JP2004343229A - 全指向性スピーカーシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】再生する帯域内では水平方向において周波数に関係なく完全に全指向性を実現するとともに、変換能率が高く、構造が簡単で安価なスピーカーシステムの提供。
【解決手段】低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MHと高音放射部Tとを備えた4ウエイのスピーカーシステムである。低音放射部LはウーファーWとキャビネット8とからなり、中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tは夫々ホーン型スピーカであって、各々のドライバーDa,Db,Dcは動電型電気音響変換器であり、振動板1の前面に形成されている開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置され、水平方向全周囲に広がる下部ホーン部材4a,4b,4cと該下部ホーン部材4a,4b,4cに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5a,5b,5cとからなるホーンHa,Hb,Hcが結合されている構成。
【選択図】 図1
【解決手段】低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MHと高音放射部Tとを備えた4ウエイのスピーカーシステムである。低音放射部LはウーファーWとキャビネット8とからなり、中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tは夫々ホーン型スピーカであって、各々のドライバーDa,Db,Dcは動電型電気音響変換器であり、振動板1の前面に形成されている開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置され、水平方向全周囲に広がる下部ホーン部材4a,4b,4cと該下部ホーン部材4a,4b,4cに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5a,5b,5cとからなるホーンHa,Hb,Hcが結合されている構成。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステレオ再生装置に於いて、広い周波数帯域の再生音を全周囲方向に対して均等に放射しうる全指向性スピーカーシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スピーカーシステムは、最も簡単な構造としては、周知のごとく直方体形状のキャビネットにスピーカーを取り付けた構造のものが多用されている。しかしながら一個のスピーカーを取り付けただけでは振動板が単一であるから、その指向性に起因してスピーカーの正面と正面から外れた方向とでは異なった周波数特性を示し、広い周波数帯域にわたって全ての方向に平坦な周波数特性を得ることは困難であることは周知の事実であり、従って優れた再生音を得るためには全周波数帯域を複数区分に分割し、夫々の帯域に対して設計された専用のスピーカー(又はホーン型スピーカーの場合はドライバーともいう)を使用するマルチウエイ方式が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様なマルチウエイ方式のスピーカーシステムであっても割り当てられた帯域を担当する個々のスピーカーが、周波数が高くなると指向特性がシャープとなって再生音質を劣化させるという欠点があった。特に高音域再生を担当するトゥイータは音響再生能率を高くする目的でホーン型スピーカーが使用されることが多いが、この様な場合は、ホーンの作用でこの欠点が著しく助長されがちであった。この欠点を緩和するために中音域、高音域の再生を担当するスピーカーの前面に、拡散を利用して音波を散乱させる音響レンズ(ディフューザー)を配置して、指向特性をブロードとする手段が採用されているが、この手段は音響レンズのような別部材を必要とするので、スピーカーシステムが大掛かりとなり、且つ高価なものとなると言う問題点を有していた。又、この様な方式では、低音から高音に至るまで完全な360度水平方向の無指向性を得ることは不可能であり、且つ、従来方式の無指向性スピーカーシステムの一般的な欠点であった低能率を改良できないという解決すべき課題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、振動板の前面にホーンとして機能する音響負荷を付与して音響変換能率を高めるとともに、該音響負荷の形状に工夫を加えて、構造が簡単でありながら、担当する帯域内では水平方向に対して周波数に関係なく完全に全指向性を実現し得るスピーカーシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の第1発明に属する全指向性スピーカーシステムは、ウーファーWと該ウーファーWが取り付けられているキャビネット8とからなる低音放射部Lと、中低音放射用のドライバーDaの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4aと該下部ホーン部材4aに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