JP5399050B2 - 光ファイバ曲げ受光器 - Google Patents
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Description
図18に示すように、光ファイバ曲げ受光器101は、凹形面111を有する板状の凹形把持部材110と、前記凹形面111に対向する凸形面121を形成する板状の凸部122を有する凸形把持部材120とを有し、凹形把持部材110の凹形面111と凸形把持部材120の凸形面121との間に光ファイバ140を把持する構造になっていることが一般的である。
凸形把持部材120は、凹形把持部材110に対して接近、離間する方向に平行移動可変であり、前記凸形把持部材120を図18中仮想線で示すアンクランプ位置から図18において実線で示すように凹形把持部材110に接近させ凹形把持部材110との間に光ファイバ140を把持する位置(クランプ位置)に移動することができる。凸形把持部材120をクランプ位置に設置すると、凹形把持部材110の凹形面111と凸形把持部材120の凸形面121との間に光ファイバ140をクランプ(把持)でき、かつ光ファイバ140に曲げ変形を与えることができる。凹形把持部材110及び凸形把持部材120とは、光ファイバを把持して曲げ変形を与えるファイバ把持・曲げ付与機構を構成する。
図示例の光ファイバ曲げ受光器101の光検出器130(以下、受光素子とも言う)は凹形把持部材110に組み込まれている。受光素子130は、光ファイバ把持部102に把持されて曲げ変形が与えられた光ファイバ140から生じる漏洩光を受光するために、その受光面131を凹形面111に露出させて配置されている。
図19(a)、(b)に示すように、凸形把持部材120の凸部122には、前記凸形面121の両側に、リブ状の2本の突条部123a、123bが凸形面121に沿って延在するように互いに平行に突設されている。前記凸形面121は一対の突条部123a、123bの間に形成されている。
光ファイバ曲げ受光器101は、凸形把持部材120をアンクランプ位置(図18(a)仮想線)からクランプ位置(図18(a)実線)に移動すると、凹形面111と前記凸形面121との間に前記光ファイバ収納溝103が形成されるとともに、一対の突条部123a、123bの凸部122からの突出先端が凹形把持部材110に当接されて、凸形把持部材120が凹形把持部材110に閉じ合わされる。また、図19(a)に示すように、凸形把持部材120の凸形面121の延在方向両端に取り付けられた発泡樹脂製弾性体である光遮蔽部材124が受光素子140への外乱光の入射を阻止する。これにより前記光ファイバ収納溝103が確実に暗箱状態となる。
第1の発明は、光ファイバに曲げ変形を与えて漏洩光を測定する光ファイバ曲げ受光器であって、凹形面を有する凹形把持部材と、前記凹形面と対向する凸形面を形成する凸部を有する凸形把持部材と、前記凹形把持部材の前記凹形面と前記凸形把持部材の前記凸形面との間に把持されて曲げ変形が与えられた光ファイバから漏洩する漏洩光を受光する受光素子とを具備し、さらに、前記凹形面と前記凸形面とによって前記光ファイバを把持する光ファイバ把持部に、前記光ファイバを前記受光素子の中心に合わせ込むための位置合わせ機構を具備し、前記凸部の先端に、前記凸形面の幅方向両端部から中央部に向かって窪む凹所を有して前記位置合わせ機構として機能する位置決め突部が突設され、前記凸部の前記光ファイバと接触する部分の一部又は全部が前記凹形把持部材からの距離を増大するように押し込み可能な陥没可能部とされ、前記凸形把持部材には前記陥没可能部を前記凹形把持部材側に弾性付勢するための付勢部材が設けられ、前記凸形把持部材の前記凸部は、前記位置決め突部が突設され前記陥没可能部として機能する突部付き可動部材を具備し、前記突部付き可動部材の両側に、前記凸形面を形成する前記陥没可能部として機能する側部可動部材が設けられていることを特徴とする光ファイバ曲げ受光器を提供する。
第2の発明は、前記凸形面の一部又は全部が、該凸形面の幅方向両端部から中央部に向かって窪む溝状に形成されていることを特徴とする第1の発明の光ファイバ曲げ受光器を提供する。
第3の発明は、前記受光素子として、矩形の受光面を有するものを用いていることを特徴とする第1又は2の発明の光ファイバ曲げ受光器を提供する。
