JP5407965B2 - 音響調整卓 - Google Patents
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Description
本発明は、複数チャンネルのオーディオ信号に対する信号処理に関する操作を行う音響調整卓に関し、詳しくは、信号処理に用いるパラメータを調整するための技術に関する。
従来から知られるデジタルオーディオミキサにおいて、コンソール(操作卓)にディスプレイを配置し、ディスプレイには複数のチャンネル分の情報を表示するベース画面を表示するものがあった。ミキサのオペレータは、ベース画面の情報を参照することで、複数チャンネル間のバランスを確認しながら、各チャンネルのパラメータの値を調整できた。また、ベース画面の上に、特定の機能について詳細にパラメータを表示するポップアップ画面を表示することができた。ミキサのオペレータは、ポップアップ画面を用いて、1つのチャンネルに関する特定機能を詳細に調整できた(例えば下記特許文献1を参照)。
ポップアップ画面を用いてパラメータを調整する場合も、調整対象のチャンネルに関する調整対象の機能のパラメータを見るだけではなく、他の複数のチャンネルとのバランスも確認したい、という要望があった。この点に対して、従来は、1つのベース画面に表示された複数のチャンネルのうち、何れかの1つのチャンネルに関するポップアップ画面しか表示できなかった。また、ポップアップ画面は、ベース画面上に重ねて表示されていたので、ポップアップ画面でパラメータを調整するときにはベース画面の一部が隠れていた。このため、例えば、ポップアップ画面でパラメータを調整するときには、そのポップアップ画面を閉じてベース画面でチャンネル間のバランスを確認してから、再びポップアップ画面を開いてパラメータを調整するという手間をかけなければならず、パラメータ調整作業が煩雑になってしまうという不都合があった。また、パラメータの値を適切に調整できず調整ミスしてしまう危険性もあった。すなわち、従来の技術では、ポップアップ画面を表示した状態では、複数チャンネル間のバランスを確認しながらパラメータを調整することが困難だった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ベース画面で複数のチャンネル間のバランスを確認しながら、ポップアップ画面でパラメータを調整する作業を、簡単且つ正確に行えるようにした音響調整卓を提供することを目的とする。
この発明は、複数のディスプレイと、前記ディスプレイのそれぞれに対応して設けられた物理操作子と、前記ディスプレイのそれぞれに、複数の信号処理チャンネルの情報を表示するベース画面を表示し、且つ、前記物理操作子のそれぞれに、対応するディスプレイに表示されたベース画面内の情報を割り当てる第1ベース画面表示手段と、前記複数のディスプレイのうちの1つにおいて、そのディスプレイで表示中の前記ベース画面に含まれる1つの信号処理チャンネルの情報に関するポップアップ画面を表示させる指示を行うポップアップ画面表示指示手段と、前記ポップアップ画面表示指示手段による表示指示に応じて、前記ポップアップ画面を表示すべき第1ディスプレイを決定して、決定された第1ディスプレイの前面に、前記表示指示されたポップアップ画面を表示し、且つ、前記第1ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたポップアップ画面内の情報を割り当てる第1ポップアップ画面表示手段と、前記第1ディスプレイに表示中の前記ポップアップ画面を別のディスプレイに移動させる指示を行うポップアップ画面移動指示手段と、前記ポップアップ画面移動指示手段による移動指示に応じて、前記ポップアップ画面の移動先となる第2ディスプレイを決定して、決定された第2ディスプレイに前記移動指示されたポップアップ画面を表示し、且つ、前記第2ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたポップアップ画面内の情報を割り当てる第2ポップアップ画面表示手段と、前記ポップアップ画面移動指示手段による移動指示に応じて、前記第1ディスプレイのポップアップ画面を消して前記ベース画面を前面に表示させ、且つ、該第1ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたベース画面内の情報を割り当てる第2ベース画面表示手段を備えることを特徴とする音響調整卓である。