5aとからなるホーンHaが結合されている中低音放射部MLと、中高音放射用ドライバーDbの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4bと該下部ホーン部材4bに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5bとからなるホーンHbが結合されている中高音放射部MHと、高音放射用ドライバーDcの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4cと該下部ホーン部材4cに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5cとからなるホーンHcが結合されている高音放射部Tとからなり、前記低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tとが上下方向に積み重ねられている構成となっている。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記説明による本発明の全指向性スピーカーシステムを実施するには、音波を発生するドライバーDa,Db,Dcは動電型電気音響変換器であって磁気回路7と振動板1及びボイスコイル2とからなり、構造は従来のスピーカー又はドライバーと同一であるから詳述しないが、高音域再生を主目的とする場合は、振動板1は、従来のごとくドーム形でもよいが正面がリング形で半径方向断面が山形である形状とし、この山形の頂上部に沿ってボイスコイル2を取り付けた振動板とするほうが放射面積を大きくして変換能率を高め、且つ駆動点からの寸法を小さくして高周波振動に対して振動モードを良好とする上で有利である。又、中音域を含む広範囲の音を目的とする場合は、前記リング形状でもよいがドーム形やコーン形の振動板とすればよい。
【0007】
ドライバーDa,Db,Dcの夫々の開口部3には、該開口部から放出される音波を水平方向の全周囲に放射するホーンが結合されている。このホーンは音響回路の一種であって、各ドライバーの開口部3から水平方向且つ全周囲方向に広がる音道6を形成しており、その構造は、該音道6を隔てて相互に対向する下部ホーン部材4a,4b,4cと上部ホーン部材5a,5b,5cとからなる。この下部ホーン部材4a,4b,4c並びに上部ホーン部材5a,5b,5cの断面形状は、音道6の音波の進行方向に対して垂直なリング形状の断面面積が所定の割合で増大する(例えばエクスポーネンシァル形、ハイパボリック形等)とともに、ドライバーの開口部3から音道6の開口部までを滑らかに連結するごとくに設定される。具体的には下部ホーン部材4a,4b,4cの断面形状は傘形、浅い朝顔形等、或いは伝播する音波が比較的長波長の場合は、前記音道6の音波の進行方向に対する断面面積が所定の割合で増大する限り、水平方向に広がるバッフル板のような平板状の板面であってもよい。又、上部ホーン部材5a,5b,5cの形状は前記下部ホーン部材4a,4b,4cと類似した曲面形状であるが、下部ホーン部材4a,4b,4cの上方に配置したとき音道6用の空間を確保するために曲率を変更設定しなければならないことは言うまでもない。各ドライバーの開口部3の面積は夫々の振動板1の面積と略同一かそれより小とする。
【0008】
上記ホーンHは、そのスロート部即ち音道6の始端側がドライバーDの開口部3に結合されて全指向性音波放射部を形成する。振動板1から発生した音波はドライバーDa,Db,Dcの開口部3からホーンHa,Hb,Hcの夫々の音道6に放出され、該音道6に沿って水平方向に伝播しつつ広がり、ホーンHa,Hb,Hcの各開口部から全周囲方向に放出されて、完全に全方向無指向性の再生音場を形成する。ドライバーDa,Db,Dcの開口部3の面積を夫々の振動板1の面積より小とした場合はこの部分で音響変成器を形成し、ホーンHa,Hb,Hcのスロート部の音圧が増大して、スピーカーの変換能率が高くなる。
【0009】
【実施例】
図1に、第1実施例の全指向性スピーカーシステムの側面断面構造を示す。又、図2乃至図4は夫々同実施例の正面図、平面図、側面図である。この第1実施例は4ウエイのスピーカーシステムであって、低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tとが組み合わされて上下方向に積み重ねられている構造となっている。図1〜図6において、夫々の帯域音放射部の、機能が共通する各部位と符号とを対比すると、1は振動板、2はボイスコイル、3はドライバーの開口部、7は磁気回路である。低音放射部Lは、コーン形のウーファーWと該ウーファーWが取り付けられているキャビネット8とからなっており、キャビネット8は内部の上方が傾斜した反射板81で仕切られており、背面板82の下方にポート83が設けられて位相反転型となっている。キャビネツト8の反射板81と上面板84とで仕切られた密閉空間は後述する中低音放射用のドライバーDaの背面空洞として作用し、又、上面板84はドライバーDaの取り付け用のバッフル板として使用されるとともに、その上面にドライバーDaの開口部3の周囲から上面板84の外周縁に至る下部ホーン部材4aが取り付けられている。尚、図において85は補強材である。
【0010】
