JP3860678B2 - 対地作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、対地作業機における対地作業装置の昇降駆動の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
対地作業機において、走行機体に備えられた対地作業装置を昇降駆動する駆動機構、及び駆動機構を任意に作動させるもので人為的に操作される昇降レバーを備えたものが多くある。
これにより昇降レバーを中立位置から上昇位置に操作すると、駆動機構により対地作業装置が上昇駆動され始め、対地作業装置が所望の高さに達した際、昇降レバーを上昇位置から中立位置に操作すれば、駆動機構が停止して対地作業装置が所望の高さで停止する。次に昇降レバーを中立位置から下降位置に操作すると、駆動機構により対地作業装置が下降駆動され始め、昇降レバーを下降位置から中立位置に操作すると、駆動機構が停止して対地作業装置が停止する。このように昇降レバーを上昇位置、中立位置及び下降位置に操作することにより、対地作業装置を任意の高さに上昇及び下降駆動することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
対地作業機では例えば作業地での一回の作業行程が終了して、走行機体が作業地の端部に達すると、操縦者は昇降レバーを下降位置及び中立位置から上昇位置に操作して対地作業装置を上昇駆動し、昇降レバーを上昇位置から中立位置に操作して対地作業装置を所望の高さで停止させる。又、例えば対地作業機の一例である乗用型田植機では、上昇駆動された苗植付装置が上限位置に達すると、昇降レバーが自動的に上昇位置から中立位置に戻されて、上限位置で苗植付装置が停止する。
このように対地作業装置を所望の高さで停止させた状態で、ステアリングハンドルを操作して、走行機体を作業地の端部で旋回させる。作業地の端部での走行機体の旋回が終了すると、操縦者は昇降レバーを中立位置から下降位置に操作し対地作業装置を地面まで下降駆動して、次の作業行程に入る。
【0004】
前述のように走行機体が作業地の端部に達した場合、昇降レバーを下降位置及び中立位置から上昇位置、上昇位置から中立位置に素早く操作して、対地作業装置を所望の高さまで上昇駆動しなければ、ステアリングハンドルを操作しての作業地の端部での走行機体の旋回が間に合わなくなるので、特に未熟練者にとって対地作業装置の上昇駆動の操作や他の操作が難しいものになることがある。
本発明は対地作業機において、対地作業装置の上昇駆動の操作や他の操作が、楽に行えるように構成することを目的としており、対地作業装置に動力を伝達する作業クラッチの入り操作及び切り操作が、楽に行えるように構成することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は対地作業機において、次のように構成することにある。
[1]
走行機体に備えられた対地作業装置を昇降駆動する駆動機構と、対地作業装置に動力を伝達する作業クラッチとを備え、
ステアリングハンドルの下側に強制昇降操作具を配置して、強制昇降操作具を中立位置から揺動操作するように構成し、強制昇降操作具が中立位置に戻し付勢されるように構成して、
強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作する毎に、作業クラッチを切り作動させ駆動機構により対地作業装置を予め設定された所定高さに上昇駆動する上昇作動、及び駆動機構により対地作業装置を接地するまで下降駆動する下降作動が、交互に現出されるように構成すると共に、
対地作業装置の下降作動の後において、強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動及び作業クラッチの切り作動が交互に行われるように構成してある。
【0006】
[2]
前項[1]の構成において、走行用の変速装置を操作するもので人為的に操作される変速操作具を、ステアリングハンドルの近傍に配置してある。
【0007】
[3]
前項[2]の構成において、強制昇降操作具の操作方向を上下方向に設定し、変速操作具の操作方向を前後方向に設定してある。
【0008】
【作用】
[I]
請求項1の特徴によると、人為的に操作される強制昇降操作具が備えられており、対地作業機において例えば走行機体が作業地の端部に達した際、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作することによって、作業クラッチを切り作動させ駆動機構により対地作業装置を予め設定された所定高さに上昇駆動する上昇作動を行うことができる。この後、作業地の端部での走行機体の旋回が終了した際に、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作することによって、駆動機構により対地作業装置を接地するまで下降駆動する下降作動を行うことができる。
