次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、移植機の一例である乗用型田植機1の概略側面図であって、乗用型田植機1は、前輪2及び後輪3によって支持した走行機体4を有しており、走行機体4の前部には、ボンネット5で覆った状態でエンジン6を搭載し、走行機体4の前後方向の中間部には、運転席7、ステアリングホイール8等を備えた操縦部9を配設すると共に、走行機体4の後部には、油圧シリンダ11を備える昇降リンク機構12を設けてあり、この昇降リンク機構12を介して植付作業機13を昇降自在に支持している。
そして、植付作業機13は、前高後低状に傾斜すると共に左右方向に往復動する樹脂製の苗載せ台14と、この苗載せ台14上に載置したマット苗を掻取って植え付ける複数のプランタアーム(植付爪)を備えた植付装置15と、この植付装置15の下方に、植付作業機13を所望の高さ位置に制御するための検知体として作用すると共に、圃場面を整地する整地フロート(整地体)を兼ねるセンターフロート16と、左右の前輪2と後輪3の車輪跡を消して圃場面を整地する整地フロートであるサイドフロート17を配置しており、これらセンターフロート16とサイドフロート17の下面が圃場面に接地して滑走する状態まで植付作業機13を下降させた後、機体を走行させながらの移植作業が行なえるようになっている。尚、センターフロート16とサイドフロート17は、植付作業機13の底部、即ち植付伝動ケース18下方の後支点P周りに上下揺動自在に支持されている。
また、図2は、乗用型田植機1の油圧回路図であって、エンジン6から出力される動力は、静油圧式無段変速装置(HST)21を介して図示しないトランスミッションケース内に入力されるようになっている。そして、静油圧式無段変速装置21の油圧ポンプ21aと一体に構成したチャージポンプ21bと同軸で回転駆動するパワーステアリング用油圧ポンプ22を備えており、このパワーステアリング用油圧ポンプ22によって作動油タンク23から吸い上げた作動油を、トルクジェネレータ24aを備えたパワーステアリングユニット24に供給すると共に、上述した油圧シリンダ11を伸縮作動させる上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25bに供給できるように構成している。尚、上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25bは、詳細は後述する制御部(昇降制御手段)31から、両電磁制御弁25a,25bのソレノイド部に供給されるデューティ比制御された制御電流によって作動制御される。
また、乗用型田植機1は、図3に示すように、植付作業機13の昇降操作と図示しない植付クラッチの入切操作とを行うことができる上下及び前後方向に揺動操作可能な操作具として、ステアリングホイール8の近傍(右側)に手を離すと元の位置(中立位置)に自動復帰するクイックアップレバー28を備えており、このクイックアップレバー28の上下方向の操作によって植付作業機5の昇降、及び図示しない植付クラッチの入切がなされると共に、前後方向の操作によって図示しない左右の線引きマーカの振出し方向(作動開始順序)を選択できるようになっている。
即ち、上述した上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25bの動作は、クイックアップレバー28の上下方向の揺動操作を入力信号として検出することにより、後述する制御部(昇降制御手段)31(図4参照)を介して制御できるように構成している。この制御部31は、図4に示すブロック図のように、CPU、ROM、RAM等を備えるマイクロコンピュータによって構成される制御部であって、該制御部の入力側に接続される各種スイッチとセンサ類、及び出力側に接続される出力装置について以下説明する。尚、図5は、運転席7の前方に配置されている操作パネル32とその周辺を示す平面図である。
昇降制御手段である制御部の入力側には、クイックアップレバー28による植付クラッチの入切操作を可能にするクラッチ操作可能モードと、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えるモード切換手段としての作業準備スイッチ33、図示しない左右一対の線引マーカの点灯式マーカ自動モニタを兼ねると共に、両線引マーカの自動振り出しを可能にするマーカ自動スイッチ34、クイックアップレバー28の上方または下方への操作を検出する上下の作業機操作スイッチ35,36、マーカ自動スイッチ34が入り状態の時、クイックアップレバー28の前後方向の操作に基づいて入り作動する左右のマーカ操作スイッチ37,38、図示しない植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39、左右一対の線引マーカを選択的に作動させる切り換えアームの姿勢位置を三段階(左・中立・右)に検出するマーカロック検出スイッチ41、植付作業機13の上昇高さを検出するリフト角ポテンショメータ42、キースイッチ43、及び検知体として作用するセンターフロート16の揺動姿勢を検出するフロート角検出ポテンショメータ44を所定の入力インタフェース回路を介して接続している。
一方、制御部31の出力側には、クイックアップレバー28の上方または下方への操作を検出する上下の作業機操作スイッチ35,36の入り作動に基づいて作動する上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25b、植付クラッチ操作カムを回動させて植付クラッチを入切操作するクラッチ操作カムモータ45、左右のマーカ操作スイッチ37,38の入り作動に基づいて回転駆動するマーカモータ46を所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
次に、上述した制御部31による植付作業機13の操作制御を、図6(第一実施例)、図7(第二実施例)、及び図8(第三実施例)に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、図6〜図8に示すフローチャートにおいて説明を省略しているが、植付作業機13を昇降させる油圧制御状態が「上昇」、「昇降停止」、「自動昇降」、及び「緩速」に変更される度にフラグを立ち上げ、このフラグを判断しながら植付作業機13の昇降制御を実行している。
先ず、図6に示す第一実施例では、先ず、ステップS1で、クイックアップレバー28が下げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(下側)36の入り切り状態によって判断し、該作業機操作スイッチ(下側)36が切り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていなければステップS2に進み、作業機操作スイッチ(下側)36が入り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていればステップS16に進む。
