JP3729800B2 - 加工装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の主軸に取り付けられ、ワークを加工する加工装置に関し、圧力流体により工具本体に対して移動させることができるリーマ、中ぐりバイト、ドリル等の工具切刃部を備えた加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸排気弁は、シリンダヘッドに設けられたバルブシートと、バルブシートに対して同心にシリンダヘッドに設けられた筒状のバルブガイドと、バルブガイドのバルブガイド穴に案内されてバルブシートのシート面に対して気密に当接して気筒内を密閉する弁体とを具備している。弁体はバルブガイド穴内に収容されバルブガイド穴に沿って摺動するステムと、ステムの先端に設けられシート面に当接、離反する扁平円錐状のバルブヘッドとを具備している。バルブヘッドには、シート面に当接して気筒内の気密性を維持する弁フェースが形成されている。気筒内の気密性を維持するためには、弁フェースはシート面に対して正確に当接させなければならない。そのために、シート面の真円度及び半径、並びにバルブガイド穴とシート面との同心度は高精度に仕上げなければならない。
【0003】
従来、このようなバルブシート及びバルブガイドの加工においては、まず、弁体との密着性が問題となるバルブシートのシート面の荒加工とバルブガイド穴を仕上加工するリーマのパイロット穴を加工するための切削工具を用いて加工し、その後、該切削工具とは別の工具を用いて弁体と弁体から延びるバルブガイド穴を仕上加工していた。したがって、工具を交換する必要があり、このことが加工効率を低下させていた。また、工具交換によりバルブガイド穴とシート面との同心度にずれが生じ易く、気筒の気密性に影響を与えていた。そこで、1つの工具で工具交換を行うことなく連続的にバルブシート及びバルブガイドの加工を可能とさせる複合加工装置が開発された。
【0004】
複合加工装置の従来技術として、シート面とバルブガイド穴の仕上げ加工を行う複合加工装置が挙げられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この複合加工装置は、シート面を加工するカッタが工具本体に設けられ、バルブガイド穴を加工するリーマが工具本体に対してその軸線方向に往復移動可能に設けられている。リーマの往復動作又は進退動作はスルースピンドル方式で主軸を通して供給されたクーラントの圧力と戻りばねによって行われる。すなわち、バルブガイド穴の加工を行うためにリーマを使用するときは、主軸を通して供給されるクーラントにより戻りばねの弾性付勢力に抗してピストンを前進させ、ピストンに連結されたリーマを工具本体から進出させ、一方、シート面を加工するときは、クーラントの供給を停止して、戻りばねの弾性付勢力によりピストンを後退させ、ピストンに連結されたリーマを工具本体内に後退させるようにする。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5,775,853号明細書
【特許文献2】
特開2002−126920号公報(第4−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような複合加工装置においては、リーマを工具本体から進出させるときには、クーラントのような圧力流体を利用してピストンを移動させるが、ピストンを後退させてリーマを工具本体内に退避させるときには、戻りばねの弾性付勢力を利用している。
【0007】
したがって、従来の複合加工装置においては、戻りばねは不可欠な要素であるので、ピストンが収容されたシリンダ室にばね収容スペースを確保する必要があり、複合加工装置をより小型化することの妨げとなっていた。また、リーマを工具本体内に退避させるためには、リーマを工具本体から進出させる際にシリンダ室に供給されたクーラントをシリンダ室から排出しなくてはならないが、排出させるための力は戻りばねの弾性付勢力により行っているので、排出に長時間を要するという問題があり、戻りばねの経時的な劣化によりこの問題は特に顕著となっていた。さらに、ばねによるピストンの戻り動作は不安定であり、リーマが工具本体に正常に退避しないことがあるという問題があった。
【0008】
よって、本発明の目的は、上記従来技術に存する問題を解消して、工具本体内を移動する工具切刃部の進退動作の安定性を高め、工具切刃部の進退動作に要する時間を短縮し、小型化を図ることができる加工装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的に鑑み、工具本体内を移動する工具切刃部の進退動作を、工具本体に供給される圧力流体の経路を圧力流体切換手段で切り換えて圧力応動手段を作動させることにより行うようにしたものである。
【0012】
発明によれば、工作機械の主軸に取り付けられ、ワークを加工する加工装置において、前記主軸に着脱可能に装着される工具本体と、前記工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ移動可能に設けられた工具切刃部と、前記工具本体に形成され圧力流体が供給されるシリンダ室と、前記工具切刃部が取り付けられ前記シリンダ室を移動するピストンと、前記シリンダ室に供給される圧力流体を前記ピストンの前方空間または後方空間に切り換える圧力流体切換手段とを具備する加工装置が提供される。
【0013】