図1は前記光ファイバ曲げ受光器10の構造を示す平断面図、図2は光ファイバ曲げ受光器10の凸形把持部材20の外観構造を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図、図3は凸形把持部材20の外観構造を示す図であって、(a)は側面図、(b)は凸形把持部材20の凸部22の先端付近を示す拡大側面図、図4は凸形把持部材20の内部構造を示す平断面図であって、(a)は凸部22を構成する3つの可動部材24、25、25がいずれも未陥没状態(初期位置)にあるとき、(b)は凸部22を構成する全ての可動部材24、25、25が陥没状態にあるときを示す。また、図5は、光ファイバ曲げ受光器10に最小外径光ファイバ51(後述)を把持した状態を説明する平断面図、図6は光ファイバ曲げ受光器10に前記最小外径光ファイバ51よりも太い(被覆外径が大きい)光ファイバ52を把持した状態を説明する平断面図である。
図7は前記光ファイバ曲げ受光器10の構成を説明する平面図であって、凸形把持部材20をアンクランプ位置に設置した状態を示す。図8は前記光ファイバ曲げ受光器10の構成を説明する図であって、(a)凸形把持部材20をクランプ位置に設置した状態を示す平面図、(b)は凹形把持部材30を図8(a)の矢印B方向から見た状態を示す図である。
また、前記凸形把持部材20の凸部22の先端には、前記光ファイバ50を前記受光素子40の受光面41の中心に合わせ込むための位置決め突部23が突設されている。この位置決め突部23の具体的構成については後に説明する。
前記凸形把持部材20は、前記凸部22を構成する3つの可動部材24、25、25と、これら可動部材24、25、25を個々に凹形把持部材30に向けて弾性付勢するための付勢部材271、272、272とを凸形把持部材本体26に組み込んだ構造になっている。
この光ファイバ曲げ受光器10は、凸形把持部材20をクランプ位置に設置したときに、凹形把持部材30の凹形面31と凸形把持部材20の凸部22との間に最小外径光ファイバ51の被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12(図4(b)の場合との区別のため、図中符号12aを付記する)が確保され、最小外径光ファイバ51を把持できるようになっている。光ファイバ収納溝12の溝幅Tは、該光ファイバ収納溝12の長手方向全長にわたって一定である。
この光ファイバ曲げ受光器10は、最小外径光ファイバ51を把持するとき、凸部22を構成する3つの可動部材24、25、25に凸形把持部材20への押し込み(陥没)は生じない。本明細書においては、可動部材に押し込みが生じていない状態を未陥没状態と称する。また、未陥没状態にあるときの可動部材の凸形把持部材における位置を初期位置と称して説明する。図4(a)は、凸部22の3つの可動部材24、25、25がいずれも初期位置にある状態を示す。
なお、図6において、符号12bは光ファイバ収納溝であり、太径光ファイバ52を把持したときに凹形把持部材30の凹形面31と凸形把持部材20の凸部22とによって画定される光ファイバ収納溝12を指す。
図2(a)、(b)に示すように、前記凸形把持部材本体26は、具体的には、細長形状のベース部261と、このベース部261の長手方向中央部に突設された板状の可動部材案内片262からなる一対の可動部材案内板部263a、263bとを具備する。
図4(a)、(b)に示すように、ベース部261の長手方向中央部には、その側面(外周面)から窪む凹所である陥没可能部収容凹所264が形成されている。この陥没可能部収容凹所264は、具体的には、ベース部261に貫設された角穴の両端開口部の片方をベース部261に取り付けた背面板265によって塞いで構成されており、正面視形状(図2(a)矢印Aの向きで見た形状。図2(b)に示される形状)がベース部261の長手方向に沿って延在する略長方形をなす凹所とされている。
陥没可能部収容凹所264の幅方向の一方の側には、2つの可動部材案内片262がスリット状の隙間266を介して陥没可能部収容凹所264の長手方向に互いに離隔させて突設されている。前記隙間266を介して突設された一対の可動部材案内片262が、前記一対の可動部材案内板部263a、263bの一方(符号263aの可動部材)を構成している。陥没可能部収容凹所264の幅方向の他方の側の2つの可動部材案内片262は、陥没可能部収容凹所264の幅方向の一方の側の2つの可動部材案内片262に対応する2箇所に、陥没可能部収容凹所264の幅方向の一方の側の可動部材案内片262と平行となるように突設されている。陥没可能部収容凹所264の幅方向の他方の側の2つの可動部材案内片262は、スリット状の隙間267を介して陥没可能部収容凹所264の長手方向に互いに離隔させて突設されており、前記一対の可動部材案内板部263a、263bの他方(符号263bの可動部材)を構成している。