本発明によれば表示中のポップアップ画面を他のディスプレイに移動させるという簡単な操作のみで、或る信号処理chについて、そのchを含む複数の信号処理chの主要なパラメータと、そのchの特定機能の詳細なパラメータとを同時に表示して同時に調整できる状態を迅速かつ正確につくりだせる、という優れた効果を奏する。
以下に、本発明に係る音響調整卓の一実施形態であるデジタルオーディオミキサについて、添付図面を参照して、説明する。
図1は、この発明に係る音響調整卓を適用したデジタルオーディオミキサ(「デジタルミキサ」又は、単に「ミキサ」とも言う)のハードウェア構成を示すブロック図である。デジタルミキサ1は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)10、フラッシュメモリ11、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)12、波形入出力インターフェース(波形I/O)13、信号処理部(DSP(Digital Signal Processing)部)14、操作子15、電動フェーダ16、表示器17、及び、その他I/O18を備え、各構成要素がバスライン19を介して接続される。
CPU10は、フラッシュメモリ11又はRAM12に記憶された制御プログラムを実行して、デジタルミキサ1の全体動作を制御する。フラッシュメモリ11は、CPU10が実行する各種のプログラムや各種のデータなどを格納した不揮発性メモリである。RAM12は、CPU10が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用する揮発性メモリである。また、フラッシュメモリ11には、信号処理に用いる全てのパラメータの値(現在の設定値)を記憶したカレントメモリが設けられている。
波形I/O13は、オーディオ信号を入出力するためのインターフェースであって、図中の矢印で示すように、アナログオーディオ信号やデジタルオーディオ信号を外部機器から入力するための複数の入力ポート、アナログオーディオ信号やデジタルオーディオ信号を外部機器へ出力するための複数の出力ポートを含む。さらに、アナログデジタル変換(AD変換)、デジタルアナログ変換(DA変換)、及びデジタル変換(フォーマット変換)を行うための機構を含む。
DSP部14は、CPU10の指示に基づいて各種のマイクロプログラムを実行することにより、カレントメモリに記憶された各種のパラメータの値に基づいて、波形I/O13経由で外部機器から入力されたオーディオ信号に対するデジタル信号処理を行い、処理後のオーディオ信号を波形I/O13経由で外部機器へ出力する。DSP部14が実行する信号処理は、ミキシング処理、効果付与処理及び音量レベル制御処理等である。
表示器17、電動フェーダ16、及び操作子15は、ミキサ1の操作卓(コンソール)の操作パネル上に設けられたユーザインターフェースである。表示器17は、表示パネルに対するタッチ操作による入力が可能なタッチパネル式ディスプレイにより構成され、CPU10からバス19を介して与えられた表示制御信号に基づいて各種画面を表示できる。操作子15は、後述するノブ操作子等を含む操作パネル上に配置された操作子群である。電動フェーダ16は、フェーダ型の操作子であり、オペレータが操作できるとともに、CPU10から与えられる駆動制御信号に基づいて操作位置が自動制御される。CUP10は、操作子15、電動フェーダ16及びタッチパネル式ディスプレイ17の操作を受けて、パラメータの値を調整する。本明細書において「パラメータの値を調整する」とは、カレントメモリに記憶されている当該操作に該当するパラメータの値を、当該操作に応じた値へ変更し、変更後の値をDSP部14や表示器17へ反映することである。その他I/O18は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子のような、他の周辺機器と接続するための汎用インターフェースである。
図2は、図1のミキサ1におけるオーディオ信号に対する信号処理の構成を説明するブロック図である。図2に示す各部の動作は、CPU10の処理及びDSP部14が実行するマイクロプログラムの処理により実現される。アナログ入力部(A入力)20及びデジタル入力部(D入力)21は、波形I/O13のオーディオ信号入力機能(主に、AD変換、フォーマット変換、複数の入力ポート)に相当する。
入力パッチ部22は、オペレータの指定に基づいて、A入力20とD入力21の各入力ポートを、後段の入力チャンネル部23のいずれかの入力chへ割り当てる。なお、本明細書では「チャンネル」という文言を「ch」と表記することがある。