中低音放射部MLのドライバーDaはコーン形スピーカーを使用し、前述のごとくキャビネット8の上面板84の上面に取り付けられた下部ホーン部材4aの中心に上向きに取り付けられ、上方に上部ホーン部材5aが配置されて下部ホーン部材4aとの間に周方向全周に開口した音道6が形成され、リング形の音道6を有するホーンスピーカーとして機能している。上記上部ホーン部材5aはキャビネット8の一隅に固定した支柱9に取り付けられている。上部ホーン部材5aの内部には後述する中高音放射部MHのドライバーDbの収納空間が形成されている。
【0011】
中高音放射部MHのドライバーDaの振動板1はドーム形であって凹面側から音波を放射し、前方に周知の構造の位相等化部を介して開口部3が形成されている。下部ホーン部材4bは開口部3の外周縁から広がる円盤状リングであって上面が浅い凸面となっており、前記中低音放射部MLの上部ホーン部材5aの上面に一体として取り付けられている。上部ホーン部材5bが開口部3の上方に支柱9に取り付けられて配置され音道6を形成する。この中高音放射部MHも全指向性リング形の開口部3を有するホーンスピーカーとして機能している。
【0012】
高音放射部Tは全指向性リング形開口部を有するツィーターである。図5は側面半断面図であって、断面構造を拡大して示す。高音放射用ドライバーDcの開口部3にフレームを兼ねた下部ホーン部材4cが結合され、その上方に上部ホーン部材5cが音道6を形成するような位置に配置されている。尚、この高音放射用ドライバーDcの振動板1は、高音域再生に有利なようにリング形でその外周を磁気回路7のトッププレート71で、中心部をセンターポール73に設けられたセンターガイド74で支持されている。尚、72はマグネットである。又、上部ホーン部材5cは上記センターポール73にセンターガイド74とともに固定されている。ツィーター本体は、上部ホーン部材5cの上面に設けられた、下部ホーン部材4cに滑らかに連なるより広い面積を有する浅い凸面状のバッフル板42の中心に取り付けられている。
【0013】
図6の斜視図にこの第1実施例の全指向性スピーカーシステムの外観を示す。又、図7、図8に第1実施例の音圧周波数特性及び主要な周波数の指向特性を夫々示す。これらの諸特性図によると、先ず周波数特性は広い帯域において十分に平坦であり、又、指向特性は聴感にとって重要な周波数においてほぼ完全に全方向無指向性であることが示されている。
【0014】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0015】
【発明の効果】
以上で述べた本発明の全指向性スピーカーシステムは、 区分された各周波数帯域を担当する夫々のドライバーの開口部に、水平方向且つ全周囲方向に広がる音道が形成されているホーンが結合されており、振動板から発生した音波は音道に沿って水平方向全域に伝播し、ホーンの開口部から全周囲方向に放出されて、周波数に依存しない完全に全指向性の再生音場を形成する。従って音場内での音の広散状態は全ての周波数帯域において良好であり、その再生音について原音に対して忠実度の高い違和感のない自然な柔らかな聴感が得られる効果を有する。又、特にステレオ再生の場合、音源の位置が明瞭になって安定した音像定位を得ることが出来る効果をも有する。特に本発明のスピーカーシステムは、4ウエイのスピーカシステムであるから区分された各帯域を分担して再生する個々のスピーカーは夫々の帯域内で完全な特性のスピーカーを設計することが可能であり、従ってスピーカーシステムの全帯域を平坦で歪みの少ない再生音とすることは容易である。更に本発明の音響放射部はホーン型のスピーカーであるから電気音響変換能率が高くて従来方式の無指向性スピーカシステムの欠点であった低能率が解消されるという効果を有し、特に高音放射部においてこの効果が著しく、中、低域音を再生するスピーカーと組み合わせてシステムとして使用する場合、全帯域の周波数特性の設定が容易であるという有用な効果をも有するに至ったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の側面断面図。
【図2】同、正面図。
【図3】同、平面図。
【図4】同、側面図。
【図5】図1の高音域放射部の詳細を示す拡大側面半断面図。
【図6】第一実施例の外観を示す斜視図。
【図7】同、音圧周波数特性図。
【図8】同、指向特性図。
【符号の説明】
1 振動板
2 ボイスコイル
3 ドライバーの開口部
4a,4b,4c 下部ホーン部材
42 バッフル板
5a,5b,5c 上部ホーン部材
6 音道
7 磁気回路
71 トッププレート
72 マグネット
73 センターポール
74 センターガイド
8 キャビネット
81 反射板
82 背面板
83 ポート
84 上面板
85 補強材
9 支柱
Da,Db,Dc ドライバー
Ha,Hb,Hc ホーン
W ウーファー
L 低音放射部
ML 中低音放射部
MH 中高音放射部