つまり、前記一対の可動部材案内板部263a、263bは、それぞれ、陥没可能部収容凹所264の長手方向に互いに離隔させて突設された2つの可動部材案内片262からなり、2つの可動部材案内片262の間に隙間が確保された構成になっている。
前記可動部材収容空間28は、いわば、一対の可動部材案内板部263a、263b間の空間をベース部261内まで延長した構成になっている。
図示例の光ファイバ曲げ受光器10において、前記光ファイバ収納溝12は、点Oa(図1、図5参照)を中心に45〜150度の中心角θaを以て湾曲する円弧部121と、この円弧部121の両端からその接線方向に延在する直線部122とを具備する。凸形把持部材20の凸部22の凸形面21及び凹形把持部材30の凹形面31は、上述のように円弧部121及び直線部122、122を具備する光ファイバ収納溝12を形成する形状になっている。
なお、付勢部材272が圧縮コイルばねを指す場合は、圧縮コイルばねと称して説明する場合がある。
突部付き可動部材24についても、付勢部材271の弾性変形による前後方向の可動幅を確保するが、この突部付き可動部材24の可動幅は、側部可動部材25の可動幅と同等でも、側部可動部材25の可動幅と異なっていても良い。
また、本発明に係る光ファイバ曲げ受光器10は、可動部材24、25、25の図1、図4(a)に示す初期位置から前側への移動を規制し背面側への移動を許可するストッパを凸形把持部材本体26に設けることがより好ましい。前記ストッパを設ける場合、光ファイバ曲げ受光器は、初期位置にある可動部材24、25、25が、僅かに弾性圧縮された圧縮コイルばねの弾性によって凹形把持部材30に向けて弾性付勢される構成としても良い。
図示例の凸形把持部材20において、前記凸形面21の前記湾曲部211及びストレート部212は、具体的には、一対の側部可動部材25、25の前端側の端面によって形成されている。
図示例の位置決め突部23は、凸形面21の幅方向寸法と略一致する縦方向寸法と、該縦方向寸法よりも小さい厚さ寸法(可動部材本体241からの突出寸法及び前記縦方向寸法に直交する方向の寸法)とを有する板状に形成されている。前記凹所23aは、前記位置決め突部23の可動部材本体241からの突出先端から窪む切り欠き状に形成されている。
図1、図4(a)に示すように、凸形面21の湾曲部211は、点Oa(図1参照)を中心とする一定半径で湾曲する円周面を形成している。前記凹所23aの奥底部23b(凸形把持部材20の前側、凹形把持部材30側から見て最深部)は、一対の側部可動部材25、25の張出壁252、252間の空隙における前記湾曲部211の仮想延長と接する所に位置する。
奥底部23bが前記仮想円周面の接線方向に延在する直線を形成する構成の凹所23aを採用する場合、一対の側部可動部材25、25の張出壁252、252間の空隙の幅(間隔方向の寸法)及び前記奥底部23bの長さは充分に小さく(例えば0.5〜2.0mm)設定される。これにより、一対の側部可動部材25、25に形成された湾曲部211と前記奥底部23bとが、実質的に、点Oa(図1参照)を中心とする一定半径の連続する円弧を構成するようになり、一対の側部可動部材25、25の張出壁252、252間の空隙及び前記奥底部23bが、最小外径光ファイバ51の曲げ変形に影響を与えることはない。
一方、前記凹所の奥底部が凸形面21の湾曲部211と同等の半径で湾曲する曲線あるいは曲面を形成する構成である場合は、一対の側部可動部材25、25の張出壁252、252間の空隙の幅や湾曲部211の延在方向(周方向)における奥底部の寸法には制約は無く、例えば10mm以上とすることも可能である。
第1キー部23及び第2キー部244は、位置決め突部23の姿勢を安定に保つ機能を果たす。
また、このとき、図5、図6に示すように、凸形把持部材20の長手方向において可動部材収容空間28の両側の側壁部268の前面側に取り付けられている光遮蔽部材269と、凹形把持部材30の凹形面31の延在方向(長手方向)両端に取り付けられている光遮蔽部材34との間に光ファイバ50が把持される。光遮蔽部材269、34は、例えば発泡ゴム等の光遮蔽性を有する樹脂発泡体からなるブロック状の弾性体であり、光ファイバ50を把持したときに弾性変形されて光ファイバ収納溝12の長手方向両端を塞ぎ、受光素子40への外乱光の入射を阻止する。
