JP5388167B2 - 光半導体素子封止用シート及びそれを用いてなる光半導体装置 - Google Patents

光半導体素子封止用シート及びそれを用いてなる光半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、光半導体素子封止用シート及びそれを用いてなる光半導体装置に関する。
高輝度青色発光ダイオードが製品化されて以来、かかる光半導体素子を実装した光半導体装置を利用した様々な商品(液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイ・広告看板等)が開発されてきた。かかる商品分野においては、製品メーカーだけではなく消費者の品質へのこだわりも強いため、光半導体装置に求められる性能は年々高くなり、例えば光半導体素子のメーカーにおいてはより高輝度な素子の開発が続けられている。
一方、かかるより高輝度な光半導体素子の性能を生かすべく、このような光半導体素子を封止するための技術も当然のことながら常に改善が求められている。例えばより簡便かつ確実に光半導体素子を封止する技術や、素子の光取り出し効率を向上させる技術も活発に検討されている。
例えば、光半導体素子を簡便かつ確実に封止するために、シート状の封止材(光半導体素子封止用シート)が開発されてきた(特許文献1)。
かかる光半導体素子封止用シートや、あるいは従来の光半導体素子封止材においては、例えば素子から放出される光を光拡散粒子で散乱させることによって素子の光取り出し効率を向上させている。
特開2006−140362号公報
従って、本発明の課題は、光半導体素子を簡便かつ確実に封止できる光半導体素子封止用シートにおいて、光半導体素子の光取り出し効率をさらに向上させることができる光半導体素子封止用シートを提供することにある。さらに本発明の課題は、かかる光半導体素子封止用シートによって光半導体素子が封止された、光半導体素子の光取り出し効率が向上した光半導体装置を提供することにある。
そこで本発明者らは、光半導体素子の光取り出し効率をさらに向上させるべく、多種多様な樹脂及び光拡散粒子等の成分及び配合量等の検討を行い、さらには無数の組み合わせが想定される封止層及び光拡散層の構造及び形状等についても検討を行った。その結果、本発明者らは、封止層と光拡散層とを特定の構造、具体的には封止層の上部、即ち光半導体素子の上方から光拡散層を敢えて取り去り、光拡散層が封止層の側面のみを取り囲む構造とすることによって、意外にも光半導体素子の光取り出し効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は、
〔1〕少なくとも離型基材、封止層及び光拡散層から構成される光半導体素子封止用シートであって、
当該光拡散層は当該離型基材上に設けられ、
当該光拡散層には開口部が設けられ、そして
当該封止層は当該開口部内に設けられ、かつ、当該封止層の底面は当該離型基材に接し、上部には当該光拡散層が存在せず、当該封止層の厚さが200〜1000μmである、
光半導体素子封止用シート、並びに
〔2〕前記〔1〕に記載の光半導体素子封止用シートの封止層に光半導体素子を埋設して封止してなり、該封止層の側面には光拡散層が存在するが、上部には光拡散層が存在しない構造を特徴とする光半導体装置、に関するものである。
本発明の光半導体素子封止用シートは、それを用いて光半導体素子を封止することによって、製造される光半導体素子の光取り出し効率をさらに向上させることができる。さらに本発明の光半導体装置は、光半導体素子の光取り出し効率が向上した装置であり、液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイ・広告看板等の種々の商品に有用である。しかも本発明品では、本発明の分野において従来より用いられている汎用品を材料として使用することができるため、材料の価格面及び入手の容易さの面でも極めて有利である。
1)光半導体素子封止用シート
まず、本発明の光半導体素子封止用シートについて説明する。
本発明の光半導体素子封止用シートは、少なくとも離型基材、封止層及び光拡散層から構成される光半導体素子封止用シートであって、
当該光拡散層は当該離型基材上に設けられ、
当該光拡散層には開口部が設けられ、そして
当該封止層は当該開口部内に設けられてなるものである。
離型基材とは、本発明の光半導体素子封止用シートの基材となるものであり、この離型基材上に光拡散層が形成される。離型基材の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルのフィルム等が挙げられる。離型基材の厚さとしては、作業性の観点から、25〜50μmの範囲が好ましい。かかる離型基材は光半導体素子封止用シートの使用時及び製造時に剥離されることがあるため、その表面が公知の方法で離型処理を施されているものが好ましい。
