JP5391244B2 - 流体圧式送り速度制御装置 - Google Patents
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Description
このため、第1絞り弁に加えて第2絞り弁も開弁した状態では、流体の流量が増加するのでピストンの移動速度を速く設定することができる(増速送り)。
このため、本発明の請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置は、特に、穴あけを行うドリルユニットの送り制御に好適に採用することができ、切削中は最適な送り速度を維持しながらドリルの食い付き時と抜け際には微速送りに変換することで、加工穴の位置ずれやバリの発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
また、ノブの回動を規制する回り止め手段により、ノブを回動して流量を調整した後はノブの回動を規制して不用意な操作を回避することで、調整位置を安定して保持することができる。
このため、本発明に係る流体圧式送り速度制御装置は、特に、穴あけを行うドリルユニットの送り制御に好適に採用することができ、切削中は最適な送り速度を維持しながらドリルの食い付き時と抜け際には微速送りに変換することで、加工穴の位置ずれやバリの発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
なお、本発明の流体圧式送り速度制御装置Bは、油圧や空気圧等の流体圧によって作動する装置であり、以下、油圧で作動する場合を例に挙げて説明する。
図2に示すように、この流体圧式送り速度制御装置Bは、円筒状のボディ1に内設されたシリンダ2と、このシリンダ2内に往復動可能に配置されたピストン4と、このピストン4に連結され前後方向に移動可能に配置されたピストンロッド5と、ピストン4の前端部に一体に固定された第2ピストン3と、ピストン4の前方に設けられた流体圧室12と、ピストン4の後方に設けられた貯溜室14と、シリンダ2の前端部に設けられた送り速度調節機構Cと、送り速度調節機構Cおよび貯溜室14に連通する流路13と、貯溜室14の後方に配置された差動ピストン17と、を備えている。
スプリング15は、ボディ1内の蓋部材19と差動ピストン17との間に圧縮した状態に介在された圧縮コイルばねであり、差動ピストン17およびベロフラム18をばね力で前方向へ押圧している。
戻り流路4aは、貯溜室14、流路13およびピストン流路4bに連通している。ピストン流路4bには、逆止弁16と、第2ピストン3を介して止め輪28が内設されている。
弁体16aは、スチールボールにより形成されている。弁ばね16bは、前端が第2ピストン3を前側へ押圧し、後端が弁体16aを後側へ押圧する圧縮コイルばねからなる。
また、この第2絞り弁11を閉弁した状態から、第2ピストン3がピストンロッド5によって押圧されてさらに移動し、流体圧室12から後部逃げ孔34、流通孔33、および凹部逃げ孔35を通り、外周部31よりも縮径して形成された凹部32を介して流体圧室12から第2絞り弁11までが連通した状態では、第2絞り弁11を開弁する。
さらに、第2ピストン3をピストンロッド5(図2参照)によって押圧して第2ピストン3の後部31bが第2絞り弁11を閉塞するまで移動すると、第2絞り弁11を閉弁することができる。
流路13は、ボディ1の内壁とシリンダ2の外壁との間に形成されて、後記する第1絞り弁10および第2絞り弁11を通過した作動油が貯溜室14へ流れるようになっている。
第1回転弁体6は、第2ピストン3に形成された流通孔33に連通する第2シリンダ室6aと、第2回転弁体7が回動可能に外嵌される円筒部6bと、流体圧室12に開口して形成された第1流入口6cと、この第1流入口6cに装着されたフィルターF1と、円筒部6bに形成された第2流入口6dと、第1流入口6cに連通する第1流量調整溝6e(図6(a)〜(c)参照)と、鍔状に形成された円盤部6fと、第2シリンダ室6aを閉塞する栓29と、第1流入口6cの流量を調整する第1ノブ8と、を備えている。
第1流入口6cは、流体圧室12から第1流量調整部10aまで連通するように円盤部6f(図6(a)参照)に形成された流路であり、微速送りの流路としての機能を奏する(図3(a)参照)。