凹形把持部材30の受光素子40は、光ファイバ50から放射される漏洩光を受光するために、湾曲部311とストレート部312と境界(図5においては点a、b、図6においては点c、d)付近に設けられている。
なお、図6の凹形把持部材30(図4(b)中、符号30Bを付記した)は、図5に例示した最小外径光ファイバ51の把持に用いた凹形把持部材30(図5中、符号30Aを付記した)に比べて湾曲部311の湾曲半径が小さいものを採用している。
また、受光素子40は、その受光光軸(受光面41に垂直で受光面41の中心を通る直線)を、凸形把持部材20の凸形面21の幅方向中央部に位置合わせして設けられている。
図3(b)に示すように、凸形把持部材20と凹形把持部材30とを閉じ合わせたときに、凸形面21と凹形面31との間に最小外径光ファイバ51の被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12aが確保されることで、凹形面31によって押圧された光ファイバ51が位置決め突部23の凹所23aの奥底部23bに導かれ、これにより、光ファイバ51が受光素子40に対して位置合わせされる。つまり、位置決め突部23が、光ファイバ50を受光素子40(詳細にはその受光面41)に対して位置合わせする位置決め機構として機能する。これにより、光ファイバ50からの漏洩光の測定値のばらつきを低減することができる。
図9に示すように、凹形把持部材として、図3(b)に示す凹形把持部材30Aの突壁部32の凹形面31からの突出寸法を大きくした突壁部62を有する(突壁部62以外の構成は図3(b)に示す凹形把持部材30Aと同様)構成の凹形把持部材61を用いて組み立てた光ファイバ曲げ受光器60(検証用の光ファイバ曲げ受光器)を用意した。凹形把持部材61は、凸形把持部材20を閉じ合わせたときに、凹形面31と凸形把持部材20の凸形面21との間に、位置決め突部23の凹所23aの深さ寸法23dよりも僅かに大きい溝幅T1の光ファイバ収納溝12(図中符号12cを付記する)を確保できるようになっている。
上述の光ファイバ曲げ受光器60を用いて、凸形把持部材20と凹形把持部材61との間を開閉して既述の最小外径光ファイバ51の把持及び把持解除を繰り返し30回行い、凸形把持部材20の凸部22先端(具体的には位置決め突部23付近)における最小外径光ファイバ51の位置と、該最小外径光ファイバ51から放射された漏洩光の受光素子40における結合効率との関係(傾向)を調べた。
その結果を図10、表1に纏めて示す。
図10の横軸の「結合効率」は、最小外径光ファイバ51を通る伝送光のパワー(曲げ変形を与えていない最小外径光ファイバ51の一端に入射し光ファイバ他端から出射した試験光の出力を伝送光パワーとして測定)と受光素子40における受光レベルとの差(dB)である。また、凸形把持部材20と凹形把持部材61との間を閉じたときの最小外径光ファイバ51の位置を上部、下部、中央の3区分で判定し、判定回数を図10の縦軸の「頻度」として表示した。表1の「変動幅」は、最小外径光ファイバ51の位置の上部、下部、中央の3区分のそれぞれについて結合効率の最小値と最大値との差分を算出したものである。
図1、図3(b)、図5に示すように、凸形把持部材20と凹形把持部材30Aとを閉じ合わせたときに最小外径光ファイバ51の被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12aが形成される構成の光ファイバ曲げ受光器10であれば、最小外径光ファイバ51を凸部22のセンタ(図3(a)、(b)における上下方向の中央に位置合わせできるため、受光素子40に優れた結合効率(漏洩光の結合効率)を確実に得ることができる。しかも、結合効率の変動幅も小さくなるため、光ファイバ50からの漏洩光の測定値のばらつきを低減することもできる。
図1、図5に示すように、凸形把持部材20と凹形把持部材30Aの閉じ合わせ時に、凸形把持部材20の凸部22の凸形面21及び位置決め突部23の凹所23aの奥底部23bと、凹形把持部材30の凹形面31との間に最小外径光ファイバ51の被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12aを形成できる光ファイバ曲げ受光器10と、図9に例示した光ファイバ曲げ受光器60(検証用の光ファイバ曲げ受光器)とを用意し、各光ファイバ曲げ受光器について凸形把持部材20と凹形把持部材との間を開閉して、光ファイバ把持部11における最小外径光ファイバ51の把持及び把持解除を繰り返し10回行い、最小外径光ファイバ51から放射された漏洩光の受光素子40における結合効率を調べた。
