JP3229583B2 - 移植機 - Google Patents

移植機

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JP3229583B2
JP3229583B2 JP06487898A JP6487898A JP3229583B2 JP 3229583 B2 JP3229583 B2 JP 3229583B2 JP 06487898 A JP06487898 A JP 06487898A JP 6487898 A JP6487898 A JP 6487898A JP 3229583 B2 JP3229583 B2 JP 3229583B2
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政一 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に
駆動機構により駆動昇降自在に対地作業装置を連結し、
この対地作業装置に備えた接地フロートを、設定された
制御感度に対応する目標姿勢に維持するよう該対地作業
装置の昇降を行う制御装置を備えた移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のように構成された移植機として田
植機を例に挙げると本出願人は、苗植付装置に備えた複
数の接地フロートの1つを横向き姿勢の軸芯周りで揺動
自在に支持すると共に、この接地フロートの前部を下方
に向けて付勢するバネと、軸芯周りでの接地フロートの
揺動姿勢を検出するポテンショメータ型のセンサとを備
え、苗植付装置の昇降制御の感度を設定する感度設定ス
イッチ(感度調節具)を備えたものを出願している(例
えば、特願平4‐222464号、特願平4‐2570
55号、特願平4‐281249号)。この田植機で
は、例えば、圃場面の泥土が硬質である場合には感度調
節具を鈍感側に設定することで、接地フロートの姿勢が
前上がり側に設定され、接地面積の減少と同時にバネの
付勢力が高まって接地フロートの姿勢変化が抑制される
ものとなっており、逆に、圃場面の泥土が軟質である場
合には感度調節具を敏感側に設定することで、接地フロ
ートの姿勢が前下がり側に設定され、接地面積の増大と
同時にバネの付勢力が低下して接地フロートの姿勢変化
を行いやすくするものとなっており、このように圃場面
の泥土の硬軟に対応した感度を設定することにより、圃
場面のレベル変化に対応した昇降制御を行って圃場面に
対する苗の移植深さを精度高く維持できるものとなって
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、圃場面の泥土
の硬軟について考えるに、この泥土の硬軟は圃場面の水
分の量だけに影響を受けるものではなく、圃場固有の土
質、即ち粘土質であるかどうかによっても大きい影響を
受けるものであり、例えば、粘土質で水分の少ない圃場
面では圃場面の泥硬さが極めて硬質となり、逆に、「黒
ボク」と称せられる非粘土質で水分の多い圃場面では圃
場面が極めて軟質となる。このことから、多様な圃場に
対応するため、感度調節具で設定し得る調節域を広くす
ることが必要となっていた。
【0004】ところが、感度調節具に広い調節域を設定
したものを想定すると、この感度調節具では、感度調節
具の単位操作量に対する感度の調節量が小さくなり過ぎ
るので微調節を行い難くなるばかりでなく、例えば、粘
土質の圃場面で作業を行う場合には、感度調節具を鈍感
側に偏った域で調節することになるので、感度調節具の
鈍感側の操作端部までの調節域が小さくなり過ぎ、鈍感
側への感度調節が可能であっても、現実には僅かに操作
しても感度調節具が鈍感側の操作端に達してしまい、作
業者に対しては感度調節域に余裕が殆ど無いと云う感覚
を与える点で改善の余地がある。そこで、この不都合を
解消する目的で感度調節具を操縦パネル部に対して複数
個備えることも考えられるが、複数個備えた場合には制
御感度の調節時に、何れの感度調節具を操作すればいい
のか選択に時間がかかり、素早い操作を阻害するばかり
でなく誤操作にも繋がりやすくなることが考えられる。
【0005】本発明の目的は、対地作業装置の昇降制御
の感度を余裕を持った調節域において充分な操作ストロ
ークで微調節でき、この感度調節を素早く誤操作なく行
