JP5399158B2 - 二重バッフルを有するスピーカー装置 - Google Patents
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Description
図13は従来のスピーカー装置を示す模式図である。
この図において、100はスピーカー、101はマグネットを主体とする磁気回路、102は振動板、103はフレーム、104はリスナー、105はスピーカー前面から出る音(正位相の音)、106はスピーカー後面から出る音(負位相の音)である。
(a)平面バッフル方式
図14に示すように、前面から出てくる音105と後面から出てくる音106とをバッフル板107のみで遮断する方式である。後面から出てくる音106は、バッフル板107によって遠回りして前に出てくるため、バッフル板107が大きいほど低音再生に有利である。なお、バッフル板が無限大で剛性が大きければ、理論的に最高の再生音を得ることができる。
図15に示すように、スピーカー100の後面を適当な大きさの容積の密閉箱108で完全に囲って、後面から出てくる音106を外に出さないようにする方式であり、スピーカー100の前面から出てくる音105だけが、リスナー104に届くことになる。この方式は、スピーカー装置を小型にするために用いられるが、自然な低音再生をするには、密閉箱108内部の空気圧の影響を受け難くする必要がある。そのために、スピーカー100の振動板102の強度を増したり、密閉箱108の内部に音響エネルギーの吸収材料(吸音材)109を十分に入れたり、磁気回路101を強化する必要がある。
図16に示すように、平面バッフルの周辺を折り曲げた(折り曲げ部を有するバッフル110)方式である。上記(b)の密閉方式のようにスピーカー100の振動板102に空気負荷がかからず、また、低音を出すためにどうしても大きくなりやすい上記(a)の平面バッフル方式に対して、周辺を折り曲げることにより小型化を図ることができる。
図17に示すように、スピーカー100から適当に離して設置したポート(ダクト)111までの間の空間で低音の位相を反転させ、ポート(ダクト)111で特定の周波数を共振させて位相を反転させた音113とスピーカー100の前面から出てくる音105と合わせて低音を拡大する方式である。
図18に示すように、外部と内部にそれぞれポート(ダクト)111,114を設けた箱115において、箱115の内部に設けたポート(ダクト)114で一旦バスレフ動作させ、外部に設けたポート(ダクト)111でさらにバスレフ動作させることによって低域を拡大させる方式のスピーカー装置である。
図19に示すように、スピーカーの後面から出てくる音106をロードホーン117に導いて、そのロードホーン117から位相が反転された低音113を出し、スピーカー100の前面から出てくる音105と合わせて低音を拡大する方式である。上記(d)の位相反転方式と同様に、スピーカーの後面から出てくる音106の位相を反転しているが、ホーンロードがかかっているので音響効率が高い。また、上記(d)の位相反転方式のように特定の周波数で共振するポート(ダクト)を持たないが、その代わりにロードホーン117の形状により低音特性が影響を受けるので高度な設計技法を要するスピーカー装置である。
まず、上記(b)の密閉方式は箱形のエンクロージャーであり、後面の音響エネルギーを密閉箱108の内部の吸音材等の吸収材料109で減衰させる方式であるが、密閉箱108内部の音圧がスピーカーユニットの振動板102に作用し、再生音源の忠実度を損なわせるという欠点がある。
一方、最も基本的な上記(a)の平面バッフル方式の場合、スピーカー100の後面から出てくる音106が前面に回り込むのを防ぐためにバッフル板107を大きくすると、大きな試聴空間が必要となる。また、振動板102が前後に動く時の反力がバッフル板107を動かし、バッフル板107を大きくするほどに断面剛性が不足してくる。
〔1〕二重バッフルを有するスピーカー装置であって、スピーカーユニットが設置される支持板の左右に配置され、前記支持板の両側を支持・固定する外側に開いた2枚の平板からなるスピーカー前面の音に対する前面バッフルと、前記スピーカーユニットが設置される前記支持板の左右に配置され、前記支持板の両側を支持・固定する外側に開いた2枚の平板からなるスピーカー後面の音に対する後面バッフルと、前記前面バッフルと前記後面バッフルの上下に配置される天板と地板とを具備し、前記前面バッフルと前記後面バッフルとの間に音の無い空間を形成し、前記スピーカーユニットの後面から前面への音の回り込みを最小限に抑えるとともに、前記スピーカーユニットは後面が開放されており、振動板の動きを拘束しないので、振動板は入力信号をそのまま再生し、前記前面バッフルと前記後面バッフルとを構成する外側に開いた2枚の平板の取り付け角度が30度〜150度であることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の二重バッフルを有するスピーカー装置において、前記後面バッフルを構成する平板の側面の幅を前記前面バッフルを構成する平板の側面の幅に対して長くしたことを特徴とする。
つまり、二重バッフルを有するスピーカー装置であって、スピーカーの振動板の前面に出る音のための前面バッフル板を支持板と合わせて鉢形バッフル板とし、スピーカーの振動板の後面に出る音のための後面バッフル板も前面バッフル板と同様に鉢形バッフルとなし、それらの前面バッフル及び後面バッフルを平板状の天板と地板で挟み込むように構成している。
また、スピーカーの振動板の動きを拘束しないので、振動板は入力信号をそのまま再生することができ、忠実な音源再生を実現することができる。