その結果を図11に纏めて示す。
なお、図11において、「隙間有り」は検証用の光ファイバ曲げ受光器60を用いて行った試験結果、「隙間無し」は被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12を確保できる光ファイバ曲げ受光器10を用いて行った試験結果を示す。また、図11の「結合効率」は、最小外径光ファイバ51を通る伝送光のパワー(曲げ変形を与えていない最小外径光ファイバ51の一端に入射し光ファイバ他端から出射した試験光の出力を伝送光パワーとして測定)と受光素子40における受光レベルとの差(dB)である。
これに対して、本発明に係る光ファイバ曲げ受光器は、凸形把持部材の凸部の光ファイバと接触する部分の全部又は一部(ここで説明する実施形態にあっては凸部22全体)が陥没可能な陥没可能部であり、しかも、陥没した陥没可能部(ここで説明する実施形態にあっては3つの可動部材24、25、25)が凸形把持部材に組み込まれた付勢部材の付勢力によって凹形把持部材側(前側)に弾性付勢されて、光ファイバを凹形把持部材30の凹形面31に押し付ける構成になっている。このため、本発明に係る光ファイバ曲げ受光器は、光ファイバ50の被覆外径に幅広く対応して、凹形把持部材30の凹形面31に光ファイバ50を押し付けることが可能である。しかも、位置決め突部23によって光ファイバ50を凹形把持部材30の凹形面31に押し付けて受光素子40の受光光軸に位置合わせできる。この結果、優れた結合効率を確実に得ることができる。
本発明に係る光ファイバ曲げ受光器10にあっては、図13(b)に示すように、円形の受光面43を有する受光素子(図13(b)中、この受光素子に符号44を付した)を採用することも可能ではある。但し、この受光素子44の場合、図13(a)に例示した受光素子41に比べて受光面積(受光面43の面積)の確保の点で不利である。すなわち、板状の凹形把持部材30に組み込む受光素子としては、凹形把持部材30の厚さ方向における寸法に制約がある。図13(b)に示すように、円形の受光面43を有する受光素子44の場合は、光ファイバ50からの漏洩光の結合効率を高めるべく受光面43のサイズを大きくすると、該受光素子44のパッケージサイズ(図13(b)における外径φ)も大型化せざるを得ない。
これに対して、図13(a)に例示した受光素子42は、矩形(図示例では正方形)の受光面41の四隅部41aを光ファイバ50からの漏洩光の受光に有効に活用でき、凹形把持部材30の厚さ方向(図13(a)、(b)においては上下方向)におけるパッケージ寸法が図13(b)に示す受光素子44と同じであっても、図13(b)に示す受光素子44に比べて受光面積を1.2倍程度拡大できる。このため、図13(a)に例示した受光素子42は、図13(b)に示す受光素子44に比べて、受光効率、結合効率の向上の点で有利である。
なお、受光素子42の矩形受光面41は、正方形に限定されず、例えば長方形をなすものであっても良い。
図3(b)、図5に示すように、上述の矩形受光面41を有する受光素子42を組み込んでなる凹形把持部材30と凸形把持部材20とを用いて、被覆外径と同等の溝幅Tの光ファイバ収納溝12を確保できるように構成した光ファイバ曲げ受光器と、凹形把持部材30に組み込む受光素子40として円形受光面43を有する受光素子44を用いたこと以外は同じにして組み立てた光ファイバ曲げ受光器とを用意し、それぞれの光ファイバ曲げ受光器について凸形把持部材20と凹形把持部材30との間を開閉して、光ファイバ把持部11における最小外径光ファイバ51の把持及び把持解除を繰り返し20回行い、最小外径光ファイバ51から放射された漏洩光の受光素子40における結合効率を調べた。
その結果を図14、表2に纏めて示した。なお、図14、表2において「矩形」は矩形受光面41を有する受光素子42を採用した光ファイバ曲げ受光器を用いて得た試験結果、「丸形」は円形受光面43を有する受光素子44を採用した光ファイバ曲げ受光器を用いて得た試験結果を示す。また、図14の「結合効率」は、最小外径光ファイバ51を通る伝送光のパワーと受光素子40における受光レベルとの差(dB)である。