える移植機を合理的に構成する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請
求項1)は走行機体の後部に駆動機構により駆動昇降自
在に対地作業装置を連結し、この対地作業装置に備えた
接地フロートを、設定された制御感度に対応する目標姿
勢に維持するよう該対地作業装置の昇降を行う制御装置
を備えた移植機において、前記制御感度を設定する人為
操作型の感度調節具を夫々の組合せ操作で前記制御感度
を設定できるよう複数個備えると共に、一方の感度調節
具を操縦部パネルに設けるとともに、他方の感度調節具
を前記操縦部パネルから離れた位置に配置してある。
【0007】本発明の第2の特徴(請求項2)は走行機
体の後部に駆動機構により駆動昇降自在に対地作業装置
を連結し、この対地作業装置に備えた接地フロートを、
設定された制御感度に対応する目標姿勢に維持するよう
該対地作業装置の昇降を行う制御装置を備えた移植機に
おいて、前記制御感度を設定する人為操作型の感度調節
具を夫々の組合せ操作で前記制御感度を設定できるよう
複数個備えると共に、操作頻度の高い感度調節具をステ
アリングハンドル近傍に配置し、操作頻度の低い感度調
節具を前記ステアリングハンドルから離れた位置に配置
してある。
【0008】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項
1又は2において、複数の感度調節具の一方が露出状態
で配置され、他方が開閉自在な蓋体で覆われる状態で配
置されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通
りである。
【0009】本発明の第4の特徴(請求項3)は請求項
1から3のうちのいずれか一つにおいて、複数の感度調
節具が補正器と感度設定器とで構成されると共に、感度
設定器が運転座席の前方位置の操縦部パネルに対して露
出状態で備えられ、補正器が後輪フェンダーに対して開
閉自在な蓋体で覆われる状態で備えられている点にあ
り、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0010】〔作用〕 上記第1の特徴によると、複数の感度調節具の組合わせ
によって制御感度の調節域が広くなって様々な圃場条件
に対応させることが可能になるとともに、これらの感度
調節具のうち操作頻度の高いものを操作し易い操縦部パ
ネルに設けることができるので感度調節を容易に行うこ
とができ、操作頻度の低い他の感度調節具を操縦部パネ
ルから離れた位置に設置できるので、誤って操作する不
都合を少なくできる。 また、上記第2の特徴によると、
操作頻度の高い感度設定具をステアリングハンドル近傍
に設けることができるので、ハンドル操作を行いながら
操縦者の姿勢を大きく変更することなく操作を行うこと
ができ、操作頻度の低い感度設定具に対してはハンドル
から離れた位置に設けて誤操作を阻止するような条件で
設置す ることができる。
【0011】上記第の特徴によると、露出状態の感度
調節具は遮られることなく直接的に素早く容易に操作で
き、蓋体で覆われた感度調節具は作業者の手や衣服が意
に反して触れ誤操作される不都合や塵埃による汚れの発
生を回避しながら、蓋体を開放することで容易に操作で
きる。つまり、操作頻度の高い感度調節具を露出状態で
配置し、操作頻度の低い感度調節具を蓋体で覆われる状
態で配置することで操作形態に無理がない。
【0012】上記第の特徴によると、作業開始時に圃
場の状況に応じて感度設定器と補正器とで制御感度を設
定しておくだけで、作業時には作業者が圃場の状態に応
じて操縦部パネルに露出状態で備えた感度設定器の操作
状態を視覚的に確認しながら容易に制御感度の調節を行
えるものとなり、又、補正器が操縦部パネルから離間し
た後輪フェンダー位置において蓋体で覆われた状態で配
置されているので、操縦部パネルに配置スペースを確保
しなくて済み、しかも、補正器を蓋体で覆えるので蓋体
を閉じておくだけで、補正器の不要な操作が行われ難く
なり、手や衣服が触れて補正器が誤操作されることもな
い。
【0013】〔発明の効果〕 従って、対地作業装置の昇降用の制御感度を敏感側にも
鈍感側にも余裕をもった調節域で微調節でき、しかも、
この感度調節を素早く誤操作なく行える移植機が合理的