ステップS2では、クイックアップレバー28が上げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(上側)35の入り切り状態によって判断し、作業機操作スイッチ(上側)35が切り状態で上げ操作されていなければステップS3に進み、作業機操作スイッチ(上側)35が入り状態でクイックアップレバー28が上げ操作されていればステップS6に進む。
ステップS3では、植付クラッチが入待ち状態にあるか否かをクラッチ操作カムポテンショメータ39の単位時間当たりの動作量で判断し、入待ち状態であればステップS4に進み、入待ち状態になければ元に戻る。
ステップS4では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止していなければ元に戻り、下降動作を停止したならばステップS5に進み、このステップS5では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。
そして、ステップS6では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあればステップS7に進み、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS10に進む。
ステップS7では、植付作業機13へ動力を伝達する植付クラッチの入切操作を可能にする作業準備スイッチ33が切り状態か入り状態にあるかを判断し、切り状態ならステップS8に進み、入り状態なら元に戻る。尚、ステップS7における作業準備スイッチ33は、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えできるモード切換手段として作用する。
ステップS8では、植付作業機13の上昇速度が緩速であるか通常の速度であるかを判断し、植付作業機13の上昇速度が緩速であれば元に戻り、通常の速度であればステップS9に進み、このステップS9では、作業機操作スイッチ(上側)35の入り作動に基づいて作動制御される上昇用の電磁制御弁25aにより、油圧シリンダ11の伸作動を緩速制御して植付作業機13を緩速上昇させて元に戻る。
ステップS10では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS11に進み、このステップS11では、作業機操作スイッチ(上側)35の入り作動に基づいて作動制御される上昇用の電磁制御弁25aにより、油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13を上昇させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であればステップS12に進む。尚、植付作業機13が自動昇降中の場合は、フロート角検出ポテンショメータ44によってセンターフロート16の揺動姿勢(前部の揺動量)を検出し、該センターフロート16の姿勢が基準姿勢となるように電磁制御弁25a,25bさせている。また、植付作業機13が自動昇降中にあり、且つセンターフロート16が圃場に接地しない状態では、該センターフロート16は前下り姿勢となっており、この場合は、下降用の電磁制御弁25bにより油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を下降させる。
ステップS12では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが切り状態にあればステップS13に進み、植付クラッチが入り状態にあればステップS14に進み、このステップS14では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付クラッチ切り位置まで回動させて元に戻る。
ステップS13では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS11に進み、下降動作を停止していなければステップS15に進み、このステップS15では、上昇用の電磁制御弁25aまたは下降用の電磁制御弁25bによる油圧シリンダ11の伸縮作動を制御して植付作業機13の昇降を停止させて元に戻る。
一方、ステップS16では、植付作業機13へ動力を伝達する植付クラッチの入切操作を可能にする作業準備スイッチ33が切り状態か入り状態にあるかを判断し、切り状態ならステップS17に進み、入り状態にあればステップS23に進む。尚、ステップS16における作業準備スイッチ33は、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えできるモード切換手段として作用する。
ステップS17では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、この上昇用の電磁制御弁25aが作動せずに植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS18に進み、植付作業機13が上昇状態にあればステップS19に進む。
ステップS18では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS20に進み、このステップS20では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であればステップS21に進む。
また、ステップS19では、上昇用の電磁制御弁25aによる油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13の上昇を停止させて元に戻る。
ステップS21では、植付作業機13の下降速度が緩速であるか通常の速度であるかを判断し、植付作業機13の下降速度が緩速であれば元に戻り、通常の速度であればステップS22に進み、このステップS22では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を緩速制御して植付作業機13を緩速下降させて元に戻る。
そして、ステップS23では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあればステップS19に戻り、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS24に進む。
ステップS24では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機が自動昇降中であればステップS25に進み、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS28に進む。
ステップS25では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS26に進み、このステップS26では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。一方、植付作業機13が下降動作を停止していなければステップS27に進み、このステップS27では、植付クラッチの入り待ち状態で元に戻る。