具体的には、第2流入口6dは、第2絞り弁11の第2流量調整部11aに連通しているため、第2ピストン3の外周部31に縮径して形成された凹部32と第2流入口6dが対向する位置に第2ピストン3が位置する場合には、図4に示すように、流体圧室12から後部逃げ孔34、流通孔33、および凹部逃げ孔35を通った作動油が凹部32を介して流体圧室12から第2絞り弁11まで連通する状態になる。
第1絞り弁のZ−Z拡大断面図である図6(a)〜(c)に示すように、第1流量調整溝6eは、円盤部6fの外周面の第1流入口6cの付近から略半周以上(約3/4周)に亘って徐々に溝の深さが浅くなるように形成されたV溝からなり、この第1流量調整溝6eとシリンダ2の内壁とによって油路を形成している。
栓29は、第2シリンダ室6aの前端部を密閉した状態に閉塞するために、シール材27を介在して円筒部6bの先端に内嵌されている。
また、第1ノブ8には、回動を規制する回り止め手段である止めねじ81が設けられている。止めねじ81は、第1ノブ8と第2回転弁体7を一体として固定して、第1ノブ8には、回動を規制できるようになっている。
そして、第2ノブ9を回動操作すれば、第2流量調整溝7b内を流れる作動油の流量が調整できるようになっている。
円筒部7cは、この円筒部7cに形成された弁孔7aおよび第2流量調整溝7bが、シリンダ2の内壁面によって閉塞および規制されるように回動可能に内嵌される部位である。
ノブ装着部7eは、第2ノブ9が外嵌されてねじ止めされると共に、円筒部6bに回動自在に外嵌される部位であり、筒状に形成されている。
第2ノブ9には、図4に示すように、回動を規制する回り止め手段である止めねじ91が設けられている。止めねじ91は、第2ノブ9とボディ1を一体として固定できるようになっている。
≪ドリルユニットの本体送り工程≫
ドリルユニットAの本体送り工程は、ドリルTをワークWの加工面の近傍まで送る穴あけ加工前の工程である。本体送り工程では、図1に示すように、衝接部材370がピストンロッド5と非接触状態である。このため、ドリルユニットAの送り装置300は、流体圧式送り速度制御装置Bによって制動されることがないので、速い送り速度でドリルTを送ることができる。
食い付き時の微速送り工程は、図3(b)に示すように、ワークWに対してドリルTが穴あけ加工を始める位置の直前から、振動等が発生せずに安定して穴あけ加工が進行するまでの所定の送り位置まで実行される工程である。
所定の送り位置とは、例えば、ドリルTの刃先部による加工では振れや振動の不具合が発生しやすくなるため、この不具合を解消できる所定の送り位置であり、加工工具の種類、加工径、回転数、およびワークの材質や形状を考慮して適宜設定する。
食い付き時の微速送り工程では、図3(a)に示すように、第2ピストン3の前部31aが第2シリンダ室6aに内嵌された状態であり、第2絞り弁11が閉弁され、第1絞り弁10のみが開弁されているため、ピストン4の移動速度が遅い微速送りが実行される。
微速送り工程での送り速度を調節したい場合は、作業前に予め、第1ノブ8を回動操作して、第1絞り弁10の第1流量調整部10aを流れる作動油の流量を調整することによって、送り速度を調節することができる。
具体的には、図6(a)に示すように、第1ノブ8を矢印aの右方向の最右側位置まで回動操作すると、第1流入口6cと第1連通孔2aとの間に配置されたV溝からなる第1流量調整溝6eの深さが最も深い位置になり、第1流入口6cから第1流量調整溝6eを介して第1連通孔2aへ流れる作動油の流量が最大となる。
また、図6(c)に示すように、第1ノブ8(図2参照)を矢印cの左方向の最左側位置まで回動操作すると、第1連通孔2aが第1回転弁体6によって閉塞され、作動油の流れが停止する。
このようにして、図6(a)に示す第1ノブ8の位置から図6(c)に示す位置の間で回動角度を調整して、第1連通孔2aへ流れる作動油の流量を調整することで、微速送り工程における送り速度を調節することができる
切削送り工程は、図4(b)に示すように、食い付き時の微速送り工程を終了した位置からワークWの裏面に貫通する寸前までの送り位置である。
切削送り工程では、前記した食い付き時の微速送り工程および抜け際の微速送り工程よりも、比較的安定した切削条件が得られるため、微速送り工程よりも速い送り速度で送ることができる。切削送り工程における送り長さや送り速度は、ワークWの材質や加工工具(ドリル)の形状等を考慮して適宜設定される。
切削送り工程での送り速度を調節したい場合は、作業前に予め、第2ノブ9を回動操作して、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる作動油の流量を調節することによって、送り速度を調節する。