に構成されたのである(請求項1、2)。又、複数の感
度調節具のうち操作頻度の高いものを選択的に容易に操
作でき(請求項)、更に、設定された制御感度を作業
者が正確に認識した状態で容易に調節できると共に、補
正器の不必要な操作や、作業者の意志に反した補正器の
誤操作を回避して制御感度を適正な状態に維持できるも
のとなったのである(請求項)。
【0014】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図1
5に移植機の一例である乗用型田植機を示している。こ
の田植機は、乗用型走行機体1の後部に平行四連リンク
機構2を介して苗植付装置3〔対地作業装置の一例〕を
リフトシリンダ4〔駆動機構の一例〕により駆動昇降自
在並びに電動式ローリングモータ5により前後軸芯周り
で駆動ローリング自在に連結して構成してある。
【0015】走行機体1は、機体前部に搭載したエンジ
ン6の動力がベルト式無段変速装置7及びミッションケ
ース8内のギアシフト式の主変速装置9を介して前後車
輪10,11に伝えられ、機体を走行駆動するよう構成
するとともに、変速後の動力が植付クラッチ12を介し
て断続操作自在に苗植付装置3に伝えられるよう伝動系
を構成してある。前記無段変速装置7は、割りプーリ式
の無段変速装置であって割りプーリの間隔を機体操縦部
パネル13に備えたポテンショメータ型の速度設定器1
4による設定速度になるよう電動シリンダ15により駆
動操作するよう構成してある。又、主変速装置9は、主
変速レバー16によって植付作業用前進第1速F1、路
上走行用前進第2速F2、中立位置N、及び後進位置R
の夫々に切り換え操作自在に構成してある。
【0016】前記苗植付装置3は、フレーム兼用の植付
伝動ケース17に対して、一定ストロークで往復横移動
する苗のせ台18、苗のせ台18の下端部から苗を一株
づつ取り出して植付ける植付機構19、後部支点周りで
上下揺動自在に支持される複数の接地フロート20等を
備えるとともに、左右両側には、次回作業行程における
走行指標線を圃場面上に描くための線引きマーカ21を
出退自在に設けてある。各線引きマーカ21,21は、
突出姿勢に切り換え付勢するとともに、苗植付装置3を
上昇するに伴ってワイヤを介して強制的に格納されるよ
う構成し、左右の線引きマーカ21,21を格納状態で
ロック保持する夫々のロック機構22,22を、選択的
にロック解除させて、苗植付装置3を下降させたときに
選択された側の線引きマーカが突出作用姿勢に設定され
るよう構成してある。前記各ロック機構22,22の解
除操作は、図7に示すように、ステアリングハンドル2
3の右下方側に設けられた第1操作具24を復帰付勢さ
れた中立位置から前後正逆方向に切り換え操作すること
で選択的に行われるよう構成してある。この第1操作具
24は中立位置から正逆切り換え操作すると、それに連
動して、植付クラッチ12の入り操作用クラッチスイッ
チ25が入り操作されるよう連係されている。前記植付
クラッチ12は、図1に示すように、クラッチ入り信号
及びクラッチ切り信号により切り換えられるリレー回路
26を介して駆動される正逆転型の電動式クラッチモー
タ27によりギア減速式作動部材28を介して入り切り
操作するよう構成するとともに、クラッチ入り状態であ
るか切り状態であるかの判断は、作動部材28に接当作
用するクラッチオフスイッチ29、クラッチオンスイッ
チ30のいずれかにより検出するよう構成してある。
尚、連動操作用のリンク機構にはクラッチ切り側の操作
に際に圧縮作動により連動連係させる圧縮スプリングS
Pを介装して、操作融通を確保しながらクラッチ切り操
作を迅速に行えるようにしてある。
【0017】前記苗植付装置3は、運転座席31の横側
に手動で前後揺動操作自在に設けられた操作レバー32
の切り換え操作によって昇降操作されるよう構成してあ
る。この操作レバー32は、図6に示すように、「植付
位置」P、「下降位置」D、「中立位置」N、「上昇位
置」U及び「自動位置」ATの夫々に切り換え操作可能
に構成され、その切り換え操作は、前後揺動量をポテン
ショメータ型レバーセンサ33により検出して、マイク
ロコンピュータを備えた制御装置34によりレバーセン
サ33の検出値のレベル判断によって行われる。つま
り、制御装置34はそのレベル判断に基づいて、「植