入力ch部23は、48個の入力chを持つ。各入力chは、割り当てられている入力ポートから入力されるオーディオ信号に対して、カレントメモリの値に基づき、ヘッドアンプゲイン、アッテネータ、ディレイ、フェーズ切り替え、EQ(イコライザ)、コンプレッサ、音量レベル、チャンネルオン・オフ、後段のMIXバス24へのセンドレベル、及びパン等の各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号を後段のMIXバス24のうちの任意の1又は複数のバスへ出力する。
24本あるMIXバス24のそれぞれは、入力ch部23から供給されたオーディオ信号をミキシングし、ミキシング後のオーディオ信号を後段のMIX出力ch部25へ出力する。
MIX出力ch部25は、24本のMIXバス24のそれぞれに対応する24個のMIX出力chを持つ。各MIX出力chは、対応するMIXバス24から入力されるオーディオ信号に対して、カレントメモリの値に基づき、EQ、コンプレッサ、音量レベル、及びチャンネルオン・オフ等の各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号を後段の出力パッチ部26へ出力する。
出力パッチ部26は、オペレータの指定に基づいて、MIX出力ch部25の各MIX出力chをアナログ出力部(A出力)27とデジタル出力部(D出力)28の各出力ポートのいずれかへ割り当てる。これにより、MIX出力chが出力するオーディオ信号は割り当てられた出力ポートから出力される。なお、A出力27及びD出力28は、波形I/O13のオーディオ信号出力機能(主に、DA変換、フォーマット変換、複数の出力ポート)に相当する。
図3はミキサ1の操作パネルの構成例であり、複数のディスプレイ30,31と、複数のchストリップグループ32〜35と、セレクテッドch画面ディスプレイ36と、セレクテッドch操作子部37が設けられている(図1の操作子15、電動フェーダ16、表示器17に相当)。各chストリップグループ32〜35は、それぞれ、複数本(図では8本)chストリップ38を1組とするグループである。各chストリップ38には、当該chストリップ38の操作対象となる信号処理ch(入力chやMIX出力ch)が割り当てられる。当該割当は周知の技術を用いて行うものとする。
1つのchストリップ38には、1つの電動フェーダ16及び1つのノブ操作子39を含む複数の物理操作子が設けられている。オペレータは、chストリップ38に設けられた電動フェーダ16を用いて、そのchストリップに割り当てられた信号処理chの音量レベルを調整できる。さらに、chストリップ38に設けられたノブ操作子39を用いて、そのchストリップに割り当てられた信号処理chにおける各種のパラメータのうち、そのノブ操作子39に割り当てられているパラメータの値を調整できる。また、電動フェーダ16及びノブ操作子39以外の他の物理操作子についても同様に、当該chストリップに割り当てられた信号処理chにおける各種のパラメータのうち、物理操作子ごとに割り当てられているパラメータの値を調整できる。
2つのディスプレイ30,31は、図1の表示器17に対応するもので、それぞれ、物理的に独立した表示パネルにより構成される。各ディスプレイ30,31には、後述するベース画面40及びポップアップ画面41など、各種の情報が表示される。各ディスプレイ30,31に表示された各種のパラメータの値を調整するための操作子として、第1〜第4のchストリップグループ32〜35のうち、第1ディスプレイ30にはその近傍に配置された第1chストリップグループ32が対応付けられており、第2ディスプレイ31にはその近傍に配置された第2chストリップグループ33が対応付けられている。なお、物理的に1つの表示パネル内に複数の独立した領域を設けて、各領域を第1ディスプレイ30及び第2ディスプレイ31とする構成を採用してもよい。
セレクテッドch画面ディスプレイ36は、セレクテッドch画面を表示するためのディスプレイであり、第1ディスプレイ30及び第2ディスプレイ31とは物理的に独立したものとする。セレクテッドch画面ディスプレイ36には、複数の信号処理chの中から選択された1つのch(セレクテッドch)に関する複数のパラメータが表示される。セレクテッドch操作子部37には、セレクテッドch画面ディスプレイ36に呼び出されたセレクテッドchに関する複数のパラメータの値を調整するための操作子群が配置されている。