ステップS28では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが入り状態にあれば元に戻り、植付クラッチが切り状態にあればステップS29に進み、このステップS29では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻るといった一連の制御を実行する。
以上説明した植付作業機13の操作制御の第一実施例は、要するに、乗用型田植機1の機体後部に連結した植付作業機13を昇降作動させる油圧シリンダ11を、上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25bを介して伸縮作動させる構成のものであり、前記上昇用の電磁制御弁25aと下降用の電磁制御弁25bの動作を、ステアリングホイール8の近傍に設けた昇降操作具であるクイックアップレバー28の上下揺動操作に応じて制御する昇降制御手段(制御部)31を備え、且つクイックアップレバー28による植付クラッチの入切操作を可能にするクラッチ操作可能モードと、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えできるモード切換手段として作業準備スイッチ33を設けると共に、前記クラッチ操作不能モード下では、クイックアップレバー28による植付作業機13の緩速昇降作動を可能にしているので、それによって、従来の油圧シリンダの伸縮制御を司るロータリバルブのように、該ロータリバルブとは別個にフローコントロールバルブを設けるか、或いは流量制御機能を一体的に有する高価なロータリバルブを設けなくても油圧シリンダ11の伸縮作動速度を緩速制御することができるのでコストの低減が図れる。
そして、前記作業準備スイッチ33(モード切換手段)によって植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードに切換えた状態では、昇降操作具であるクイックアップレバー28の上下揺動操作による植付作業機13の緩速昇降作動を可能にしているので、特別な緩速昇降用の操作手段を設けることなく既存の操作具であるクイックアップレバー28を利用しての合理的な兼用化が図れる。しかも、クイックアップレバー28の上下揺動操作により植付作業機13を緩速昇降作動させることが可能なので、乗用型田植機1を運搬車両に積載する場合や植付作業機13をメンテナンスする際は、当該植付作業機13を所望の高さ位置に正確且つ容易に調節することができるようになる。
次に、植付作業機13の操作制御の第二実施例を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1では、クイックアップレバー28が下げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(下側)36の入り切り状態によって判断し、該作業機操作スイッチ(下側)36が切り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていなければステップS2に進み、作業機操作スイッチ(下側)36が入り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていればステップS16に進む。
ステップS2では、クイックアップレバー28が上げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(上側)35の入り切り状態によって判断し、作業機操作スイッチ(上側)35が切り状態で上げ操作されていなければステップS3に進み、作業機操作スイッチ(上側)35が入り状態でクイックアップレバー28が上げ操作されていればステップS6に進む。
ステップS3では、植付クラッチが入待ち状態にあるか否かをクラッチ操作カムポテンショメータ39の単位時間当たりの動作量で判断し、入待ち状態であればステップS4に進み、入待ち状態になければ元に戻る。
ステップS4では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止していなければ元に戻り、下降動作を停止したならばステップS5に進み、このステップS5では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。
そして、ステップS6では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあれば元に戻り、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS7に進む。
ステップS7では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS8に進み、このステップS8では、作業機操作スイッチ(上側)35の入り作動に基づいて作動制御される上昇用の電磁制御弁25aにより、油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13を上昇させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であればステップS9に進む。尚、植付作業機13が自動昇降中の場合は、フロート角検出ポテンショメータ44によってセンターフロート16の揺動姿勢(前部の揺動量)を検出し、該センターフロート16の姿勢が基準姿勢となるように電磁制御弁25a,25bさせている。また、植付作業機13が自動昇降中にあり、且つセンターフロート16が圃場に接地しない状態では、該センターフロート16は前下り姿勢となっており、この場合は、下降用の電磁制御弁25bにより油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を下降させる。
ステップS9では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが切り状態にあればステップS10に進み、植付クラッチが入り状態にあればステップS11に進み、このステップS11では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付クラッチ切り位置まで回動させて元に戻る。
ステップS10では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS8に戻り、下降動作を停止していなければステップS12に進む。
ステップS12では、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあるか否かを判断し、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態でなければステップS13に進み、このステップS13では、上昇用の電磁制御弁25aまたは下降用の電磁制御弁25bによる油圧シリンダ11の伸縮作動を制御して植付作業機13の昇降を停止させて元に戻り、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあればステップS14に進む。
