1、表2中の溶接棒No.1〜11が本発明例、溶接棒No.12〜22は比較例である。
本発明例である溶接棒記号No.1〜No.11は、被覆剤の金属炭酸塩の1種または2種以上の合計、金属弗化物の1種または2種以上の合計、ルチール、アルミナ、ジルコンサンド、Si、Mn、Ni、Mo、Ti、B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計及び鉄粉が適量で、被覆率も適正であるので、アークが安定して被覆剤の片溶けや棒焼けがなく、ビード形状及びスラグ剥離性も良好で、ブローホール等の溶接欠陥もないなど極めて満足な結果であった。また、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーも良好な値であった。
なお、酸化マグネシウムを適量含む溶接棒No.2、3、6、10及び溶接棒No.11は、被覆剤の片溶け抑制に非常に効果を発揮した。
溶接棒No.12は、金属炭酸塩の合計が少ないのでブローホールが発生した。また、アルミナが多いのでスラグ剥離性が不良であった。さらに、Moが多ので、溶着金属の引張強さが高く吸収エネルギーの最低値が低かった。
溶接棒No.13は、金属炭酸塩の合計が多いのでアーク不安定で凸ビードとなりスラグ剥離性も不良であった。また、Siが多いので溶着金属の吸収エネルギーの最低値が低かった。
溶接棒No.14は、金属弗化物の合計が少ないのでビードの形状が不良であった。また、Mnが少ないので溶着金属の引張強さが低かった。
溶接棒No.15は、金属弗化物の合計が多いのでスラグ剥離性が不良であった。また、Mnが多いので溶着金属の引張強さが高く吸収エネルギーの最低値が低かった。さらに、酸化マグネシウムが多いので凸ビードとなった。
溶接棒No.16は、ルチールが少ないのでアークが不安定でビードが不良であった。また、Niが少ないので溶着金属の吸収エネルギーの最低値が低かった。さらに、被覆率が低いので被覆剤の片溶けが発生した。
溶接棒No.17は、ルチールが多いので凸ビードとなった。また、Niが多いので溶着金属の引張強さが高く吸収エネルギーの最低値が低かった。さらに、鉄粉が多いので棒焼けが生じた。
溶接棒No.18は、アルミナが少ないのでアークが不安定でビードが不良であった。また、Tiが多いので溶着金属の吸収エネルギーの最低値が低かった。
溶接棒No.19は、Siが少ないのでアークが不安定になりビード形状が不良でブローホールも生じた。また、溶接持続が困難になったので鋼管の一部のみ溶接し溶着金属試験は中止した。
溶接棒No.20は、B換算値の合計が少ないので溶着金属の吸収エネルギーの最低値が低かった。また、ジルコンサンドが少ないので被覆剤の片溶けが生じた。なお、酸化マグネシウムが少ないので被覆剤の片溶けを防止する効果は得られなかった。
溶接棒No.21は、ジルコンサンドが多いので凸ビードとなった。また、B換算値の合計が多いので溶着金属の吸収エネルギーの最低値が低かった。更に鉄粉の含有量が多いため、被覆剤の片溶けが発生していた。
溶接棒No.22は、Tiが少ないのでアークが不安定になりビード形状が不良となり、被覆剤の片溶けも発生した。また、被覆率が高いのでスラグ生成量が多くなり立向及び上向溶接が困難であった。さらに、Moが少ないので溶着金属の引張強さが低く吸収エネルギーの最低値が低かった。

Claims (2)