【0009】
これにより従来の技術に記載のように、昇降レバーを下降位置及び中立位置から上昇位置に操作して中立位置に操作したり、昇降レバーを中立位置から下降位置に操作すると言うようなことを行わなくても、請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作することによって、対地作業装置の上昇作動及び下降作動を行うことができるので、その分だけ操縦者への負担が軽くなり、操縦者はステアリングハンドルの操作等の他の操作に集中することができるようになる。
【0010】
[II]
請求項1の特徴によると、対地作業装置の下降作動の後において、強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動及び切り作動を交互に行うことができる。
【0011】
これにより、請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、同じ強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動を行うことができるので、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、強制昇降操作具とは別の操作具に持ちかえて作業クラッチの入り作動を行う必要がない。
【0012】
[III]
請求項1の特徴によると、前項[II]に記載のように、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、例えば強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に揺動操作して作業クラッチの入り作動を誤って早く行ってしまった場合、強制昇降操作具をもう一度中立位置から所定方向とは逆方向に揺動操作すれば、作業クラッチの切り作動を行うことができる。このように、請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動及び切り作動を交互に行うことができるので、例えば作業クラッチの入り作動を誤って行ってしまっても、その都度に作業クラッチの切り作動を容易に行うことができる。
【0013】
又、請求項1の特徴によると、対地作業装置を下降させた状態のままで、作業クラッチの入り作動を行ったり、作業クラッチの切り作動を行ったりすることができる。従って、例えば作業行程中において、対地作業装置を下降させた状態のままで、作業クラッチの切り作動を行うことにより、対地作業装置を下降させ停止させた状態での作業(例えば乗用型田植機において、苗植付装置を下降させ停止させた状態で苗植付装置に苗を補給する作業)を行うことができる。次に対地作業装置を下降させ停止させた状態での作業を終了すると、対地作業装置を下降させた状態のままで、作業クラッチの入り作動を行うことができる。
【0014】
[IV]
請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動及び切り作動が交互に行われるので、作業クラッチの入り作動及び切り作動を行う際、強制昇降操作具を中立位置から所定方向(対地作業装置の上昇作動が行われる方向)に誤って揺動操作してしまうようなことが少ない。
【0015】
[V]
請求項1の特徴によると、ステアリングハンドルの下側に強制昇降操作具が配置されているので、操縦者はステアリングハンドルを手で持っている状態から少し指を下側に延ばしたり、ステアリングハンドルから手を離し少し下側に延ばすことによって、強制昇降操作具を容易に揺動操作することができる。
【0016】
請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から揺動操作するように構成され、強制昇降操作具が中立位置に戻し付勢されている。これにより、請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から揺動操作した後に揺動操作を止めれば、強制昇降操作具が自動的に中立位置に戻るので、前項[I][II][III]に記載のように、 制昇降操作具を中立位置から揺動操作する際に、操縦者が強制昇降操作具を中立位置に戻したり、強制昇降操作具が中立位置に戻っているか否かを目視したりする必要がない。
【0017】
[VI]