付」位置にあれば、苗植付装置3が接地下降した状態で
植付クラッチ12をクラッチ入り操作させ、「下降位
置」Dにあれば、植付クラッチ切り状態で苗植付装置3
を接地下降させる。「中立位置」Nであればそのまま位
置保持し、「上昇位置」Uであれば苗植付装置3を設定
高さまで強制上昇させる。そして、「自動位置」ATに
切り換え操作されると、後述するような、昇降操作スイ
ッチ35による昇降操作を行うことができるとともに、
機体後進時に苗植付装置3を強制上昇させる制御を行
う。図7に示すように、機体操縦部におけるステアリン
グハンドル23の左下方側に第2操作具36が設けら
れ、この第2操作具36は戻し付勢された中立位置から
上方側に揺動操作すると、昇降操作スイッチ35が入り
作動し、その入り作動毎に、苗植付装置3を接地下降さ
せる状態と、最大上昇位置まで苗植付装置3を上昇させ
る状態とを交互に現出させることができる。尚、この第
2操作具36を中立位置から下方側に揺動操作すると、
植付クラッチ12を入り状態に切り換えるためのクラッ
チスイッチ25を操作するよう構成してある。又、主変
速レバー16が後進位置Rに検出されたことを検出する
後進検出スイッチ37を設け、この後進検出スイッチ3
7が検出作動状態になれば、制御装置34が苗植付装置
3を強制的に最大上昇位置まで上昇させるよう制御す
る。苗植付装置3が最大上昇位置まで上昇したことの検
出は、運転座席31の後部側に配備したリンクスイッチ
38にリンク機構2の途中部が接当作用することで検出
されるよう構成してある。上記したような昇降操作スイ
ッチ35による苗植付装置3の昇降制御、及び、機体後
進時の強制上昇制御は、操作レバー32が「自動位置」
ATに操作されている場合においてのみ行われるよう構
成してある。
【0018】そして、前記操作レバー32が、「植付位
置」P、「下降位置」D及び「自動位置」ATのうちの
いずれかに操作されており、且つ、主変速レバー16が
前進第1速F1又は前進第2速F2に操作されている状
態において、苗植付装置3の左右傾斜姿勢が設定姿勢に
維持されるよう自動ローリング制御が実行されるよう構
成してある。詳述すると、図3に示すように、主変速レ
バー16が前進第1速F1又は前進第2速F2に操作さ
れているか否かを検出する主変速スイッチ39と、苗植
付装置3の絶対水平姿勢からの傾斜角度を検出する重錘
式の傾斜センサ40と、目標傾斜姿勢を人為設定するポ
テンショメータ型傾斜角設定器41〔ローリング角度設
定器の一例〕とを備え、これらの出力及びレバーセンサ
33の出力に基づいて制御装置34が、図4の制御フロ
ーチャートに示すように制御を行う。前記主変速スイッ
チ39により主変速レバー16が前進第1速F1又は前
進第2速F2に操作されていることが検出され、レバー
センサ33の出力により操作レバー32の操作位置が
「植付位置」P、「下降位置」D及び「自動位置」AT
のうちのいずれかに操作されていることが検出される
と、傾斜センサ40の検出値XRが傾斜角設定器41に
よる目標値Raと異なり、傾斜センサ40の検出値XR
が傾斜角設定器41による目標値Raより小さければ、
これらの値がほぼ合致するまで右下がり用の出力をリレ
ー回路42に出力して、ローリングモータ5を右下がり
方向に回動駆動させる。傾斜センサ40の検出値XRが
傾斜角設定器41による目標値Raより大きければ、左
下がり用の出力をリレー回路42に出力して、ローリン
グモータ5を左下がり方向に回動駆動させる。尚、ロー
リングモータ5が機械的作動限界まで駆動され、左右の
リミットスイッチ43,44によりそのことが検出され
ると、リレー回路42を直接切り操作してローリングモ
ータ5の駆動を停止させるよう回路構成してある。又、
上記したような自動制御系に異常が発生した場合であっ
ても、3位置切り換え式で且つ中央に復帰付勢された手
動ローリングスイッチ45によりリレー回路42を直接
駆動して手動でローリング駆動できるよう構成してあ
る。前記手動スイッチ45による手動ローリング作動に
おいては、制御装置34からの制御信号はオフ状態に維
持されるよう構成してある。
【0019】植付け作業中において、苗植付装置3の対
地高さが設定値に維持されるべく自動昇降制御するよう
構成してある。図2に示すように、左右中央に位置する
接地フロート20の接地圧変動に基づく上下揺動量を検