封止層とは、光半導体素子を封止するための、主に樹脂から構成される層である。かかる封止層は、光半導体素子を確実に封止する観点から、半硬化状態の熱硬化性樹脂から構成されるものが好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の分野において封止層用の熱硬化性樹脂として従来より用いられているものが挙げられるが、具体例としては、シリコーンゲル、変性シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂、ポリアルミノシロキサン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリル系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は耐熱性の観点から好ましい。
封止層を形成する際には、光半導体素子(特に発光ダイオード)の発光色を調整するための蛍光剤(サイアロン、YAG等)や、樹脂の硬化剤(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物及び2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類)、又は硬化触媒等のその他の成分を、必要に応じて配合してもよい。なお、封止層は一層のみで構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
かかる封止層の厚さとしては、200〜1000μmが好ましく、300〜800μmがより好ましく、400〜600μmがさらに好ましい。封止を確実に行う観点から、封止層の厚さは200μm以上であることが好ましく、光取り出し効率を高くする観点から1000μm以下であることが好ましい。
封止層は後述の光拡散層に設けられる開口部内に設けられるため、封止層の形状は開口部の形状に対応したものとなる。また、封止層の厚みは光拡散層の厚みと同じであることが好ましい。かかる封止層の形状としては、光半導体素子を確実に封止でき、かつ光取り出し効率を向上できる形状であれば特に限定されない。好ましい封止層の形状としては、その切断面(即ち、封止層の形状を柱に見立てた場合の離型基材に平行な切断面)の形状が円形、楕円形及び四角形等であって、所定の厚さを有するものが挙げられる。切断面の形状は好ましくは円形であり、その直径が2〜10mmであることが好ましく、3〜8mmであることがより好ましく、4〜5mmであることがさらに好ましい。
本発明の光半導体素子封止用シートにおける封止層の数は、封止対象となる配線回路基板上の光半導体素子の数に合わせて適宜変更することができる。
封止層を構成する樹脂は、作業性の観点から半硬化状態であることが好ましい。ここで、半硬化状態とは、硬化反応が完了しておらず、塑性変形が可能な状態をいう。
本発明の光半導体素子封止用シートでは、封止層は光拡散層の開口部内に設けられた状態にある。即ち、本発明の光半導体素子封止用シートでは、離型基材を下に向けた時、封止層の底面は離型基材に接しており、その側面は光拡散層で取り囲まれ、その上部は光拡散層が無い、というユニークな構造を持ち、このような構造とすることで、光半導体素子からの光取り出し効率の向上を達成することができる。なお、必要に応じて、封止層の上部に光拡散層以外の層が設けられていてもよい。
本発明における光拡散層とは、主に光拡散粒子及び樹脂から構成される層である。光拡散層に含まれる光拡散粒子としては、本発明の分野において光拡散粒子として従来より用いられているものが挙げられ、具体的には、硫酸バリウム、酸化バリウム、(二酸化ケイ素等の)酸化ケイ素、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、アルミナ及び酸化ジルコニウム等の無機粒子が挙げられる。分散性及び粒子径の制御の容易さの観点から、硫酸バリウム及びシリカが好ましい。これらの光拡散粒子は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光拡散粒子の粒子径の範囲は、光散乱性及び光透過率の維持の観点から、500nm〜10μmが好ましく、500nm〜5μmがより好ましい。ここでいう粒子径とは体積平均粒子径であり、例えば日機装社:マイクロトラック装置を用いて測定することができる。
光拡散層中の光拡散粒子の含有量としては、光散乱性を発揮させる観点からはより多い方が好ましく、一方光半導体素子封止用シートとしての光透過性を確保する観点からはより少ない方が好ましい。光拡散粒子の好ましい量としては、用いる光拡散粒子及び樹脂の種類等に左右されるため一概には言えないが、例えば後述の塗工溶液に配合される光拡散粒子の量を適宜設定することによって、所望の効果を発揮させることができる。
