以下、この発明の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明の一実施例に係るディジタルオーディオミキサの電気的ハードウェア構成例を示すブロック図である。図1に示す通り、ミキサ100は、CPU1、フラッシュメモリ2、RAM3、波形入出力インターフェース(波形I/O)4、信号処理部5、レコーダ6、表示器7、電動フェーダ8及び操作子9を含み各部がバス1Bを介して接続される。また、ミキサ100は、その他I/O10を介して当該ミキサ100をリモート制御するPCなど、その他適宜の外部機器と接続することができてよい。
CPU1は、フラッシュメモリ2又はRAM3に記憶された制御プログラムを実行し、当該ミキサ100の全体的な動作を制御する。また、フラッシュメモリ2には、ミキシング処理や効果付与処理等の信号処理に用いる各種パラメータの現在の設定値を記憶するカレントバッファが設けられている。
ミキサ100と外部音響機器との間でのオーディオ信号の入出力は波形I/O4を介して行われる。波形I/O4は、AD変換器を含むアナログ入力ポート、DA変換器を含むアナログ出力ポート及びディジタル入出力ポートを含む。信号処理部5は、DSPにより構成され、ディジタルオーディオ信号のミキシングや効果付与処理等の信号処理を行う。レコーダ6にはディジタルオーディオ信号を記録することができる。波形I/O4、信号処理部5及びレコーダ6の間ではディジタルオーディオ信号を通信することができる。
ミキサ100の操作パネル上には、例えば液晶表示ディスプレイにより構成される表示器7や、複数のチャンネルストリップ毎に設けられた電動フェーダ8や、その他多数のエンコーダやスイッチ類(操作子9)が具備されている。表示器7は、各種動作モードに応じた各種制御画面を表示する。表示器7に表示される該各種制御画面上には、各種操作を操作者から受け付けるGUI部品(操作子画像など)が含まれる。操作者は、表示器7に表示された各種GUI部品や、電動フェーダ8乃至操作子9を用いて、ミキシング処理の各種パラメータの設定値を調整したり、ミキサ100の動作モードの設定値を切り替えたりすることができる。また、電動フェーダ8にはモータが内蔵されており、操作つまみの操作位置が自動制御されうる。
図2は、操作パネルの構成の説明するためのブロック図である。操作パネル上には、機能単位で操作子群等の部品をまとめたセクションが複数あり、複数の操作子が該セクション毎に区切って配置されている。インプットセクション11は、入力chの主なパラメータを調整するための操作子群をまとめたセクションである。インプットセクション11には、複数本のチャンネルストリップが設けられており、1つのチャンネルストリップには1つの入力chが割り当てられる。該インプットセクション11のチャンネルストリップ毎に、当該チャンネルストリップに割り当てられた入力chのオーディオ信号の音量レベルを調整するフェーダ(図1の電動フェーダ8)やエンコーダ等の操作子群が設けられている。エンコーダには、予め定められた複数種類のパラメータのうちの1つを割り当てることができる。エンコーダに割り当て可能なパラメータの1つに、当該入力chのオーディオ信号を後段のミックスch(厳密には該ミックスchに対応するミキシングバス)へ送出するレベルを設定するセンドレベルパラメータがある。なお、このエンコーダが請求項1に記載の「第1の操作部」に相当する。
エンコーダモードセクション12には、インプットセクション11のエンコーダに割り当てるパラメータを切り替えるためのスイッチがまとめられている。操作者は、該エンコーダモードセクション12に備わるスイッチを操作して、インプットセクション11のエンコーダに割り当てるパラメータの種類を切り替えることができる。現在エンコーダに割り当てられているパラメータ種類を表す情報はカレントバッファに格納される。