工具切刃部が取り付けられたピストンが工具本体に形成されたシリンダ室内を移動可能に設けられ、工具切刃部を工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ進出させる際は、圧力流体を圧力流体切換手段でシリンダ室のピストンの後方空間に切り換えることにより、ピストンを介して工具切刃部を工具本体から突出させることができる。また、工具切刃部を工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ退避させる際は、圧力流体を圧力流体切換手段でシリンダ室のピストンの前方空間に切り換えることにより、ピストンを介して工具切刃部を工具本体内に引っ込めることができる。
【0014】
前記圧力流体切換手段は、前記工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ移動可能に設けられたスプールを有し、前記スプールが前方へ移動した際に圧力流体が前記シリンダ室の後方空間に供給され前記ピストンが前方へ移動し、前記スプールが後方へ移動した際に圧力流体が前記シリンダ室の前方空間に供給され前記ピストンが後方へ移動するように構成される。
【0015】
圧力流体の圧力または流量に応じて、スプールを前方または後方に移動させることにより、圧力流体をシリンダ室のピストンの前方空間または後方空間に簡単に切り換えることができる。また、シリンダ室のピストンの前方空間または後方空間に供給される圧力流体の圧力または流量に応じて、工具切刃部の進出・退避動作の速度を制御することができる。ここで、ピストンが前方に移動する方向とは、工具切刃部が工具本体から進出、すなわち工具切刃部を工具本体から突出させる方向を指し、ピストンが後方へ移動する方向とは、工具切刃部を工具本体内に退避、すなわち工具切刃部を工具本体内に引っ込める方向を指している。
【0016】
前記工具切刃部は、リーマ、中ぐりバイト、ドリルのうちいずれか1つである。
【0017】
本発明は、バルブシート及びバルブガイドを加工するバルブ加工装置におけるバルブガイド穴加工用のリーマの進退動作、工具本体に荒加工用チップが固定され工具本体に対して仕上加工用チップが移動可能に設けられた中ぐり加工装置における仕上加工用チップの進退動作、工具本体に対して移動可能に設けられたドリルを有したドリル加工装置におけるドリルの進退動作に適用できる。
【0018】
前記工具切刃部は中ぐりバイトであり、前記シリンダ室に供給する圧力流体の圧力を増圧して、前記ピストンが当接する前記工具本体の一部分を弾性変形させ、前記中ぐりバイトの刃先位置を微小量移動可能に構成することができる。
【0019】
工具本体に荒加工用チップが固定され工具本体に対して仕上加工用チップが移動可能に設けられた中ぐり加工装置の場合、仕上加工用チップによる加工時に、圧力流体の圧力を増圧して工具本体の一部分を弾性変形させることにより、仕上加工用チップの刃先位置を微小量突出させ微小な切り込み動作を行うことができ、微細な仕上加工が可能となる。
【0020】
前記圧力流体切換手段は、切換弁を含んで成り、前記切換弁によって、前記シリンダ室における前記ピストンの前方空間又は後方空間に圧力流体を切り換えて供給するように構成される。
【0021】
切換弁の切換動作に応じて、シリンダ室内におけるピストンの前方空間又は後方空間の何れかに圧力流体を供給できるので、工具本体に対する工具切刃部の進退動作を容易に制御することができる。
【0022】
圧力流体切換手段は必ずしも加工装置内に設けられている必要はなく、工作機械本体や工作機械内に圧力流体を供給する配管上に設けられていてもよく、工作機械の任意の位置に設けられていればよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の加工装置の好ましい実施形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の加工装置の第1実施形態を示す断面図であり、(a)は工具切刃部を工具本体から進出させた状態、(b)は工具切刃部を工具本体内に退避させた状態を示したものである。図2は、図1に示されている加工装置の作動流体切換手段の一実施形態を示す拡大断面図である。図3は、本発明の加工装置の第2実施形態を示す断面図である。図4は、本発明の加工装置が取り付けられる主軸を有した工作機械の要部構成図である。図5は、本発明の加工装置の第3実施形態を示す要部断面図であり、工作機械の本体側に作動流体切換手段が設けられている場合を示したものである。
【0025】
最初に、図4を参照して、本発明の加工装置が取り付けられる工作機械1の要部構成の一例を説明する。工作機械1は、機械の基台となるベッド2と、ベッド2上の後部にX軸方向に設けられた案内要素に沿って移動するコラム3と、ベッド2上の前部にZ軸方向に設けられた案内要素に沿って移動し、ワークWを載置するテーブル4と、コラム3の前部にY軸方向に設けられた案内要素に沿って移動し、先端に工具や本発明の加工装置が取り付けられる主軸5を有した主軸頭6とを主要素として構成されている。
【0026】
ここでは、工作機械1は、コラム3がX軸方向、主軸頭6がY軸方向、テーブル4がZ軸方向へ移動するものとして説明したが、本発明の加工装置が取り付けられる主軸5を有した工作機械1の構成はこれに限定されるものではない。要は、テーブル4と主軸5とが相対的にX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に移動できるようになっていればよい。
【0027】
主軸5の先端部には、本発明の加工装置としての複合加工装置11のテーパ部17と係合するテーパ穴7が形成されている。主軸5の内部には、複合加工装置11の主供給流路33と連通する作動流体供給流路8が形成されており、圧力調整装置9、供給ポンプ10、タンク12等を含んで成る作動流体供給装置35から供給された作動流体としてのクーラントはスルースピンドル方式で主軸5の後方からロータリジョイントを介して主軸5の作動流体供給流路8を経て複合加工装置11の主供給流路33へ供給される。ここで、特許請求の範囲における圧力流体とは、本明細書における作動流体に相当するものとする。