光拡散層を構成する樹脂としては、従来より本発明分野で封止層に用いられている樹脂を用いることができ、例えば上記の封止層に用いることができる樹脂で列挙したものが挙げられる。かかる樹脂の中で好ましいものとしては、例えばシリコーンゲル、変性シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂、ポリアルミノシロキサン樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、光拡散層を構成する樹脂と封止層を構成する樹脂の種類・組成等は同一であってもよく、異なっていてもよい。
光拡散層の厚さは封止層の厚さと同じであることが好ましい。
光拡散層を構成する樹脂は、作業性の観点から半硬化状態であることが好ましい。ここで、半硬化状態とは、封止層において定義される半硬化状態と同一の定義である。
本発明の光半導体素子封止用シートでは、光拡散層は離型基材上に設けられた状態にあり、この光拡散層には、(封止層が設けられる)開口部が設けられている。即ち、光拡散層は、光半導体素子とは直接接触する位置には設けられておらず、封止層を介して所定の効果を発揮することとなる。なお、必要に応じて、光拡散層の上部にさらに別の層が設けられていてもよい。
本発明の光半導体素子封止用シートは、「少なくとも離型基材、封止層及び光拡散層から構成される」ものであり、ここで、「少なくとも離型基材、封止層及び光拡散層から構成される」とは、封止層及び光拡散層が光半導体素子封止用シートとして機能できる状態で離型基材上に設けられた状態であって、これらの構成要素に加えて、さらに他の層や他の部材が設けられてもよい状態であることをいう。
本発明の光半導体素子封止用シートの厚さとしては、軽量化・小型化及び後の加工性の観点から、0.4〜1.0mmが好ましく、0.4〜0.6mmがより好ましい。
次に、図を参照しつつ本発明の光半導体素子封止用シートを説明する。
図1及び図2は、本発明の光半導体素子封止用シートの一例を示す模式図である。図1は光半導体素子封止用シートの上面図であり、図2は図1のB−B’線による断面図である。図1及び図2で示されるように、本発明の光半導体素子封止用シートは少なくとも離型基材1、封止層3及び光拡散層2から構成されており、光拡散層2は離型基材1上に設けられ、光拡散層2には開口部4が設けられ、そして封止層3は開口部4内に設けられている。また、図1及び図2で示されるように、本発明の光半導体素子封止用シートにおいて、封止層3の底面は離型基材1に接しており、その側面は光拡散層2で取り囲まれ、その上部には光拡散層2が無い、というユニークな構造を有する。
次に、本発明の光半導体素子封止用樹脂シートの製造方法について、図を参照しつつ説明する。
本発明の光半導体素子封止用樹脂シートは、例えば次の工程:
a)離型基材上に塗工溶液を塗布して光拡散層を形成させる工程、
b)光拡散層に開口部を設ける工程、及び
c)設けられた開口部に封止材組成液を充填して封止層を形成させる工程、
を含む方法によって製造することができる。
工程a)における光拡散層の形成は、例えば次のように行うことができる。まず、光拡散層に用いる樹脂、光拡散粒子、さらには必要に応じて硬化剤等のその他の成分を、トルエン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等の有機溶媒に添加し混合して、光拡散粒子が懸濁した液体(塗工溶液という)を調製する。なお、上記の有機溶媒は必要に応じて用いても用いなくてもよく、本明細書においては、かかる溶媒を用いずに得られた樹脂及び光拡散粒子等の混合物も塗工溶液という。
ここで、塗工溶液における各成分の量的規定としては、用いる光拡散粒子及び樹脂の種類等に左右されるため一概には言えないが、例えば次の組み合わせが好ましい。即ち、溶媒100重量部に対して、樹脂が20〜100重量部であり、光拡散粒子が20〜100重量部であり、そして硬化剤等のその他の成分が0〜15重量部配合されることが好ましく、樹脂が30〜80重量部であり、光拡散粒子が30〜80重量部であり、そして硬化剤等のその他の成分が0〜10重量部配合されることがより好ましく、樹脂が50〜80重量部であり、光拡散粒子が50〜80重量部であり、そして硬化剤等のその他の成分が0〜5重量部配合されることがさらに好ましい。ここで、光拡散粒子による光散乱性を発揮させる観点から、光拡散粒子を溶媒100重量部に対して20重量部以上配合することが好ましく、光半導体素子封止用シートとしての光透過性を確保する観点から、溶媒100重量部に対して100重量部以下配合することが好ましい。