図1は本発明の第1実施例を示す二重バッフルを有するスピーカー装置を示す斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4はその二重バッフルを有するスピーカー装置の前面を示す図面代用写真、図5はその二重バッフルを有するスピーカー装置の前方からの斜視状態を示す図面代用写真、図6はその二重バッフルを有するスピーカー装置のスピーカーユニット部の前面を示す図面代用写真、図7はその二重バッフルを有するスピーカー装置のスピーカーユニット部の裏面を示す図面代用写真である。
図8は本発明の第2実施例を示す二重バッフルを有するスピーカー装置を示す斜視図、図9は図8のC−C線断面図、図10は図8のD−D断面図である。
このように構成したので、スピーカーユニット21の後面から前面への音の回り込みを最小限に抑えることができる。また、スピーカーユニット21の振動板の動きを拘束しないので、振動板は入力信号をそのまま再生することができ、音響再生の音場特性と音質特性とを改善することができる。
図11は本発明の二重バッフルを有するスピーカー装置を示す模式図である。
このように、本発明の二重バッフルを有するスピーカー装置によれば、スピーカーユニットの振動板43の前面の音場と後面の音場との間に、音の無い空間46を作ることができ、スピーカー41の後面から出る音49の前面への回り込みを最小限に抑えることができる。
図12は本発明の二重バッフルを有するスピーカー装置の二重バッフルの各種形状を示す模式図である。
図12(a)では、前面バッフルの左側平板51Aと右側平板51Bの幅L1が後面バッフルの左側平板52Aと右側平板52Bの幅L2に対して長くなるように形成している。
図12(c)では、前面バッフルの左側平板55Aと後面バッフルの左側平板56A、または前面バッフルの右側平板55Bと後面バッフルの右側平板56Bとの挟角θ1 が小さい場合を示している。
以下、さらに、参考例を示すと、図12(e)では、前面バッフルの左側板61A(又は後面バッフルの左側平板62Aでもよい)及び前面バッフルの右側板61B(又は後面バッフルの右側平板62Bでもよい)を凸曲面とするようにしている。
また、図12(g)に示すように、前面バッフルの左側板65A及び後面バッフルの左側板66A、さらに、前面バッフルの右側板65B及び後面バッフルの右側板66Bの全てを凹曲面とするようにしてもよい。
このように、本発明の前面バッフルおよび後面バッフルから構成される二重バッフルは、スピーカーユニットの振動板の前面の音場と後面の音場との間に音の無い空間を作ることができ、スピーカーの後面から出る音の回り込みを最小限に抑えることができる限りにおいて、種々の変形を行うことができる。
2,23 支持板
3,26 前面バッフルの左側平板
4,28 前面バッフルの右側平板
5,27 後面バッフルの左側平板
6,29 後面バッフルの右側平板
7 天板
8 地板
23A 支持体の上側の辺
23B 支持体の下側の辺
26A 前面バッフルの左側平板の内側の辺
26C 前面バッフルの左側平板の上側の傾斜辺
26D 前面バッフルの左側平板の下側の傾斜辺
27A 後面バッフルの左側平板の内側の辺
27C 後面バッフルの左側平板の上側の傾斜辺
27D 後面バッフルの左側平板の下側の傾斜辺
28A 前面バッフルの右側平板の内側の辺
28C 前面バッフルの右側平板の上側の傾斜辺
28D 前面バッフルの右側平板の下側の傾斜辺
29A 後面バッフルの右側平板の内側の辺
29C 後面バッフルの右側平板の上側の傾斜辺
29D 後面バッフルの右側平板の下側の傾斜辺
30,32 三角形状の上面連結板
31,33 三角形状の下面連結板
34 前面バッフルの上側傾斜板
35 後面バッフルの上側傾斜板
36 前面バッフルの下側傾斜板
37 後面バッフルの下側傾斜板
41 スピーカー
42 磁気回路
43 振動板
44 フレーム
45 二重バッフル板
46 音の無い空間
47 リスナー
48 スピーカー前面から出る音
49 スピーカー後面から出る音
51A,53A,55A,57A 前面バッフルの左側平板
51B,53B,55B,57B 前面バッフルの右側平板
52A,54A,56A,58A,62A 後面バッフルの左側平板
52B,54B,56B,58B,62B 後面バッフルの右側平板
Claims (4)
- (a)スピーカーユニットが設置される支持板の左右に配置され、前記支持板の両側を支持・固定する外側に開いた2枚の平板からなるスピーカー前面の音に対する前面バッフルと、
(b)前記スピーカーユニットが設置される前記支持板の左右に配置され、前記支持板の両側を支持・固定する外側に開いた2枚の平板からなるスピーカー後面の音に対する後面バッフルと、
(c)前記前面バッフルと前記後面バッフルの上下に配置される天板と地板とを具備し、
(d)前記前面バッフルと前記後面バッフルとの間に音の無い空間を形成し、前記スピーカーユニットの後面から前面への音の回り込みを最小限に抑えるとともに、前記スピーカーユニットは後面が開放されており、振動板の動きを拘束しないので、振動板は入力信号をそのまま再生し、
(e)前記前面バッフルと前記後面バッフルとを構成する外側に開いた2枚の平板の取り付け角度が30度〜150度であることを特徴とする二重バッフルを有するスピーカー装置。 - 請求項1記載の二重バッフルを有するスピーカー装置において、前記前面バッフルを構成する平板の側面の幅を前記後面バッフルを構成する平板の側面の幅に対して長くしたことを特徴とする二重バッフルを有するスピーカー装置。
- 請求項1記載の二重バッフルを有するスピーカー装置において、前記後面バッフルを構成する平板の側面の幅を前記前面バッフルを構成する平板の側面の幅に対して長くしたことを特徴とする二重バッフルを有するスピーカー装置。
- 請求項1から3の何れか一項記載の二重バッフルを有するスピーカー装置において、前記バッフルの材質を木、プラスチック、金属、コンクリートとしたことを特徴とする二重バッフルを有するスピーカー装置。
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