【0028】
ここでは、いわゆるスルースピンドル方式を採用している場合を説明したが、本発明の加工装置への作動流体としてのクーラントの供給方式はこの方式に限定されるものではなく、スルーホルダ方式、すなわち主軸5の内部を通過させずに主供給流路33に主軸5の外部の主軸頭7を通って延びる供給流路から直接的に作動流体としてのクーラントを供給する構成を採用することも可能であることは言うまでもない。
【0029】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の加工装置の第1の実施形態について説明する。本実施形態における加工装置はバルブガイド穴加工工具15を備えた複合加工装置11であり、主としてシリンダヘッドのバルブガイド穴及びシート面を加工する際に使用されるものである。
【0030】
なお、以下の説明において、加工装置が配置される側を「先」又は「前」、工作機械に取り付けられる側を「後」と呼称するものとする。
【0031】
図1を参照すると、複合加工装置11は、主軸5に装着される工具本体13と、工具本体13に対して移動可能に設けられているバルブガイド穴加工工具15とを備えている。本実施形態において、バルブガイド穴加工工具15は、工具本体13の回転軸線Oに沿った方向に工具本体13に対して移動可能になっている。
【0032】
バルブガイド穴加工工具15は、長寸のステム15aと、該ステム15aの先端に設けられ、リーマ加工によりバルブガイド穴を仕上げるためのリーマ15bとを含んでいる。
【0033】
工具本体13の後端部には、上述したような工作機械1の主軸5の先端のテーパ穴7に嵌合するテーパ部17が形成されている。一方、工具本体13の先端部は円錐状に形成されており、その外周面にシート面の当り面加工用の切刃チップ19(図1においては、1つのみが図示されている)が円錐状部の母線に沿って移動可能に取り付けられている。シート面の当り面加工用の切刃チップ19は、工具本体13の先端部に固定されていてもよい。また、工具本体13の先端部の外周面にはシート面の逃げ面加工用の切刃チップ(図示せず)が取り付けられている。工具本体13の先端部には工具本体13の回転軸線Oに沿ってブッシュ21が嵌挿されており、このブッシュ21にバルブガイド穴加工工具15のステム15aが移動可能に挿入されている。
【0034】
工具本体13の内部には、第1のシリンダ室23が形成されており、工具本体13の回転軸線Oに沿って延びている。第1のシリンダ室23内には、ピストン25が工具本体13の回転軸線Oの方向に移動可能に設けられており、第1のシリンダ室23を後側に位置する第1の空間23aと前側に位置する第2の空間23bとに隔てている。また、ピストン25には、ブッシュ21に挿入されているバルブガイド穴加工工具15のステム15aが連結されており、バルブガイド穴加工工具15がピストン25と連動して工具本体13の回転軸線Oに沿って移動するようになっている。すなわち、第1のシリンダ室23とピストン25とは、第1のシリンダ室23に供給される作動流体によりバルブガイド穴加工工具15を移動させる圧力応動手段を構成する。
【0035】
上記第1の空間23aと第2の空間23bにはそれぞれ作動流体を供給可能な第1の供給流路27と第2の供給流路29が接続、連通しており、これら第1の供給流路27及び第2の供給流路29はさらに作動流体切換手段31を介して工具本体13の後端部に形成された主供給流路33に接続されている。すなわち、第1の空間23a及び第2の空間23bは、第1の供給流路27又は第2の供給流路29、作動流体切換手段31、及び主供給流路33、作動流体供給流路8を介して作動流体供給装置35と接続されている。作動流体切換手段31は、作動流体供給装置35から供給される作動流体を第1の供給流路27及び第2の供給流路29を介してそれぞれ第1の空間23a及び第2の空間23bに切り換えて供給し、第1のシリンダ室23内においてピストン25を駆動するように機能する。なお、第1の空間23a及び第2の空間23bからはさらに排出流路37、39がそれぞれ延びており、ピストン25の移動によりこれら空間23a、23bが圧縮される際にこれら空間23a、23b内から作動流体が円滑に排出されるようになっている。
【0036】
ここで、図2を参照して、作動流体切換手段31の好ましい実施形態を説明する。本実施形態の作動流体切換手段31は、複合加工装置11の工具本体13内に設けられており、主供給流路33から第1の供給流路27及び第2の供給流路29に分岐する位置に形成された第2のシリンダ室41と、第2のシリンダ室41内に移動可能に設けられたスプール43とを含む。
【0037】
第2のシリンダ室41の後端部には主供給流路33が開口している。さらに、第2のシリンダ室41には第1の供給流路27及び第2の供給流路29も開口している。すなわち、主供給流路33は、第2のシリンダ室41を介して第1の供給流路27及び第2の供給流路29と接続されている。
【0038】
第2のシリンダ室41には、さらに、スプール43を第2のシリンダ室41の後端部へ向かって付勢する戻りばね45や弾性部材のような弾性付勢手段が設けられる。
【0039】