出するポテンショメータ型フロートセンサ46を備え、
このフロートセンサ46の検出値が、操縦部パネル13
に設けられたポテンショメータ型感度設定器47による
設定領域内に収まるよう、制御装置34がリフトシリン
ダ4に対する電磁制御弁48を自動で切り換え制御する
ことで、苗植付装置3の対地高さが設定値に維持される
ことになる。つまり、制御装置34は、図5に示すよう
に、フロートセンサ46の検出値XSが目標値Saの不
感帯内にあればその状態を保持し、検出値XSが目標値
Saより大きければ、電磁制御弁48の上昇用電磁ソレ
ノイドUPSolに駆動信号を出力し、検出値XSが目
標値Saより小さければ、下降用電磁ソレノイドDWS
olに駆動信号を出力するよう制御する。尚、この自動
昇降制御は、操作レバー32が「植付位置」P、「下降
位置」D及び「自動位置」ATのうちのいずれかに操作
されているときにのみ制御が実行されるよう構成してあ
る。前記感度設定器47は、接地フロート20の目標基
準姿勢を変更させて、泥土の硬軟に応じて接地フロート
20の感知荷重を変更させるのである。又、この感度設
定器47による制御目標値は、3位置切り換え式の補正
スイッチ51〔補正器の一例〕により補正できるように
してある。図8に示すように、補正スイッチ51の切り
換えによって感度設定器47による設定値に対する制御
目標値の変化特性を、平行移動により鈍感側〔接地フロ
ートの基準姿勢が前上がり方向〕あるいは敏感側〔前下
がり方向〕に変更できるのである。又、機体走行速度が
高速になれば接地フロート20が浮き上がり気味になっ
て苗植付装置3が上昇して浅植えになるおそれがあるか
ら、前記昇降制御における制御目標値の変化特性は、車
速に応じて変更するよう構成してある。つまり、エンジ
ン6の回転数を検出する回転数センサ52と、無段変速
装置7の変速位置をポテンショメータ型変速位置センサ
53とを備え、これらの出力から制御装置34が車速を
演算し、車速が速ければ〔例えば、車速が0.8メート
ル/秒以上〕制御目標値の変化特性を鈍感側に変更さ
せ、車速が速いほど変更量が大になるようにしてある。
更に、リフトシリンダ4に対する図示しない油圧ポンプ
はエンジン6により駆動される構成であるから、リフト
シリンダ4に対する作動油流量はエンジン回転数の変化
により変化してしまうので、制御装置34は、上記エン
ジン回転数の検出結果に応じて、電磁制御弁48の各電
磁ソレノイドUPSol,DWSolに供給するパルス
電流のデューティ比を適宜変更させて、常に作動油流量
が一定に維持されるよう制御する。
【0020】図9に示すように、前記傾斜角設定器4
1、手動ローリングスイッチ45及び補正スイッチ51
の夫々は、運転座席31の横側に位置する後輪フェンダ
ー54上に配備してあり、これらは開閉自在な蓋体55
で覆うよう構成してある。
【0021】次に苗植付装置3の昇降作動に関する制御
装置34の制御作動について図10〜図14に示す制御
フローチャートに基づいて詳述する。メインスイッチが
入り作動して制御が開始されると、リフトシリンダ4に
対する電磁制御弁48の上昇用電磁ソレノイドUPSo
l、及び下降用電磁ソレノイドDWSolの夫々に対す
る出力をオフ状態にし、昇降操作スイッチ35に対する
動作フラグf0、クラッチスイッチ用動作フラグf1、
自動昇降制御用動作フラグf2、後進上昇作動用動作フ
ラグf3の夫々を「0」に初期化する〔ステップ1,
2〕。操作レバー32が「自動位置」AT以外の位置に
操作されていれば、前記各動作フラグf0〜f3を初期
化させ、「中立位置」Nであればクラッチモータ27に
対するクラッチ入り信号STRをオフにして、クラッチ
オフスイッチ29がオンであればクラッチ切り信号ST
Pをオフにし、クラッチオフスイッチ29がオフであれ
ばクラッチ切り信号STPを出力して、植付クラッチ1
2を切り状態に維持する〔ステップ3〜9〕。そして、
メインスイッチの入り操作時に操作レバー32が「自動
位置」AT、あるいは「中立位置」N以外の位置にあれ
ば、1度、操作レバー32が「中立位置」Nに切り換え
操作された後に、次のステップに進む〔ステップ1
0〕。
【0022】操作レバー32が「上昇位置」Uに操作さ
れると、クラッチ入り信号STRをオフ状態にし、自動
昇降制御用動作フラグf2を「0」に設定した後、クラ