エンコーダモードセクション12に備わるスイッチには、エンコーダの制御対象となるパラメータとしてセンドセレクトを割り当てるミックスセンドセレクトキーが含まれる。該ミックスセンドセレクトキーは、インプットセクション11の各エンコーダに割り当てる1つのミックスchを排他的に選択する機能を基本とする操作子であって、これが請求項1に記載の「第1の選択操作子」に相当する。エンコーダモードセクション12には、複数のミックスchの1つずつに対応する複数個のミックスセンドセレクトキーが具備さている。インプットセクション11のエンコーダにセンドレベルが割り当てられた状態で、いずれか1つのミックスセンドセレクトキーが押されると、該押されたキーに該当するミックスch(厳密には該ミックスchに対応するミキシングバス)へのセンドレベルがインプットセクション11の各エンコーダの制御対象に割り当てられる。すなわち、インプットセクション11の各エンコーダには、当該エンコーダに対応する入力chから該割り当てられたミックスchへ送出するオーディオ信号のセンドレベルのパラメータがそれぞれ呼び出される。ミックスセンドセレクトキーによって選択されたミックスchのデータ(チャンネル番号)は「ミックスセンドセレクト」の設定値としてカレントバッファに格納される。
ミックスセクション13は、複数のミックスchの各々の主なパラメータを調整するセクションである。ミックスセクション13には、複数のミックスchの1つずつに対応する複数のミックスセルキーが備わる。ミックスセルキーは、次に述べるセレクテッドchセクション14へ割り当てる1つのミックスchを排他的に選択する機能を基本とする操作子であって、これが請求項1に記載の「第2の選択操作子」に相当する。いずれか1つのミックスセルキーが押されると、該押されたキーに該当する1つのミックスchがセレクテッドchセクション14に割り当てられる。ミックスセルキーによって選択されたミックスchのデータ(チャンネル番号)は「ミックスセル」の設定値としてカレントメモリに格納される。
セレクテッドchセクション14は、割り当てられたミックスchのパラメータを詳細に調整する操作子群をまとめたセクションであって、これが請求項1に記載の「第2の操作部」に相当する。セレクテッドchセクション14の各操作子には、当該セクション14に割り当てられた1つのミックスchの各種パラメータが呼び出される。セレクテッドchセクション14に現在割り当てられているミックスchのチャンネル番号を表すデータはカレントバッファに格納される。なお、ここで、セレクテッドchセクション14で調整可能なパラメータ群はセンドレベルを含まない(センドレベルとは別種のパラメータである)ことに留意されたい。
また、カーソルセクション15は、表示器(LCD)7に表示される各種画面上に表示される各種GUI部品を操作するための操作子を集めたセクションであって、カーソルキー、エンターキー、ロータリーエンコーダあるいはトラックパッド等が備わる。操作者は、カーソルセクション15の操作子を使って表示器7に表示される各種画面上におけるカーソル操作やデータ入力操作等を行うことができる。
この実施例に係るミキサ100は、詳しくは後述する通り、ミックスセンドセレクトキーの操作によるミックスchの割り当て処理とミックスセルキーの操作によるミックスchの割り当て処理とをリンク制御する機能(リンク機能)を有することを主要な特徴とするものである。リンク機能は、ミックスセルキーの操作により選択されたミックスchをセレクテッドchセクション14に割り当てる処理に連動して、該選択されたミックスchをインプットセクション11の各エンコーダに割り当てる、或いは、ミックスセンドセレクトキーの操作により選択されたミックスchをインプットセクション11の各エンコーダに割り当てる処理に連動して、該選択されたミックスchをセレクテッドchセクション14に割り当てる機能である。
この実施例において、前記リンク機能の設定は、表示器7に表示される操作子画「リンクオンオフキー(リンクオンオフ操作子)」を用いて行うことができる。リンクオンオフキーは、表示器7に表示される適宜の制御画面(例えば設定プロパティ画面など)に設けられていてよい。リンクオンオフキーの操作によるリンク機能の設定データは、リンク機能の設定値としてカレントバッファに格納される。なお、リンク機能の設定内容の詳細は後述する。
