JP6999461B2 - 高酸化チタン系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
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(1)鋼心線に被覆剤が被覆されている高酸化チタン系被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、Ti酸化物のTiO2換算値の合計:30~55%、Si酸化物のSiO2換算値の合計:10~30%、Al酸化物のAl2O3換算値の合計:2~8%、金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:1~8%、Na酸化物のNa2O換算値の合計:1~3%、K酸化物のK2O換算値の合計:0.5~2.7%、有機物の1種又は2種以上の合計:3~8%、Mn:3~9%、C:0.01~0.5%、Fe酸化物のFeO換算値の合計:0.1~5%を含有し、残部が塗装剤、鉄合金からのFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする高酸化チタン系被覆アーク溶接棒。
Ti酸化物は、ルチール、酸化チタン、イルミナイト、ルコクシン、チタン酸ソーダ、チタンスラグ等から添加され、スラグ生成剤及びアーク安定剤として作用し、アーク安定性及びビード外観やビード形状を改善する効果を有する。Ti酸化物のTiO2換算値の合計が30%未満であると、アークが不安定になるとともに、スラグ流動性が悪くなってビード形状や外観が不良となる。一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が55%を超えると、スラグが緻密になってスラグ剥離性が不良となる。したがって、被覆剤中のTi酸化物のTiO2換算値の合計は30~55%とする。
Si酸化物は、珪砂、長石、水ガラス等から添加され、スラグ生成剤及びアーク安定剤として作用し、アーク安定性及びスラグ剥離性を改善する効果を有する。Si酸化物のSiO2換算値の合計が10%未満であると、アークが弱く不安定になるとともに、生成したスラグのガラス質が少なくなり、スラグ剥離性が不良になる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が30%を超えると、スラグの粘性が高くなってビード形状が不良となる。したがって、被覆剤中のSi酸化物のSiO2換算値の合計は10~30%とする。
Al酸化物は、アルミナ、長石、珪砂、マイカ等から添加され、アークを安定にする効果を有する。Al酸化物のAl2O3換算値の合計が2%未満では、アークが弱く不安定となる。一方、Al酸化物のAl2O3換算値の合計が8%を超えると、スラグ剥離性が不良となる。したがって、被覆剤中のAl酸化物のAl2O3換算値の合計は2~8%とする。
金属炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸リチウム等から添加され、アーク中で分解してCO2ガスを発生させて溶着金属を大気から遮蔽して保護する効果を有する。金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が1%未満であると、シールド効果が不足してブローホールが発生しやすくなる。一方、金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計が8%を超えると、アークが強く不安定になり、スパッタ発生量も増加し、スラグ剥離性も悪くなる。したがって、被覆剤中の金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計は1~8%とする。
Na酸化物は、水ガラス中の珪酸ソーダ、ソーダ長石等から添加され、アーク安定性を改善する効果を有する。Na酸化物のNa2O換算値が1%未満では、アークが不安定になる。一方、Na酸化物のNa2O換算値が3%を超えると、アークの吹き付けが強くなりすぎ、スパッタ発生量も増加し、ビード形状が不良になる。したがって、被覆剤中のNa酸化物のNa2O換算値は1~3%とする。
K酸化物は、水ガラス中の珪酸カリウム、カリ長石、カリガラス等から添加され、アーク安定性を改善する効果を有する。K酸化物のK2O換算値の合計が0.5%未満では、アークが不安定になる。一方、K酸化物のK2O換算値の合計が2.7%を超えると、スラグの粘性が低下しスラグが溶接棒先端に絡みやすくなり、ビード外観が劣化する。したがって、被覆剤中のK酸化物のK2O換算値は0.5~2.7%とする。
有機物は、セルロース、デキストリン、小麦粉、澱粉、コーンスターチ等から添加され、アーク中で分解してCO2ガスを発生させて溶着金属を大気から遮蔽して保護する効果を有する。またアーク安定剤として作用する。有機物の1種又は2種以上の合計が3%未満であると、シールド効果が不足してブローホールが発生しやすくなり、またアークも弱く不安定となる。一方、有機物の1種又は2種以上の合計が8%を超えると、アークが強くなりすぎアークが不安定になって、スパッタ発生量も増加する。また有機物の1種又は2種以上の合計が8%を超えると、被覆剤が赤熱して棒焼けが発生しやすくなる。したがって、被覆剤中の有機物の1種又は2種以上の合計は3~8%とする。
Mnは、金属Mn、Fe-Mn等から添加され、脱酸剤として添加する他、溶着金属の強度及び靭性向上に有効である。Mnが3%未満では、脱酸不足となり、ブローホールが発生しやすくなり、また溶着金属の強度及び靭性が低下する。一方、Mnが9%を超えると、溶着金属の強度が過剰に高くなり、靭性が低下する。したがって、被覆剤中のMnは3~9%とする。
Cは、Fe-Mnから添加され、アークの吹き付けを強くしアークを安定にする効果を有する。Cが0.1%未満では、アークが弱く不安定となる。一方、Cが0.5%を超えると溶着金属の強度が過剰に高くなり、靭性が低下する。したがって、被覆剤中のCは0.1~0.5%が好ましい。
Fe酸化物は、酸化鉄、ミルスケール、イルミナイトから添加され、スラグの流動性を調整してビード外観をさらに良好にする効果がある。Fe酸化物のFeO換算値の合計が1%未満であるとビード外観を良好にする効果が得られない。一方、Fe酸化物のFeO換算値の合計が5%を超えると、かえってスラグの流動性が劣化し、スラグ剥離性が不良となる。従って被覆剤中のFe酸化物のFeO換算値の合計は、1~5%が好ましい。
Claims (1)
- 鋼心線に被覆剤が被覆されている高酸化チタン系被覆アーク溶接棒において、
前記被覆剤は、被覆剤全質量に対する質量%で、
Ti酸化物のTiO2換算値の合計:30~55%、
Si酸化物のSiO2換算値の合計:10~30%、
Al酸化物のAl2O3換算値の合計:2~8%、
金属炭酸塩の1種又は2種以上の合計:1~8%、
Na酸化物のNa2O換算値の合計:1~3%、
K酸化物のK2O換算値の合計:0.5~2.7%、
有機物の1種又は2種以上の合計:3~8%、
Mn:3~9%、
C:0.01~0.5%、
Fe酸化物のFeO換算値の合計:0.1~5%を含有し、
残部が塗装剤、鉄合金からのFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする高酸化チタン系被覆アーク溶接棒。
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JP2019000867A (ja) | 2017-06-14 | 2019-01-10 | 日鐵住金溶接工業株式会社 | 高酸化チタン系被覆アーク溶接棒 |
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