ッチオフスイッチ29がオンであればクラッチ切り信号
STPをオフ状態にして、リンクスイッチ38がオン状
態〔苗植付装置3が上昇状態〕であれば上昇用電磁ソレ
ノイドUPSolをオフし、リンクスイッチ38がオフ
状態であれば上昇用電磁ソレノイドUPSolをオン操
作させ苗植付装置3を上昇させる〔ステップ11〜1
7〕。クラッチオフスイッチ29がオンでなければクラ
ッチ切り信号STPをオンさせてクラッチモータ27に
より植付クラッチ12を切り操作させ、上昇、下降用ソ
レノイドUPSol,DWSolをオフさせる〔ステッ
プ18、19〕。操作レバー32が「下降位置」Dに操
作されると、クラッチ入り信号STRを出力停止状態に
した後、上記したような制御と同様に植付クラッチ12
を切り状態に維持しながら〔ステップ20〜23〕、苗
植付装置3を下降させる〔ステップ24〜26〕。フロ
ートセンサ46の検出値より苗植付装置3が接地したこ
とが判断されると、前記自動昇降制御モードを実行する
〔ステップ27〕。このとき、リンクスイッチ38がオ
ンすれば上昇用ソレノイドUPSolをオフ状態にさ
せ、自動昇降制御用動作フラグf2を「1」に設定する
〔ステップ28〜30〕。操作レバー32が「植付位
置」ATに操作されると、クラッチ入り信号STRをオ
フ状態にした後、クラッチオンスイッチ30がオンする
までクラッチ入り信号STRを出力してクラッチモータ
27を作動させ植付クラッチ12を入り状態にさせる
〔ステップ31〜34〕。その後は、自動昇降制御が実
行される。尚、自動昇降制御用動作フラグf2以外の動
作フラグf0,f1,f3は「0」に維持される〔ステ
ップ35〕。
【0023】次に操作レバー32が「自動位置」ATに
操作された場合の動作について説明する。操作レバー3
2が「自動位置」ATに操作された後、昇降操作スイッ
チ35が操作されると、スイッチ動作フラグf0を
「1」に設定し、リンクスイッチ38がオン状態〔上昇
状態〕であれば自動昇降制御用動作フラグf2を「0」
に設定し、下降用ソレノイドDWSolをオンさせて苗
植付装置3を下降させる〔ステップ36、37、39〜
43〕。苗植付装置3が接地下降すれば、スイッチ動作
フラグf0を「0」に設定し、自動昇降制御用動作フラ
グf2を「1」に設定した後、自動昇降制御モードに移
行する〔ステップ44〜48〕。又、昇降操作スイッチ
操作時にリンクスイッチ38がオフ状態であれば、植付
クラッチ12を切り操作して、リンクスイッチ38がオ
ン状態になるまで上昇操作させる〔ステップ49〜5
4〕。リンクスイッチ38がオン状態になればスイッチ
動作フラグf0を「0」に設定する〔ステップ55、5
6〕。上昇あるいは下降作動中に再度、昇降操作スイッ
チ35が操作されると、操作方向を反転させる〔ステッ
プ56〜60〕。尚、初期状態において昇降操作スイッ
チ35の上昇側操作が行われたとき、植付クラッチ12
が切り状態でなければ、初期状態に戻る〔ステップ3
7、38〕。そして、苗植付装置3が下降した後、上記
した操縦部の各操作具24,36によるクラッチスイッ
チ25の入り操作が行われると、クラッチスイッチ動作
フラグf1を「1」に設定して植付クラッチ12を入り
作動させ〔ステップ61〜64〕、クラッチオンスイッ
チ30がオンするまで警報ブサー56を鳴らし、クラッ
チオンスイッチ30がオンすると、クラッチスイッチ動
作フラグf1を「0」に設定して警報を停止させる〔ス
テップ65〜69〕。その後は自動昇降制御モードに移
行する。
【0024】そして、操作レバー32が「自動」位置に
操作された後、主変速レバー16が後進変速位置に操作
されたことが後進検出スイッチ37により検出され、リ
ンクスイッチ38がオン状態でなければ、後進上昇用動
作フラグf3を「1」に設定した後〔ステップ70〜7
4〕、ステップ49に進み、植付クラッチ12を切り操
作してリンクスイッチ38がオンするまで苗植付装置3
を強制上昇させる。リンクスイッチ38がオンすると後
進上昇用動作フラグf3を「0」に設定する〔ステップ
56〕。又、昇降操作スイッチ35の操作や後進検出ス
イッチ37の検出作動が無く、後進上昇動作フラグf3
が「1」であるとき、苗植付装置3が上昇位置にあり操
作レバー32が他の位置からシフトされた場合、又、自
動昇降制御モードで無い場合には、その昇降位置で保持
され〔ステップ75〜79〕、それ以外の場合には、自