また、溶媒を用いない場合の光拡散粒子の配合量は、樹脂100重量部に対して10〜100重量部であることが好ましく、20〜80重量部であることがより好ましく、40〜70重量部であることがさらに好ましい。
本発明において好ましく用いることができる塗工溶液の例としては:200重量部のメチルエチルケトンに対して、エポキシ当量7500のビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂を40〜50重量部、エポキシ当量260の脂環式骨格のエポキシ樹脂を25〜40重量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を15〜30重量部、2−メチルイミダゾールを0.1〜0.5重量部、及び体積平均粒子径が4〜10μmの硫酸バリウム粒子を80〜120重量部配合してなる塗工溶液が挙げられる。
次いで、好ましくはその表面が離型処理されたPETフィルム等の離型基材上に塗工溶液を塗布する。具体的には、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティング等を利用した公知の装置(例えばマルチコーター)を利用して離型基材上に塗工溶液を塗布することができる。塗工溶液の塗布量は、形成される光拡散層の厚さが所定の範囲となるように、用いる装置を適宜設定して調整することができる。
次いで、塗工溶液を離型基材1上で乾燥させて溶媒を除去して光拡散層2を形成させる(図3a)。光拡散層を構成する樹脂は半硬化状態であることが好ましい。樹脂を半硬化状態とするための加熱温度又は時間については、用いる樹脂や溶媒の種類によって異なるため一概に決定することはできないが、温度としては80〜150℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。また、この時の時間としては、1〜30分間が好ましく、3〜10分間がより好ましい。このようにして形成される層を単独で光拡散層として用いてもよく、複数の層を重ねたものを光拡散層2として用いてもよい(図3d)。
複数の層を重ねたものを光拡散層2として用いる場合、図3aのような光拡散層2が1層形成されたシートを複数枚(例えば3枚)用意する。まず最初に、図3bのように、互いの光拡散層2が接触する向きで重ね合わせ、熱ラミネータを用いて積層する。次いで、一方の離型基材1を取り除き(図3c)、露出した光拡散層2に、さらにもう1枚のシートを互いの光拡散層2が接触する向きで重ね合わせ、熱ラミネータを用いて積層する(図3d)。このようにして、図3dのような複数の層が重なった光拡散層2を離型基材1に形成させることができる。
工程b)において、光拡散層に開口部を設ける方法としては、例えば、まず最初に離型基材上に光拡散層が設けられたシートに、所望の形状を有するパンチ、トムソン刃等の工具を用いて貫通孔を形成し、次いでこの貫通孔を開口部とする方法が挙げられる。なお、後の充填操作を容易に行うために、開口部の一方の口を別の離型基材等で覆うことにより、開口部の形状を貫通孔ではなく止まり穴としてもよい。
例えば図3dで示されるシートの光拡散層2に開口部を設ける場合、シートにパンチで貫通孔5を形成し(図4a)、次いで一方の離型基材1を取り除き(図4b)、露出した光拡散層2に、さらに別の離型基材1を重ね合わせ、熱ラミネータを用いて積層する(図4c)。このようにして、開口部4が止まり穴の形状のシート(図4c)を製造することができる。ここで、開口部の形状は、パンチ等の工具を適宜選択・設定することにより、所望の形状とすることができる。また、開口部の厚さは、工具の操作を適宜調整することで、所望の厚さとすることができる。
工程c)において封止層を形成させる。本工程においては、封止層を構成する樹脂等の成分が溶解又は懸濁した状態の液状物(封止材組成液とする)を調製し、この封止材組成液を開口部に充填する方法が、開口部に封止層を容易に形成できるため、好ましい。かかる封止材組成液には、封止層を構成する樹脂の他に、必要に応じて蛍光剤や硬化剤等のその他の成分が配合されていてもよい。
このようなその他の成分の封止材組成液における含有量としては、充填操作の容易性を図り、所定の効果を発揮させる観点から、例えば封止材組成液の0〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。
本発明において用いられる封止材組成液としては、蛍光剤(サイアロン)を10〜15重量%含む、粘度が500〜1000mPa・sの変性シリコーン樹脂が好ましい。
このようにして調製された封止材組成液を、例えばディスペンサ等の装置を用いて開口部に充填する。充填される封止材組成液の量としては、用いる装置を適宜設定することによって、所望の量とすること、即ち好ましい厚さの封止層を形成させることができる。