上述の実施形態では、凸形把持部材20の凸部22の先端部のみに光ファイバの位置合わせ用の凹所23aを設けた構成を例示したが、本発明に係る凸形把持部材の凸部としてはこのような構成に限定されず、既述の凸形把持部材20の凸部22の位置決め突部23を介して両側の凸形面の一部又は全体を、光ファイバの位置合わせ用の凹所を形成する凹形面とすることも可能である。
図15は、既述の凸形把持部材20の凸部22の位置決め突部23を介して両側の凸形面を、その長手方向(延在方向)全長にわたって幅方向両端から中央部に向かって窪む溝状の凸形面21Aに変更した構成の凸部22Aを示す。すなわち、突部付き可動部材24のみならず、その両側の側部可動部材(図15中、符号25aを付す)にも、光ファイバの位置合わせ用の凹所を形成した構成になっている。
このように、凸形把持部材20の凸部22の先端部以外にも光ファイバの位置合わせ用の凹所を形成した構成であれば、光ファイバ50を受光素子40の受光光軸により確実に位置合わせすることができ、優れた結合効率をより確実に得ることができる。
上述の実施形態では、凸形把持部材20の凸部22として、陥没可能な3つの可動部材24、25、25によって構成されたものを例示したが、凸部のうちの一部のみを陥没可能部、他の部分を凸形把持部材における固定部分(すなわち、凸形把持部材において陥没可能部が組み込まれる凸形把持部材本体に固定)とした構成も採用可能である。
図16は、凸部として、位置決め突部23が突設されている可動部材24A(陥没可能部)と、凸形把持部材本体26Aに固定の突壁状に形成され前記可動部材24Aの両側に設けられた側部固定壁25A、25Aとからなる構成の凸部22Bを採用した凸形把持部材20Aを例示する。
図16に例示した凸形把持部材20Aは、具体的には、凸形把持部材本体26Aの背面側に固定される背面板部29aの互いに離隔した2箇所に側部固定壁25Aが突設された構造の凸部形成部材29と、前記可動部材24A(突部付き可動部材)と、この突部付き可動部材24Aを前側(凹形把持部材30側)に弾性付勢するための付勢部材271とを前記凸形把持部材本体26Aに組み込んだ構成となっている。
本発明に係る光ファイバ曲げ受光器としては、凸形把持部材と凹形把持部材との間に光ファイバを把持する光ファイバ把持部に、前記光ファイバを前記受光素子の中心に合わせ込むための位置合わせ機構を具備する構成であれば良く、上述した実施形態の構成に限定されない。例えば、凹形把持部材に位置決め突部が突設されている構成等も採用可能である。
Claims (3)
- 光ファイバに曲げ変形を与えて漏洩光を測定する光ファイバ曲げ受光器であって、
凹形面を有する凹形把持部材と、前記凹形面と対向する凸形面を形成する凸部を有する凸形把持部材と、前記凹形把持部材の前記凹形面と前記凸形把持部材の前記凸形面との間に把持されて曲げ変形が与えられた光ファイバから漏洩する漏洩光を受光する受光素子とを具備し、さらに、前記凹形面と前記凸形面とによって前記光ファイバを把持する光ファイバ把持部に、前記光ファイバを前記受光素子の中心に合わせ込むための位置合わせ機構を具備し、
前記凸部の先端に、前記凸形面の幅方向両端部から中央部に向かって窪む凹所を有して前記位置合わせ機構として機能する位置決め突部が突設され、
前記凸部の前記光ファイバと接触する部分の一部又は全部が前記凹形把持部材からの距離を増大するように押し込み可能な陥没可能部とされ、前記凸形把持部材には前記陥没可能部を前記凹形把持部材側に弾性付勢するための付勢部材が設けられ、
前記凸形把持部材の前記凸部は、前記位置決め突部が突設され前記陥没可能部として機能する突部付き可動部材を具備し、
前記突部付き可動部材の両側に、前記凸形面を形成する前記陥没可能部として機能する側部可動部材が設けられていることを特徴とする光ファイバ曲げ受光器。 - 前記凸形面の一部又は全部が、該凸形面の幅方向両端部から中央部に向かって窪む溝状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ曲げ受光器。
- 前記受光素子として、矩形の受光面を有するものを用いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ曲げ受光器。
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