T 高音放射部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステレオ再生装置に於いて、広い周波数帯域の再生音を全周囲方向に対して均等に放射しうる全指向性スピーカーシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スピーカーシステムは、最も簡単な構造としては、周知のごとく直方体形状のキャビネットにスピーカーを取り付けた構造のものが多用されている。しかしながら一個のスピーカーを取り付けただけでは振動板が単一であるから、その指向性に起因してスピーカーの正面と正面から外れた方向とでは異なった周波数特性を示し、広い周波数帯域にわたって全ての方向に平坦な周波数特性を得ることは困難であることは周知の事実であり、従って優れた再生音を得るためには全周波数帯域を複数区分に分割し、夫々の帯域に対して設計された専用のスピーカー(又はホーン型スピーカーの場合はドライバーともいう)を使用するマルチウエイ方式が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様なマルチウエイ方式のスピーカーシステムであっても割り当てられた帯域を担当する個々のスピーカーが、周波数が高くなると指向特性がシャープとなって再生音質を劣化させるという欠点があった。特に高音域再生を担当するトゥイータは音響再生能率を高くする目的でホーン型スピーカーが使用されることが多いが、この様な場合は、ホーンの作用でこの欠点が著しく助長されがちであった。この欠点を緩和するために中音域、高音域の再生を担当するスピーカーの前面に、拡散を利用して音波を散乱させる音響レンズ(ディフューザー)を配置して、指向特性をブロードとする手段が採用されているが、この手段は音響レンズのような別部材を必要とするので、スピーカーシステムが大掛かりとなり、且つ高価なものとなると言う問題点を有していた。又、この様な方式では、低音から高音に至るまで完全な360度水平方向の無指向性を得ることは不可能であり、且つ、従来方式の無指向性スピーカーシステムの一般的な欠点であった低能率を改良できないという解決すべき課題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、振動板の前面にホーンとして機能する音響負荷を付与して音響変換能率を高めるとともに、該音響負荷の形状に工夫を加えて、構造が簡単でありながら、担当する帯域内では水平方向に対して周波数に関係なく完全に全指向性を実現し得るスピーカーシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の第1発明に属する全指向性スピーカーシステムは、ウーファーWと該ウーファーWが取り付けられているキャビネット8とからなる低音放射部Lと、中低音放射用のドライバーDaの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4aと該下部ホーン部材4aに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5aとからなるホーンHaが結合されている中低音放射部MLと、中高音放射用ドライバーDbの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4bと該下部ホーン部材4bに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5bとからなるホーンHbが結合されている中高音放射部MHと、高音放射用ドライバーDcの開口部3に、側方の水平方向全周囲に開口する音道6を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材4cと該下部ホーン部材4cに対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材5cとからなるホーンHcが結合されている高音放射部Tとからなり、前記低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tとが上下方向に積み重ねられている構成となっている。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記説明による本発明の全指向性スピーカーシステムを実施するには、音波を発生するドライバーDa,Db,Dcは動電型電気音響変換器であって磁気回路7と振動板1及びボイスコイル2とからなり、構造は従来のスピーカー又はドライバーと同一であるから詳述しないが、高音域再生を主目的とする場合は、振動板1は、従来のごとくドーム形でもよいが正面がリング形で半径方向断面が山形である形状とし、この山形の頂上部に沿ってボイスコイル2を取り付けた振動板とするほうが放射面積を大きくして変換能率を高め、且つ駆動点からの寸法を小さくして高周波振動に対して振動モードを良好とする上で有利である。又、中音域を含む広範囲の音を目的とする場合は、前記リング形状でもよいがドーム形やコーン形の振動板とすればよい。
【0007】
ドライバーDa,Db,Dcの夫々の開口部3には、該開口部から放出される音波を水平方向の全周囲に放射するホーンが結合されている。このホーンは音響回路の一種であって、各ドライバーの開口部3から水平方向且つ全周囲方向に広がる音道6を形成しており、その構造は、該音道6を隔てて相互に対向する下部ホーン部材4a,4b,4cと上部ホーン部材5a,5b,5cとからなる。この下部ホーン部材4a,4b,4c並びに上部ホーン部材5a,5b,5cの断面形状は、音道6の音波の進行方向に対して垂直なリング形状の断面面積が所定の割合で増大する(例えばエクスポーネンシァル形、ハイパボリック形等)とともに、ドライバーの開口部3から音道6の開口部までを滑らかに連結するごとくに設定される。具体的には下部ホーン部材4a,4b,4cの断面形状は傘形、浅い朝顔形等、或いは伝播する音波が比較的長波長の場合は、前記音道6の音波の進行方向に対する断面面積が所定の割合で増大する限り、水平方向に広がるバッフル板のような平板状の板面であってもよい。又、上部ホーン部材5a,5b,5cの形状は前記下部ホーン部材4a,4b,4cと類似した曲面形状であるが、下部ホーン部材4a,4b,4cの上方に配置したとき音道6用の空間を確保するために曲率を変更設定しなければならないことは言うまでもない。各ドライバーの開口部3の面積は夫々の振動板1の面積と略同一かそれより小とする。