次いで、充填された封止材組成液を開口部内で硬化させて封止層を形成させ、例えば図1及び図2に示されるような、開口部4内に封止層3が設けられた本発明の光半導体素子封止用シートを製造する。
封止層を構成する樹脂は半硬化状態であることが好ましい。樹脂を半硬化状態とするための加熱温度又は時間については、用いる樹脂や溶媒の種類によって異なるため一概に決定することはできないが、温度としては80〜150℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。また、この時の時間としては、1〜30分間が好ましく、3〜10分間がより好ましい。このようにして形成される層を単独で封止層として用いてもよく、複数の層を重ねたものを封止層として用いてもよい。
2)光半導体装置
次に、本発明の光半導体装置について説明する。
本発明の光半導体装置は、本発明の光半導体素子封止用シートを用いて光半導体素子を封止してなるものである。本発明に用いられる光半導体素子としては、例えば青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、赤色発光ダイオード、紫外線発光ダイオード等の発光ダイオードが挙げられる。
次に、図を参照しつつ本発明の光半導体装置を説明する。図5及び図6は、本発明の光半導体装置の一例を示す模式図である。図5は光半導体素子封止用シートの上面図であり、図6は図5のA−A’線による断面図である。
図5及び図6で示されるように、本発明の光半導体装置は、配線回路基板12上に実装された光半導体素子11が、本発明の光半導体素子封止用シートの封止層3によって封止されており、当該封止層3の側面は光拡散層2で取り囲まれ、その上部には光拡散層2が無い、というユニークな構造を有する。かかる構造とすることにより、光取り出し効率の向上を図ることができる。
本発明の光半導体装置は、例えば次の工程:
A)基板上に光半導体素子が実装された面に、本発明の光半導体素子封止用樹脂シートを、光半導体素子に対向する位置に封止層を合わせるように積層する工程、並びに
B)工程A)で積層した光半導体素子封止用樹脂シートを加圧硬化させて、光半導体素子を封止層で封止する工程、
を含む方法によって製造することができる。
工程A)において、所定の位置に封止層を合わせるように積層するには、特に圧力をかける必要はなく、本発明の光半導体素子封止用樹脂シートを光半導体素子が実装された基板上に載置するだけでよい。
工程B)において、本発明の光半導体素子封止用樹脂シートを加圧硬化させる条件としては、例えば真空ラミネータ、真空プレス機等を用いて、好ましくは80〜150℃、より好ましくは130〜150℃の温度、そして好ましくは0.2〜0.5MPa、より好ましくは0.2〜0.3MPaの圧力にて加圧して当該シートを圧着させ、その後、好ましくは100〜150℃、より好ましくは130〜150℃の温度、好ましくは1〜24時間、より好ましくは2〜5時間の期間、ポストキュア(二次硬化)させる条件等が挙げられる。また、工程B)は工程A)と同時に行ってもよい。離型基材については、本工程に次いで剥離すればよい。
このようにして、本発明の光半導体素子封止用樹脂シートの封止層が硬化して、当該封止層によって光半導体素子が封止され、それと同じく本発明の光半導体素子封止用樹脂シートの光拡散層も硬化して基板と一体化し、本発明の光半導体装置が完成する。
以下、本発明の態様を実施例に記載するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
エポキシ当量7500のビスフェノールA骨格(BFA)のエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社:EP1256)45重量部、エポキシ当量260の脂環式骨格のエポキシ樹脂(ダイセル化学社:EHPE3150)33重量部、硬化剤としての4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸22重量部及び2−メチルイミダゾール0.2重量部、並びに光拡散粒子としての硫酸バリウム粒子(体積平均粒子径:5μm;竹原化学工業社:W−6)100重量部を、200重量部のメチルエチルケトンで溶解させ、光拡散層を形成させるための塗工溶液を調製した。
次いで、離型基材としての、表面を離型処理した二軸延伸ポリエステルフィルム(膜厚:50μm、三菱化学ポリエステル社:MRF−50)の上に、アプリケーターを用いて、形成される光拡散層の厚さが100μmとなるように上記の塗工溶液を塗布した。このものを130℃で2分間かけて乾燥させて、フィルム上に光拡散層を1層形成させた。このようにして、光拡散層2が形成されたシート(ベースシートA)を製造した(図3a)。