図3は、信号処理部5が実行するミキシング処理のアルゴリズムの構成例を示すブロック図である。図3において、複数の入力ポート(複数のアナログ入力30及び複数のディジタル入力31)の各々は1チャンネル分のオーディオ信号を取り込む。アナログ入力30は、アナログオーディオ信号を取り込み、該取り込んだ信号をディジタルオーディオ信号に変換する。ディジタル入力31にはディジタルオーディオ信号が入力される。これら複数の入力ポート30,31は図1に示す波形I/O4に相当する。入力パッチ32は、複数の入力ポート30,31のそれぞれを後段の複数の入力ch(図の例でチャンネル番号1ch〜32chの32本)33のいずれかへ選択的に接続する。なお、オーディオ信号の入出力ポートと信号処理チャンネルを接続することを本明細書では「パッチ」という。すなわち、入力パッチ32は1つの入力ch33に対して1つの入力ポート30又は31をパッチする。
複数の入力ch33の各々は、アッテネータ、コンプレッサ、イコライザ、フェーダ或いはパンなど各種信号処理パラメータを具備しており、入力されたオーディオ信号に対して各チャンネルのパラメータ設定に基づく信号処理を行う。複数の入力ch33の各々は、また、各ミックスバス34へのオーディオ信号の出力オンオフを選択する選択部と、各ミックスバス34に対するセンドレベルを調整するセンドレベル調整部35を具備する。1つの入力ch33には、複数のバス34(図の例ではバス番号1〜16の16本)の各々に対応する複数個(図の例では16個)の選択部及びセンドレベル調整部35が具備される。操作者は各入力ch33のセンドレベル調整部35の設定値を前記インプットセクション11の各エンコーダを用いて調整できる。エンコーダがいずれのバス34に対応するセンドレベル調整部35を調整するかは、インプットセクション11の各エンコーダに割り当てられたミックスchのデータによって特定される。
ミックスバス34は、前記入力ch33から入力された複数のオーディオ信号を混合して、該混合結果を後段のミックスch36へ出力する。ミックスch36は、複数のミックスバス34の各々に1対1で対応する複数系統(図3においてチャンネル番号ch1〜ch16の16本)設けられている。なお、図3においては、ミックスバス34とミックスchの対応関係が明示されるよう、対応するミックスバス34とミックスch36ではバス番号とチャンネル番号に同じ番号が付与されている。複数のミックスch36の各々は、コンプレッサ、フェーダなどの各種信号処理パラメータを具備しており、対応するバス34から出力されたオーディオ信号に対して各チャンネルのパラメータ設定に基づく信号処理を実行する。図2を参照して説明した通り、操作者は、所望の1つのミックスch36をセレクテッドchセクション14に割り当て、該割り当てたミックスch36の各種信号処理パラメータの調整をセレクテッドchセクション14で行うことができる。
出力パッチ37は、複数のミックスch36の各々の出力を後段の複数の出力ポート(複数のアナログ出力ポート38又は複数のディジタル出力ポート39)のいずれかに選択的に接続する。すなわち出力パッチ37は1つの出力ポート38又は39に対して1つのミックスch36をパッチする。かくして、各アナログ出力ポート38又は各ディジタル出力ポート39からは、信号処理部5(入力ch33、ミックスバス34及びミックスch36)で実行された信号処理結果のオーディオ信号が出力される。
図4は、この実施例に係る「リンク機能」の設定の動作手順の一例を説明するためのフローチャートである。操作者は、表示器7に前記リンクオンオフキーを含む制御画面(例えば、設定プロパティ画面等)を呼び出し、該呼び出した制御画面上のリンクオンオフキーを操作して、リンク機能の設定値を変更することができる。リンク機能の設定値には、(1)リンクオン、(2)ミックスセルオン、(3)ミックスセンドセレクトオン、及び(4)リンクオフの4種類があり、前記リンクオンオフキーの操作により、上記4種類のうちのいずれか1つを新たな設定値として選択することができる。これら4種類のリンク機能の各々の動作の概要は下記の通りである。
(1)リンクオンが設定されている場合は、ミックスセルキーの操作にミックスセンドセレクトキーの選択状態をリンクさせ、また、ミックスセンドセレクトキーの操作にミックスセルキーの選択状態をリンクさせる。
(2)ミックスセルオンが設定されている場合は、ミックスセルキーの操作にミックスセンドセレクトキーの選択状態をリンクさせる。一方、ミックスセンドセレクトキーの操作にミックスセルキーの選択状態はリンクしない。