請求項2の特徴によると,請求項1の場合と同様に前項[I]〜[V]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項2の特徴によると、走行用の変速装置を操作するもので人為的に操作される変速操作具が、ステアリングハンドルの近傍に配置されている。
これにより請求項2の特徴によると、前項[V]に記載のように操縦者はステアリングハンドルを手で持っている状態から少し指を下側に延ばしたり、ステアリングハンドルから手を離し少し下側に延ばすことによって、強制昇降操作具を容易に揺動操作することができるのに加えて、ステアリングハンドルから手を離し少し延ばすことによって、変速操作具を容易に操作することができる。
【0018】
[VII]
請求項3の特徴によると,請求項2の場合と同様に前項[I]〜[VI]に記載の「作用」を備えておりこれに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項3の特徴によると、強制昇降操作具の操作方向が上下方向に設定され、変速操作具の操作方向が前後方向に設定されている。
これによって、前項[V][VI]に記載のように強制昇降操作具がステアリングハンドルの下側に配置され、変速操作具がステアリングハンドルの近傍に配置されて、強制昇降操作具及び変速操作具が互いに接近していても、請求項3の特徴のように強制昇降操作具の操作方向と、変速操作具の操作方向とを異なるものに設定することにより、操縦者が強制昇降操作具を揺動操作するつもりで、誤って変速操作具を操作してしまったり、変速操作具を操作するつもりで、強制昇降操作具を揺動操作してしまったりと言うような誤操作を少なくすることができる。
【0019】
この場合、強制昇降操作具の操作方向が上下方向に設定されて、強制昇降操作具の操作方向と、対地作業装置の上昇作動及び下降作動による対地作業装置の移動方向とが対応しているので、操縦者にとって強制昇降操作具の揺動操作に違和感が少ない。同様に変速操作具の操作方向が前後方向に設定されて、変速操作具の操作方向と走行機体の進行方向とが対応しているので、操縦者にとって変速操作具の操作に違和感が少ない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、対地作業機において強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作することにより、対地作業装置の上昇作動及び下降作動を行うことができるように構成することによって、操縦者への負担が軽くなり、操縦者がステアリングハンドルの操作等の他の操作に集中することができるようになるので、対地作業機の操作性を良いものにすることができた。
【0021】
請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、同じ強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動を行うことができるので、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、強制昇降操作具とは別の操作具に持ちかえて作業クラッチの入り作動を行う必要がなくなり、作業クラッチの入り作動の操作性を良いものにすることができた。
【0022】
請求項1の特徴によると、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に揺動操作して対地作業装置の下降作動を行った後、強制昇降操作具を中立位置から所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、作業クラッチの入り作動及切り作動を交互に行うことができるように構成することによって、例えば作業クラッチの入り作動を誤って行ってしまっても、その都度に作業クラッチの切り作動を容易に行うことができる点、対地作業装置を下降させた状態のままで、作業クラッチの入り作動を行ったり、作業クラッチの切り作動を行ったりすることができる点、並びに作業クラッチの入り作動及び切り作動を行う際、強制昇降操作具を中立位置から所定方向に誤って揺動操作してしまうようなことが少ない点により、対地作業機の作業性を良いものにすることができた。
【0023】
請求項1の特徴によると、ステアリングハンドルの下側に強制昇降操作具を配置することにより、強制昇降操作具を容易に揺動操作することができる点、並びに、強制昇降操作具を中立位置から揺動操作するように構成し、強制昇降操作具を中立位置に戻し付勢することにより、操縦者が強制昇降操作具を中立位置に戻したり、強制昇降操作具が中立位置に戻っているか否かを目視したりする必要がない点により、強制昇降操作具を揺動操作する際にステアリングハンドルの操作が疎かになると言う状態を避けることができ、強制昇降操作具の操作性を向上させることができた。