ステップS14では、植付作業機13の下降速度が緩速であるか通常の速度であるかをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13の下降速度が緩速であればステップS13に進み、通常の速度であればステップS15に進み、このステップS15では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を緩速制御して植付作業機13を緩速下降させて元に戻る。
一方、ステップS16では、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあるか否かを判断し、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態でなければステップS17に進み、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあればステップS18に進む。
ステップS17では、植付作業機13へ動力を伝達する植付クラッチの入切操作を可能にする作業準備スイッチ33が切り状態か入り状態にあるかを判断し、切り状態ならステップS18に進み、入り状態にあればステップS24に進む。尚、ステップS17における作業準備スイッチ33は、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えできるモード切換手段として作用する。
ステップS18では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS19に進み、植付作業機13が上昇状態にあればステップS20に進み、このステップS20では、上昇用の電磁制御弁25aによる油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13の上昇を停止させて元に戻る。
ステップS19では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS21に進み、このステップS21では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であればステップS22に進む。
ステップS22では、植付作業機13が緩速下降中であるか否かを判断し、植付作業機13が緩速下降中であればステップS23に進み、このステップS23では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を緩速制御して植付作業機13を通常の速度で下降させて元に戻り、植付作業機13が緩速下降中でなければ元に戻る。
ステップS24では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあればステップS20に進み、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS25に進む。
ステップS25では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中であればステップS26に進み、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS29に進む。
ステップS26では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS27に進み、このステップS27では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。一方、植付作業機13が下降動作を停止していなければステップS28に進み、このステップS28では、植付クラッチの入り待ち状態で元に戻る。
そして、ステップS29では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが入り状態にあれば元に戻り、植付クラッチが切り状態にあればステップS30に進み、このステップS30では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻るといった一連の制御を実行する。
以上説明した植付作業機13の操作制御の第二実施例は、クイックアップレバー28による植付作業機13の緩速昇降作動を、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にある時のみ可能にしたものであり、例えば、乗用型田植機1に植付作業中に植付作業機13の昇降操作具であるクイックアップレバー28を誤操作したとしても植付作業機13の不要な緩速昇降作動がなされないようにしている。そして、第二実施例では、クイックアップレバー28を1回下げ方向に操作すると、植付作業機13は緩速で下降し、更にクイックアップレバー28をもう1回下げ方向に操作すると、植付作業機13は通常の速度で速く下降する。そして、植付作業機13が所望の高さ位置に近づいた時、クイックアップレバー28を1回上げ方向に操作すると、植付作業機13は緩速で下降するようになり、更にクイックアップレバー28をもう1回上げ方向に操作することによって、植付作業機13の下降作動を停止させることができるように構成している。
次に、植付作業機13の操作制御の第三実施例を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1では、クイックアップレバー28が下げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(下側)36の入り切り状態によって判断し、該作業機操作スイッチ(下側)36が切り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていなければステップS2に進み、作業機操作スイッチ(下側)36が入り状態でクイックアップレバー28が下げ操作されていればステップS16に進む。
ステップS2では、クイックアップレバー28が上げ操作されたか否かを作業機操作スイッチ(上側)35の入り切り状態によって判断し、作業機操作スイッチ(上側)35が切り状態で上げ操作されていなければステップS3に進み、作業機操作スイッチ(上側)35が入り状態でクイックアップレバー28が上げ操作されていればステップS6に進む。
ステップS3では、植付クラッチが入待ち状態にあるか否かを判断し、入待ち状態であればステップS4に進み、入待ち状態になければ元に戻る。
ステップS4では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止していなければ元に戻り、下降動作を停止したならばステップS5に進み、このステップS5では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。