ベースシートAを3枚用意した。その内の1枚の光拡散層2の上に、他の2枚の光拡散層を積層(離型基材は除去)し、光拡散層2の厚さが300μmのシートを製造した(図3d)。この時の積層条件は、熱ラミネータ(日東精機社:NLE−550ST)を用いて、100℃で1500rpmにて重ね合わせるという条件であった。
上記のようにして得られたシートにパンチで直径6mmの円柱状の貫通孔5を開け(図4a)、一方の側の離型基材1を剥離し(図4b)、次いで貫通孔の開いていない別の離型基材1をそこに貼り合せて上記と同様にして積層し、光拡散層2に開口部4が設けられたシートを製造した(図4c)。
次に、封止層を形成させるために用いる封止材組成液を調製した。即ち、両末端シラノール型シリコーンオイル(信越化学工業社:KF−9701)0.2molにアルミニウムイソプロポキシド40.2mmolを加えて室温で24時間攪拌した。得られた混合物を遠心分離に付して不溶物を除去した。次いで、得られた液体を50℃で2時間減圧下で濃縮し、ポリアルミノシロキサンオイルを得た。このポリアルミノシロキサンオイル10重量部にエポキシ型シランカップリング剤(信越化学工業社:KBM−403)を1重量部加えて減圧下、80℃で7分間攪拌して変性シリコーン樹脂を得た。この変性シリコーン樹脂に黄色蛍光体(サイアロン)の量が12重量%となるようにこれを添加して、封止材組成液を得た。この封止材組成液の粘度は800mPa・sであった。
次に、製造されたシートの貫通孔が開いた側の離型基材1を剥離し(図7)、上記で得た封止材組成液を、周囲の光拡散層2と同じ高さ(300μm)になるように、ディスペンサを用いてこの開口部4に充填した。そのままの状態で100℃で5分間加熱して半硬化状態の封止層3を形成させた(図8)。この時に形成された封止層3の形状は、切断面が円形であり、断面の直径が6mm、高さが300μmの円柱状であった。このようにして、本発明品の光半導体素子封止用シートを製造した(図8)。
(実施例2)
実施例1で製造した光半導体素子封止用シートを用いて、次のようにして光半導体装置を製造した。
まず、1mm角の青色発光ダイオード(SemiLEDs社:SL−U40AC)を実装した配線回路基板を用意した。この基板面に、光半導体素子封止用シートを、光半導体素子に対向する位置に封止層を合わせるように載置した。次いで、真空ラミネータ(ニチゴーモートン社:V−130)を用いて、0.3MPa、150℃で60秒間かけて圧着した。その後、150℃で2時間かけて光拡散層及び封止層の硬化を行って積層を完了した。次いで、離型基材を剥離して、本発明品の光半導体装置を製造した。
かかる光半導体装置の構造は、図5及び図6に模式的に示される構造を有するものであった。
製造された光半導体装置に50mAの電流を流し、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社:MCPD−3000)にて全光束を測定した。その結果、輝度(Y値)は1400であった。
(比較例1)
上記のベースシートAを2枚用意した。実施例1と同じ方法で、200μmの光拡散層が形成された状態のシート(図3c)を製造した。このシートの光拡散層2上に実施例1で使用した封止材組成液を、形成される封止層の厚さが100μmとなるように塗布し、そのままの状態で100℃で5分間加熱して半硬化状態の封止層を形成させて、光半導体素子封止用シートを製造した。
次いで、実施例2で用いたものと同一の、青色発光ダイオードを実装した配線回路基板12を用意した。この基板上に、光半導体素子封止用シートの封止層がダイオードに接触するように張り合わせた。次いで、実施例2と同様の方法で、光半導体装置を製造した(図9)。実施例1と同じ測定条件で全光束を測定した結果、輝度(Y値)は1250であった。
(比較例2)
塗工溶液に硫酸バリウム粒子を配合しないこと以外は、実施例1と同様にして光半導体素子封止用シートを製造した(図10)。図10においては、光拡散層2の代わりに樹脂層21(光拡散層から光拡散粒子を除いた層)が設けられた。
次いで、実施例2と同様にして、光半導体装置を製造し、その全光束を測定した。本例における輝度(Y値)は1250であった。
上記のように、本発明の光半導体装置(実施例2)は、封止層上に光拡散層が設けられた例(比較例1)及び光拡散粒子が無い例(比較例2)よりも、光半導体素子の光取り出し効率が優れていることが分かった。
(実施例3)
光拡散粒子としての硫酸バリウム粒子の代わりに二酸化ケイ素粒子(体積平均粒子径:8μm;東海化学工業所社:ML−369W)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で光半導体素子封止用シートを製造した。次いで、得られた半導体素子封止用シートを用いて実施例2と同様の方法で光半導体装置を製造し、全光束を測定した。その結果、輝度(Y値)は1350であり、製造された光半導体装置は優れた光取り出し効率を有していた。