(3)ミックスセンドセレクトオンが設定されている場合は、ミックスセンドセレクトキーの操作にミックスセルキーの選択状態をリンクさせる。一方、ミックスセルキーの操作にミックスセンドセレクトキーの選択状態はリンクしない。
(4)リンクオフが設定されている場合は、リンク機能は機能しない。つまり、ミックスセルキーの操作にミックスセンドセレクトキーの選択状態はリンクせず、また、ミックスセンドセレクトキーの操作にミックスセルキーの選択状態はリンクしない。
リンク機能として、単純なリンク機能のオンオフに加えて、(2)ミックスセルオン及び(3)ミックスセンドセレクトオンを具えることで、ミックスセルキーの操作があったときにだけリンク機能を動作させること、又は、ミックスセンドセレクトキーの操作があったときにだけリンク機能を動作させることの2通りのリンク方向を選択できるようになる。これにより、例えば、ミックスセルオンの場合には、ミックスセルキーの操作により、セレクテッドchセクション14に当該ミックスchのパラメータを呼び出すと共に、インプットセクション11の各エンコーダに当該ミックスchへのセンドレベルを呼び出すのに対して、ミックスセンドセレクトキーの操作ではインプットセクション11の各エンコーダに当該ミックスchへのセンドレベルが呼び出される。ミックスセンドセレクトオンの場合は逆に、ミックスセルキーの操作により、セレクテッドchセクション14とインプットセクション11の各エンコーダに当該ミックスchのパラメータを呼び出すのに対して、ミックスセルキーの操作でセレクテッドchセクション14に当該ミックスchのパラメータのみが呼び出される。つまり、2通りのリンク方向を選択できることで、ミックスセルキー又はミックスセンドセレクトキーの操作に応じて、操作パネル上へ呼び出すパラメータの範囲を適宜に選択できる。なお、(2)ミックスセルオン及び(3)ミックスセンドセレクトオンが請求項4に記載の第1のリンク割り当て制御と第2のリンク割り当て制御の2種類の設定状態に相当する。
図4に示すリンク機能の設定処理は、リンクオンオフキーの操作によりリンク機能の設定値を変更する指示があったときに起動する。リンク機能の設定値の変更指示が検出されたら、ステップS1において、カレントバッファに格納されているリンク機能の現在の設定値を、操作者が選択した新たな設定値に書き換える。このカレントバッファの更新が信号処理部5に反映されることで、新たに選択されたリンク機能がアクティブな状態になる。
リンク機能の新たな設定値が(1)リンクオン又は(2)ミックスセルオンの場合(ステップS2のYES)、ステップS3において、カレントバッファに格納されているミックスセルの現在の設定値を読み出す。つまり、現時点のミックスセルキーのミックスch選択状態を読み出す。ここで、ミックスセルキーにより選択されているミックスchのチャンネル番号は、現在セレクテッドchセクション14に割り当てられているミックスchのチャンネル番号である。
ステップS4において、カレントバッファに格納されているミックスセンドセレクトの現在の設定値に、前記ステップS3で読み出したミックスセルの設定値と同じチャンネル番号を上書きする。これにより、ミックスセンドセレクトの設定値に、現在セレクテッドchセクション14に割り当てられているミックスchのチャンネル番号を設定する。そして、ステップS5において、インプットセクション11の各エンコーダに、前記ステップS4で新規に設定したミックスchに対するセンドレベルの値を割り当てる。詳しくは、エンコーダの制御対象のパラメータ種類を表す情報としてカレントバッファに格納されている値を「センドレベル」に設定し、且つ、前記ステップS4で新規に設定したミックスchにより、どのミックスchに対するセンドレベルのパラメータが各エンコーダに割り当てられるかを特定する。これにより、各入力chのエンコーダには、当該入力chから前記新規に設定されたミックスchへのセンドレベルのパラメータがそれぞれ呼び出される。