動昇降制御モードに移行する〔ステップ80、46〕。
【0025】(1)前記第2操作具36の下方側操作に
基づいて、前記昇降操作スイッチ35の操作と同様に、
その操作毎に植付クラッチ12の入り状態と切り状態と
を交互に現出させるよう制御する構成であってもよい。
つまり、第2操作具36が、復元付勢された中立位置か
ら所定方向への操作に基づいて、前記苗植付装置3に対
する植付クラッチ12を切り操作させ且つ苗植付装置3
を所定位置まで強制上昇させる第1状態と、苗植付装置
3を接地下降させる第2状態とを交互に現出させ、且
つ、前記中立位置から前記所定方向と異なる方向への操
作に基づいて、植付クラッチ12を入り操作させる状態
と、植付クラッチ12を切り操作させる状態とを交互に
現出させるように制御装置34が制御作動を行うよう構
成するものである。 (2)又、前記第2操作具36は、縦軸芯周りで前後自
在に設け、後方側への揺動操作に基づいて昇降操作スイ
ッチ35の切り換え操作を行い、前方側への操作に基づ
いて植付クラッチ12を操作する構成であってもよい。
【0026】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇降操作用制御ブロック図
【図2】昇降制御ブロック図
【図3】ローリング制御ブロック図
【図4】ローリング制御フローチャート
【図5】昇降制御フローチャート
【図6】操作レバーの操作説明図
【図7】操作具の配設部の平面図
【図8】感知感度特性図
【図9】操作部の平面図
【図10】昇降制御フローチャート
【図11】昇降制御フローチャート
【図12】昇降制御フローチャート
【図13】昇降制御フローチャート
【図14】昇降制御フローチャート
【図15】田植機の全体側面図
【符号の説明】
1 走行機体 3 対地作業装置 4 駆動機構 13 操縦部パネル 20 接地フロート 31 運転座席 34 制御装置 47 感度設定器 51 補正器 54 後輪フェンダー 55 蓋体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行機体(1)の後部に駆動機構(4)
    により駆動昇降自在に対地作業装置(3)を連結し、こ
    の対地作業装置(3)に備えた接地フロート(20)
    を、設定された制御感度に対応する目標姿勢に維持する
    よう該対地作業装置(3)の昇降を行う制御装置(3
    4)を備えた移植機であって、 前記制御感度を設定する人為操作型の感度調節具を夫々
    の組合せ操作で前記制御感度を設定できるよう複数個備
    えると共に、一方の感度調節具を操縦部パネル(13)
    に設けるとともに、他方の感度調節具を前記操縦部パネ
    ル(13)から離れた位置に配置してある移植機。
  2. 【請求項2】 走行機体(1)の後部に駆動機構(4)
    により駆動昇降自在に対地作業装置(3)を連結し、こ
    の対地作業装置(3)に備えた接地フロート(20)
    を、設定された制御感度に対応する目標姿勢に維持する
    よう該対地作業装置(3)の昇降を行う制御装置(3
    4)を備えた移植機であって、 前記制御感度を設定する人為操作型の感度調節具を夫々
    の組合せ操作で前記制御感度を設定できるよう複数個備
    えると共に、操作頻度の高い感度調節具をステアリング
    ハンドル(23)近傍に配置し、操作頻度の低い感度調
    節具を前記ステアリングハンドル(23)から離れた位
    置に配置してある移植機。
  3. 【請求項3】 数の感度調節具の一方が露出状態で配
    置され、他方が開閉自在な蓋体(55)で覆われる状態
    で配置されている請求項1又は2記載の移植機。
  4. 【請求項4】 数の感度調節具が補正器(51)と感
    度設定器(47)とで構成されると共に、前記感度設定
    器(47)が運転座席(31)の前方位置の操縦部パネ
    ル(13)に対して露出状態で備えられ、前記補正器
    (51)が後輪フェンダー(54)に対して開閉自在な
    蓋体(55)で覆われる状態で備えられている請求項
    〜3のうちのいずれか一つに記載の移植機。
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