【0024】
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項2の特徴によると、走行用の変速装置を操作するもので人為的に操作される変速操作具をステアリングハンドルの近傍に配置することにより、ステアリングハンドルから手を離し少し延ばすことによって、変速操作具を容易に操作することができるようになり変速操作具の操作性を向上させることができた。
【0025】
請求項3の特徴によると、請求項2の場合と同様に前述の請求項2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項3の特徴によると、強制昇降操作具がステアリングハンドルの下側に配置され、変速操作具がステアリングハンドルの近傍に配置されて、強制昇降操作具及び変速操作具が互いに接近していても、強制昇降操作具の操作方向と、変速操作具の操作方向とを異なるものに設定することにより、強制昇降操作具及び変速操作具の誤操作を少なくすることができて、強制昇降操作具及び変速操作具の操作性を向上させることができた。
【0026】
この場合、請求項3の特徴によると、強制昇降操作具の操作方向と対地作業装置の上昇作動及び下降作動による対地作業装置の移動方向とが対応している点、並びに変速操作具の操作方向と走行機体の進行方向とが対応している点により、操縦者にとっての強制昇降操作具及び変速操作具の操作に違和感が少なくなるので、この面においても強制昇降操作具及び変速操作具の操作性を向上させることができた。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を図面に基いて説明する。
図15に対地作業機の一例である乗用型田植機が示されている。乗用型田植機は、乗用型の走行機体1の後部に平行四連式のリンク機構2を介して、苗植付装置3がリフトシリンダ4により昇降駆動自在、及び電動式のローリングモータ5により前後軸芯周りにローリング駆動自在に連結されて構成されている。
【0028】
図15に示すように、走行機体1の前部に搭載されたエンジン6の動力が、ベルト式無段変速装置7及びミッションケース8のギヤシフト式の主変速装置9を介して、前車輪10及び後車輪11に伝達されて、走行機体1が走行駆動されるように構成されており、変速後の動力が植付クラッチ12(図1参照)を介して断続操作自在に苗植付装置3に伝達される。
【0029】
図15に示すように、ベルト式無段変速装置7は割りプーリ式の無段変速装置であり、割りプーリの間隔を機体操縦部パネル13に備えられたポテンショメータ型の速度設定器(図示せず)の設定速度になるように、電動シリンダ15により駆動操作される。図15及び図1に示すように主変速装置9は、主変速レバー16によって植付作業用の前進第1速位置F1、路上走行用の前進第2速位置F2及び後進位置Rに、前後方向に操作自在に構成されている。
【0030】
図15に示すように苗植付装置3は、フレーム兼用の植付伝動ケース17に対して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台18、苗のせ台18の下端部から苗を一株ずつ取り出して植え付ける植付機構19、後部支点周りに上下揺動自在に支持された複数の接地フロート20等が備えられており、苗植付装置3の左右両側に、次回の植付作業行程における走行指標線を圃場面に描く線引きマーカ21が出退自在に備えられている。線引きマーカ21は突出姿勢に付勢されて、苗植付装置3が上昇駆動されるのに伴い、ワイヤ(図示せず)を介して強制的に格納されるように構成されており、線引きマーカ21を格納姿勢でロック保持するロック機構22(図1参照)を選択的にロック解除操作することにより苗植付装置3が下降駆動された際に選択された側の線引きマーカ21が突出姿勢に操作される。
【0031】
図1,7,15に示すように、ロック機構22のロック解除操作は、ステアリングハンドル23の右下側に設けられた第1操作具24を、復帰付勢された中立位置から前後方向に操作することで選択的に行われる。第1操作具24を中立位置から前後方向に操作すると、これに連動して植付クラッチ12の入り操作用のクラッチスイッチ25が入り操作される。
【0032】
図1に示すように植付クラッチ12は、クラッチ入り信号STR及びクラッチ切り信号STPにより操作されるリレー回路26を介して操作される正逆転型の電動式のクラッチモータ27により、ギヤ減速式の作動部材28を介して入り操作及び切り操作される。植付クラッチ12が入り状態であるか切り状態であるかの判断は、作動部材28に接当作用するクラッチオフスイッチ29及びクラッチオンスイッチ30の検出により行われる。植付クラッチ12のを入り操作及び切り操作するリンク機構に、植付クラッチ12の切り操作の際の圧縮作動により連動連係される圧縮スプリングSPが介装されて、融通を確保しながら植付クラッチ12の切り操作が迅速に行われるように構成されている。