第1ディスプレイ30及び第2ディスプレイ31のそれぞれにおいて、ポップアップ画面が表示される前に表示されている画面(ポップアップ画面とは異なる画面)がベース画面40であり、典型的には、ミキサ1の起動直後から表示されるメイン画面である。本実施例ではメイン画面をベース画面40として説明する。
図4はメイン画面(ベース画面40)の構成例である。ディスプレイ1つ分の画面であり、当該ディスプレイに対応するchストリップグループに属する8本のchストリップ38に対応する8つのchストリップ領域42が設けられている。各chストリップ領域42には、それぞれ対応するchストリップ38に割り当てられた信号処理chのパラメータのうちの主要な一部のみが表示される。また、各chストリップ領域42の表示位置は、それぞれ対応するchストリップ38と縦一列に並ぶ位置に設定される。ベース画面40の表示サイズは、ディスプレイの表示パネル全面と略同じサイズ(表示領域全体を使う表示サイズ)である。
ミキサ1の電源投入時には初期設定として、第2chストリップグループ33のchストリップ38には左から順に入力ch1〜8が操作対象として割り当てられ、第2ディスプレイ31には入力ch1〜8の情報がそれぞれ表示された8つのchストリップ領域42から成るベース画面40が表示され、第1chストリップグループ32のchストリップ38には左から順に入力ch9〜16が操作対象として割り当てられ、第1ディスプレイ30のベース画面40には入力ch9〜16の情報がそれぞれ表示された8つのchストリップ領域42から成るベース画面40が表示される。この時点では、ディスプレイ30,31にはベース画面40のみが表示され、ポップアップ画面41は表示されない。オペレータが、第1chストリップグループ32(あるいは第2chストリップグループ33)に対する信号処理chの割り当てを変更すると、CPU10は、第1chストリップグループ32(あるいは第2chストリップグループ33)の各chストリップ38に新たな8つの信号処理chを割り当てるとともに、第1chストリップグループ32に対応する第1ディスプレイ30(あるいは第2chストリップグループ33に対応する第2ディスプレイ31)に表示されているベース画面40の表示内容を、新たに割り当てられた8つの信号処理chに関する情報に変更する。オペレータは、ベース画面40とchストリップグループ32,33を用いて、複数の信号処理ch間のバランスを見ながら、各chストリップに割り当てられている信号処理chの主要なパラメータの値を調整できる。
図4において、各chストリップ領域42に設けられた複数のGUI画像(丸パーツ)43は、その丸パーツ43が属するchストリップ領域42に対応するchストリップ38に割り当てられている信号処理chのパラメータの値を表示するものであり、複数の丸パーツ43はそれぞれ異なるパラメータを対象としている。また、当該丸パーツ43はパラメータ選択スイッチとしても動作し、オペレータによっていずれかの丸パーツ43がタッチ操作されると、当該操作された丸パーツ43が対象としているパラメータを、当該丸パーツ43の属するchストリップ領域42に対応するchストリップ38に設けられたノブ操作子39に、操作対象のパラメータとして割り当てる。
各chストリップ領域42の上段部(図において網掛け表示で示した部分)の四角マスの1つずつは、ポップアップ画面の表示を指示するためのタッチスイッチ(ポップアップスイッチ)44を表している。各領域42に設けられた3つのポップアップスイッチ44にはそれぞれ異なる機能(イコライザ,ヘッドアンプ,コンプレッサなど)が対応付けられている。
図6は、ポップアップ画面の表示処理の手順を説明するフローチャートである。ポップアップ画面の表示が指示されたとき、すなわち、オペレータがポップアップスイッチ44のいずれか1つに対するタッチ操作を行ったとき、CPU10は、図6に示す処理を起動する。
ステップS1において、CPU10は、タッチ操作が行われた1つのディスプレイ(第1ディスプレイ30又は第2ディスプレイ31)を今回ポップアップ画面を表示するディスプレイ(表示ディスプレイ)として決定し、且つ、そのディスプレイ上のタッチされた位置に基づいて、タッチ操作された1つのポップアップスイッチ44を特定する。また、特定されたポップアップスイッチ44に対応つけられている機能を今回の対象機能として決定し、特定されたポップアップスイッチ44が属するchストリップ領域42に対応するchストリップ38に割り当てられている信号処理chを今回の対象chとして決定する。