上記ステップS3〜S5の処理により、現在セレクテッドchセクション14に割り当てられているミックスch(現在ミックスセルキーにより選択されているミックスch)に、インプットセクション11の各エンコーダに割り当てるミックスch(ミックスセンドセレクトキーの選択状態)を一致させることができる。つまり、リンク機能として(1)リンクオン又は(2)ミックスセルオンが新たに設定された時点では、セレクテッドchセクション14に割り当てられているミックスchと、エンコーダモードセクション12のミックスセルキーで選択されているミックスch(エンコーダに割り当てられたセンドレベルのバス番号)とは、別々に設定された値であるため、両者が一致しているとは限らない。そこで、リンク機能が(1)リンクオン又は(2)ミックスセルオンに設定されたときには、ミックスセルキーにより選択されているミックスchにインプットセクション11の各エンコーダに割り当てるミックスch(ミックスセンドセレクトキーの選択状態)を合わせておくのである。
また、リンク機能の新たな設定値が、(3)ミックスセンドセレクトオンに更新された場合(ステップS6のYES)、ステップS7において、カレントバッファに格納されているミックスセンドセレクトの現在の設定値を読み出す。つまり、現時点でミックスセンドセレクトキーのミックスch選択状態を読み出す。ここで、ミックスセンドセレクトキーにより選択されているミックスchのチャンネル番号は、現在インプットセクション11の各エンコーダに割り当てられているミックスchのチャンネル番号である。
ステップS8において、カレントバッファに格納されているミックスセルの現在の設定値に、前記ステップS7で読み出したミックスセンドセレクトの設定値と同じチャンネル番号を上書きする。これにより、ミックスセルの現在の設定値に、現在インプットセクション11の各エンコーダに割り当てられているミックスchのチャンネル番号を設定する。そして、ステップS9において、セレクテッドchセクション14に、前記ステップS8で設定したミックスセルの設定値に該当するミックスchを割り当てる。
上記ステップS7〜S9の処理により、現在インプットセクション11の各エンコーダに割り当てられているミックスch(現在ミックスセンドセレクトキーにより選択されているミックスch)に、セレクテッドchセクション14に割り当てるミックスch(ミックスセルキーの選択状態)を一致させることができる。
なお、上記ステップS3〜S5及び上記ステップS7〜S9の処理が請求項3に記載の切り替え制御手段に相当する。
図5は、いずれかのミックスセルキーが操作されたときに実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。操作者は、複数のミックスセルキーのうちから所望のミックスchに該当するミックスセルキーを操作することで、ミックスセルの設定値を変更する指示を行う。該ミックスセルの設定値を変更する指示が検出された時に、この処理は起動する。ミックスセルの設定値を変更する指示が検出されると、ステップS10において、カレントバッファに格納されたミックスセルの設定値(チャンネル番号)が、該操作されたミックスセルキーに該当するミックスchのチャンネル番号に更新される。ステップS11では、セレクテッドchセクション14に割り当てられたミックスchのチャンネル番号としてカレントバッファに格納されたデータを、前記ステップS10で新規に設定されたミックスセルの設定値に応じて更新する。これにより、セレクテッドchセクション14の各操作子に、該ミックスセルキーの操作により選択されたミックスchの各種信号処理パラメータの設定値を呼び出すことができる。なお、このステップS11の動作は、ミックスセルキーの基本的な機能であって、請求項1に記載の「第2の割り当て手段」に相当する。
ステップS12において、カレントバッファに格納されているリンク機能の設定値を読み出し、読み出した設定値が(1)リンクオン又は(2)ミックスセルオンであれば(ステップS13のYES)、ステップS14〜S16の処理により、ミックスセンドセレクトの設定値を、前記ステップS10にて設定したミックスセルの設定値と同じチャンネル番号に書き換えることで、インプットセクション11の各エンコーダに、該ミックスセルの設定値と同じチャンネル番号のミックスchへのセンドレベルを呼び出す。すなわち、該ステップS14〜S16の処理により、ミックスセルキーを用いてミックスchの変更を指示するだけで、該ミックスセルキーの操作によって選択されたミックスchをインプットセクション11の各エンコーダにも割り当てることができる。これらステップS14〜S16の処理は請求項1に記載のリンク割り当て制御手段に相当する。なお、ステップS14〜S16の動作の詳細事態は、前記図4のステップS3〜S5と同様である。