【0033】
図2,6,15に示すように苗植付装置3は、運転座席31の横側に手動で前後方向に揺動操作自在に備えられた操作レバー32の操作によって昇降駆動される。操作レバー32は植付位置P、下降位置D、中立位置N、上昇位置U及び自動位置ATに操作自在に構成されており、操作レバー32の操作位置がポテンショメータ型のレバーセンサ33により検出され、マイクロコンピュータを備えた制御装置34により、レバーセンサ33の検出値がレベル判断される。
【0034】
操作レバー32が植付位置Pに操作されると、苗植付装置3が接地するまで下降駆動された状態で植付クラッチ12が入り操作される。操作レバー32が下降位置Dに操作されると、植付クラッチ12の切り状態で苗植付装置3が接地するまで下降駆動される。操作レバー32が中立位置Nに操作されると、苗植付装置3がそのままの位置に保持され、操作レバー32が上昇位置Uに操作されると、苗植付装置3が上昇駆動される。操作レバー32が自動位置ATに操作されていると、後述するように昇降操作スイッチ35(図1参照)による上昇作動及び下降作動が行われ、後進時に苗植付装置3が強制的に上昇駆動される制御が行われる。
【0035】
図1,7,15に示すように、機体操縦部におけるステアリングハンドル23の左下側に第2操作具36が備えられており、第2操作具36を戻し付勢された中立位置から上方に揺動操作すると昇降操作スイッチ35が入り操作されて、昇降操作スイッチ35の入り操作毎に、苗植付装置3を接地するまで下降駆動する下降作動、及び最大上昇位置まで苗植付装置3を上昇駆動する上昇作動が交互に現出される。第2操作具36を中立位置から下方に揺動操作すると、植付クラッチ12を入り操作用のクラッチスイッチ25が入り操作される。
【0036】
図1に示すように、主変速レバー16が後進位置Rに操作されたことを検出する後進検出スイッチ37が備えられており、後進検出スイッチ37が検出状態になると、苗植付装置3が強制的に最大上昇位置まで上昇駆動される。苗植付装置3が最大上昇位置まで上昇駆動されたことの検出は、運転座席31の後部側に配置されたリンクスイッチ38にリンク機構2の途中部が接当作用することで行われる。以上のような昇降操作スイッチ35による苗植付装置3の上昇及び下降作動、後進時の苗植付装置3の強制的な上昇駆動は、操作レバー32が自動位置ATに操作されている場合においてのみ行われる。
【0037】
操作レバー32が植付位置P,下降位置D及び自動位置ATのうちのいずれかに操作され、且つ主変速レバー16が前進第1速位置F1又は前進第2速位置F2に操作されている状態において、苗植付装置3の左右傾斜姿勢を設定姿勢に維持する自動ローリング制御が実行される。図3に示すように、主変速レバー16が前進第1速位置F1又は前進第2速F2位置に操作されているか否かを検出する主変速スイッチ39、苗植付装置3の絶対水平姿勢からの傾斜角度を検出する重錘式の傾斜センサ40、及び目標傾斜姿勢を人為的に設定するポテンショメータ型の傾斜角設定器41が備えられており、主変速スイッチ39、傾斜センサ40、傾斜角設定器41及びレバーセンサ33に基づいて、制御装置34が図4の制御のフローチャートに示すような制御を行う。
【0038】
図4及び図3に示すように、主変速スイッチ39により主変速レバー16が前進第1速位置F1又は前進第2速位置F2に操作されていることが検出され、レバーセンサ33により操作レバー32が植付位置P、下降位置D及び自動位置ATのうちのいずれかに操作されていることが検出されると、傾斜センサ40の検出値XRが傾斜角設定器41の目標値Raと異なり、傾斜センサ40の検出値XRが傾斜角設定器41の目標値Raよりも小さければ、傾斜センサ40の検出値XR及び傾斜角設定器41の目標値Raが略合致するまで、右下がり用の信号がリレー回路42に出力されて、ローリングモータ5が右下がり方向に回動駆動される。傾斜センサ40の検出値XRが傾斜角設定器41の目標値Raより大きければ、左下がり用の信号がリレー回路42に出力されて、ローリングモータ5が左下がり方向に回動駆動される。
【0039】
図3に示すように、ローリングモータ5が機械的な作動限界まで回動駆動されたことが右及び左リミットスイッチ43,44により検出されると、リレー回路42が直接に切り操作されて、ローリングモータ5の回動駆動が停止される。以上のような自動ローリング制御に異常が発生した場合、3位置切換式で中央に復帰付勢された手動ローリングスイッチ45により、リレー回路42を直接に操作して、手動でローリングモータ5を回動駆動することができる。手動ローリングスイッチ45による手動ローリング操作では、制御装置34からの右及び左下がり用の信号がオフ状態に維持される。