ステップS2において、CPU10は、ステップS1で決定された表示ディスプレイに表示されているベース画面40の動作を無効化する。具体的には、当該ベース画面40の各種制御機能(GUI部品に対するタッチ操作を受け付けるタッチ機能等)が働かないようにし、且つ、当該ベース画面40の表示態様を通常の表示から無効状態を示す表示(例えばグレイアウト表示)に切り替える。
ステップS3において、CPU10は、前記ステップS1で決定された対象機能及び対象chを処理対象とするポップアップ画面41を、前記表示ディスプレイに表示する。当該ポップアップ画面41は、前記決定された対象chの、前記決定された対象機能における各種のパラメータの値を表示したものであり、いわゆるポップアップ表示の手法により、表示ディスプレイに無効状態の態様で表示されているベース画面40の上に重ねて表示される。そのため、ポップアップ画面41の表示中はベース画面40の表示内容の少なくとも一部がポップアップ画面41の下に隠れる。
図5はポップアップ画面41の一構成例である。ポップアップ画面41とはディスプレイ上に一時的に表示される画面であり、本実施例においては、或る対象chにおける、或る対象機能に関する詳細な情報(当該機能に含まれているすべてのパラメータの値)を表示し、当該表示されたパラメータの値を調整するための画面である。なお、対象機能には、イコライザ,ヘッドアンプ,コンプレッサなどの機能があり、対象機能となる各機能は複数のパラメータを含んでいる。
図5に示すように、ポップアップ画面41には、少なくとも、当該ポップアップ画面41の移動を指示するための移動スイッチ46と、複数のGUI画像(丸パーツ)45が配置される。各丸パーツ45は、当該ポップアップ画面41の対象chの対象機能に含まれているパラメータのうちのいずれか1つのパラメータを処理対象とし、その値を表示する。また、各丸パーツ45には、当該ポップアップ画面41が表示されているディスプレイに対応するchストリップグループにおけるノブ操作子39のいずれか1つが対応付けられており、当該対応つけられているノブ操作子39を操作することにより、当該丸パーツ45が処理対象としているパラメータの値を調整することができる。
なお、ポップアップ画面に表示される情報の内容や表示方法は対象chや対象機能に応じて異なる。また、ポップアップ画面の表示サイズは、横幅が固定サイズ(ベース画面40と略同じ横幅)とし、機能毎に、つまり、表示すべき情報の量に応じて高さが可変するものとする。ディプレイ上での表示位置は、対応する各ノブ操作子39との対応付けがとれる所定の位置で固定されており、オペレータが表示位置を変更することはできない。
図5に示すように、ポップアップ画面41には、少なくとも、当該ポップアップ画面41の移動を指示するための移動スイッチ46と、複数のGUI画像(丸パーツ)45が配置される。各丸パーツ45は、当該ポップアップ画面41の対象chの対象機能に含まれているパラメータのうちのいずれか1つのパラメータを処理対象とし、その値を表示する。また、各丸パーツ45には、当該ポップアップ画面41が表示されているディスプレイに対応するchストリップグループにおけるノブ操作子39のいずれか1つが対応付けられており、当該対応つけられているノブ操作子39を操作することにより、当該丸パーツ45が処理対象としているパラメータの値を調整することができる。
なお、ポップアップ画面に表示される情報の内容や表示方法は対象chや対象機能に応じて異なる。また、ポップアップ画面の表示サイズは、横幅が固定サイズ(ベース画面40と略同じ横幅)とし、機能毎に、つまり、表示すべき情報の量に応じて高さが可変するものとする。ディプレイ上での表示位置は、対応する各ノブ操作子39との対応付けがとれる所定の位置で固定されており、オペレータが表示位置を変更することはできない。
図6に戻り、ステップS3では、さらに、表示したポップアップ画面を動作可能な状態に設定する。具体的には、当該ポップアップ画面の各種制御機能(GUI部品に対するタッチ操作を受け付けるタッチ機能等)が働くように設定するとともに、当該ポップアップ画面に配置されている丸パーツ45それぞれについて、当該ポップアップ画面が表示されている表示ディスプレイに対応するchストリップグループ内から対応するノブ操作子39を特定し、当該特定したノブ操作子39の操作対象として、当該対応する丸パーツ45が処理対象としているパラメータを割り当てる(当該特定したノブ操作子39に割り当てられているパラメータを変更する)。これにより、ポップアップ画面が表示されている表示ディスプレイに対応するchストリップグループ内のノブ操作子39を使って、当該ポップアップ画面に表示されている各種のパラメータの値を調整できるようになる。なお、丸パーツ45とノブ操作子39の対応関係は予め規定されている。