一方、リンク機能の設定値が(3)ミックスセンドセレクトオン又は(4)リンクオフであれば(ステップS13のNO)、ミックスセルキー操作によるミックスセルの設定値の変更にミックスセンドセレクトの設定値を連動させずに、処理を終了する。
図6は、いずれかのミックスセンドセレクトキーが操作されたときに実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。操作者は、複数のミックスセンドセレクトキーのうちから所望のミックスchに該当するミックスセンドセレクトキーを操作することで、ミックスセンドセレクトの設定値を変更する指示を行う。該ミックスセンドセレクトの設定値を変更する指示が検出された時に、この処理は起動する。ミックスセンドセレクトの設定値を変更する指示が検出されると、ステップS17において、カレントバッファに格納されたミックスセンドセレクトの設定値(チャンネル番号)が、該操作されたミックスセンドセレクトキーに該当するミックスchのチャンネル番号に更新される。ステップS18では、インプットセクション11の各エンコーダの制御対象のパラメータとして、前記ステップS17で新規に設定されたミックスセンドセレクトの設定値、つまり、ミックスセンドセレクトキーの操作により選択されたミックスchへのセンドレベルが呼び出される。なお、このステップS18の動作は、ミックスセンドセレクトキーの基本的な機能であって、請求項1に記載の「第1の割り当て手段」に相当する。
ステップS19において、カレントバッファに格納されているリンク機能の設定値を読み出し、読み出した設定値が(1)リンクオン又は(3)ミックスセンドセレクトオンであれば(ステップS20のYES)、ステップS21〜S23の処理により、ミックスセルの設定値を、前記ステップS17にて設定したミックスセンドセレクトの設定値と同じチャンネル番号に書き換えることで、セレクテッドchセクション14に、該ミックスセンドセレクトの設定値と同じチャンネル番号のミックスchのパラメータを呼び出す。すなわち、該ステップS21〜S23の処理により、ミックスセンドセレクトキーを用いてミックスchの変更を指示するだけで、該ミックスセンドセレクトキーの操作によって選択されたミックスchをセレクテッドchセクション14にも割り当てることができる。これらステップS21〜S23の処理は請求項1に記載のリンク割り当て制御手段に相当する。なお、ステップS21〜S23の動作の詳細事態は、前記図4のステップS7〜S9と同様である。
一方、リンク機能の設定値が(2)ミックスセルオン又は(4)リンクオフであれば(ステップS20のNO)、ミックスセンドセレクトキー操作によるミックスセンドセレクトの設定値の変更にミックスセルの設定値を連動させずに、処理を終了する。
インプットチャンネルセクション11の複数のエンコーダのうちの何れかが操作された時の動作について簡単に説明する。複数のエンコーダのうちの何れかが操作されると、該操作されたエンコーダの操作量が検出されて、該操作されたエンコーダに割り当てられたパラメータの設定値がカレントバッファから読み出される。ここで読み出すパラメータは、当該操作されたエンコーダが属する入力chから現在制御対象に選択されているミックスchへのセンドレベルである。そして、前記検出した操作量だけ、前記読み出したパラメータの値を変更する。すなわち、該操作量に応じて、カレントバッファに格納されている該読み出したパラメータの値を書き替えて、該書き替えたパラメータ設定値を信号処理部5の信号処理に反映させる。なお、ここで処理の対象となっているのは、操作されたエンコーダが属する入力chから現在制御対象に選択されているミックスchへのセンドレベルのみである。これにより、操作者は任意の入力chから現在制御対象に選択されているミックスchへのセンドレベルを調整することができる。この実施例に係るミキサ100においては、リンク機能としてリンクオン又はミックスセルオンが設定されている状態では、現在制御対象のミックスchの選択は、ミックスセルキー又はミックスセンドセレクトキーいずれを用いても行うことができる。