【0040】
植付作業中において苗植付装置3の対地高さが設定値に維持されるように、苗植付装置3を自動的に昇降駆動する自動昇降制御が行われる。図2に示すように左右中央に位置する接地フロート20の接地圧変動に基づく上下揺動量を検出するポテンショメータ型のフロートセンサ46が備えられており、フロートセンサ46の検出値XSが、機体操縦部パネル13に備えられたポテンショメータ型の感度設定器47の目標値Saの不感帯に入るように、制御装置34がリフトシリンダ4に対する電磁制御弁48を自動的に操作することによって、苗植付装置3の対地高さが設定値に維持される。
【0041】
図5に示すように、フロートセンサ46の検出値XSが感度設定器47の目標値Saの不感帯に入っていると苗植付装置3がその状態に保持される。フロートセンサ46の検出値XSが感度設定器47の目標値Saよりも大きければ、電磁制御弁48の上昇用電磁ソレノイドUPSolがオン状態となり、フロートセンサ46の検出値XSが感度設定器47の目標値Saよりも小さければ、下降用電磁ソレノイドDWSolがオン状態となる。以上のような自動昇降制御は、操作レバー32が植付位置P、下降位置D及び自動位置ATのうちのいずれかに操作されているときにのみ行われる。
【0042】
図2に示す感度設定器47は、接地フロート20の目標基準姿勢を変更することにより泥土の硬軟に応じて接地フロート20の感知荷重を変更するものである。感度設定器47の目標値Raを、3位置切換式の補正スイッチ51により補正することができる。図8に示すように補正スイッチ51の操作により、感度設定器47の設定値に対する目標値Raの変化特性を、平行移動により鈍感側(接地フロート20の基準姿勢の前上がり方向)、及び敏感側(接地フロート20の基準姿勢の前下がり方向)に変更することができる。
【0043】
走行速度が高速になれば接地フロート20が浮き上がり気味になって、苗植付装置3が上昇して浅植えになるおそれがあるので、前述の感度設定器47の設定値に対する目標値Raの変化特性が、走行速度に応じて変更される。図2に示すように、エンジン6の回転数を検出する回転数センサ52、ベルト式無段変速装置7の変速位置を検出するポテンショメータ型の変速センサ53が備えられており、回転数センサ52及び変速センサ53の検出値に基づいて制御装置34により走行速度が演算される。これにより、走行速度が速ければ(例えば走行速度が0.8メートル/秒以上)、感度設定器47の設定値に対する目標値Raの変化特性が鈍感側に変更され、走行速度が速いほど、感度設定器47の設定値に対する目標値Raの変化特性の変更量が大きくなる。
【0044】
リフトシリンダ4に対する油圧ポンプ(図示せず)はエンジン6により駆動されるので、リフトシリンダ4に対する作動油流量がエンジン6の回転数の変化により変化する。これによって制御装置34は、回転数センサ52の検出値に応じて、電磁制御弁48の上昇用及び下降用電磁ソレノイドUPSol,DWSolに供給するパルス電流のデューティ比を変更して、リフトシリンダ4に対する作動油流量が常に一定に維持されるように制御する。
図9及び図15に示すように、傾斜角設定器41、手動ローリングスイッチ45及び補正スイッチ51が運転座席31の横側に位置する後輪フェンダー54に配置されており、開閉自在な蓋体55で覆われるように構成されている。
【0045】
次に苗植付装置3の昇降駆動に関する制御装置34の作動について、図10,11,12,13,14に示す制御のフローチャートに基づいて説明する。
メインスイッチ(図示せず)が入り操作されて制御が開始されると、電磁制御弁48の上昇用及び下降用電磁ソレノイドUPSol,DWSolがオフ状態となり、昇降操作スイッチ35の動作フラグf0、クラッチスイッチ25の動作フラグf1、自動昇降制御の動作フラグf2、及び後進上昇駆動の動作フラグf3が「0」に設定される(ステップ#1,#2)。
【0046】
操作レバー32が自動位置AT以外の操作位置に操作されていれば、昇降操作スイッチ35の動作フラグf0、クラッチスイッチ25の動作フラグf1、自動昇降制御の動作フラグf2、及び後進上昇駆動の動作フラグf3が「0」に設定される。操作レバー32が中立位置Nに操作されていると、クラッチ入り信号STRがオフ状態となって、クラッチオフスイッチ29がオン状態であれば、クラッチ切り信号STPがオフ状態となり、クラッチオフスイッチ29がオフ状態であれば、クラッチ切り信号STPがオン状態となり、植付クラッチ12が切り状態に維持される(ステップ#3〜#9)。メインスイッチの入り操作時に操作レバー32が自動位置AT又は中立位置N以外の位置に操作されていると、操作レバー32が中立位置Nに操作された後に次のステップに移行する(ステップ#10)。