ここでは、ポップアップ画面で利用される操作子(本実施例ではノブ操作子39)のみ、割り当てられているパラメータを変更し、表示ディスプレイに対応するchストリップグループ内の操作子のうちのポップアップ画面で利用されない操作子(本実施例ではノブ操作子39以外の操作子)については、割り当てられているパラメータを変更せず、それまでに割り当てられていたパラメータを継続する。なお、前記のポップアップ画面で利用されない操作子については、それまでに割り当てられていたパラメータをはずして、なんらのパラメータも割り当てられていない状態とし、ポップアップ画面の表示中はそれらの操作子が操作されてもなんらの処理も実行しない構成を採用してもよい。
ここでは、ポップアップ画面で利用される操作子(本実施例ではノブ操作子39)のみ、割り当てられているパラメータを変更し、表示ディスプレイに対応するchストリップグループ内の操作子のうちのポップアップ画面で利用されない操作子(本実施例ではノブ操作子39以外の操作子)については、割り当てられているパラメータを変更せず、それまでに割り当てられていたパラメータを継続する。なお、前記のポップアップ画面で利用されない操作子については、それまでに割り当てられていたパラメータをはずして、なんらのパラメータも割り当てられていない状態とし、ポップアップ画面の表示中はそれらの操作子が操作されてもなんらの処理も実行しない構成を採用してもよい。
図7は、表示中のポップアップ画面を現在表示中のディスプレイから他のディスプレイへ移動することが指示されたとき、すなわち、表示中のポップアップ画面内に配置されている移動スイッチ46のタッチ操作が行われたときに、CPU10が実行する処理を説明するフローチャートである。ステップS4において、CPU10は、ポップアップ画面の移動先となるディスプレイを決定する。本実施例では、操作パネルに2つのディスプレイ30、31が設けられているので、移動対象のポップアップ画面(今回タッチ操作された移動スイッチ46を含むポップアップ画面)が表示されているディスプレイを移動元ディスプレイとし、当該移動元ディスプレイではないもう一方のディスプレイを移動先ディスプレイとして決定する。例えば、第1ディスプレイ30にタッチ操作されたポップアップ画面41を表示中の場合は、第1ディスプレイ30が移動元ディスプレイ、第2ディスプレイ31が移動先ディスプレイである。
ステップS5において、CPU10は、移動先ディスプレイに、既に他のポップアップ画面41が表示中かどうかを調べる。1つのディスプレイには1つのポップアップ画面41しか表示させない。移動先ディスプレイに他のポップアップ画面41が表示されていない場合(ステップS5の「表示なし」)には、CPU10は処理をステップS8に進める。
移動先ディスプレイに他のポップアップ画面41が表示されている場合(ステップS5の「表示中」)、ステップS6において、CPU10は、移動先ディスプレイに表示中の他のポップアップ画面41を消すかどうか、つまり、当該他のポップアップ画面41を消した上で移動対象のポップアップ画面を移動先ディスプレイへ移動するかどうかをオペレータに選択させる画面を、移動元ディスプレイに表示し、オペレータの選択を受け付ける。他のポップアップ画面を消して移動対象のポップアップ画面を移動先ディスプレイへ移動することが選択された場合(ステップS6のYES)、ステップS7において、CPU10は、移動先ディスプレイに表示中の他のポップアップ画面を消し、移動先ディスプレイのベース画面40のグレイアウト表示を終了して通常の表示態様に戻し(各種制御機能を働くようにし)、当該ベース画面40のみを動作可能な状態で移動先ディスプレイに表示する。さらに、移動先ディスプレイに対応するchストリップグループ内のノブ操作子39に割り当てられている操作対象のパラメータを、それまで割り当てられていた他のポップアップ画面に対応するパラメータから、当該ベース画面40に対応するパラメータへ変更してから、処理をステップS8に進める。なお、本ステップS7の処理により、移動先ディスプレイではベース画面40が操作可能な状態となり、当該ベース画面40を用いたパラメータの値の調整や、新たなポップアップ画面の表示を行えるようになる。