  1. 軟鋼心線の外周に被覆剤を塗布した低水素系被覆アーク溶接棒において、
    上記被覆剤の被覆率が当該低水素系被覆アーク溶接棒全質量に対する質量%で45〜70%であり、
    上記被覆剤は、当該被覆剤全質量に対する質量%で、
    金属炭酸塩の1種または2種以上の合計:25〜45%、
    金属弗化物の1種または2種以上の合計:5〜15%、
    ルチール:2〜7%、
    アルミナ:0.2〜2.0%、
    ジルコンサンド:0.3〜1.5%、
    Si:1.5〜5.5%、
    Mn:2.0〜6.5%、
    Ni:0.8〜2.0%、
    Mo:0.1〜0.6%、
    Ti:0.5〜3.5%、
    B合金及びB化合物のB換算値の1種または2種以上の合計:0.03〜0.15%、
    鉄粉:15〜35%を含有し、
    残部が鉄合金のFe成分、スラグ形成剤としての珪砂と水ガラスの固質分との1種以上、脱酸剤としてのマグネシウムとアルミニウムとアルミマグネシウムとの1種以上、塗装剤としてのアルギン酸ソーダとマイカとの1種以上および不可避的不純物からなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。
  2. 上記被覆剤は、当該被覆剤全質量に対する質量%で、酸化マグネシウム:0.1〜1.0%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。
JP2014076022A 2014-04-02 2014-04-02 低水素系被覆アーク溶接棒 Active JP6177177B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014076022A JP6177177B2 (ja) 2014-04-02 2014-04-02 低水素系被覆アーク溶接棒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014076022A JP6177177B2 (ja) 2014-04-02 2014-04-02 低水素系被覆アーク溶接棒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015196183A JP2015196183A (ja) 2015-11-09
JP6177177B2 true JP6177177B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=54546251

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014076022A Active JP6177177B2 (ja) 2014-04-02 2014-04-02 低水素系被覆アーク溶接棒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6177177B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6528644B2 (ja) * 2015-10-27 2019-06-12 日本製鉄株式会社 鋼管用鋳片の連続鋳造方法
CN107174945A (zh) * 2017-06-20 2017-09-19 柳州豪祥特科技有限公司 负载型高效气体脱氧剂及其制备方法
CN107126832A (zh) * 2017-06-20 2017-09-05 柳州豪祥特科技有限公司 锰系复合气体脱氧剂
JP7210410B2 (ja) * 2019-09-26 2023-01-23 日鉄溶接工業株式会社 鉄粉低水素系被覆アーク溶接棒
JP7239437B2 (ja) * 2019-10-04 2023-03-14 日鉄溶接工業株式会社 鉄粉低水素系被覆アーク溶接棒
JP7387450B2 (ja) * 2020-01-09 2023-11-28 日鉄溶接工業株式会社 鉄粉低水素系被覆アーク溶接棒
JP7506017B2 (ja) 2021-03-31 2024-06-25 日鉄溶接工業株式会社 鉄粉低水素系被覆アーク溶接棒
CN113458648B (zh) * 2021-07-09 2022-10-21 昆山京群焊材科技有限公司 一种07MnNiMoDR钢制球罐用焊条及其制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49130847A (ja) * 1973-04-24 1974-12-14
JP5157653B2 (ja) * 2008-06-03 2013-03-06 新日鐵住金株式会社 直流電源溶接機用低水素系被覆アーク溶接棒
JP2010110817A (ja) * 2008-10-11 2010-05-20 Kobe Steel Ltd 低水素系被覆アーク溶接棒
JP5802624B2 (ja) * 2012-07-31 2015-10-28 株式会社神戸製鋼所 被覆アーク溶接棒

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015196183A (ja) 2015-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6177177B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP6437471B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP6434387B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP5242665B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP5179073B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP6033755B2 (ja) Ar−CO2混合ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP5890280B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP5400472B2 (ja) フラックス入りワイヤ
JP2015217393A (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP6794295B2 (ja) 9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP2013158777A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP6110800B2 (ja) ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP2011025298A (ja) ガスシールドアーク溶接方法
JP6437419B2 (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP6434381B2 (ja) ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP6051086B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP6140069B2 (ja) ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP2017185521A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP6046022B2 (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP2010064087A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2015205304A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2016120519A (ja) 低水素系被覆アーク溶接棒
JP5157653B2 (ja) 直流電源溶接機用低水素系被覆アーク溶接棒
JP7210410B2 (ja) 鉄粉低水素系被覆アーク溶接棒
JP4309172B2 (ja) 低合金耐熱鋼用低水素系被覆アーク溶接棒

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160601

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170518

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170711

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6177177

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250