例えば、図2に示されているように、スプール43は、第2のシリンダ室41の前端部側に形成された図2中下向きコ字状の中空円筒形の収容部47を備え、この収容部47内に戻りばね45を配置することができる。このとき、戻りばね45の一端はスプール43に当接し、他端は第2のシリンダ室41の前端面に当接して、スプール43を主供給流路33側の第2のシリンダ室41の後端部側へ向かって弾性付勢する。さらに、取り付け位置を変更可能な調整部材49を収容部47に配置すれば、調整部材49の取り付け位置を変化させることにより、戻りばね45の弾性付勢力を調整することが可能となる。収容室47からは排出流路(図示せず)が延びており、スプール43の移動により収容室47が圧縮される際に収容室47に溜まった作動流体を排出するようにしている。なお、ここでは、第2のシリンダ室41が図1及び図2に示されているように工具本体13の回転軸線Oの方向に延びているものとして説明しているが、第2のシリンダ室41はその軸線が工具本体13の回転軸線Oと任意の角度を成すように配置されてもよい。例えば、第2のシリンダ室41はその軸線が工具本体13の回転軸線Oと直角を成すように配置されてもよい。
【0040】
スプール43の内部には、L字状又はT字状に延びている内部流路51がさらに形成されており、第2のシリンダ室41において主供給流路33が開口している側のスプール43の後端面並びにスプール43の外周面に開口している。詳細には、内部流路51は、図2(a)に示されているように、スプール43が第2のシリンダ室41における前端側の第1の位置に移動したときに、スプール43が第2の供給流路29を閉鎖し、第2のシリンダ室41を介して主供給流路33と第1の供給流路27とを連通させ、図2(b)に示されているように、スプール43が第2のシリンダ室41における後端側の第2の位置に移動したときに、スプール43が第1の供給流路27を閉鎖し、第2のシリンダ室41及び内部流路51を介して主供給流路33と第2の供給流路29とを連通させるように構成されている。
【0041】
したがって、本実施形態の作動流体切換手段31は、スプール43が第1の位置又は第2の位置にあるとき、主供給流路33から第1の供給流路27及び第2の供給流路29の何れか一方に作動流体を切換、供給する。
【0042】
本実施形態の作動流体切換手段31は、スプール43が戻りばね45により第1の位置へ弾性付勢されているので、制御装置53により圧力調整装置9及び供給ポンプ10の動作を制御することによって、作動流体供給装置35から主供給流路33を介して第2のシリンダ室41に供給される作動流体の流量又は圧力を制御し、第2のシリンダ室41内に供給された作動流体の圧力に基づいてスプール43に作用する力と戻りばね45によりスプール43に作用する弾性付勢力との釣り合いを変化させることにより、スプール43の位置を変化させ、第1の空間23a又は第2の空間23bに作動流体を供給することができる。なお、作動流体の流量又は圧力とスプール43の位置との相関関係は、スプール43の収容部47における調整部材49の位置を変化させて戻りばね45の弾性付勢力を変えること又はばね定数の異なる戻りばね45を用いることなどにより調整することが可能である。
【0043】
図1においては、主供給流路33を介して第2のシリンダ室41に供給される作動流体の流量又は圧力は制御装置53により圧力調整装置9や供給ポンプ10の動作を制御して作動流体供給装置35の出力を変化させるものとして示されているが、主供給流路33と作動流体供給装置35との間の作動流体供給流路8上に設けた圧力調整装置又は流量調整装置(不図示)の動作を制御装置53により制御することにより第2のシリンダ室41に供給される作動流体の流量又は圧力を変化させてもよい。
【0044】
また、本実施形態の作動流体切換手段31は、制御装置53により作動流体供給装置35から主供給流路33を介して第2のシリンダ室41に供給される作動流体の流量又は圧力を単に変化させることで、複雑な機構を用いることなく、第1のシリンダ室23の第1の空間23a及び第2の空間23bへの作動流体の供給を切換、供給することが可能とさせる点で好ましい。しかしながら、作動流体切換手段31は、スプール43を弾性付勢するために戻りばね45等の弾性付勢手段を用いているが、弾性付勢手段の劣化による動作の不安定を回避するために、弾性付勢手段を用いずに、例えば、制御装置53によりその動作を制御可能な切換弁により構成することも可能であり、また、主供給流路33から直接的に分岐させられた第1の供給流路27及び第2の供給流路29上にそれぞれ設けられ、制御装置53によりその動作を制御可能な流量調整装置により構成することも可能である。
【0045】
次に、図1及び図2に示された構成をとるバルブガイド穴加工工具15を備えた複合加工装置11の動作を説明する。
【0046】
最初に、バルブシートのシート面の加工のために、バルブガイド穴加工工具15を工具本体13内に後退させる必要がある。このとき、制御装置53により作動流体供給装置35を制御して、主供給流路33を介して第2のシリンダ室41に供給する作動流体の流量又は圧力を予め定められた水準以下に低下させる。これにより、第2のシリンダ室41内の作動流体の圧力によりスプール43に作用する力がスプール43に作用する戻りばね45の弾性付勢力以下に低下し、スプール43に作用する力の釣り合いから、スプール43は戻りばね45の作用により図2(b)に示されている第2の位置に移動する。
【0047】
すると、スプール43は、第1の供給流路27を閉鎖させる一方で、スプール43内に形成された内部流路51を介して主供給流路33を第2の供給流路29と連通させ、作動流体が、作動流体供給装置35から、主供給流路33及び第2の供給流路29を介して第1のシリンダ室23の第2の空間23bに供給される。これにより、第2の空間23b内の作動流体の圧力が上昇し、第1のシリンダ室23においてピストン25が後方へ移動する。そして、このピストン25の後方への移動に連動して、図1(b)に示されているようにピストン25に連結されているステム15aを介してバルブガイド穴加工工具15が工具本体13内に後退する。なお、ピストン25の移動により作動流体に満たされた第1の空間23aが圧縮されるが、第1の空間23a内の作動流体は第1の空間23aから延びている排出流路37から工具本体13の外部に排出されるので、ピストン25の移動及びそれによる第1の空間23aの圧縮が妨げられることはない。