他のポップアップ画面を消さないで移動対象のポップアップ画面の移動を中止する場合(ステップS6のNO)、CPU10は、ポップアップ画面の移動処理を行わずに、図7の処理を終了する。なお、ステップS6の処理を割愛し、ユーザの確認を取ることなく、移動先ディスプレイの他のポップアップ画面を強制的に消してステップS7へ進む構成、あるいは、移動先ディスプレイに他のポップアップ画面がある場合は今回のポップアップ画面の移動処理を強制的に終了する構成を採用することもできる。
他のポップアップ画面を消さないで移動対象のポップアップ画面の移動を中止する場合(ステップS6のNO)、CPU10は、ポップアップ画面の移動処理を行わずに、図7の処理を終了する。なお、ステップS6の処理を割愛し、ユーザの確認を取ることなく、移動先ディスプレイの他のポップアップ画面を強制的に消してステップS7へ進む構成、あるいは、移動先ディスプレイに他のポップアップ画面がある場合は今回のポップアップ画面の移動処理を強制的に終了する構成を採用することもできる。
ステップS8において、CPU10は、移動先ディスプレイに表示されているベース画面40の動作を無効化する。本ステップS8の処理は前述した図6のステップS2と同様の処理であるため、ここでは詳細な説明を割愛する(ステップS2の処理における「表示ディスプレイ」をステップS8においては「移動先ディスプレイ」に置き換えて処理を実行する)。
ステップS9において、CPU10は、移動先ディスプレイに移動対象のポップアップ画面41を表示して、表示されたポップアップ画面41を動作可能な状態に設定する。本ステップS9の処理は前述した図6のステップS3と同様の処理であるため、ここでは詳細な説明を割愛する(ステップS3の処理における「表示ディスプレイ」をステップS9においては「移動先ディスプレイ」に置き換え、さらに、ステップS3の処理における「ポップアップ画面41」をステップS9においては「移動対象のポップアップ画面41」に置き換えて処理を実行する)。なお、本ステップS9の処理において移動先ディスプレイに表示する移動対象のポップアップ画面は、移動元ディスプレイに表示されていたポップアップ画面と同等のものとする(移動後のポップアップ画面は移動前のポップアップ画面の対象ch、対象機能、表示内容を引き継ぎ、移動前後でポップアップ画面の対象ch、対象機能、表示内容を変更せず継続する)。
ステップS10において、CPU10は、移動元ディスプレイに表示中の移動対象のポップアップ画面を消す。本ステップS10の処理は前述した図7のステップS7と同様の処理であるため、ここでは詳細な説明を割愛する(ステップS7の処理における「他のポップアップ画面」をステップS10においては「移動対象のポップアップ画面」に置き換え、さらに、ステップS7の処理における「移動先ディスプレイ」をステップS10においては「移動元ディスプレイ」に置き換えて処理を実行する)。
以上の処理により、例えば、第1ディスプレイ30から第2ディスプレイ31にポップアップ画面41を移動したときは、オペレータは、第2chストリップグループ33のノブ操作子39を用いて、当該移動されたポップアップ画面41のパラメータの値を調整できるようになる。同時に、移動元の第1ディスプレイ30は、ポップアップ画面41の移動後、ベース画面40が通常の表示状態に復帰するため、オペレータは、移動元ディスプレイのベース画面40を操作したり、当該ベース画面40に新たなポップアップ画面を表示させることができるようになる。
このように、表示中のポップアップ画面を他のディスプレイへ移動させるという簡単な操作のみで、或る信号処理chを対象とするベース画面とポップアップ画面を同時に表示して同時に調整できる状態、つまり、或る信号処理chについて、そのchを含む複数の信号処理chの主要なパラメータと、そのchの特定機能の詳細なパラメータとを同時に表示して同時に調整できる状態を迅速かつ正確につくりだせる、という優れた効果を奏する。
なお、ポップアップ画面41は閉スイッチを持ち、当該閉スイッチが操作されると図7ステップS7に相当する処理が実行さる。つまり、当該ポップアップ画面が消えてベース画面が復帰する。この場合、当該ポップアップ画面が他のディスプレイへ移動されることはない。
なお、ディスプレイの数を2つ以上とする構成を採用してもよい。ディスプレイが3つ以上ある場合、図7ステップS4における移動先ディスプレイの決定には、ユーザからいずれか1つのディスプレイの選択を受け付ける構成、あるいは、予め決められたルールに基づいて自動的にいずれか1つのディスプレイを選択する構成を採用するとよい。