【0008】
上記ホーンHは、そのスロート部即ち音道6の始端側がドライバーDの開口部3に結合されて全指向性音波放射部を形成する。振動板1から発生した音波はドライバーDa,Db,Dcの開口部3からホーンHa,Hb,Hcの夫々の音道6に放出され、該音道6に沿って水平方向に伝播しつつ広がり、ホーンHa,Hb,Hcの各開口部から全周囲方向に放出されて、完全に全方向無指向性の再生音場を形成する。ドライバーDa,Db,Dcの開口部3の面積を夫々の振動板1の面積より小とした場合はこの部分で音響変成器を形成し、ホーンHa,Hb,Hcのスロート部の音圧が増大して、スピーカーの変換能率が高くなる。
【0009】
【実施例】
図1に、第1実施例の全指向性スピーカーシステムの側面断面構造を示す。又、図2乃至図4は夫々同実施例の正面図、平面図、側面図である。この第1実施例は4ウエイのスピーカーシステムであって、低音放射部Lと中低音放射部MLと中高音放射部MH及び高音放射部Tとが組み合わされて上下方向に積み重ねられている構造となっている。図1〜図6において、夫々の帯域音放射部の、機能が共通する各部位と符号とを対比すると、1は振動板、2はボイスコイル、3はドライバーの開口部、7は磁気回路である。低音放射部Lは、コーン形のウーファーWと該ウーファーWが取り付けられているキャビネット8とからなっており、キャビネット8は内部の上方が傾斜した反射板81で仕切られており、背面板82の下方にポート83が設けられて位相反転型となっている。キャビネツト8の反射板81と上面板84とで仕切られた密閉空間は後述する中低音放射用のドライバーDaの背面空洞として作用し、又、上面板84はドライバーDaの取り付け用のバッフル板として使用されるとともに、その上面にドライバーDaの開口部3の周囲から上面板84の外周縁に至る下部ホーン部材4aが取り付けられている。尚、図において85は補強材である。
【0010】
中低音放射部MLのドライバーDaはコーン形スピーカーを使用し、前述のごとくキャビネット8の上面板84の上面に取り付けられた下部ホーン部材4aの中心に上向きに取り付けられ、上方に上部ホーン部材5aが配置されて下部ホーン部材4aとの間に周方向全周に開口した音道6が形成され、リング形の音道6を有するホーンスピーカーとして機能している。上記上部ホーン部材5aはキャビネット8の一隅に固定した支柱9に取り付けられている。上部ホーン部材5aの内部には後述する中高音放射部MHのドライバーDbの収納空間が形成されている。
【0011】
中高音放射部MHのドライバーDaの振動板1はドーム形であって凹面側から音波を放射し、前方に周知の構造の位相等化部を介して開口部3が形成されている。下部ホーン部材4bは開口部3の外周縁から広がる円盤状リングであって上面が浅い凸面となっており、前記中低音放射部MLの上部ホーン部材5aの上面に一体として取り付けられている。上部ホーン部材5bが開口部3の上方に支柱9に取り付けられて配置され音道6を形成する。この中高音放射部MHも全指向性リング形の開口部3を有するホーンスピーカーとして機能している。
【0012】
高音放射部Tは全指向性リング形開口部を有するツィーターである。図5は側面半断面図であって、断面構造を拡大して示す。高音放射用ドライバーDcの開口部3にフレームを兼ねた下部ホーン部材4cが結合され、その上方に上部ホーン部材5cが音道6を形成するような位置に配置されている。尚、この高音放射用ドライバーDcの振動板1は、高音域再生に有利なようにリング形でその外周を磁気回路7のトッププレート71で、中心部をセンターポール73に設けられたセンターガイド74で支持されている。尚、72はマグネットである。又、上部ホーン部材5cは上記センターポール73にセンターガイド74とともに固定されている。ツィーター本体は、上部ホーン部材5cの上面に設けられた、下部ホーン部材4cに滑らかに連なるより広い面積を有する浅い凸面状のバッフル板42の中心に取り付けられている。
【0013】
図6の斜視図にこの第1実施例の全指向性スピーカーシステムの外観を示す。又、図7、図8に第1実施例の音圧周波数特性及び主要な周波数の指向特性を夫々示す。これらの諸特性図によると、先ず周波数特性は広い帯域において十分に平坦であり、又、指向特性は聴感にとって重要な周波数においてほぼ完全に全方向無指向性であることが示されている。
【0014】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0015】
【発明の効果】