【0048】
こうして、図1(b)に示されているようにバルブガイド穴加工工具15の少なくとも一部を工具本体13内に後退させることによりバルブガイド穴加工工具15を収縮させた状態で、工具本体13を主軸5により回転させながら工具本体13の回転軸線Oに沿って送りを与え、工具本体13の先端部の外周に設けられている逃げ面加工用の切刃チップによりバルブシートの逃げ面の加工を行う。その後、工具本体13を回転させながら当り面加工用の切刃チップ19を工具本体13の円錐状部分の母線に沿って移動させることによりバルブシートのシート面である当り面の加工を行う。または工具本体13の先端部に固定された当り面加工用の切刃チップ19により、シート面の当り面の加工を行う。ここで、バルブシートの逃げ面及び当り面を同時に加工する、すなわち逃げ面加工用の切刃チップによるバルブシートの逃げ面を加工しながら当り面加工用の切刃チップ19を工具本体13の円錐状部分の母線に沿って移動させることによりバルブシートのシート面である当り面の加工を行うこともできる。
【0049】
次に、バルブガイドのバルブガイド穴の加工を行う。複合加工装置11全体をワークWから離れる方向に移動させ、工具本体13を回転させながらバルブガイド穴加工工具15を工具本体13から進出、延伸させる。このとき、制御装置53により作動流体供給装置35を制御して、主供給流路33を介して第2のシリンダ室41に供給する作動流体の流量又は圧力を予め定められた水準以上に増加させる。これにより、第2のシリンダ室41内の作動流体の圧力によりスプール43に作用する力がスプール43に作用する戻りばね45の弾性付勢力以上に増加し、スプール43に作用する力の釣り合いから、スプール43は戻りばね45の弾性付勢力に抗して図2(a)に示されている第1の位置へ移動する。
【0050】
すると、スプール43は、第2の供給流路29を閉鎖させる一方で、第2のシリンダ室41を介して主供給流路33を第1の供給流路27と連通させ、作動流体が、作動流体供給装置35から、主供給流路33及び第1の供給流路27を介して第1のシリンダ室23の第1の空間23aに供給される。これにより、第1の空間23a内の作動流体の圧力が上昇し、第1のシリンダ室23においてピストン25が前方へ移動する。そして、このピストン25の前方への移動に連動して、図1(a)に示されているようにピストン25に結合されているステム15aを介してバルブガイド穴加工工具15が工具本体13から進出、延伸する。なお、ピストン25の移動により作動流体に満たされた第2の空間23bが圧縮されるが、第2の空間23b内の作動流体は第2の空間23bから延びている排出流路39から工具本体13の外部に排出されるので、ピストン25の移動及びそれによる第2の空間23bの圧縮が妨げられることはない。
【0051】
こうして、図1(a)に示されているようにバルブガイド穴加工工具15が工具本体13から延伸した状態で、工具本体13を介してバルブガイド穴加工工具15を回転させながら工具本体13の回転軸線Oに沿ってワークWへ向かって送りを与え、リーマ15bによりバルブガイド穴の仕上げ加工が行われる。
【0052】
なお、複合加工装置11の動作は、バルブガイド穴加工工具15を工具本体13内に後退させた後に、逃げ面加工用の切刃チップ及び当り面加工用の切刃チップ19によりバルブシートのシート面を加工し、その後バルブガイド穴加工工具15を工具本体13から進出させて、バルブガイドのガイド穴を加工するものとして説明したが、本発明の複合加工装置11の動作はこれに限定されない。
【0053】
例えばバルブガイド穴加工工具15の先端部にパイロット穴を加工するパイロット穴加工用の切刃を設けておき、その切刃でパイロット穴をまず加工する。そしてバルブガイド穴加工工具15を工具本体13から進出させ、パイロット穴でバルブガイド穴加工工具15の先端部を案内しながら逃げ面加工用の切刃チップ及び当り面加工用の切刃チップ19によりバルブシートのシート面を加工し、その状態のままバルブガイド穴加工工具15を工具本体13からさらに進出させて、バルブガイドのガイド穴を加工することもできる。その他にも適宜いろいろな動作が考えられる。
【0054】
ここでは、スルースピンドル方式で主軸5の内部を介して工具本体13の内部の主供給流路33に供給されたクーラントを作動流体として、バルブガイド穴加工工具15が取り付けられたピストン25を移動させることにより、工具本体13からバルブガイド穴加工工具15が進出・退避可能に構成されていることを説明したが、ピストン25及びバルブガイド穴加工工具15の内部にそれぞれ供給流路を形成しておき、それらの供給流路を通じて工具本体13の内部の主供給流路33に供給されたクーラントをそれらの供給流路を通じてバルブガイド穴加工工具15の先端部からワークWの加工部に向けて噴出させるよう構成することも可能である。
【0055】
以上、工具本体13の回転軸線Oに沿って移動可能なバルブガイド穴加工工具15を備えた複合加工装置11を例に本発明を説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、図1及び図2に示されている実施形態とほぼ同様の構成であるが、工具本体に加工機能部を有していない点で異なる工具本体の回転軸線に沿って進退可能なドリルなどの工具切刃部を備えた加工装置も本発明の範囲となる。このような構成は、工具長が長すぎるために、自動工具交換装置の工具マガジン内に収容することが困難な場合でも工具マガジン内に収容することを可能とさせ、長い工具長であっても自動工具交換を可能とさせる利点を有する。
【0056】
また、本発明は、工具本体の回転軸線に対して垂直な方向又は斜め方向に移動可能な工具切刃部を備えた加工装置に適用することもできる。