なお、古いポップアップ画面を消さず、それを無効化(グレイアウト表示)して、その上に新しいポップアップ画面を重ねて表示する構成を採用してもよい。
なお、本発明を適用するミキサ1は、コンソール(操作パネル)、波形I/O13、及び信号処理部14が1つの筐体に納められて構成されるものであってもよいし、機能毎に独立した装置をネットワーク経由で接続するミキシングシステムであってもよい。また、コンソール(操作パネル)は、ディスプレイ、chストリップグループなど機能要素毎に独立しているハードウェアを組み合わせる構成であってもよい。
なお、ディスプレイの数を2つ以上とする構成を採用してもよい。ディスプレイが3つ以上ある場合、図7ステップS4における移動先ディスプレイの決定には、ユーザからいずれか1つのディスプレイの選択を受け付ける構成、あるいは、予め決められたルールに基づいて自動的にいずれか1つのディスプレイを選択する構成を採用するとよい。
なお、古いポップアップ画面を消さず、それを無効化(グレイアウト表示)して、その上に新しいポップアップ画面を重ねて表示する構成を採用してもよい。
なお、本発明を適用するミキサ1は、コンソール(操作パネル)、波形I/O13、及び信号処理部14が1つの筐体に納められて構成されるものであってもよいし、機能毎に独立した装置をネットワーク経由で接続するミキシングシステムであってもよい。また、コンソール(操作パネル)は、ディスプレイ、chストリップグループなど機能要素毎に独立しているハードウェアを組み合わせる構成であってもよい。
1 デジタルオーディオミキサ、10 CPU、11 フラッシュメモリ、12 RAM、13 波形I/O、14 信号処理部(DSP)、15 操作子、16 音量レベル調整用操作子(音量フェーダ)、17 タッチパネル式表示器、18 その他I/O、19 バスライン、20 アナログ入力部、21 デジタル入力部、22 入力パッチ部、23 入力チャンネル部、24 MIXバス、25 MIX出力チャンネル部、26 出力パッチ部、27 アナログ出力部、28 デジタル出力部、29 インサートエフェクタ、30,31 ディスプレイ、32−35 chストリップグループ、36 セレクテッドチャンネル画面表示用ディスプレイ、37 セレクテッドチャンネル操作子部、38 ストリップ、39 ノブ操作子、40 ベース画面、41 ポップアップ画面、42 chストリップ表示領域、43 パラメータ選択スイッチ、44 ポップアップ画面表示指示スイッチ、45 パラメータ選択スイッチ、46 移動スイッチ
Claims (1)
- 複数のディスプレイと、
前記ディスプレイのそれぞれに対応して設けられた物理操作子と、
前記ディスプレイのそれぞれに、複数の信号処理チャンネルの情報を表示するベース画面を表示し、且つ、前記物理操作子のそれぞれに、対応するディスプレイに表示されたベース画面内の情報を割り当てる第1ベース画面表示手段と、
前記複数のディスプレイのうちの1つにおいて、そのディスプレイで表示中の前記ベース画面に含まれる1つの信号処理チャンネルの情報に関するポップアップ画面を表示させる指示を行うポップアップ画面表示指示手段と、
前記ポップアップ画面表示指示手段による表示指示に応じて、前記ポップアップ画面を表示すべき第1ディスプレイを決定して、決定された第1ディスプレイの前面に、前記表示指示されたポップアップ画面を表示し、且つ、前記第1ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたポップアップ画面内の情報を割り当てる第1ポップアップ画面表示手段と、
前記第1ディスプレイに表示中の前記ポップアップ画面を別のディスプレイに移動させる指示を行うポップアップ画面移動指示手段と、
前記ポップアップ画面移動指示手段による移動指示に応じて、前記ポップアップ画面の移動先となる第2ディスプレイを決定して、決定された第2ディスプレイに前記移動指示されたポップアップ画面を表示し、且つ、前記第2ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたポップアップ画面内の情報を割り当てる第2ポップアップ画面表示手段と、
前記ポップアップ画面移動指示手段による移動指示に応じて、前記第1ディスプレイのポップアップ画面を消して前記ベース画面を前面に表示させ、且つ、該第1ディスプレイに対応する物理操作子に、前記表示されたベース画面内の情報を割り当てる第2ベース画面表示手段
を備えることを特徴とする音響調整卓。
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