また、第2ノブ9(図2参照)を中間位置まで回動操作すると、図7(b)に示すように、第2絞り弁11の第2流量調整部11aを流れる油の流量が減少し、切削送り時の送り速度を中間速度に調節することができる。
また、第2ノブ9(図2参照)を最左側位置まで回動操作すると、図7(c)に示すように、第2連通孔2bが第2回転弁体7によって閉塞され、作動油の流れが停止する。
抜け際の微速送り工程は、図5(b)に示すように、ドリルTがワークWを貫通する寸前の所定の位置から、微速送りに切り換えてワークWを貫通して穴あけ加工が終了するまで実行される工程である。
このため、本発明の実施形態に係る流体圧式送り速度制御装置Bは、加工工具の振れや振動の発生等の不具合を効果的に抑制して良好な仕上げ品質を実現することができる。
例えば、本発明の実施形態としては、図1に示すようなドリルユニットAのラム330を送る場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、往復移動する往復運動体を有する機械であれば適用させることができ、その他の装置であっても構わない。
1a 内周面
2 シリンダ
2a 第1連通孔
2b 第2連通孔
3 第2ピストン
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 第1回転弁体
6a 第2シリンダ室
6b 円筒部
6c 第1流入口
6d 第2流入口
7 第2回転弁体
8 第1ノブ(ノブ)
9 第2ノブ(ノブ)
10 第1絞り弁
10a 第1流量調整部
11 第2絞り弁
11a 第2流量調整部
12 流体圧室
13 流路
14 貯溜室
17 差動ピストン
31 外周部
31a 前部
31b 後部
32 凹部
33 流通孔
34 後部逃げ孔
35 凹部逃げ孔
B 流体圧式送り速度制御装置
C 送り速度調節機構
F1,F2 フィルター
Claims (3)
- 円筒状のボディと、
該ボディに内設されたシリンダと、
該シリンダ内に往復動可能に配置されたピストンと、
該ピストンに連結され前後方向に移動可能に配置されたピストンロッドと、
前記ピストンの前方に設けられて、流体が貯溜される流体圧室と、
前記ピストンの後方に設けられて、前記流体が貯溜される貯溜室と、
該貯溜室に連通すると共に、前記ボディと前記シリンダとの間に設けられた流路と、
前記シリンダの前端部に設けられて、前記流体圧室から前記流路に流れる流体の流れを制御することによって前記ピストンの移動速度を調整する送り速度調節機構と、
前記貯溜室の後方に配置されて、前記ボディの内周面および前記ピストンロッドに摺接させつつ前後方向に移動可能に設けられた差動ピストンと、を備え、
前記ピストンによって前記流体圧室の流体を、前記送り速度調節機構および流路を経て前記貯溜室に押し出すことにより、往復運動体の送り速度を調整する流体圧式送り速度制御装置であって、
前記送り速度調節機構は、前記シリンダの前端部に配置され、前記流体圧室から前記流路へ流れる流量を調整するための第1絞り弁および第2絞り弁を備えて構成され、
前記ピストンは、一体に移動して前記第2絞り弁を開閉させる第2ピストンを有し、
前記第2ピストンは、前記第2絞り弁に嵌合して閉塞する外周部と、
この外周部の前部と後部の間に形成された凹部と、
当該第2ピストンの内周部に形成された流通孔と、
前記外周部の後部と前記流通孔とを連通する後部逃げ孔、および前記凹部と前記流通孔とを連通する凹部逃げ孔と、
を備えていることを特徴とする流体圧式送り速度制御装置。 - 前記第1絞り弁および前記第2絞り弁の少なくとも一方は、前記シリンダ内に回動自在に配置されると共に、前記シリンダに穿設され前記流路に連通する連通孔に流れ込む前記流体圧室からの流体の流量を回動することによって調整する流量調整部を有する回転弁体と、
該回転弁体を回動させることが可能なノブと、
このノブの回動を規制する回り止め手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の流体圧式送り速度制御装置。 - 前記第1絞り弁を通過する流体を濾過するフィルター、および前記第2絞り弁を通過する流体を濾過するフィルターのうち、少なくとも一方のフィルターを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体圧式送り速度制御装置。
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