【0057】
以下で、工具本体に荒加工用工具を備え且つ工具本体の回転軸線に対して垂直な方向に移動可能な仕上加工用工具を備えた中ぐり加工装置を本発明の他の実施形態の一例として説明する。
【0058】
図3を参照すると、中ぐり加工装置111は、主軸5に装着される工具本体113と、工具本体113に対して移動可能に設けられている仕上加工工具115とを備えている。本実施形態においては、仕上加工工具115は、工具本体113の回転軸線O′に対して垂直な方向に移動可能になっている。
【0059】
仕上加工工具115は、ロッド115aと、ロッド115aの先端にブロックを介して着脱自在に取り付けられている仕上加工用チップ115bとを含んでいる。
【0060】
工具本体113の後端部には、工作機械1の主軸5の先端のテーパ穴7に嵌合するテーパ部117が形成されている。一方、工具本体113の先端部の側面には荒加工用チップ119が着脱自在に取り付けられている。工具本体113の内部には、第1のシリンダ室123が形成されており、工具本体113の回転軸線O′に対して垂直な方向に延びている。第1のシリンダ室123内には、ピストン125が工具本体113の回転軸線O′に対して垂直な方向に移動可能に設けられており、第1のシリンダ室123を工具本体113の半径方向に第1の空間123aと第2の空間123bとに隔てている。また、ピストン125には、仕上加工工具115のロッド115aが連結されており、仕上加工工具115がピストン125と連動して工具本体113の回転軸線O′に対して垂直な方向に移動するようになっている。
【0061】
上記第1の空間123aと第2の空間123bにはそれぞれ作動流体を供給可能な第1の供給流路127と第2の供給流路129が接続、連通しており、これら第1の供給流路127及び第2の供給流路129はさらに工具本体113内に設けられた作動流体切換手段131を介して工具本体113の後端部に形成された主供給流路133に接続されている。すなわち、第1の空間123a及び第2の空間123bは第1の供給流路127及び第2の供給流路129、作動流体切換手段131、及び主供給流路133を介して作動流体供給装置35と接続、連通している。作動流体切換手段131は、作動流体供給装置35から供給される作動流体を工具本体113内に設けられた第2のシリンダ室141から第1の供給流路127及び第2の供給流路129を介してそれぞれ第1の空間123a及び第2の空間123bに切り換えて供給し、第1のシリンダ室123内においてピストン125を駆動するように機能する。なお、第1の空間123a及び第2の空間123bからはさらに排出流路137、139がそれぞれ延びており、ピストン125の移動によりこれら空間123a、123bが圧縮される際にこれら空間123a、123b内の作動流体を円滑に排出させるようにしている。
【0062】
次に、図3に示された構成をとる荒加工用チップ119及び仕上加工用チップ115bを備えた中ぐり加工装置111の動作を説明する。
【0063】
まず、制御装置53により作動流体供給装置35を制御して、主供給流路133に供給された作動流体を作動流体切換手段131で第2の供給流路129に切り換えて供給することにより、ピストン125を図3における左方に移動させて仕上加工用チップ115bを有した仕上加工工具115を工具本体113内に退避させる。作動流体切換手段131の詳細な動作は、第1実施形態における作動流体切換手段31と同じなのでその動作の詳細な説明は省略する。
【0064】
その後、ワークWに形成された下穴に対して中ぐり加工装置111を相対的に配置し、主軸5を回転させながら中ぐり加工装置111をワークWの下穴内に送り、荒加工用チップ119により下穴の内周面の荒加工を行う。
【0065】
ワークWの荒加工終了後、制御装置53により作動流体供給装置35を制御して、主供給流路133に供給された作動流体を作動流体切換手段131で第1の供給流路127に切り換えて供給することにより、ピストン125を図3における右方に移動させて仕上加工用チップ115bを有した仕上加工工具115を工具本体113から進出させる。
【0066】
その後、主軸5を回転させながら中ぐり加工装置111をワークWの下穴内に荒加工時と反対方向に送り、仕上加工用チップ115bにより下穴の内周面の仕上加工を行う。ここで、仕上加工用チップ115bの刃先位置を荒加工用チップ119の刃先位置よりも半径方向外側に進出可能な構成としておくのは言うまでもない。また、上述の中ぐり加工装置111は装置自体がその軸線方向に往復移動することにより荒加工から仕上加工までを行えるものであるが、本発明の中ぐり加工装置111の動作はこれに限定されず、荒加工及び仕上加工を同方向に送りながら中ぐり加工を行う場合にも適用可能なことは言うまでもない。
【0067】
また、仕上加工用チップ115bによる加工時に、作動流体の圧力を増圧して工具本体113に取り付けられた蓋部材147を弾性変形させることにより、仕上加工用チップ115bの刃先位置を微小量移動させれば、微小な切り込み動作を行うことができ微小な仕上加工が可能となる。
【0068】
上記実施形態では、工具本体内に作動流体切換手段を設け、この作動流体切換手段によって第1のシリンダ室の第1の空間と第2の空間とに供給する作動流体の圧力又は流量を制御し、第1のシリンダ室内においてピストンを駆動するようになっている。しかしながら、第1の空間と第2の空間とに対する作動流体の供給を切り換えることができれば、作動流体切換手段は必ずしも工具本体内に設けられている必要はない。また、上記実施形態では、作動流体切換手段が第2のシリンダ室内で移動可能なスプールを備え、このスプールによって第1のシリンダ室の第1の空間と第2の空間とに対する作動流体の供給を切り換えている。しかしながら、第1の空間と第2の空間とに対する作動流体の供給を切り換えることができれば、作動流体切換手段は必ずしもスプールを備えている必要はない。例えば、第1の空間23aと第2の空間23bとに対する作動流体の供給を工作機械1側のタンク12から工作機械1の内部への配管上に設けられた電磁弁などの適宜の切換弁によって切り換えるようにすることが可能である。なお、切換弁の一種にスプールを用いたスプール弁が含まれることはもちろんである。