【0047】
操作レバー32が上昇位置Uに操作されると、クラッチ入り信号STRがオフ状態となり、自動昇降制御の動作フラグf2が「0」に設定された後、クラッチオフスイッチ29がオン状態であれば、クラッチ切り信号STPがオフ状態となる。リンクスイッチ38がオン状態(苗植付装置3が最大上昇位置まで上昇駆動された状態)であれば、電磁制御弁48の上昇用電磁ソレノイドUPSolがオフ状態となり、リンクスイッチ38がオフ状態であれば、電磁制御弁48の上昇用電磁ソレノイドUPSolがオン状態となって、苗植付装置3が上昇駆動される(ステップ#11〜#17)。クラッチオフスイッチ29がオン状態でなければ、クラッチ切り信号STPがオン状態となり、クラッチモータ27により植付クラッチ12が切り操作されて、電磁制御弁48の上昇用及び下降用電磁ソレノイドUPSol,DWSolがオフ状態となる(ステップ#18,#19)。
【0048】
操作レバー32が下降位置Dに操作されると、クラッチ入り信号STRがオフ状態にされた後、前述と同様に植付クラッチ12を切り状態に維持しながら(ステップ#20〜#23)、苗植付装置3が下降駆動される(ステップ#24〜#26)。フロートセンサ46の検出値により苗植付装置3が接地したことが検出されると、自動昇降制御が実行される(ステップ#27)。このときにリンクスイッチ38がオン状態になれば、電磁制御弁48の上昇用電磁ソレノイドUPSolがオフ状態となり、自動昇降制御の動作フラグf2が「1」に設定される(ステップ#28〜#30)。
【0049】
操作レバー32が植付位置Pに操作されると、クラッチ入り信号STRがオフ状態にされた後、クラッチオンスイッチ30がオン状態になるまで、クラッチ入り信号STRがオン状態となり、クラッチモータ27により植付クラッチ12が入り操作されて(ステップ#31〜#34)、その後は自動昇降制御が実行される。自動昇降制御の動作フラグf2以外の昇降操作スイッチ35の動作フラグf0、クラッチスイッチ25の動作フラグf1及び後進上昇駆動の動作フラグf3は、「0」に維持される(ステップ#35)。
【0050】
次に操作レバー32が自動位置ATに操作された場合について説明する。
操作レバー32が自動位置ATに操作された後に、昇降操作スイッチ35が操作されると、昇降操作スイッチ35の動作フラグf0が「1」に設定され、リンクスイッチ38がオン状態であれば、自動昇降制御の動作フラグf2が「0」に設定されて、電磁制御弁48の下降用電磁ソレノイドDWSolがオン状態となって、苗植付装置3が下降駆動される(ステップ#36,#37,#39〜#43)。
【0051】
苗植付装置3が接地するまで下降駆動されると、昇降操作スイッチ35の動作フラグf0が「0」に設定され、自動昇降制御の動作フラグf2が「1」に設定された後、自動昇降制御に移行する(ステップ#44〜#48)。昇降操作スイッチ35の操作時にリンクスイッチ38がオフ状態であれば、植付クラッチ12が切り操作されて、リンクスイッチ38がオン状態になるまで苗植付装置3が上昇駆動される(ステップ#49〜#54)。リンクスイッチ38がオン状態になれば、昇降操作スイッチ35の動作フラグf0が「0」に設定される(ステップ#55,#56)。苗植付装置3の上昇及び下降駆動中に、昇降操作スイッチ35が再び操作されると、苗植付装置3の上昇及び下降駆動の方向が反転操作される(ステップ#56〜#60)。初期状態において昇降操作スイッチ35による苗植付装置3の上昇駆動側の操作が行われたとき、植付クラッチ12が切り状態でなければ、初期状態に戻る(ステップ#37,#38)。
【0052】
苗植付装置3が下降駆動された後、第1及び第2操作具24,36によるクラッチスイッチ25の入り操作が行われると、クラッチスイッチ25の動作フラグf1が「1」に設定され、植付クラッチ12が入り操作されて(ステップ#61〜#64)、クラッチオンスイッチ30がオン状態になるまで、警報ブサー(図示せず)が作動する。クラッチオンスイッチ30がオン状態になると、クラッチスイッチ25の動作フラグf1が「0」に設定されて、警報ブザーが停止され(ステップ#65〜#69)、その後に自動昇降制御に移行する。
【0053】