そして、ステップS6では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあれば元に戻り、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS7に進む。
ステップS7では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS8に進み、このステップS8では、作業機操作スイッチ(上側)35の入り作動に基づいて作動制御される上昇用の電磁制御弁25aにより、油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13を上昇させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であればステップS9に進む。尚、植付作業機13が自動昇降中の場合は、フロート角検出ポテンショメータ44によってセンターフロート16の揺動姿勢(前部の揺動量)を検出し、該センターフロート16の姿勢が基準姿勢となるように電磁制御弁25a,25bさせている。また、植付作業機13が自動昇降中にあり、且つセンターフロート16が圃場に接地しない状態では、該センターフロート16は前下り姿勢となっており、この場合は、下降用の電磁制御弁25bにより油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を下降させる。
ステップS9では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが切り状態にあればステップS10に進み、植付クラッチが入り状態にあればステップS11に進み、このステップS11では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付クラッチ切り位置まで回動させて元に戻る。
ステップS10では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS8に戻り、下降動作を停止していなければステップS12に進む。
ステップS12では、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあるか否かを判断し、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態でなければステップS13に進み、このステップS13では、上昇用の電磁制御弁25aまたは下降用の電磁制御弁25bによる油圧シリンダ11の伸縮作動を制御して植付作業機13の昇降を停止させて元に戻り、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にあればステップS14に進む。
ステップS14では、植付作業機13の下降速度が緩速であるか通常の速度であるかをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13の下降速度が緩速であればステップS13に進み、通常の速度であればステップS15に進み、このステップS15では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を緩速制御して植付作業機13を緩速下降させて元に戻る。
一方、ステップS16では、植付作業機13へ動力を伝達する植付クラッチの入切操作を可能にする作業準備スイッチ33が切り状態か入り状態にあるかを判断し、切り状態ならステップS17に進み、入り状態にあればステップS21に進む。尚、ステップS16における作業準備スイッチ33は、植付クラッチの入切操作を不能にするクラッチ操作不能モードとに切換えできるモード切換手段として作用する。
ステップS17では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS18に進み、植付作業機13が上昇状態にあればステップS19に進み、このステップS19では、上昇用の電磁制御弁25aによる油圧シリンダ11の伸作動を制御して植付作業機13の上昇を停止させて元に戻る。
ステップS18では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS20に進み、このステップS20では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻り、植付作業機13が自動昇降中であれば元に戻る。
ステップS21では、植付作業機13が上昇状態にあるか否かを判断し、植付作業機13が上昇状態にあればステップS19に進み、植付作業機13が上昇状態以外の状態であればステップS22に進む。
ステップS22では、植付作業機13が自動昇降中であるか否かを判断し、植付作業機13が自動昇降中であればステップS23に進み、植付作業機13が自動昇降中以外であればステップS26に進む。
ステップS25では、植付作業機13が下降動作を停止した否かをリフト角ポテンショメータ42の単位時間当たりの動作量で判断し、植付作業機13が下降動作を停止したならばステップS24に進み、このステップS24では、クラッチ操作カムモータ45によって植付クラッチ操作カムを植付位置まで回動させて元に戻る。一方、植付作業機13が下降動作を停止していなければステップS25に進み、このステップS25では、植付クラッチの入り待ち状態で元に戻る。
そして、ステップS26では、植付クラッチ操作カムの回動角を検出するクラッチ操作カムポテンショメータ39によって植付クラッチが切り状態か入り状態にあるかを判断し、植付クラッチが入り状態にあれば元に戻り、植付クラッチが切り状態にあればステップS27に進み、このステップS27では、作業機操作スイッチ(下側)36の入り作動に基づいて作動制御される下降用の電磁制御弁25bにより、油圧シリンダ11の縮作動を制御して植付作業機13を自動下降させて元に戻るといった一連の制御を実行する。
以上説明した植付作業機13の操作制御の第三実施例も、クイックアップレバー28による植付作業機13の緩速昇降作動(具体的には、植付作業機13の緩速下降)を、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にある時のみ可能にすると共に、クイックアップレバー28を1回下げ方向に操作すると、植付作業機13は通常の速度で速く下降し、植付作業機13が所望の高さ位置に近づいた時、クイックアップレバー28を1回上げ方向に操作すると、植付作業機13は緩速で下降し、更にクイックアップレバー28をもう1回上げ方向に操作することによって、植付作業機13の下降作動を停止させることができるようにしてある。
つまり、上述の第二実施例と第三実施例では、キースイッチ43が入り状態で、且つエンジン6が停止状態にある時は、クイックアップレバー28の下げ操作と上げ操作でもって植付作業機13の下降作動速度を任意に変化させることができ、それによって当該植付作業機13を所望の高さ位置において容易に停止させることができるようになり、乗用型田植機1を運搬車両に積載する場合や植付作業機13をメンテナンスする際は、当該植付作業機13を所望の高さ位置に正確且つ容易に位置合わせすることが可能となるので作業性が向上する。