【0069】
図5を参照すると、作動流体切換手段31が工作機械1の本体側に設けられている場合の本発明の加工装置の実施形態が示されている。
【0070】
図5に示されている工作機械201は、図4に示されている工作機械1と同様に、ベッド202と、ベッド202上でX軸方向に移動可能なコラム203と、ベッド202上でZ軸方向に移動可能であり、ワーク(図示せず)を載置するテーブル(図示せず)と、コラム203の前部にY軸方向に移動可能に設けられ、先端に工具や本発明の複合加工装置211が取り付けられる主軸205を有した主軸頭206と、主軸205の先端に取り付けられる複合加工装置211と、工作機械201、すなわち、コラム203、主軸205、主軸頭206を経て複合加工装置211に作動流体を供給する作動流体供給装置と、作動流体供給装置の作動を制御する制御装置207とを備えている。
【0071】
図5に示されている作動流体供給装置は、図4に示されている工作機械1と同様に、作動流体を貯留するためのタンク212と、タンク212から作動流体を汲み出し工作機械201にする供給ポンプ210とを備えているが、図4に示されている工作機械1の場合と異なり、供給ポンプ210の出口側に接続されている電磁弁などの切換弁251と、切換弁251から工作機械201を経て複合加工装置211へ延びる第1の作動流体供給流路253及び第2の作動流体供給流路255と、第1の作動流体供給流路253及び第2の作動流体供給流路255上にそれぞれ設けられているセンサ257、259とをさらに備えている。センサ257、259としては、圧力センサや流量センサなどが使用され得る。
【0072】
第1の作動流体供給流路253は、切換弁251からコラム203、主軸頭206を通って主軸205の軸心に沿って主軸205の前端面まで延びており、いわゆるスルースピンドル方式で複合加工装置211に作動流体を供給する。一方、第2の作動流体供給流路255は、第1の作動流体供給流路253から離間して、切換弁251からコラム203、主軸頭206を通って主軸205の前端面まで延びており、いわゆるスルーホルダ方式、すなわち主軸頭206の前端面に固定されており且つ工具本体213が回転可能となるように工具本体213の周面を包囲しているホルダを介して工具本体213に作動流体を供給する方式で複合加工装置11に作動流体を供給する。しかしながら、第2の作動流体供給流路255は、必ずしも主軸頭206を通って延びている必要はなく、主軸205を通って延びるようになっており、スルーフランジ方式、すなわち工具本体213のフランジ面を主軸205の前端面に密着して配置させることにより主軸205内の第2の作動流体供給流路255と工具本体213内の流体通路とを接続させ工具本体213に作動流体を供給する方式を採用することも可能である。
【0073】
図5に示されている複合加工装置211の工具本体213の内部には第1のシリンダ室223が形成されており、工具本体213の回転軸線に沿って延びている。第1のシリンダ室223内には、ピストン225が工具本体213の回転軸線と平行方向に移動可能に設けられており、第1のシリンダ室223を後側に位置する第1の空間223aと前側に位置する第2の空間223bとに隔てている。そして、ピストン225には、穴加工工具215が連結されており、穴加工工具215がピストン225と連動して工具本体213の回転軸線と平行な方向に移動するようになっている。
【0074】
このように、図5に示されている複合加工装置211は、図1に示されている複合加工装置11とほぼ同様の構成であるが、作動流体切換手段が工具本体213内に設けられておらず、作動流体切換手段を構成する切換弁251が複合加工装置11の外部に設けられており、切換弁251から主軸205を通って延びている第1の作動流体供給流路253、切換弁251から主軸頭206を通って延びる第2の作動流体供給流路255が、それぞれ、工具本体213内に形成された第1の連通流路257、第2の連通流路259を介して、第1の空間223a、第2の空間223bに接続されている点において異なっている。
その他の構成については、図1に示されている複合加工装置11と同様であるので、ここでは詳述しない。
【0075】
次に、図5に示されている複合加工装置211が取り付けられる主軸205を有した工作機械201の動作を説明する。
【0076】
例えばバルブシートのシート面の加工を行うために、穴加工工具215を工具本体213内に後退させる必要があるとき、制御装置207により切換弁251の動作を制御して、供給ポンプ210から流入する作動流体を第2の作動流体供給流路255に流通させる。すると、作動流体が工具本体213の第2の連通流路259を経て第1のシリンダ室223の第2の空間223bに供給されるので、第2の空間223b内の作動流体の圧力が上昇し、第1のシリンダ室223においてピストン225が後方へ移動する。そして、このピストン225の後方への移動に連動して、ピストン225に連結されている穴加工工具215が工具本体213内に後退する。
【0077】