(実施例4)
光拡散層を形成させるための塗工溶液を下記のようにして作製した塗工溶液に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法で光半導体素子封止用シートを製造した。即ち、実施例1で得た変性シリコーン樹脂100重量部に対して、硫酸バリウム粒子(体積平均粒子径:5μm;竹原化学工業社:W−6)100重量部を添加して、塗工溶液を得た。
次いで、得られた半導体素子封止用シートを用いて実施例2と同様の方法で光半導体装置を製造し、全光束を測定した。その結果、輝度(Y値)は1350であり、製造された光半導体装置は優れた光取り出し効率を有していた。
(実施例5)
封止層を形成させるための封止材組成液を下記のようにして作製した封止材組成液に代えたこと以外は、実施例1と同様の方法で光半導体素子封止用シートを製造した。即ち、溶媒としての酢酸エチル300重量部に、モノマーとしてのメチルメタクリレート50重量部、ブチルメタクリレート45重量部及びメタクリル酸5重量部、重合触媒としてのアゾビスイソブチロニトリルを1重量部添加して、窒素雰囲気下、80℃で重合してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液に、ポリマー100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社:EP828)5重量部、硬化触媒としてのトリメトキシボロキシン1重量部及び15重量部のサイアロンを添加して、アクリル系樹脂がベースの封止材組成液を得た。この封止材組成液の粘度は800mPa・sであった。
次いで、得られた半導体素子封止用シートを用いて実施例2と同様の方法で光半導体装置を製造し、全光束を測定した。その結果、輝度(Y値)は1350であり、製造された光半導体装置は優れた光取り出し効率を有していた。
実施例3〜5から示されるように、光半導体素子封止用シート及び光半導体装置を本発明のようにユニークな構造のものとしたことにより、光拡散粒子、光拡散層及び封止材の種類に関わりなく、非常に優れた光半導体素子の光取り出し効率を達成できることが分かった。
本発明の光半導体素子封止用シートは、光半導体素子の光取り出し効率をさらに向上させることができる。また本発明の光半導体装置は光半導体素子の光取り出し効率がさらに向上したものであるので、本発明の光半導体装置を利用することにより、様々な商品(液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイ・広告看板等)の品質をより高めることができる。
図1は、本発明の光半導体素子封止用シートの一例を示す模式図であって、上面図である。 図2は、本発明の光半導体素子封止用シートの一例を示す模式図であって、図1のB−B’線による断面図である。 図3は、本発明の光半導体素子封止用シートの製造過程を示す模式図であって、断面図である。 図4は、本発明の光半導体素子封止用シートの製造過程を示す模式図であって、断面図である。 図5は、本発明の光半導体装置の一例を示す模式図であって、上面図である。 図6は、本発明の光半導体装置の一例を示す模式図であって、図5のA−A’線による断面図である。 図7は、本発明の光半導体素子封止用シートの製造過程を示す模式図であって、断面図である。 図8は、本発明の光半導体素子封止用シートの製造過程を示す模式図であって、断面図である。 図9は、封止層上に光拡散層が設けられた光半導体装置の一例を示す模式図であって、断面図である。 図10は、光拡散粒子が無い光半導体素子封止用シートの一例を示す模式図であって、断面図である。
符号の説明
1 離型基材
2 光拡散層
3 封止層
4 開口部
5 貫通孔
11 光半導体素子
12 配線回路基板
21 樹脂層(光拡散層から光拡散粒子を除いた層)

Claims (2)

  1. 少なくとも離型基材、封止層及び光拡散層から構成される光半導体素子封止用シートであって、
    該光拡散層は該離型基材上に設けられ、
    該光拡散層には開口部が設けられ、そして
    該封止層は該開口部内に設けられ、かつ、該封止層の底面は該離型基材に接し、上部には該光拡散層が存在せず、該封止層の厚さが200〜1000μmである、
    光半導体素子封止用シート。
  2. 請求項1に記載の光半導体素子封止用シートの封止層に光半導体素子を埋設して封止してなり、該封止層の側面には光拡散層が存在するが、上部には光拡散層が存在しない構造を特徴とする光半導体装置。
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