操作レバー32が自動位置ATに操作された後、主変速レバー16が後進位置Rに操作されたことが後進検出スイッチ37によって検出され、リンクスイッチ38がオン状態でなければ、後進上昇駆動の動作フラグf3が「1」に設定された後(ステップ#70〜#74)、ステップ#49に移行し植付クラッチ12が切り操作されて、リンクスイッチ38がオン状態になるまで苗植付装置3が強制的に上昇駆動される。リンクスイッチ38がオン状態になると、後進上昇駆動の動作フラグf3が「0」に設定される(ステップ#56)。
【0054】
昇降操作スイッチ35の操作や後進検出スイッチ37の検出が無く、後進上昇駆動の動作フラグf3が「1」であるとき、苗植付装置3が最大上昇位置に位置し、操作レバー32が他の操作位置から操作された場合や、自動昇降制御でない場合には、苗植付装置3がその位置で保持され(ステップ#75〜#79)、それ以外の場合には自動昇降制御に移行する(ステップ#80,#46)。
【0055】
[別実施例]
(1)第2操作具36の下方の揺動操作に基づいて、昇降操作スイッチ35の操作と同様に、第2操作具36の下方の揺動操作毎に、植付クラッチ12の入り操作と切り操作とが交互に現出されるように構成してもよい。
第2操作具36が戻し付勢された中立位置から所定方向への第2操作具36の操作に基づいて、植付クラッチ12を切り操作し且つ苗植付装置3を所定位置まで強制的に上昇駆動する第1状態と、苗植付装置3を接地するまで下降駆動する第2状態とが交互に現出されるように構成する。中立位置から所定方向とは異なる方向への第2操作具36の操作に基づいて、植付クラッチ12を入り操作する状態と、植付クラッチ12を切り操作する状態とが交互に現出されるように構成する。
(2)第2操作具36を縦軸芯周りで前後方向に揺動操作自在に備えて、第2操作具36の後方への揺動操作に基づいて昇降操作スイッチ35が操作され、第2操作具36の前方への揺動操作に基づいて植付クラッチ12が入り操作及び切り操作されるように構成してもよい。
【0056】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 苗植付装置の昇降駆動、植付クラッチの入り操作及び切り操作のブロック図
【図2】 苗植付装置の自動昇降制御のブロック図
【図3】 苗植付装置の自動ローリング制御のブロック図
【図4】 苗植付装置の自動ローリング制御のフローチャートを示す図
【図5】 苗植付装置の自動昇降制御のフローチャートを示す図
【図6】 操作レバーの操作経路を示す平面図
【図7】 ステアリングハンドルの付近の平面図
【図8】 感度設定器の設定値に対する目標値の変化特性を示す図
【図9】 傾斜角設定器、手動ローリングスイッチ及び補正スイッチの平面図
【図10】 苗植付装置の昇降駆動の制御のフローチャートを示す図
【図11】 苗植付装置の昇降駆動の制御のフローチャートを示す図
【図12】 苗植付装置の昇降駆動の制御のフローチャートを示す図
【図13】 苗植付装置の昇降駆動の制御のフローチャートを示す図
【図14】 苗植付装置の昇降駆動の制御のフローチャートを示す図
【図15】 乗用型田植機の全体側面図
【符号の説明】
1 走行機体
3 対地作業装置
4 駆動機構
9 走行用の変速装置
12 作業クラッチ
16 変速操作具
23 ステアリングハンドル
36 強制昇降操作具

Claims (3)

  1. 走行機体(1)に備えられた対地作業装置(3)を昇降駆動する駆動機構(4)と、前記対地作業装置(3)に動力を伝達する作業クラッチ(12)とを備え、
    ステアリングハンドル(23)の下側に強制昇降操作具(36)を配置して、前記強制昇降操作具(36)を中立位置から揺動操作するように構成し、前記強制昇降操作具(36)が中立位置に戻し付勢されるように構成して、
    前記強制昇降操作具(36)を中立位置から所定方向に揺動操作する毎に、前記作業クラッチ(12)を切り作動させ駆動機構(4)により対地作業装置(3)を予め設定された所定高さに上昇駆動する上昇作動、及び前記駆動機構(4)により対地作業装置(3)を接地するまで下降駆動する下降作動が、交互に現出されるように構成すると共に、
    前記対地作業装置(3)の下降作動の後において、前記強制昇降操作具(36)を中立位置から前記所定方向とは逆方向に繰り返して揺動操作することにより、前記作業クラッチ(12)の入り作動及び前記作業クラッチ(12)の切り作動が交互に行われるように構成してある対地作業機。
  2. 走行用の変速装置(9)を操作するもので人為的に操作される変速操作具(16)を、前記ステアリングハンドル(23)の近傍に配置してある請求項1に記載の対地作業機。
  3. 前記強制昇降操作具(36)の操作方向を上下方向に設定し、前記変速操作具(16)の操作方向を前後方向に設定してある請求項2に記載の対地作業機。
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