一方、例えばバルブガイドのバルブガイド穴の加工を行うために、穴加工工具215を工具本体213から進出、延伸させる必要があるとき、制御装置207により切換弁251の動作を制御して、供給ポンプ210から流入する作動流体を第1の作動流体供給流路253に流通させる。すると、作動流体が工具本体213の第1の連通流路257を経て第1のシリンダ室223の第1の空間223aに供給されるので、第1の空間223a内の作動流体の圧力が上昇し、第1のシリンダ室223においてピストン225が前方へ移動する。そして、このピストン225の前方への移動に連動して、ピストン225に連結されている穴加工工具215が工具本体213から進出、延伸する。
【0078】
図1や図3に示されている本発明の加工装置の実施形態では、工具本体に設けられているスプールによって第1のシリンダ室の第1の空間及び第2の空間に対する作動流体の供給が制御されるが、スプールから第1の空間及び第2の空間へ至る流路上にセンサを設けることは、工具本体内のスペースの問題や配線の問題から困難である。したがって、第1の空間及び第2の空間に対して作動流体が実際に供給されていることを確認することができない。一方、本実施形態においては、複合加工装置211の第1のシリンダ室223の第1の空間223a、第2の空間223b内にそれぞれ作動流体を直接供給する第1の作動流体供給流路253、第2の作動流体供給流路255上にセンサ257、259が設けられており、第1の空間223a及び第2の空間223bに実際に供給されている作動流体の流量又は圧力を検出することができるので、ピストン215の作動に異常があれば、即座に確認することが可能となる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明によれば、工具本体に供給される作動流体の経路を作動流体切換手段で切り換えて圧力応動手段を作動させることにより、工具切刃部を工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ進出・退避動作させるようにしたので、工具切刃部の進退動作を常時安定して行うことができる。
【0080】
また、工具切刃部の退避動作時に戻りばねを使用する従来技術のように、戻りばねの経時的な劣化に影響されることがなく、工具切刃部の退避動作が素早く行え、加工時間を短縮することができる。さらに、工具本体内に戻りばねを収容する空間を必要としないので、装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工装置の第1実施形態を示す断面図であり、(a)は工具切刃部を工具本体から進出させた状態、(b)は工具切刃部を工具本体内に退避させた状態を示したものである。
【図2】図1に示されている加工装置の作動流体切換手段の一実施形態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の加工装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の加工装置が取り付けられる主軸を有した工作機械の要部構成図である。
【図5】本発明の加工装置の第3実施形態を示す要部断面図であり、工作機械の本体側に作動流体切換手段が設けられている場合を示したものである。
【符号の説明】
1…工作機械
5…主軸
6…主軸頭
11…複合加工装置
13…工具本体
15…バルブガイド穴加工工具
23…第1のシリンダ室
23a…第1の空間
23b…第2の空間
25…ピストン
27…第1の供給流路
29…第2の供給流路
31…作動流体切換手段
35…作動流体供給装置
41…第2のシリンダ室
43…スプール
45…戻りばね
53…制御装置
111…複合加工装置
113…工具本体
115…仕上加工工具
123…第1のシリンダ室
123a…第1の空間
123b…第2の空間
125…ピストン
127…第1の供給流路
129…第2の供給流路
131…作動流体切換手段
141…第2のシリンダ室
143…スプール
145…戻りばね
201…工作機械
205…主軸
206…主軸頭
207…制御装置
211…複合加工装置
213…工具本体
215…穴加工工具
223…第1のシリンダ室
223a…第1の空間
223b…第2の空間
225…ピストン
251…切換弁

Claims (5)

  1. 工作機械の主軸に取り付けられ、ワークを加工する加工装置において、
    前記主軸に着脱可能に装着される工具本体と、
    前記工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ移動可能に設けられた工具切刃部と、
    前記工具本体に形成され圧力流体が供給されるシリンダ室と、
    前記工具切刃部が取り付けられ前記シリンダ室を移動するピストンと、
    前記シリンダ室に供給される圧力流体を前記ピストンの前方空間または後方空間に切り換える圧力流体切換手段と、
    を具備することを特徴とした加工装置。
  2. 前記圧力流体切換手段は、前記工具本体の軸線に対して平行方向または垂直方向へ移動可能に設けられたスプールを有し、前記スプールが前方へ移動した際に圧力流体が前記シリンダ室の後方空間に供給され前記ピストンが前方へ移動し、前記スプールが後方へ移動した際に圧力流体が前記シリンダ室の前方空間に供給され前記ピストンが後方へ移動する請求項に記載の加工装置。
  3. 前記工具切刃部は、リーマ、中ぐりバイト、ドリルのうちいずれか1つである請求項1又は請求項2に記載の加工装置。
  4. 前記工具切刃部は中ぐりバイトであり、前記シリンダ室に供給する圧力流体の圧力を増圧して、前記ピストンが当接する前記工具本体の一部分を弾性変形させ、前記中ぐりバイトの刃先位置を微小量移動可能に構成した請求項に記載の加工装置。
  5. 前記圧力流体切換手段は切換弁を含んで成り、前記切換弁によって、前記シリンダ室における前記ピストンの前方空間又は後方空間に圧力流体を切り換えて供給する請求項に記載の加工装置。
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