また、セレクテッドchセクション14を構成する複数の操作子の何れかが操作された時の動作について簡単に説明する。セレクテッドchセクション14の操作子群のうちの何れかが操作されると、該操作された操作子の操作量が検出される。該操作された操作子の操作量が検出されると、セレクテッドchセクション14に現在割り当てられているミックスchのチャンネル番号のデータがカレントバッファから読み出される。そして、前記読み出したチャンネル番号に対応するミックスchの信号処理パラメータのうち、前記操作された操作子に該当するパラメータの値を、前記検出した操作量だけ変更する。すなわち、カレントバッファに格納されている前記該当するパラメータの値を書き替え、該書き替えたパラメータの値を信号処理部5の信号処理に反映させる。これにより、操作者は、セレクテッドchセクション14に現在割り当てられているミックスchの詳細なパラメータを調整することができる。この実施例に係るミキサ100においては、リンク機能としてリンクオン又はミックスセンドセレクトオンが設定されている状態では、現在制御対象のミックスchの選択は、ミックスセルキー又はミックスセンドセレクトキーいずれを用いても行うことができる。
以上説明した通り、この実施例によれば、リンク機能により、ミックスセルキーの操作によって選択したミックスchを、セレクテッドchセクション14に割り当てると共に、インプットセクション11の各エンコーダにも割り当てること、或いは、ミックスセンドセレクトキーの操作により選択したミックスchを、インプットセクション11の各エンコーダに割り当てると共に、セレクテッドchセクション14へ割り当てることができるので、1つのキー操作だけで、1つのミックスchに関する詳細なパラメータ群と当該ミックスchに対するセンドレベルとを、簡単且つ確実に、操作パネル上へ呼び出すことができるようになる。従って、ミキサの操作パネル上へ1つのチャンネルに関するパラメータを呼び出す作業の操作性が向上するという優れた効果を奏する。
また、リンク機能として(2)ミックスセルオン及び(3)ミックスセンドセレクトオンを具えることで、ミックスセルキー又はミックスセンドセレクトキーの操作に応じて、操作パネル上へ呼び出すパラメータの範囲を選択でき、作業の利便性の向上をもたらすという優れた効果を奏する。
なお、上記実施例においては、リンク機能の設定値が、(1)リンクオン、(2)ミックスセルオン、(3)ミックスセンドセレクトオン、及び(4)リンクオフの4種類ある構成例を示したが、これに限らず、リンク機能の設定値がリンクオンとリンクオフの2種類のみであってもよい。
また、上記図4のフローチャートにおいて、リンク機能の設定値がリンクオンに更新されたときには(ステップS2のYES)、ミックスセルの設定値にミックスセンドセレクトの設定値を一致させる構成例を示したが、これに限らず、ミックスセンドセレクトの設定値にミックスセルの設定値を一致させる構成であってもよい。また、上記図4の処理例では、リンク機能の設定値がミックスセルオンに更新されたときにはミックスセルの設定値にミックスセンドセレクトの設定値を一致させ、また、ミックスセンドセレクトオンに更新されたときにはミックスセンドセレクトの設定値にミックスセルの設定値を一致させる例を示したが、リンク方向に関わらず固定的にミックスセンドセレクトオン又はミックスセンドセレクトの何れか一方の設定値を他方の設定値に一致させる構成であってもよい。また、上記の点についてユーザが任意に設定できてもよい。
100 ミキサ、1 CPU 2 フラッシュメモリ、3 ROM、4 波形入出力インターフェース、5 信号処理部、6 レコーダ、7 表示器、8 電動フェーダ、9 操作子、10 その他インターフェース、11 インプットチャンネルセクション、12 エンコーダモードセクション、13 ミックスセクション、14 セレクテッドchセクション 15 カーソルセクション、30 アナログ入力ポート、31 ディジタル入力ポート、32 入力パッチ、33 入力チャンネル、34 ミックスバス、35 センドレベル調整部、36 ミックスch、37 出力パッチ、38 アナログ出力ポート、39 ディジタル出力ポート