以上で述べた本発明の全指向性スピーカーシステムは、 区分された各周波数帯域を担当する夫々のドライバーの開口部に、水平方向且つ全周囲方向に広がる音道が形成されているホーンが結合されており、振動板から発生した音波は音道に沿って水平方向全域に伝播し、ホーンの開口部から全周囲方向に放出されて、周波数に依存しない完全に全指向性の再生音場を形成する。従って音場内での音の広散状態は全ての周波数帯域において良好であり、その再生音について原音に対して忠実度の高い違和感のない自然な柔らかな聴感が得られる効果を有する。又、特にステレオ再生の場合、音源の位置が明瞭になって安定した音像定位を得ることが出来る効果をも有する。特に本発明のスピーカーシステムは、4ウエイのスピーカシステムであるから区分された各帯域を分担して再生する個々のスピーカーは夫々の帯域内で完全な特性のスピーカーを設計することが可能であり、従ってスピーカーシステムの全帯域を平坦で歪みの少ない再生音とすることは容易である。更に本発明の音響放射部はホーン型のスピーカーであるから電気音響変換能率が高くて従来方式の無指向性スピーカシステムの欠点であった低能率が解消されるという効果を有し、特に高音放射部においてこの効果が著しく、中、低域音を再生するスピーカーと組み合わせてシステムとして使用する場合、全帯域の周波数特性の設定が容易であるという有用な効果をも有するに至ったのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の側面断面図。
【図2】同、正面図。
【図3】同、平面図。
【図4】同、側面図。
【図5】図1の高音域放射部の詳細を示す拡大側面半断面図。
【図6】第一実施例の外観を示す斜視図。
【図7】同、音圧周波数特性図。
【図8】同、指向特性図。
【符号の説明】
1 振動板
2 ボイスコイル
3 ドライバーの開口部
4a,4b,4c 下部ホーン部材
42 バッフル板
5a,5b,5c 上部ホーン部材
6 音道
7 磁気回路
71 トッププレート
72 マグネット
73 センターポール
74 センターガイド
8 キャビネット
81 反射板
82 背面板
83 ポート
84 上面板
85 補強材
9 支柱
Da,Db,Dc ドライバー
Ha,Hb,Hc ホーン
W ウーファー
L 低音放射部
ML 中低音放射部
MH 中高音放射部
T 高音放射部
Claims (1)
- ウーファー(W)と該ウーファー(W)が取り付けられているキャビネット(8)とからなる低音放射部(L)と、中低音放射用のドライバー(Da)の開口部(3)に、全周囲水平方向に開口する音道(6)を形成するように配置されている、水平方向に広がる下部ホーン部材(4a)と該下部ホーン部材(4a)に対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材(5a)とからなるホーン(Ha)が結合されている中低音放射部(ML)と、中高音放射用ドライバー(Db)の開口部(3)に、水平方向全周囲に開口する音道(6)を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材(4b)と該下部ホーン部材(4b)に対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材(5b)とからなるホーン(Hb)が結合されている中高音放射部(MH)と、高音放射用ドライバー(Dc)の開口部(3)に、水平方向全周囲に開口する音道(6)を形成するように配置されている水平方向に広がる下部ホーン部材(4c)と該下部ホーン部材(4c)に対して所定間隔を隔てて配置されている上部ホーン部材(5c)とからなるホーン(Hc)が結合されている高音放射部(T)とからなり、前記低音放射部(L)と中低音放射部(ML)と中高音放射部(MH)及び高音放射部(T)とが上下方向に積み重ねられている全指向性スピーカーシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003134787A JP2004343229A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 全指向性スピーカーシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003134787A JP2004343229A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 全指向性スピーカーシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004343229A true JP2004343229A (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=33525247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003134787A Pending JP2004343229A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 全指向性スピーカーシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004343229A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-05-13 JP JP2003134787A patent/JP2004343229A/ja active Pending
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